特許第6551971号(P6551971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551971
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】板状体保持構造
(51)【国際特許分類】
   G09F 1/10 20060101AFI20190722BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G09F1/10 Z
   B42D15/00 341A
   B42D15/00 341D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-76618(P2015-76618)
(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公開番号】特開2016-197163(P2016-197163A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2018年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐介
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−011476(JP,U)
【文献】 特開2001−204528(JP,A)
【文献】 実開昭62−082784(JP,U)
【文献】 特開2015−009744(JP,A)
【文献】 実開平02−040110(JP,U)
【文献】 実開平04−068207(JP,U)
【文献】 実開平02−033073(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0000854(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/10
B42D 15/00
F16B 5/00− 5/12
H05K 7/12− 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置のカバーの一方の面可撓性を有する板状体を保持させるための板状体保持構造であって、
前記板状体は、末端を除く外周が板状体の本体を貫通する孔で囲まれた保持部を有し、
前記カバーは、前記保持部が挿入される開口部を有し、
前記保持部は、係合部と、前記末端から第1の方向に延びて前記係合部に接続された基部とを有し、前記第1の方向に垂直な第2の方向における長さを幅とすると、前記基部の幅が、前記係合部の幅よりも小さく、かつ前記開口部の幅と同等であり、
前記カバーの他方の面のうち前記開口部に隣接した領域には、前記カバーの厚みよりも薄い偏肉部であって、前記係合部の側から前記第1の方向に沿って前記開口部に挿入された前記保持部を内部に収容する偏肉部が設けられ、
前記偏肉部は、平面視において、前記係合部の幅と同等またはそれ以上の幅を有し、前記係合部を収容する第1の部分と、前記基部の幅と同等の幅を有し、前記基部を収容する第2の部分とを有し、前記第1の部分と前記第2の部分との間に、前記第1の部分に収容された前記係合部と係合して前記開口部から引き出される方向への前記保持部の移動を規制する被係合部が形成されている、板状体保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の板状体保持構造において、
前記係合部の先端の両角が面取りされている、板状体保持構造
【請求項3】
請求項に記載の板状体保持構造において、
前記係合部の末端の両角が面取りされている、板状体保持構造。
【請求項4】
請求項からのいずれか1項に記載の板状体保持構造において、
前記開口部は前記カバーに設けられた壁掛け用の穴である、板状体保持構造。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の板状体保持構造において、
前記カバーは、互いに90度で接する2つの板を有し、
前記開口部は、前記2つの板のうち一方の板であって、該2つの板の合わせ目に設けられている、板状体保持構造。
【請求項6】
請求項に記載の板状体保持構造において、
前記偏肉部は、前記2つの板のうち他方の板設けられている、板状体保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置のカバーにカード状の板状体を保持させるための板状体保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバおよびPOS(Point Of Sales system)等の装置を利用するユーザは、装置の設定時やトラブル発生時などに、マニュアルだけでは対応が困難であると、装置の保守員に連絡を取る必要がある。このような事態に備えて、装置のベンダーによっては、保守員の連絡先が記載されたカードを装置のカバーの外側に取り付けていることがある。
装置のカバーにカードを取り付けるためのカード保持構造の一例を説明する。
図15および図16は関連するカード保持構造の一構成例を示す図である。図15はその外観斜視図である。
図15に示すように、装置のカバー201の側面には、カード202を保持するためのリブ203a、203bが設けられている。カード202をカバー201に取り付ける際、図15に示すように、カード202の上下をリブ203a、203bに位置合わせして、矢印の示す方向にカード202をスライドさせてリブ間に挿入する。図16(a)はカード202がカバー201の側面に取り付けられた状態を示す。図16(b)は図16(a)に示すAA線の部分の断面図である。図16(b)に示すように、リブ203a、203bは、カード202の上下を抱え込む形状になっている。
【0003】
保持対象のカードが上記のカードとは種類が異なるが、カードの保持構造の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1には、電子機器に使用されるカードを挿入するためのガイド部が設けられた構造が開示されている。また、特許文献2には、半導体メモリカードを収納するためのケースが開示されている。特許文献1および2に開示された、いずれの構造においても、ガイド部および収納部のサイズは保持対象のカードの規格によって決まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−45312号公報
【特許文献2】特開2001−319196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図15に示したカード保持構造、ならびに特許文献1および2に開示されたカード保持構造では、サイズが規格に適合したカードしか保持することができない。装置のサイズがカードよりも小さい場合、装置のカバーにカードの上下を挿入するためのリブを2箇所設けることができない。また、図15に示した構造では、サイズが規格に適合したカードでも、カードの上下をリブの狭い隙間に位置合わせしてカードをスライドさせて挿入しなければならず、カードの取り付けおよび取り外しに手間がかかってしまう。
図15に示したカバーにおいて、カードの取り付けおよび取り外しを容易にし、また、サイズが規格よりも大きいカードも装着できるように、上下のリブの間の距離を広くすることも考えられる。この場合、サイズが規格に合ったカードをカバーに取り付けた場合、装置を傾けたときにカードが自重でリブから抜け落ちてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、装置および板状体のサイズに依存せず、装置のカバーに板状体を容易に取り付け可能にした板状体保持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の板状体保持構造は、装置のカバーの一方の面可撓性を有する板状体を保持させるための板状体保持構造であって、
前記板状体は、末端を除く外周が板状体の本体を貫通する孔で囲まれた保持部を有し、
前記カバーは、前記保持部の先端側から該保持部が挿入される開口部を有し、
前記保持部は、係合部と、前記末端から第1の方向に延びて前記係合部に接続された基部とを有し、前記第1の方向に垂直な第2の方向における長さを幅とすると、前記基部の幅が、前記係合部の幅よりも小さく、かつ前記開口部の幅と同等であり、
前記カバーの他方の面のうち前記開口部に隣接した領域には、前記カバーの厚みよりも薄い偏肉部であって、前記係合部の側から前記第1の方向に沿って前記開口部に挿入された前記保持部を内部に収容する偏肉部が設けられ、
前記偏肉部は、平面視において、前記係合部の幅と同等またはそれ以上の幅を有し、前記係合部を収容する第1の部分と、前記基部の幅と同等の幅を有し、前記基部を収容する第2の部分とを有し、前記第1の部分と前記第2の部分との間に、前記第1の部分に収容された前記係合部と係合して前記開口部から引き出される方向への前記保持部の移動を規制する被係合部が形成されている
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置および板状体のサイズに依存せず、装置のカバーに板状体を容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態におけるカードの構成例を示す外観図である。
図2】第1の実施形態におけるカードの別の構成例を示す外観図である。
図3】第1の実施形態におけるカバーの構成を説明するための図である。
図4】第1の実施形態において、カードをカバーに取り付ける方法を説明するための図である。
図5】第1の実施形態において、カードをカバーに取り付ける方法を説明するための図である。
図6】第1の実施形態において、カードをカバーに取り付ける方法を説明するための図である。
図7】第2の実施形態におけるカードの一構成例を示す外観図である。
図8】第3の実施形態におけるカバーの一構成例を示す外観図である。
図9】第4の実施形態におけるカバーおよびカードの一構成例を示す外観斜視図である。
図10】第4の実施形態において、カードをカバーに取り付ける方法を説明するための図である。
図11】第5の実施形態におけるカバーの一構成例を示す外観斜視図である。
図12】第5の実施形態において、カードをカバーに取り付ける方法を説明するための図である。
図13】一般的なカバーに設けられた、壁掛け用の穴の構成例を示す図である。
図14】第6の実施形態におけるカバーの一構成例を示す外観図である。
図15】関連するカード保持構造の一構成例を示す外観斜視図である。
図16図15に示したカード保持構造におけるカバーの外観図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本実施形態のカード保持構造の構成を説明する。はじめに、カードの構成を説明する。
図1は本実施形態におけるカードの構成例を示す外観図である。図1(b)は図1(a)に示す破線301で囲まれた部分を拡大した図である。
図1(a)に示すように、カード4は形状が長方形の板である。カード4の素材は、例えば、プラスチックである。図1に示すように、カード4の長方形の2つ長辺のうち、一方の長辺の近くであって、辺の中心付近に、外周の一部を除いてカード本体を貫通する孔125によって囲まれた保持部12が設けられている。
図1(b)に示すように、保持部12は係合部121および基部122を有する。基部122の末端はカード4と接続されている。保持部12において、カード4の長辺に平行な方向の長さを幅とすると、係合部121の幅の方が基部122の幅よりも大きい。
係合部121の末端には、基部122との幅の違いによる段差123が両側に設けられている。一方、係合部121の先端は両角126が面取りされている。これは、後述するが、保持部12をカバー(不図示)の開口部に挿入しやすくするためである。面取りの代わりに、図2に示すように、角を丸めた形状であるRを両角127に設けてもよい。
【0011】
次に、図1に示したカードを保持するカバーの構成を説明する。
図3は本実施形態におけるカバーの構成を説明するための図である。図3(a)は本実施形態におけるカバーの一構成例を示す外観図である。図3(b)は図3(a)に示すBB線の部分の断面図であり、図3(c)は図3(a)に示す破線302で囲まれた部分を拡大した図である。
図3(a)はカバー5の内側を示している。カバー5は形状が四角形の板である。カバー5の素材は、例えば、プラスチックである。図3(a)に示すように、カバー5には開口部20が設けられている。
図3(b)に示すように、開口部20の上側には、厚みがカバー本体よりも薄い偏肉部21が設けられている。図3(c)では、偏肉部21をクロスハッチングで示している。偏肉部21の上側の幅W2は、係合部121の幅と同等またはそれ以上である。偏肉部21の上側の高さL2は、図1に示した係合部121の先端から末端までの長さと同等またはそれ以上である。図3(c)に示すように、偏肉部21の下側の幅W1は、上側の幅W2より狭くなっている。幅W1はカード4の基部122の幅と一致している。図3(c)に示すように、開口部20の幅も幅W1と同じである。開口部20の高さL1は保持部12の厚みよりも大きい。
また、図3(c)に示すように、偏肉部21とカバー本体との厚みとの差による段差が設けられている。この段差は、カード4の係合部121の末端が引っ掛かる被係合部23として機能する。
【0012】
次に、本実施形態のカード保持構造における、カード4のカバー5への取り付け方法を説明する。
図4から図6は、本実施形態において、カードをカバーに取り付ける方法を説明するための図である。
図4の破線303内に示す係合部121の先端をカバー5の開口部20の位置に合わせて、カード4を矢印の方向にスライドさせ、保持部12を開口部20に挿入する。その際、係合部121の先端の両角が面取りされているので、保持部12を開口部20に挿入しやすい。係合部121の幅は開口部20の幅より大きいが、カード4の素材は可撓性のあるプラスチックなので、係合部121は開口部20の上下方向にたわみ、開口部20を通過してカバー5の内部に挿入される。
図5(a)はカバーを外側から見た状態を示す外観図である。図5(b)は図5(a)に示すCC線の部分における断面図である。図5(b)に示すように、係合部121が偏肉部21に重なるように、係合部121および基部122が開口部20内に挿入される。
図6(a)はカバーを内側から見た状態を示す外観図である。図6(b)は図6(a)に示す破線304で囲まれた部分を拡大した図である。図6(c)は破線304で囲まれた部分の拡大斜視図である。
係合部121の末端が偏肉部21の幅が狭いところを過ぎると、係合部121が幅方向に広がり、図6(b)および図6(c)に示すように、係合部121の末端の両角の段差がカバー5の被係合部23に引っ掛かる。
【0013】
本実施形態によれば、カードの保持部をカバーの開口部に挿入すると、カードがカバーに保持される。そのため、装置のサイズがカードよりも小さくても、その装置のカバーにカードを取り付けることが可能となる。装置およびカードのサイズに依存せずにカードをカバーに取り付けられる。カードの係合部の末端の段差をカバーの被係合部に引っ掛ける簡易ロック構造でカードが保持されるので、カードの上下を2箇所のリブに位置合わせしてカードをリブ間に挿入する必要がない。そのため、カードの取り付けおよび取り外しが容易であり、また、カードが自重で落下するのを防ぐことができる。
また、本実施形態は、装置のカバーの外観上、カードの保持部を挿入するための開口部が設けられる構成である。開口部はシンプルで目立たない形状なので、装置のカバーデザインに対する影響が小さい。
【0014】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態におけるカード保持構造において、カードの保持部の末端にも面取りまたはRが設けられた構成である。
本実施形態におけるカードの構成を説明する。なお、第1の実施形態と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
図7は本実施形態におけるカードの一構成例を示す外観図である。図7(a)はカードの外観図であり、図7(b)は図7(a)に示す破線305で囲まれた部分を拡大した図である。
図7(b)に示すように、プラスチックのカード6の係合部131は、先端の両角が図1に示した係合部121と同様に面取りされているだけでなく、末端の両角132も面取りされている構成である。図7では、係合部131の先端および末端が面取りされている場合を示しているが、図2に示したように、係合部131の先端および末端にRが設けられていてもよい。なお、本実施形態のカード保持構造における、カードのカバーへの取り付け方法は第1の実施形態と同様になるため、その詳細な説明を省略する。
本実施形態では、カードの保持部の末端の両角に面取りまたはRが設けられている。そのため、第1の実施形態と同様な効果が得られるだけでなく、カードをカバーからより取り外しやすくなる。
【0015】
(第3の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態のカード保持構造において、カバーの内側を別の構成にしたものである。
図8は本実施形態におけるカバーの一構成例を示す外観図である。なお、第1の実施形態と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
図8(a)はカバーを内側から見たときの外観斜視図である。図8(b)および図8(c)は図8(a)に示す破線306で囲まれた部分の拡大図である。図8(b)はカードの取り付け前の状態を示し、図8(c)はカード取り付け後の状態を示す。
図8(b)に示すように、プラスチックのカバー7の内側には、開口部20の上辺に沿って開口部20の上側(開口部20とは反対側)の両側にリブ8が設けられている。図8(c)に示すように、カード4の係合部121がカバー7の開口部20に挿入されると、係合部121の末端がリブ8に引っ掛かる。リブ8は係合部121が引っ掛かる被係合部として機能する。
なお、カバー7は、第1の実施形態で説明したカバー5と比べると、被係合部としてリブ8が設けられている代わりに、偏肉部21が設けられていない構成である。本実施形態における、カードのカバーへの取り付け方法は、第1の実施形態と同様になるため、その詳細な説明を省略する。
本実施形態では、第1の実施形態で説明した、偏肉部とカード本体との段差による係合部としての役割を、カバー内側に設けたリブに持たせている。そのため、第1の実施形態と同様な効果が得られるだけでなく、カバーに偏肉部を設けるよりも、カバーの外観面にムラ等の成形不良が出にくいという効果がある。
本実施形態では、第1の実施形態をベースにして説明したが、第2の実施形態を適用してもよい。
【0016】
(第4の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態におけるカバーの開口部が別の位置に設けられた構成であり、カードの構成はカバーの構成に対応して、第1の実施形態とは異なる。
図9は本実施形態におけるカバーおよびカードの一構成例を示す外観斜視図である。
図9に示すように、カバー9は、互いに90度で接する2枚の板9a、9bを有する。以下では、説明の便宜のために、板9aの面をカバー9の正面とし、板9bの面をカバー9の側面とする。これら2枚の板9a、9bの合わせ目であって、板9bに開口部20が設けられている。図9に示すカバー9では、開口部20は板9bの辺の中央に設けられているが、開口部20の位置は図9に示す位置に限らない。後で図を参照して説明するが、板9aにおける、開口部20に対応する位置には、図3を参照して説明したカバー5と同様に偏肉部21が設けられている。
図9に示すように、カード10は保持部15を有する。保持部15は、図1に示した保持部12と比べると、向きが逆になっている。つまり、保持部15の末端側がカード10の外周に近い方に位置し、保持部15の先端側がカード10の中心に近い側に位置している。また、保持部15は、図1に示した係合部121も基部122と同じ幅で形成されている。保持部15の先端には第1の実施形態と同様に、面取りまたはRが設けられている。カバー9およびカード10の素材はプラスチックである。
なお、本実施形態では、カバー9およびカード10の構成について、第1の実施形態で説明したカバー5およびカード4の構成と異なる部分を中心に説明しており、第1の実施形態と同様な構成についての説明を省略する。
【0017】
次に、カード10をカバー9に取り付ける方法を説明する。
図10は本実施形態において、カードをカバーに取り付ける方法を説明するための図である。図10(a)はカバーを外側から見たときの外観図であり、図10(b)は図10(a)に示すDD線の断面図である。
図9に示すように、カバー9の側面に設けられた開口部20にカード10の保持部15の位置を合わせ、カード10を矢印が示す方向に挿入する。図10(a)は、カード10がカバー9に取り付けられた状態を示す。図10(b)を見てわかるように、板9aは、第1の実施形態で説明した構成と同様に、板厚内で偏肉されている構成である。保持部15が偏肉部21によって曲げられているが、保持部15が元に位置に戻ろうとする力が偏肉部21にかかることで、カード10がカバー9に保持される。
図1に示したカード4と比べるとカード10は保持部15の向きが逆になっているので、カード10をカバー9に取付けた状態(図10(a))では、カード10は板9aよりも外側に大きく飛び出さず、そのほとんどが板9aと重なっている。本実施形態では、カード10の保持部15が開口部20を通過する際にたわむことがないので、開口部20の高さL3は、保持部15の厚み、つまりカード10の厚みと同等とすることが可能となる。
【0018】
本実施形態では、カバーの側面に開口部を設け、開口部におけるカード厚み方向の寸法をカード厚みと同等にすることが可能である。そのため、第1の実施形態と同様な効果が得られるだけでなく、カバーのデザインへの影響がより出にくいという効果がある。
本実施形態では、板9aに偏肉部21を設ける場合で説明したが、板9aを薄くしても強度が得られるのであれば、板9a全体を偏肉部21と同じ厚みにしてもよい。
また、本実施形態における保持部および開口部の構成が、第1の実施形態で説明した保持部および開口部と同様な構成であってもよい。保持部15が、基部122と、基部122よりも幅の広い係合部121とを有する構成である場合、図10(b)に示すように、板9bは係合部121が引っ掛かる被係合部として機能する。この場合、第2の実施形態を適用してもよい。
【0019】
(第5の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態のカード保持構造において、開口部を有するリブがカバーの外側に設けられた構成である。
本実施形態におけるカバーの構成を説明する。なお、第1の実施形態と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
図11は本実施形態におけるカバーの一構成例を示す外観斜視図である。図11に示すように、プラスチックのカバー17の外側の面に、カバー17の面に沿って貫通する開口部を有するコの字状のリブ18が設けられている。カバー17は、第1の実施形態で説明した偏肉部21は設けられていない。
【0020】
次に、カード4をカバー17に取り付ける方法を説明する。
図12は本実施形態において、カードをカバーに取り付ける方法を説明するための図である。図12(a)はカバーを外側から見たときの外観図であり、図12(b)は図12(a)に示すEE線の部分の断面図である。図12(c)は図12(a)に示すFF線の部分の断面図であり、図12(d)は図12(a)に示す破線307で囲まれた部分の拡大図である。
図11に示すように、カード4の保持部12をカバー11に設けられたリブ18の開口部の位置に合わせて、カード4を図11に示す矢印の方向にスライドして、保持部12を開口部に挿入する。
図12(a)はカード4がカバー11に取り付けられた状態を示す。図12(b)に示すように、リブ18は開口部25が設けられたトンネル形状になっている。図12(c)に示すように、カード4の係合部121はリブ18の上側に位置している。図12(d)に示すように、係合部121がリブ18に引っ掛かっている。リブ18は係合部121の被係合部として機能する。
本実施形態では、カバーの外側に設けたトンネル状のリブが、第1の実施形態における、偏肉部の幅を狭くした形状と同様に、カードが引っ掛かる役割を果たしている。そのため、カバーには、外側に小さなリブを設けるだけでよいので、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
本実施形態では、第1の実施形態をベースにして説明したが、第2の実施形態を適用してもよい。
【0021】
(第6の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態で説明したカード保持構造において、カバーに設ける開口部として、装置のカバーに設けられた壁掛け用の穴を利用するものである。
図13は、一般的なカバーに設けられた、壁掛け用の穴の構成例を示す図である。図13(a)はカバーの外観斜視図であり、図13(b)はカバーの正面図であり、図13(c)はカバーの背面図である。
図13(a)に示すように、カバー210は壁掛け用穴211が設けられている。図13(b)に示すように、壁掛け用穴211の開口形状は、上部212より下部214の方が面積の大きいひょうたん形状になっている。壁に固定したネジに装置を固定する際、カバー210の下部214をネジの頭の位置に合わせて装置を壁側に押した後、装置を少し下げることで、ネジの軸の部分が上部212に入りこむ。この状態で装置から手を離せば、ネジにカバー210の上部212の上端が引っ掛かる。
【0022】
次に、本実施形態におけるカバーに、図13に示した壁掛け用の穴が適用された場合の構成を説明する。
図14は、本実施形態におけるカバーの構成例を示す外観図である。図14(a)はカバーを内側から見た外観図である。図14(b)はカバーにカードを取り付けた状態を示す外観斜視図である。図14(b)において、カード4の外周の一部を図に示すことを省略している。
図14(a)に示すように、カバー19には、壁掛け用穴211の上部212の上側に第1の実施形態で説明した偏肉部21による凹形状が設けられている。図14(a)では凹形状をクロスハッチングで示す。カバー19の壁掛け用穴211から図1に示したカード4の保持部12が挿入されると、図14(b)に示すように、偏肉部21およびカバー19の厚みの違いによる段差に係合部121が引っ掛かる。
【0023】
本実施形態のカバー19は、壁掛け用穴が設けられたことを除いて第1の実施形態で説明したカバー5と同様な構成である。また、本実施形態におけるカード4も第1の実施形態で説明した構成と同様である。そのため、本実施形態における、カードのカバーへの取り付け方法の詳細な説明を省略する。
本実施形態では、開口部としてカバーに設けられた壁掛け用穴を利用する場合で説明したが、カバーに開口された穴であれば、壁掛け用穴以外の穴であってもよい。本実施形態によれば、壁掛け用穴のように、他の目的でカバーに設けられた穴を上記開口部として利用するので、第1の実施形態と同様にカバーの内側に凹形状を設けるだけでよい。そのため、第1の実施形態と同様な効果だけでなく、機能性をもったデザインをそのまま活用し、デザインに影響を与えることなく、カード保持構造を容易に設けることが可能となる
本実施形態では、第1の実施形態をベースにして説明したが、第1から第3の実施形態のうち、いずれの実施形態を適用してもよい。
【0024】
なお、上述の実施形態では、カードとカバーがプラスチックの場合で説明したが、他の素材であってもよい。カードは可撓性があればよい。また、保持対象としてカードの場合で説明したが、保持対象はカードの場合に限らない。カードのような板状体で、かつ、保持部を設けることが可能であれば保持対象となり得る。例えば、装置の販売目的で店頭において装置のカバーに商品名、広告および値段等が記載されたタグを取り付ける場合に、本発明の適用が考えられる。
また、カードの保持部の先端がカード外周よりも内側に位置するように保持部が設けられる構成にしているが、保持部の先端がカード外周と一致してもよい。例えば、図1に示したように、保持部の先端がカード外周よりも内側に位置していれば、カードを他のケースから出し入れする際、保持部の先端がケースに引っ掛かってしまうことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0025】
4、6、10 カード
5、7、9、17、19 カバー
8、18 リブ
12、15 保持部
121 係合部
122 基部
20 開口部
21 偏肉部
23 被係合部
図1
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図3
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