(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマー/窒化ホウ素組成物の射出成形により製造された構成部品であって、前記ポリマー/窒化ホウ素組成物が、少なくとも1つのポリマー材料と、少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、少なくとも1つの補強充填剤と、を含み、前記少なくとも1つの熱伝導性充填剤が、窒化ホウ素凝集体を含み、前記窒化ホウ素凝集体が、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム、窒化チタン(TiN)、窒化ケイ素(Si3N4)、又はこれらの組み合わせを含む無機結合剤相によって互いに結合された、小平板状の六方晶窒化ホウ素一次粒子を含む、構成部品。
前記補強充填剤が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、繊維状ウォラストナイト、又は繊維状アルミノケイ酸塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成部品。
DIN EN ISO 22007−4に従って2mm厚の射出成形されたサンプルにおいて測定される、前記構成部品の面外方向熱伝導率が、少なくとも1W/m・Kである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の構成部品。
DIN EN ISO 22007−4に従って2mm厚の射出成形されたサンプルにおいて測定される、前記構成部品の面内方向熱伝導率が、少なくとも1.5W/m・Kである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の構成部品。
前記窒化ホウ素とは異なる充填剤が粉末状金属、黒鉛、膨張黒鉛、若しくはカーボンブラックの形態の炭素、酸化物、窒化物、若しくは炭化物、又は、ミネラル充填剤、又はこれらの混合物である、請求項12に記載の構成部品。
【背景技術】
【0002】
プラスチック類は、様々な用途に使用される。基本的なポリマーの特性は、多くの場合、追加の構成成分を配合することにより変更され、それによって、それぞれの用途に応じて設計される。
【0003】
例えば、有機、無機、セラミック、ガラス、及び金属充填剤は、ポリマーマトリックスと共に配合するために、追加の構成成分として使用できる。追加の構成成分を用いて、例えば、機械的特性、電気的特性、熱膨張係数、流動性、経時変化安定性、離型特性、色、若しくは密度を変更し、熱伝導率を増すことができる。
【0004】
配合中、典型的には顆粒形態に堆積され、成形プロセスで更に加工される、ポリマー及び追加の構成成分からなる混合材料が形成される。構成部品を形成するための成形工程は、好ましくは、射出成形によって実施される。
【0005】
熱伝導性ポリマー系混合材料を生成するため、熱伝導性充填剤を、熱伝導性が低いポリマーマトリックスに導入することが多い。六方晶窒化ホウ素は、小平板状の粒子形態を有する高熱伝導性充填剤であり、熱伝導性ポリマー/窒化ホウ素混合材料(ポリマー/窒化ホウ素化合物)の生成に使用できる。
【0006】
六方晶窒化ホウ素などの多くの熱伝導性充填剤は、ポリアミドなどの工業的な大スケールで使用される多くのポリマーよりも、材料1キログラム当たりの価格が非常に高いため、熱伝導性充填剤の添加は一般に、材料価格の顕著な増加につながる。
【0007】
熱可塑的に加工可能なポリマーを充填剤と配合するとき、通常は押出成形機を使用する。例えば、スクリューが材料を移動させることに加えて更なる機能を担う、2軸押出成形機を用いる。それぞれの用途に応じて、様々は実施形態では、押出成形機の異なるゾーンにおいて、移送要素、混合要素、例えば、捏和ブロックなどの剪断要素、及び、逆流要素を使用してよい。混合要素及び剪断要素は、ポリマー融解物及び充填剤の良好な混合及び均質化を確実にする。
【0008】
例えば、スクリュー速度及び温度などの選択した配合パラメータによって、剪断の影響を受けやすい充填剤は、分解又は部分分解を受ける場合がある。
【0009】
充填剤は、メインホッパーから、ただしサイドフィーダーからも、ポリマーと共に供給できる。充填剤が剪断の影響を受けやすい場合、サイドフィーダーから充填剤を追加することが特に重要である。ポリマー顆粒を、メインフィーダーから押出成形機のフィードゾーン内に投入し、続いて、高圧強剪断下で融解する。剪断の影響を受けやすい充填剤を、サイドフィーダーから予め融解したポリマーに加える。ポリマーが融解した後、サイドフィーダーから、例えばガラス繊維を配合プロセスに加えて、ガラス繊維があることによって起こり得る剪断力を低下し、繊維が破壊するのを防ぐ。ガラス繊維を短くすると、強化化合物で作られた構成成分の機械的特性の低下につながる。
【0010】
剪断の影響をより受けにくい充填剤を、追加のサイドフィード中、又は、メインフィード中の初めの段階より前に、ポリマーと共に追加のサイドフィーダーから加えることができる。剪断の影響をより受けにくい充填剤、又は、完全に均質化する必要がある充填剤、例えば色素などは、それらが添加された時点から押出成形機中により長く留まり、押出成形機中で下流にある均質化及び剪断エリアを全て通過する。
【0011】
押出成形機の端部において、化合物は、ストランド形態のポリマー融解物として、ノズルを通って押出成形機を出る。ストランドを冷却し、凝固させた後、造粒機によって、成形プロセスで更に加工することを目的とする化合物顆粒が作られる。
【0012】
未充填ポリマー顆粒、及び更には、ポリマーと充填剤からなる化合物顆粒の成形プロセスの1つは、射出成形である。ポリマー顆粒又は化合物顆粒を、射出成形機中で再融解し、高圧下で成形型内に充填する。そこで、ポリマー融解物又は化合物融解物を凝固させ、射出成形された構成部品を取り出すことができる。デュロプラスチック及びエラストマーの場合、材料を成形型中で硬化させる。
【0013】
射出成形では、成形に関してデザインの自由度が高く、多くの機能を担い得る複雑な構成部品を射出成形することができる。充填剤を使用することによって、ポリマーは、果たすべきそれぞれの用途及び機能に適応される。
【0014】
化合物中にガラス繊維を用いると、高度に機械的応力に耐えるプラスチック構成部品を製造できるようになる。剪断勾配、並びに膨潤及び膨張流が生じると、ガラス繊維が、射出成形プロセス中に方向付けられる原因となる。この方向付けによって、材料特性、例えば機械的特性は、射出成形された構成部品において異方性である。
【0015】
熱伝導性ポリマー/窒化ホウ素化合物の生成、及びそれらの構成部品への加工において、多くの影響因子が、熱伝導率の結果に重要な影響を与えることが示されている。これら影響因子として、配合工程、成形工程、サンプルの形状、サンプルの延伸、及び使用される測定方法が挙げられる。
【0016】
配合中、例えば、共捏和機(Bussニーダー)、単軸押出成形機、及び2軸押出成形機を使用してよい。機器の設計及び/又はプロセスパラメータによって、激しい又は穏やかな配合に調整することができる。比較的激しい配合に調整するために、例えば、捏和ブロックなどの分散要素及び剪断要素の両方を用いることが可能であり、より穏やかな配合に調整するために、例えば捏和ブロックを全て省くこともできる。スクリュー速度を大きくすると、化合物及び化合物中の充填剤を比較的強く剪断することにつながり、一方スクリュー速度を小さくすると、化合物及び化合物中の充填剤を比較的弱く剪断することにつながる。
【0017】
ポリマーを窒化ホウ素粉末、例えば噴霧乾燥した窒化ホウ素粉末と配合し、ポリマー/窒化ホウ素化合物を形成するとき、30体積%の窒化ホウ素をポリアミド(PA 6)に加えると、充填剤の強い混合及び剪断、並びに良好な分散を伴う激しい配合により、化合物の機械的特性は比較的良好であるものの、熱伝導率は比較的低くなることが示されている。反対に、剪断が低く、分散性に乏しい穏やかな配合により、熱伝導率が比較的良好で、機械的特性が低い化合物になる。
【0018】
後続する成形も、熱伝導率の結果に影響する。激しい配合によって生成されたポリマー/窒化ホウ素化合物のサンプルが、ホットプレスによって製造される場合、面外方向熱伝導率は、同じポリマー/窒化ホウ素化合物から射出成形によって作られた引張試験棒よりも、40%高い。ホットプレスされたサンプルの面外方向熱伝導率値は、薄さ2mmの射出成形プレートにおいて測定されたものよりも、最大100%高い。2mmの厚さを有する薄いプレートが、穏やかな配合によって生成されたポリマー/窒化ホウ素化合物を射出成形することによって作られる場合、面外方向熱伝導率は、激しい配合で生成された化合物から射出成形された2mmプレートよりも、最大15%高い。
【0019】
更に、サンプル形状も、熱伝導率の結果に影響する。4mmの厚さを有する射出成形された引張試験棒において測定された面外方向熱伝導率は、射出成形された2mm厚のプレートで測定された面外方向熱伝導率よりも、最大50%高い。
【0020】
射出成形では、サンプルの延伸タイプも熱伝導率の結果に影響する。例えば、激しい配合と2mmの薄いプレートの射出成形において、熱伝導率は、ゲート付近、サンプルの中央部、及びゲートから離れた部分において大きく異なり得ることが示されている。例えば、高度に充填された化合物の熱伝導率は、サンプルの延伸位置によって20%もずれる場合がある。激しい配合と引張試験棒の射出成形では、第1のサンプル肩部直後のゲート付近で採取されたサンプルの熱伝導率は、第2のサンプル肩部の前のゲートから離れて採取されたサンプルから、10%もずれる場合がある。
【0021】
最後に、測定方法も、面外方向熱伝導率の結果に影響する。面外方向熱伝導率が、4mm厚の射出成形プレートにおいてホットディスク法を用いて測定される場合、等方性充填剤の測定結果は、2mmの薄い射出成形プレートにおいてレーザーフラッシュ法を用いて測定されるよりも、約15〜20%高く、一方、最大50%高い熱伝導率が、小平板状充填剤においてホットディスク法を用いて測定される。
【0022】
これらの理由により、熱伝導率測定の結果は、化合物の生成、化合物顆粒の成形、サンプルの延伸、及び熱伝導率測定が、同じ条件下で行われた場合にのみ、直接的に比較できる。
【0023】
一次粒子の形態で存在し、一次粒子の凝集体ではない六方晶窒化ホウ素粉末粒子は、その熱伝導率において異方性である。良好に結晶化した窒化ホウ素粉末は、小平板状の粒子形態を有する。窒化ホウ素フレークは、典型的には、アスペクト比、すなわち、フレーク径のフレーク厚さに対する比が、>10である。フレーク外への熱伝導率は、フレーク面内の熱伝導率と比較して低い。
【0024】
化合物が、熱可塑性ポリマーと、小平板状一次窒化ホウ素粒子形態の窒化ホウ素粉末とから生成される場合、一次窒化ホウ素粒子は、主に微細分散形態で存在する。かかる化合物を特に薄肉構成部品に射出成形すると、小平板状一次窒化ホウ素粒子の大部分は、それ自体が射出成形型の表面に対して平行平面に、かつ、構成部品の表面に対して平行平面に配列する。小平板状一次窒化ホウ素粒子の配列は、成形型壁に近い領域と離れた領域との間における、射出成形された構成部品中の剪断速度によって起こる。射出成形された構成部品中の小平板状一次窒化ホウ素粒子の配列は、特性、特に熱伝導率の異方性につながる。充填剤の充填量が≧30体積%において、厚さ≦3又は≦2mmの薄肉構成部品におけるポリマー化合物の流れ方向の熱伝導率(面内)は、一般に4倍以上高く、構成部品壁を通過する熱伝導率(面外)は、最大7倍以上高い。熱可塑性射出成形された構成部品の熱伝導率が高度に異方性であることは、多くの用途において不都合である。例えば、ハウジング壁を通過して、このハウジング壁内に二次元的に導入された熱の放散は、低面外方向熱伝導率において同様に低い。熱が、射出成形されたハウジング内に点状に導入される用途においても、ハウジング壁中の熱の迅速な分配が可能であるものの、ハウジング壁を通過する熱放散ができないため、この特性は不都合である。これらの用途において、特に、二次元領域を超えて熱の放散が必要な場合、できるだけ高い面外方向熱伝導率が望ましい。
【0025】
充填剤の充填量が50体積%の化合物中窒化ホウ素粉末を下回ると、壁厚さ2mm以下の射出成形された薄肉構成部品の面外方向熱伝導率では、通常は1W/m・K(1W/m・℃)の値を超えない。
【0026】
熱伝導性充填剤をポリマーに添加すると、機械的特性、例えば強度及び特に強靭性の低下につながり、材料及びそれらから製造された構成部品の破断点伸び及び衝撃抵抗度が低下する結果となる。構成部品に機械的負荷をかけるとき、充填剤はポリマー中の引張ピークの原因となる。これらの引張ピークは、その後、負荷が増すと局部の亀裂形成につながり、亀裂が大きくなることによって構成部品が破損する。熱伝導率が改変されたポリマーでは、未充填ポリマーよりも、低い負荷レベル及び低い伸びにおいて亀裂形成及び構成部品の破損が起こる。熱伝導性充填剤の量が増すと、強度及び強靭性が更に低下する。
【0027】
構成部品中の熱流量Qは等式1によって表すことができ、等式2に示すように、総括熱伝達係数kは、熱伝達係数α、熱伝導率λ、及び壁厚sを反映している。
【0028】
【数1】
【0029】
したがって、例えばハウジング内の温度を下げる熱伝達の増加は、材料の熱伝導率を上げるのに加え、構成部品の壁厚を下げることによっても行われ得る。しかしながら、構成部品が熱伝導機能に加えて機械的機能を果たす場合、構成部品の壁厚を下げられる程度は限定される。機械的特性、例えば強度が増強された材料を使用できる場合、反対に、壁厚を下げることが可能になり、それによって構成部品壁を通過する熱流量が増加する。壁厚の低下は、軽量化及びコスト削減などの別の利点も有する。例えば、自動車で使用される構成部品では、この軽量化により、汚染物質の排出量低下につながる。
【0030】
ポリマー中で充填剤を高充填量で使用すると、融解粘度の上昇と、それによる流動性の低下の原因となる。
【0031】
しかしながら、壁厚が薄い構成部品の、例えば射出成形による製造を可能にするためには、成形型への完全な充填を達成するために、ポリマー化合物の良好な流動性が必要である。
【0032】
したがって、機能性ポリマー材料の多くの用途において、熱伝導率、機械的特性、流動性、及び材料費についてバランスの取れた材料特性が望ましい。
【0033】
窒化ホウ素は、小平板状一次粒子の凝集体の形態でも、ポリマー中の熱伝導性充填剤として使用することができる。例えば、噴霧乾燥、静水圧加圧成形、又はプレス成形、及び後続する焼結手段による、窒化ホウ素凝集体を生成するための異なる方法は、米国特許出願公開第2006/0 127 422 A1号、国際公開第03/013 845 A1号、米国特許第6,048,511号、欧州特許第0 939 066 A1号、米国特許出願公開第2002/0 006 373 A1号、同第2004/0 208 812 A1号、国際公開第2005/021 428 A1号、米国特許第5,854,155号、及び同第6,096,671号に記載されている。
【0034】
この種の窒化ホウ素凝集体が使用されるとき、2軸押出成形機での配合中、及び/又は射出成形中に、窒化ホウ素凝集体の顕著な分解が起こり、すなわち、凝集体の大部分が一次窒化ホウ素粒子又は凝集体フラグメントに分割され、プロセス条件によって、大きく変動する、特に、射出成形プレートのz方向の熱伝導率が低下する原因となり得る。この問題は、「Boron Nitride in Thermoplastics:Effect of loading,particle morphology and processing conditions」(Chandrashekar Raman,Proceedings of the NATAS Annual Conference on Thermal Analysis and Applications(2008),36th 60/1〜60/10)で述べられている。
【0035】
本発明では、小平板状及び凝集体の窒化ホウ素粉末を、熱可塑性ポリマー(Dow 17450 HDPE)と配合した。配合は、2軸押出成形機(Werner & Pfleiderer ZSK−30、L/D比28.5、ノズル2mm)において、温度190℃、スクリュー速度100RPMで実施した。
【0036】
球形のPTX60窒化ホウ素凝集体(Momentive Performance Materials、平均凝集体寸法d50=60μm)をHDPE化合物中で使用したとき、標準的なスクリュー形状を2つの混合ゾーンで使用すると、改変スクリューを1つのみの混合ゾーンで使用するときよりも、PTX−60凝集体の分解が大きいことが示された。このことは、充填剤の充填量が39体積%(60重量%)において、特に明らかになった。比較的激しい処理で生成された化合物を射出成形した、引張試験棒サンプルで測定された面外方向熱伝導率は、配合中により穏やかな構成が使用されたサンプルよりも、約25%低い(2.05W/m・K(2.05W/m・℃)ではなく1.5)値を有することがわかった。標準的なスクリュー形状で製造された化合物から、3.2mm厚の引張試験棒の代わりに薄い1mm厚のプレートを射出成形すると、39体積%(60重量%)の充填剤充填量において、面外方向熱伝導率は、1.5W/m・Kから0.85W/m・K(1.5W/m・℃から0.85W/m・℃)に低下する。この処理タイプの熱伝導率は、PT120一次粒子を同じ充填剤充填量で化合物中で使用するときと同じように低い。筆者らは、この熱伝導率の低下は、BN凝集体の分解によるものとする。
【0037】
記載の実験では、使用した窒化ホウ素凝集体が、配合プロセス、又は射出成形プロセス中に、大部分は一次粒子の形態で射出成形された化合物中に存在する程度まで崩壊し、凝集体形態は、多くの用途、特に薄いプレートやハウジング壁の射出成形の際に、高面外方向熱伝導率目的では使用できないことが示された。
【0038】
独国特許出願公開第10 2010 050 900 A1号では、窒化ホウ素小平板が凝集体中で優先配向している、非平滑化窒化ホウ素凝集体の製造方法が記載される。
【発明を実施するための形態】
【0059】
既に上で説明したように、面外方向熱伝導率は、面外方向に、すなわち、プレート面に対して垂直に測定された熱伝導率である。面内方向熱伝導率は、面内方向に、すなわち、プレート面に沿って測定された熱伝導率である。
【0060】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の面外方向熱伝導率は、好ましくは少なくとも1W/m・K(1W/m・℃)、より好ましくは少なくとも1.2W/m・K(1.2W/m・℃)、更により好ましくは少なくとも1.5W/m・K(1.5W/m・℃)、及び特に好ましくは少なくとも1.8W/m・K(1.8W/m・℃)である。熱伝導率は、2mmの厚さを有するディスク状に射出成形されたサンプルにおいて、DIN EN ISO 22007−4に従って測定する。
【0061】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の面内方向熱伝導率は、好ましくは少なくとも1.5W/m・K(1.5W/m・℃)、より好ましくは少なくとも1.8W/m・K(1.8W/m・℃)、更により好ましくは少なくとも2.2W/m・K(2.2W/m・℃)、及び特に好ましくは少なくとも2.7W/m・K(2.7W/m・℃)である。
【0062】
面内方向熱伝導率の測定には、2mmの厚さを有するディスク状に射出成形されたサンプルを、別の上面に積層し、互いに接着する。このように調製したプレート積層体から、射出成形プレートの面外方向に平行に、かつ、流れ方向に垂直に、2×10×10mm
3の寸法を有する2mmの薄いサンプルを調製する。面内方向熱伝導率は、このように調製した2mm厚のサンプルにおいて、DIN EN ISO 22007−4に従って測定する。
【0063】
本発明による構成部品及び窒化ホウ素/ポリマー化合物の、面内方向熱伝導率の面外方向熱伝導率に対する異方性比は、好ましくは少なくとも1.5かつ多くとも4、より好ましくは少なくとも1.5かつ多くとも3.5、更により好ましくは少なくとも1.5かつ多くとも3.0、及び特に好ましくは少なくとも1.5かつ多くとも2.5である。
【0064】
異方性比は、記載するように測定した面内方向熱伝導率を記載するように測定した面外方向熱伝導率で割ることによって、計算される。
【0065】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の面外方向熱伝導率は、熱伝導性充填剤を含まないポリマー材料の熱伝導率よりも、好ましくは少なくとも0.8W/m・K(0.8W/m・℃)、より好ましくは少なくとも1W/m・K(1W/m・℃)、更により好ましくは少なくとも1.3W/m・K(1.3W/m・K)、及び特に好ましくは少なくとも1.6W/m・K(1.6W/m・℃)高い。
【0066】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の面内方向熱伝導率は、熱伝導性充填剤を含まないポリマー材料の熱伝導率よりも、好ましくは少なくとも1.3W/m・K(1.3W/m・℃)、より好ましくは少なくとも1.6W/m・K(1.6W/m・℃)、更により好ましくは少なくとも2.0W/m・K(2.0W/m・℃)、及び特に好ましくは少なくとも2.5W/m・K(2.5W/m・℃)高い。
【0067】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の強度は、好ましくは少なくとも50N/mm
2(50MPa)、より好ましくは少なくとも75N/mm
2(75MPa)、更により好ましくは少なくとも100N/mm
2(100MPa)、及び特に好ましくは少なくとも125N/mm
2(125MPa)である。
【0068】
機械的特性は、DIN EN ISO 527に従い、25℃及び湿度50%において、乾燥状態にコンディショニングした標準的な引張試験棒に対する引張試験で測定する。
【0069】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物中の窒化ホウ素凝集体の割合は、ポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、好ましくは少なくとも5体積%、より好ましくは少なくとも10体積%、更により好ましくは少なくとも15体積%、及び特に好ましくは少なくとも20体積%である。
【0070】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物中の窒化ホウ素凝集体の割合は、ポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、好ましくは多くとも70体積%、より好ましくは多くとも60体積%、及び特に好ましくは多くとも50体積%である。
【0071】
熱可塑性ポリマーは、好ましくは、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物のポリマー材料として使用される。これらは、特に熱可塑性材料、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、及びポリオキシメチレン(POM)である。
【0072】
デュロプラスチック成形材料、例えばフェノールホルムアルデヒド成形材料(例えばVincolyt X655、SBHPP(Gent,Belgium))、エポキシド成形材料(例えばEpoxidur 3581、Raschig(Ludwigshafen,Germany))、メラミンホルムアルデヒド成形材料(例えばMelopas MF150、Raschig(Ludwigshafen,Germany))、尿素ホルムアルデヒド成形材料(例えばUrecoll、BASF(Ludwigshafen,Germany))、バルクモールディングコンパウンド(BMC)(例えばLomix 0204、Lorenz(Bad Bramstedt,Germany))及びシートモールディングコンパウンド(SMC)(例えばLomix 0108、Lorenz(Bad Bramstedt,Germany))も、ポリマー材料として使用できる。
【0073】
エラストマー、例えば液状シリコーンゴム(liquid silicon rubber)(LSR)(例えばElastosil、Wacker Chemie(Burghausen,Germany))、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、及びエチレンアクリレートゴム(AEM)も、ポリマー材料として使用できる。
【0074】
注型用樹脂(例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシド樹脂、シリコーン樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂)、(例えばQ1−9226、Dow Corning(Wiesbaden,Germany))、トランスファーモールディングコンパウンド(例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシド樹脂、シリコーン樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂)、(例えばKMC−4800、Shin Etsu(Japan))、及び熱伝導性接着剤(例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシド樹脂、シリコーン樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂)、(例えばTC 2030、Dow Corning(Wiesbaden,Germany))も、ポリマー材料として使用できる。
【0075】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物に使用される窒化ホウ素凝集体は、高凝集安定性を示す。高凝集安定性を有する窒化ホウ素凝集体は、ポリマーを窒化ホウ素充填剤と共に配合するとき、特に充填剤充填量が高いポリマーで起こる、高剪断力の影響下であっても、一次粒子又は凝集体フラグメントに部分的に分解されるにすぎない。部分分解にもかかわらず、本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物の有利な特性、特に異方性比は維持される。
【0076】
例えば、超音波実験で凝集体の安定性を検証するのと同時に、レーザー粒度分布によって凝集体寸法を求めることもできるが、超音波の効果によって凝集体は経時的に崩壊する。凝集体の崩壊は、経時的な凝集体寸法の変化によって記録され、凝集体の安定性に依存して、異なる曲線が形成される。軟質の凝集体は、機械的により安定な凝集体よりも速く崩壊する。
【0077】
凝集安定性を測定するために、200μmより小さい窒化ホウ素凝集体は壊れ、<100μmの微粉はふるい分けによって除去される。このように得られた100〜200μmのふるい分級物について、レーザー粒度計(分散装置Hydro 2000Sを備えたMastersizer 2000、Malvern(Herrenberg,Germany))によって凝集安定性を求める。このため、湿潤剤を含む水溶液(10L蒸留水中にリンス液(G 530 Spulfix、BUZIL−Werk Wagner GmbH & Co.KG(Memmingen))2mLとImbentin(ポリエチレングリコールアルキルエーテル)0.375mLとを含む混合液)を分散媒体として用いる。スナップ式キャップを有するバイアル(8mL)中で、振盪することによって、10〜20mgの凝集体を6mLの分散媒体に分散する。サンプルから懸濁液をピペットで抜き取って、レーザー吸収が5%(特定範囲:5〜30%)に達するまでレーザー粒度計の湿式セルに滴下する。測定は超音波を用いずに開始し、15秒毎に超音波を用いて更に測定を行うが、分散装置の超音波出力(デバイスウェアによって値を0〜100%に設定することができる)は、いずれの場合も最大出力の5%に設定する。測定は合計10回行う。測定時、分散装置の撹拌器は1750RPMで動かす。10回測定後のd
90値と最初の測定のd
90値との商を、凝集安定性の程度として用いる(100を掛けて%で示す)。本明細書に記載する測定方法は、以降、「超音波法」とも言う。
【0078】
好ましくは、本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物及び本発明による構成部品に使用される窒化ホウ素凝集体の凝集安定性は、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、及び特に好ましくは少なくとも60%である。この場合、凝集安定性は、上記超音波法を用いて求められる。
【0079】
好ましくは、本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物及び本発明による構成部品に使用される鱗様の窒化ホウ素凝集体の比表面積(BET)は、好ましくは、20m
2/g以下、より好ましくは、10m
2/g以下である。
【0080】
好ましくは、本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物及び本発明による構成部品に使用される窒化ホウ素凝集体は、非凝集化窒化ホウ素粉末とは対照的に、注ぐことができ、投入が容易である。
【0081】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の1つの好ましい実施形態では、大部分は、等方性窒化物結合ホウ素/窒化物凝集体は窒化ホウ素凝集体として使用される。これらの窒化ホウ素凝集体は、小平板状の六方晶一次窒化ホウ素粒子の凝集体であり、六方晶一次窒化ホウ素粒子は、無機結合剤相によって互いに結合される。無機結合剤相は、少なくとも1つの窒化物及び/又はオキシ窒化物を含む。窒化物及びオキシ窒化物は、好ましくは元素アルミニウム、ケイ素、チタン及びホウ素の化合物である。これらの窒化ホウ素凝集体も、等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体、又は窒化物結合剤相を有する等方性窒化ホウ素凝集体と称することもある。これらの凝集体中の窒化ホウ素フレークは、それらが大部分は等方性特性を持つように、いかなる優先方向を実質的に有さずに、互いに配向される。等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体は、以下で窒化ホウ素複合凝集体とも称する。
【0082】
かかる窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体を生成するため、一次窒化ホウ素粒子又は非晶質窒化ホウ素の形態の窒化ホウ素原料粉末を結合剤相原材料と混合し、顆粒又は成形片に加工して、その後これらを、窒化雰囲気中で少なくとも1,600℃の温度で処理し、得られた顆粒又は成形片を、続いて該当する場合、粉砕及び/又は分級する。
【0083】
結合剤相に含有される窒化物及びオキシ窒化物は、好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム、窒化チタン(TiN)、窒化ケイ素(Si
3N
4)及び窒化ホウ素(BN)であり、好ましくは、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化チタン及び/又は窒化ケイ素であり、更に好ましくは、窒化アルミニウム及び/又は酸窒化アルミニウムである。結合剤相は、特に好ましくは窒化アルミニウムを含有する。
【0084】
結合剤相の窒化物及びオキシ窒化物は、非晶質、部分結晶質、又は結晶質であってよい。結合剤相は、好ましくは結晶質である。
【0085】
また窒化物結合剤相は、酸化ホウ素(B
2O
3)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、二酸化ケイ素(SiO
2)、二酸化チタン(TiO
2)、酸化イットリウム(Y2O
3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、及び希土類金属酸化物などの酸化物相を含んでもよい。
【0086】
更に、結合剤相は、ホウ酸塩、例えばホウ酸アルミニウム又はホウ酸カルシウムも含んでよい。加えて、結合剤相は、炭素、金属不純物、元素ホウ素、ホウ化物、炭化ホウ素又は炭化ケイ素などのその他炭化物といった、不純物も含んでよい。
【0087】
窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体中の窒化物結合剤相の割合は、窒化ホウ素凝集体の総量に基づき、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、更により好ましくは少なくとも10重量%、更により好ましくは少なくとも20重量%、及び特に好ましくは少なくとも30重量%である。
【0088】
結合剤相中の窒化物及びオキシ窒化物の割合は、総結合剤相に基づき、好ましくは少なくとも50重量%、及び特に好ましくは少なくとも80重量%である。
【0089】
結合剤相は、凝集体中の一次窒化ホウ素粒子に結合して、結合剤を含まない凝集体に比べると、より機械的に安定な凝集体を得ることができる。
【0090】
窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体は、製造方法によって、円形から球形、又はブロック状及び角度付きであってよい。噴霧乾燥によって生成される凝集体は、窒化後でも球状まで丸みを保ち続ける。圧縮及び粉砕によって生成された凝集体は、ブロック状、つまり塊状、角度付き、つまりエッジ付きの形状を有する傾向がある。
【0091】
本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物を生成するとき、好ましく使用される窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体は、平均凝集体直径(d
50)が≦1000μm、より好ましくは≦500μm、更により好ましくは≦400μm、更により好ましくは≦300μm、及び更により好ましくは≦200μmである。平均凝集体直径(d
50)は、レーザー回折(湿式測定法、Mastersizer 2000、Malvern)によって測定できる。平均凝集体直径は、凝集体生成に使用された一次窒化ホウ素粒子の平均粒径よりも、少なくとも2倍大きく、好ましくは少なくとも3倍大きい。平均凝集体直径は、凝集体生成に使用された一次窒化ホウ素粒子の平均粒径よりも、10倍、又は50倍以上大きくてもよい。窒化物結合等方性窒化物凝集体中の一次粒子の平均粒径(d
50)は、≦50μm、好ましくは≦30μm、より好ましくは≦15μm、更により好ましくは≦10μm、及び特に好ましくは≦6μmである。
【0092】
ポリマー/窒化ホウ素化合物の配合に使用される窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体は、1.0〜1.8、好ましくは、1.0〜1.5であるアスペクト比を有する。
【0093】
窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体は、高密度のホウ素−窒化物凝集体である。
【0094】
窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体中の個々の小平板状一次窒化ホウ素粒子間には、直接接触点が存在し、その結果、一次窒化ホウ素粒子からなる窒化ホウ素凝集体中に連続的熱伝導路をもたらす。
【0095】
六方晶窒化ホウ素、非晶質窒化ホウ素、部分結晶性窒化ホウ素、及びこれらの混合物を、窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体を生成するための、窒化ホウ素の原料粉末として用いてよい。
【0096】
使用される窒化ホウ素粉末の平均粒径(d
50)は、0.5〜50μm、好ましくは、0.5〜15μm、及びより好ましくは、0.5〜5μmであってよい。例えば、平均粒径1μm、3μm、6μm、9μm及び15μmの六方晶窒化ホウ素粉末を用いてよいが、最大50μmのより大きな平均粒径も使用可能である。粒径の異なる様々な六方晶窒化ホウ素粉末の混合物を、同様に用いることもできる。使用される窒化ホウ素粉末の平均粒径(d
50)の測定は典型的に、レーザー回折(湿式測定法、Mastersizer 2000、Malvern)を用いて行う。
【0097】
B
2O
3を含まない窒化ホウ素粉末、及び最大0.5重量%の低B
2O
3含量の窒化ホウ素粉末を用いてもよいが、最大10重量%の高B
2O
3含量の窒化ホウ素粉末を用いてもよい。
【0098】
結合剤相原材料は、固体又は液体又はペースト様の形態で存在してよい。
【0099】
窒化ホウ素原料粉末と結合剤相原材料の混合は、例えば、混合ドラム、V−ミキサー、ドラムフープミキサー、振動チューブミル、又はEirichミキサーで行ってよい。続くミリング工程、例えばクロスビータミル、回転ミル、又は撹拌ビーズミルにおいて、均質性を更に向上させてもよい。粉末混合物は乾燥していても湿っていてもよい。更には、圧搾助剤そして必要に応じて潤滑助剤を添加することも可能である。例えば後続の顆粒の作製を噴霧乾燥又は粒子成長造粒法で行う場合、混合は湿式で行ってもよい。
【0100】
成形は、乾燥した又は湿った粉末混合物を一軸加圧成形、静水圧加圧成形又はローラー圧縮によってプレート又はタブレットへと圧縮することにより達成してもよい。その他使用可能な成形法は、噴霧造粒法又は粒子成長造粒法などの造粒法である。作製された成形片又は顆粒の残留水分は、約100℃に加熱することによって、窒化前に排除することができる。
【0101】
乾燥成形片又は顆粒を、窒化雰囲気中、少なくとも1600℃、好ましくは少なくとも1800℃の温度にて高温処理する。窒化雰囲気は、好ましくは窒素及び/又はアンモニアを含む。窒化雰囲気は、好ましくはアルゴンを追加的に含む。最大温度に達した後、最大数時間又は数日間の保持時間を開始してよい。温度処理は、連続的に、又はバッチ法で行ってよい。窒化雰囲気中の熱処理により、一次窒化ホウ素粒子同士が結合して窒化物結合剤相が形成される。窒化工程により、一次粒子の結晶化度を増加させることができ、このことが一次粒子の成長を伴う。
【0102】
高温処理に先立ち、顆粒又は成形片を、好ましくは、窒化雰囲気下で少なくとも700℃の温度にて更に熱処理し、このとき、この第1の熱処理温度は、高温処理の温度より低い。この初期窒化の窒化雰囲気は、好ましくは窒素及び/又はアンモニアを含む。この窒化雰囲気は、好ましくはアルゴンを追加的に含む。
【0103】
窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体中の結合剤相の窒化中、未反応の原材料の割合は、好ましくは≦10%、より好ましくは≦5%、更により好ましくは≦3%、及び特に好ましくは≦2%である。酸素混入は、好ましくは≦10%、より好ましくは≦5%、更により好ましくは≦2%、及び特に好ましくは≦1%である。
【0104】
金属粉末は、好ましくは、窒化物結合剤相を生成するための結合剤相原材料として使用され、金属粉末は、直接窒化によって、対応する金属窒化物若しくはオキシ窒化物、又は金属窒化物及びオキシ窒化物の混合物に変換される。使用される金属粉末は、好ましくは、アルミニウム、ケイ素、若しくはチタン粉末、又はこれらの混合物である。アルミニウム粉末の使用が特に好ましい。
【0105】
金属化合物は、還元剤と共に、窒化物結合剤相を生成するための結合剤相原材料としても使用でき、この窒化物結合剤相は、還元窒化によって生成される。使用される金属化合物は、好ましくは、元素アルミニウム、ケイ素、及びチタンの、好ましくは酸化物及び/又は水酸化物の化合物、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、ベーマイト(AlOOH)、二酸化ケイ素(SiO
2)及び二酸化チタン(TiO
2)である。金属化合物は、ホウ酸アルミニウムなどのホウ酸塩でもよい。還元剤としては、炭素及び水素だけでなく、例えばポリビニルブチラール(PVB)、メラミン及びメタンなどの有機化合物も使用してよい。例えば水素又はメタンなどのガス状物質を還元剤として使用する場合、これらの物質を窒化雰囲気に添加する。還元に必要な還元剤が金属化合物中に既に存在していることもあり、そのため、例えばアルミニウムイソプロポキシド、テトラエチルオルトケイ酸塩、又はチタンイソプロポキシドを結合剤原材料として用いるとき、追加の還元剤を用いる必要がない。窒化工程では、金属化合物を対応する金属窒化物へ転換する。窒化中に、オキシ窒化物又は金属窒化物とオキシ窒化物との混合物が形成され、同様に、結合剤相が残留する未反応酸化物を依然として含み得ることも可能である。
【0106】
また、窒化ホウ素を生成するための反応物も、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体の窒化物結合剤相を生成するための結合剤相原材料として使用できる。窒化ホウ素を生成するための反応物は、例えば、ホウ酸(H
3BO
3)及び酸化ホウ素(B
2O
3)などの酸化ホウ素源を、例えば、炭素又は水素又は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、メラミン及びメタンなどの有機化合物などの還元剤と組み合わせて含有してよい。例えば水素又はメタンなどのガス状物質を還元剤として使用する場合、これらの物質を窒化雰囲気に添加する。例えば、元素ホウ素、炭化ホウ素、及びホウ酸トリメチルなどの実質的に酸素を含まないホウ素源も、窒化ホウ素を生成するための反応物として使用してよい。窒化工程では、これら原材料を六方晶窒化ホウ素へ転換する。
【0107】
異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体の窒化物結合剤相を生成するのに使用される結合剤相原材料も、窒化雰囲気における熱処理中に凝固する、窒化物材料であってよい。窒化物材料は、アルミニウム又はケイ素の窒化物及び/又はオキシ窒化物であってよいが、窒化チタン及び希土類窒化物、同様に、サイアロンからなる群由来の化合物も使用できる。液体相、例えば酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素及び希土類酸化物などを焼結剤として用いてもよい。
【0108】
列挙された異なる結合剤相原材料の混合物を使用することも可能である。
【0109】
続く粉砕及び/又は分級工程では、窒化雰囲気内での熱処理後、成形片又は顆粒を必要に応じて所望の凝集体寸法まで粉砕又は分級することによって、本発明による窒化物結合凝集体を生成する。原材料の造粒中、例えば造粒が噴霧乾燥又は粒子成長造粒法によって行われた場合に、最終凝集体寸法に既に到達したのであれば、窒化後の粉砕工程を行わない。
【0110】
窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体の標的とする凝集体寸法を得るために、スクリーニング、ふるい分級、及びシフティングなどの従来工程を取り入れてよい。微粉が含まれている場合は、それを最初に取り除いてよい。スクリーニングに代わる方法として、定義した凝集体の粉砕は、ふるい網、分類ミル、構造化ローラークラッシャー及び切削ホイールを用いて行ってもよい。例えばボールミル内で粉砕することも可能である。
【0111】
生成後、窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体を更に処理してよい。この場合、例えば次の考えられる処理のうち1つ以上を行ってよい。
−窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体の表面酸化を引き起こす酸素下での熱処理。例えば、表面にTiO
2を有する凝集体は、500℃超において空気中で酸化することによって、窒化チタン(TiN)を含有する結合剤相によって生成でき、表面SiO
2は、窒化ケイ素(Si
3N
4)を含有する結合剤相によって生成でき、表面酸化アルミニウム(Al
2O
3)は、窒化アルミニウム(AlN)を含有する結合剤相によって生成できる。
−蒸気処理
−室温で又は熱の影響下でかつキャリア又は反応ガスを用いた、シラン、チタン酸塩又は他の有機金属化合物による表面変性。この表面変性によって、窒化物結合剤相の加水分解耐性も向上する。
−ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、コポリマー、アクリレート、油又はカルボン酸による表面変性。
−ゾルゲル系、例えばベーマイトゾル又はSiO
2ゾルによる溶浸、あるいは水溶性ガラス若しくはナノ粒子若しくは表面変性ナノ粒子又はこれらの混合物による溶浸。
−水溶性又はエタノール可溶性ポリマーによる溶浸。窒化ホウ素凝集体を、例えば、シリコーン、エポキシ又はポリウレタン樹脂などの樹脂を用いて溶浸でき、配合前及び配合中に、樹脂を硬化剤による硬化、又は、熱硬化することができる。
【0112】
窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体を、例えば、一次窒化ホウ素粒子などのその他窒化ホウ素充填剤と混合するために、列挙した表面処理を行ってもよい。
【0113】
前記処理のうちいくつかを任意の順序で組み合わせることも可能である。例えば、処理を流動床法で行ってもよい。
【0114】
列挙した処理によって、ポリマーマトリックスの窒化物結合等方性凝集体への結合を改善することが可能である。
【0115】
非凝集化小平板状窒化ホウ素の使用時と比較すると、他の点では同等の処理条件下において、窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体の面外方向熱伝導率は、30体積%の充填剤充填量において40%超、40体積%の充填剤充填量において70%超上昇する場合がある。特に驚くべきことには、これらの上昇は、2軸押出成形機中で激しく配合し、薄いプレートを射出成形した場合においても達成される。
【0116】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の更に好ましい実施形態では、実質的に異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体は、窒化ホウ素凝集体として使用される。これらの窒化ホウ素凝集体は、互いに凝集されて鱗様の窒化ホウ素凝集体を形成する、小平板状の六方晶一次窒化ホウ素粒子を含む凝集体である。これらの窒化ホウ素凝集体は、鱗様の窒化ホウ素凝集体、又は窒化ホウ素フレークとも称してよい。これらの窒化ホウ素フレークは、英文文献においてしばしば「フレーク上窒化ホウ素粒子」と称される、非凝集化小平板状一次窒化ホウ素粒子とは区別しなくてはならない。鱗様の窒化ホウ素凝集体の構造は、多くの個々の窒化ホウ素小平板から構成される。これらの凝集体中の小平板状一次窒化ホウ素粒子は、互いに対してランダムに配向されていない。鱗様の窒化ホウ素凝集体は、小平板状一次窒化ホウ素粒子を含み、この小平板面は、互いに平行に整列している。小平板状一次窒化ホウ素粒子は、好ましくは一次窒化ホウ素粒子の小平板面が互いに実質的に平行に整列するように凝集される。これら凝集体中の小平板状一次窒化ホウ素粒子は互いに対してランダムに配向されていないため、鱗様の窒化ホウ素凝集体は異方性特性を有する。
【0117】
異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体中の小平板状一次窒化ホウ素粒子の整列の程度は、組織指数で特徴付けることができる。完全に等方性に、すなわち、選ぶことなく任意の特定の方向に整列した小平板状一次窒化ホウ素粒子を有する六方晶窒化ホウ素(hBN)の組織指数は、1である。組織指数は、サンプル中の配向の程度、すなわち、小平板状一次窒化ホウ素粒子が、その基部表面を上面に重ねて、若しくは互いに平行に、より配列している、又は、一次窒化ホウ素粒子の小平板面が互いにより配列していることに伴って、上昇する。本発明による構成部品に使用される異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の組織指数は、好ましくは、2.0超、より好ましくは2.5以上、更により好ましくは3.0以上、及び特に好ましくは3.5以上の値にある。鱗様凝集体の組織指数は、5.0以上、及び10.0以上の値を有してもよい。鱗様の窒化ホウ素凝集体の組織指数は、好ましくは200以下、より好ましくは50以下の値にある。組織指数はX線透過試験によって測定する。そのため、X線回折図を測定することによって(002)回折反射強度と(100)回折反射強度との比を求め、それを、表面粗さのない理想的なhBN試料に相当する比で除する。理想的な比は、JCPDSデータから求めることができ、7.29である。
【0118】
したがって、窒化ホウ素凝集体の組織指数(TI)は、次の式により算出することができる。
【0119】
【数2】
窒化ホウ素凝集体のX線回折図の(002)回折反射強度と(100)回折反射強度の比I
(002)/I
(100)を、7.29の数で除する。窒化ホウ素凝集体の組織指数は、バルクの窒化ホウ素凝集体において測定される。測定は室温で行われる。
【0120】
組織指数が、約3.5cm
2(鱗様凝集体の上部又は底部表面積に基づく)の寸法を有する大きな鱗様の個々の凝集体において測定される場合、組織指数について100以上で最大約500という非常に高い値を得ることができる。大きい鱗様凝集体について測定されるこれらの値により、鱗様の窒化ホウ素凝集体中の一次粒子が非常に強く整列していることが証明される。既に上述した様に凝集体充填について実施される、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物に好ましくは使用される鱗様の窒化ホウ素凝集体において組織指数を測定するとき、X線写真測定に対して部分的に静的な配列がサンプルキャリア内で起こる。したがって、≦1mmの寸法を有するより小さい鱗様凝集体で得られる組織指数値は、個々の鱗様凝集体中の対応する配向の一次粒子よりも常に小さい。
【0121】
本発明による構成部品及び窒化ホウ素/ポリマー化合物で使用される等方性窒化物結合凝集体の組織指数は、好ましくは1.0〜<2.0の値である。
【0122】
本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物及び構成部品では、好ましく使用される異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体は、平均凝集体直径(d
50)が≦1000μm、より好ましくは≦500μm、更により好ましくは≦300μm、及び特に好ましくは≦200μmである。本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物及び構成部品で使用される異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の平均凝集体直径(d
50)は、好ましくは≧20μm、より好ましくは≧30μm、更により好ましくは≧50μm、及び特に好ましくは≧100μmである。平均凝集体直径(d
50)は、レーザー回折(湿式測定法、Mastersizer 2000、Malvern)によって測定できる。平均凝集体直径は、凝集体生成に使用された一次窒化ホウ素粒子の平均粒径よりも、少なくとも2倍大きく、好ましくは少なくとも3倍大きい。平均凝集体直径は、凝集体生成に使用された一次窒化ホウ素粒子の平均粒径よりも、10倍、又は50倍以上大きくてもよい。異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体中の一次粒子の平均粒径(d
50)は、≦50μm、好ましくは≦30μm、より好ましくは≦15μm、更により好ましくは≦10μm、及び特に好ましくは≦6μmである。
【0123】
異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の厚さは、≦500μm、好ましくは≦200μm、より好ましくは≦100μm、更により好ましくは≦70μm、なおより好ましくは≦50μm、及び特に好ましくは≦35μmである。厚さは、少なくとも1μm、より好ましくは≧2μm、更により好ましくは≧3μm、及び特に好ましくは≧5μmである。異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の厚さは、デジタル精密計器又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定できる。
【0124】
アスペクト比、すなわち、鱗様の窒化ホウ素凝集体の凝集体直径の凝集体厚さに対する比は、走査型電子顕微鏡(SEM)像で凝集体の直径及び厚さを測定することによって判定できる。鱗様凝集体のアスペクト比は、1超の値、好ましくは2以上の値、より好ましくは3以上の値、特に好ましくは5以上の値、及び特に好ましくは10以上の値を有する。
【0125】
異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体は、高密度の窒化ホウ素凝集体である。
【0126】
異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体中の個々の小平板状一次窒化ホウ素粒子間には、直接接触点が存在し、その結果、一次窒化ホウ素粒子から構成される窒化ホウ素凝集体中に連続的熱伝導路をもたらす。
【0127】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物に使用される鱗様の窒化ホウ素凝集体は、粉砕によってではなく成形プロセスによって直接生成された表面を、上面及び底面に有する。これらの表面を、以降「成形表面」と称する。成形表面は、破砕又は粉砕工程によってもたらされた凝集体の荒い側の面(破面)とは対照的に、比較的滑らかである。鱗様の窒化ホウ素凝集体の表面は、実質的に平ら(平面)であり、それらの上面及び底面は実質的に互いに平行している。
【0128】
鱗様の窒化ホウ素凝集体の総表面積中の成形表面の割合は、小平板、つまり鱗形状が円形系を有すると仮定すると、平均で少なくとも33%(凝集体の直径が高さと等しい場合)であり、同様に、小平板、つまり鱗形状が立方体系を有すると仮定すると、少なくとも33%(凝集体が立方体の場合)である。高アスペクト比を有する鱗様の窒化ホウ素凝集体では、アスペクト比>3.0を有する凝集体で総表面積中の成形表面の割合が非常に高くなり、その割合は、典型的には60〜95%であり、非常に大きい凝集体では、その割合が更に高くなり得る。凝集体を丸め、又は更にはスクリーニング若しくは分粒プロセスの結果によって、総表面積中の成形表面の割合を下げることができるが、その割合は一般に、常に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%である。
【0129】
成形表面の総表面積に対する比は、SEM像を解析することによって測定できる。そのようにして、凝集体直径及び厚さを算出した値を用いて、アスペクト比を求める。これらの値から、総表面積中の成形表面の割合を以下のように算出する。
成形表面の割合[%]=((2
*端面)/総表面積)
*100
式中、
端面=凝集体直径
*凝集体直径
総表面積=2
*端部相+4
*側面
側面=凝集体厚さ
*凝集体直径
【0130】
鱗様の窒化ホウ素凝集体を生成するため、一次窒化ホウ素粒子又は非晶質窒化ホウ素の形態の窒化ホウ素原料粉末を、任意に結合剤相原材料と混合し、成形工程において鱗様凝集体に加工し、その後熱処理工程、高温焼きなましにかけ、必要に応じて、得られた鱗様凝集体を引き続いて粉砕及び/又は分級する。
【0131】
乾燥した又は湿った粉末混合物を、一軸加圧成形又はローラー圧縮によって圧縮することによって、鱗様の窒化ホウ素凝集体を成形する。
【0132】
成形には、窒化ホウ素原料粉末又は窒化ホウ素原料粉末及び結合剤相原材料からなる粉末混合物を、好ましくは、2つの逆回転ローラー間で圧縮する。ローラー間の間隙において、接触力を、ロール間隙長さ1cm当たり、≧0.5kN、好ましくは≧1kN、より好ましくは≧2kN、更により好ましくは≧3kN、なおより好ましくは≧5kN、最も好ましくは≧7kN、及び特に好ましくは≧10kNに設定する。ローラーの接触力は、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の密度に影響を及ぼす。高接触力によって、窒化ホウ素原材料の一部が非晶質になり、続く高温焼きなまし中に再結晶する。微細構造化ローラーを使用すると、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の生成も起こり得る。
【0133】
更なる熱処理又は窒化に先立って、約100℃で乾燥することにより、生成された凝集体の残留水分を除去することができる。
【0134】
鱗様凝集体に圧縮される材料を、熱処理工程である高温焼きなましにかける。鱗様凝集体が結合剤相原材料を加えずに、窒化ホウ素原料粉末、すなわち、一次窒化ホウ素粒子又は非晶質窒化ホウ素のみを用いて生成される場合、鱗様凝集体の高温焼きなましは、少なくとも1600℃、好ましくは少なくとも1800℃の温度で実施される。
【0135】
必要に応じて、得られた鱗様凝集体を、その後更に粉砕及び/又は分級してもよい。
【0136】
圧縮中の接触力が増し、熱処理中の温度が上昇すると、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の安定性が向上し、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体を用いて本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物から製造された厚さ2mmの薄いプレートにおいて測定された、熱伝導率も同様である。
【0137】
異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体を生成するとき、更なる添加剤を含まない窒化ホウ素粉末を用いて、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体に加工してよい。六方晶窒化ホウ素粉末及びその他粉末からなる混合物を好ましくは使用して、それによって、窒化ホウ素及び二次相からなる異方性の鱗様混合凝集体(「窒化ホウ素複合フレーク」)を生成する。異方性の鱗様混合凝集体の生成のため、六方晶窒化ホウ素粉末に追加的に加えられる粉末は、無機結合剤相を生成する結合剤相原材料であってよい。異方性の鱗様混合凝集体において、六方晶一次窒化ホウ素粒子は、二次相としての無機結合剤相によって互いに結合する。
【0138】
異方性の鱗様窒化ホウ素混合凝集体の無機結合剤相は、炭化物、ホウ化物、窒化物、酸化物、水酸化物、金属又は炭素のうち、少なくとも1つを含む。
【0139】
結合剤相を含まない異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体のように、小平板状一次窒化ホウ素粒子は、これらの鱗様の混合凝集体中でランダムに配向されていない。鱗様の窒化ホウ素混合凝集体は、小平板状一次窒化ホウ素粒子を含み、この小平板面は、互いに平行に整列している。小平板状一次窒化ホウ素粒子は、好ましくは一次窒化ホウ素粒子の小平板面が互いに実質的に平行に整列するように凝集される。これら凝集体中の小平板状一次窒化ホウ素粒子は互いに対してランダムに配向されていないため、鱗様の窒化ホウ素混合凝集体は異方性特性を有する。
【0140】
異方性の鱗様窒化ホウ素混合凝集体(窒化ホウ素複合フレーク)の結合剤相は、一次窒化ホウ素粒子間に位置するが、少なくとも部分的に、窒化ホウ素複合フレークの表面上に位置しても、又は、表面積の大部分を覆ってもよい。結合剤相が窒化ホウ素複合フレーク中の一次窒化ホウ素粒子と結合することで、結合剤を含まない凝集体に比べて機械的により安定な凝集体を得ることが可能となる。
【0141】
異方性の鱗様窒化ホウ素混合凝集体は、好ましくは、それぞれ鱗様の窒化ホウ素凝集体の総量に基づき、少なくとも1%、より好ましくは少なくとも5%、更により好ましくは少なくとも10%、なおより好ましくは少なくとも20%、及び特に好ましくは少なくとも30%の結合剤相割合を有する。
【0142】
無機結合剤相を有する鱗様の窒化ホウ素凝集体の高温焼きなましは、少なくとも1000°の温度で行われる。
【0143】
更に好ましい実施形態では、異方性の鱗様混合凝集体の無機結合剤相は、少なくとも1つの窒化物及び/又はオキシ窒化物を含む。窒化物又はオキシ窒化物は好ましくは元素アルミニウム、ケイ素、チタン及びホウ素の化合物である。
【0144】
これらの窒化ホウ素混合凝集体も、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体、又は窒化物結合剤相を有する異方性窒化ホウ素凝集体と称することもある。
【0145】
結合剤相に含有される窒化物及びオキシ窒化物は、好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム、窒化チタン(TiN)、窒化ケイ素(Si
3N
4)及び/又は窒化ホウ素(BN)、より好ましくは、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化チタン及び/又は窒化ケイ素、更により好ましくは、窒化アルミニウム及び/又は酸窒化アルミニウムである。結合剤相は、特に好ましくは窒化アルミニウムを含有する。
【0146】
結合剤相の窒化物及びオキシ窒化物は、非晶質、部分結晶質、又は結晶質であってよい。本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物及び本発明による構成部品においてより高い熱伝導率値を達成することができるため、結合剤相は、好ましくは結晶質である。
【0147】
窒化物及び/又はオキシ窒化物を含有する結合剤相は、例えば、酸化ホウ素(B
2O
3)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、二酸化ケイ素(SiO
2)、二酸化チタン(TiO
2)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、及び希土類金属酸化物などの酸化物相を、追加的に含んでもよい。
【0148】
その上、結合剤相はまた、ホウ酸塩、例えばホウ酸アルミニウム又はホウ酸カルシウムを更に含んでいてもよい。加えて、結合剤相は、不純物、例えば炭素、金属不純物、元素ホウ素、ホウ化物、炭化ホウ素又は、例えば炭化ケイ素などのその他炭化物も含んでよい。
【0149】
結合剤相中の窒化物及びオキシ窒化物の割合は、総結合剤相に基づき、好ましくは少なくとも50重量%、及び特に好ましくは少なくとも80重量%である。
【0150】
結合剤相は、好ましくは、総結合剤相に基づき、≧50重量%の割合で、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、若しくは窒化チタン、又はこれらの混合物を含有する。結合剤相は、特に好ましくは窒化アルミニウムを、好ましくは総結合剤相に基づき≧90重量%の割合で、含有する。
【0151】
金属粉末は、好ましくは、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体の窒化物結合剤相を生成するための結合剤相原材料として使用され、金属粉末は、直接窒化によって、対応する金属窒化物若しくはオキシ窒化物、又は金属窒化物及びオキシ窒化物の混合物に変換される。使用される金属粉末は、好ましくは、アルミニウム、ケイ素、若しくはチタン粉末、又はこれらの混合物である。アルミニウム粉末の使用が特に好ましい。窒化工程では、金属を対応する金属窒化物へ転換する。窒化中にオキシ窒化物又は金属窒化物とオキシ窒化物との混合物が生成する可能性もある。
【0152】
金属化合物は、還元剤と共に、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体の窒化物結合剤相を生成するための結合剤相原材料としても使用でき、この窒化物結合剤相は、還元窒化によって生成される。使用される金属化合物は、好ましくは、元素アルミニウム、ケイ素及びチタンの、好ましくは、酸化物及び/又は水酸化物の化合物、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、ベーマイト(AlOOH)、二酸化ケイ素(SiO
2)、及び二酸化チタン(TiO
2)などである。使用される金属化合物は、ホウ酸塩、例えばホウ酸アルミニウムであってもよい。還元剤としては、炭素及び水素だけでなく、例えばポリビニルブチラール(PVB)、メラミン及びメタンなどの有機化合物も使用してよい。例えば水素又はメタンなどのガス状物質を還元剤として使用する場合、これらの物質を窒化雰囲気に添加する。還元に必要な還元剤が金属化合物中に既に存在していることもあり、そのため、例えばアルミニウムイソプロポキシド、テトラエチルオルトケイ酸塩、又はチタンイソプロポキシドを結合剤原材料として用いるとき、追加の還元剤を用いる必要がない。窒化工程では、金属化合物を対応する金属窒化物へ転換する。窒化中に、オキシ窒化物又は金属窒化物とオキシ窒化物との混合物が形成され、同様に、結合剤相が残留する未反応酸化物を依然として含み得ることも可能である。
【0153】
また、窒化ホウ素を生成するための反応物も、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体の窒化物結合剤相を生成するための結合剤相原材料として使用できる。窒化ホウ素を生成するための反応物は、例えば、ホウ酸(H
3BO
3)及び酸化ホウ素(B
2O
3)などの酸化ホウ素源を、例えば、炭素又は水素又は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、メラミン及びメタンなどの有機化合物などの還元剤と組み合わせて含有してよい。例えば水素又はメタンなどのガス状物質を還元剤として使用する場合、これらの物質を窒化雰囲気に添加する。例えば、元素ホウ素、炭化ホウ素、及びホウ酸トリメチルなどの実質的に酸素を含まないホウ素源も、窒化ホウ素を生成するための反応物として使用してよい。窒化工程では、これら原材料を六方晶窒化ホウ素へ転換する。
【0154】
異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体の窒化物結合剤相を生成するのに使用される結合剤相原材料も、窒化雰囲気における熱処理中に凝固する、窒化物材料であってよい。窒化物材料は、アルミニウム又はケイ素の窒化物及び/又はオキシ窒化物であってよいが、窒化チタン及び希土類窒化物、同様に、サイアロンからなる群由来の化合物も使用できる。液体相、例えば酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素及び希土類酸化物などを焼結剤として用いてもよい。
【0155】
列挙された異なる結合剤相原材料の混合物を使用することも可能である。
【0156】
六方晶窒化ホウ素、非晶質窒化ホウ素、部分結晶性窒化ホウ素、及びこれらの混合物を、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体を生成するための、窒化ホウ素原料粉末として用いてよい。
【0157】
使用される窒化ホウ素粉末の平均粒径d
50は、0.5〜50μm、好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは0.5〜5μmであってよい。例えば、平均粒径1μm、3μm、6μm、9μm及び15μmの六方晶窒化ホウ素粉末を用いてよいが、最大50μmのより大きな平均粒径も使用可能である。粒径の異なる様々な六方晶窒化ホウ素粉末の混合物を、同様に用いることもできる。使用される窒化ホウ素粉末の平均粒径(d
50)の測定は典型的に、レーザー回折(湿式測定法、Mastersizer 2000、Malvern)を用いて行う。
【0158】
B
2O
3を含まない窒化ホウ素粉末、及び最大0.5重量%の低B
2O
3含量の窒化ホウ素粉末を用いてもよいが、最大10重量%の高B
2O
3含量の窒化ホウ素粉末を用いてもよい。粉末化又は造粒窒化ホウ素の混合物も使用可能である。結合剤相原材料は、固体又は液体又はペースト様の形態で存在してよい。
【0159】
窒化ホウ素原料粉末と結合剤相原材料の混合は、例えば、混合ドラム、V−ミキサー、ドラムフープミキサー、振動チューブミル、又はEirichミキサーで行ってよい。続くミリング工程(例えば、クロスビータミル、回転ミル、撹拌ビーズミル)で均質性を更に向上させてもよい。粉末混合物は乾燥していても湿っていてもよい。更には、圧搾助剤そして必要に応じて潤滑助剤を添加することも可能である。例えば後続の顆粒の作製を噴霧乾燥又は粒子成長造粒法で行う場合、混合は湿式で行ってもよい。
【0160】
鱗様凝集体に圧縮される材料は、引き続いて、窒化雰囲気中、少なくとも1600℃、好ましくは少なくとも1800℃の温度において高温焼きなましにかけられる。窒化雰囲気は、好ましくは窒素及び/又はアンモニアを含む。この窒化雰囲気は、好ましくはアルゴンを追加的に含む。最大温度に達した後、最大数時間又は数日間の保持時間を開始してよい。熱処理は、連続的に、又はバッチ法で行ってよい。
【0161】
窒化雰囲気中の熱処理により、窒化物結合剤相が二次相として形成され、一次窒化ホウ素粒子を互いに結合する。窒化工程により、一次粒子の結晶化度を増加させることができ、このことが一次粒子の成長を伴う。
【0162】
異方性窒化物結合窒化ホウ素混合凝集体中の結合剤相中において、窒化中に未反応で残った原材料は、好ましくは≦10%、より好ましくは≦5%、更により好ましくは≦3%、及び特に好ましくは≦2%である。酸素混入は、好ましくは≦10%、より好ましくは≦5%、更により好ましくは≦2%、及び特に好ましくは≦1%である。
【0163】
高温処理に先立ち、鱗様凝集体に圧縮された材料を、好ましくは、窒化雰囲気下で少なくとも700℃の温度にて更に熱処理し、このとき、この第1の熱処理温度は、高温処理の温度より低い。この初期窒化の窒化雰囲気は、好ましくは窒素及び/又はアンモニアを含む。この窒化雰囲気は、好ましくはアルゴンを追加的に含む。
【0164】
熱処理中温度を上昇させると共に、鱗様の窒化ホウ素混合凝集体に含まれる一次窒化ホウ素粒子において結晶化度は増加し、存在する一次窒化ホウ素粒子の酸素含量及び比表面積は減少する。
【0165】
鱗様の窒化ホウ素凝集体の標的とする凝集体寸法を得るために、スクリーニング、ふるい分級、及びシフティングなどの従来工程を取り入れてよい。微粉が含まれている場合は、それを最初に取り除いてよい。スクリーニングに代わる方法として、定義した凝集体の粉砕は、ふるい網、分類ミル、構造化ローラークラッシャー又は切削ホイールを用いて行ってもよい。例えばボールミル内で粉砕することも可能である。寸法が数ミリメートルから数センチメートルである凝集体を、規定の凝集体寸法まで更なる工程段階において加工する。このため、例えば、異なるメッシュ幅を有する標準的な市販のふるい、及び振動ふるいでのふるい分け助剤を用いてよい。多段階ふるい分け/粉砕ふるい分け法が便利であるとわかっている。
【0166】
生成後、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体を更に処理してよい。この場合、例えば次の考えられる処理のうち1つ以上を行ってよい。
−蒸気処理
−室温で又は熱の影響下でかつキャリア又は反応ガスを用いた、シラン、チタン酸塩又は他の有機金属化合物による表面変性。窒化物結合鱗様凝集体の場合、この表面変性により、窒化物結合剤相の加水分解耐性も高まる。
−ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、コポリマー、アクリレート、油又はカルボン酸による表面変性。
−ゾルゲル系、例えばベーマイトゾル又はSiO
2ゾルによる溶浸、あるいは水溶性ガラス若しくはナノ粒子若しくは表面変性ナノ粒子又はこれらの混合物による溶浸。
−水溶性又はエタノール可溶性ポリマーによる溶浸。窒化ホウ素凝集体を、例えば、シリコーン、エポキシ又はポリウレタン樹脂などの樹脂を用いて溶浸でき、配合前及び配合中に、樹脂を硬化剤による硬化、又は、熱硬化することができる。
−窒化物結合鱗様凝集体の場合、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体の表面酸化を引き起こす酸素下の熱処理。例えば、表面TiO
2を有する凝集体は、500℃超において空気中で酸化することによって、窒化チタン(TiN)を含有する結合剤相によって生成でき、表面SiO
2は、窒化ケイ素(Si
3N
4)を含有する結合剤相によって生成でき、表面酸化アルミニウム(Al
2O
3)は、窒化アルミニウム(AlN)を含有する結合剤相によって生成できる。結合剤相としてAlNを含有する異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体では、空気中の熱処理を、好ましくは500℃以上の温度で、より好ましくは、700℃〜1200℃の温度で、及び特に好ましくは700℃〜1000℃の温度で行ってよい。
【0167】
異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体を、例えば、一次窒化ホウ素粒子などのその他窒化ホウ素充填剤と混合するために、列挙した表面処理を行ってもよい。
【0168】
前記処理のうちいくつかを任意の順序で組み合わせることも可能である。例えば、処理を流動床法で行ってもよい。
【0169】
列挙した処理によって、ポリマーマトリックスの、本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物中の鱗様の窒化ホウ素凝集体への結合を改善することが可能である。
【0170】
異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体は、優れた機械的安定性を示す。充填、輸送、投入、配合、すなわち、ポリマー/窒化ホウ素化合物への窒化ホウ素凝集体の更なる処理、及び、その後の射出成形による成形に耐えなければならない(可能であれば、崩壊を最小限のみとして)ため、窒化ホウ素凝集体の機械的安定性は重要である。配合中に窒化ホウ素凝集体が崩壊すると、ポリマー/窒化ホウ素化合物のレオロジー特性が低下し、化合物から製造された構成部品、特に射出成形された薄いプレートにおいて、面外方向の熱伝導率が低下するという危険性がある。窒化ホウ素凝集体が、面外方向の熱伝導率がある程度まで低下する点まで分解し、一次窒化ホウ素粒子を用いて作製されたポリマー化合物と同等のレベルまで低下する恐れがある。
【0171】
異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体及び異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体によって、本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物の熱伝導率は、小平板状一次窒化ホウ素粒子を使用して作製されたポリマー/窒化ホウ素化合物のように、方向的に依存していない。異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体及び等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体を用いて作製された本発明による窒化ホウ素ポリマー化合物の面外方向熱伝導率は、ほぼ同じレベルであるが、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体及び異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体を用いて作製された本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物の面内方向熱伝導率は、等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体を同じ化学組成で用いて作製した本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物よりも、顕著に高い。異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体及び異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体は、ポリマー融解物を多く大きなサイズで含む配合プロセスに耐えるため、十分な強度を有する。
【0172】
驚くべきことに、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体の面外方向熱伝導率は、ポリマー/窒化ホウ素化合物中で、非凝集化小平板状窒化ホウ素の使用時と比較して、それ以外は同等の処理条件下において、30体積%の充填剤充填量で50%以上、40体積%の充填剤充填量で2倍超、増加させることができる。特に驚くべきことには、これらの上昇は、2軸押出成形機中で激しく配合し、薄いプレートを射出成形した場合においても達成された。
【0173】
等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体、及び無機結合剤相を有する鱗様の窒化ホウ素凝集体は、配合中、及び約2mmの壁厚を有する薄いプレートを射出成形している間、使用するのに十分安定である。薄いプレート(凝集体の更に高い安定性が必要である)の壁厚を更に薄くする場合、無機結合剤相を有する等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体及び鱗様の窒化ホウ素凝集体中の結合剤相の割合を増すことによって、その都度安定性用件の調整を行ってよい。
【0174】
また有利には、無機結合剤相を有する等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体及び鱗様の窒化ホウ素凝集体の安定性を調整又は向上することによって、研磨性の第2の充填剤との混合も可能である。窒化ホウ素凝集体の研磨性の第2の充填剤との混合物では、従来の窒化ホウ素凝集体は分解する。本発明で使用される窒化ホウ素凝集体では、例えば異方性比などの有利な熱伝導率特性が維持される程度まで、分解が低減される。
【0175】
更に有利には、無機結合剤相を含む等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体及び鱗様の窒化ホウ素凝集体の安定性は、特に充填剤含量が高い場合に、結合剤相の割合を高めることによって調節でき、このとき熱可塑性加工中の融解粘度は高く、それによって、充填剤による高剪断力が起こり、そのため、高充填剤含量又は高充填剤混合物含量での処理が可能である。
【0176】
無機結合剤相を含む等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体、及び鱗様の窒化ホウ素凝集体の安定性を調節することによって、熱伝導性充填剤の磨耗性とそれぞれの用途に対する適当な安定性との間での良好な妥協点を達成することができる。
【0177】
更に好ましい実施形態では、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物は、熱伝導性充填剤としての窒化ホウ素凝集体に加えて、窒化ホウ素とは別の、熱伝導率を増す少なくとも1つの充填剤を、熱伝導性充填剤として更に含有してもよい。これらの追加の充填剤は、既に上述したように、以降第2の充填剤とも称する。
【0178】
かかる第2の充填剤の熱伝導率は、典型的には、≧5W/m・K(5W/m・℃)、好ましくは≧8W/m・K(8W/m・℃)である。
【0179】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物中の窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤の総割合は、いずれの場合もポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、好ましくは少なくとも20体積%、より好ましくは少なくとも30体積%である。好ましくは、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物中の窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤の総割合は、いずれの場合もポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、多くとも70体積%、より好ましくは多くとも60体積%である。特に好ましくは、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物中の窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤の総割合は、いずれの場合もポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、多くとも50体積%である。
【0180】
好ましくは、アルミニウム、ケイ素、チタン、銅、鉄、及び青銅粉末、並びにこれらの混合物を含む群から選択される粉末状金属を、第2の充填剤として使用してよい。
【0181】
黒鉛、膨張黒鉛、又はカーボンブラックの形態の炭素も第2の充填剤として使用でき、膨張黒鉛が特に好ましい。
【0182】
その上、酸化物、窒化物、及び炭化物などのセラミック充填剤も第2の充填剤として使用でき、好ましくは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素及びこれらの混合物、特に好ましくは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び/又は窒化アルミニウムを含む群から選択される。
【0183】
ミネラル充填剤も第2の充填剤として使用でき、好ましくは、アルミノケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム(2MgO・SiO
2)、アルミン酸マグネシウム(MgO・Al
2O
3)、ブルーサイト(水酸化マグネシウム、Mg(OH)
2)、石英、クリストバライト、及びこれらの混合物を含む群から選択される。例えば、アルミノケイ酸塩又はケイ酸アルミニウムとして、カイアナイト(Al
2SiO
5)及び/又はムライト(3Al
2O
3・2SiO
2)を使用してよい。
【0184】
第2の充填剤の組み合わせも可能である。異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体、アルミノケイ酸塩、及び熱伝導性充填剤としての膨張黒鉛の組み合わせは、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物において特に有利であると証明されている。同様に、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体、アルミノケイ酸塩、及び熱伝導性充填剤としての酸化マグネシウムの組み合わせは、特に有利であると証明されている。
【0185】
第2の充填剤が粒子形態で存在することが好ましい。第2の充填剤粒子の形状は、不規則、塊状、若しくは球状、又は小平板状であってよい。本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物中の不規則、塊状又は球形の第2の充填剤の割合は、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下、及び特に好ましくは20体積%以下である。本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物中の小平板状の第2の充填剤の割合は、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下である。
【0186】
第2の充填剤は、好ましくは、≧0.5μm、より好ましくは≧1μm、更により好ましくは≧2μm、及び特に好ましくは≧5μmである粒子直径又は小平板直径を有する。
【0187】
第2の充填剤は、粉末、好ましくは凝集した粉末として存在する。第2の充填剤の凝集は、例えばEirichミキサーでのローラー圧縮又は粒子成長造粒法によって実施できる。PVA溶液を造粒剤として使用してよい。配合中、第2の充填剤顆粒を、好ましくは、投入に先立ち、押出成形機内で窒化ホウ素充填剤と混合する。第2の充填剤顆粒は、第2の充填剤顆粒を窒化ホウ素充填剤と混合する前に乾燥される。第2の充填剤の造粒により、配合中の均一な投入が促進される。
【0188】
窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤からなる充填剤の組み合わせを使用するとき、等方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体及び/又は異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体は、好ましくは、第2の充填剤と組み合わせて使用される。異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤からなる充填剤混合物の使用が好ましい。
【0189】
鱗様の窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤からなる充填剤の組み合わせを含む本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の熱伝導率は、総体積中で充填剤を同じ割合で使用したいずれの場合も、第2の充填剤のみを用いて作製されたポリマー化合物よりも高い。
【0190】
驚くべきことに、窒化ホウ素凝集体、特に好ましい異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体を、第2の充填剤と組み合わせると、充填剤の組み合わせを用いて作製された本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物によって達成された熱伝導率値が、窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤を相当する割合で別々に充填したポリマー材料が添加された場合の予測される熱伝導率値(いずれの場合も、未充填ベースポリマーの熱伝導率を差し引く)よりも高いことが示された。これは、面内方向熱伝導率及び面外方向熱伝導率の両方に当てはまる。
【0191】
本発明による構成部品は、窒化ホウ素凝集体を含む少なくとも1つの熱伝導性充填剤に加えて、少なくとも1つの補強充填剤を含む、ポリマー/窒化ホウ素化合物から製造される。追加の充填剤としての補強充填剤によって、機械的特性が改善される。補強充填剤の個々の粒子は、好ましくは、アスペクト比が≧5、及び特に好ましくは≧10の針状及び/又は繊維状である。ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ウォラストナイト及びアルミノケイ酸塩を補強充填剤として使用でき、ガラス繊維が特に好ましい。ウォラストナイト及びアルミノケイ酸塩は、繊維状及び/又は針状であり得る。
【0192】
例えば、10〜14μmの範囲内の繊維直径、及び3〜6の長さを有する切断したガラス繊維を、補強充填剤として使用できる。ポリマー材料として熱可塑性樹脂と組み合わせると、4.5mmの繊維長が特に好ましい。補強充填剤の更なる例は、14μmの直径及び50〜210μmの範囲内の長さを有する接地短絡ガラス繊維である。
【0193】
補強材料を、好ましくは、サイドフィーダーから可能な限り遅いタイミングで融解物に加え、補強材料を破壊せずに融解物中で均質になるようにする。
【0194】
補強充填剤の組み合わせも可能である。例えば、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体、アルミノケイ酸塩及びガラス繊維の組み合わせが、ポリマー/ホウ素化合物中で特に有利であると証明されている。
【0195】
特に好ましい実施形態では、本発明による構成部品は、窒化ホウ素凝集体と、少なくとも1つの補強充填剤と、を含む、少なくとも1つの熱伝導性充填剤に加え、少なくとも1つの第2の充填剤も含む、ポリマー/窒化ホウ素化合物から製造される。
【0196】
この場合、例えば、異方性窒化物結合窒化ホウ素凝集体、酸化マグネシウム及びガラス繊維の組み合わせが、ポリマー/ホウ素化合物中で特に有利であると証明されている。
【0197】
ポリマー/窒化ホウ素化合物の別の好ましい実施形態は、≧10体積%の窒化ホウ素凝集体、特に好ましくは≧20体積%、及び≧10体積%の補強材料、特に好ましくは≧15体積%の特にガラス繊維を含む。
【0198】
本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物中の補強充填剤の割合は、好ましくは≦30体積%、より好ましくは≦20体積%、及び特に好ましくは≦15体積%である。
【0199】
驚くべきことに、特に好ましくは、異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体を第2の充填剤を含めて、又は含めずに、及び補強充填剤を含めて使用した窒化ホウ素凝集体の組み合わせは、この充填剤の組み合わせを含めて作製した本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物の、得られた面外方向熱伝導率並びに機械的特性が、一次窒化ホウ素粒子及びガラス繊維を組み合わせた場合に得られると予測される値より高いことが示された。
【0200】
その上、本発明は、少ない充填剤量で熱伝導性充填剤を使用し得るため、面外方向熱伝導率及び機械的特性の向上が、材料コストの低下を伴うという利点を提供する。
【0201】
窒化ホウ素凝集体に加えて、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物は、一次窒化ホウ素粒子も含有してよい。同様に、一次窒化ホウ素粒子は、窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤からなる充填剤の組み合わせを使用して作製されたポリマー/窒化ホウ素化合物中で、追加的に使用されてよい。使用される一次窒化ホウ素粒子は窒化ホウ素粉末であってよいが、例えば、噴霧乾燥した窒化ホウ素凝集体などの安定性が低い窒化ホウ素凝集体も、大部分又は完全に、配合中に一次粒子まで分解する。本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物中の追加の一次窒化ホウ素粒子の割合は、好ましくは≦20体積%、特に好ましくは≦10体積%である。
【0202】
≧5W/m・K(5W/m・℃)の熱伝導率を有する窒化ホウ素凝集体又は窒化ホウ素凝集体及び第2の充填剤に加えて、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物は、例えばタルクなどの、<5W/m・K(5W/m・℃)といった低い熱伝導率を有する、窒化ホウ素とは異なる追加の充填剤を含んでもよい。
【0203】
熱伝導性充填剤に加えて、本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物は、例えば、流動性、経時変化安定性、電気的特性、又は熱膨張率の調節などその他機能を呈する、追加の添加剤及び充填剤を含有してもよい。充填剤は、例えば、塊状、球状、小平板状、繊維状粒子、又は、不規則形態を有する粒子として存在してよい。
【0204】
本発明による構成部品及びポリマー/窒化ホウ素化合物の作製のため、様々な分級の窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体又は異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の混合物を使用してもよい。窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体及び異方性の鱗様窒化ホウ素凝集体の混合物も可能である。
【0205】
本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物は、任意の一般的な配合用凝集体を使用して、配合することによって作製できる。これには、とりわけ、単軸押出成形機、2軸押出成形機、接触する又は密接に噛み合う共回転又は逆回転遊星ローラー押出成形機、溝付きバレル押出成形機、ピン型押出成形機、カレンダー工法、Bussコニーダー、剪断ローラー押出成形機、並びに、射出成形機及び反応機が挙げられる。2軸押出成形機での配合が好ましい。
【0206】
配合に使用するポリマーは、粉末状又は顆粒状で存在してよい。混合物が凝集体の配合に供される前に、ポリマーを、窒化ホウ素凝集体又は窒化ホウ素凝集体及び更なる充填剤と、乾燥状態で予混合してよい。あるいは、窒化ホウ素凝集体及び任意に更なる充填剤のポリマー融解物への添加は、充填剤をポリマーと最初に予混合せずに、サイドフィーダーを介して行われてもよい。その上、マスターバッチ、すなわち、最終用途よりも充填剤含量が高いポリマー化合物をまず調製し、その後、例えば2軸押出成形機中でポリマーと共に均質化することもできる。
【0207】
配合凝集体中で均質化後、充填されたポリマー融解物を造粒する。ポリマー/窒化ホウ素化合物の造粒は、例えば、ストランド式ペレット化、水中造粒、ホットカット又はコールドカット式ペレット化によって造粒してよい。化合物を加工する方法の組み合わせも可能である。得られた粒状のポリマー/窒化ホウ素化合物を、例えば、射出成形などの成形法によって更に加工し、構成部品を形成してよい。
【0208】
ポリマー/窒化ホウ素化合物を、射出成形、押出成形、カレンダー工法、トランスファー成形、加圧成形、注型成形、ダイカスト法、スキージング、又はディスペンシングによって、好ましくは、射出成形又は押出成形によって、任意の形状に変換してよい。射出成形による加工が特に好ましい。この目的のため、化合物顆粒を、例えば、油圧駆動又は電気機械駆動式の可塑化ユニット内で融解し、該当する場合、ノズルを出るまで追加の充填剤又はポリマーと共に均質化してよい。その後、融解物を、射出相中に、射出成形システムの閉じた成形型内に射出してよい。古典的な射出成形型、並びに、加熱チャネルシステムを備える成形型の両方が使用できる。空洞が完全に満たされた後、ゲート部が硬化するまで保持圧力を加え、冷却下の構成部品の収縮を差し引くことができる。冷却時間終了後、成形型を開け、構成部品を取り出してよい。また、射出成形機のエジェクタユニット、又はロボットアームなどのその他取り出しオプションによって取り出してもよい。
【0209】
加工中、すなわち、本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物の調製中、又は、本発明による構成部品を成形している間、ある割合の窒化物結合等方性窒化ホウ素凝集体が、配合中又は成形中の剪断によって、化合物の有利な特性が失われた一次粒子又は凝集体フラグメントに分解される場合がある。
【0210】
本発明による構成部品を用いて、温度制御される構成部品又はアセンブリ、好ましくは、電子的構成部品又はアセンブリから熱を奪い、機械的負荷を緩和又は移すことができる。
【0211】
本発明による構成部品の好ましい改良形態では、かかる構成部品は、温度制御される構成部品又はアセンブリから熱を奪う、又は熱を伝えることができる、薄肉要素を含有する。構成部品の薄肉部は、好ましくは≦3mm、より好ましくは≦2mmの厚さを有する。好ましい実施形態では、本発明による構成部品は、例えば、≦3mm、より好ましくは≦2mmの厚さを有する薄いプレートとして存在してよく、これは、成形法として、射出成形又は押出成形によって作製できる。本発明による構成部品は、導電性又は電気絶縁性であってもよい。成形中又はその後の加工工程において、薄いプレートの形態の導電層又は非導電層からなる積層体を製造することも可能であり、薄いプレートの少なくとも電気絶縁性層は、本発明によるポリマー/窒化ホウ素化合物を用いて製造された。
【0212】
成形後、例えば射出成形によって、本発明による構成部品は、コーティングを備えて提供されてもよく、例えば、金属化されてもよい。導体経路の適用も可能である。
【0213】
本発明による構成部品は、均一又は不均一な壁厚を有する、平坦又は湾曲したプレートとして存在してよい。本発明による構成部品の表面は、平滑であっても非平滑であってもよい。
【0214】
本発明による構成部品は、電子的構成部品のキャリアプレートとして役立ち、又は、1つの構成部品から別のものへ熱を移動することができる。また本発明による構成部品は、フィルムとして、又は薄肉チューブとして存在してもよい。また本発明による構成部品は、実質的に薄肉のハウジング、取付若しくは接続要素、又はチューブの薄肉主要部分として存在してもよい。本発明による構成部品は更に、冷却要素の一部としての冷却フィン、ハウジング、取付台、接続要素、又はチューブとして存在してよく、取付台は、例えばランプソケットであってよい。より複雑な構成部品では、本発明による構成部品は、プレートとして、積み重なったプレートの一部であってよく、積み重なったプレート中のプレートは、冷却フィンとして役立つことができる。
【0215】
以下の特徴は、本発明及び好ましい実施形態の説明を目的とする。
1.ポリマー/窒化ホウ素化合物から製造された構成部品であって、ポリマー/窒化ホウ素化合物が、少なくとも1つのポリマー材料と、少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、少なくとも1つの補強充填剤と、を含み、少なくとも1つの熱伝導性充填剤が、窒化ホウ素凝集体を含む、構成部品。
2.構成部品の少なくとも一部が、多くとも3mmの壁厚を有する、特徴1に記載の構成部品。
3.ポリマー材料が、熱可塑性材料、特にポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、又はポリオキシメチレン(POM)である、特徴1又は2に記載の構成部品。
4.ポリマー材料が、デュロプラスチック成形材料、特にフェノールホルムアルデヒド成形材料、エポキシド成形材料、メラミンホルムアルデヒド成形材料、尿素ホルムアルデヒド成形材料、バルクモールディングコンパウンド(BMC)、又はシートモールディングコンパウンド(SMC)である、特徴1又は2に記載の構成部品。
5.ポリマー材料が、エラストマー、特に液状シリコーンゴム(LSR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、及びエチレンアクリレートゴム(AEM)である、特徴1又は2に記載の構成部品。
6.充填剤が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、繊維状ウォラストナイト、又は繊維状アルミノケイ酸塩であってよい、特徴1〜5のいずれか1つに記載の構成部品。
7.構成部品の面外方向熱伝導率が、少なくとも1W/m・℃(1W/m・℃)、好ましくは少なくとも1.2W/m・℃(1.2W/m・℃)、更により好ましくは少なくとも1.5W/m・℃(1.5W/m・℃)、及び特に好ましくは少なくとも1.8W/m・℃(1.8W/m・℃)であり、熱伝導率が、DIN EN ISO 22007−4に従って2mm厚の射出成形されたサンプルにおいて測定される、特徴1〜6のいずれか1つに記載の構成部品。
8.構成部品の面内方向熱伝導率が、少なくとも1.5W/m・K(1.5W/m・℃)、好ましくは少なくとも1.8W/m・K(1.8W/m・℃)、更により好ましくは少なくとも2.2W/m・K(2.2W/m・℃)、及び特に好ましくは少なくとも2.7W/m・K(2.7W/m・℃)であり、熱伝導率が、DIN EN ISO 22007−4に従って2mm厚の射出成形されたサンプルにおいて測定される、特徴1〜7のいずれか1つに記載の構成部品。
9.面内方向熱伝導率の面外方向熱伝導率に対する異方性比が、少なくとも1.5かつ多くとも4、好ましくは少なくとも1.5かつ多くとも3.5、更により好ましくは少なくとも1かつ多くとも3.0、及び特に好ましくは少なくとも1.5かつ多くとも2.5である、特徴1〜8のいずれか1つに記載の構成部品。
10.構成部品の面外方向熱伝導率が、熱伝導性充填剤を含まないポリマー材料の熱伝導率より高い、少なくとも0.8W/m・K(0.8W/m・℃)、好ましくは少なくとも1W/m・K(1W/m・℃)、更により好ましくは少なくとも1.3W/m・K(1.3W/m・℃)、及び特に好ましくは少なくとも1.6W/m・K(1.6W/m・℃)であり、熱伝導率が、DIN EN ISO 22007−4に従って面外方向に2mm厚の射出成形されたサンプルにおいて測定される、特徴1〜9のいずれか1つに記載の構成部品。
11.構成部品の面内方向熱伝導率が、熱伝導性充填剤を含まないポリマー材料の熱伝導率より高い、少なくとも1.3W/m・K(1.3W/m・℃)、好ましくは少なくとも1.6W/m・K(1.6W/m・℃)、更により好ましくは少なくとも2.0W/m・K(2.0W/m・℃)、及び特に好ましくは少なくとも2.5W/m・K(2.5W/m・℃)であり、熱伝導率が、DIN EN ISO 22007−4に従って面内方向に2mm厚の射出成形されたサンプルにおいて測定される、特徴1〜10のいずれか1つに記載の構成部品。
12.窒化ホウ素凝集体の割合が、ポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、少なくとも5体積%、好ましくは少なくとも10体積%、更により好ましくは少なくとも15体積%、及び特に好ましくは少なくとも20体積%である、特徴1〜11のいずれか1つに記載の構成部品。
13.窒化ホウ素凝集体の割合が、ポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、多くとも70体積%、好ましくは多くとも60体積%、及び特に好ましくは多くとも50体積%である、特徴1〜12のいずれか1つに記載の構成部品。
14.窒化ホウ素凝集体が、少なくとも1つの窒化物及び/又はオキシ窒化物を含む無機結合剤相によって互いに結合された、小平板状の六方晶一次窒化ホウ素粒子を含む、特徴1〜13のいずれか1つに記載の構成部品。
15.窒化ホウ素凝集体の無機結合剤相が、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム、窒化チタン(TiN)、窒化ケイ素(Si3N4)及び/若しくは窒化ホウ素(BN)、好ましくは、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化チタン及び/若しくは窒化ケイ素、並びに/又は、好ましくは、窒化アルミニウム及び/若しくは酸窒化アルミニウムを含む、特徴14に記載の構成部品。
16.窒化ホウ素凝集体の無機結合剤相が、窒化アルミニウムである、特徴14又は15に記載の構成部品。
17.窒化ホウ素凝集体中の結合剤相の割合が、いずれの場合も窒化ホウ素凝集体の総量に基づき、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、更により好ましくは少なくとも10重量%、更により好ましくは少なくとも20重量%、及び特に好ましくは少なくとも30重量%である、特徴14〜16のいずれか1つに記載の構成部品。
18.窒化ホウ素凝集体の平均凝集体直径(d50)が、≦1000μm、好ましくは≦500μm、より好ましくは≦400μm、更により好ましくは≦300μm、及び特に好ましくは≦200μmである、特徴14〜17のいずれか1つに記載の構成部品。
19.窒化ホウ素凝集体のアスペクト比が、1.0〜1.8、好ましくは1.0〜1.5である、特徴14〜18のいずれか1つに記載の構成部品。
20.窒化ホウ素凝集体が、互いに凝集して鱗様の窒化ホウ素凝集体になっている小平板状の六方晶一次窒化ホウ素粒子を含む、特徴1〜19のいずれか1つに記載の構成部品。
21.鱗様の窒化ホウ素凝集体の組織指数が、2.0超、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上、及び特に好ましくは3.5以上である、特徴20に記載の構成部品。
22.鱗様の窒化ホウ素凝集体の平均凝集体直径(d50)が、≦1000μm、より好ましくは≦500μm、更により好ましくは≦300μm、及び特に好ましくは≦200μmである、特徴20又は21に記載の構成部品。
23.鱗様の窒化ホウ素凝集体の厚さが、≦500μm、好ましくは≦200μm、より好ましくは≦100μm、更により好ましくは≦70μm、更により好ましくは≦50μm、及び特に好ましくは≦35μmである、特徴20〜22のいずれか1つに記載の構成部品。
24.鱗様の窒化ホウ素凝集体のアスペクト比が、1超、好ましくは2以上、更により好ましくは3以上、更により好ましくは5以上、及び特に好ましくは10以上である、特徴20〜23のいずれか1つに記載の構成部品。
25.鱗様の窒化ホウ素凝集体が、無機結合剤相を含む、特徴20〜24のいずれか1つに記載の構成部品。
26.鱗様の窒化ホウ素凝集体が、いずれの場合も鱗様の窒化ホウ素凝集体の総量に基づき、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、更により好ましくは少なくとも20%、及び特に好ましくは少なくとも30%の割合の結合剤相を有する、特徴25に記載の構成部品。
27.結合剤相が、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム、窒化チタン(TiN)、窒化ケイ素(Si3N4)及び/又は窒化ホウ素(BN)、好ましくは、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化チタン及び/又は窒化ケイ素、より好ましくは、窒化アルミニウム及び/又は酸窒化アルミニウムを含む、特徴25又は26に記載の構成部品。
28.結合剤相が窒化アルミニウム(AlN)を含む、特徴27に記載の構成部品。
29.ポリマー/窒化ホウ素化合物の熱伝導率を増加させる窒化ホウ素とは異なる少なくとも1つの充填剤を含む、特徴1〜28のいずれか1つに記載の構成部品。
30.窒化ホウ素とは異なる充填剤が粉末状金属であり、好ましくは、アルミニウム、ケイ素、チタン、銅、鉄、及び青銅粉末、並びにこれらの混合物を含む群から選択される、特徴29に記載の構成部品。
31.窒化ホウ素とは異なる充填剤が、黒鉛、膨張黒鉛、又はカーボンブラックの形態の炭素であり、膨張黒鉛が特に好ましい、特徴29に記載の構成部品。
32.窒化ホウ素とは異なる充填剤が、酸化物、窒化物、又は炭化物であり、好ましくは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素及びこれらの混合物、特に好ましくは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び/又は窒化アルミニウムを含む群から選択される、特徴29に記載の構成部品。
33.窒化ホウ素とは異なる充填剤がミネラル充填剤であり、好ましくは、アルミノケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム(2MgO・SiO
2)、アルミン酸マグネシウム(MgO・Al
2O
3)、ブルーサイト(水酸化マグネシウム、Mg(OH)
2)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、石英、クリストバライト、及びこれらの混合物を含む群から選択される、特徴29に記載の構成部品。
34.窒化ホウ素凝集体及び窒化ホウ素とは異なる熱伝導性充填剤の総割合が、いずれの場合もポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、少なくとも20体積%、好ましくは少なくとも30体積%である、特徴29〜33のいずれか1つに記載の構成部品。
35.窒化ホウ素凝集体及び窒化ホウ素とは異なる熱伝導性充填剤の総割合が、いずれの場合もポリマー/窒化ホウ素化合物の総体積に基づき、多くとも70体積%、好ましくは多くとも60体積%、及び特に好ましくは多くとも50体積%である、特徴29〜34のいずれか1つに記載の構成部品。
36.構成部品の少なくとも一部の壁厚が、多くとも2mmである、特徴1〜35のいずれか1つに記載の構成部品。
37.ポリマー/窒化ホウ素化合物が、少なくとも1つのポリマー材料と、少なくとも1つの熱伝導性充填剤と、少なくとも1つの補強充填剤と、を含み、少なくとも1つの熱伝導性充填剤が、窒化ホウ素凝集体を含む、特徴1〜36のいずれか1つに記載の構成部品を製造するためのポリマー/窒化ホウ素化合物。
38.構成部品又はアセンブリ、好ましくは、電子的構成部品又はアセンブリの温度を制御するための、熱伝導用の特徴1〜36のいずれか1つに記載の構成部品の使用。
【0216】
実施例及び比較実施例
(実施例1)
実施例1a:窒化ホウ素複合フレーク(異方性の鱗様窒化物結合窒化ホウ素凝集体)の作製
4000gのアルミニウムペースト、STAPA ALUPOR SK I−NE/70(Eckart(Hartenstein,Germany))及び7000gの窒化ホウ素粉末、BORONID(登録商標)S1−SF(ESK Ceramics GmbH & Co.KG(Germany);平均粒径d
50=3μm、レーザー回折(Mastersizer 2000、Malvern、湿式測定法)によって測定)を、ローラーブロック上のPEドラム内の粉砕ボールによって、20時間均質化する。粉末混合物を、ローラーコンパクターRC 250
*250(Powtec(Remscheid,Germany))中に、8kg/hの重力式投入によって投入する。空で操作するときに滑らかなステンレス鋼製ローラーが接触するように、ローラーコンパクターを改変する。3kN/cmのローラー間隙長さに相当する75kNの接触力をローラーにかけ、ローラー速度を20RPMに設定する。これによって、厚さ30μm、直径最大数センチメートルの窒化ホウ素複合フレークが得られる。ローラーに付着している未加工の(すなわち、圧縮されているがまだ熱処理されていない)窒化ホウ素複合フレークを、スクレーパーで除去する。圧縮後、<200μmの微粉をふるい分けによって除き、4000gのアルミニウムペースト及び7000gの窒化ホウ素粉末S1による次の原材料均質化中に、PEドラムに投入する。合計55kgの窒化ホウ素複合フレークが製造されるまで、このプロセスを繰り返す。窒化ホウ素複合フレークは、300℃において、80%窒素及び20%アルゴン雰囲気中、空気排除下で結合剤が除かれ、5時間の保持時間の間に、窒化ホウ素複合フレーク中のアルミニウム部分は、800℃において、80%窒素及び20%アルゴン雰囲気中で大部分がAlNに変換される。その後、1950℃において、80%窒素及び20%アルゴン雰囲気中で2時間、高温焼きなましを行う。
【0217】
焼きなまし後、アルカリ溶融物及びICP−OES(Arcos,Spectro(Kleve,Germany))によって測定される、窒化ホウ素複合フレーク中の総アルミニウム割合は、24.6重量%である。窒化アルミニウム割合の37重量%は、窒化ホウ素複合フレーク中のアルミニウム割合から算出する。
【0218】
アルミニウムを含まない部分は0.35重量%である。アルミニウムを含まない部分は、2モルHClを用いて、16時間室温で抽出することによって測定される。抽出物の透明な上清から、溶液のアルミニウム含量が、ICP−OES(Arcos,Spectro(Kleve,Germany))によって測定される。炭素含量は0.05%であり、これは、誘導炉内での酸素中における燃焼及びその後のCO
2のIR測定(CS200,LECO(Monchengladbach,Germany))によって間接的に測定する。
【0219】
比表面積は、Coulter SA 3100機(Coulter(USA))を用いる窒素吸着及び5点BET法によって、ISO 18757に従って測定した。測定に先立ち、真空中、300℃において360分間サンプルをベーキングする。比表面積は、6.8m
2/gである。
【0220】
酸素含量は、キャリアガス熱抽出によって間接的に測定したが、ここでは、サンプル由来の酸素が炭素と反応し、発生するCO
2の含量を、赤外分光法(TCH 600,LECO(Monchengladbach,Germany))によって測定する。酸素含量は0.15%である。
【0221】
X線透過試験によって、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムの相のみの検出が可能であった。
【0222】
窒化ホウ素複合フレークを、ゴムボールと共に振動ふるい中で砕く。ふるいを、5mm、2mm、1mm、及び500μmの順序で用いた。
【0223】
得られた<500μmのふるい分級物中の窒化ホウ素複合フレークは、レーザー回折(Mastersizer 2000、Malvern、湿式測定法)によって測定される、192μmの平均粒径(d
50)を有する。窒化ホウ素複合フレークの厚さは30μmである。厚さは、デジタル精密計器を用いて測定する。
【0224】
窒化ホウ素複合フレークを充填して測定される組織指数は20.6である。
【0225】
作製された窒化ホウ素複合フレークから、<200μmの分級物を砕き、<100μmの微粉をふるい分けによって分離する。超音波法を用いて、このように得られた窒化ホウ素複合フレークの100〜200μmのふるい分級物の凝集安定性を求める。窒化ホウ素複合フレークについて求めた凝集安定性は75%である。
【0226】
<500μmのふるい分級物で得られる窒化ホウ素複合フレークのSEM全体画像(
図3a)は明らかに、凝集体の平面を示す。これらの表面は、成形法(2つの回転する逆移動ローラー間での圧縮)によって直接的に作製された成形表面であり、後続する粉砕によってではない。
図3bは、かかる凝集体の平坦な成形表面及び追加の凝集体の平坦な成形表面を破壊した、30μmの厚さを有する凝集体の破面を示す。
【0227】
実施例1b):
15体積%の窒化ホウ素複合フレーク及び10体積%のアルミノケイ酸塩及び15体積%のガラス繊維を含む、PA 6からなる化合物の生成
PA 6(Schulamid(登録商標)6 NV 12,A.Schulman(Kerpen,Germany))及びTrefil 1360−400アルミノケイ酸塩(Quarzwerke(Frechen,Germany))を、2軸押出成形機(Coperion ZSK25(Stuttgart,Germany))のメインフィーダーに重力下で投入する。アルミノケイ酸塩の密度は3.6g/cm
3であり、熱伝導率は14W/m・K(14W/m・℃)である。X線写真によると、アルミノケイ酸塩の主相はカイアナイト(Al
2SiO
5)である。窒化ホウ素複合フレーク及び市販のガラス繊維を、重力式サイドフィーダーから添加する。2軸押出成形機について、250RPMのスクリュー速度を設定する。処理能力は10kg/hである。4つの重力式フィーダーを調整し、化合物中の充填剤の体積パーセントが、15体積%の窒化ホウ素複合フレーク、及び10体積%のアルミノケイ酸塩、及び15体積%のガラス繊維に相当するようにする。得られた化合物を2本の5mmノズルを通して押し出し、冷却部の後、顆粒に粉砕する。
【0228】
実施例1c):2mmの薄いプレートの射出成形、熱伝導率及び機械的特性の測定
実施例1b)の化合物顆粒を、射出成形機(Engel e−motion)で、80×80×2mm
3の寸法を有する2mmの薄いプレートに射出成形する。
【0229】
熱伝導率を、厚さ2mmのディスク状に射出成形されたサンプルについて測定するが、面外方向熱伝導率測定用サンプルは、厚さ2mm(寸法2×80×80mm
3)の射出成形プレートで、2×10×10mm
3の寸法を有するものの中央部から調製される。面外方向熱伝導率測定用サンプルの厚さは、射出成形されたプレート厚さに相当する。
【0230】
熱伝導率を測定するため、レーザーフラッシュ法を用い、DIN EN ISO 22007−4に従って、Nanoflash LFA 447(Netzsch(Selb,Germany))によって実施する。測定値は22℃において取得される。
【0231】
熱伝導率(TC)は、熱拡散率a、比熱c
p及び密度Dに関する値を測定することによって求められ、これらの値から次式によって算出される。
TC=a
*c
p*D
【0232】
「a」は、上述のように作製され、10×10×2mm
3の寸法を有するサンプルについて、Nanoflash LFA 447(Netzsch(Selb,Germany))を用いて測定する。
【0233】
比熱「cp」は、DIN EN ISO 11357に従って、DSC 7(Perkin Elmer,USA)を用いて測定する。この装置は、動的示差走査熱量測定法の原理によって機能する。測定標準としてサファイアを使用する。加熱速度は20K/分(20℃/分)である。
【0234】
密度は、正確に成形された試料を秤量し、その幾何学的寸法を求めることによって求める。測定には、標準的なPyroceram 9606を使用する。
【0235】
機械的特性は、DIN EN ISO 527に従う引張試験において、乾燥しコンディショニングした肩部付き引張試験棒を用いて測定する。
【0236】
面外方向熱伝導率及び機械的特性を表1に記載する。
【0237】
未充填ポリマーPA 6(Schulamid(登録商標)6 NV 12)について、80×80×2mm
3の寸法を有する射出成形された未充填の薄いプレートで測定された熱伝導率は、0.26W/m・K(0.26W/m・℃)である。
【0238】
(実施例2)
15体積%の窒化ホウ素複合フレーク及び10体積%のアルミノケイ酸塩及び15体積%のガラス繊維を含む、PA 6からなる化合物の生成
窒化ホウ素複合フレークの作製と配合を実施例1に従って行う。80×80×2mm
3のサンプルを実施例1の化合物から作製し、方向依存性熱伝導率を測定する。機械的特性を実施例1に従って求める。
【0239】
面外方向熱伝導率及び機械的特性を表1に記載する。
【0240】
(実施例3)
20体積%の窒化ホウ素複合フレーク及び20体積%のアルミノケイ酸塩及び10体積%のガラス繊維を含む、PA 6からなる化合物の生成
実施例1に従って、窒化ホウ素複合フレークを作製する。
【0241】
配合、射出成形によるサンプルの作製、熱伝導率及び機械的特性の測定を、実施例1に従って実施する。
【0242】
面外方向熱伝導率及び機械的特性を表1に記載する。
【0243】
(実施例4)
20体積%の窒化ホウ素複合フレーク及び20体積%のガラス繊維を含む、PA 6からなる化合物の生成
実施例1に従って、窒化ホウ素複合フレークを作製する。
【0244】
配合、射出成形によるサンプルの作製、熱伝導率及び機械的特性の測定を、実施例1に従って実施する。配合中に第2の充填剤を加えない。
【0245】
面外方向熱伝導率及び機械的特性を表1に記載する。
【0246】
比較実施例1:
35体積%の一次窒化ホウ素粒子及び6体積%のガラス繊維を含む、PA 66からなる化合物
化合物、Thermatech NN−10GF/50MN(PolyOne(Gaggenau,Germany))のサンプルを、80×80×2mm
3の寸法を有するプレートとして実施例1に従って作製し、方向依存性熱伝導率を測定した。機械的特性は、DIN EN ISO 527に従う引張試験において、射出成形された肩部付き引張試験棒を用いて測定した。
【0247】
面外方向熱伝導率及び機械的特性を表2に記載する。
【0248】
比較実施例2:
40体積%の窒化ホウ素複合フレークを含む、PA 6からなる化合物の生成
実施例1に従って、窒化ホウ素複合フレークを作製する。
【0249】
配合、射出成形によるサンプルの作製、熱伝導率及び機械的特性の測定を、実施例1に従って実施する。配合中に第2の充填剤及びガラス繊維を加えない。
【0250】
面外方向熱伝導率及び機械的特性を表2に記載する。
【0251】
実施例3及び比較実施例2の比較によって、熱伝導性充填剤の総含量を一定として、ガラス繊維を補強材料として添加すると、機械的特性、特に強度及び破断点伸びの顕著な増強が明らかになる。