(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
付随的な不純物種を前記シリコン層の前記第1の注入領域に注入する段階は、前記第1の注入領域のそれぞれ1つについて前記付随的な不純物種の対応する領域を形成する段階を含み、前記付随的な不純物種の前記対応する領域の全体は、前記第1の注入領域の前記それぞれ1つ内にある、請求項1に記載の方法。
前記第1の注入領域の前記それぞれ1つについて前記付随的な不純物種の前記対応する領域を形成する段階は、前記第1の注入領域の前記それぞれ1つの幅よりも小さな幅を有する前記付随的な不純物種の前記対応する領域を形成する段階を含む、請求項3に記載の方法。
前記シリコン層の前記残りの非注入領域を除去する段階は、前記付随的な不純物種の前記対応する領域を含まない前記第1の注入領域のそれぞれの部分を除去する段階を更に含む、請求項4に記載の方法。
前記第1の注入領域の前記それぞれ1つについて前記付随的な不純物種の前記対応する領域を形成する段階は、前記第1の注入領域の前記それぞれ1つの深さよりも浅い深さを前記シリコン層内に有する前記付随的な不純物種の前記対応する領域を形成する段階を含む、請求項3に記載の方法。
前記シリコン層の前記第1の注入領域及び前記第2の注入領域をアニールする段階は、前記選択性エッチングプロセスを用いて前記シリコン層の前記残りの非注入領域を除去した後に前記アニールを実施する段階を含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
前記シリコン層を形成する段階は、減圧化学気相成長(LPCVD)又はプラズマ促進化学気相成長(PECVD)を使用して非晶質シリコン層を形成する段階を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
前記第1の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、リン又はヒ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、前記第2の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、ホウ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、付随的な不純物種を前記第1の注入領域に注入する段階は、窒素の原子又はイオン、炭素の原子又はイオン、及び酸素の原子又はイオンからなる群から選択された種を注入する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、本質的には例示にすぎず、本主題の実施形態又はこのような実施形態の応用及び使用を限定することを意図するものではない。本明細書で使用するとき、「例示的な」という語は、「一例、一事例、又は一例示としての役割を果たす」ことを意味する。本明細書に例示として記述するいかなる実施態様も、他の実施態様よりも好ましい又は有利であると必ずしも解釈されるべきではない。更に、前述の技術分野、背景、概要又は以下の詳細な説明に提示される明示的又は暗示的ないかなる理論によっても拘束されることを意図するものではない。
【0014】
この明細書は、「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及を含む。「一実施形態では」又は「ある実施形態では」という語句の出現は、同一の実施形態を必ずしも意味していない。この開示と矛盾しない任意の適当な方法で、特定の特徴、構造、又は特性が組み合わされてもよい。
【0015】
用語。以下の段落は、この開示(添付の請求項を含む)に見られる用語の定義及び/又は文脈を提供する。
【0016】
「備える(Comprising)」。この用語はオープンエンド型である。添付の請求項で使用するとき、この用語は、追加の構造又は段階を排除しない。
【0017】
「ように構成される(Configured To)」。1又は複数のタスクを実施する「ように構成される」として、各種のユニット又は構成要素が記述又は請求され得る。このような文脈では、「ように構成される」は、ユニット/構成要素が、動作中にこれらの1又は複数のタスクを実施する構造を含むことを示すことによって、その構造を含意するために使用される。よって、指定されたユニット/構成要素が現在動作中でない(例えば、オン/アクティブでない)場合であっても、ユニット/構成要素がそのタスクを実施するように構成されると言うことができる。ユニット/回路/構成要素が1又は複数のタスクを実施する「ように構成される」と記載することは、そのユニット/構成要素について米国特許法第112条第6項が適用されないことを明示的に意図するものである。
【0018】
「第1の」、「第2の」など。本明細書で使用するとき、これらの用語は、後続する名詞の標識として使用され、いずれの種類(例えば、空間的、時間的、論理的など)の順序付けも暗示するものではない。例えば、「第1の」太陽電池への言及は、この太陽電池が、ある順序における最初の太陽電池を必ずしも暗示するものではなく、代わりに、用語「第1の」は、この太陽電池を別の太陽電池(例えば、「第2の」太陽電池)と区別するために使用される。
【0019】
「結合される(Coupled)」−以下の説明は、要素又はノード又は特徴が一緒に「結合される」ことを意味する。本明細書で使用するとき、別段の明示的な定めがない限り、「結合される」は、1つの要素/ノード/特徴が、別の要素/ノード/特徴に直接又は間接的に連結される(又は直接又は間接的に連通する)が、必ずしも機械的に連結されてはいないことを意味する。
【0020】
「抑制する(Inhibit)」−本明細書で使用するとき、「抑制する」は、効果を低減する又は最小化することを記述するために使用される。構成要素又は特徴が作用、運動、又は状態を抑制するとして記述されるとき、それは、結果又は成果又は将来の状態を完全に妨げ得る。加えて、「抑制する」は、そうでなければ生じたであろう成果、性能、及び/又は効果を低減又は軽減することも意味することができる。したがって、構成要素、要素、又は特徴が結果又は状態を抑制すると称されるとき、それは、その結果又は状態を完全に妨げる又は排除する必要はない。
【0021】
加えて、特定の用語が、参照のみを目的として以下の説明で使用されてもよく、よって限定することを意図するものではない。例えば、「上側」、「下側」、「上方」、及び「下方」などの用語は、参照される図面中の方向を意味する。「前部」、「裏側」、「後部」、「側部」、「外側」、及び「内側」などの用語は、議論される構成要素を記述する文章及び関連図面を参照することにより明らかにされる、一貫しているが任意の基準系内での構成要素の部分の向き及び/又は位置を記述する。このような用語は、具体的に上述した語、それらの派生語、及び類似の意味の語を含んでもよい。
【0022】
イオン注入を使用して太陽電池のエミッタ領域を製造する方法及び結果として得られる太陽電池が、本明細書に記述される。以下の説明では、本開示の実施形態の完全な理解をもたらすために、具体的なプロセスフロー工程などの多くの具体的な詳細が述べられる。当業者には、本開示の実施形態がこれらの具体的な詳細を伴わずに実践されてもよいことが明らかであろう。他の事例では、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、リソグラフィ及びパターニング技術などの周知の製造技術を詳細に記述しない。更に、図に示す各種の実施形態は、例示的な表示であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
【0023】
本明細書には、太陽電池を製造する方法が開示される。一実施形態では、太陽電池の交互するN型及びP型のエミッタ領域を製造する方法が、基板上にシリコン層を形成する段階を含む。方法は、第1の導電型のドーパント不純物種をシリコン層に注入して、第1の注入領域を形成し、シリコン層の非注入領域を生じさせる段階も含む。方法は、付随的な不純物種をシリコン層の第1の注入領域に注入する段階も含み、付随的な不純物種は、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる。方法は、反対の第2の導電型のドーパント不純物種をシリコン層の非注入領域の一部に注入して、第2の注入領域を形成し、シリコン層の残りの非注入領域を生じさせる段階も含む。方法は、第1の注入領域の少なくとも一部分を維持し、シリコン層の第2の注入領域を維持する選択性エッチングプロセスを用いて、シリコン層の残りの非注入領域を除去する段階も含む。方法は、シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をアニールして、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成する段階も含む。
【0024】
別の実施形態では、太陽電池の交互するN型及びP型のエミッタ領域を製造する方法が、基板上にシリコン層を形成する段階を含む。方法は、第1の導電型のドーパント不純物種をシリコン層に注入して、第1の注入領域を形成し、シリコン層の非注入領域を生じさせる段階も含む。方法は、シリコン層の第1の注入領域の浅い表層を改質する段階も含む。改質は、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる付随的な不純物種の前駆体を流すことにより実施される。方法は、反対の第2の導電型のドーパント不純物種をシリコン層の非注入領域の一部に注入して、第2の注入領域を形成し、シリコン層の残りの非注入領域を生じさせる段階も含む。方法は、第1の注入領域の少なくとも一部分を維持し、シリコン層の第2の注入領域を維持する選択性エッチングプロセスを用いて、シリコン層の残りの非注入領域を除去する段階も含む。方法は、シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をアニールして、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成する段階も含む。
【0025】
本明細書には、太陽電池も開示される。一実施形態では、バックコンタクト太陽電池が、受光面及び裏面を有する結晶シリコン基板を含む。第1の多結晶シリコンエミッタ領域が、結晶シリコン基板上に配置される。第1の多結晶シリコンエミッタ領域は、第1の導電型のドーパント不純物種を用いてドープされ、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる付随的な不純物種を更に含む。第2の多結晶シリコンエミッタ領域が、結晶シリコン基板上に配置され、第1の多結晶シリコンエミッタ領域に隣り合うが、第1の多結晶シリコンエミッタ領域から分離されている。第2の多結晶シリコンエミッタ領域は、反対の第2の導電型のドーパント不純物種を用いてドープされる。第1及び第2の導電性コンタクト構造が、第1及び第2の多結晶シリコンエミッタ領域にそれぞれ電気的に接続される。
【0026】
本明細書には、太陽電池を製造するための装置も開示される。一実施形態では、太陽電池のエミッタ領域を製造するためのインラインプロセス装置が、第1の導電型のドーパント不純物原子を、第1のシャドウマスクを通じて、基板上に配置された材料層の第1の領域に注入するように構成された第1のステーションを含む。インラインプロセス装置は、付随的な不純物種を第2のシャドウマスクを通じて、材料層の第1の領域に注入するように構成された第2のステーションも含む。インラインプロセス装置は、異なる第2の導電型のドーパント不純物原子を、第3のシャドウマスクを通じて、異なる、材料層の第2の領域に注入するように構成された第3のステーションも含む。このような一実施形態では、第1のステーションは、リン又はヒ素の原子又はイオンを注入するように構成され、第3のステーションは、ホウ素の原子又はイオンを注入するように構成され、第2のステーションは、非限定的に、窒素の原子又はイオン、炭素の原子又はイオン、又は酸素の原子又はイオンなどの種を注入するように構成される。
【0027】
本明細書に記述する1又は複数の実施形態は、N+ポリシリコンエミッタ層(例えば一般にリン又はヒ素を用いてドープされる)及びP+ポリシリコンエミッタ層(例えば一般にホウ素を用いてドープされる)の一方又は両方を作り出すためのイオン注入技術の使用を含む、高効率の完全バックコンタクト太陽電池デバイスを製造するための簡素化されたプロセスフローを提供する。一実施形態では、製造手法は、エミッタ層の全ての非注入領域を選択的にウェットエッチングで除去する間に、マスクとしての使用を可能にするために、エミッタ層のウェットエッチング特性に十分な変化を引き起こすように、必要とされるドーパント型の原子とともに付随的な原子をエミッタ層に導入するイオン注入の使用を含む。1又は複数の実施形態は、高効率な太陽電池製造のために統合されパターン化されたイオン注入及び表面改質のためのハードウェア及び対応するプロセスに関する。1又は複数の実施形態は、パターン化されたイオン注入技術を使用して、高効率の太陽電池の裏面を覆う分離したN型ドープ及びP型ドープされた多結晶シリコン(polySi)フィンガーエミッタを作り出す(そして分離する)ための、効果的なプロセス工程省略手法を提供する。
【0028】
状況を説明すると、現在、ドープされた酸化物層により覆われたパターン化された拡散領域を効果的に作り出すために、バックコンタクト(IBC)加工スキームを実施することができる。このような構造は、テクスチャエッチングの耐性マスクを作り出すようにパターン化され、同マスクによって、フロント側のテクスチャ化が実施されるのと同時に、N型ドープされたエミッタとP型ドープされたエミッタとを分離するトレンチが形成される。パターン化された酸化物層からの拡散を置き換えるべく、パターン化されたイオン注入を利用するという考えは簡単であるように思えるが、自己整合したエッチング選択比を提供する手法と組み合わされない限り、そのような手法は、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を有する高効率の太陽電池構造を製造するには実用的ではない場合がある。このことは、リン注入を使用する手法では、特にそうであり得る。
【0029】
本開示のある実施形態により、上記課題の1又は複数に対処する場合、リン(又はヒ素)及びホウ素のパターン化されたイオン注入を互いに僅かにずらして実施し、間に非注入間隙を残すことによって、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を最終的に有する太陽電池の一次元フィンガー構造が形成される。リン(又はヒ素)の注入に続いて、窒素、酸素、又は炭素イオン(又はそれらの元素を含有する正に帯電した分子集団)の第2の自己整合(例えば同一マスクパターンを通じて)表層注入が実施される。リン(又はヒ素)と同一の領域に、このような付随的な(又は「チェイサー」)種を注入するのは、注入領域の表層を改質し、アルカリ性のテクスチャ化浴に対するエッチング耐性を高めるために実施される。ホウ素注入だけでエッチング耐性が大幅に高まるので、リン及び表層チェイサードーパントのプロファイルを有するpolySi膜の第1の領域(例えば注入されたライン)と、ホウ素ドーパントのプロファイルを有するpolySi膜の第2の領域(例えば注入されたライン)とを互いにかみ合わせた組合せは、十分に確立されたテクスチャ化エッチングのプロセスフローに晒すことができる。このようなエッチングプロセスは、ウェハのフロント(太陽に面する)側をテクスチャ化しながら、非注入polySiの領域(例えば注入されたフィンガー間)を同時に除去することができる。更に、パターン化され整合した3つの注入工程の全てをシングルパスで実施できる新たなハードウェアプラットフォームが記述される。上記及び他の手法及びハードウェアプラットフォームは、以下でより詳細に記述される。
【0030】
注入により引き出されたエッチング選択比を、自己整合したトレンチの形成に使用するための例示的なプロセスフローにおいて、
図1A−
図1Gは、本開示のある実施形態による太陽電池の製造における各種の段階の断面図を例示する。
図2は、本開示のある実施形態による、
図1A−
図1Gに対応するように太陽電池を製造する方法の工程を列挙するフローチャート200である。
【0031】
図1A及びフローチャート200の対応する工程202を参照すると、太陽電池の交互するN型及びP型のエミッタ領域を製造する方法が、基板102上に配置された薄い酸化物層104上にシリコン層106を形成する段階を含む。
【0032】
ある実施形態では、基板102は、N型ドープされたバルク単結晶シリコン基板などの単結晶シリコン基板である。しかし、基板102が、太陽電池基板全体に配置された、多結晶シリコン層などの層でもよいことを理解されたい。
図1Aを再び参照すると、ある実施形態では、示すように、基板102の受光面101が、以下でより詳細に記述するようにテクスチャ化される。ある実施形態では、薄い酸化物層は、約2ナノメートル又はそれより薄い厚さを有するトンネル誘電体シリコン酸化物層である。
【0033】
ある実施形態では、シリコン層106は非晶質シリコン層である。このような一実施形態では、非晶質シリコン層は、減圧化学気相成長(LPCVD)又はプラズマ促進化学気相成長(PECVD)を使用して形成される。しかし、ある代替的な実施形態では、非晶質シリコンの代わりに多結晶シリコン層が使用される。
【0034】
図1B及びフローチャート200の対応する工程204を参照すると、第1の導電型のドーパント不純物種がシリコン層106に注入されて、第1の注入領域108を形成し、シリコン層の非注入領域109(すなわち、プロセスのこの段階で注入されていないシリコン層106の残り部分)を生じさせる。
【0035】
ある実施形態では、注入は、イオンビーム注入又はプラズマ浸漬注入を使用して実施される。一実施形態では、この第1の注入は、シリコンにN+ドーパント原子(例えばリン又はヒ素の原子)を提供する。特定のこのような実施形態では、リン又はヒ素の原子又はイオンの注入は、約1E19−1E20atoms/cm
3の範囲のリン又はヒ素の原子の濃度をシリコン層106内に形成する注入を含む。
【0036】
工程204を再び参照すると、ある実施形態では、注入は、第1のシャドウマスクを通じて実施され、その一例が
図4に関連して記述される。このような一実施形態では、第1の導電型のドーパント不純物種は、第1のスリットパターンを有する第1のシャドウマスクを通じて注入され、その例が
図7A及び
図7Bに関連して記述される。ある実施形態では、第1のシャドウマスクは、シリコン層106から離れて配置されるがシリコン層106に近接しているグラファイトシャドウマスクである。
【0037】
図1C及びフローチャート200の対応する工程206を次に参照すると、付随的な不純物種がシリコン層106の第1の注入領域108に注入される。付随的な不純物種は、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる。加えて、ある実施形態では、付随的な不純物種の対応する領域は、それぞれの元の第1の注入領域108の深さよりも浅い深さをシリコン層106内に有するように注入される。よって、改質された第1の注入領域108'が形成され、一実施形態では、
図1Cに描写するように、リン(又はヒ素)のみの領域152である下部分152を有し、付随的な不純物種を含むリン(又はヒ素)の領域である上部分150を有する。
【0038】
ある実施形態では、第1の注入領域に注入された付随的な不純物種は、非限定的に、窒素の原子又はイオン、炭素の原子又はイオン、又は酸素の原子又はイオンなどの種である。用語「イオン」が、添加水素原子に結合したドーパント種の1又は複数の原子を含有する分子イオンを含んでもよいことを理解されたい。一実施形態では、付随的な不純物種は、窒素であり、N
2又はNH
3を使用する注入により提供される。一実施形態では、付随的な不純物種は、炭素であり、CH
4、あるいはアセチレン又は場合によってはメチルシランなどの炭化水素を使用する注入により提供される。一実施形態では、付随的な不純物種は、酸素であり、N
2O又はO
2を使用する注入により提供される。
【0039】
ある実施形態では、注入は、イオンビーム注入又はプラズマ浸漬注入を使用して実施される。一実施形態では、この第2の注入は、最終的に、窒素原子、炭素原子、又は酸素原子をシリコン層106のN+領域の上部分に提供する。特定のこのような実施形態では、第2の注入の注入は、約1E19−1E21atoms/cm
3の範囲の窒素、炭素又は酸素の原子の濃度をシリコン層106内に形成する。一実施形態では、付随的な不純物種の分布は、シリコン層106の表面下の最初の1000オングストローム内に主に集中する。
【0040】
工程206を再び参照すると、ある実施形態では、注入は、第2のシャドウマスクを通じて実施され、その一例が
図4に関連して記述される。このような一実施形態では、付随的な不純物種は、第1のスリットパターンを有する第2のシャドウマスクを通じて注入される。第1のスリットパターンは、以下でより詳細に記述するように、工程204に関連して記述された上記の第1のスリットパターンと同一でもよく、上記の第1のスリットパターンから僅かに変更されてもよい。ある実施形態では、第2のシャドウマスクは、シリコン層106から離れて配置されるがシリコン層106に近接しているグラファイトシャドウマスクである。
【0041】
上述したように、付随的な不純物種を第1の注入領域108に注入する段階は、ある実施形態では、第1のスリットパターン(すなわち、元の領域108を形成するために使用されたスリットパターン)を有する第2のシャドウマスクを通じて注入する段階を含む。第1の実施形態では、第2のシャドウマスクは、第1のスリットパターンと同一のスリットパターンを有し、スリットの寸法は、第1のシャドウマスクのスリットの寸法と同一である。一例として、
図3Aは、同一寸法の整合したスリットパターンを使用して形成され改質された第1の注入領域108'の断面図を例示する。付随的な原子の領域150は、シリコン層106のN+領域152と整合している。
【0042】
しかし、
図3Bは、同一寸法の誤整合したスリットパターンを使用して形成され改質された第1の注入領域108'の断面図を例示する。付随的な不純物種の領域150'は、シリコン層106のN+領域152'と誤整合している。つまり、付随的な不純物種の領域150'の一部分が、N+領域152'の内側に形成されるが、付随的な不純物種の領域150'の一部分が、N+領域152'の外側に形成される。N+領域内に全体が形成された付随的な不純物種の領域を有することが好ましいのは、こうした場合かもしれない。
【0043】
したがって、一実施形態では、
図3Cは、より小さな(例えば、より狭い)寸法のスリットパターンを使用して形成され改質された第1の注入領域108'の断面図を例示する。付随的な不純物種の領域150''は、N+領域152''よりも狭く、N+領域152''の内側に全体が形成される。このような一実施形態では、第2のマスクのスリットについてより狭い寸法を使用することで、N+領域の外側に付随的な不純物種が注入されるリスクを伴わずに、位置合わせ不良の許容範囲が与えられる。
【0044】
図1D及びフローチャート200の対応する工程208を参照すると、第2の導電型のドーパント不純物種がシリコン層106に注入されて、第2の注入領域110を形成し、シリコン層の非注入領域112(すなわち、重要なことは上述した注入プロセスのいずれの間にも注入されなかった、シリコン層106の残り部分)を生じさせる。
【0045】
第1及び第2の注入プロセスの場合と同様に、ある実施形態では、注入は、イオンビーム注入又はプラズマ浸漬注入を使用して実施される。一実施形態では、この第3の注入は、シリコンにP+ドーパント原子(例えばホウ素原子)を提供する。特定のこのような実施形態では、ホウ素の原子又はイオンの注入が、約1E19−1E20atoms/cm
3の範囲のホウ素原子の濃度をシリコン層106内に形成する注入を含む。
【0046】
工程208を再び参照すると、ある実施形態では、注入は、第3のシャドウマスクを通じて実施され、その一例が
図4に関連して記述される。このような一実施形態では、第2の導電型のドーパント不純物種は、第1のスリットパターンとは異なる第2のスリットパターンを有する第3のシャドウマスクを通じて注入され、その例が
図7A及び
図7Bに関連して記述される。このような一実施形態では、第1のスリットパターン及び第2のスリットパターンは、一緒に一次元の互いにかみ合ったフィンガーパターンを形成する。第1及び第2のシャドウマスクの場合と同様に、ある実施形態では、第3のシャドウマスクは、シリコン層106から離れて配置されるがシリコン層106に近接しているグラファイトシャドウマスクである。
【0047】
図1E及びフローチャート200の対応する工程210を参照すると、シリコン層106の残りの非注入領域112は、例えば、選択性エッチングプロセスを用いて除去され、シリコン層106の改質された第1の注入領域108'及び第2の注入領域110を維持する。
【0048】
実施形態では、改質された第1の注入領域108'を形成するために工程206で提供された付随的な不純物種は、改質された第1の注入領域108'をエッチングすることを抑制する(例えば、エッチング速度を下げる)。このような一実施形態では、注入された付随的な種は、エッチング選択比に影響を及ぼすために利用され、より浅い分布(例えば表面近く)を実現するためにより低いエネルギーで意図的に注入される。更に、このような付随的な種の全体部分は、次のウェット及び/又はドライのエッチング/洗浄工程で減少しても、完全に除去されてもよく、特に、付随的な種を含める唯一の動機は、工程210でのN+領域のエッチングを抑制することである。
【0049】
図3A及び
図3Cを再び参照すると、ある実施形態では、付随的な不純物種の対応する領域は、全体が元の第1の注入領域108のそれぞれ1つの内側にある。ある特定の実施形態では、
図3Cのみを参照すると、付随的な不純物種の対応する領域は、それぞれの第1の注入領域の幅よりも狭い幅を有する。いずれの場合でも、ある実施形態では、結果として得られるエッチング幅は、
図3A及び
図3Cに描写するように、付随的な不純物種の領域150又は150''の幅により決定される。
図3Cの場合、次いで、一実施形態では、シリコン層106の残りの非注入領域を除去する段階が、付随的な不純物種の対応する領域150''を含まない改質された第1の注入領域108'の部分を除去する段階を更に含む。比較のために、
図3Bを参照すると、結果として得られるこのようなエッチングプロファイルは、N+領域の外側に形成された付随的な不純物種を有する領域を含む。より狭いスリットの寸法を有する、付随的な不純物種の注入マスクの使用が、上述したチェイサー注入のために考慮されてもよいのは、この理由のためである。
【0050】
ある実施形態では、シリコン層106の残りの非注入領域112は、水酸化物を主成分とするウェットエッチング液を用いて除去され、このウェットエッチング液は、薄い酸化物層104の露出部分を更に除去し基板102にトレンチ114を形成する。トレンチは、基板102のテクスチャ化部分をトレンチ底面として提供するように形成されてもよい。ある実施形態では、
図1Eに描写するように、トレンチ114の位置は、シリコン層106の第1の注入領域108'及び第2の注入領域110により決定されるので、トレンチ114は、シリコン層106の第1の注入領域108'と第2の注入領域110との間に自己整合するように形成される。一実施形態では、水酸化物を主成分とするウェットエッチング液処理の後に、フッ化水素酸/オゾン(HF/O
3)ウェット洗浄処理が続く。
【0051】
受光面101のテクスチャ化と自己整合したトレンチ114の形成とのタイミングが異なってもよいことを理解されたい。例えば、一実施形態では、受光面101のテクスチャ化は、
図1A−
図1Gに表すように、トレンチ114の形成/テクスチャ化の前の別のプロセスで実施される。しかし、別の実施形態では、受光面101のテクスチャ化は、トレンチ114の形成/テクスチャ化と同一のプロセスで実施される。更に、トレンチ114の形成/テクスチャ化のタイミングは、第1の注入領域108'及び第2の注入領域110を結晶化するために使用されるアニールプロセスに対して異なってもよい。例えば、一実施形態では、
図1Eに描写するように、シリコン層106の残りの非注入領域112を除去するために使用されるプロセスで、トレンチ114の形成/テクスチャ化が実施される。しかし、別の実施形態では、シリコン層106の残りの非注入領域112の除去及び次のアニールプロセスに続いて、トレンチ114の形成/テクスチャ化が実施される。ある実施形態では、テクスチャ化面(トレンチ114内でも表面101でも)が、入射光を散乱させ、太陽電池の受光面及び/又は露出面から反射する光の量を減らすための規則的又は不規則的な形状の面を有するテクスチャ化面であってもよい。
【0052】
図1F及びフローチャート200の対応する工程212を参照すると、シリコン層106の第1の注入領域108'及び第2の注入領域110は、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域116及び118をそれぞれ形成するようにアニールされる。ある実施形態では、アニールは、摂氏約850−1100度の範囲の温度で約1−100分の範囲の継続時間で実施される。ある実施形態では、少量のリンドーパントの導入が加熱又はアニールの間に実施される。追加の実施形態は、パッシベーション層又は反射防止コーティング層120を受光面101上に形成する段階を含むことができ、その一例が、以下に記述する
図1Gに示される。
【0053】
上述したように、高温アニール及び活性化プロセスを実施する前に、シリコン層106の非注入エリアのエッチング(すなわち除去)を完了することが概して最も有利であるかもしれないが、特定の注入条件が、テクスチャ化エッチングで本質的により高い反応性(例えば、非注入領域に対するのと同様に)を生じさせ得ることを理解されたい。このような場合、トレンチエッチングの前に高温アニールを実施することができる。
【0054】
図1Gを参照すると、第1のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域116及び第2のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域118にそれぞれ接触するように、導電性コンタクト122及び124が製造される。ある実施形態では、コンタクトは、まず、絶縁層140を堆積及びパターニングして開口を設け、次いで、開口に1又は複数の導電性層を形成することにより製造される。ある実施形態では、導電性コンタクト122及び124は、金属を含み、堆積、リソグラフィ、及びエッチングの手法、又は代わりに印刷プロセスにより形成される。
【0055】
図1Gを再び参照すると、次いで、ある例示的な実施形態では、バックコンタクト太陽電池が、受光面101及び裏面を有する結晶シリコン基板102を含む。第1の多結晶シリコンエミッタ領域116が、結晶シリコン基板102上に配置される。第1の多結晶シリコンエミッタ領域116は、第1の導電型のドーパント不純物種(例えばリン又はヒ素の原子)を用いてドープされ、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる付随的な不純物種(例えば、窒素原子、炭素原子、及び/又は酸素原子)を更に含む。第2の多結晶シリコンエミッタ領域118が、結晶シリコン基板102上に配置され、第1の多結晶シリコンエミッタ領域116に隣り合うが、第1の多結晶シリコンエミッタ領域116から分離されている。第2の多結晶シリコンエミッタ領域118は、反対の第2の導電型のドーパント不純物種(例えばホウ素原子)を用いてドープされる。第1及び第2の導電性コンタクト構造122及び124が、第1及び第2の多結晶シリコンエミッタ領域116及び118にそれぞれ電気的に接続される。
【0056】
別の態様では、
図4は、本開示のある実施形態による、移動するウェハ及び固定シャドウマスクを含む、パターン化された注入のためのインラインプラットフォームの断面図を概略的に例示する。
【0057】
図4を参照すると、インラインプラットフォーム400が、シリコンの層106を有する入力ウェハのためのウェハ入力領域を含む。第1のステーション450が、第1の導電型のドーパント不純物原子を、第1のシャドウマスクを通じて、基板上に配置された材料層106の第1の領域に注入するように構成される。第2のステーション452が、付随的な不純物種を第2のシャドウマスクを通じて材料層106の第1の領域に注入するように構成される。第3のステーション454が、異なる第2の導電型のドーパント不純物原子を第3のシャドウマスクを通じて材料層106の異なる第2の領域に注入するように構成される。ある特定の実施形態では、
図4の出力ウェハにより例示するように、第1のステーション450は、リン(又は、代わりにヒ素)の原子又はイオンを注入するように構成され、第3のステーション454は、ホウ素の原子又はイオンを注入するように構成され、第2のステーション452は、窒素の原子又はイオン(或いは代わりに、炭素の原子又はイオン、又は酸素の原子又はイオン)を注入するように構成される。
【0058】
図4を再び参照すると、固定グラファイトマスクなどの固定ステンシルマスク402が、注入中に基板の近くに基板に接触せずに維持される。3つの対応するスリットパターンを含む1つのマスクとして示すが、個々のシャドウマスクが、モジュール450、452及び454のそれぞれのために一般に使用されることを理解されたい。受容基板からの間隔に使用可能な距離は、イオンビームをコリメートできる度合により決定され得る。一般的な間隔は、Si太陽電池ウェハ基板とほぼ同じ程度の厚さである50〜250ミクロンの間であってもよい。しかし、間隔は、シャドウマスクの下縁の下方の(鉛直からの)広がり角度を最小化する条件で、1000ミクロン(1mm)と同じほど大きくてもよい。ある実施形態では、結果として得られる注入領域のパターンは、一次元の互いにかみ合ったフィンガーパターンである。
【0059】
別の例では、
図5は、本開示の別の実施形態による、移動するウェハ及び固定シャドウマスクを含む、パターン化された注入のための別のインラインプラットフォームの断面図を概略的に例示する。
【0060】
図5を参照すると、インラインプラットフォーム500が、入力ウェハのためのウェハ入力領域を含む。第1のステーション550が、第1の導電型のドーパント不純物原子(例えば、リン又はヒ素)を、第1のシャドウマスクを通じて、基板上に配置された材料層の第1の領域に注入するように構成される。第2のステーション554が、異なる第2の導電型のドーパント不純物原子(例えばホウ素)を、第2のシャドウマスクを通じて、異なる、材料層の第2の領域に注入するように構成される。グラファイトマスクと受容ウェハとの間の間隙を通じて運ばれる付随的な不純物種を提供するために、前駆体(例えばCH
4又はC
2H
4)を含有するC、N、又はOの交差流の導入用に注入口552が設けられる。加えて、
図5に描写するように、不活性ガスフローを提供するために、(例えばヘリウムガス用の)不活性ガス注入口556が含まれてもよい。
【0061】
図5を再び参照すると、付随的な不純物種の使用を通じた表面改質によって、N型(P)に注入されたフィンガーに(非注入エリアに対して)エッチング耐性を付与するために、
図4のインライン装置と同様のシステムが提供される。しかし、
図4のインライン装置とは対照的に、第3の注入源の追加及び関連する追加のマスク位置合わせの必要性を伴わずに、「付随的な」注入又はチェイサーの注入と同一の利益又は効果が提供される。このような一実施形態では、入射イオン流の少なくとも一部との相互作用による浅い表層改質を引き起こすために、低流量の適当な前駆体(例えばメタン又はエチレン)が、(リン又はヒ素の注入のために使用される)固定グラファイトマスクとウェハとの間の狭い間隙に方向付けられる。
【0062】
図6は、本開示の別の実施形態による、
図5のインラインプラットフォームに対応するように、太陽電池を製造する方法の工程を列挙するフローチャート600である。
【0063】
フローチャート600の工程602を参照すると、太陽電池の交互するN型及びP型のエミッタ領域を製造する方法が、基板上にシリコン層を形成する段階を含む。工程604では、第1の導電型のドーパント不純物種が、シリコン層に注入されて、第1の注入領域を形成し、シリコン層の非注入領域を生じさせる。工程606では、シリコン層の第1の注入領域の浅い表層が改質される。改質は、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる付随的な不純物種の前駆体を流すことにより実施される。このような一実施形態では、付随的な不純物種の前駆体を流すことは、メタン(CH
4)又はエチレン(C
2H
4)の交差流の導入を含む。
【0064】
フローチャート600を再び参照すると、工程608では、反対の第2の導電型のドーパント不純物種が、シリコン層の非注入領域の一部に注入されて、第2の注入領域を形成し、シリコン層の残りの非注入領域を生じさせる。工程610では、シリコン層の残りの非注入領域は、第1の注入領域の少なくとも一部分を維持し、シリコン層の第2の注入領域を維持する選択性エッチングプロセスを用いて、除去される。工程612では、シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域は、アニールされて、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成する。
【0065】
ある実施形態では、上述したように、固定グラファイトシャドウマスクなどのステンシルマスクが、注入のために使用されてもよい。一例として、
図4及び
図5は、本開示のある実施形態による、固定シャドウマスクを含む、パターン化された注入のための可能なインラインプラットフォームを概略的に例示する。上述した場合のいずれでも、ある実施形態では、いくらかの堆積物又は残留蓄積物がステンシルマスク上に生じ得る。何度も作業した後、このような堆積物又は蓄積物は、マスクからの除去を必要とし得る。後の注入プロセスに何らかの影響を及ぼし得るステンシルマスク上の材料の過蓄積とスループットとをバランスさせるように、最適な作業回数が決定されてもよいことを理解されたい。このような一実施形態では、特定の作業回数後、蓄積された材料は、選択性エッチングにより除去されるので、ステンシルマスクを再使用することができる。
【0066】
スリットマスクの製造が、材料の均一なサンプルにスリットを形成(例えば切断、エッチング)することにより実施されてもよいことを理解されたい。しかし、別の態様では、切断又はエッチングして、そこにスリットパターンを提供できる材料層を積み重ねたものを使用してスリットマスクが製造される。一例として、
図7A及び
図7Bは、本開示のある実施形態による、材料層を積み重ねたものから製造されたスリットマスクの斜視図の700及び断面図の702をそれぞれ例示する。
図7A及び
図7Bを参照すると、マスクのスリット750の寸法は、マスクを製造するために使用される単一層の厚さにより決定される。このような一実施形態では、個々の層は、積み重ねられ互いに結合された個々のシリコンウェハである。
【0067】
よって、高効率の太陽電池用途を目標とする、パターニング能力を有する新たな高スループットイオン注入ツールの導入は、バックコンタクト(IBC)太陽電池の製造に適用でき得る。具体的には、物理的及び化学的な変化がイオン注入工程の実施に関連する場合、そのような注入を利用して、自己整合したトレンチパターンの形成を可能にすることができる。
【0068】
全体として、特定の材料が具体的に上述されているが、一部の材料が他の材料と容易に置き換えられてよく、他のこのような実施形態は本開示の実施形態の主旨及び範囲に留まる。例えば、ある実施形態では、III−V族材料の材料基板など、異なる材料基板をシリコン基板の代わりに使用することができる。別の実施形態では、多結晶(polycrystalline or multi-crystalline)シリコン基板が使用される。更に、太陽電池の裏面のエミッタ領域に対するN+そしてP+型のドーピングの順序付けが具体的に記述されているが、予想される他の実施形態は、導電型の反対の順序付け、例えばP+そしてN+型のドーピングをそれぞれ含むことを理解されたい。加えて、バックコンタクト太陽電池の構成がかなり参照されるが、本明細書に記述される手法が、フロントコンタクト太陽電池にも適用され得ることを理解されたい。概して、本明細書に記述される実施形態は、高効率のバックコンタクト(IBC)型の太陽電池を製造するための、より低コストで高スループットのイオン注入プラットフォームを提供するために実施され得る。特定の実施形態は、注入により形成されたエミッタ領域間に自己整合したトレンチを作り出すための有利な手法を提供することができる。
【0069】
よって、イオン注入を使用して太陽電池のエミッタ領域を製造する方法及び結果として得られる太陽電池が開示されてきた。
【0070】
特定の実施形態が上述されているが、これらの実施形態は、特定の特徴に関して単一の実施形態のみが記述される場合でも、本開示の範囲を限定することを意図していない。本開示で提供される特徴の例は、別段の定めがない限り、限定ではなく例示を意図している。上記の説明は、この開示の利益を有する当業者にとって明らかであるように、このような代替形態、変更形態、及び等価形態を包含することを意図している。
【0071】
本開示の範囲は、本明細書において対処される課題のいずれか又は全てを軽減するかどうかに拘らず、本明細書に(明示的又は暗示的に)開示する任意の特徴若しくは特徴の任意の組合せ、又はそれらの任意の一般化を含む。したがって、特徴のそのような任意の組合せについて、この出願(又はこの出願に対する優先権を主張する出願)の手続き中に新たな請求項が作られてもよい。具体的には、添付の請求項に関連して、従属請求項による特徴が独立請求項の特徴と組み合わされてもよく、添付の請求項に列挙された特定の組合せのみならず、それぞれの独立請求項による特徴が任意の適当な方法で組み合わされてもよい。
【0072】
ある実施形態では、太陽電池の交互するN型及びP型のエミッタ領域を製造する方法が、基板上にシリコン層を形成する段階を含む。方法は、第1の導電型のドーパント不純物種をシリコン層に注入して、第1の注入領域を形成し、シリコン層の非注入領域を生じさせる段階も含む。方法は、付随的な不純物種をシリコン層の第1の注入領域に注入する段階も含み、付随的な不純物種は、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる。方法は、反対の第2の導電型のドーパント不純物種をシリコン層の非注入領域の一部に注入して、第2の注入領域を形成し、シリコン層の残りの非注入領域を生じさせる段階も含む。方法は、第1の注入領域の少なくとも一部分を維持し、シリコン層の第2の注入領域を維持する選択性エッチングプロセスを用いて、シリコン層の残りの非注入領域を除去する段階も含む。方法は、シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をアニールして、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成する段階も含む。
【0073】
一実施形態では、付随的な不純物種をシリコン層の第1の注入領域に注入する段階は、第1の注入領域のそれぞれ1つについて付随的な不純物種の対応する領域を形成する段階を含み、付随的な不純物種の対応する領域の全体は、第1の注入領域のそれぞれ1つ内にある。
【0074】
一実施形態では、第1の注入領域のそれぞれ1つについて付随的な不純物種の対応する領域を形成する段階は、第1の注入領域のそれぞれ1つの幅よりも狭い幅を有する付随的な不純物種の対応する領域を形成する段階を含む。
【0075】
一実施形態では、シリコン層の残りの非注入領域を除去する段階は、付随的な不純物種の対応する領域を含まない第1の注入領域のそれぞれの部分を除去する段階を更に含む。
【0076】
一実施形態では、第1の注入領域のそれぞれ1つについて付随的な不純物種の対応する領域を形成する段階は、第1の注入領域のそれぞれ1つの深さよりも浅い深さをシリコン層内に有する付随的な不純物種の対応する領域を形成する段階を含む。
【0077】
一実施形態では、シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をアニールする段階は、選択性エッチングプロセスを用いてシリコン層の残りの非注入領域を除去した後にアニールを実施する段階を含む。
【0078】
一実施形態では、シリコン層を形成する段階は、減圧化学気相成長(LPCVD)又はプラズマ促進化学気相成長(PECVD)を使用して非晶質シリコン層を形成する段階を含む。
【0079】
一実施形態では、第1の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、リン又はヒ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、第2の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、ホウ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、付随的な不純物種を第1の注入領域に注入する段階は、窒素の原子又はイオン、炭素の原子又はイオン、及び酸素の原子又はイオンからなる群から選択された種を注入する段階を含む。
【0080】
一実施形態では、リン又はヒ素の原子又はイオンを注入する段階は、約1E19−1E20atoms/cm
3の範囲のリン又はヒ素の原子の濃度をシリコン層内に形成するように注入する段階を含み、ホウ素の原子又はイオンを注入する段階は、約1E19−1E20atoms/cm
3の範囲のホウ素原子の濃度をシリコン層内に形成するように注入する段階を含み、窒素の原子又はイオン、炭素の原子又はイオン、及び酸素の原子又はイオンからなる群から選択された種を注入する段階は、それぞれ約1E19−1E21atoms/cm
3の範囲の窒素原子、炭素原子、又は酸素原子の濃度をシリコン層内に形成するように注入する段階を含む。
【0081】
一実施形態では、第1の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、第1のスリットパターンを有する第1のシャドウマスクを通じて注入する段階を含み、付随的な不純物種を第1の注入領域に注入する段階は、第1のスリットパターンを有する第2のシャドウマスクを通じて注入する段階を含み、第2の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、異なる第2のスリットパターンを有する第3のシャドウマスクを通じて注入する段階を含む。
【0082】
一実施形態では、第2のシャドウマスクを通じて注入する段階は、第1のシャドウマスクのスリットよりも狭い寸法のスリットを有する第2のシャドウマスクを通じて注入する段階を含む。
【0083】
一実施形態では、第1、第2、及び第3のシャドウマスクを通じて注入する段階は、第1、第2、及び第3の固定グラファイトシャドウマスクをそれぞれ通じて注入する段階を含み、第1、第2、及び第3の固定グラファイトシャドウマスクは、注入する段階中にシリコン層に近接しているが、シリコン層に接触していない。
【0084】
一実施形態では、第1のスリットパターン及び第2のスリットパターンは、一緒に一次元の互いにかみ合ったフィンガーパターンを形成する。
【0085】
一実施形態では、選択性エッチングプロセスを用いてシリコン層の残りの非注入領域を除去する段階は、水酸化物を主成分とするウェットエッチング液を使用する段階を含み、方法は、シリコン層の残りの非注入領域を除去する際に露出した基板の部分を、選択性エッチングプロセスを使用してテクスチャ化する段階を更に含む。
【0086】
一実施形態では、シリコン層を形成する段階は、基板に配置された薄い酸化物層にシリコン層を形成する段階を含み、基板は単結晶シリコン基板である。
【0087】
一実施形態では、方法は、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域に電気的に接続された導電性コンタクトを形成する段階を更に含む。
【0088】
ある実施形態では、太陽電池の交互するN型及びP型のエミッタ領域を製造する方法が、基板上にシリコン層を形成する段階を含む。方法は、第1の導電型のドーパント不純物種をシリコン層に注入して、第1の注入領域を形成し、シリコン層の非注入領域を生じさせる段階も含む。方法は、シリコン層の第1の注入領域の浅い表層を改質する段階も含み、改質は、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる付随的な不純物種の前駆体を流すことにより実施される。方法は、反対の第2の導電型のドーパント不純物種をシリコン層の非注入領域の一部に注入して、第2の注入領域を形成し、シリコン層の残りの非注入領域を生じさせる段階も含む。方法は、第1の注入領域の少なくとも一部分を維持し、シリコン層の第2の注入領域を維持する選択性エッチングプロセスを用いて、シリコン層の残りの非注入領域を除去する段階も含む。方法は、シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をアニールして、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成する段階も含む。
【0089】
一実施形態では、第1の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、リン又はヒ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、第2の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、ホウ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、付随的な不純物種の前駆体を流すことは、メタン(CH
4)又はエチレン(C
2H
4)の交差流の導入を含む。
【0090】
ある実施形態では、バックコンタクト太陽電池が、受光面及び裏面を有する結晶シリコン基板を含む。第1の多結晶シリコンエミッタ領域が結晶シリコン基板上に配置され、第1の多結晶シリコンエミッタ領域は、第1の導電型のドーパント不純物種を用いてドープされ、第1の導電型のドーパント不純物種とは異なる付随的な不純物種を更に含む。第2の多結晶シリコンエミッタ領域が、結晶シリコン基板上に配置され、第1の多結晶シリコンエミッタ領域に隣り合うが、第1の多結晶シリコンエミッタ領域から分離されている。第2の多結晶シリコンエミッタ領域は、反対の第2の導電型のドーパント不純物種を用いてドープされる。第1及び第2の導電性コンタクト構造が、第1及び第2の多結晶シリコンエミッタ領域にそれぞれ電気的に接続される。
【0091】
一実施形態では、第1の導電型のドーパント不純物種は、リン又はヒ素の原子を含み、第2の導電型のドーパント不純物種は、ホウ素原子を含み、付随的な不純物種は、窒素原子、炭素原子、及び酸素原子からなる群から選択された種を含む。
(項目1)
太陽電池の交互するN型及びP型のエミッタ領域を製造する方法であって、
基板上にシリコン層を形成する段階と、
第1の導電型のドーパント不純物種を上記シリコン層に注入して、第1の注入領域を形成し、上記シリコン層の非注入領域を生じさせる段階と、
付随的な不純物種を上記シリコン層の上記第1の注入領域に注入する段階であって、上記付随的な不純物種は、上記第1の導電型の上記ドーパント不純物種とは異なる、段階と、
反対の第2の導電型のドーパント不純物種を上記シリコン層の上記非注入領域の一部に注入して、第2の注入領域を形成し、上記シリコン層の残りの非注入領域を生じさせる段階と、
上記第1の注入領域の少なくとも一部分を維持し、上記シリコン層の上記第2の注入領域を維持する選択性エッチングプロセスを用いて、上記シリコン層の上記残りの非注入領域を除去する段階と、
上記シリコン層の上記第1の注入領域及び上記第2の注入領域をアニールして、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成する段階とを備える、方法。
(項目2)
付随的な不純物種を上記シリコン層の上記第1の注入領域に注入する段階は、上記第1の注入領域のそれぞれ1つについて上記付随的な不純物種の対応する領域を形成する段階を含み、上記付随的な不純物種の上記対応する領域の全体は、上記第1の注入領域の上記それぞれ1つ内にある、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記第1の注入領域の上記それぞれ1つについて上記付随的な不純物種の上記対応する領域を形成する段階は、上記第1の注入領域の上記それぞれ1つの幅よりも小さな幅を有する上記付随的な不純物種の上記対応する領域を形成する段階を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記シリコン層の上記残りの非注入領域を除去する段階は、上記付随的な不純物種の上記対応する領域を含まない上記第1の注入領域のそれぞれの部分を除去する段階を更に含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
上記第1の注入領域の上記それぞれ1つについて上記付随的な不純物種の上記対応する領域を形成する段階は、上記第1の注入領域の上記それぞれ1つの深さよりも浅い深さを上記シリコン層内に有する上記付随的な不純物種の上記対応する領域を形成する段階を含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
上記シリコン層の上記第1の注入領域及び上記第2の注入領域をアニールする段階は、上記選択性エッチングプロセスを用いて上記シリコン層の上記残りの非注入領域を除去した後に上記アニールを実施する段階を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記シリコン層を形成する段階は、減圧化学気相成長(LPCVD)又はプラズマ促進化学気相成長(PECVD)を使用して非晶質シリコン層を形成する段階を含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記第1の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、リン又はヒ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、上記第2の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、ホウ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、付随的な不純物種を上記第1の注入領域に注入する段階は、窒素の原子又はイオン、炭素の原子又はイオン、及び酸素の原子又はイオンからなる群から選択された種を注入する段階を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
リン又はヒ素の原子又はイオンを注入する段階は、約1E19−1E20atoms/cm3の範囲のリン又はヒ素の原子の濃度を上記シリコン層内に形成するように注入する段階を含み、ホウ素の原子又はイオンを注入する段階は、約1E19−1E20atoms/cm3の範囲のホウ素原子の濃度を上記シリコン層内に形成するように注入する段階を含み、窒素の原子又はイオン、炭素の原子又はイオン、及び酸素の原子又はイオンからなる群から選択された種を注入する段階は、約1E19−1E21atoms/cm3の範囲の窒素原子、炭素原子、又は酸素原子それぞれの濃度を上記シリコン層内に形成するように注入する段階を含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記第1の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、第1のスリットパターンを有する第1のシャドウマスクを通じて注入する段階を含み、付随的な不純物種を上記第1の注入領域に注入する段階は、上記第1のスリットパターンを有する第2のシャドウマスクを通じて注入する段階を含み、上記第2の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、異なる第2のスリットパターンを有する第3のシャドウマスクを通じて注入する段階を含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
上記第2のシャドウマスクを通じて注入する段階は、上記第1のシャドウマスクのスリットよりも狭い寸法のスリットを有する上記第2のシャドウマスクを通じて注入する段階を含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記第1、上記第2、及び上記第3のシャドウマスクを通じて注入する上記段階は、第1、第2、及び第3の固定グラファイトシャドウマスクをそれぞれ通じて注入する段階を含み、上記第1、上記第2、及び上記第3の固定グラファイトシャドウマスクは、注入する上記段階中に上記シリコン層に近接しているが、上記シリコン層に接触していない、項目10に記載の方法。
(項目13)
上記第1のスリットパターン及び上記第2のスリットパターンは、一緒に一次元の互いにかみ合ったフィンガーパターンを形成する、項目10に記載の方法。
(項目14)
上記選択性エッチングプロセスを用いて上記シリコン層の上記残りの非注入領域を除去する段階は、水酸化物を主成分とするウェットエッチング液を使用する段階を含み、上記方法は、上記シリコン層の上記残りの非注入領域を除去する際に露出した上記基板の部分を、上記選択性エッチングプロセスを使用してテクスチャ化する段階を更に含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
上記シリコン層を形成する段階は、上記基板に配置された薄い酸化物層に上記シリコン層を形成する段階を含み、上記基板は単結晶シリコン基板である、項目1に記載の方法。
(項目16)
上記ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域に電気的に接続された導電性コンタクトを形成する段階を更に含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
太陽電池の交互するN型及びP型のエミッタ領域を製造する方法であって、
基板上にシリコン層を形成する段階と、
第1の導電型のドーパント不純物種を上記シリコン層に注入して、第1の注入領域を形成し、上記シリコン層の非注入領域を生じさせる段階と、
上記シリコン層の上記第1の注入領域の浅い表層を改質する段階であって、上記改質する段階は、上記第1の導電型の上記ドーパント不純物種とは異なる付随的な不純物種の前駆体を流すことにより実施される、段階と、
反対の第2の導電型のドーパント不純物種を上記シリコン層の上記非注入領域の一部に注入して、第2の注入領域を形成し、上記シリコン層の残りの非注入領域を生じさせる段階と、
上記第1の注入領域の少なくとも一部分を維持し、上記シリコン層の上記第2の注入領域を維持する選択性エッチングプロセスを用いて、上記シリコン層の上記残りの非注入領域を除去する段階と、
上記シリコン層の上記第1の注入領域及び上記第2の注入領域をアニールして、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成する段階とを含む、方法。
(項目18)
上記第1の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、リン又はヒ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、上記第2の導電型のドーパント不純物種を注入する段階は、ホウ素の原子又はイオンを注入する段階を含み、上記付随的な不純物種の上記前駆体を流す段階は、メタン(CH4)又はエチレン(C2H4)の交差流の導入を含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
受光面及び裏面を有する結晶シリコン基板と、
上記結晶シリコン基板上に配置された第1の多結晶シリコンエミッタ領域であって、第1の導電型のドーパント不純物種を用いてドープされ、上記第1の導電型の上記ドーパント不純物種とは異なる付随的な不純物種を更に含む、第1の多結晶シリコンエミッタ領域と、
上記結晶シリコン基板上に配置され、上記第1の多結晶シリコンエミッタ領域に隣り合うが、上記第1の多結晶シリコンエミッタ領域から分離されている第2の多結晶シリコンエミッタ領域であって、反対の第2の導電型のドーパント不純物種を用いてドープされている、第2の多結晶シリコンエミッタ領域と、
上記第1及び上記第2の多結晶シリコンエミッタ領域にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の導電性コンタクト構造体とを備える、バックコンタクト太陽電池。
(項目20)
上記第1の導電型の上記ドーパント不純物種は、リン又はヒ素の原子を含み、上記第2の導電型の上記ドーパント不純物種は、ホウ素原子を含み、上記付随的な不純物種は、窒素原子、炭素原子、及び酸素原子からなる群から選択された種を含む、項目19に記載のバックコンタクト太陽電池。