(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552013
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】マルチレートECG処理を使用するR−R間隔の測定
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0456 20060101AFI20190722BHJP
A61B 5/04 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
A61B5/04 312R
A61B5/04ZDM
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-200902(P2017-200902)
(22)【出願日】2017年10月17日
(62)【分割の表示】特願2015-531195(P2015-531195)の分割
【原出願日】2013年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-38830(P2018-38830A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年11月10日
(31)【優先権主張番号】13/607,160
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515058422
【氏名又は名称】ヴァイタル コネクト,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Vital Connect,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ナラシマーン,ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】フェルドシ,ニマ
【審査官】
門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0066053(US,A1)
【文献】
米国特許第05355891(US,A)
【文献】
特表2009−528909(JP,A)
【文献】
特開2001−204714(JP,A)
【文献】
特開2005−118193(JP,A)
【文献】
特開2010−094236(JP,A)
【文献】
特開平08−336502(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0123232(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0402−5/0472
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのR−R間隔を測定するための方法において、
前記ユーザの心電図(ECG)信号を検出するステップと、
前記ECG信号に対してQRSピーク検出を行って低分解能ピークを取得するステップと、
前記低分解能ピークの左右に広がるある範囲のECGサンプル点を探索することによって、前記低分解能ピークの近位で高分解能ピークを探索するステップと、
前記高分解能ピークに基づいて前記R−R間隔測定値を計算するステップと
を含むこと
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記検出するステップが、高いサンプリングレートで行われ、
アンチエイリアシングフィルタを使用して前記ECG信号をフィルタリングするステップと、
アナログ−デジタル変換器(ADC)を使用して前記ECG信号をアナログ領域からデジタル領域に変換するステップと、
バンドパスフィルタを使用して前記デジタルECG信号をフィルタリングするステップと、
前記デジタルECG信号を低いサンプリングレートでダウンサンプリングするステップと、
前記ダウンサンプリングされたECG信号のピークを検出するために、デジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを使用して前記デジタルECG信号の少なくとも1つのECGサンプルを処理するステップと、
前記ダウンサンプリングされたECG信号の前記ピーク付近で、前記高いサンプリングレートで前記高分解能ピークを探索するステップと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記検出するステップが、低いサンプリングレートで行われ、
アンチエイリアシングフィルタを使用して前記ECG信号をフィルタリングするステップと、
アナログ−デジタル変換器(ADC)を使用して前記ECG信号をアナログ領域からデジタル領域に変換するステップと、
バンドパスフィルタを使用して前記デジタルECG信号をフィルタリングするステップと、
デジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを使用して前記デジタルECG信号を処理して、前記低分解能ピークを検出するステップと、
前記低分解能ピーク付近で前記高分解能ピークを探索するステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記処理するステップが、
前記ダウンサンプリングされたECG信号のピークを検出するために、ロバストなデジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを使用して前記デジタルECG信号の4つ毎のECGサンプルを処理するステップ
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、ECGサンプル点の前記範囲が、前記低分解能ピークの左に3点から右に3点まで及ぶことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記探索するステップが、
前記範囲の間を補間して、高分解能の補間サンプルを得るステップと、
前記高分解能の補間サンプルの中から探索して、前記高分解能ピークを決定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
ECGサンプル点の前記範囲が、前記低分解能ピークの左に10点から右に10点まで及び、前記高分解能の補間サンプルの中からの探索が、前記高分解能の補間サンプルの左に3点から右に3点まで及ぶことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記計算するステップが、
前記高分解能ピークを前に計算された別の高分解能ピークと比較して、前記R−R間隔計算値を計算するステップ
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
少なくとも1つの電極を介して前記ユーザにワイヤレスセンサデバイスを取り付けるステップと、
前記ワイヤレスセンサデバイスによって前記ユーザの前記ECG信号を検出するステップと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記低分解能ピークが、125HzのサンプリングレートでのQRSピークであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記高分解能ピークが、500HzのサンプリングレートでのQRSピークであることを特徴とする方法。
【請求項12】
ユーザのR−R間隔を測定するためのワイヤレスセンサデバイスにおいて、
処理装置と、
前記処理装置に結合されたメモリデバイスを備え、前記メモリデバイスが、実行可能な命令を含み、前記実行可能な命令が、前記処理装置によって実行されるときに、
検出された前記ユーザの心電図(ECG)信号に基づいてQRSピーク検出を行って低分解能ピークを取得すること、
前記低分解能ピークの左右に広がるある範囲のECGサンプル点を探索することによって、前記低分解能ピークの近位で高分解能ピークを決定すること、および
前記高分解能ピークに基づいて前記R−R間隔測定値を計算すること
を前記処理装置に行わせること
を特徴とするワイヤレスセンサデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のワイヤレスセンサデバイスにおいて、
前記ワイヤレスセンサデバイスの回路が、アンチエイリアシングフィルタを使用して前記ECG信号をフィルタリングし、アナログ−デジタル変換器(ADC)を使用して前記ECG信号をデジタルECG信号に変換し、バンドパスフィルタを使用して前記デジタルECG信号をフィルタリングし、前記検出が、高いサンプリングレートであり、前記実行可能な命令が、前記処理装置によって実行されるときに、
前記デジタルECG信号を低いサンプリングレートでダウンサンプリングすること、
前記ダウンサンプリングされたECG信号のピークを検出するために、デジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを使用して前記デジタルECG信号の少なくとも1つのECGサンプルを処理すること、および
前記ダウンサンプリングされたECG信号の前記ピーク付近で、前記高いサンプリングレートで前記高分解能ピークを探索すること
を前記処理装置にさらに行わせることを特徴とするワイヤレスセンサデバイス。
【請求項14】
請求項12に記載のワイヤレスセンサデバイスにおいて、
前記ワイヤレスセンサデバイスの回路が、アンチエイリアシングフィルタを使用して前記ECG信号をフィルタリングし、アナログ−デジタル変換器(ADC)を使用して前記ECG信号をデジタルECG信号に変換し、バンドパスフィルタを使用して前記デジタルECG信号をフィルタリングし、前記検出が、低いサンプリングレートであり、前記実行可能な命令が、前記処理装置によって実行されるときに、
デジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを使用して前記デジタルECG信号を処理して、前記低分解能ピークを検出すること、および
前記低分解能ピーク付近で前記高分解能ピークを探索すること
を前記処理装置にさらに行わせることを特徴とするワイヤレスセンサデバイス。
【請求項15】
請求項13に記載のワイヤレスセンサデバイスにおいて、
前記処理することが、
前記ダウンサンプリングされたECG信号のピークを検出するために、ロバストなデジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを使用して前記デジタルECG信号の4つ毎のECGサンプルを処理すること
をさらに含むことを特徴とするワイヤレスセンサデバイス。
【請求項16】
請求項12に記載のワイヤレスセンサデバイスにおいて、
ECGサンプル点の範囲が、前記低分解能ピークの左に3点から右に3点まで及ぶ
ことを特徴とするワイヤレスセンサデバイス。
【請求項17】
請求項12に記載のワイヤレスセンサデバイスにおいて、
前記探索することが、
前記範囲の間を補間して、高分解能の補間サンプルを得ること、および
前記高分解能の補間サンプルの中から探索して、前記高分解能ピークを決定すること
をさらに含むことを特徴とするワイヤレスセンサデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のワイヤレスセンサデバイスにおいて、
ECGサンプル点の前記範囲が、前記低分解能ピークの左に10点から右に10点まで及び、前記高分解能の補間サンプルの中からの探索が、前記高分解能の補間サンプルの左に3点から右に3点まで及ぶこと
を特徴とするワイヤレスセンサデバイス。
【請求項19】
請求項12に記載のワイヤレスセンサデバイスにおいて、
前記計算することが、前記高分解能ピークを前に計算された別の高分解能ピークと比較して、前記R−R間隔計算値を計算すること
をさらに含むことを特徴とするワイヤレスセンサデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、ワイヤレスセンサデバイスに関し、より詳細には、マルチレートECG処理を使用してR−R間隔を測定するワイヤレスセンサデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレスセンサデバイスは、ユーザの心機能測定を含めた様々な用途で使用される。これらの用途の多くにおいて、ワイヤレスセンサデバイスは、特定のデータを測定するためにユーザの皮膚に直接取り付けられる。この測定されたデータを様々な低複雑性の心機能測定アルゴリズムと組み合わせることにより、ワイヤレスセンサデバイスによってユーザの心機能測定値が計算される。ウェアラブルセンサ環境に典型的な欠点として、そのようなアルゴリズムの性能を劣化させるモーションアーチファクト雑音およびベースライン変動が挙げられる。
【0003】
その結果、ロバストな心機能測定アルゴリズムを作成するためにさらなる処理が必要とされる。そのような処理は大量の数学的計算を必要とし、そのため、ワイヤレスセンサデバイスのマイクロプロセッサがより高い電力を消費することになる。したがって、ロバストな心機能測定アルゴリズムの利点を利用すると共に、これらのアルゴリズムの実行に必要とされる電力消費を最小限にする電力効率の良い解決策が強く求められている。本発明は、そのような必要性に応える。
【発明の概要】
【0004】
ユーザのR−R間隔を測定するための方法およびシステムが開示される。第1の態様では、この方法は、ユーザの心電図(ECG)信号を検出するステップを含む。この方法は、ECG信号に対してQRSピーク検出を行って低分解能ピークを取得するステップと、前記低分解能ピークの左右に広がるある範囲のECGサンプル点を探索することによって、低分解能ピーク付近で高分解能ピークを探索するステップとを含む。この方法は、高分解能ピークに基づいてR−R間隔測定値を計算するステップを含む。
【0005】
第2の態様では、ワイヤレスセンサデバイスが、処理装置と、処理装置に結合されたメモリデバイスとを備え、メモリデバイスが、実行可能な命令ンを含み、実行可能な命令が、処理装置によって実行されるときに、検出された前記ユーザの心電図(ECG)信号に対してQRSピーク検出を行って低分解能ピークを取得すること、前記低分解能ピークの左右に広がるある範囲のECGサンプル点を探索することによって、低分解能ピークの近位で高分解能ピークを決定すること、および高分解能ピークに基づいてR−R間隔測定値を計算することを処理装置に行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を例示し、本明細書と合わせて本発明の原理を説明するものである。図面に示される特定の実施形態は単に例示にすぎず、本発明の範囲を限定することは意図されていないことを当業者は容易に理解されよう。
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態によるワイヤレスセンサデバイスを示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による方法の流れ図である。
【
図3】
図3は、一実施形態によるピーク検出のグラフを示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による方法のより詳細な流れ図である。
【
図5】
図5は、一実施形態による方法のより詳細な流れ図である。
【
図6】
図6は、一実施形態によるR−R間隔のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、ワイヤレスセンサデバイスに関し、より詳細には、マルチレート心電図(ECG)処理を使用してR−R間隔を測定するワイヤレスセンサデバイスに関する。以下の説明は、当業者が本発明を形成および使用できるようにするために提示され、特許出願およびその要件の文脈で提供される。本明細書で述べられる好ましい実施形態ならびに全般的な原理および特徴に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであろう。したがって、本発明は、図示される実施形態に限定されることは意図されず、本明細書で述べる原理および特徴と一貫性がある最も広範な範囲を与えられるものとする。
【0009】
R−R間隔の計算は、心電図(ECG)における2つの連続するR波の間での経過時間を表す。ユーザのECGに基づいてR−R間隔を測定するために、ワイヤレスセンサデバイスの電極がユーザの身体に取り付けられて、ECG信号を検出する。次いで、この信号は、アナログ−デジタル変換器(ADC)を使用してアナログ領域からデジタル領域に変換される。R−R間隔測定の精度は、元のアナログ形態に対するECG信号のデジタル形態の忠実度に依存する。ECG信号のサンプリングレートが高ければ高いほど、R−R間隔測定がより正確になるが、その一方で電力消費の増加によりバッテリ寿命が縮まる。電力消費の増加は、ワイヤレスセンサデバイスが単位時間当たりにさらに多くの数学的演算を計算することにより生じる。
【0010】
限定はしないが適格ピーク検出を含めた様々な低複雑性の心機能測定アルゴリズムは、計算が単純であり、最適な条件および比較的低いサンプリングレートの下で適切な性能を実現する。これらのアルゴリズムにより、ECG信号は、ベースラインおよび帯域雑音を除去するためにバンドパスフィルタに通される。所定の期間にわたってECG信号の極大値が見つけられる。極大値がQRSピークとみなされるためには、識別された極大値が特定のピークしきい値よりも高くなければならず、このピークしきい値は、雑音またはT波複素数成分により生じるピークを棄却する助けとなる。ピークしきい値は、限定はしないが、前に検出されたピークの平均値の関数であるしきい値(これは、ECG信号の変化にアルゴリズムが適応できるようにする)、および本発明の精神および範囲内に含まれるしきい値を含めた様々なしきい値でよいことを当業者は容易に理解されよう。
【0011】
本発明による方法およびシステムは、マルチレートECG処理を使用して、ロバストであり低電力のR−R間隔測定を提供する。少なくとも1つの電極を含むワイヤレスセンサデバイスをユーザに取り付けてECG信号を検出することによって、ロバストなDSPピーク検出アルゴリズムにより必要とされるよりも高いサンプリングレートでアナログECG信号をサンプリングすることで、またはロバストなDSPピーク検出アルゴリズムにより検出されている低分解能ピーク付近でデジタルECG信号を再サンプリングすることで、高分解能ピーク検出が実現される。検出された高分解能ピークを利用して、ユーザのR−R間隔測定値を計算し、限定はしないが心拍数および心拍数変動測定値を含めた様々な心機能測定値を得る。
【0012】
限定はしないが3軸加速度計、1軸加速度計、2軸加速度計、ジャイロスコープ、電極システム、圧力センサ、および本発明の精神および範囲内に含まれるセンサを含めた様々なワイヤレスセンサデバイスを利用することができることを当業者は容易に理解されよう。
【0013】
本発明の特徴をより詳細に述べるために、次に、添付図面に関連付けて以下の説明を参照する。
【0014】
一実施形態では、ワイヤレスセンサデバイスがユーザに取り付けられ、限定はしないがユーザのECGサンプルを含めた様々なタイプのデータを連続的かつ自動的に取得する。ワイヤレスセンサデバイスの処理装置内部に埋め込まれたアプリケーションが、ECGサンプルを分析および比較して、ユーザの心機能測定値を測定する。
【0015】
図1は、一実施形態によるワイヤレスセンサデバイス100を示す。ワイヤレスセンサデバイス100は、センサ102と、センサ102に結合された処理装置104と、処理装置104に結合されたメモリ106と、メモリ106に結合されたアプリケーション108と、アプリケーション108に結合された送信機110とを含む。センサ102は、ユーザからデータを取得し、そのデータをメモリ106に送信し、さらにアプリケーション108に送信する。処理装置104は、ユーザのR−R間隔情報を測定するためにアプリケーション108を実行する。この情報は、限定はしないが心拍数および呼吸数を含めた他の有用な情報をさらに導出するためにアプリケーションによってローカルで使用されるか、または送信機110に送信され、さらに別のユーザまたはデバイスに中継される。
【0016】
一実施形態では、センサ102は2つの電極を備え、処理装置104はマイクロプロセッサである。処理装置104、メモリ106、アプリケーション108、送信機110、および本発明の精神および範囲内に含まれる構成要素に関して様々なデバイスを利用することができることを当業者は容易に理解されよう。
【0017】
図2は、一実施形態による方法200の流れ図を示す。
図1と
図2を合わせて参照すると、方法200は、ステップ202で、ワイヤレスセンサデバイス100がユーザの心電図(ECG)信号を検出することを含む。この方法は、ステップ204で、ECG信号に対してQRSピーク検出を行って低分解能ピークを取得すること、およびステップ206で、低分解能ピーク付近で高分解能ピークを探索することを含む。ステップ208で、高分解能ピークに基づいて、ユーザのR−R間隔測定値が計算される。この実施形態では、ワイヤレスセンサデバイス100内部に収容されたセンサ102が、ユーザのECG信号を測定する。別の実施形態では、ユーザのR−R間隔測定値の通知情報が、ワイヤレスセンサデバイス100によって別のユーザまたはデバイスに中継される。
【0018】
一実施形態では、ワイヤレスセンサデバイス100がユーザのECG信号を検出した後、適切に高いサンプリングレートを使用することによって、またはデジタル領域で信号を再サンプリングすることによって、またはその両方の方法によって、高忠実度のデジタルECG信号が獲得される。この実施形態では、ECG信号の複数のECGサンプルに対してQRSピーク検出が行われて、より低いサンプリングレートでQRSピークを取得する。より低いサンプリングレートでQRSピークを見つけた後、ワイヤレスセンサデバイス100は、より低いサンプリングレートでのQRSピークの近傍にある全てのECGサンプルの中から、より高いサンプリングレートで高分解能ピークを探索する。
図3は、一実施形態によるピーク検出のグラフ300を示す。このグラフ300において、ピーク302は、より低いサンプリング周波数で検出され、ピーク304は、その後、より高いサンプリング周波数で検出される。
【0019】
一実施形態では、ワイヤレスセンサデバイス100は、500HzでアナログECG信号をサンプリングし、アナログECG信号をADCに供給する。変換後、デジタルECG信号はバンドパスフィルタリングされ、デジタルECG信号の全てのECGサンプルが、毎秒500サンプルで、ピーク検出用のロバストなDSPアルゴリズムによって処理されて、高分解能ピークを出力する。この実施形態では、ピーク検出用のロバストなDSPアルゴリズムの出力が、R−R間隔計算に利用される。
【0020】
図4は、一実施形態による方法400のより詳細な流れ図を示す。方法400は、ピーク検出用のロバストなDSPアルゴリズムによって利用されるよりも高いサンプリングレートでユーザのアナログECG信号をサンプリングすることによって、電力消費量をより低くしながら高分解能ピークを検出する。一実施形態では、アナログECG信号は、毎秒500サンプル(500Hz)でサンプリングされ、ロバストなDSPアルゴリズムは、その計算のために毎秒125サンプル(125Hz)を利用する。
【0021】
方法400において、ワイヤレスセンサデバイスは、より高いサンプリングレートでユーザのアナログECG信号を検出する。一実施形態では、アナログECG信号は、500Hzでサンプリングされる。アナログECG信号は、ステップ402でアンチエイリアシングフィルタによってフィルタリングされ、ステップ404でADCによってデジタルECG信号に変換され、ステップ406でバンドパスフィルタによって再びフィルタリングされる。バンドパスフィルタリング後、デジタルECG信号は、ステップ408でダウンサンプルされ、ステップ410でロバストなDSPアルゴリズムによってより低いサンプリングレートで処理されて、低分解能ピーク412が検出される。したがって、デジタルECG信号のECGサンプルの部分集合が、ロバストなDSPアルゴリズムによって処理される。一実施形態では、部分集合は、デジタルECG信号の4つ毎のECGサンプル、または毎秒125サンプル(125Hz)を含む。
【0022】
ステップ414で、検出された低分解能ピーク412の左右への点の広がりにわたって探索することによって、元のより高いサンプリングレートで高分解能ピークが決定される。一実施形態では、点の広がりは、検出された低分解能ピーク412の左に3点から右に3点まで及ぶものである。決定された高分解能ピークは、ステップ416で、前に決定されたおよび/または後で決定される高分解能ピークと共に、R−R間隔を計算するために利用される。
【0023】
図5は、一実施形態による方法500のより詳細な流れ図を示す。方法500は、より低いサンプリングレートでユーザのアナログECG信号をサンプリングし、ピーク検出用のロバストなDSPアルゴリズムによって検出されている低分解能ピーク付近でデジタルECG信号を再サンプリングすることによって、電力消費量をより低くしながら高分解能ピークを検出する。一実施形態では、アナログECG信号は、毎秒125サンプル(125Hz)でサンプリングされる。
【0024】
方法500において、ワイヤレスセンサデバイスは、より低いサンプリングレートでユーザのアナログECG信号を検出する。一実施形態では、アナログECG信号は、125Hzでサンプリングされる。アナログECG信号は、ステップ502でアンチエイリアシングフィルタによってフィルタリングされ、ステップ504でADCによってデジタルECG信号に変換され、ステップ506でバンドパスフィルタによって再びフィルタリングされる。バンドパスフィルタリング後、ロバストなDSPアルゴリズムが、ステップ508でデジタルECG信号を処理して、低分解能ピーク510を検出する。
【0025】
ステップ512で、検出された低分解能ピーク510の左右への点の広がりを選択することによって、およびこれらの点の間を補間することでより高い時間分解能のECGサンプルを取得することによって、高分解能ピークが決定される。一実施形態では、点の広がりは、検出された低分解能ピーク510の左に10点から右に10点まで及ぶものである。
【0026】
補間後、ワイヤレスセンサデバイスは、ステップ514で、補間されたECGサンプルのうち、前に検出されたピークの左右への点の広がりにわたって、より高い時間分解能で高分解能ピークを探索する。一実施形態では、点の広がりは、補間されたECGサンプルのうち、前に検出されたピークの左に3点から右に3点まで及ぶものである。決定された高分解能ピークは、ステップ516で、前に決定されたおよび/または後で決定される高分解能ピークと共に、R−R間隔を計算するために利用される。
【0027】
図4および
図5によって表される手法は、ワイヤレスセンサデバイス100の電力消費要件を減少させる。
図4の第1の手法は、より低い処理電力を利用することによって電力節減を提供する。
図5の第2の手法は、より低いアナログ電力(より低いサンプリングレート)およびより低い処理電力(R−R間隔のより少ない計算頻度)を利用することによって電力節減を提供する。どちらの手法も、ユーザの心機能測定値を計算するためにワイヤレスセンサデバイス100によって利用されるR−R間隔計算値を出力する。
図6は、一実施形態によるR−R間隔のグラフ600を示す。このグラフ600では、R−R間隔602は、第1のQRSピークと第2のQRSピークの間に表される。
【0028】
上述したように、本発明の方法およびシステムは、マルチレートECG処理に基づくユーザのR−R間隔の測定を可能にする。ECG信号を検出するためにワイヤレスセンサデバイス内に少なくとも1つの電極を実装し、適切に高いサンプリングレートを使用することで、またはデジタル領域で信号を再サンプリングすることで、またはその両方で高忠実度のデジタルECG信号を獲得することによって、ワイヤレスセンサデバイスの電力消費量を減少させる電力効率の良いR−R間隔測定システムが実現される。
【0029】
ユーザのR−R間隔を測定するための方法およびシステムが開示されている。本明細書で述べる実施形態は、完全にハードウェアとしての実装形態、完全にソフトウェアとしての実装形態、またはハードウェア要素とソフトウェア要素との両方を含む実装形態を取ることができる。いくつかの実施形態は、限定はしないがアプリケーションソフトウェア、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含めたソフトウェアで実装することもできる。
【0030】
本明細書で述べるステップは、任意の適切な制御装置または処理装置、および任意の適切な記憶位置またはコンピュータ可読媒体に記憶することができるソフトウェアアプリケーションを使用して実施することができる。ソフトウェアアプリケーションは、本明細書で述べる機能を処理装置が行うことができるようにする命令を提供する。
【0031】
さらに、いくつかの実施形態は、コンピュータまたは任意の命令実行システムによる使用のため、またはそれに関連付けた使用のためのプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取ることもできる。本明細書では、コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによる使用のため、またはそれに関連付けた使用のためのプログラムを含む、記憶する、通信する、伝播する、または輸送することができる任意の装置でよい。
【0032】
媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、半導体システム(または装置またはデバイス)、または伝播媒体でよい。コンピュータ可読媒体の例としては、半導体またはソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、リジッド磁気ディスク、および光ディスクが挙げられる。現在の光ディスクの例としては、DVD、CD−ROM(compact disk−read−only memory)、およびCD−R/W(compact disk−read/write)が挙げられる。
【0033】
図示される実施形態に従って本発明を説明してきたが、それらの実施形態に対する変形形態があり得、それらの変形形態が本発明の精神および範囲内に含まれることを当業者は容易に理解されよう。したがって、当業者は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく多くの修正を施すことができる。