(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却凝縮装置を通過した前記ガス化ガスが通過するように、前記装置本体の前記通路内に前記冷却凝縮装置と並んで前記流出口側に設けられるとともに、下端面が前記貯留部に貯留された前記混濁液の液面より下方に位置され、前記冷却凝縮装置によって前記タールおよび水蒸気を除去された前記ガス化ガスにキャリーオーバーされて残存するタールおよび水を捕集して前記貯留部に貯留された前記混濁液中に落下させるエリミネータを備える請求項1に記載のガス化ガス冷却およびタール除去装置。
前記垂直な筒状の通路の前記流出口側下端部を屈曲させて水平な筒状の流出口側通路を前記装置本体に形成し、前記流出口を前記装置本体に、前記流出口側通路の端部に形成し、
前記冷却凝縮装置を通過した前記ガス化ガスが通過するように、前記流出口側通路内に前記流出口の上流側に設けられるとともに、下端面が前記貯留部に貯留された前記混濁液の液面より下方に位置され、前記冷却凝縮装置によって前記タールおよび水蒸気を除去された前記ガス化ガスにキャリーオーバーされて残存するタールおよび水を捕集して前記貯留部に貯留された前記混濁液中に落下させるエリミネータを備える請求項3に記載のガス化ガス冷却およびタール除去装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、高温のガス化ガスに含まれるタールを触媒などで分解、改質して除去するとともに、ボイラで冷却する装置は知られている。しかし、このような装置は、熱効率、タール除去の達成度合、簡便性の観点から問題が残されている。すなわち、特許文献1に記載のタール除去装置においては、タール分解装置での高温触媒によるタール除去だけでは、ガス化ガス中にかなり多くのタールが残存するので、600〜800℃の高温のガス化ガスをボイラで200℃程度に冷却するとき、ボイラの壁面にタールが付着し効率が悪くなる懸念がある。また、ガス化ガスは、冷却されたとき析出するダストを除塵するためにバグフィルタを通過される。バグフィルタを通過して150℃以下になったガス化ガスに残存するタールは洗浄塔によって除去されるが、洗浄塔の壁面に付着するタールは、超音波印加した水を壁面に対し接線方向から噴射して除去する必要がある。さらに、特許文献2に記載のタール除去装置では、生成ガスの冷却で得られた排熱を利用することは考慮されていない。
【0006】
本発明は、ガス化炉で生成された高温のガス化ガスを熱効率よく冷却するとともに、ガス化ガスの冷却時に得られる過熱蒸気を効率よく利用することができるガス化ガス冷却およびタール除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、装置本体と、高温のガス化ガスを中温に冷却する冷却装置と、前記中温に冷却されたガス化ガスに水蒸気を含ませる水吹付け装置と、前記水蒸気を含まされたガス化ガスを低温に冷却しタールおよび水蒸気を凝縮させて貯留部に貯留された水とタールとの混濁液中に落下させる冷却凝縮装置と、前記貯留部に貯留された前記混濁液の液面を所定位置に保持する液面保持装置と、前記ガス化ガスの冷却時に得られる過熱蒸気を利用するガス冷却・冷却熱回収回路と、で構成されるガス化ガス冷却およびタール除去装置である。
【0008】
前記装置本体は、ガス化炉から高温の前記ガス化ガスが流入する流入口と、低温に冷却され、かつタールを除去された前記ガス化ガスが流出する流出口と、前記流入口から前記流出口に向かって流動する前記ガス化ガスを案内する筒状の通路と、凝縮した水とタールの混濁液を貯留するために前記通路の底面に前記流出口側に凹状に形成され、下部に前記混濁液を排出するためのドレーン穴が形成された貯留部とが設けられている。
前記冷却装置は、前記流入口から流入した前記高温の前記ガス化ガスが通過するように、前記装置本体の前記通路内に前記流入口側に設けられ、前記高温の前記ガス化ガスを中温に冷却する。前記水吹付け装置は、前記冷却装置によって前記中温に冷却された前記ガス化ガスが通過するように、前記装置本体の前記通路内に前記冷却装置と並んで前記流出口側に設けられ、前記中温に冷却された前記ガス化ガスに水蒸気または噴霧水を吹き付けて前記中温に冷却された前記ガス化ガスに水蒸気を多く含ませて水蒸気リッチな状態にする。前記冷却凝縮装置は、前記水吹付け装置を通過した前記ガス化ガスが通過するように、前記装置本体の前記通路内に前記吹付け装置と並んで前記流出口側に設けられ、前記水吹付け装置によって水蒸気を含まされたガス化ガスを低温に冷却し、前記ガス化ガスに含まれる前記タールおよび水蒸気を凝縮させて前記貯留部に貯留された前記混濁液中に落下させて除去する。前記液面保持装置は、前記貯留部に貯留された前記混濁液の液面を所定位置に保持する。前記ガス冷却・冷却熱回収回路は、給水装置から供給される冷却水を前記冷却凝縮装置の冷却凝縮コイルの入口に供給し、前記冷却凝縮コイルの出口から流出する水蒸気を前記冷却コイルの入口に供給し、前記冷却コイルの出口から流出する過熱蒸気を過熱蒸気利用装置に供給する。
【0009】
前記筒状の通路は前記装置本体に水平に設けてもよく、或は垂直に設けてもよい。水平に設ける場合は、前記冷却凝縮装置は、下端面が前記貯留部に貯留された前記混濁液の液面より下方に位置される。
【発明の効果】
【0010】
このような構成によると、高温のガス化ガスを冷却装置によって中温に冷却し、中温に冷却され水吹付け装置によって水蒸気リッチな状態にされたガス化ガスを冷却凝縮装置によって低温に冷却するために、ガス冷却・冷却熱回収回路は、給水装置から供給される冷却水を前記冷却凝縮装置の冷却凝縮コイルの入口に供給し、前記冷却凝縮コイルの出口から流出する水蒸気を前記冷却装置の冷却コイルの入口に供給し、前記冷却コイルの出口から流出する過熱蒸気を過熱蒸気利用装置に供給する。これにより、高温のガス化ガスを低温に冷却するときに得られる過熱蒸気を効率よく利用することができる。
【0011】
さらに、前記冷却装置によって中温に冷却されたガス化ガスに水吹付け装置によって水蒸気または噴霧水を吹付けて水蒸気リッチな状態にするので、中温のガス化ガスを簡素な構成で水蒸気リッチな状態にすることができる。そして、この水蒸気リッチなガス化ガスが前記冷却凝縮装置によって冷却されて凝縮したタールは、水蒸気や水に覆われて壁面に付着しにくい状態で下方に落下して除去されるので、タールが冷却凝縮コイルの外面に付着して冷却凝縮装置の冷却機能を低下させることを防止することができる。これにより、高温のガス化ガスを熱効率よく冷却するとともに、高温のガス化ガス中に含まれるタールを簡素な構成で効率的に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.第1の実施形態の構成
第1の実施形態に係るガス化ガス冷却およびタール除去装置1は、
図1に示すように、装置本体10と、高温のガス化ガスを中温に冷却する冷却装置20、中温に冷却されたガス化ガスに水蒸気を含ませる水吹付け装置30、水蒸気を含んだガス化ガスを低温に冷却しタールおよび水蒸気を凝縮させて貯留部14に貯留されたタールと水との混濁液16中に落下させる冷却凝縮装置40、冷却凝縮装置40を通過したガス化ガスにキャリーオーバーされて残存するタールおよび水を捕集するエリミネータ50、貯留部14に貯留された混濁液16の液面17を所定位置に保持する液面保持装置60、ガス化ガスを冷却するとともに、冷却熱を回収するガス冷却・冷却熱回収回路70により構成される。
【0014】
装置本体10は、内部に横長の通路11が形成され、外周を断熱材で覆われた筐体である。通路11の上流側端面には、ガス化炉2から高温のガス化ガスが流入する流入口12が形成され、下流側には、低温に冷却され、かつタールを除去されたガス化ガスが流出する流出口13が形成されている。通路11は水平な筒状であり、流入口12から流出口13に向かってガス流動方向18に流動するガス化ガスを案内する。装置本体10の下板である通路11の底面には、凝縮した水とタールが混じった混濁液16を貯留するための凹状の貯留部14が、流出口13側の所定範囲に亘って形成されている。貯留部14の下部には、混濁液16を排出するためのドレーン穴15が形成されている。貯留部14の底面は、ドレーン穴15が低位となるように傾斜している。ガス化炉2は、間伐材、排木材、稲わら、麦わら、もみがら、コーン等のバイオマス、好ましくは、木質バイオマスからガス化ガスを生成する公知の装置である。
【0015】
冷却装置20は、流入口12から流入した高温(例えば800℃)のガス化ガスが通過するように、装置本体10の通路11内に流入口12側に設けられている。冷却装置20のガス流動方向18の外周面と通路11の内周面との間には隙間が無く、流入口12から流入したガス化ガスは全て冷却装置20を通過する。冷却装置20は、内部に冷却コイル21が設けられ、冷却コイル21の入口22から流入する水蒸気が冷却コイル21を流れて出口23から流出する間に高温のガス化ガスを中温に冷却する。中温は大部分の種類のタールの凝縮温度より高い、例えば400〜500℃である。
【0016】
水吹付け装置30は、給水装置71と、冷却凝縮装置40の冷却凝縮コイル41と、水蒸気吹付け部31と、給水装置71を冷却凝縮コイル41の入口42に接続するパイプ72と、冷却凝縮コイル41の出口43を水蒸気吹付け部31の入口32に接続するパイプ73とによって構成されている。水蒸気吹付け部31は、冷却装置20によって中温に冷却されたガス化ガスが通過するように、装置本体10の通路11内に冷却装置20と並んで流出口13側に設けられている。水蒸気吹付け部31のガス流動方向18の外周面と通路11の内周面との間には隙間が無く、冷却装置20を通過したガス化ガスは全て水蒸気吹付け部31を通過する。水蒸気吹付け部31は、中温に冷却されたガス化ガスに中温より低い吹付け温度(例えば250〜300℃)の水蒸気を入口32から供給され、この吹付け温度の水蒸気を中温のガス化ガスに吹き付けてガス化ガスに水蒸気を含ませて水蒸気リッチな状態にする。水吹付け装置30は、冷却装置20を通過して通路11を下流方向に流れる中温のガス化ガスに向かって吹付け温度の水蒸気を下流側からほぼ水平方向に均等に水蒸気吹付け部31から吹付ける。なお、水吹付け装置30は、通路11を下流方向に流れる中温のガス化ガスに吹付け温度の水蒸気を上流側からほぼ水平方向に均等に水蒸気吹付け部31から吹付けるようにしてもよい。
【0017】
冷却凝縮装置40は、水吹付け装置30を通過したガス化ガスが通過するように、装置本体10の通路11内に水吹付け装置30と並んで流出口13側に設けられている。冷却凝縮装置40は、貯留部14の上方に配置され、冷却凝縮装置40の下端面は貯留部14に貯留された混濁液16の液面17より下方に位置されている。これによって、通路11の下面を除く内周面と液面17とで区画される区域の内周面と冷却凝縮装置40のガス流動方向18の外周面との間には隙間が無く、水吹付け装置30を通過したガス化ガスは全て冷却凝縮装置40を通過する。冷却凝縮装置40は、内部に冷却凝縮コイル41が設けられ、冷却凝縮コイル41の入口42から流入する水が冷却凝縮コイル41を流れるうちに水蒸気となって出口43から流出するまでの間に、水蒸気を吹付けられて中温より僅かに冷却されて下流方向に流れるガス化ガスを例えば50℃の低温に冷却する。ガス化ガスは冷却凝縮装置40を通過する間に、タールおよび水の凝縮温度より低くなるので、ガス化ガスに含まれるタールおよび水蒸気は凝縮し、冷却凝縮コイル41の外面を伝って下方に流れ、貯留部14に貯留された混濁液16中に落下してガス化ガスから除去される。
【0018】
エリミネータ50は、冷却凝縮装置40を通過したガス化ガスが通過するように、装置本体10の通路11内に冷却凝縮装置40と並んで流出口13側に設けられている。エリミネータ50は、貯留部14の上方に配置され、エリミネータ50の下端面は貯留部14に貯留された混濁液16の液面17より下方に位置されている。これによって、通路11の下面を除く内周面と液面17とで区画される区域の内周面とエリミネータ50のガス流動方向18の外周面との間には隙間が無く、冷却凝縮装置40を通過したガス化ガスは全てエリミネータ50を通過する。エリミネータ50は、多数の波板51が、隣接する波板51の上下方向の側縁がガス流動方向18に隙間を持った状態で重なるように並んで立設され、冷却凝縮装置40によってタールおよび水蒸気を除去されたガス化ガスが通過する間に、キャリーオーバーされてガス化ガス中に残存するタールおよび水を捕集し、波板51の外面を伝って貯留部14に貯留された混濁液16中に落下させる。エリミネータ50を通過したガス化ガスは、流出口13を介してガス化ガス冷却およびタール除去装置1から集塵装置3に送出され、最終的に塵芥を除去される。このようにして得られたタールフリーガス化ガスは、ガス使用装置4で使用される。ガス使用装置4は、液体燃料化、発電タービン駆動などにガス化ガスを使用する。
【0019】
液面保持装置60は、混濁液16の液面17を検出する液面計61、ドレーン穴15をタール回収装置5に接続するパイプ62、パイプ62に設けられ、貯留部14とタール回収装置5との間を連通、遮断する電磁弁63、液面計61の検出信号に応じて電磁弁63を開閉制御して、貯留部14に貯留された混濁液16の液面17を所定位置に保持する制御装置64とから構成されている。冷却およびタール除去装置1からパイプ62を介してタール回収装置5に送出されたタールと水の混濁液16は、タール回収装置5によってタールと水に分離される。分離されたタールは、ボイラの燃焼炉6などで補助燃料として使用される。分離された水は排水として排水処理装置7で処理される。
【0020】
ガス冷却・冷却熱回収回路70は、給水装置71と、給水装置71を冷却凝縮装置40の冷却凝縮コイル41の入口42に接続するパイプ72と、冷却凝縮コイル41と、冷却凝縮コイル41の出口43を冷却装置20の冷却コイル21の入口22に接続するパイプ74と、冷却コイル21と、冷却コイル21の出口23を過熱蒸気利用装置75に接続するパイプ76とから構成されている。給水装置71は、ガス化炉2から供給される高温のガス化ガスの単位時間当たりの熱量などに応じて供給する水の流量を制御し、ガス化ガス冷却およびタール除去装置1の熱バランスを図っている。給水装置71では、蒸気タービンの復水、軟質処理水を使用するとよい。
【0021】
第1の実施形態では、冷却凝縮装置40の後段にエリミネータ50を設けているが、冷却凝縮装置40を通過したガス化ガスに残存するタールの量が許容値以下であるような場合、或いは冷却凝縮装置40を通過したガス化ガスにキャリーオーバーされて残存するタールをガス化ガス冷却およびタール除去装置1より後段で別途除去する場合は、エリミネータ50を設ける必要はない。
【0022】
2.第1の実施形態の作動
ガス化炉2で生成された高温のガス化ガスは装置本体10の流入口12から通路11に流入し、冷却装置20を通過する。冷却装置20の冷却コイル21には、冷却凝縮装置40の冷却凝縮コイル41内で吹付け温度に加熱された水蒸気の一部分がパイプ74を介して入口22から供給され出口23から流出するまで流れているので、高温のガス化ガスは、冷却コイル21と接触する間に水蒸気と熱交換して中温に冷却される。出口23から流出した過熱蒸気は、過熱蒸気利用装置75に送られる。過熱蒸気は、蒸気タービンの駆動やガス化炉でガス化剤として利用できる。
【0023】
冷却凝縮装置40の冷却凝縮コイル41には、給水装置71から前述の低温より低い(例えば最高40℃)の給水が入口42から供給される。給水装置71は、高温のガス化ガスの単位時間当たりの熱量などを考慮し、ガス化ガス冷却およびタール除去装置1の熱バランスをとれる流量の給水を行う。給水装置71から供給された水は、冷却凝縮装置40で中温より僅かに冷却したガス化ガスと熱交換して吹付け温度の水蒸気になって出口43から流出する。冷却凝縮コイル41の出口43から流出した吹付け温度の水蒸気の一部分はパイプ74を介して冷却装置20の冷却コイル21の入口22に送られる。
【0024】
水吹付け装置30では、給水装置71から供給された水が冷却凝縮装置40の冷却凝縮コイル41を流れる間に吹付け温度の水蒸気になって出口43から流出し、出口43から流出した吹付け温度の水蒸気の他部分がパイプ73を介して水蒸気吹付け部31の入口32に送られる。水吹付け装置30は、冷却装置20を通過して中温に冷却されたガス化ガスに吹付け温度の水蒸気を水蒸気吹付け部31に設けられたノズルから吹付ける。これにより、中温のガス化ガスは僅かに冷やされるとともに水蒸気を多く含んだ水蒸気リッチなガス化ガスになり、冷却凝縮装置40に流動する。
【0025】
水蒸気リッチなガス化ガスは、冷却凝縮コイル41と接触する間に水蒸気および水と熱交換して低温(例えば50℃程度)に冷却される。この間に水蒸気リッチなガス化ガスに含まれるタールおよび水蒸気が夫々の凝縮温度より低くなり凝縮する。凝縮したタールおよび水は冷却凝縮コイル41の外面を伝わって貯留部14に貯留された水とタールの混濁液16中に落下する。このとき、凝縮したタールは水蒸気リッチな環境にあるので、水蒸気或いは水に覆われて冷却凝縮コイル41の外面に付着することが防止され、冷却凝縮装置40の冷却機能を低下させることがない。
【0026】
冷却凝縮装置40を通過した低温のガス化ガスは、エリミネータ50を通過する間に、ガス中にキャリーオーバーされて残存するタールおよび水を捕集される。捕集されたタールおよび水は、波板51の外面を伝って貯留部14に貯留された混濁液16中に落下する。タールは水に覆われて壁に付着しにくい状態でエリミネータ内で下方に落下して除去されるので、タールが波板51の外面に付着してエリミネータの機能を低下させることを防止することができる。エリミネータ50を通過したガス化ガスは、流出口13から集塵装置3に送出され、タールフリーガス化ガスとなり、液体燃料化、発電タービン駆動などに使用される。
【0027】
貯留部14に貯留された混濁液16の液面17は液面計61によって計測され、電磁弁63を開閉することによって底面から混濁液16を排出することによって液面17は所定位置に保持される。これによって、冷却凝縮装置40およびエリミネータ50の下端面は混濁液16の液面17より下方に位置される。液面17が所定位置より高くなると電磁弁63が開いて、混濁液16がドレーン穴15に向かって傾斜している底面を流動してドレーン穴15から排出される。液面17が所定位置になると、電磁弁63は閉鎖する。タールは水より比重が大きいので、貯留部14に貯留された混濁液16おいては、貯留部の底面に向かうほど水に対するタールの割合が大きくなる。貯留部14からタール回収装置5に送出された混濁液16は、タール回収装置5によってタールと水に分離される。分離されたタールは、ボイラの燃焼炉6などにおいて補助燃料として使用され、分離された水は排水処理装置7で処理される。
【0028】
エリミネータ50を設けない場合は、冷却凝縮装置40によってタールおよび水蒸気が凝縮して除去されたガス化ガスは、装置本体10の流出口13から外部に流出し、残存するタールの量が許容値以下であるガス化ガスを使用するガス使用装置で使用される。または必要に応じて別途設けた、キャリーオーバーしたタールおよび水を除去するエリミネータおよび集塵装置を介してガス使用装置4に送出され、液体燃料化、発電タービン駆動などに使用される。
【0029】
上記第1の実施形態では、液面保持装置60は、液面計61の検出信号に応じて電磁弁63を開閉制御して、貯留部14に貯留された混濁液16の液面17を所定位置に保持しているが、これに限定されるものでない。例えば、
図2に示すように、貯留部14に大気室65をドレーン穴15を囲んで区画し、貯留部14と大気室65とを仕切る壁66の下端を貯留部14の底面から少し離すことによって、貯留部14と大気室65とを貯留部14の底面近傍で連通させる。そして、液面17より差Hだけ低い高さの筒体67を大気室65内でドレーン穴15を包囲して貯留部14の底面に立設しても良い。差Hは、混濁液16の液面を所定位置に維持するために、通路11の流出口13近傍の負圧および混濁液の比重に基づいて設定される。
【0030】
3.第1の実施形態の効果
高温のガス化ガスを冷却装置20によって中温に冷却し、中温に冷却されたガス化ガスに水吹付け装置30によって水蒸気を吹付けて水蒸気リッチな状態にされたガス化ガスを冷却凝縮装置40によって低温に冷却するために、ガス冷却・冷却熱回収回路70は、給水装置71から供給される冷却水を冷却凝縮装置40の冷却凝縮コイル41の入口42に供給し、冷却凝縮コイル41の出口43から流出する水蒸気を冷却装置20の冷却コイル21の入口22に供給し、冷却コイル21の出口23から流出する過熱蒸気を過熱蒸気利用装置75に供給する。これにより、高温のガス化ガスを低温に冷却するときに得られる過熱蒸気を効率よく利用することができる。
【0031】
さらに、冷却装置20によって中温に冷却されたガス化ガスに水吹付け装置30によって水蒸気を吹付けて水蒸気を多く含む水蒸気リッチな状態にするので、中温のガス化ガスを簡素な構成で水蒸気リッチな状態にすることができる。そして、この水蒸気リッチなガス化ガスが冷却凝縮装置40によって冷却されることによってタールおよび水蒸気が凝縮して下方の混濁液16中に落下する。凝縮したタールは、水蒸気や水に覆われて壁面に付着しにくい状態で下方に落下して除去されるので、タールが冷却凝縮コイル41の外面に付着して冷却凝縮装置40の冷却機能を低下させることを防止することができ、高温のガス化ガスを熱効率よく冷却するとともに、高温のガス化ガス中に含まれるタールを簡素な構成で効率的に除去することができる。
【0032】
第1の実施形態では、装置本体10の通路11内に冷却凝縮装置40と並んで流出口13側にエリミネータ50が設けられているので、冷却凝縮装置40によってタールおよび水分を除去されたガス化ガスにキャリーオーバーされて残存するタールおよび水分をエリミネータ50で捕集して下方の混濁液16中に落下させて除去することができる。このとき、キャリーオーバーされたタールは、水蒸気や水に覆われてエリミネータの波板51の外面を伝って下方に落下して除去するので、波板51の外面に付着してエリミネータの機能を低下させることを防止することができる。
【0033】
さらに、給水装置71から供給される冷却水が冷却凝縮装置40の冷却凝縮コイル41の入口42に供給され、冷却凝縮コイル41の出口43から流出する水蒸気の一部分が冷却装置20の冷却コイル21の入口22に供給され、他部分が水吹付け装置30の水蒸気吹付け部31の入口32に供給され、冷却コイル21の出口23から流出する過熱蒸気が過熱蒸気利用装置75に供給されるので、水吹付け装置30によって中温のガス化ガスに吹付ける水蒸気を簡素な構成で熱効率よく生成することができるとともに、ガス化ガスの冷却時に得られる過熱蒸気を過熱蒸気利用装置75で効率よく利用することができる。
【0034】
第1の実施形態では、水吹付け装置30は、冷却凝縮コイル41から流出する水蒸気の一部である他部分を利用しているが、水蒸気を安価に他から利用できる場合は、この安価な水蒸気を水吹付け装置30の水蒸気吹付け部31の入口32に供給するようにしてもよい。
【0035】
4.第2の実施形態の構成
第2の実施形態は、
図3に示すように、水吹付け装置35が水蒸気ではなく、噴霧水を冷却装置20によって中温に冷却されたガス化ガスに吹き付ける点のみが第1の実施形態と異なるので、第1の実施形態と同じ構成要素には同一の参照番号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0036】
水吹付け装置35は、高圧水供給装置36と、噴霧水吹付け部37と、高圧水供給装置36を噴霧水吹付け部37の入口38に接続するパイプ39とで構成されている。噴霧水吹付け部37は、冷却装置20によって中温に冷却されたガス化ガスが通過するように、装置本体10の通路11内に冷却装置20と並んで流出口13側に設けられている。噴霧水吹付け部37のガス流動方向18の外周面と通路11の内周面との間には隙間が無く、冷却装置20を通過したガス化ガスは全て噴霧水吹付け部37を通過する。噴霧水吹付け部37は、高圧水供給装置36に接続されて高圧水が入口38から供給され、この高圧水をスプレーノズルで噴霧水にして中温のガス化ガスに吹き付け、ガス化ガスに水蒸気を含ませて水蒸気リッチな状態にする。水吹付け装置35は、冷却装置20を通過して通路11を下流方向に流れる中温のガス化ガスに向かって噴霧水を下流側からほぼ水平方向に均等に噴霧水吹付け部37から吹付ける。なお、水吹付け装置35は、通路11を下流方向に流れる中温のガス化ガスに噴霧水を上流側からほぼ水平方向に均等に噴霧水吹付け部37から吹付けるようにしてもよい。
【0037】
冷却装置20を通過した中温のガス化ガスは、水吹付け装置35によって噴霧水を吹付けられ、僅かに冷やされるとともに水蒸気を多く含んで水蒸気リッチなガス化ガスになり、冷却凝縮装置40に流動する。第2の実施形態は、水吹付け装置30を水吹付け装置35に置き換えた以外の構成は第1の実施形態と同じである。
【0038】
5.第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、水吹付け装置35によって中温のガス化ガスに吹付ける噴霧水として、軟質処理水ではなく、例えば通常の水道水を用いることができるので、経済的に有利である。
【0039】
6.第3の実施形態の構成
第3の実施形態は、
図4に示すように、水平ではなく垂直な筒状の通路81が装置本体80に形成されている点が第1の実施形態と異なるので、相異点を中心に説明し、第1の実施形態と同じ構成要素には同一の参照番号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
第3の実施形態に係るガス化ガス冷却およびタール除去装置8は、
図4に示すように、装置本体80と、高温のガス化ガスを中温に冷却する冷却装置20、中温に冷却されたガス化ガスに水蒸気を含ませる水吹付け装置30、水蒸気を含んだガス化ガスを低温に冷却しタールおよび水蒸気を凝縮させて貯留部14に貯留されたタールと水との混濁液16中に落下させる冷却凝縮装置45、冷却凝縮装置45を通過したガス化ガスにキャリーオーバーされて残存するタールおよび水を捕集するエリミネータ50、貯留部14に貯留された混濁液16の液面17を所定位置に保持する液面保持装置60、ガス化ガスを冷却するとともに、冷却熱を回収するガス冷却・冷却熱回収回路70により構成される。
【0041】
装置本体80は、内部に縦長の通路81が形成され、外周を断熱材で覆われた筐体である。通路81の上端面には、ガス化炉2から高温のガス化ガスが流入する流入口82が形成されている。装置本体80には、垂直な筒状の通路81の下端部を屈曲させて水平な筒状の流出口側通路84が形成されている。装置本体80の流出口側通路84の端面には流出口83が形成されている。通路81は流入口82から流入するガス化ガスが流出口83に向かってガス流動方向88に流動するように案内する。装置本体80の下板である通路81の下端面と流出口側通路84の底面との両面には、凝縮した水とタールが混じった混濁液16を貯留するための凹状の貯留部14が形成されている。貯留部14の下部には、混濁液16を排出するためのドレーン穴15が形成されている。貯留部14の底面は、ドレーン穴15が低位となるように傾斜している。
【0042】
冷却装置20、水吹付け装置30、冷却凝縮装置45、エリミネータ50、液面保持装置60およびガス冷却・冷却熱回収回路70は、第1の実施形態と同様の構成および機能を有するので、第1の実施形態との相異点を以下に述べる。冷却装置20、水吹付け装置30および冷却凝縮装置45は、垂直な筒状の通路81内に第1の実施形態と同様に設けられている。
【0043】
水吹付け装置30は、冷却装置20を通過して通路81を下流方向に流れる中温のガス化ガスに向かって吹付け温度の水蒸気を下流側からほぼ垂直上方向に均等に水蒸気吹付け部31から吹付ける。なお、水吹付け装置30は、通路11を下流方向に流れる中温のガス化ガスに吹付け温度の水蒸気を上流側からほぼ垂直下方向に均等に水蒸気吹付け部31から吹付けるようにしてもよい。冷却凝縮装置45は、貯留部16の上方に配置され、垂直な筒状の通路81の内周面と冷却凝縮装置45のガス流動方向88の外周面との間には隙間が無く、水吹付け装置30を通過したガス化ガスは全て冷却凝縮装置45を通過する。従って、第1の実施形態のように、冷却凝縮装置45の下端面が混濁液16の液面17より下方に位置することはない。冷却凝縮装置45の冷却凝縮コイル46の入口47が給水装置71にパイプ72を介して接続され、出口48が水吹付け装置30の入口32にパイプ73を介して接続されるとともに冷却装置20の入口22にパイプ74を介して接続されている。
【0044】
エリミネータ50は、冷却凝縮装置45を通過したガス化ガスが通過するように、装置本体80の流出口側通路84内に貯留部16の上方に流出口83側に設けられている。エリミネータ50の下端面は貯留部14に貯留された混濁液16の液面17より下方に位置されている。これによって、流出口側通路84の下面を除く内周面と液面17とで区画される区域の内周面とエリミネータ50のガス流動方向の外周面との間には隙間が無く、冷却凝縮装置45を通過したガス化ガスは全てエリミネータ50を通過する。
【0045】
第3の実施形態では、冷却凝縮装置45の後段にエリミネータ50を設けているが、第1の実施形態の場合と同様に、エリミネータ50が不要のときは、エリミネータ50および流出口側通路84を設ける必要はない。この場合は、垂直な筒状の通路81の下端部側面に流出口83を設け、貯留部14を通路81の底面に凹設する。
【0046】
第3の実施形態では、水吹付け装置30は、冷却凝縮コイル46から流出する水蒸気の一部である他部分を利用しているが、第1の実施形態の場合と同様に、安価な水蒸気を利用できる場合は、この水蒸気を水吹付け装置30で使用するようにしてもよい。
【0047】
液面保持装置60は、第1の実施形態の場合と同様に、
図2に示すように、貯留部14に大気室65をドレーン穴15を囲んで区画し、貯留部14と大気室65とを仕切る壁66の下端を貯留部14の底面から少し離間させ、液面17より差Hだけ低い高さの筒体67を大気室65内でドレーン穴15を包囲して貯留部14の底面に立設する構成にしてもよい。
【0048】
7.第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、通路80を垂直な筒状にしたので、ガス化ガス冷却およびタール除去装置8の設置面積を小さくすることができる。
ガス化ガス冷却およびタール除去装置本体は、高温のガス化ガスを中温に冷却する冷却装置と、中温に冷却されたガス化ガスに水蒸気または噴霧水を吹き付けて中温に冷却されたガス化ガスに水蒸気を含ませる水吹付け装置と、水蒸気を含まされたガス化ガスを低温に冷却しタールおよび水蒸気を凝縮させて貯留部に貯留された混濁液中に落下させる冷却凝縮装置と、貯留部に貯留された混濁液の液面を所定位置に保持する液面保持装置と、冷却水を冷却凝縮装置の凝縮コイルの入口に供給し、出口から流出する水蒸気を冷却装置の冷却コイルの入口に供給し、出口から流出する過熱蒸気を過熱蒸気利用装置に供給するガス冷却・冷却熱回収回路と、を備える。