特許第6552037号(P6552037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552037
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ストレッチャー等におけるボトム機構
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20190722BHJP
   A61G 1/02 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   A61H33/00 310L
   A61G1/02 708
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-85256(P2015-85256)
(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公開番号】特開2016-202390(P2016-202390A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年4月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年4月16日インテックス大阪において開催された第21回高齢者・障がい者の快適な生活を提案する総合福祉展バリアフリー2015で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】394006129
【氏名又は名称】株式会社いうら
(72)【発明者】
【氏名】藏本 将大
(72)【発明者】
【氏名】和田 憲三
(72)【発明者】
【氏名】細川 洋
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−043946(JP,A)
【文献】 特開2015−061561(JP,A)
【文献】 特開平10−016773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
A61G 1/02
A61G 1/003
A61G 5/00
A47C 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能に構成された車体フレームに昇降手段を具備した昇降機構が立設されると共に、該昇降機構によって利用者の乗るボトム機構が支持されてなる形態のストレッチャーにおいて、該昇降機構に掛止されるボトム支持上を転動可能に取着したボトムベースと、該ボトムベース上に背ボトムと腰ボトムと脚ボトムに分割構成してそれぞれ回動可能に組み付けると共に、該ボトムベースと該背ボトムに該背ボトムを水平状態から略垂直状態まで姿勢変更可能な角度調整機構を具備した該ボトム機構において、該背ボトムを略垂直状態まで上方回動し、該ボトム支持の平面視においてW字状の第一支持溝と上下方向に一本線状の第二支持溝を該ボトムベースの第一支点ボス部材と第二支点ボス部材が該第一支持溝の頂点と該第二支持溝の頂点を交互に移動しながら転動するようにボトムベースを回動させることで、該背ボトムと該脚ボトムの左右の組み替えを可能にしたことを特徴とするストレッチャーにおけるボトム機構。
【請求項2】
前記背ボトムの上方回動時には自由に上方回動可能で任意の位置で前記角度調整機構のロックを可能にし、該背ボトムの下方回動時には該角度調整機構のレバーを把持し、且つ、一旦該背ボトムを上方回動しないと該角度調整機構のロック解除がされないように構成したことを特徴とする請求項1に記載のストレッチャーにおけるボトム機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチャー等におけるボトム機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、施設などで身体の不自由な人や介護が必要な高齢者など(以下、利用者とする。)を、移動させる手段としてストレッチャーが用いられている。ベッドから診察台、ベッドから浴槽など使用環境も様々である。
そして、このストレッチャーには昇降機構を設けたマスト部に利用者を乗せるボトムを片持ちはり状態で昇降可能に保持し、利用者の姿勢保持のためにボトムが臥位(仰臥位、横臥位)から座位に変形するものが提案されている。
それらのほとんどのボトム構成は、背ボトム、腰ボトム、脚ボトムの3分割構成、もしくは腰ボトムと脚ボトムが一体となった背ボトムと腰脚ボトムの2分割構成である。
【0003】
また、ストレッチャーには入浴用のものがある。
この入浴用ストレッチャーは、介護用の浴槽に浸水させた時に浴槽の傾斜面に沿いながら自動的に背ボトムの背上げが可能なものが多種提案されている。
【0004】
しかしながら、入浴用ストレッチャーの問題点として、浴槽が設置されている場所によっては、ストレッチャーの背ボトムと浴槽の傾斜面の位置が合わず、そのままでは使用不可能な場合があった。
詳述すると、例えば、図15のように施設などで浴槽があらかじめ決まった位置(浴室の片隅に配置されている場合等)にある場合においては、いずれか一方の側部ボトムしか背上げできないストレッチャーの場合、背ボトムの位置と浴槽の傾斜面との位置が合わないため、浴槽のレイアウト変更もしくはストレッチャー本体を左右対称仕様として提供する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−43946号公報
【特許文献2】特許第4726069号公報
【0006】
まず、この特許文献1に記載の入浴用患者搬送車は、担架が車体に対して中心部で回動し得るように構成されており、浴槽の両端壁部からも側壁部からも入浴可能としている。
つぎに、この特許文献2に記載の入浴ストレッチャー(連動機構)は、前記マストに組付けた支持フレームの支持パイプに側部ボトムをそれぞれ回動可能に組付ける。さらに、これらの側部ボトムにそれぞれ連動機構を介して中間ボトムを連設し、何れの側部ボトムも上下回動可能かつ隣接する側部ボトムの傾斜方向と異なる傾斜方向に中間ボトムが傾斜するよう構成することで浴槽の設置状況に拘らずストレッチャーを使用することを可能としている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の入浴患者搬送車は、浴槽の両端壁部からも側壁部からも入浴させることができる仕様となっていますが、利用者が座位を取ることしかできないボトム構成となっています。
また、側壁部からの入浴の際、昇降枠が前方斜め下方向に傾斜して飛び出た形状のため、浴槽に浸水する場合には昇降枠との干渉を回避するため、比較的大きな浴槽を用意する必要があることや、ボトムが大きく前方に飛び出した構成となることで、操作性が悪くなることや強度面での不安が懸念されます。
そして、特許文献2に記載の入浴ストレッチャー(連動機構)は、どちらの側部ボトムも、背ボトムと脚ボトムとして使用できる仕様となっていますが、保持手段が利用者の身体に近い位置にあることから角度調整時に利用者の身体を挟む危険があります。
また、ストレッチャーは不特定多数の人で使用する場合がほとんどであることから、どちらの側部ボトムも同じ機能を持たせようとすることで部品形状や部品構成が限定されてしまうため、背ボトム、脚ボトムとして交互に使い分ける時には、利用者の衛生面での不安が考えられます。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、上述した問題点に鑑みて、浴槽等の設置状態を考慮する必要の無い、利用者の背側と脚側を組み替え可能なボトム機構を有するストレッチャーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のストレッチャー等におけるボトム機構は、移動可能に構成された車体フレームに昇降手段を具備した昇降機構が立設されると共に、該昇降機構によって利用者の乗るボトム機構が支持されてなる形態のストレッチャーにおいて、該昇降機構に掛止されるボトム支持上を転動可能に取着したボトムベースと、該ボトムベース上に背ボトムと腰ボトムと脚ボトムに分割構成してそれぞれ回動可能に組み付けると共に、該ボトムベースと該背ボトムに該背ボトムを水平状態から略垂直状態まで姿勢変更可能な角度調整機構を具備した該ボトム機構において、該背ボトムを略垂直状態まで上方回動し、該ボトム支持の平面視においてW字状の第一支持溝と上下方向に一本線状の第二支持溝を該ボトムベースの第一支点ボス部材と第二支点ボス部材が該第一支持溝の頂点と該第二支持溝の頂点を交互に移動しながら転動するようにボトムベースを回動させることで、該背ボトムと該脚ボトムの左右の組み替えを可能にしたことを特徴としている。
そして、前記背ボトムの上方回動時には自由に上方回動可能で任意の位置で前記角度調整機構のロックを可能にし、該背ボトムの下方回動時には該角度調整機構のレバーを把持し、且つ、一旦該背ボトムを上方回動しないと該角度調整機構のロック解除がされないように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のストレッチャー等におけるボトム機構は、移動可能に構成された車体フレームに昇降手段を具備した昇降機構が立設されると共に、該昇降機構によって利用者の乗るボトム機構が支持されてなる形態のストレッチャーにおいて、該昇降機構に掛止されるボトム支持上を転動可能に取着したボトムベースと、該ボトムベース上に背ボトムと腰ボトムと脚ボトムに分割構成してそれぞれ回動可能に組み付けると共に、該ボトムベースと該背ボトムに角度調整機構を具備した該ボトム機構において、該背ボトムを略垂直状態まで上方回動し、該ボトム支持の第一支持溝と第二支持溝を該ボトムベースの第一支点ボス部材と第二支点ボス部材が転動するようにボトムベースを回動させることで、該背ボトムと該脚ボトムの左右の組み替えを可能にしたことにより、施設等で浴槽等の設置状況に拘らず、ストレッチャーを使用することが可能となる。
また、背ボトム、腰ボトム、脚ボトムを専用設計できることから、角度調整機構をボトムの裏側に配設することが可能となり、利用者が角度調整時に身体を挟みこむ心配が無いため、より安全に使用することが可能となっている。
また、側部ボトムが背側にも脚側にも兼用となるボトム構成を有するストレッチャーに比べて、いずれかを専用のボトムとすることが可能となっているため、利用者の衛生面でメリットがある。
そして、前記背ボトムの上方回動時には自由に上方回動可能で任意の位置で前記角度調整機構のロックを可能にし、該背ボトムの下方回動時には該角度調整機構のレバーを把持し、且つ、一旦該背ボトムを上方回動しないと該角度調整機構のロック解除がされないように構成したことにより、角度調整機構のロック解除する場合は、一度背ボトムを背上げ方向に持ち上げないとロック解除できない仕様になっているので、必ず介助者がレバーを把持する状態となることで、背ボトムの角度が不意に変更されることがないため、安全に使用することができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1はストレッチャーSを示す斜視図
図2図2は車体フレーム2を示す説明図
図3図3は車体フレーム2に昇降機構3を立設した状態を示す説明図
図4図4はボトム支持4を示す(a)斜視図(b)平面図
図5図5はボトム支持4にボトムベース5を取り付ける状態を示す斜視分解図
図6図6はボトムベース5に背ボトム6、腰ボトム7、脚ボトム8、角度調整機構13を取付けた状態を示すボトム機構1の斜視図
図7図7はボトムベース5に背ボトム6、腰ボトム7、脚ボトム8、角度調整機構13を取付けた状態を示すボトム機構1の要部平面図
図8図8はレバー13hが操作されていない状態を示す角度調整機構13の要部平面図
図9図9はレバー13hが操作された瞬間の状態を示す角度調整機構13の要部平面図
図10図10は角度調整機構13のロック状態を示す要部説明図
図11図11は背ボトム6が略垂直に背上げされた時の角度調整機構13の状態を示す要部平面図
図12図12は背ボトム6が背上げされた状態を示すボトム機構1の正面図
図13図13は背ボトム6が略垂直に背上げされた状態を示すボトム機構1の正面図
図14図14は背ボトム6と脚ボトム8の組み替え時のボトム支持4とボトムベース5の関係を示す要部平面図
図15図15は浴槽Btの設置状態を示す説明図
図16図16は浴槽Btの設置状態と浴槽Btと組み合わせたストレッチャーSを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
以下、本発明のストレッチャー等におけるボトム機構1について図面を基に説明する。主として前後左右に移動自在となるよう構成した車体フレーム2と、この車体フレーム2に立設される昇降機構3と、昇降機構3に支持されるボトム支持4と、ボトム支持4上を回転するボトムベース5、背ボトム6、腰ボトム7、脚ボトム8からなるボトム機構1とから主に構成されている。
なお、本実施例ではマットM、マクラP、ベルトBを具備している(図1参照)。それぞれ、利用者の安全や姿勢保持などのために使用されるものである。なお、本発明の説明をより分かりやすくするために図示を省略している場合がある。
【0013】
まず、車体フレーム2について説明する。
車体フレーム2は、図2に示すように、一定間隔をおいて略平行に配設された一対のサイドパイプ2a,2aの後部間にツナギパイプ2bが固着されている。そして、該サイドパイプ2a,2aの前後端部に床面を走行可能とするための車輪2c,2c,・・・が、車輪取付具2d,2d,・・・を介して取り付けられている。
さらに、前記ツナギパイプ2bの中間部には後述する昇降機構3を取り付ける取付ベース2eが係止されている。
また、この車体フレーム2には、平面視において略コ字形状に曲折されたフットレバー12aを下方回動操作すると、ブレーキリング12b,12b,・・・が下方回動されて前記車輪2c,2c,・・・を押圧し、該車輪2c,2c,・・・をロックするブレーキ機構12が具備されている。
【0014】
次に、昇降機構3について説明する。
昇降機構3は、図3に示すように、外マスト10に内マスト11が挿通されてなり、内部に構成された昇降手段(図示省略)によって、内マスト11に対して外マスト10が昇降可能とされたものである。
なお、昇降手段として、アクチュエーターを用い、該アクチュエーターの伸縮により、内マスト11に対して外マスト10が昇降されるようにしても、螺子軸とナット部材を用い、螺子軸に沿ってナット部材を移動させることで、内マスト11に対して外マスト10が昇降するように構成しても良い。
すなわち、昇降手段は、内マスト11に対して外マスト10が昇降可能に構成されたものであれば良く、本実施例に限定するものではない。
そして、昇降機構3は、内マスト11の下端に固着されたマスト取付11aを前記車体フレーム2の前記取付ベース2eに螺子にて螺着することで、車体フレーム2に立設される。
また、該外マスト10の左右両側には持ち手ハンドル10aが付設されている。
【0015】
次に、ボトム支持4について説明する。
ボトム支持4は、図4に示すように、平面視において矩形状の支持パイプ4aの上端部に一定間隔をおいて支持プレート4b,4bを固着している。
そして、下端には平面視において逆V字形状になるように配設されたワイドパイプ4c,4cを固着し、該ワイドパイプ4c,4cの前方には平面視において逆三角形状に形成された支持ベース4dを固着している。
そして、平面視において該支持ベース4dの両端に穿設した孔43d,43dの裏側に締結部材4e,4eを固着している。なお、本実施例では該締結部材4e,4eにはナットを使用している。
そして、前記昇降機構3の外マスト10の上端前方に固着した、正面視において上側を開放した略コ字形状に形成されたボトム支持トリツケ10bの内側に配設したボトム支持トリツケピン10cに前記支持プレート4b,4bの溝41b,41bを係合し、該ボトム支持トリツケ10bの孔10d,10dと該支持プレート4b,4bの孔42b,42bを締結部材(図示省略)で取着することで、昇降機構3にボトム支持4を取り付けている。
【0016】
次に、ボトムベース5について説明する。
ボトムベース5は、図5に示すように、側面視において上側開放に略コ字状に形成されたベースプレート5aに、平面視において該ベースプレート5aの両側にベースサイドパイプ5b,5bを、円筒形状の背トリツケボス5c,5cをそれぞれ配設して固着している。
そして、平面視において該ベースサイドパイプ5b,5bの左端に、正面視において略L字状に形成したベースサイドエンド5dを、外側には腰ボトムトリツケ5e,5eを、内側には正面視において上側開放した略コ字状のボトムベースコテイプレート5fをそれぞれ固着している。
そして、該ベースプレート5aに穿設した孔51a,52aにはそれぞれ第一支点ボス部材5gと第二支点ボス部材5hを固着している。
そして、前記ボトム支持4の前記支持ベース4dに、平面視において略W状に穿設した第一支持溝41dと、平面視において該第一支持溝41dの下側に上下方向に1本線状に穿設した第二支持溝42dに対して、該第一支持溝41dには該ボトムベース5の該第一支点ボス部材5gを、該第二支持溝42dには該ボトムベース5の該第二支点ボス部材5hをそれぞれ挿通し、締結部材5i,5iと締結部材5j,5jで取り付けている。
なお、本実施例では該締結部材5i,5iには螺子を、該締結部材5j,5jにはナットを使用している。
また、前記ボトム支持4と前記ボトムベース5の間にスラシ5k,5k,・・・を介して、締結部材5i,5i及び締結部材5j,5jで取り付けている。
これは、後述する背ボトム6と脚ボトム8の組み替え時にスムーズに動作するように面当たりを良くするためである。
そして、前記ベースプレート5aに穿設した孔53aと前記ボトムベースコテイプレート5fに穿設した孔51fを、前記支持ベース4dの孔43d,43dを介して前記締結部材4e,4eに、締結部材5l,5lを螺着して、ボトム支持4とボトムベース5が動かないように固定している。
なお、本実施例では該締結部材5l,5lには螺子を使用している。
【0017】
次に、背ボトム6について説明する。
背ボトム6は、図6及び図7図12図13で示すように、平面視において、左側を開放した略コ字状に形成された背ボトムワク6aに、一定間隔をおいて略平行に配設された一対の背ボトムパイプ6b,6bを配設し、該背ボトムパイプ6b,6bの間に背ホキョウパイプ6c及び該背ボトムワク6aと該背ボトムパイプ6b,6bと接するように平面視において略台形状の背ボトムプレート6dを固着している。
そして、該背ボトムワク6aと該背ボトムパイプ6b,6bの間にテスリトリツケ6e,6eとテスリロック6f,6fを介設して固着している。
そして、該テスリトリツケ6e,6eと該テスリロック6f,6fには該テスリトリツケ6e,6eに穿設された孔61e,61eを回転の中心としてサイドレール9,9が軸部材6h,6hによって回転可能に取り付けられる。
そして、該背ボトムパイプ6b,6bに穿設した孔61b,61bと前記ボトムベース5の前記背トリツケボス5c,5cを軸部材6gで回動可能に軸着している。
【0018】
次に、腰ボトム7について説明する。
腰ボトム7は、図6及び図7図12図13で示すように、平面視において、右側を開放した略コ字状に形成された腰ボトムワク7aの開放した端部に、平面視において略ヘ字状の溝71bを穿設した腰カムプレート7b,7bを固着し、該腰ボトムワク7aと該腰カムプレート7b,7bと接するように、平面視において一定間隔をおいて略平行に配設された一対の腰ボトムパイプ7c,7cを配設し、該腰ボトムパイプ7c,7cの間に腰ホキョウバー7dを固着している。
そして、該腰ボトムワク7aの開放部の反対側に側面視において腰ボトムツナギ7e,7eを固着し、該腰ボトムワク7aと該腰ボトムパイプ7c,7cとを繋ぐように側面視において下側を開放した略コ字状に形成されるサイドレール取付7f,7fを固着している。
なお、詳細は省略するが、該サイドレール取付7f,7fには回動可能にサイドレール9,9を取り付けられる。
そして、該腰ボトムパイプ7c,7cの内側に腰ボトム支点プレート7g,7gを固着している。
そして、該腰ボトム支点プレート7g,7gの孔71g,71gと、前記ボトムベース5の前記腰ボトムトリツケ5e,5eの孔51e,51eに軸部材7hを挿通することで、該腰ボトム7が該ボトムベース5に対して回動可能に軸着される。
そして、該腰カムプレート7b,7bの該溝71b,71bに、前記背ボトム6の前記背ボトムパイプ6b,6bの一端に固着される背ボトムシテンボス6h,6hと同軸心に構成したシテンカラー6i,6iを挿通している。
そして、それらの部品を軸部材7iで軸着することで、背ボトム6と腰ボトム7を連動可能としている。
【0019】
次に、脚ボトム8について説明する。
脚ボトム8は、図6及び図7図12図13で示すように、平面視において、右側を開放した略コ字状に形成された脚ボトムワク8aの内側に、平面視において略H字状に構成された脚ボトムパイプ8b,8bと脚ボトムツナギ8cを配設し固着している。
そして、該脚ボトムワク8aと脚ボトムツナギ8cと接する側面視において略S字状フットガイドレール8d,8dを配設して固着している。
そして、該フットガイドレール8d,8dと該脚ボトムツナギ8cを挟んで反対側に、正面視において略L字状のトリツケプレート8e,8e及び該トリツケプレート8e,8eにピンコテイボス8fを固着している。
そして、該脚ボトムワク8aの両端部にシテンボス8g,8gを固着し、該シテンボス8g,8gと前記腰ボトム7の前記腰ボトムツナギ7e,7eの孔71e,71eに軸部材8hを軸着することで、腰ボトム7に対して脚ボトム8を回動可能にしている。
そして、該トリツケプレート8e,8eの内側にローラー8i,8iを軸着し、前記ボトムベース5の前記ベースサイドパイプ5b,5bの上面を該ローラー8i,8iが転動可能にしている。
そして、該トリツケプレート8eの孔81e,81eと該ピンコテイボス8fに軸部材8jを挿通して、前記ベースサイドエンド5dに該軸部材8hを掛止している。
【0020】
なお、脚ボトム8には脚受14が付設されている。
脚受14は、図6で示すように、詳細は省略するが、前記脚ボトム8の前記フットガイドレール8d,8d上を平面視において左右方向に摺動するように前記脚ボトム8に取付されている。
そして、該脚ボトム8の該フットガイドレール8dに設けられた複数の溝部81d,81d,・・・によって、該脚受14を段階的に保持できるようになっている。
このように構成することで、後述する姿勢変更時に、利用者の身長や体型に合わせて、脚受14を微調整することが可能となり、安定した姿勢保持を可能にしている。
【0021】
次に、角度調整機構13について説明する。
角度調整機構13は、まず、図6及び図7で示すように、前記ボトムベース5の前記ベースプレート5aの一端部に一定間隔をおいて略平行に配設されたシリンダトリツケシタ5m,5mの内側にはシリンダナカ13aを、外側にはシテンローラー13b,13bをそれぞれ配設し、それぞれをシテンピン13cで回動可能に軸着している。
そして、該シリンダナカ13aを覆うようにシリンダソト13dに該シリンダナカ13aを挿通した状態で、前記背ボトム6の前記背ボトムプレート6dに一定間隔をおいて略平行に配設されたシリンダトリツケウエ6j,6jの内側に配設し、該シリンダトリツケウエ6j,6jの両外側には背シテンローラー13e,13eを配設し、それぞれを背シテンピン13fで回動可能に軸着している。
そして、図8に示すように、側面視において略コ字状に形成されるレバートリツケ13gの開放した端部を該シリンダソト13dの外周と接するように固着している。
そして、該レバートリツケ13gの内側にレバー13h及びロックプレート13iを、該レバー13hの円弧状溝131hと該ロックプレート13iの円弧状溝131iが該レバートリツケ13gの孔挿通するレバーシテン13jの外周に接するように配設している。
そして、該レバー13hの溝132hと該ロックプレート13iの溝132iの間には第一弾性体13kを、該レバー13hの溝133hと該レバートリツケ13gの端面131gの間には第二弾性体13lをそれぞれ配設している。なお、本実施例で使用する該第一弾性体13k及び第二弾性体13lは圧縮スプリングを使用している。
そして、該ロックプレート13iの係合凸部133iが該シリンダソト13dに穿設した孔131dを通行して、該シリンダナカ13aの設けられた複数の溝131a,131a,・・・に係合するように配置している。
なお、本実施例では溝131aを3ヶ所設けているが、溝の数は3ヶ所に限定するものではなく、必要とする数を設けたので良い。
そして、該シリンダソト13dの孔を介して該シリンダナカ13aの長孔132aにピン部131mを挿通して、ストッパー部材13mを取り付けている。
【0022】
次に、背ボトム6の姿勢変更と角度調整機構13の関係について説明する。
まず、背上げについて説明する。
介助者が操作する場合、図12に示すように、該背ボトム6を正面視において、反時計周りに上方回動する。
この時、図10に示すように、前記角度調整機構13の前記係合凸部133iが前記シリンダナカ13aの前記溝131aのテーパ部1311aを摺動しようとする。
すると、前記レバーシテン13jを回動中心として、前記ロックプレート13iの面134iが前記レバー13hの面134hを押圧する。
すると、前記第二弾性体13lの力に抗うように、前記レバーシテン13jを回動中心として、該レバー13h及び該ロックプレート13iが平面視において時計回りに回動する。
そして、任意の位置に設けられた該溝131aに該係合凸部133iが位置すると、該第二弾性体13lの反発力により該レバー13hの該面134hが該ロックプレート13iの該面134iを押圧することで、該係合凸部133iが該溝131aに係合してロックがかかるようになっている。
つまり、該背ボトム6の背上げについては、背ボトム6を上方回動することのみで背上げが可能となっている。
また、浴槽にボトム機構1を浸水させる場合も同様であり、前記外マスト10を下降操作した時に、前記背ボトム6の前記シテンローラー13b,13b及び前記背シテンローラー13e,13eが浴槽の傾斜面と接地することで、背ボトム6が上方に押圧される。
これは、前述したように、介助者が背ボトム6を上方回動する動作と同じ力の働きとなっている。
【0023】
次に、背下げについて説明する。
まず、介助者が前記レバー13hを把持することで、前記レバーシテン13jを回動中心として、平面視において前記第二弾性体13lの力に抗うように該レバー13hが時計周りに回動する。
この時、図9で示すように前記ロックプレート13iは前記レバー13hの付勢力を前記第一弾性体13kが受けて時計周回りに回動しようとするが、前記係合凸部133iが前記シリンダナカ13aの前記溝131aの面1312aと干渉することで回動が規制される。
この状態で、図12に示すように、前記背ボトム6を一旦上方回動すると、該係合凸部133iが該溝131aのテーパ面1311aより押圧され、該係合凸部133iと該溝131aの係合が外れ、背ボトム6を下方回動することができる
このように構成された角度調整機構13は、背上げ時は前記レバー13hを把持することなく背上げ可能で、背下げ時は該レバー13hを把持し、且つ、背ボトム6を一旦背上げ方向に上方回動し、該係合凸部133iと溝131aの係合を解除しないと背下げ不可能な構成となっている。
つまり、利用者を乗せた状態で浴槽等に浸水させる時は外マスト10の下降操作のみで背ボトム6を背上げすることが可能となる。
また、背ボトム6を水平方向に戻す時には、レバー13hを把持しながら一旦背ボトム6を上方回動しないとロック解除がされず、背ボトム6を下方回動することができないため、必ず介助者が操作しないと背ボトム6を水平方向に戻すことができないものとなっており、安全に使用できるものとなっている。
【0024】
次に、ボトム機構1の背ボトム6、腰ボトム7、脚ボトム8の連動による、水平状態から背上げ状態への姿勢変更を説明する。
まず、図12で示すように、背ボトム6を持ち上げるか、もしくは、前述したように外マスト10を下降させて背ボトム6を浴槽の傾斜面に接地させる。
そうすると、背ボトム6が該背ボトム6の前記軸部材6gを回動中心として上方回動する。
この時、該背ボトム6の前記シテンカラー6i,6iが前記腰カムプレート7b,7bの前記溝71b,71b間を転動する。
そうすると、正面視において該溝71b,71bの略へ字状の溝の左端に位置していた該シテンローラー6i,6iが右端に転動する。
そうすると、該溝71b,71bが該シテンカラー6i,6iに押圧され、腰ボトム7の前記軸部材7gを回転中心として腰ボトム7が正面視において右回りに回動することで、正面視において腰ボトムが右下がりになる。
そして、脚ボトム8の腰ボトム7に軸着した前記軸部材8hが支点となり、脚ボトム8を正面視において右に引く方向に作用する。
そうすると、前記ローラー8i,8iがボトムベース5の前記ベースサイドパイプ5b,5bの上面を右方向に転動し、脚ボトム8が正面視において右上がりとなる。
つまり、背上げをすることで正面視において腰ボトムが左上がり、脚ボトムが右上がりになることによって、背上げ動作とあわせて利用者の膝が持ち上がるように構成される。
このように構成されたボトム機構1は、背上げ動作することによって利用者の身体が前滑りになることを防止する効果がある。
【0025】
次に、ボトム機構1の背ボトム6と脚ボトム8の組み替えを説明する。
本実施例では、図1で示すように、正面視において右側に背ボトム6、左側に脚ボトム8が配置された状態から、右側に脚ボトム8、左側に背ボトム6に組み替える手順で説明する。
まず、前記ストッパー部材13mを外すことで、背ボトム6を背上げ時に前記ストッパー部材13mのピン部131mが前記シリンダナカ13aの長孔132aによる角度規制が無くなる。
その状態で背上げを行い、前記ロックプレート13iの係合凸部133iが前記シリンダナカ13aの上面133aと係合するまで背上げを行う。
そうすると、図13で示すように背ボトム6が略垂直に背上げされる。
この時、図11で示すように、角度調整機構13のロックプレート13hの係合凸部131iはシリンダナカ13aの上面133aと係合して保持される。
そして、脚ボトム8の前記軸部材8jを外すことで、図13の点線部に示すように、正面視において脚ボトムを時計周りに回動することができる。
そして、図5に示すように、前記ボトムベース5の螺子5l,5lを外すことで、ボトム支持4とボトムベース5の固定が解除される。
そして、平面視において反時計周りにボトム機構1を回転させる。
そうすると、図14に示すように、前記ボトムベース5の前記第一支持溝41dを前記第一支点ボス部材5g、前記第二支持溝42dを前記第二支点ボス部材5hが転動することによってボトムベース5が180度回転して該ボトムベース5上に配設される背ボトム6と脚ボトム8が組み替えされる。
そして、背ボトム6と脚ボトム8の組み替えが終われば、脚ボトム8を反時計周りに回動させ元の位置に戻し、該螺子5l,5lを螺着してボトム支持4とボトムベース5を固定する。
そして、前記脚ボトム8の前記軸部材8jを取り付けることで前記ベースサイドエンド5dに掛止している。
上記操作を行うことで、背ボトム6と脚ボトム8の組み替えが完了する。
なお、背ボトム6を略垂直に背上げすることによって、組み替え時に昇降機構3と背ボトム6の干渉を避けることが可能となる。また、このように構成することでボトム支持4を極力小さく構成することが可能となる。
【0026】
次に、背ボトム6と脚ボトム8の組み替え時のボトム支持4とボトムベース5の関係を詳述する。
まず、ボトム機構1を平面視において、反時計周りに付勢する。
この時、前記第二支点ボス部材5hが反時計周りに回動しようとするが、前記第一支点ボス部材5gの回動方向が、該第一支持溝41dによって規制されるため、平面視において該第二支点ボス部材5hは下方向に転動する。すると、該第一支点ボス部材5gと該第二支点ボス部材5hの距離が一定であるため、該第二支点ボス部材5hの転動に合わせて、該第一支持溝41dの辺411dを該第一支点ボス部材5gが転動し、ボトムベース5が平面視において右上がりの状態になる。(図14(b)参照)
そして、さらにボトム機構1を付勢すると、該第二支点ボス部材5hが回動中心となり、該第一支点ボス部材5gが該第一支持溝41dの辺412dを転動してボトムベース5が平面視において略垂直状態から右下がりの状態になる。(図12(c)及び(d)参照)
そして、さらにボトム機構1を付勢すると、該第一支点ボス部材5gの回動方向が、該第一支持溝41dによって規制されるため、平面視において該第二支点ボス部材5hは上方向に転動する。すると、該第二支点ボス部材5hの転動に合わせて、該第一支持溝41dの辺413dを該第一支点ボス部材5gが転動し、ボトムベース5が元の位置より180度変更した状態となる。(図14(a)及び(e)参照)
なお、図示は省略するが、正面視において左側に背ボトム6、右側に脚ボトム8が配置された状態から、左側に脚ボトム8、右側に背ボトム6に組み替える手順は、上記手順の逆を行えば良い。
つまり、第一支点ボス部材5gと第二支点ボス部材5hの距離が一定であることから、該第一支持溝41dの略W字状のそれぞれ頂点で第一支点ボス部材5gと第二支点ボス部材5hが交互に回動中心を入れ替わることでボトムベース5がボトム支持4上を180度回転可能であり、該ボトムベース5に取り付けられる背ボトム6と脚ボトム8の入れ替えを可能としている。
【0027】
上述したように、本実施例のボトム機構1は、背ボトムと腰ボトムと脚ボトムの姿勢変更及び背ボトムと脚ボトムの組み替えが簡単に行え、図16に示すように、浴槽等の設置状況に拘らずストレッチャーSを使用することが可能となる。
これは、ストレッチャーSを導入する施設等にとって浴槽の設置状況を考慮する必要が無くなることで浴槽設備のレイアウト変更など、煩わしい作業が不要となるメリットがある。
また、背ボトム6、腰ボトム7、脚ボトム8を専用設計できることから、角度調整機構13をボトムの裏側に配設することが可能となり、利用者が角度調整時に身体を挟みこむ心配が無いため、より安全に使用することが可能となっている。
そして、角度調整機構13のロック解除する場合は、一度背ボトム6を背上げ方向に持ち上げないとロック解除できない仕様になっているので、必ず介助者がレバー6を把持する状態となることで、背ボトム6の角度が不意に変更されることがないため、安全に使用することができるものとなってる。
また、側部ボトムが背側にも脚側にも兼用となるボトム構成を有するストレッチャーに比べて、いずれも専用のボトムとすることが可能となっているため、利用者の衛生面でもメリットがある。
【0028】
なお、本実施例では浴槽への入浴を例に説明したが、それ以外の例として配置が決まっているベッドや診察台等への移動にも本実施例のボトム機構1を用いたストレッチャーSが使用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ボトム機構
2 車体フレーム
3 昇降機構
4 ボトム支持
5 ボトムベース
6 背ボトム
7 腰ボトム
8 脚ボトム
9 サイドレール
10 外マスト
11 内マスト
12 ブレーキ機構
13 角度調整機構
14 脚受
S ストレッチャー
M マット
P マクラ
B ベルト
Bt 浴槽
W 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16