(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552054
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】3板式固体撮像装置の冷却装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20190722BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20190722BHJP
G03B 17/55 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
H04N5/225 430
H05K7/20 H
G03B17/55
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-31171(P2016-31171)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-152782(P2017-152782A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】島田 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】大黒 崇弘
【審査官】
大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−206951(JP,A)
【文献】
特開2006−128749(JP,A)
【文献】
特開2006−116679(JP,A)
【文献】
特開平04−331580(JP,A)
【文献】
特開平08−046878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222− 5/257
H05K 7/20
G03B 17/48 −17/55
H04N 5/30 − 5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3色(赤R,緑G,青B)分解プリズムと固体撮像素子とを用いた3板式固体撮像装置の冷却装置において、
前記固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装したセンサー基板を3色分解プリズムの分解光射出部に装着し、前記3色分解プリズムと、前記固体撮像素子と前記信号処理用半導体素子とを実装した前記センサー基板と、前記固体撮像素子及び前記信号処理用半導体素子から発生した熱を冷却する放熱フィンとを全て取り囲むプリズムボックスを、レンズを装着するレンズマウント部に設け、前記プリズムボックスの一方の側壁面に開口を開けた箇所に冷却ファンを取り付け、前記プリズムボックスの他の側壁面に前記放熱フィンに冷却風を導く開口ノズルを設け、前記冷却ファンによって前記プリズムボックス内の空気を吸引することで前記プリズムボックス内の圧力を下げ、前記プリズムボックスの外部空気を前記開口ノズルから吸引して前記放熱フィンと前記センサー基板とに一様に衝突噴流させて冷却することを特徴とする3板式固体撮像装置の冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の3板式固体撮像装置の冷却装置において、前記プリズムボックスをカメラハウジングの底面に固定して前記プリズムボックスに伝わった熱を前記カメラハウジングの底面から外気に放出し、前記プリズムボックス内の冷却空気温度上昇を抑えることを特徴とする3板式固体撮像装置の冷却装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の3板式固体撮像装置の冷却装置において、前記固体撮像素子及び前記信号処理用半導体素子から取り出した画像情報信号を処理する信号処理基板を前記プリズムボックスの壁面に高熱伝導シートを介して取り付け、前記信号処理基板から発生する熱を前記プリズムボックス内の空気や3板式固体撮像装置内部空気に放出せず、前記プリズムボックスの壁面の熱伝導部材を経て前記3板式固体撮像装置の外部に放出させる構造を備えたことを特徴とする3板式固体撮像装置の冷却装置。
【請求項4】
請求項3に記載の3板式固体撮像装置の冷却装置において、前記信号処理基板の発生熱を3板式固体撮像装置内部に放出させないように、前記発生熱を3板式固体撮像装置の外部に伝導放出させる熱伝導冷却板を備え、前記信号処理基板上を前記熱伝導冷却板で覆う構造を備えたことを特徴とする3板式固体撮像装置の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子を用いた固体撮像装置に係り、特に、冷却性能を高めることが可能な3板式固体撮像装置の冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子を用い、画像の解像度と色分解性能を高めた3板式固体撮像装置では、撮像レンズから入射した光を色分解プリズムを用いて三原色(赤R,緑G,青B)に分光させ、各色分解した光を色分解プリズムの分解光射出部に取り付けた各固体撮像素子に結像させる方式がとられている。
【0003】
各固体撮像素子より出力される画像信号を得るため、固体撮像素子に通電すると、固体撮像素子は発熱して温度上昇する。この際、三原色(赤R,緑G,青B)の画像信号を得る各3板の固体撮像素子の温度上昇が同じ程度であることが非常に重要である。もし温度上昇が異なると、色ずれやノイズ等が発生し、画像の解像度と色分解性能が低下してしまう。従って、各固体撮像素子は、三原色(赤R,緑G,青B)とも同じように冷却されることが大切である。
【0004】
また、固体撮像素子での温度上昇が大きくなり過ぎると、固体撮像素子内の暗電流が増加し、ノイズが発生し、画像の画質を劣化させる。そのため、3板式固体撮像装置には、固体撮像素子の温度上昇を所定の範囲内に抑える冷却装置が必ず必要である。
【0005】
そのため、従来の3板式固体撮像装置の冷却装置として、固体撮像素子それぞれに設けられた放熱フィンと、外部から冷却空気を吸引し各放熱フィンに冷却空気を送り込むファンと、ファンを収納するファンケースと、ファンカバーとを備え、ファンケースのガイド穴からファンの冷却空気を流出して固体撮像素子の放熱フィンを冷却するものが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
上記した従来技術による3板式固体撮像装置の冷却装置について、
図7を用いてより詳しく説明する。
図7は、従来の3板式固体撮像装置のフロントパネル部と固体撮像素子及びその周辺部分を取り出した分解斜視図である。
図7において、1はファン、2はファン1を収納するファンケース、3はファンケース2を覆うファンカバー、4BはB(青)チャンネルの固体撮像素子に設けられた放熱フィン、4GはG(緑)チャンネルの固体撮像素子に設けられた放熱フィン、4RはR(赤)チャンネルの固体撮像素子に設けられた放熱フィン、5GはGチャンネルの放熱フィン4Gを覆うフィンカバー、8Gはファンケース2に設けられた開口部からファン1の出力風を放熱フィン4Gに吹き付けるためのガイド穴、8Bはファンケース2に設けられた開口部からファン1の出力風を放熱フィン4Bに吹き付けるためのガイド穴、8Rはファンケース2に設けられた開口部からファン1の出力風を放熱フィン4Rに吹き付けるためのガイド穴、11はフロントパネル、12は3色分解プリズム、13はファンカバー3に設けられた開口部である。
【0007】
上記構成によって、例えば、ファン1がファンカバー3に設けられた開口部13から外部空気を吸引して、ファン1から噴き出る冷却風は、ファンケース2のガイド穴8Gから放熱フィン4Gに流入し、Gチャンネルの固体撮像素子を冷却する。他のRチャンネルの固体撮像素子やBチャンネルの固体撮像素子もファン1からの冷却風によって同様に冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−206951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術には、以下の問題点が存在する。
ファン1では、ファン翼が回転することで、ファン風が発生する。その際、ファン翼から吐出される風には、ファン翼の回転による旋回成分がどうしても加算されてしまう。
そのため、各固体撮像素子の放熱フィン4R,4G,4Bを冷却する風は、ファンケース2内で旋回し、ファン1の回転の影響を受けてファンケース2のガイド穴8R,8G,8Bに流れ込むため、各ガイド穴を全て同じ一様な速度で流出させることが出来ない。
【0010】
更に、3色分解プリズム12後方の分解光射出部に取り付けた各固体撮像素子の放熱フィン4R,4G,4Bは、構造上、ファン1の中心に対して、同一円周上にそれぞれ配置することができないため、たとえ、ガイド穴8R,8G,8Bの開口部の大きさを揃えたとしても、各ガイド穴8R,8G,8Bから流出する冷却風は同じ速度の風を得ることが出来ず、その結果、RGB用の各固体撮像素子を同じ温度に冷却することが出来ない。折角、R,G,Bと3色に分解して精度の高い画像を得るように構成しても、各固体撮像素子の温度が各々異なってしまうという問題点がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記した従来技術に係わる問題点を解決すべくなされたものである。
本発明の第一の目的は、3板式の固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装した各センサー基板に放熱フィンを取り付けて、冷却ファンのファン風に旋回成分が入ることなく、同じ温度、かつ同じ風速の冷却風を各放熱フィンとセンサー基板に吹き付けることにより、各センサー基板に取り付けた放熱フィンを同一条件で冷却することができ、冷却性能を高めることが可能な3板式固体撮像装置の冷却装置を提供することである。
【0012】
更に、本発明の第二の目的は、3板式の固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装した各センサー基板を冷却するファン風温度を下げるため、3板式固体撮像装置の信号処理基板の発生熱を3板式固体撮像装置内部に放出せず、熱伝導部材を介して3板式固体撮像装置の外部に放出させることにより、冷却性能を更に高めることが可能な3板式固体撮像装置の冷却装置を提供することである。
【0013】
更に、本発明の第三の目的は、信号処理基板の発生熱を3板式固体撮像装置内部に放出させないように、前記発生熱を3板式固体撮像装置の外部に伝導放出させる熱伝導冷却板で信号処理基板上を覆う構造を備えることにより、冷却性能を更に高めることが可能な3板式固体撮像装置の冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の3板式固体撮像装置の冷却装置は、3色(赤R,緑G,青B)分解プリズムと固体撮像素子とを用いた3板式固体撮像装置の冷却装置において、前記固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装したセンサー基板を3色分解プリズムの分解光射出部に装着し、前記3色分解プリズムと、前記固体撮像素子と前記信号処理用半導体素子とを実装した前記センサー基板と、前記固体撮像素子及び前記信号処理用半導体素子から発生した熱を冷却する放熱フィンとを全て取り囲むプリズムボックスを、レンズを装着するレンズマウント部に設け、前記プリズムボックスの一方の側壁面に開口を開けた箇所に冷却ファンを取り付け、前記プリズムボックスの他の側壁面に前記放熱フィンに冷却風を導く開口ノズルを設け、前記冷却ファンによって前記プリズムボックス内の空気を吸引することで前記プリズムボックス内の圧力を下げ、前記プリズムボックスの外部空気を前記開口ノズルから吸引して前記放熱フィンと前記センサー基板とに一様に衝突噴流させて冷却することを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の3板式固体撮像装置の冷却装置は、上記した3板式固体撮像装置の冷却装置において、前記プリズムボックスをカメラハウジングの底面に固定して前記プリズムボックスに伝わった熱を前記カメラハウジングの底面から外気に放出し、前記プリズムボックス内の冷却空気温度上昇を抑えることを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の3板式固体撮像装置の冷却装置は、上記した3板式固体撮像装置の冷却装置において、前記固体撮像素子及び前記信号処理用半導体素子から取り出した画像情報信号を処理する信号処理基板を前記プリズムボックスの壁面に高熱伝導シートを介して取り付け、前記信号処理基板から発生する熱を前記プリズムボックス内の空気や3板式固体撮像装置内部空気に放出せず、前記プリズムボックスの壁面の熱伝導部材を経て前記3板式固体撮像装置の外部に放出させる構造を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の3板式固体撮像装置の冷却装置は、上記した3板式固体撮像装置の冷却装置において、前記信号処理基板の発生熱を3板式固体撮像装置内部に放出させないように、前記発生熱を3板式固体撮像装置の外部に伝導放出させる熱伝導冷却板を備え、前記信号処理基板上を前記熱伝導冷却板で覆う構造を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、3色分解RGB用の固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装したセンサー基板を3色分解プリズムの分解光射出部に装着し、3色分解プリズムと、固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装したセンサー基板と、固体撮像素子及び信号処理用半導体素子から発生した熱を冷却する放熱フィンとを全て取り囲むプリズムボックスを、カメラレンズを装着するレンズマウント部に設け、プリズムボックスの一方の側壁面に開口を開けた箇所に冷却ファンを取り付け、プリズムボックスの他の側壁面に放熱フィンに冷却風を導く開口ノズルを設け、冷却ファンによってプリズムボックス内の空気を吸引することでプリズムボックス内の圧力を下げ、開口と開口ノズルと冷却ファンとの位置関係に係らず、プリズムボックスの外部空気が冷却ファンの回転成分を伴わずに開口ノズルから流入し、放熱フィンとセンサー基板に一様に衝突噴流するので、3板式固体撮像素子を全て同じ様に冷却することができる。そして、プリズムボックスがカメラハウジングの底面に固定されているので、プリズムボックスに伝わった熱はカメラハウジングの底面から外気に放出され、プリズムボックス内の冷却空気温度の上昇を抑えることが出来る。
【0019】
更に、3色分解RGB用の各固体撮像素子及び信号処理用半導体素子から取り出した画像情報信号を処理する信号処理基板をプリズムボックスの壁面に高熱伝導シートを介して取り付けることで、信号処理基板から発生する熱を直接プリズムボックス内の冷却空気や3板式固体撮像装置内部空気に放出せずに、プリズムボックスの壁面の熱伝導壁からカメラハウジングの底面に熱伝導させ、最終的に外気に放出させるので、プリズムボックス内の空気温度の温度上昇を抑えることが出来る。
【0020】
また、信号処理基板上を熱伝導冷却板で覆うことで、信号処理基板から発生する熱を直接プリズムボックス内の冷却空気や3板式固体撮像装置内部空気に放出せずに、3板式固体撮像装置の外部に伝導放出させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態1に係る3板式固体撮像装置の主要部を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1の各部材を一体に組み立てた場合の斜め前方から見た斜視図である。
【
図3】
図1の3板式固体撮像素子ユニットをK−K面で切断した断面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る3板式固体撮像装置のカメラハウジングの手前左側壁を切欠き、内部部品が組み立てられた状態を示す斜め前方斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る3板式固体撮像装置の主要部を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係る3板式固体撮像装置の主要部を示す断面図である。
【
図7】従来の3板式固体撮像装置のフロントパネル部と固体撮像素子及びその周辺部分を取り出した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る3板式固体撮像装置の構成について、
図1〜
図4を参照して具体的、かつ詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る3板式固体撮像装置の主要部を示す分解斜視図である。
図2は、
図1の各部材を一体に組み立てた場合の斜め前方から見た斜視図である。
図3は、
図1の3板式固体撮像素子ユニットをK−K面で切断した断面図であり、固体撮像素子と放熱フィンを実装したセンサー基板を色分解プリズム後方の分解光射出部に装着した状態を示している。また、
図4は、本発明の実施形態1に係る3板式固体撮像装置のカメラハウジングの手前左側壁を切欠き、内部部品が組み立てられた状態を示す斜め前方斜視図である。
なお、3原色(赤R,緑G,青B)用の構成部材を区別するため、図中の部番の後ろにR,G,Bと記号を付して説明を省略する。また、各3原色の光(赤R,緑G,青B)に対する構造が共通しているので、ここでは上部のBチャンネルについてのみ詳細に図示して説明する。
【0023】
3板式固体撮像素子ユニット100は、撮像レンズ101が取り付くフロントフレーム102の後方に、撮像レンズ101から入射した光を3原色(赤R,緑G,青B)に分解する色分解プリズム103が装着され、3原色分解光を入射し電気信号に変換する各固体撮像素子104と各信号処理用半導体素子(図示せず)とを一緒に実装したセンサー基板105を、3色分解プリズム103後方の分解光射出部に、所定の取付金具を使用して固定する構成としたユニットである。
各固体撮像素子104から電気信号を得る際に、各固体撮像素子104及び各信号処理用半導体素子(図示せず)から発生する熱を冷却するため、センサー基板105の固体撮像素子104実装面とは反対側の面には、放熱フィン106がスプリング107によって低荷重の力で固着されている。
【0024】
また、3板式固体撮像素子ユニット100は、5壁面(上下方向、左右方向、後方)で構成されるプリズムボックス108で周囲が囲み込まれている。そして、プリズムボックス108の右側壁109には、開口110が開けられ、当該開口110に合わせて冷却ファン111が取り付けられている。
また、プリズムボックス108の左側壁を構成する左側壁板112には、各放熱フィン106に冷却風を導く開口ノズル113が設けられている。
なお、冷却ファン111と開口ノズル113との位置関係は、左右逆でも構わない。
プリズムボックス108は、底面を構成する底板114の底面接続部114a,114b,114c及び底面接続部114d,114e,114fで床下冷却フィンベース117に固定されている。
床下冷却フィンベース117の下方には床下冷却フィン118が形成されている。なお、床下冷却フィン118は、
図4に示すように、カメラハウジング200の外部に突出し、薄型の遠心ファン119によって強制冷却される。
【0025】
したがって、本発明の実施形態1に係る3板式固体撮像装置は、
図1〜
図4で示す様に構成されているので、冷却ファン111によってプリズムボックス108内の空気を吸引することでプリズムボックス108内の圧力が下がり、プリズムボックス108の開口ノズル113と冷却ファン111との位置関係に係らず、プリズムボックス108の外部空気が開口ノズル113から一様に流入し、冷却ファン111の回転成分を伴わずに放熱フィン106とセンサー基板105とに衝突噴流するので、3板式の固体撮像素子104を全て同じ様に冷却することが出来る。また、プリズムボックス108は床下冷却フィンベース117に固定されているので、プリズムボックス108壁に伝わった熱をカメラハウジング200の底面から外気に放出し、プリズムボックス108内の冷却空気の温度上昇を抑えることが出来る。
【0026】
以上説明したように、本発明の実施形態1に係る3板式固体撮像装置によれば、3板式の固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装した各センサー基板に放熱フィンを取り付けて、冷却ファンのファン風に旋回成分が入ることなく、同じ温度、かつ同じ風速の冷却風を各放熱フィンとセンサー基板に吹き付けることにより、各センサー基板に取り付けた放熱フィンを同一条件で冷却することができ、冷却性能を高めることが可能な3板式固体撮像装置の冷却装置を提供することができる。
【0027】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る3板式固体撮像装置の構成について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施形態2に係る3板式固体撮像装置の主要部を示す分解斜視図である。なお、
図5において、本発明の実施形態1で説明した構成と同一のものは、同じ部番を付し説明を省略する。
【0028】
本発明の実施形態2に係る3板式固体撮像装置は、本発明の実施形態1で詳述した3板式固体撮像素子ユニット100から画像情報信号を取り出し、取り出した画像情報信号を処理する信号処理基板120をプリズムボックス108後方の背面壁115に高熱伝導シート(図示せず)を介して取り付け、さらに、プリズムボックス108後方の背面壁115に信号処理基板120の電子部品実装面全体を上から覆う熱伝導冷却板121を取り付けている。
なお、本実施例では、信号処理基板120の取り付け面をプリズムボックス108後方の背面壁115としているが、プリズムボックス108のその他の壁面に取り付けるようにしても良い。
【0029】
したがって、本発明の実施形態2に係る3板式固体撮像装置は、
図5で示す様に構成されているので、信号処理基板120から発生する熱が直接プリズムボックス108内の冷却空気や3板式固体撮像装置内部空気に放出されずに、プリズムボックス108の背面壁115からカメラハウジング200の底面に伝わり、最終的に外気に放出されるので、プリズムボックス108内の空気温度の温度上昇が抑えられる。
【0030】
以上説明したように、本発明の実施形態2に係る3板式固体撮像装置によれば、3板式の固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装した各センサー基板に放熱フィンを取り付けて、冷却ファンのファン風に旋回成分が入ることなく、同じ温度、かつ同じ風速の冷却風を各放熱フィンとセンサー基板に吹き付けることにより、各センサー基板に取り付けた放熱フィンを同一条件で冷却することができ、冷却性能を高めることが可能な3板式固体撮像装置の冷却装置を提供することができる。
更に、3板式の固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装した各センサー基板を冷却するファン風温度を下げるため、3板式固体撮像装置の信号処理基板の発生熱を3板式固体撮像装置内部に放出せず、熱伝導部材を介して3板式固体撮像装置の外部に放出させることができ、冷却性能を更に高めることが可能な3板式固体撮像装置の冷却装置を提供するができる。
【0031】
<実施形態3>
以下、本発明の実施形態3に係る3板式固体撮像装置の構成について、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態3に係る3板式固体撮像装置の主要部を示す断面図である。なお、
図6において、本発明の実施形態1で説明した構成と同一のものは、同じ部番を付し説明を省略する。
【0032】
本発明の実施形態3に係る3板式固体撮像装置は、本発明の実施形態1に係る3板式固体撮像装置の構成に対して、異なる形状のプリズムボックス130を有している。
プリズムボックス130は、3板式固体撮像素子ユニット100の周囲全体を囲み込むよう形成されている。また、プリズムボックス130の上下方向並びに後方の壁面は、3原色(赤R,緑G,青B)用の固体撮像素子104R,104G,104Bの発生熱を取り去る放熱フィン106R,106G,106Bの上面と略平行になるよう形成されている。
また、プリズムボックス130には、プリズムボックス130の外側から吸引される冷却空気が、放熱フィン106R,106G,106Bに対して真上から衝突噴流するように、放熱フィン106R,106G,106Bの真上にスリット開口131R,131G,131Bが開けられている。
なお、プリズムボックス130には、本発明の実施形態1と同様に、図示していない左右いずれかの側壁に冷却ファン用の開口が設けられ、当該開口に合わせて冷却ファン111が取り付けられている。
【0033】
したがって、本発明の実施形態3に係る3板式固体撮像装置は、
図6で示す様に構成されているので、冷却ファン111によってプリズムボックス130内の空気を吸引することでプリズムボックス130内の圧力が下がり、冷却ファン111との位置関係に係らず、スリット開口131R,131G,131Bからプリズムボックス130の外部空気が一様に流入し、冷却ファン111の回転成分を伴わずに放熱フィン106R,106G,106Bの真上から衝突噴流し、3板式固体撮像素子104R,104G,104Bを全て同じ様に冷却することが出来る。
【0034】
以上説明したように、本発明の実施形態3に係る3板式固体撮像装置によれば、3板式の固体撮像素子と信号処理用半導体素子とを実装した各センサー基板に放熱フィンを取り付けて、冷却ファンのファン風に旋回成分が入ることなく、同じ温度、かつ同じ風速の冷却風を各放熱フィンとセンサー基板に吹き付けることにより、各センサー基板に取り付けた放熱フィンを同一条件で冷却することができ、冷却性能を高めることが可能な3板式固体撮像装置の冷却装置を提供することができる。
【0035】
なお、上記実施形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子を用いた3板式固体撮像装置の冷却装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1:ファン、2:ファンケース、3:ファンカバー、4R,4G,4B:放熱フィン、5G:フィンカバー、8R,8G,8B:ガイド穴、11:フロントパネル、12:3色分解プリズム、13:開口部、100:3板式固体撮像素子ユニット、101:撮像レンズ、102:フロントフレーム、103:3色分解プリズム、104,104R,104G,104B:固体撮像素子、105,105R,105G,105B:センサー基板、106,106R,106G,106B:放熱フィン、107,107R,107G,107B:スプリング、108:プリズムボックス、109:右側壁、110:開口、111:冷却ファン、112:左側壁板、113,113R,113G,113B:開口ノズル、114:底板、114a,114b,114c,114d,114e,114f:底面接続部、115:背面壁、117:床下冷却フィンベース、118:床下冷却フィン、119:遠心ファン、120信号処理基板、121:熱伝導冷却板、130:プリズムボックス、131R,131G,131B:スリット開口、200:カメラハウジング。