(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)が、アミノ基含有共役ジエン系重合体、水酸基含有共役ジエン系重合体、エポキシ基含有共役ジエン系重合体、アルコキシシリル基含有共役ジエン系重合体のいずれか少なくとも一種を含んでなる共役ジエン系重合体である請求項1に記載のシリカ充填ゴム組成物の製造方法。
アミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)中の該重合体が、エチレンイミン、ジアリルジメチルアミン、ジアリルメチルアミン、アミジン、ジシアンジアミド、アミノ基を有するアクリル酸エステル、アミノ基を有するメタクリル酸エステル、およびビニルピリジンの少なくとも一種を重合した単独重合体または共重合体、またはアミノ基またはイミノ基を有する天然の水溶性高分子化合物である請求項1または請求項2に記載のシリカ充填ゴム組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のエマルジョン状態のゴム(a)としては特に制限はないが天然ゴムエマルジョン、合成天然ゴムエマルジョン、スチレンブタジエン共重合ゴムエマルジョン、スチレンイソプレン共重合ゴムエマルジョン、アクリロニトリルブタジエン共重合ゴムエマルジョン、クロロプレンゴムエマルジョンが挙げられる。これらの中で天然ゴムエマルジョンとスチレンブタジエン共重合ゴムエマルジョンが好ましい。
【0013】
水分散シリカスラリー(b)としては、合成されたままの水分散シリカスラリーか、一度も乾燥したことのないシリカケーキを用いて調製された水分散シリカスラリーが高分散性で好ましい。乾燥シリカにアルカリを加えてpHを8以上にして再分散させたシリカスラリー、水ガラスに酸を加えて析出したシリカスラリーや水ガラスも使用できる。水ガラスをそのまま使用するときはエマルジョン状態の特定のゴムエマルジョンと混合の後、酸を加えて析出させることで利用できる。
【0014】
水分散シリカスラリー(b)の割合としてはエマルジョン状態のゴム(a)の固形分100部に対して水分散シリカスラリー(b)の固形分は10部から150部である。水分散シリカスラリー(b)の固形分が10部未満ではシリカとしてゴムの補強効果が期待できない。また、150部を超えるとシリカ充填ゴム組成物として固くなり、凝固したときのクラム粒子径も細かくなるために好ましくない。
【0015】
エマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)としては、アミノ基含有共役ジエン系重合体、水酸基含有共役ジエン系重合体、エポキシ基含有共役ジエン系重合体とアルコキシシリル基含有共役ジエン系重合体から選ばれた共役ジエン系重合体が挙げられる。これらの共役ジエン系重合体と共重合するアミノ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマーやアルコキシシリル基含有モノマーの量は共重合体の全体量の0.1%から10%(モノマー重量比)が好ましい。0.1%未満であれば効果が低く、10%を超えるとゴムの柔軟性が低下して加硫ゴムの発熱が大きくなりゴム物性が低下する。
エマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)の平均分子量10万以上のものが好ましい。好ましい共役ジエンモノマーとしてはブタジエンとイソプレンが挙げられる。
【0016】
アミノ基含有共役ジエン系重合体としてはブタジエン、イソプレンとアミノ基を有するモノマーの共重合体が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーとしては第1級アミノ基含有モノマー、第2級アミノ基含有モノマーと第3級アミノ基含有モノマーとがある。第1級アミノ基含有モノマーとしては、例えば、p−アミノスチレン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
第2級アミノ基含有モノマーとしてはN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メ
タクリルアミドなどN−モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0017】
第3級アミノ基含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物およびピリジル基を有するモノマー等が挙げられる。
N,N−ジ置換アミノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0018】
N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジプロピルアミノエチルスチレン、N,N−ジオクチルアミノエチルスチレンなどが挙げられる。
ピリジル基を有するモノマーとしては、例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジンなどが挙げられる。これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンおよびこれらの混合物が好ましい。
これらのアミノ基含有モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
水酸基を有
するモノマーとしては1分子中に少なくとも1個の第1級、第2級または第3級水酸基を有するモノマーである。水酸基含有モノマーの具体例としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−クロロ−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、ジ−(プロピレングリコール)イタコネート、ビス(2−ヒドロキシプロピル)イタコネート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イタコネート、ビス(2−ヒドロキシエチル)フマレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシメチルビニルケトン、アリルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。
これらの水酸基を有
するモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
エポキシ基含有モノマーは、1分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有するモノマーである。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−オキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル アクリレート グリシジルエーテル、N−グリシジル(メタ)アクリルアミド、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、スチレン−p−グリシジルエーテル、N−[4−(2,3−エポキシ−1−オキソ−3−フェニルプロパン−1−イル)フェニル]メタクリルアミドなどが挙げられる。なかでも、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
アルコキシシリル基含有モノマーは、1分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するモノマーである。アルコキシシリル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルヘキシルジメトキシシラン、β−アクリロキシエチルオキシメチルトリメトキシシラン、γ−(β−アクリロキシエチルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(γ−メタクリロキシプロピルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(β−アクリロキシエチルオキシ)プロピルトリブトキシシラン、γ−(γ−メタクリロキシプロピルオキシ)プロピルトリブトキシシラン、ビニルアルコキシシラン類が好ましく、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシランがより好ましい。これらのアルコキシシリル基含有モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
アミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)の重合体としては、共役ジエン系共重合体は除外される。好適な重合体としては、エチレンイミン、ビニルアミン、ジアリルジメチルアミン、ジアリルメチルアミン、アミジン、ジシアンジアミド、アミノ基を有するアクリル酸エステル、アミノ基を有するメタクリル酸エステルまたはビニルピリジンの単独重合体や他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
具体的例としては、エチレンイミン系の重合体としては、日本ゼオン株式会社の「エポミン」(登録商標)、アミジン系とアミノ基を有するアクリル酸エステルの共重合体や、アミノ基を有するメタクリル酸エステル系重合体としては、ハイモ株式会社の「ハイモロックZP、MP、MSシリーズ」(登録商標)が挙げられる。ジアリルジメチルアミン、ジアリルメチルアミン系の重合体としては、ニットーボーメディカル株式会社の「PAS」(登録商標)のシリーズが挙げられ、ジシアンジアミド系重合体としては、ジシアンジアミド・ポリ
アルキレン
ポリアミン系重縮合物やジシアンジアミド・ホルムアルデヒド重縮合物が挙げられる。もちろん、これらの重合体は特定のメーカー製品に限定されることはない。
【0023】
また、アミノ基またはイミノ基を有する天然の水溶性高分子化合物も使用することができる。例えば膠、ゼラチン、コラーゲンペプチド、カゼイン、キトサンなどが挙げられるが、いずれも市販のものが使用できる。
具体的な例としてはゼラチンとしては株式会社ニッピの牛アルカリ処理ゼラチンST1(登録商標)や豚酸処理ゼラチンAP−30(登録商標)、コラーゲンペプチドとしては株式会社ニッピのコラーゲンペプチドFCP−AK−G(登録商標)やGelita SolシリーズのLDA aggl(登録商標)、ナカライテスク株式会社のカゼイン(牛乳製)(登録商標)、株式会社明治フードマテリアの明治FMコラーゲン、三愛製薬株式会社の三愛キトサン(登録商標)などである。もちろん、これらの天然の水溶性高分子化合物は特定のメーカー製品に限定されることはない。
【0024】
エマルジョン状態のゴム(a)と水分散シリカスラリー(b)を混合し共凝固、乾燥し、シリカ充填ゴム組成物を製造するに際し、水分散シリカスラリー(b)を、あらかじめエマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)と、アミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)と混合
、接触させた後エマルジョン状態のゴム(a)と共凝固するシリカ充填ゴム組成物の製造方法であり、あらかじめ水分散シリカスラリー(b)の表面をエマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)とアミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)で処理することにより、エマルジョン状態のゴム(a)との共凝固が容易になり、また、スラリー中のシリカ、エマルジョン中のゴム粒子は、確実にシリカ充填ゴム組成物に成る。シリカとゴムの回収率が向上し、生成したシリカとゴムのクラムの粒子径はバンドドライヤーなどの乾燥に適した粒子径に調整することも可能になる。
【0025】
水分散シリカスラリー(b)の表面をエマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)とアミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)で処理する方法としては、水分散シリカスラリー(b)にエマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)を加え、その後でアミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)を加える手順が作業効率などの点から好ましい。もちろん、加える順序を変えたり、(c)と(d)をほぼ同時に加えることもできる。
【0026】
水分散シリカスラリー(b)とエマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)とアミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)と
を混合
、接触する方法としては、撹拌羽根による混合やホモミキサーによる高せん断力をかけた混合方法がある。水分散シリカスラリー(b)の粒子径が細かいときは撹拌羽根による混合で十分であるが、やや粗い水分散シリカスラリー(b)のときは高せん断力のホモミキサーを併用することが好ましい。
水分散シリカスラリー(b)の平均粒子径としては20μm以下が好ましく、さらに100μm以上のシリカ粒子は5%以下が好ましい。100μm以上のシリカ粒子が5%を超えると加硫ゴムの機械的物性の低下が起きるため好ましくない。
【0027】
シリカ(b)とエマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)、アミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)の割合は、乾燥状態のシリカ100重量部に対してエマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)を固形分換算で0.1重量
部から20重量部、アミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)を乾燥シリカ100重量部に対して固形分換算で0.1重量部から5重量部使用する。
なお、本明細書中の「部」はすべて「重量部」であり、以下「重量部」を「部」と略記する。
【0028】
エマルジョン状共役ジエン系ゴム(c)の量が固形分換算で0.1部より少ないと凝固時のクラム粒径が細かくなり、20部より多いと加硫したときのゴム物性が低下する。
アミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)の量が固形分換算で0.1部より少ないとエマルジョン状態のゴム(a)と共凝固したときのシリカの回収率が低下する。また、アミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)の量が固形分換算で5部より多いと加硫時にスコーチを起こすことがある。
【0029】
エマルジョン状態のゴム(a)と、あらかじめ接触させた水分散シリカ・エマルジョン共役ジエン系ゴム・アミノ基またはイミノ基を有する重合体の混合物を混ぜ合わせて共凝固する方式としては、バッチ式でも連続式でも良い。両者の混合は通常の撹拌羽根による混合で容易に混合し、次いで食塩などの塩および希硫酸などの酸を加えることで共凝固することができる。
共凝固時の食塩の添加はできるだけ少ない方が好ましく、酸だけで凝固させることが最も好ましい。また、共凝固時の温度は50から60℃が好ましい。また、共凝固後、クラムを水で洗浄してゴムに含まれる石鹸、塩や酸などを取り除くことが好ましい。
【0030】
本発明の製造方法では、アミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液(d)
を混合
、接触してあるので、微量の食塩の添加で共凝固が進み、洗浄処理も容易となる利点もある。
共凝固によって生じるクラムの粒子径は5mmから15mmになるように撹拌とpHを調節する。クラムの粒径が細かくなるとスリットより抜けるクラム量が多くなり好ましくない。また、15mmより大きくなると乾燥が不十分になり好ましくない。
連続方式の共凝固では、バッチ方式の共凝固に比して、粒形の分布は広くなる。pHは4から7が好ましく、4以下では酸による設備の腐食や生成したクラムの粒子径が細かくなり好ましくない。
【0031】
クラムの乾燥はバンドドライヤーのようなクラムに熱風を吹き付けて乾燥する方法、マイクロ波照射乾燥器や機械式のエクスペラー、エクスパンダーや熱ロールのように機械的せん断力、熱と圧力で乾燥させる方法がある。いずれの乾燥方法でも良く、またバンドドライヤーの後に熱ロールを設置するような併用設備でも良い。
【0032】
本発明のシリカ充填ゴム組成物に他の固形ゴム、カーボンブラックなどの充填剤、オイルなどの可塑剤、シランカップリング剤、加硫助剤や加硫剤を加えたゴム組成物を混練、成形、加硫することで優れた加硫ゴムにすることができる。
他の固形ゴムとしては溶液重合スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、合成天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴムなどが挙げられる。
本発明のシリカ充填ゴム組成物に架橋剤などを加えたゴム組成物はタイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムに好適に使用される。
【0033】
本発明のシリカ充填ゴム組成物にカーボンブラックを添加することでゴムの帯電防止性能や機械的性質を改善することができる。加えるカーボンブラックとしては例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEFなどのグレードのものが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックの添加量は、シリカ充填ゴム組成物のゴム成分100部に対して、1〜50部、より好ましくは3〜30部である。カーボンブラックを添加することでゴム組成物の帯電防止性能や耐候性能を向上することができる。添加量が50部以上になると組成物の発熱が大きくなり架橋ゴムとしての動的特性が低下するために好ましくない。
【0034】
本発明のシリカ充填ゴム組成物にオイルなどの可塑剤を加えることで成形加工を容易にすることができる。加えるオイルなどの可塑剤としては、ゴム工業において通常使用される伸展油が使用でき、パラフィン系伸展油、芳香族系伸展油、ナフテン系伸展油や液状ゴムなどがあげられる。
伸展油の流動点は、好ましくは−20〜50℃、より好ましくは−10〜30℃である。この範囲であれば、伸展しやすく、引張特性と低発熱性のバランスに優れたゴム組成物が得られる。伸展油の好適なアロマ炭素含有量(CA%、クルツ分析法)は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上であり、また、伸展油の好適なパラフィン炭素含有量(CP%)は、好ましくは55%以下、より好ましくは45%である。CA%が小さすぎたり、CP%が大きすぎたりすると、引張特性が不十分となる。伸展油の中の多環芳香族系化合物の含有量は、好ましくは3%未満である。この含有量は、IP346法(英国のThe Institute
of Petroleum の検査方法)により測定される。
【0035】
可塑剤としては伸展油の他、液状ゴムも使用することが出来る。液状ゴムとしては液状ポリイソプレンゴム、カルボキシ変性液状ポリイソプレンゴム、液状ポリブタジエンゴム、カルボキシ変性液状ポリブタジエンゴム、水酸基変性液状ポリブタジエンゴム、液状アクリロニトリルブタジエン共重合ゴム、液状スチレンブタジエン共重合ゴム、液状スチレンイソプレン共重合ゴムなどが挙げられる。
可塑剤の含有量は、シリカ充填ゴム組成物のゴム成分100部に対して、好ましくは1〜50部、より好ましくは3〜30部である。可塑剤の含有量がこの範囲にあると、シリカを配合した配合物粘度が適度である。
【0036】
本発明のシリカ充填ゴム組成物にシランカップリング剤を加えることでゴムの機械的性質や耐久性能を改善することができる。加えるシランカップリング剤としてはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシシラン、ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)−プロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N’−ビニルベンジル−N−トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン塩などのシランカップリング剤があげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
本発明のシリカ充填ゴム組成物に加える架橋剤と架橋助剤はゴム配合データハンドブック(日刊工業新聞発行、1987年4月)のNR、SBR、NBR、IRおよびBRの項目に例示される架橋剤や架橋助剤を使用することが出来る。
具体的な架橋剤としては硫黄、金属酸化物、4,4’−ジチオモルフォリン、チウラムポリスルフィド、2−(モルフォリノ)ベンゾチアゾール、有機
過酸化物、キノンジオキシム、アルキルフェノール樹脂、アミン化合物が上げられ、これらの中で硫黄が最も好ましい。
具体的な架橋助剤はステアリン酸、酸化亜鉛、グアニジン化合物、チオウレア化合物、チアゾール化合物、スルフェンアミド化合物、チウラム化合物、ジチオカルバミン酸塩、キサントゲン酸塩化合物、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0038】
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練機を用いて混練りすることができる。成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムに好適に使用される。
【0039】
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。また、必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階でトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、低燃費性、破壊特性及び耐摩耗性に優れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れている。
【0040】
本発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例に於ける各種物性は、下記の方法により測定した。また、「部」は「重量部」である。
(1)シリカの一次粒子径
透過型電子顕微鏡により測定した。
(2)比表面積 窒素吸着法による比表面積(SBET)の測定
湿式シリカケークを乾燥器(120℃)に入れて乾燥した後、マイクロメリティクス社製のアサップ2010を使用して、窒素吸着量を測定し、相対圧0.2における1点法の値を採用した。
(3)共重合体中のスチレン単位量:JIS K6383(屈折率法)に準じて測定した。
(4)シリカ含有率
シリカを含有するゴム組成物を500℃で燃焼し残留灰分よりシリカ量を求めた。
(5)300%モジュラス、引張強度、伸び
JIS K6253の引張応力試験法に準拠して測定した。
(6)耐摩耗性
アクロン式摩耗試験機を用い、予備擦り1000回後の重量と本擦り1000回後の重量の減量を示した。減量の少ない物ほど耐摩耗性に優れる。
【0041】
(SBRエマルジョンの製造例)
撹拌機付き耐圧反応器に水1260g、不均化ロジン酸カリウム33g、ナフタリンスルホン酸-ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.7g、塩化カリウム3.5g、テトラエチレンペンタミン0.7g、スチレン161g、ブタジエン504gと第三級ドデシルメルカプタン1.7gを仕込む。
5℃まで温度が下がったら、クメンヒドロペルオキシド1.4gとスチレン35gを注入し重合を開始する。
【0042】
一定時間ごとに水溶液の一部を取り出し、固形分を測定し、重合転化率を求める。
重合転化率が約60%に達したら、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム10%水溶液を35g注入して、重合を停止する。重合したSBRエマルジョンにスチームを吹き込んで未反応モノマーを追い出し試験用SBRエマルジョンとし、固形分濃度を20%とした。分子量Mwは37万、Mw/Mn=3.8、結合スチレン量22.8%、ムーニー粘度50、SBRラテックスの粒径は100nmであった。
【0043】
(アミノ基含有SBRエマルジョンの製造例)
撹拌機付き耐圧反応器に水1260g、不均化ロジン酸カリウム33g、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.7g、塩化カリウム3.5g、テトラエチレンペンタミン0.7g、スチレン161g、ブタジエン504g、ジメチルアミノエチルメタクリレート10gと第三級ドデシルメルカプタン1.7gを仕込む。
5℃まで温度が下がったら、クメンヒドロペルオキシド1.4gとスチレン35gを注入し重合を開始した。
【0044】
一定時間ごとに水溶液の一部を取り出し、固形分を測定し、重合転化率を求める。
6.5時間後、重合転化率が約60%に達し、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム10%水溶液を35g注入して、重合を停止する。重合したSBRエマルジョンにスチームを吹き込んで未反応モノマーを除去しゴム成分濃度を20%とした。分子量Mwは28万、Mw/Mn=3.5、結合スチレン量22.5%、ムーニー粘度35、SBRラテックスの粒径は90nmであった。
【0045】
(シリカケーキの製造例)
温度調節機付きの1m
3ステンレス製反応容器に珪酸ナトリウム水溶液(SiO
2濃度:10g/L、モル比:SiO
2/Na
2O=3.41)230Lを投入し、85℃に昇温した。次いで、22重量%硫酸73Lと珪酸ナトリウム水溶液(SiO
2濃度:90g/L、モル比:SiO
2/Na
2O=3.41)440Lを同時に120分かけて投入した。10分間熟成後、22重量%硫酸16Lを15分かけて投入した。上記反応は反応液温度を85℃に保持し、反応液を常時撹拌しながら行い、最終的に反応液のpHが3.2のシリカスラリーを得た。これをフィルタープレスで水洗、ろ過し、シリカ固形分が20%のシリカケーキを得た。
得られた湿式シリカケーキの一部を乾燥して得たシリカ粉末のBET比表面積(SBET)は200m
2/gであり、一次粒子径は15nmで二次粒子径は10μmあった。100μm以上の粒子は1%未満であった。
【0046】
(実施例1)
シリカ固形分が20%のシリカケーキ1000gに水1000gを加えてシリカ濃度を10%にしたシリカ分散液にアミノ基含有SBRエマルジョン(固形分濃度20%)を50g加えてホモミキサーで5分間撹拌し、10%のジアリルジメチルアミンクロライド重合体水溶液(PAS−H−5S)を60g加えさらに5分間撹拌した。
このシリカ・アミノ基含有SBRエマルジョン・ジアリルジメチルアミンクロライド重合体水溶液にSBRエマルジョン(固形分濃度20%)1818gを加えて撹拌し、60℃に加温した後10%希硫酸を加えてpHを6.2にしたところSBRゴムとシリカの共凝固物が生成した。水で三回洗浄し、105℃で乾燥させた。
生成したクラムの平均粒子径は8mmでシリカの100%がゴムとともに凝固していた。
【0047】
(実施例2)
実施例1のアミノ基含有SBRエマルジョンを100gにし、ジアリルジメチルアミンクロライド重合体水溶液(PAS−H−5S)を20gにして実施した。
生成したクラムの平均粒子径は12mmでシリカの98%がゴムとともに凝固していた。
【0048】
(実施例3)
実施例1のアミノ基含有SBRエマルジョンを20gにし、10%ポリエチレンイミン(エポミンSP200)水溶液を100gにして実施した。
生成したクラムの平均粒子径は5mmでシリカの98%がゴムとともに凝固していた。
(実施例4)
アミノ基含有SBRエマルジョンの製造例のジメチルアミノエチルメタクリレート10gをグリシジルメタクリレート10gに代え、グリシジル基含有SBRエマルジョンを製造した。また、シリカ水分散体として乾燥したBET比表面積(SBET)は210m
2/g、一次粒子径は15nm、二次粒子径は10μmの市販シリカVN3を水に懸濁させたものを用いた。シリカの固形分量は実施例1と同様に20%とした。
実施例1のアミノ基含有SBRエマルジョンをグリシジル基含有SBRエマルジョンに代え、さらに、ポリアミジン共重合体でシリカを処理してから、シリカとSBRゴムを共凝固した。
生成したクラムの平均粒子径は9mmでシリカの99%がゴムとともに凝固していた。
【0049】
(実施例5)
実施例1のSBRエマルジョンを固形分20%の天然ゴムエマルジョンに代えて、実施例1と同様に処理した。
生成したクラムの平均粒子径は11mmでシリカの99%がゴムとともに凝固していた。
(実施例6)
シリカケーキの製造例のシリカケーキを150℃にて乾燥して粉末シリカにしてから、その粉末シリカに再度水を加えてシリカスラリーとした。このシリカスラリーの平均粒子径は40μmで100μm以上の粒子が11%含まれていた。このシリカを用いて実施例1と同様にSBRゴムと共凝固を実施した。
生成したクラムの平均粒子径は13mmでシリカの98%がゴムとともに凝固していた。
【0050】
(実施例7)
実施例1の10%ジアリルジメチルアミンクロライド重合体水溶液の代わりに10%ゼラチン(豚酸処理ゼラチン 株式会社ニッピ製AP−30)水溶液を60gに変えて実施した。
生成したクラムの平均粒子径は12mmでシリカの95%がゴムとともに凝固していた。
(実施例8)
実施例4のポリアミジン共重合体(ハイモロックZP−700)を10%ゼラチン(牛アルカリ処理ゼラチン 株式会社ニッピ製ST1)水溶液60gに変えて実施した。
生成したクラムの平均粒子径は8mmでシリカの94%がゴムとともに凝固していた。
【0051】
(比較例1)
実施例1の10%のジアリルジメチルアミンクロライド重合体水溶液(PAS−H−5S)、即ち、シリカを処理する(d)成分を使用せずに実施した。シリカ・アミノ基含有SBRエマルジョン水溶液にSBRエマルジョン1818gを加えて撹拌し、塩化カルシウム7.2gを溶かした水100gを加え60℃に加温した後10%希硫酸を加えてpHを6にしたところSBRゴムとシリカの共凝固物を生成した。水で三回洗浄し、105℃で乾燥させた。
生成したクラムの平均粒子径は20mmでシリカの53%がゴムとともに凝固していた。生成クラムの粒子径が大きく乾燥しにくく、実施例1の約2倍の乾燥時間がかかった。また、シリカの約半分が共凝固せず回収スクリーンより抜け落ちた。
表1にエマルジョン状態のゴムを100部としたときのそれぞれの組成比と共凝固結果をまとめた。
【0053】
(加硫ゴム物性評価)
各実施例(天然ゴムを使用の実施例5は除外)と比較例1で得られたシリカ充填SBRゴムにシランカップリング剤、ポリエチレングリコール、カーボンブラック、芳香族オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、加硫促進剤と硫黄を加えて表2の混練配合表に従い混練し、160℃のプレスで加硫して加硫ゴムを調製し、物性を評価した。
なお、実施例2、3、4、6で得られたシリカ充填ゴム組成物を使用する各加硫ゴム例2、3、4、5では、上記の混練時に、共凝固時に脱落したシリカ(55重量部の1%ないし2%)の相当分のシリカ微粉体を補充して上記の混練を実施した。
また、比較例1で得られたシリカ充填SBRゴムに、上記の混練を実施するにあたり、共凝固時に脱落したシリカ(55重量部の47%)の相当分のシリカ微粉体を補充して混練した。
【0055】
各混練操作は以下のように実施した。
東洋精機製ラボプラストミルバンバリー形ミキサーB−600に、表2の混練配合表に従い、ゴム(a)100重量部に対してシリカ(b)が55重量部となるように、シリカ充填SBR組成物と、脱落補充分のある場合は追加のシリカとを合計が364g、すなわち、ゴム(a)235gとシリカ(b)129gの合計量が364gとなるように入れた。さらにシランカップリング剤としてビス[γ−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、カーボンブラック(N339)、老化防止剤6C(N−フェニル−N−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)、ステアリン酸、亜鉛華、アロマ系オイル、ポリエチレングリコールを加え3分間混練した。
バンバリー形ミキサーB−600から混練ゴムを取り出し、ロールにて硫黄と加硫促進剤のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)とノクセラーD(ジフェニルグアニジン)を加えた。この様にしてシリカ充填SBRゴムコンパウンドを得た。
【0056】
得られたシリカ充填SBRゴムコンパウンドを160℃で20分加硫の後、機械的物性とアクロン磨耗を測定した。
さらに、比較加硫ゴム例2として、シリカのドライブレンドのゴム組成物の加硫ゴム物性を比較するために加硫ゴムを調製した。具体的には、SBR1502を235gとシリカVN3を129gとの合計364gをラボプラストミルバンバリー形ミキサーB−600でドライブレンドした後、加硫ゴム例1と同様にシランカップリング剤、ポリエチレングリコール、カーボンブラック、芳香族オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、加硫促進剤と硫黄を加えて混練し160℃のプレスで加硫した。
【0057】
表3に引張物性の結果を示す。実施例のシリカ充填SBRを用いた加硫ゴム例の破断時の引張強度はいずれも比較加硫ゴム例2より高く、アクロン摩耗量も少なく、引張特性と耐摩耗性に優れている。このことから本発明により製造された湿式法によるシリカとゴムの組成物はドライブレンドのゴム組成物より優れた加硫物性を有することが分かる。また、低燃費性能の指標となる粘弾性特性である60℃のtanδの値は比較加硫ゴム例1や比較加硫ゴム例2より低い。このことは走行時の発熱が小さく省燃費性に優れたゴムであると言える。
【0059】
本発明では、あらかじめ水分散シリカをエマルジョン状共役ジエン系ゴム及びアミノ基またはイミノ基を有する重合体の水溶液で処理することで、共凝固率が高く、適度な大きさのクラムにすることができた。また、加硫ゴム物性も機械的強度や摩耗に優れ低発熱性の加硫ゴムが得られた。本発明によって得られたシリカ充填ゴム組成物はタイヤに適したゴム組成物である。