(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記変位計は、上記ステージ上のワークに接触させる接触子と、上記接触子を上記対物レンズの光軸方向に移動させて上記接触子の高さ調整を行う高さ調整手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の画像測定器。
上記変位計は、上記対物レンズの光軸方向に延びるシャフトであって、上記接触子が上記高さ調整手段に対してX方向及びY方向に移動するのを制限するためのガイド用シャフトを有し、
上記ガイド用シャフトは、上記対物レンズの周縁よりもX方向の外側に配置され、
上記接触子は、上記ガイド用シャフトの一端に固定され、
上記高さ調整手段は、上記ガイド用シャフトを上記対物レンズの光軸方向に移動させることにより、上記接触子の高さ調整を行い、
上記接触子の先端は、上記対物レンズの光軸方向から見て、上記ガイド用シャフトの周縁よりも内側に位置決めされていることを特徴とする請求項3に記載の画像測定器。
上記変位計は、上記対物レンズの光軸方向に延びるシャフトであって、上記接触子が上記高さ調整手段に対してX方向及びY方向に移動するのを制限するためのガイド用シャフトを有し、
上記ガイド用シャフトは、上記対物レンズの周縁よりもX方向の外側に配置され、
上記接触子は、上記ガイド用シャフトに固定され、
上記高さ調整手段は、上記ガイド用シャフトを上記対物レンズの光軸方向に移動させることにより、上記接触子の高さ調整を行い、
上記接触子の先端は、上記対物レンズの周縁よりもX方向の内側に位置決めされていることを特徴とする請求項3に記載の画像測定器。
上記ステージ上の異なる2以上の位置で計測された高さの測定値に基づいて、上記ステージの傾きを求め、上記高さの測定値を補正する高さ測定値補正手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像測定器。
上記カメラは、上記ステージ上のワークを低倍率で撮影する低倍率撮像手段と、上記低倍率撮像手段の低倍率視野よりも狭い高倍率視野を上記低倍率視野内に形成し、上記ワークを高倍率で撮影する高倍率撮像手段とを有し、
上記高さ計測制御手段は、上記低倍率撮像手段により低倍率で撮影可能な領域からなる撮影エリアの一部又は全部を高さ計測の可能なエリアとして、測定位置の制御を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像測定器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した様な従来の画像測定器では、ステージの載置面と平行な方向の寸法は精度良く求められるものの、ワークの高さ、すなわち、載置面に垂直なZ方向の寸法は測定精度が低いという問題があった。例えば、ワークの高さは、カメラの視野内で異なる2つの測定位置を指定し、測定位置ごとに、ワーク画像のピントが合うステージのZ方向の位置を特定することによって求められる。ところが、合焦位置にはZ方向の幅があることから、高さ測定の精度は良くなかった。
【0006】
そこで、被写界深度が浅く、合焦位置の幅が狭いカメラを用いて高さ測定を行うことが考えられる。しかしながら、その様な方法では、カメラの視野が狭くなり、ワークのどこを測定すればよいのかということが判り難いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ワークの視認性を低下させることなく、高さの測定精度を向上させた画像測定器を提供することを目的とする。また、ステージ上に載置されたワークの位置や姿勢にかかわらず、ワーク上の所望の位置について、高さの測定値を取得することができる画像測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明による画像測定器は、ワークを載置するためのステージと、上記ステージと対向する対物レンズを介し、上記ステージ上のワークを撮影してワーク画像を生成するカメラと、上記ワーク画像からワークを検出するための特徴量情報、及び、測定対象として指定された測定対象箇所を示す測定箇所情報を保持する測定設定データ記憶手段と、上記特徴量情報に基づいて、上記ワーク画像におけるワークの位置及び姿勢を特定するワーク検出手段と、特定されたワークの上記位置及び姿勢と上記測定箇所情報とに基づいて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出手段と、抽出された上記エッジに基づいて、上記測定対象箇所の寸法値を求める寸法値算出手段と、上記対物レンズの光軸方向におけるワークの高さを計測する変位計と、特定されたワークの上記位置及び姿勢と上記測定箇所情報とに基づいて、上記ステージ及び上記変位計を相対的に移動させることにより、上記カメラにより撮影可能な撮影エリア内において高さの測定位置を制御し、上記変位計の出力に基づいて、高さの測定値を求める高さ計測制御手段とを備えて構成される。
【0009】
この画像測定器では、対物レンズの光軸方向におけるワークの高さを計測する変位計を備えることから、カメラの被写界深度に影響されることなく、高さの測定値を取得することができる。このため、ワークの視認性を低下させることなく、高さの測定精度を向上させることができる。また、ワーク画像におけるワークの位置及び姿勢を特定し、撮影エリア内において高さの測定位置を制御するので、ステージ上に載置されたワークの位置や姿勢にかかわらず、ワーク上の所望の位置について、高さの測定値を取得することができる。
【0010】
第2の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記ステージを上記対物レンズの光軸に垂直なX方向に移動させるステージ位置調整手段と、上記変位計を上記光軸及びX方向に垂直なY方向に移動させる変位計位置調整手段とを備え、上記変位計が、上記対物レンズの周縁よりもX方向の外側に配置され、上記高さ計測制御手段が、上記ステージ位置調整手段及び上記変位計位置調整手段を制御することにより、XY平面内において高さの測定位置を制御するように構成される。
【0011】
この様な構成によれば、高さの測定位置を制御するための可動部の構成を簡素化することができる。特に、変位計を対物レンズの周縁よりもX方向の外側に配置する一方、ステージをX方向に移動させるので、変位計をX方向に移動させなくても、カメラの撮影エリア内でワークの高さを測定することができる。
【0012】
第3の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記変位計が、上記ステージ上のワークに接触させる接触子と、上記接触子を上記対物レンズの光軸方向に移動させて上記接触子の高さ調整を行う高さ調整手段とを有するように構成される。この様な構成によれば、接触子をワークに当接させることによって高さ計測を行うので、ワークの材質や表面状態にかかわらず、ワークの高さを測定することができる。
【0013】
第4の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記変位計が、上記対物レンズの光軸方向に延びるシャフトであって、上記接触子が上記高さ調整手段に対してX方向及びY方向に移動するのを制限するためのガイド用シャフトを有し、上記ガイド用シャフトが、上記対物レンズの周縁よりもX方向の外側に配置され、上記接触子が、上記ガイド用シャフトの一端に固定され、上記高さ調整手段が、上記ガイド用シャフトを上記対物レンズの光軸方向に移動させることにより、上記接触子の高さ調整を行い、上記接触子の先端が、上記対物レンズの光軸方向から見て、上記ガイド用シャフトの周縁よりも内側に位置決めされているように構成される。
【0014】
接触子の先端をガイド用シャフトの周縁よりも外側に位置決めすれば、より広い範囲で高さを測定することが可能になるが、接触子やガイド用シャフトに歪みが生じ易いので、高さの測定誤差が乗り易い。これに対し、上記画像測定器では、接触子の先端がガイド用シャフトの周縁よりも内側に位置決めされるので、高さの計測可能な範囲は狭くなるが、接触子やガイド用シャフトに歪みが生じ難いので、高さの測定誤差を低減させることができる。
【0015】
第5の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記変位計が、上記対物レンズの光軸方向に延びるシャフトであって、上記接触子が上記高さ調整手段に対してX方向及びY方向に移動するのを制限するためのガイド用シャフトを有し、上記ガイド用シャフトが、上記対物レンズの周縁よりもX方向の外側に配置され、上記接触子が、上記ガイド用シャフトに固定され、上記高さ調整手段が、上記ガイド用シャフトを上記対物レンズの光軸方向に移動させることにより、上記接触子の高さ調整を行い、上記接触子の先端が、上記対物レンズの周縁よりもX方向の内側に位置決めされているように構成される。
【0016】
この様な構成によれば、接触子の先端が対物レンズの光軸方向から見てガイド用シャフトの周縁よりも内側に位置決めされる場合に比べ、X方向に広い測定エリアで高さを測定することができる。例えば、安定性が低下するのを防止するためにステージのX方向の移動範囲が制限されている場合、接触子の先端がガイド用シャフトの周縁よりも内側に位置決めされていれば、ガイド用シャフトが対物レンズの周縁よりもX方向の外側に配置されることから、高さの測定リアが撮影エリア内の狭い領域に制限される。これに対し、接触子の先端が対物レンズの周縁よりもX方向の内側に位置決めされていれば、高さ計測の範囲がX方向に拡大されるので、より広い測定エリアで高さ計測を行うことができる。
【0017】
第6の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記ステージ上の異なる2以上の位置で計測された高さの測定値に基づいて、上記ステージの傾きを求め、上記高さの測定値を補正する高さ測定値補正手段を備えて構成される。この様な構成によれば、ワークの重さによってステージに傾きや歪みが生じ、或いは、ステージにがたつきがある場合であっても、高さの測定誤差を低減させることができる。
【0018】
第7の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記カメラが、上記ステージ上のワークを低倍率で撮影する低倍率撮像手段と、上記低倍率撮像手段の低倍率視野よりも狭い高倍率視野を上記低倍率視野内に形成し、上記ワークを高倍率で撮影する高倍率撮像手段とを有し、上記高さ計測制御手段が、上記低倍率撮像手段により低倍率で撮影可能な領域からなる撮影エリアの一部又は全部を高さ計測の可能なエリアとして、測定位置の制御を行うように構成される。この様な構成によれば、高倍率視野よりも広い低倍率視野によってワークの全体を確認しながら、高さの測定対象箇所を指定し、或いは、高さの測定結果を確認することができる。
【0019】
第8の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記低倍率撮像手段がマスターピースを低倍率で撮影したマスター画像を表示する撮影画像表示手段と、上記マスター画像に対し、測定対象箇所及び測定方法を指定し、上記測定箇所情報を生成する測定箇所情報生成手段とを備えて構成される。この様な構成によれば、高倍率視野よりも広い低倍率視野によってマスターピースの全体を確認しながら、測定対象箇所や測定方法を指定することができる。
【0020】
第9の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、マスター画像に対し、測定対象箇所及び測定方法を指定し、上記測定箇所情報を生成する測定箇所情報生成手段を備え、上記測定設定データ記憶手段が、高さを測定するための高さ測定箇所も上記測定箇所情報として記憶し、上記測定箇所情報生成手段が、上記測定対象箇所として、上記対物レンズの光軸に垂直な平面内における2次元の寸法を測定するための2次元寸法測定箇所と上記高さ測定箇所とを同一のマスター画像に対して指定するように構成される。この様な構成によれば、同一のワークに対し、対物レンズの光軸に垂直な平面内における2次元の寸法と光軸方向の高さとを測定することができる。
【0021】
第10の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記測定箇所情報生成手段が、複数の上記高さ測定箇所を同一のマスター画像に対して指定し、上記測定設定データ記憶手段が、上記測定箇所情報生成手段により指定された各高さ測定箇所を上記特徴量情報に関連づけて記憶し、上記高さ計測制御手段が、上記ワーク検出手段により特定されたワークの位置及び姿勢に基づいて、上記ワーク画像において複数の高さ測定箇所の位置を特定するように構成される。この様な構成によれば、同一のワークにおける複数の高さ測定箇所について、高さを測定することができる。
【0022】
第11の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記ワーク検出手段が、上記特徴量情報に基づいて、同一のワーク画像から同一形状かつ略同一サイズの複数のワークを検出して各ワークの位置及び姿勢を特定し、上記高さ計測制御手段が、上記同一のワーク画像に対する各ワークの2次元の寸法測定が終了した後、複数のワークのそれぞれについて特定された位置及び姿勢に基づいて、高さの測定位置が上記高さ測定箇所と一致するように、上記ステージ及び上記変位計を相対的に移動させる処理を連続的に繰り返すように構成される。この様な構成によれば、同一形状かつ略同一サイズの複数のワークに対する2次元の寸法測定と高さ測定とを順次に実行させることができる。
【0023】
第12の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記寸法値算出手段により算出された寸法値及び上記高さ計測制御手段により算出された高さの測定値を上記ワーク画像上に表示する撮影画像表示手段を備え、上記測定設定データ記憶手段が、設計値及び公差からなる設計値情報を記憶し、上記撮影画像表示手段は、複数のワークのそれぞれについて算出された2次元の寸法測定の結果と高さ測定結果とを対応するワークに重ねて表示するとともに、これらの測定結果と設計値との誤差が公差の範囲内にあるか否かを識別可能な状態で表示するように構成される。この様な構成によれば、同一形状かつ略同一サイズの複数のワークに対する2次元の寸法測定の結果及び高さ測定結果と、これらの測定結果と設計値との誤差が公差の範囲内にあるか否かとを容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ワークの視認性を低下させることなく、高さの測定精度を向上させた画像測定器を提供することができる。また、ステージ上に載置されたワークの位置や姿勢にかかわらず、ワーク上の所望の位置について、高さの測定値を取得することができる画像測定器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<画像測定器1>
図1は、本発明の実施の形態による画像測定器1の一構成例を示した斜視図であり、接触式の変位計16を備えた画像測定器1が示されている。この画像測定器1は、可動ステージ12上のワークを撮影したワーク画像からエッジを抽出してワークの寸法を測定する寸法測定装置であり、測定ユニット10、制御ユニット20、キーボード31及びマウス32により構成される。ワークは、その形状や寸法が測定される測定対象物である。
【0027】
測定ユニット10は、画面表示部11、可動ステージ12、電源スイッチ13、実行ボタン14、Z調整つまみ15及び変位計16を備え、可動ステージ12上のワークに可視光からなる検出光を照射し、その透過光又は反射光を受光してワーク画像を生成する。
【0028】
画面表示部11は、ワーク画像や測定結果を表示画面11a上に表示する表示装置である。この画面表示部11は、後述する鏡筒部よりも前側に配置されている。可動ステージ12は、ワークを載置するための水平かつ平坦な載置面を有する作業台であり、左右方向及び上下方向に移動させることができる。例えば、可動ステージ12は、検出光を透過させるガラス板からなる。ここでは、可動ステージ12の載置面に垂直な上下方向をZ方向と呼び、測定ユニット10の左右方向をX方向、前後方向をY方向と呼ぶことにする。
【0029】
Z調整つまみ15は、可動ステージ12をZ方向に移動させて可動ステージ12の位置を調整するための操作部である。電源スイッチ13は、画像測定器1の主電源をオン状態及びオフ状態間で切り替えるための操作部である。実行ボタン14は、寸法測定を開始させるための操作部である。
【0030】
変位計16は、ワークの高さを計測する高さ計測装置であり、可動ステージ12上のワークに接触子を当接させることにより、高さを検知する接触式距離センサからなる。ここでいうワークの高さは、Z方向の高さであり、可動ステージ12からの距離や、XY平面内で離間した2つの測定位置間の高低差を示す段差が検知される。この変位計16は、後述するカメラの鏡筒部よりも左側に配置され、接触子をY方向又はZ方向に移動させて接触子の位置を調整することができる。
【0031】
制御ユニット20は、測定ユニット10による撮影や画面表示を制御し、ワーク画像を解析してワークの寸法を演算により求めるコントローラ部であり、キーボード31及びマウス32が接続されている。電源投入後、可動ステージ12上にワークを載置して実行ボタン14を操作すれば、ワークの寸法が自動的に測定される。
【0032】
<変位計16>
図2及び
図3は、
図1の変位計16の構成例を示した図である。
図2には、変位計16を前方から見た様子が示され、
図3には、変位計16を上方から見た様子が示されている。図中には、接触子17の装着位置を変更することにより、ストレートポジション及びオフセットポジションを高さ計測の位置として選択可能な変位計16が示されている。ストレートポジションは、XY平面内において、ガイド用シャフト162の下端の位置であり、オフセットポジションは、ストレートポジションよりもカメラの光軸中心に近い位置である。
【0033】
この変位計16は、接触子17、高さ調整部161、ガイド用シャフト162、ストレートポジション着脱部163、オフセットアーム164及びオフセットポジション着脱部165により構成される。変位計16は、変位計位置調整部168により、水平フレーム160に対し、Y方向に移動可能に配設されている。
【0034】
接触子17は、可動ステージ12上のワークに接触させる接触部であり、上下方向、すなわち、Z方向に延びる細長い棒状のプローブ部171と、プローブ部171の上端に設けられた着脱部172とからなる。プローブ部171は、その下端をワークの表面に当接させる。着脱部172は、円柱形状の座部であり、ガイド用シャフト162のストレートポジション着脱部163又はオフセットアーム164の先端のオフセットポジション着脱部165のいずれか一方に着脱可能に装着される。
【0035】
水平フレーム160は、高さ調整部161及び変位計位置調整部168を保持するシャーシ部であり、水平に固定される。ガイド用シャフト162は、接触子17が高さ調整部161に対してX方向及びY方向に移動するのを制限するためのガイド部材であり、上下方向に延びる棒状体からなる。
【0036】
ストレートポジション着脱部163は、円柱形状の座部であり、ガイド用シャフト162の下端に設けられている。接触子17の着脱部172は、プローブ部171の中心軸とガイド用シャフト162の中心軸とを略一致させた状態で、ストレートポジション着脱部163に固定される。このストレートポジションを選択することにより、接触子17の先端、すなわち、プローブ部171の下端は、Z方向から見て、ガイド用シャフト162の周縁よりも内側に位置決めされる。この様な構成によれば、接触子17をワークに接触させた際に、接触子17やガイド用シャフト162に歪が生じ難いので、高さの測定誤差を低減させることができる。
【0037】
オフセットアーム164は、カメラの光軸中心側にオフセットさせるための棒状の構造体であり、ガイド用シャフト162の側面からX方向に突出し、先端にオフセットポジション着脱部165が設けられている。オフセットポジション着脱部165は、円柱形状の座部であり、ストレートポジション着脱部163とZ方向の位置を一致させて配置されている。このオフセットポジションを選択することにより、接触子17の先端、すなわち、プローブ部171の下端は、後述する対物レンズの周縁よりもX方向の内側に位置決めされる。この様な構成によれば、ストレートポジションを選択した場合に比べ、X方向に広い測定エリアで高さを測定することができる。
【0038】
着脱部172と着脱部163又は165とは、マグネットの磁力を利用して結合する。マグネットの磁力を利用することにより、接触子17の着脱が容易である。また、ワークとの衝突により、変位計16が破損するのを防止することができる。
【0039】
高さ調整部161は、ガイド用シャフト162をZ方向に移動させることにより、接触子17の高さ調整を行い、ガイド用シャフト162のZ方向の位置を検出するセンサ本体であり、リフト用スライダ166及びリフト用モータ167からなる。この高さ調整部161は、制御ユニット20からの駆動信号に基づいて、接触子17の高さ調整を行う。また、ガイド用シャフト162のZ方向の位置は、例えば、光学読取装置を用いて検出される。
【0040】
リフト用スライダ166は、ガイド用シャフト162をZ方向に持ち上げる可動部であり、ガイド用シャフト162から突出する爪部162aと係合するストッパー部166aが設けられている。
【0041】
爪部162aは、ガイド用シャフト162の左側面からX方向に突出する柱状体からなる。ストッパー部166aは、リフト用スライダ166の前面からY方向に突出する柱状体からなる。リフト用モータ167は、リフト用スライダ166をZ方向に移動させるための電動機である。
【0042】
ストッパー部166aが爪部162aの下面に当接することにより、ガイド用シャフト162がリフト用スライダ166により支持される。また、ストッパー部166a及び爪部162aが係合した状態で、リフト用スライダ166をZ方向に移動させることにより、接触子17の高さが所定の範囲内で調整される。
【0043】
また、リフト用スライダ166を降下させている途中で、接触子17がワークに当接すれば、ストッパー部166a及び爪部162aの係合が外れ、接触子17の下方向への移動は停止する。ストッパー部166a及び爪部162aの係合が外れた状態では、接触子17及びガイド用シャフト162の自重がワークに付加され、この状態で検出したガイド用シャフト162の位置からワークの高さが求められる。
【0044】
変位計位置調整部168は、前後方向、すなわち、Y方向に延びるスライド用シャフトと、このスライド用シャフトを回転させる駆動部とにより構成され、変位計16をY方向に移動させて接触子17のY方向の位置調整を行う。この変位計位置調整部168は、制御ユニット20からの駆動信号に基づいて、接触子17の位置調整を行う。スライド用シャフトを回転させることにより、高さ調整部161がY方向に移動し、接触子17のY方向の位置が所定の範囲内で調整される。
【0045】
<測定ユニット10>
図4は、
図1の測定ユニット10内の光学系の構成例を模式的に示した説明図であり、測定ユニット10を対物レンズ104の光軸を含むYZ平面により切断した場合の切断面が示されている。この測定ユニット10は、画面表示部11、可動ステージ12、筐体100、ステージ位置調整部101、鏡筒部102、照明位置調整部103、対物レンズ104、低倍率撮像部110、高倍率撮像部120、同軸落射照明ユニット130、リング照明ユニット140及び透過照明ユニット150により構成される。
【0046】
ステージ位置調整部101、鏡筒部102、対物レンズ104、撮像部110,120、同軸落射照明ユニット130及び透過照明ユニット150は、筐体100内に配置されている。
【0047】
ステージ位置調整部101は、制御ユニット20からの駆動信号に基づいて、可動ステージ12をX又はZ方向に移動させることにより、可動ステージ12のX及びZ方向の位置を調整する。このステージ位置調整部101は、可動ステージ12をY方向の前端でのみ支持する片持ち構造のステージ支持部である。
【0048】
対物レンズ104は、ワークからの検出光を集光する受光レンズであり、可動ステージ12と対向し、光軸を上下方向と一致させて配置されている。対物レンズ104は、その周縁が略円形である。X方向及びY方向は、互いに直交し、いずれも対物レンズ104の光軸に垂直である。
【0049】
低倍率撮像部110及び高倍率撮像部120は、共通の対物レンズ104を介して、ワークを撮影する撮像手段である。つまり、低倍率撮像部110、高倍率撮像部120及び対物レンズ104によって、1つのカメラが構成されている。
【0050】
低倍率撮像部110は、撮影倍率の低い撮像装置であり、対物レンズ104を介し、可動ステージ12上のワークを低倍率で撮影する。この低倍率撮像部110は、撮像素子111、結像レンズ112及び絞り板113により構成される。撮像素子111は、検出光を受光してワーク画像を生成する。この撮像素子111は、受光面を下方に向けて配置されている。結像レンズ112は、検出光を撮像素子111上に結像させる光学部材である。絞り板113は、検出光の透過光量を制限する光学絞りであり、結像レンズ112及び対物レンズ104間に配置されている。結像レンズ112、絞り板113及び対物レンズ104は、上下方向に延びる光軸を中心として配置されている。
【0051】
高倍率撮像部120は、撮影倍率の高い撮像装置であり、低倍率撮像部110の低倍率視野よりも狭い高倍率視野を低倍率視野内に形成し、対物レンズ104を介し、可動ステージ12上のワークを高倍率で撮影する。この高倍率撮像部120は、撮像素子121、結像レンズ122、絞り板123及びハーフミラー124により構成される。撮像素子121は、検出光を受光してワーク画像を生成する。この撮像素子121は、受光面を前方に向けて配置されている。結像レンズ122は、検出光を撮像素子121上に結像させる光学部材である。絞り板123は、検出光の透過光量を制限する光学絞りであり、結像レンズ122及びハーフミラー124間に配置されている。対物レンズ104を透過した検出光は、ハーフミラー124により水平方向に折り曲げられ、絞り板123及び結像レンズ122を介して撮像素子121に結像する。
【0052】
例えば、撮像素子111及び121には、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)などのイメージセンサが用いられる。対物レンズ104には、上下方向、すなわち、対物レンズ104の光軸方向の位置が変化しても、像の大きさを変化させない性質を有するテレセントリックレンズが用いられる。
【0053】
同軸落射照明ユニット130は、可動ステージ12上のワークに検出光を上方から照射する落射照明装置であり、検出光の光軸を対物レンズ104の光軸と一致させている。この同軸落射照明ユニット130は、前方に向けて配置された光源131と、光源131から出射された検出光を下方に折り曲げるハーフミラー132とにより構成される。結像レンズ112,122、絞り板113,123、ハーフミラー124,132及び対物レンズ104は、鏡筒部102内に収容されている。
【0054】
透過照明ユニット150は、可動ステージ12上のワークに検出光を下方から照射する透過照明装置であり、光源151、ミラー152及び集光レンズ153により構成される。光源151は、前方に向けて配置されている。光源151から出射された検出光は、ミラー152により反射され、集光レンズ153を介して出射される。この検出光は、可動ステージ12を透過し、その透過光の一部は、ワークにより遮断され、他の一部が対物レンズ104に入射する。
【0055】
リング照明ユニット140は、可動ステージ12上のワークに検出光を上方又は側方から照射する落射照明装置であり、対物レンズ104を取り囲むリング形状からなる。このリング照明ユニット140は、平行光に近い拡がり角からなる検出光を側方から照射する側射照明装置と、拡散光を照射する拡散照明装置とを同軸に配置した照明装置である。
【0056】
照明ユニット130〜150の光源には、LED(発光ダイオード)やハロゲンランプが用いられる。照明位置調整部103は、リング照明ユニット140を上下方向に移動させることにより、側射照明装置40のZ方向の位置の調整を行う。ワークの照明方法としては、透過照明、リング照明又は同軸落射照明のいずれかを選択することができる。
【0057】
変位計16の高さ調整部161やガイド用シャフト162は、リング照明ユニット140よりもX方向の外側に配置される。この様な構成により、リング照明ユニット140を上下方向に移動させた際に、変位計16とリング照明ユニット140とが干渉することを防止している。
【0058】
図5は、変位計16と対物レンズ104との位置関係を示した説明図であり、対物レンズ104の下方から変位計16の着脱部163及び165を見た場合が示されている。図中の(a)には、撮影エリア内でワークの高さを測定する場合が示され、(b)には、変位計16が退避状態である場合が示されている。この図では、接触子17がオフセットポジション着脱部165に装着されている。
【0059】
撮影エリアは、カメラにより撮影可能な可動ステージ12上の領域からなる。変位計16のストレートポジション着脱部163は、対物レンズ104の周縁よりもX方向の外側に配置される。この例では、対物レンズ104と同軸に配置されたリング照明ユニット140よりもX方向の外側に、ストレートポジション着脱部163が配置されている。撮影エリア内でワークの高さを測定する場合、変位計16をY方向に移動させることにより、オフセットポジション着脱部165を対物レンズ104の周縁よりも内側に移動させることができる。
【0060】
退避状態では、変位計16が対物レンズ104の周縁よりもY方向の外側の退避位置にあり、カメラの視野を遮らないようにしている。この例では、リング照明ユニット140よりもY方向の外側に退避位置が形成され、着脱部163及び165は、リング照明ユニット140よりも外側に配置されている。この退避状態では、リング照明ユニット140を降下させても、変位計16と干渉することはない。
【0061】
図6は、
図1の可動ステージ12を示した説明図であり、可動ステージ12上に形成される撮影エリア2,3、高さの測定エリア4及び5が示されている。この可動ステージ12は、左右方向、すなわち、X方向に長い略矩形である。
【0062】
撮影エリア2は、低倍率撮像部110により撮影可能な可動ステージ12上のエリアである。この撮影エリア2は、直径が100mmの円形領域をX方向に100mmだけ移動させて形成される連結領域からなり、X方向の最大長は200mm、Y方向の幅は100mmである。直径が100mmの円形領域は、低倍率撮像部110の低倍率視野に対応する。
【0063】
撮影エリア3は、高倍率撮像部120により撮影可能な可動ステージ12上のエリアであり、撮影エリア2内に形成されている。この撮影エリア3は、一辺の長さが25mmの正方形領域をX方向に100mmだけ移動させて形成される矩形の連結領域からなり、X方向の長さは125mm、Y方向の長さは25mmである。一辺の長さが25mmの正方形領域は、高倍率撮像部120の高倍率視野に対応する。
【0064】
測定エリア4は、ストレートポジション着脱部163に装着された接触子17により高さ計測が可能な可動ステージ12上のエリアである。この測定エリア4は、撮影エリア2左端部に形成され、撮影エリア2の一部である。つまり、ストレートポジションを選択した場合は、測定エリア4内におけるワークの高さが測定対象になる。
【0065】
画像測定器1では、対物レンズ104の光軸方向におけるワークの高さを計測する変位計16を備えることから、カメラの被写界深度に影響されることなく、高さの測定値を取得することができる。このため、ワークの視認性を低下させることなく、高さの測定精度を向上させることができる。
【0066】
測定エリア5は、オフセットポジション着脱部165に装着された接触子17により高さ計測が可能な可動ステージ12上のエリアであり、測定エリア4よりもX方向に広く、測定エリア4を内包している。この測定エリア5は、撮影エリア2の左側に形成され、撮影エリア2の一部である。つまり、オフセットポジションを選択した場合は、測定エリア5内におけるワークの高さが測定対象になり、ストレートポジションを選択した場合に比べ、広いエリアで高さ計測を行うことができる。
【0067】
<ワーク画像Iw>
図7は、
図1の画像測定器1における寸法測定時の動作の一例を示した図であり、低倍率撮像部110により撮影されたワーク画像Iwが示されている。このワーク画像Iwは、低倍率撮像部110により可動ステージ12上のワークを低倍率で撮影された撮影画像であり、低倍率視野Lv内に存在する複数のワークWが被写体として撮影されている。この例では、同一の形状で略同一サイズの3つのワークWが被写体として撮影されている。
【0068】
本実施の形態による画像測定器1では、ワーク画像IwからワークWを検出するための特徴量情報と測定対象箇所を示す測定箇所情報とを予め登録しておくことにより、ワーク画像Iwにおける各ワークWの位置及び姿勢を特定して各ワークWの高さが自動的に測定される。つまり、ユーザは、各ワークWを可動ステージ12上に載置する際に、位置や姿勢を気にしなくても、これらのワークWについて、所望の位置における高さを自動的に測定することができる。
【0069】
また、高倍率視野よりも広い低倍率視野Lvによって各ワークWの全体を確認しながら、高さの測定対象箇所や測定方法を指定し、或いは、高さの測定結果を確認することができる。
【0070】
<制御ユニット20>
図8は、
図1の制御ユニット20内の機能構成の一例を示したブロック図である。この制御ユニット20は、撮影画像取得部201、ワーク画像記憶部202、撮影画像表示部203、測定箇所情報生成部204、測定設定データ記憶部205、ワーク検出部206、エッジ抽出部207、寸法値算出部208、高さ計測制御部209及び高さ測定値補正部210により構成される。
【0071】
撮影画像取得部201は、ユーザ操作に基づいて、測定ユニット10の撮像部110及び120を制御し、撮像部110又は120からワーク画像を取得する。ワーク画像記憶部202には、ワーク画像が保持される。撮影画像表示部203は、測定ユニット10の画面表示部11を制御し、設定画面(後述)やワーク画像を表示する。
【0072】
測定箇所情報生成部204は、ユーザ操作に基づいて、測定対象箇所及び測定方法を示す測定箇所情報を生成する。測定設定データ記憶部205には、ワーク画像からワークを検出するための特徴量情報、測定箇所情報及び設計値情報が測定設定データとして保持される。設計値情報は、設計値及び公差からなる。
【0073】
測定設定時には、低倍率撮像部110がマスターピースを低倍率で撮影したマスター画像が撮影画像表示部203により表示される。測定箇所情報生成部204は、マスター画像に対し、測定対象箇所及び測定方法を指定し、測定箇所情報を生成する。この様な構成によれば、高倍率視野よりも広い低倍率視野によってマスターピースの全体を確認しながら、測定対象箇所や測定方法を指定することができる。
【0074】
また、測定箇所情報生成部204は、測定対象箇所として、対物レンズ104の光軸に垂直な平面、すなわち、XY平面内における2次元の寸法を測定するための2次元寸法測定箇所と、高さを測定するための高さ測定箇所とを同一のマスター画像に対して指定する。測定設定データ記憶部205には、2次元寸法測定箇所と共に、高さ測定箇所が測定箇所情報として記憶される。この様な構成によれば、同一のワークに対し、XY平面内における2次元の寸法と、対物レンズ104の光軸方向、すなわち、Z方向の高さとを測定することができる。
【0075】
また、測定設定データ記憶部205には、測定箇所情報生成部204により、複数の高さ測定箇所が同一のマスター画像に対して指定されれば、各高さ測定箇所が特徴量情報に関連づけて記憶される。
【0076】
ワーク検出部206は、特徴量情報に基づいて、ワーク画像におけるワークの位置及び姿勢を特定する。例えば、パターンマッチングにより、ワークの位置及び姿勢が特定される。エッジ抽出部207は、ワーク検出部206により特定されたワークの位置及び姿勢と測定箇所情報とに基づいて、ワーク画像から測定対象箇所のエッジを抽出する。例えば、輝度の変化率に基づいて、エッジが抽出される。寸法値算出部208は、エッジ抽出部207により抽出されたエッジに基づいて、測定対象箇所の寸法値を求める。寸法値算出部208により求められた寸法値は、撮影画像表示部203へ出力され、画面表示部11に測定結果として表示される。
【0077】
高さ計測制御部209は、ワーク検出部206により特定されたワークの位置及び姿勢と測定箇所情報とに基づいて、可動ステージ12及び変位計16を相対的に移動させることにより、撮影エリア内において高さの測定位置を制御し、変位計16の出力に基づいて、高さの測定値を求める。ここでいう高さの測定位置は、撮影エリアよりも十分に狭小な領域からなる。
【0078】
この高さ計測制御部209は、ステージ位置調整部101、変位計位置調整部168及び高さ調整部161を制御することにより、XY平面内において高さの測定位置を制御するとともに、接触子17のZ方向の位置を制御する。高さ計測制御部209により求められた高さの測定値は、撮影画像表示部203へ出力され、画面表示部11に測定結果として表示される。
【0079】
画像測定器1では、ワーク画像におけるワークの位置及び姿勢を特定して、撮影エリア内における高さの測定位置を制御するので、可動ステージ12上に載置されたワークの位置や姿勢にかかわらず、ワーク上の所望の位置について、高さの測定値を取得することができる。また、高さの測定位置を制御するための可動部の構成を簡素化することができる。特に、変位計16を対物レンズ104の周縁よりもX方向の外側に配置する一方、可動ステージ12をX方向に移動させるので、変位計16をX方向に移動させなくても、カメラの撮影エリア内でワークの高さを測定することができる。
【0080】
高さ測定値補正部210は、測定精度を上げるために可動ステージ12の傾きを求め、高さの測定値を補正する。具体的には、可動ステージ12上の異なる2以上の位置で計測された高さの測定値に基づいて、可動ステージ12の傾きが求められる。撮影画像表示部203には、補正後の測定値が出力される。傾き検知のための測定位置は、ワーク検出部206により特定されたワークの位置及び姿勢と測定箇所情報とに基づいて、ワークの存在しない領域から自動的に指定される。
【0081】
この様な構成によれば、ワークの重さによって可動ステージ12に傾きや歪みが生じ、或いは、可動ステージ12にがたつきがある場合であっても、高さの測定誤差を低減させることができる。本実施の形態では、可動ステージ12がステージ位置調整部101によりY方向の前端でのみ支持される片持ち構造を有するので、可動ステージ12の傾きを求めて高さの測定値を補正することにより、測定誤差を効果的に低減させることができる。
【0082】
なお、高さ計測制御部209は、複数の高さ測定箇所が同一のマスター画像に対して指定されていれば、ワーク検出部206により特定されたワークの位置及び姿勢に基づいて、ワーク画像において複数の高さ測定箇所の位置を特定する。この様な構成によれば、同一のワークにおける複数の高さ測定箇所について、高さを測定することができる。
【0083】
また、ワーク検出部206は、特徴量情報に基づいて、同一のワーク画像から同一形状かつ略同一サイズの複数のワークを検出して各ワークの位置及び姿勢を特定する。このとき、高さ計測制御部209は、同一のワーク画像に対する各ワークの2次元の寸法測定が終了した後、複数のワークのそれぞれについて特定された位置及び姿勢に基づいて、高さの測定位置が高さ測定箇所と一致するように、可動ステージ12及び変位計16を相対的に移動させる処理を連続的に繰り返す。この様な構成によれば、同一形状かつ略同一サイズの複数のワークに対する2次元の寸法測定と高さ測定とを順次に実行させることができる。
【0084】
撮影画像表示部203は、寸法値算出部208により算出された寸法値及び高さ計測制御部209により算出された高さの測定値をワーク画像上に表示する。例えば、複数のワークのそれぞれについて算出された2次元の寸法測定の結果と高さ測定結果とが対応するワークに重ねて表示されるとともに、これらの測定結果と設計値との誤差が公差の範囲内にあるか否かが識別可能な状態で表示される。この様な構成によれば、同一形状かつ略同一サイズの複数のワークに対する2次元の寸法測定の結果及び高さ測定結果と、これらの測定結果を設計値との誤差が公差の範囲内にあるか否かとを容易に確認することができる。
【0085】
図9のステップS101〜S106は、
図8の制御ユニット20における測定設定時の動作の一例を示したフローチャートである。この図には、制御ユニット20において測定設定データを作成する場合が示されている。
【0086】
測定設定データの作成処理は、以下に示す6つの処理手順からなる。まず、設計データの入力が行われる(ステップS101)。設計データの入力では、特徴量の設定や輪郭比較に用いるマスターデータが取得される。マスターデータは、マスターピースを撮影した撮影画像、或いは、CAD(Computer Aided Design)により作成されたCADデータやCAD画像からなる。ここでは、マスターデータとして、マスターピースを撮影して得られたマスター画像を用いた場合の例を説明する。
【0087】
次に、特徴量の設定が行われる(ステップS102)。特徴量の設定は、マスター画像に基づいて、特徴量情報や測定範囲を設定することにより行われる。次に、撮影倍率の設定が行われる(ステップS103)。撮影倍率の設定では、ステップS102で設定した特徴量に対し、低倍率の寸法測定又は高倍率の寸法測定のいずれかが指定され、その撮影倍率情報が特徴量に対応づけて保持される。複数の特徴量が設定されている場合には、特徴量ごとに、撮影倍率情報が対応づけられる。
【0088】
次に、測定対象箇所及び測定種別の指定が行われる(ステップS104)。具体的には、画面表示部11上に表示されたマスター画像に対し、測定対象とする位置、エッジ検出領域及び測定方法を指定することにより行われる。
【0089】
エッジ検出領域は、領域内の画像データについて、輝度変化を解析してエッジを抽出するための画像処理領域である。測定種別の指定では、何をどの様にして測定するのかという測定方法が選択される。測定対象箇所及び測定種別の指定が完了すれば、マスター画像に対する寸法測定が実行される。すなわち、マスター画像に対し、測定対象箇所のエッジ抽出を行い、指定された測定方法で測定対象箇所の寸法値が算出される。寸法値の測定結果は、例えば、マスター画像上に表示される。
【0090】
次に、設計値及び公差の設定が行われる(ステップS105)。設計値及び公差の設定では、表示された測定対象箇所ごとの寸法値が必要に応じて変更され、設計値として設定される。また、設計値に関連づけて公差が設定される。この様にして作成された測定設定データは、制御ユニット20内のメモリに書き込まれる(ステップS106)。
【0091】
図10のステップS201〜S211は、
図8の制御ユニット20における寸法測定時の動作の一例を示したフローチャートである。寸法測定は、測定設定データに基づいて実行される。実行ボタン14が操作されれば、制御ユニット20は、可動ステージ12上のワークを撮影したワーク画像を測定ユニット10の撮像部110から取得する(ステップS201)。
【0092】
次に、制御ユニット20は、取得したワーク画像を特徴量情報として予め登録されたパターン画像と照合することにより、ワークの位置及び姿勢を特定し、測定対象箇所のエッジを抽出する(ステップS202,S203)。そして、制御ユニット20は、抽出したエッジに基づいて、測定対象箇所の寸法値を算出する(ステップS204)。制御ユニット20は、他にワークがあれば、ステップS202からステップS204までの処理手順を繰り返す(ステップS205)。
【0093】
次に、制御ユニット20は、特定したワークの位置及び姿勢に基づいて、高さの測定位置を制御し、変位計16の出力に基づいて高さの測定値を算出する(ステップS206,S207)。制御ユニット20は、他に測定対象箇所やワークがあれば、ステップS206及びS207の処理手順を繰り返す(ステップS208)。
【0094】
次に、制御ユニット20は、算出した寸法値及び高さの測定値と設計値との差分から誤差を求め、誤差を対応する公差と比較することにより(ステップS209)、測定対象箇所ごとの良否判定を行い、その良否判定の結果に基づいて、ワークごとの良否判定を行う(ステップS210)。制御ユニット20は、寸法値及び高さの測定値と良否判定の結果とを測定ユニット10の画面表示部11に表示する(ステップS211)。寸法値及び高さの測定値と良否判定の結果とは、ワーク画像上の測定対象箇所に対応づけて表示される。
【0095】
<設定画面6>
図11は、
図1の画像測定器1の動作の一例を示した図であり、測定設定データの作製時に、測定ユニット10の画面表示部11に表示される設定画面6が示されている。この設定画面6は、測定設定時に表示される編集画面であり、マスター画像を表示するための表示欄61と、測定種別を選択するためのメニュー欄62とが設けられている。
【0096】
表示欄61には、透過照明を利用して低倍率撮影されたマスター画像が表示されている。メニュー欄62には、距離測定の種別を示す複数のアイコンと、角度測定を示すアイコンと、高さ測定を示すアイコン63とが配置されている。距離測定の種別には、2つの直線間の距離、直線と点との距離、2点間の距離、2つの円間の距離などがある。角度測定では、2つの交差する直線間のなす角度が測定される。
【0097】
高さ測定では、可動ステージ12からの高さや2点間の高低差を示す段差が測定される。アイコン63を操作することにより、測定対象箇所や設計値、公差などを設定するための設定画面を表示させることができる。
【0098】
図12は、
図1の画像測定器1の動作の一例を示した図であり、高さ測定を選択した場合の設定画面6が示されている。この設定画面6は、測定対象箇所や設計値、公差などを設定するための編集画面であり、マスター画像を表示するための表示欄61と、設定手順を表示するための表示欄64と、測定方法を選択するためのラジオボタン65と、設計値情報を入力するための入力欄66と、確定ボタン67、OKボタン68及びキャンセルボタン69とが設けられている。
【0099】
表示欄61には、落射照明を利用して低倍率撮影されたマスター画像が表示されている。表示欄64には、高さ測定の設定手順が表示されている。例えば、1点目の測定位置と2点目の測定位置とを順次に指定した後、測定結果の表示位置を指定してOKボタン68を操作すれば、測定設定が完了する旨が表示されている。
【0100】
ラジオボタン65を操作することにより、絶対値測定、第1相対値測定又は第2相対値測定のいずれか一つを選択することができる。絶対値測定は、可動ステージ12を基準として高さを測定する方法である。絶対値測定を選択した場合は、測定位置を1点だけ指定すれば、ワークが存在しない可動ステージ12上の領域が自動的に検知され、当該可動ステージ12上の位置とユーザ指定の測定位置との差分から高さが求められる。
【0101】
第1相対値測定は、1点目の測定位置を基準として2点目の測定位置の高さを測定する方法であり、1点目の測定位置における高さから2点目の測定位置における高さが減算される。第2相対値測定は、2点目の測定位置を基準として1点目の測定位置の高さを測定する方法であり、2点目の測定位置における高さから1点目の測定位置における高さが減算される。
【0102】
入力欄66には、設計値、上限値及び下限値の各入力ボックスが設けられ、設計値や公差を任意に指定することができる。表示欄61内のマスター画像には、マスターピースの中央部が測定位置として指定され、マスターピースが存在しない可動ステージ12上の位置を基準として求められた高さの測定値「10.028mm」が寸法の測定結果として表示されている。
【0103】
本実施の形態によれば、ワークの視認性を低下させることなく、高さの測定精度を向上させることができる。また、可動ステージ12上に載置されたワークの位置や姿勢にかかわらず、ワーク上の所望の位置について、高さの測定値を取得することができる。また、接触子17をワークに当接させることによって高さ計測を行うので、ワークの材質や表面状態にかかわらず、ワークの高さを測定することができる。
【0104】
なお、本実施の形態では、可動ステージ12をX方向に移動させ、変位計16をY方向に移動させることにより、高さの測定位置を制御する場合の例について説明したが、本発明は、可動部の構成をこれに限定するものではない。例えば、ステージをX方向及びY方向に移動させ、或いは、変位計16をX方向及びY方向に移動させることにより、高さの測定位置を制御するような構成であっても良い。
【0105】
また、本実施の形態では、接触式の変位計16を用いてワークの高さを測定する場合の例について説明したが、本発明は、変位計の構成をこれに限定するものではない。例えば、レーザー光などの検出光をステージ上のワークに照射した際の検出光の飛行時間や反射角度を検知して、ワークの高さを測定するような構成であっても良い。
【0106】
また、本実施の形態では、ガイド用シャフト162から突出するオフセットアーム164の先端にオフセットポジション着脱部165を設けることにより、対物レンズ104の周縁よりもX方向の内側にオフセットポジションが形成される場合の例について説明したが、本発明は、オフセットポジションの実現方法をこれに限定するものではない。例えば、針元に対して針先をX方向に偏心させた接触子をストレートポジション着脱部163に装着することにより、オフセットポジションを形成するような構成であっても良い。
【0107】
また、ワークとの接触を検知するために、接触子17を装着することによって導通する電気接点を着脱部163又は165に設け、変位計16又は可動ステージ12を移動させている途中における電気接点の非導通状態への移行に基づいて、エラー出力を行うような構成であっても良い。