特許第6552080号(P6552080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552080
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】指輪サイズ棒
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/46 20060101AFI20190722BHJP
   G01B 5/12 20060101ALI20190722BHJP
   A44C 9/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G01B3/46
   G01B5/12
   A44C9/00
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-92178(P2016-92178)
(22)【出願日】2016年4月29日
(65)【公開番号】特開2017-198641(P2017-198641A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年4月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503281094
【氏名又は名称】株式会社 鈴峯
(74)【代理人】
【識別番号】100106378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 宏一
(72)【発明者】
【氏名】江口 晃生
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3102923(JP,U)
【文献】 実開昭57−146004(JP,U)
【文献】 実開昭55−69704(JP,U)
【文献】 米国特許第4964222(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/34
G01B 3/46
G01B 5/12
A44C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部と、前記基端部に備わった把持部を有する指輪サイズ棒であって、
前記指輪サイズ測定部が、その軸心方向に沿って指輪の各サイズに対応する外径を有する複数のサイズ対応パーツからなり、前記各サイズ対応パーツの外周面が交互に色分けされた状態で連なることで前記指輪サイズ測定部が形成されていることを特徴とする指輪サイズ棒。
【請求項2】
先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部と、前記基端部に備わった把持部を有する指輪サイズ棒であって、
前記指輪サイズ測定部は、指輪のサイズに対応する外径を有する複数のサイズ対応パーツと、前記各サイズ対応パーツとこれに隣接するサイズ対応パーツ間を区切る複数の仕切りパーツを有しており、前記仕切りパーツの軸心方向の幅は、前記サイズ対応パーツの軸心方向の幅より狭くなっており、かつ前記各サイズ対応パーツと各仕切りパーツが交互に色分けされた状態で連なることで前記指輪サイズ測定部が形成されていることを特徴とする指輪サイズ棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指輪の内径を測定するために使用する指輪サイズ棒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、指輪のサイズの内径を素早くかつ簡単に測定するために使用する指輪サイズ棒が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。係る指輪サイズ棒は、断面が円形をなし、先端部が小径で基端部が大径となった先細りの略円柱体になって、周面が軸心方向にテーパ状をなした形状を有している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−121915号公報
【特許文献2】特開2010−107204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1及び特許文献2に記載の指輪サイズ棒は、その棒の軸心方向に向かって、指輪の内径のサイズに対応する外径ごとの領域に分けるようにその周囲に溝部が所定の間隔で形成されている。
【0005】
図5は、従来の指輪サイズ棒50の各サイズ部分を区切る溝部を拡大して示す説明図である。同図に示すように、溝部51a,51b,51c,・・・(51)にはその加工上、どうしても角部52a,52b,52c,・・・(52)が生じる。そのため、従来の指輪サイズ棒50を利用して指輪の内径を測定するにあたって、指輪サイズ棒50の先端から基端側に向かって指輪を通す際に、溝部51a,51b,51c,・・・の角部52a,52b,52c,・・・に指輪をぶつけてしまい、指輪の内側にキズがついてしまうことがある。即ち、指輪が指輪サイズ棒50の目的のサイズの部分にまで到達するまでに複数の溝部51a,51b,51c,・・・を越えるために、溝部51a,51b,51c,・・・の角部52a,52b,52c,・・・によって指輪の内側が擦れてキズが発生してしまうことがある。
【0006】
指輪の内側に一旦キズがつくと、その指輪の価値が下がってしまい、正規品として販売することができなくなる。また、例えば既に購入し大切に使用していた指輪のサイズを再確認するために、このような指輪サイズ棒50を用いて指輪のサイズを測定した際、指輪の内側にキズが付くことで愛着のある指輪が台無しになってしまい、使用者にとっての落胆が非常に大きくなる。
【0007】
また、特に細い指輪の場合、指輪のサイズを測定する際に、指輪サイズ棒50に指輪を上述したように先端部から基端部に向けて通している間に、各サイズに対応する領域同士を区切る溝部51a,51b,51c,・・・にはまり込んでしまうことがあり、正確な指輪のサイズや真円度を測定することができない。
【0008】
更には、指輪サイズ棒50が、長尺の樹脂材料でできている場合、この樹脂材料を複数の溝部51a,51b,51c,・・・を有するように一体切削すると、加工する指輪サイズ棒自体が長尺であることと、多数の溝部51a,51b,51c,・・・を加工しなければならないこと、の双方の要因に伴う切削抵抗に起因して生じる加工対象材料の発熱や膨張により、加工後の指輪サイズ棒自体の寸法精度の狂いが生じ易くなる。
【0009】
本発明の目的は、指輪のサイズを測定する際に、指輪の内側に傷を付けにくくすると共に、容易かつ迅速、的確にサイズ測定を行うことができる指輪サイズ棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の請求項1に係る指輪サイズ棒は、
先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部と、前記基端部に備わった把持部を有する指輪サイズ棒であって、
前記指輪サイズ測定部が、その軸心方向に沿って指輪の各サイズに対応する外径を有する複数のサイズ対応パーツからなり、前記各サイズ対応パーツの外周面が交互に色分けされた状態で連なることで前記指輪サイズ測定部が形成されていることを特徴としている。
【0011】
好ましくは、この指輪サイズ棒は、先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部と、前記基端部に備わった把持部を有する指輪サイズ棒であって、前記指輪サイズ測定部は、指輪の各サイズに対応した外周面を有する円錐形状の互いに大きさの異なる複数のサイズ対応パーツを有し、かつ前記サイズ対応パーツの各々にはその軸心に沿ってシャフト挿通孔が形成され、前記指輪サイズ棒は、前記シャフト挿通孔に挿通される同心度維持シャフトを更に有し、前記同心度維持シャフトの一方の端部側は前記把持部に取り付けられ、前記同心度維持シャフトの前記把持部から突出した部分に当該把持部に近い側から遠い側に向かってサイズの大きいサイズ対応パーツからサイズの小さいサイズ対応パーツが連結するように前記同心度維持シャフトが前記各サイズ対応パーツのシャフト挿通孔に挿通され、各隣接する各サイズ対応パーツ間はその周面が異なる色彩で彩色され、かつ隣接する各サイズ対応パーツ間の周面に溝部や段部を生じることなく互いの各サイズ対応パーツの外周面が面一に連結しているのが良い。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る指輪サイズ棒は、
先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部と、前記基端部に備わった把持部を有する指輪サイズ棒であって、
前記指輪サイズ測定部は、指輪のサイズに対応する外径を有する複数のサイズ対応パーツと、前記各サイズ対応パーツとこれに隣接するサイズ対応パーツ間を区切る複数の仕切りパーツを有しており、前記仕切りパーツの軸心方向の幅は、前記サイズ対応パーツの軸心方向の幅より狭くなっており、かつ前記各サイズ対応パーツと各仕切りパーツが交互に色分けされた状態で連なることで前記指輪サイズ測定部が形成されていることを特徴としている。
【0013】
好ましくは、この指輪サイズ棒は、先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部と、前記基端部に備わった把持部を有する指輪サイズ棒であって、前記指輪サイズ測定部は、指輪の各サイズに対応した外周面を有する円錐形状の互いに大きさの異なる複数のサイズ対応パーツを有し、かつ前記サイズ対応パーツの各々にはその軸心に沿ってシャフト挿通孔が形成され、前記指輪サイズ棒は、前記シャフト挿通孔に挿通される同心度維持シャフトを更に有し、前記同心度維持シャフトの一方の端部側は前記把持部に取り付けられ、前記同心度維持シャフトの前記把持部から突出した部分に当該把持部に近い側から遠い側に向かってサイズの大きいサイズ対応パーツからサイズの小さいサイズ対応パーツが連結するように前記同心度維持シャフトが前記各サイズ対応パーツのシャフト挿通孔に挿通され、かつこれらの隣接するサイズ対応パーツ間に当該各サイズ対応パーツよりも軸線方向の厚さが薄く円錐形状を有し、かつ前記シャフト挿通孔が形成された仕切りパーツが介装され、前記仕切りパーツとこれに隣接する各サイズ対応パーツ同士の周面が異なる色に彩色され、かつ隣接する各サイズ対応パーツと仕切りパーツ間の周面に溝部や段部が生じることなく各サイズ対応パーツの外周面と各仕切りパーツの外周面が面一に連結しているのが良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、指輪のサイズを測定する際に、指輪の内側に傷を付けにくくすると共に、容易かつ迅速、的確にサイズ測定を行うことができる指輪サイズ棒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る指輪サイズ棒を示す平面図である。
図2図1に示した指輪サイズ棒の軸線を含む長手方向に沿った断面図である。
図3図1に示した指輪サイズ棒の各部品を分解した状態で示す斜視図である。
図4図1に示した指輪サイズ棒の変形例を示す正面図である。
図5】従来の指輪サイズ棒の各サイズ部分を区切る溝部を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る指輪サイズ棒について説明する。なお、図面における各部材の形状、大きさ、寸法、個数は、説明の便宜上一例として挙げたものであり、これに限定されるものではない。
【0017】
本実施形態に係る指輪サイズ棒は、先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部と、基端部に備わった把持部を有している。そして、指輪サイズ測定部が、その軸心方向に沿って指輪の各サイズに対応する外径を有する複数のサイズ対応パーツからなり、各サイズ対応パーツの外周面が交互に色分けされた状態で連なることで指輪サイズ測定部が形成されている。
【0018】
以下、添付の図面に基づいて本実施形態に係る指輪サイズ棒の構成を詳細に説明する。添付の図面に関して、図1は、本発明の一実施形態に係る指輪サイズ棒を示す平面図である。また、図2は、図1に示した指輪サイズ棒の軸線を含む長手方向に沿った断面図である。
【0019】
本実施形態に係る指輪サイズ棒10は、上述したように先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部11と、基端部に備わった把持部15を有している。
【0020】
指輪サイズ測定部は、指輪の各サイズに対応した外周面を有する円錐形状の互いに大きさの異なる複数のサイズ対応パーツ12−1,12−2,12−3,・・・(12)からなる。そして、サイズ対応パーツ12の各々にはその軸心に沿ってシャフト挿通孔12−1a,12−2a,12−3a,・・・(12a)が形成されている。
【0021】
偶数のサイズに対応するサイズ対応パーツ12−2,12−4,12−6,・・・は白色の樹脂でできている。一方、奇数のサイズに対応するサイズ対応パーツ12−1,12−3,12−5,・・・は黒色の樹脂でできている。そして、偶数のサイズに対応するサイズ対応パーツ12−2,12−4,12−6,・・・には、これが対応する指輪のサイズの数字は表示されていないが、奇数のサイズに対応するサイズ対応パーツ12−1,12−3,12−5,・・・の外周面には、それぞれのサイズの数字が表示されている。
【0022】
また、指輪サイズ棒10は、各シャフト挿通孔12−1a,12−2a,12−3a,・・・に挿通される同心度維持シャフト14(図2及び図3参照)を更に有している。そして、同心度維持シャフト14の一方の端部は把持部15のシャフト取り付け孔15aに圧入された状態で取り付けられている。また、同心度維持シャフト14の把持部15から突出した部分に、把持部15に近い側から遠い側に向かってサイズの最も大きいサイズ対応パーツ12−12からサイズの最も小さいサイズ対応パーツ12−1まで全てのサイズ対応パーツ12が連結するように、同心度維持シャフト14が各サイズ対応パーツ12のシャフト挿通孔12aに挿通されている。
【0023】
また、隣接する各サイズ対応パーツ間は、その周面が異なる色彩(本実施形態では白と黒)で彩色され、かつ隣接する各サイズ対応パーツ間の周面に溝部や段部を生じることなく互いの各サイズ対応パーツ12−1,12−2,12−3,・・・の外周面が面一に連結している。
【0024】
より具体的には、本実施形態においては、図1に示すように、指輪のサイズが19号に対応する最も小さいサイズ対応パーツ12−1が指輪サイズ測定部11の先端に位置し、指輪のサイズが30号に対応する最も大きいサイズ対応パーツ12−12が指輪サイズ測定部11の基端、即ち把持部側に隣接して位置する。
【0025】
そして、隣接するサイズ対応パーツ同士の当接部の周囲には段差が生じることなく互のサイズ対応パーツの周面が面一に連続するようにそれぞれのサイズ対応パーツ12−1,12−2,12−3,・・・の外径が規定されている。これに加えて、隣接するサイズ対応パーツ同士は、上述したように白色と黒色を交互に繰り返すように各サイズ対応パーツが形成されている。
【0026】
なお、指輪のサイズが奇数の数字に対応する6個のサイズ対応パーツ12−1,12−3,12−5,12−7,12−9,12−11は、黒色の樹脂材をそれぞれ個別に加工して形成されている。また、指輪のサイズが偶数の数字に対応する6個のサイズ対応パーツ12−2,12−4,12−6,12−8,12−10,12−12は、白色の樹脂材をそれぞれ個別に加工して形成されている。そして、黒色に彩色された6個のサイズ対応パーツ12−1,12−3,12−5,12−7,12−9,12−11には、これらのうち最も小さいサイズ対応パーツ12−1から最も大きいサイズ対応パーツ12−11までそれぞれ奇数の数字の指輪のサイズがレーザー加工等を用いて表示されている。これら奇数の数字の表示位置は、例えば、奇数のサイズの指輪を指輪サイズ棒10に挿入した場合、該当するサイズ対応パーツ12の位置で指輪がちょうど止まった際に、指輪によって隠れることなく、図1においては指輪サイズ棒10に嵌まった指輪の上側に表示されてその指輪のサイズをすぐに目視で確認できるようになっている。
【0027】
なお、上述の実施形態とは異なり、偶数の数字に対応する6個のサイズ対応パーツが、黒色の樹脂材を加工して形成されるとともに、奇数の数字に対応する6個のサイズ対応パーツが、白色の樹脂材を加工して形成されていても良い。また、各サイズ対応パーツの周囲には、上述の実施形態とは異なり、偶数の数字のみ表示しても良く、全ての数字を表示しても良い。
【0028】
続いて、本実施形態に係る指輪サイズ棒10の製造方法について説明する。図3は、図1に示した指輪サイズ棒の各部品を分解した状態で示す斜視図である。
【0029】
同図に示すように、例えばNC旋盤やNCフライス盤を適宜用いて樹脂材料から把持部15及び各サイズ対応パーツ12−1,12−2,12−3,・・・をそれぞれ個別に製造する。この際、把持部15に設けたシャフト取り付け孔15aや各サイズ対応パーツ12−1,12−2,12−3,・・・に設けたシャフト挿通孔12−1a,12−2a,12−3a,・・・の内径及び同心度維持シャフト14の外径は、同心度維持シャフト14を挿通する際に圧入状態で挿通され、挿通後に両者が互いにずれることなくしっかりと固定される程度の寸法関係となっている。
【0030】
そして、同心度維持シャフト14の一方の端部を把持部15のシャフト取り付け孔15aに挿通すると共に、同心度維持シャフト14の他方の端部から各サイズ対応パーツ12のうち、最も大きい指輪のサイズに対応するサイズ対応パーツ12−12から同心度維持シャフトに順々に挿通していく。そして、各サイズ対応パーツ12のうち、最も小さい指輪のサイズに対応するサイズ対応パーツ12−1を同心度維持シャフト14に挿通して指輪サイズ棒10の組み立てを終える。
【0031】
これによって、隣接する各サイズ対応パーツ間はその周面が白色と黒色という異なる色彩で交互に彩色され、かつ隣接する各サイズ対応パーツ間の周面に溝部や段部を生じることなく互いの各サイズ対応パーツ12−1,12−2,12−3,・・・の外周面が面一に連結するようになる。
【0032】
本実施形態に係る指輪サイズ棒10を用いた指輪のサイズの測定は以下のように行う。測定すべきサイズの指輪を指輪サイズ棒10の先端から通し、黒色のサイズ対応パーツ12−1,12−3,12−5,・・・で指輪が止まった場合は、その止まったサイズ対応パーツに表示された数字を読んで指輪のサイズをすぐに判断する。また、白色のサイズ対応パーツ12−2,12−4,12−6,・・・で指輪が止まった場合、その上下に位置する黒色のサイズ対応パーツ12−1,12−3,12−5,・・・に表示された2つの奇数の数字の間の偶数の数字からその指輪のサイズをすぐに判断することができる。
【0033】
続いて、本実施形態に係る指輪サイズ棒10の作用について説明する。本実施形態に係る指輪サイズ棒10によると、従来の指輪サイズ棒が有していた全ての問題点を解決することができる。
【0034】
具体的には、従来の指輪サイズ棒を利用して指輪の内径を測定する場合、指輪サイズ棒の先端から基端部に向かって指輪を通す際に、溝部の角に指輪をぶつけてしまい、指輪の内側にキズがついてしまうことがある。指輪の内側に一旦キズがつくと、その指輪の価値が下がってしまい、正規品として販売することができなくなる。また、例えば既に購入し大切に使用していた指輪のサイズを再確認するために、このような指輪サイズ棒を用いて指輪のサイズを測定した際に、指輪の内側にキズが付くことで愛着のある指輪が台無しになってしまい、使用者にとっての落胆が非常に大きくなる。また、特に細い指輪の場合、指輪のサイズを測定する際に、指輪サイズ棒に指輪を上述したように先端部から基端部に通している間に、各サイズに対応する領域同士を区切る溝部にはまり込んでしまうことがあり、正確な指輪のサイズや真円度を測定することができない。更には、指輪サイズ棒が、長尺の樹脂材料でできている場合、この樹脂材料を複数の溝部を有するように一体切削すると、加工する指輪サイズ棒自体が長尺であることと、多数の溝部を加工しなければならないこと、の双方の要因に伴う切削抵抗に起因して生じる加工対象材料の発熱や膨張により、加工後の指輪サイズ棒自体の寸法精度の狂いが生じ易くなる。
【0035】
しかしながら、本実施形態に係る指輪サイズ棒によると、上述した従来の指輪サイズ棒の欠点を全て解決し、指輪のサイズを測定する際に、指輪の内側に傷を付けにくくすると共に、容易かつ迅速、的確にサイズ測定を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態に係る指輪サイズ棒によると、隣接する各サイズ対応パーツ間がその周面が白色と黒色という異なる色彩で交互に彩色されているので、サイズ対応パーツに表示されたサイズの数字に加えて、指輪サイズ棒全体から見た白色と黒色の順番を視覚的に認識して色彩情報としても指輪のサイズ測定時に記憶することができる。これによって、従来例のようにサイズ対応パーツに表示された小さい数字だけを読んでサイズを判断しなくて済むので、数字だけを覚えてしばらく時間をあけてから必要書類に記入する際に、誤った数字を記入してしまうようなことを防ぐことができる。また、近視や老眼の使用者が適切な眼鏡をかけずに小さい数字を読み間違えて、誤ったサイズとして測定するのを防止する。
【0037】
また、各サイズ対応パーツの長さが短く、かつ溝部も形成されていないので、加工性に優れ、各サイズ対応パーツの加工時に上述したような従来の加工時の問題、即ち切削抵抗に起因して生じる加工対象材料の発熱や膨張による寸法精度の狂いが生じることがない。
【0038】
また、本実施形態に係る指輪サイズ棒の各サイズ対応パーツ及び把持部は、強度と成型性に優れた樹脂材でできており、同心度維持シャフトは、金属でできているため、各サイズ対応パーツ同士の同心度を確実に維持することができ、各サイズ対応パーツのシャフト挿通孔に同心度維持シャフトを挿通した状態で、全てのサイズ対応パーツのつなぎ目部分に段差が生じることなく、サイズ測定領域の周面が面一となったテーパ面とすることができる。
【0039】
続いて、上述した実施形態に係る指輪サイズ棒の変形例について説明する。本変形例に係る指輪サイズ棒は、先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部と、基端部に備わった把持部を有している。そして、指輪サイズ測定部は、指輪のサイズに対応する外径を有する複数のサイズ対応パーツ間を区切る複数の仕切りパーツを有しており、仕切りパーツの軸心方向の幅は、サイズ対応パーツの軸心方向の幅より狭くなっており、かつ各サイズ対応パーツと各仕切りパーツが交互に色分けされた状態で連なることで指輪サイズ測定部が形成されている。
【0040】
以下、本変形例に係る指輪サイズ棒の具体的構成を図面に基づいてより詳細に説明する。なお、上述した実施形態と同様の構成については、図示省略するか、図面に対応する符号を付してその詳細な説明を省略する。図4は、図1に示した指輪サイズ棒の変形例を示す正面図である。
【0041】
本変形例に係る指輪サイズ棒20は、先端部が小径で基端部が大径となり周囲が溝部を有さない連続したテーパ面となった円柱形状の指輪サイズ測定部21と、基端部に備わった把持部25を有している。
【0042】
そして、指輪サイズ測定部21は、指輪の各サイズに対応した外周面を有する円錐形状の互いに大きさの異なる複数のサイズ対応パーツ22−1,22−2,22−3,・・・(22)からなる。また、サイズ対応パーツ22−1,22−2,22−3,・・・の各々にはその軸心に沿ってシャフト挿通孔22−1a,22−2a,22−3a,・・・(22a)が形成されている。
【0043】
また、指輪サイズ棒20は、シャフト挿通孔22−1a,22−2a,22−3a,・・・に挿通される同心度維持シャフト24を更に有している。そして、同心度維持シャフト24の一方の端部側は把持部25に取り付けられている。また、同心度維持シャフト24の把持部25から突出した部分に、把持部25に近い側から遠い側に向かってサイズの最も大きいサイズ対応パーツ22−12からサイズの最も小さいサイズ対応パーツ22−1までが全て連結するように、同心度維持シャフト24が各サイズ対応パーツ22−1,22−2,22−3,・・・のシャフト挿通孔22−1a,22−2a,22−3a,・・・に上述の実施形態と同様に圧入状態で挿通されている。その上、これらの隣接するサイズ対応パーツ間に各サイズ対応パーツ22よりも軸線方向の厚さがかなり薄く略円板状の円錐形状を有し、かつシャフト挿通孔が形成された仕切りパーツ23−1,23−2,23−3,・・・(23)が介装されている。
【0044】
そして、本変形例においては、各サイズ対応パーツ22−1,22−2,23−3,・・・は、黒色の樹脂材を加工して形成されているため、外周面全体が黒色に彩色されている。一方、各仕切りパーツ23−1,23−2,23−3,・・・は、白色の樹脂材を加工して形成されているため、外周面全体が白色に彩色されている。そして、黒色に彩色された12個のサイズ対応パーツ22には、最も小さいサイズ対応パーツ22−1から最も大きいサイズ対応パーツ22−12までそれぞれ連続した数字の指輪のサイズ(19〜30)がレーザー加工等を用いて表示されている。
【0045】
なお、本変形例に係る指輪サイズ棒の各サイズ対応パーツ22−1,22−2,22−3,・・・、各仕切りパーツ23−1,23−2,23−3,・・・及び把持部25も、上述した実施形態と同様に、強度と成型性に優れた樹脂材でできており、同心度維持シャフト24も金属でできているため、隣接する各サイズ対応パーツ22と仕切りパーツ23との間の周面に溝部や段部が生じることなく各サイズ対応パーツ22−1,22−2,22−3,・・・の外周面と各仕切りパーツ23−1,23−2,23−3,・・・の外周面が面一に連結している。
【0046】
上述の連続した数字の表示位置は、例えば、サイズの指輪を指輪サイズ棒に挿入した場合、該当するサイズ対応パーツ22の位置で指輪がちょうど止まった際に、指輪によって隠れることなく、図4においては指輪サイズ棒20に嵌まった指輪の上側であって更に上側に位置する仕切りパーツ23と指輪とで挟まれた部分に表示されてその指輪のサイズをすぐに目視して確認できるようになっている。
【0047】
本変形例に係る指輪サイズ棒がこのような構造を有していても、上述した本実施形態に係る指輪サイズ棒と同等の作用を発揮することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態は、あくまで本発明の一例を示すもので、本発明の範囲を逸脱しなければ上述のような寸法、材質、形状に本発明を限定する必要はなく、適宜設計変更を可能とすることは言うまでもない。
【0049】
従って、上述の実施形態においては、白色と黒色の各サイズ対応パーツが交互に並んで配置されていたが、これ以外の視覚的に区別しやすい色の組み合わせとしたり、各々のサイズ対応パーツごとに異なる色を使用して組み合わせたりしても良い。
【0050】
また、上述の変形例においては、黒色のサイズ対応パーツと白色の仕切りパーツを用いたが、これ以外の視覚的に区別しやすい色の組み合わせとしても良い。
【0051】
また、上述の実施形態及びその変形例においては、サイズ対応パーツは12個であったが、この個数に限定されず、指輪サイズの1号〜30号のうち、適当な数の範囲を選択してこれにあったサイズ対応パーツを連ねた指輪サイズ棒としても良いことは言うまでもない。
【0052】
即ち、把持部を共通部品として、長さの異なる同心度維持シャフトを用意し、かつサイズ対応パーツを指輪の全てのサイズに合わせて用意しておき、成人女性用の指輪のサイズを主に測定する使用環境、成人男性用の指輪のサイズを主に測定する使用環境、子供用の指輪のサイズを主に測定する使用環境のそれぞれの使用環境に合わせた長さの比較的短く取り扱いや保管に優れた指輪サイズ棒とすることができる。
【0053】
また、上述の実施形態及びその変形例において、断面円形を有する指輪サイズ棒の転がり防止のための突起部を把持部等に設けても良い。この場合、突起部によって転がらない状態で指輪サイズ棒を机等の上に置いた際に、指輪のサイズを表す数字表示部が真上に位置するのが使い勝手上最も好ましい。
【符号の説明】
【0054】
10 指輪サイズ棒
11 指輪サイズ測定部
12−1,12−2,12−3,・・・(12) サイズ対応パーツ
12−1a,12−2a,12−3a,・・・(12a) シャフト挿通孔
14 同心度維持シャフト
15 把持部
15a シャフト取り付け孔
20 指輪サイズ棒
21 指輪サイズ測定部
22−1,22−2,22−3,・・・(22) サイズ対応パーツ
22−1a,22−2a,22−3a,・・・(22a) シャフト挿通孔
23−1,23−2,23−3,・・・(23) 仕切りパーツ
24 同心度維持シャフト
25 把持部
50 指輪サイズ棒
51a,51b,51c,・・・(51) 溝部
52a,52b,52c,・・・(52) 角部

図1
図2
図3
図4
図5