(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各水平同期期間の第1期間において、液晶表示装置に設けられた温度測定手段によって測定された測定温度が第1温度範囲にある場合に、前記液晶表示装置の液晶表示パネルのソース線を画像データに示された階調値に応じてプリチャージするステップと、
各水平同期期間の前記第1期間において、前記測定温度が前記第1温度範囲よりも低い第2温度範囲にある場合に、前記ソース線をプリチャージする動作、又は、前記ソース線を前記画像データに示された階調値に対応する電圧に駆動する動作を、前記画像データに示された階調値に応じて選択的に行うステップと、
各水平同期期間の前記第1期間に続く第2期間において、前記ソース線を前記画像データに示された階調値に対応する電圧に駆動するステップ
とを含む
液晶表示パネルの駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本実施形態の液晶表示装置、ドライバ、及び、液晶表示パネルの駆動方法の技術的意義の理解を容易にするために、まず、液晶表示パネルの駆動において、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する技術を採用した場合に生じ得る問題について説明する。
【0016】
図1は、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する技術を採用した場合、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージの実行、不実行を選択する場合の、ある水平同期期間(以下、第k水平同期期間という。)におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、
図1は、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。また、各画素について255階調表示が行われるとする。この場合、各画素の画像データは、8ビットであり、画像データに示されている階調値が0〜127の場合に最上位ビット(MSB:most significant bit)が“0”、128〜255の場合に最上位ビット“1”に設定されることになる。
【0017】
図1に図示された駆動動作では、画像データの最上位ビットが“0”である場合にはプリチャージは行われず、画像データの最上位ビットが“1”である場合にプリチャージが行われる。例えば、
図1の上図は、第k水平同期期間における画素の階調値が“127”である場合のソース線の電圧波形を示しており、下図は、第k水平同期期間における画素の階調値が“128”である場合のソース線の電圧波形を示している。
【0018】
各水平同期期間における駆動動作においては、イコライズ期間、プリチャージ期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。プリチャージ期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、プリチャージ期間の後に設けられる。イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。一例では、液晶表示パネルのソース線が互いに電気的に接続されて同一の電位(例えば、接地電位)に設定される。
図1では、ソース線のイコライズにおいてソース線が接地電位GNDに設定される場合のソース線の電圧波形を図示している。
【0019】
イコライズ期間に続くプリチャージ期間においては、画像データの最上位ビットに応じてプリチャージが行われる。詳細には、画像データの最上位ビットが“1”である場合、プリチャージ期間においてプリチャージが行われる。
図1では、ソース線が電圧VCIにプリチャージされるとしてソース線の電圧波形が図示されている。画像データの最上位ビットが“0”である場合にはプリチャージ期間においてもプリチャージは行われない。この場合、ソース線がハイインピーダンス(Hi−Z)に設定される。ソース線がハイインピーダンスに設定される場合には、ソース線の電圧は基本的には変動しない。このような動作では、ソース線を高い電圧に駆動すべき場合にのみ選択的にプリチャージが行われることになり、消費電力を有効に低減することができる。
【0020】
プリチャージ期間に続く駆動期間では、ソース線が、階調値に対応する電圧に駆動される。
図1では、階調値“127”に対応する電圧が記号“V
127”として図示されており、階調値“128”に対応する電圧が記号“V
128”として図示されている。十分な駆動能力を有する出力回路でソース線を駆動すれば、当該画素のTFT(thin film transistor)がオフされるタイミングよりも十分に早いタイミングでソース線を階調値に対応する電圧に到達させることができる。
【0021】
図1に示されている駆動方法では、液晶の反応速度が十分に速ければ、当該画素の実際の輝度(厳密には、液晶表示パネルに実際に表示される画像における当該画素の輝度)は、プリチャージの実行、不実行に関わらず、ソース線が最終的に駆動される電圧(
図1の動作では、V
127又はV
128)に対応する輝度になる。従って、階調値が“127”である場合と階調値が“128”である場合とで階調値の差“1”に対応する僅かな輝度の差が生じるように当該画素が駆動されることになる。
【0022】
しかしながら、液晶表示装置が低温で動作し、液晶の反応速度が低下する場合には、当該画素の実際の輝度は、ソース線の実効的な電圧(ソース線の電圧の時間平均)に対応する輝度になる。この結果、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で、当該画素の実際の輝度が大きく変化することになる。例えば、
図1の例では、液晶表示装置が低温で動作する場合には、階調値が“128”である場合の当該画素の実際の輝度と、階調値“127”とである場合の当該画素の実際の輝度との間で大きな差が発生する。
【0023】
例えば、
図2は、左から右に向けて階調値が0から255に逐次に変化するような画像を液晶表示パネルに表示した場合における、画像の実際の見え方の例を示している。液晶表示装置が常温で動作する場合には、滑らかに輝度が変化するような画像が液晶表示パネルに表示される。一方、液晶表示装置が低温で動作する場合には、液晶表示パネルに表示される画像において、階調値が127である位置と階調値が128である位置の間で大きな輝度差が発生する。
【0024】
この現象は、液晶表示装置が低温で動作する場合の表示品位を劣化させるため、好ましくない。以下に述べられる実施形態では、液晶表示装置の低温での表示品位の劣化を抑制するための手法が採用される。
【0025】
図3は、一実施形態における液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。液晶表示装置1は、液晶表示パネル2と、表示ドライバ3とを備えている。液晶表示パネル2は、行列に配置された画素と、複数のゲート線と、複数のソース線とを備えている(ただし、画素、ゲート線、ソース線は、いずれも、
図3には図示されていない)。各画素は、対応するゲート線及びソース線に接続されている。表示ドライバ3は、ホスト4から受け取った画像データ及び制御信号に応答して液晶表示パネル2を駆動する。
【0026】
表示ドライバ3は、画像データインターフェース11、制御信号インターフェース12と、制御部13と、メモリ14と、データラッチ15と、階調電圧選択回路16と、ソースドライバ回路17と、ゲート制御ドライバ18と、電源回路19と、温度センサ21と、レジスタ22とを備えている。
【0027】
画像データインターフェース11は、ホスト4から受け取った画像データを制御部13に転送し、制御信号インターフェース12は、ホスト4から受け取った制御信号から生成した各種の制御データ(制御コマンド、制御パラメータ等)を制御部13に供給する。
【0028】
制御部13は、制御信号インターフェース12から受け取った制御データに応じて、表示ドライバ3の各回路を制御する。詳細には、制御部13は、タイミングコントローラを備えており、表示ドライバ3の各回路のタイミング制御を行う。また、後に詳細に説明されるように、制御部13は、ソースドライバ回路17の動作、特に、ソース線のプリチャージ動作を制御する機能も有しており、制御部13は、ソースドライバ回路17の動作を制御するソースドライバ制御信号群S
CTRLを生成する。ソースドライバ制御信号群S
CTRLは、プリチャージ動作を制御するプリチャージ制御信号S
PRC_CTRLを含んでいる。更に、制御部13は、画像データインターフェース11から受け取った画像データをメモリ14に転送する機能も有している。
【0029】
メモリ14、データラッチ15、階調電圧選択回路16及びソースドライバ回路17は、制御部13から受け取った画像データに応答して液晶表示パネル2の各ソース線を駆動する駆動部を構成している。詳細には、メモリ14は、制御部13から受け取った画像データを一時的に保存する。一実施形態では、メモリ14は、1フレーム画像の画像データを保存するように構成される。データラッチ15は、メモリ14から読み出された画像データをラッチし、階調電圧選択回路16に転送する。一実施形態では、データラッチ15は、液晶表示パネル2の1ラインの画素(一のゲート線に接続された画素)に対応する画像データを同時にラッチするように構成される。階調電圧選択回路16は、データラッチ15から受け取った画像データに対応する階調電圧を選択し、選択した階調電圧をソースドライバ回路17に供給する。ソースドライバ回路17には、液晶表示パネル2の各ソース線に対応する階調電圧が階調電圧選択回路16から供給される。ソースドライバ回路17は、液晶表示パネル2の各ソース線を、階調電圧選択回路16から受け取った階調電圧に対応する電圧に駆動する。
【0030】
ゲート制御ドライバ18は、液晶表示パネル2のゲート線を駆動する。なお、液晶表示パネル2にゲート線を駆動するゲートドライバ回路が内蔵される場合(このようなゲートドライバ回路は、GIP(gate-in-panel)回路と呼ばれることがある)、ゲート制御ドライバ18は、該ゲートドライバ回路を制御する制御信号を液晶表示パネル2に供給してもよい。
【0031】
電源回路19は、外部から供給される電源電圧Vcc及びアナログ電源電圧Vsp、Vsnから表示ドライバ3の各回路の動作に用いられる各種の電源電圧を生成する。一実施形態では、電源回路19は、電源電圧Vccから生成したロジック電源電圧Vddを制御部13及びメモリ14に供給する。また、電源回路19は、アナログ電源電圧Vsp、Vsnから生成したアナログ電源電圧sVdd、sVssを階調電圧選択回路16及びソースドライバ回路17に供給すると共に、アナログ電源電圧Vsp、Vsnから生成したゲートハイ電圧VGH、ゲートロー電圧VGLをゲート制御ドライバ18に供給する。
【0032】
温度センサ21と、レジスタ22は、制御部13によるプリチャージ動作の制御に用いられる情報を制御部13に供給する。詳細には、温度センサ21は、当該温度センサ21の温度に対応する温度データを生成し、制御部13に供給する温度測定手段として動作する。温度センサ21は、温度特性を有する半導体回路で形成可能である。温度センサ21の温度は、液晶表示装置1の環境温度又は液晶表示パネル2の温度に近い温度なので、温度センサ21によって生成される温度データは、液晶表示装置1の環境温度又は液晶表示パネル2の温度に対応する値を示すことになる。
【0033】
レジスタ22は、制御部13によるプリチャージ動作の制御に用いられるプリチャージ制御データを格納する。プリチャージ制御データとは、各温度範囲において行われるべきプリチャージ動作を規定するデータである。プリチャージ制御データの内容及びプリチャージ動作の制御については、後に詳細に説明する。レジスタ22は、プリチャージ制御データ以外の他の制御パラメータの格納にも使用されてもよい。
【0034】
図4は、ソースドライバ回路17の構成の一例を示す回路図であり、詳細には、ソースドライバ回路17のうち、奇数番目のソース出力S
2i−1と、それに隣接する偶数番目のソース出力S
2iを駆動する駆動回路部の構成を示している。ソース出力S
2i−1、S
2iは、それぞれ、液晶表示パネル2のソース線5
2i−1、5
2iに接続されており、該駆動回路部は、ソース出力S
2i−1、S
2iを介してソース線5
2i−1、5
2iを駆動することになる。
【0035】
図4に図示されているソースドライバ回路17は、水平方向(ゲート線が延伸する方向)に隣接する画素を反対の極性の電圧で駆動するように構成されている。即ち、ソースドライバ回路17は、ソース出力S
2i−1、S
2iの一方を正電圧に駆動し、他方を負電圧に駆動するように構成されている。このような構成は、ドット反転駆動を行う場合に好適である。以下、
図4のソースドライバ回路17の構成について詳細に説明する。
【0036】
ソースドライバ回路17は、出力回路31
2i−1、31
2iと、ストレートスイッチ32
2i−1、32
2iと、クロススイッチ33
2i−1、33
2iと、イコライズスイッチ34
2i−1、34
2iと、プリチャージスイッチ35
2i−1、35
2iと、制御回路36
2i−1、36
2iとを備えている。
【0037】
出力回路31
2i−1は、階調電圧選択回路16から受け取った階調電圧V
2i−1に対応する電圧(最も典型的には、同一の電圧)を出力し、出力回路31
2iは、階調電圧選択回路16から受け取った階調電圧V
2iに対応する電圧(最も典型的には、同一の電圧)を出力する。出力回路31
2i−1の出力は、ノードN
2i−1に接続され、出力回路31
2iの出力は、ノードN
2iに接続される。
【0038】
ここで、出力回路31
2i−1は、正電圧を出力するように構成され、出力回路31
2iは、負電圧を出力するように構成される。階調電圧選択回路16においては、階調電圧V
2i−1は、ソース出力S
2i−1、S
2iにそれぞれ接続されたソース線5
2i−1、5
2iのうち、正電圧に駆動されるソース線を駆動すべき電圧に対応するように選択され、階調電圧V
2iは、ソース線5
2i−1、5
2iのうち、負電圧に駆動されるソース線を駆動すべき電圧に対応するように選択される。
【0039】
ストレートスイッチ32
2i−1、32
2iとクロススイッチ33
2i−1、33
2iとは、ノードN
2i−1、N
2iとソース出力S
2i−1、S
2iの間の接続関係を切り替えるためのスイッチ部を構成している。詳細には、ストレートスイッチ32
2i−1は、ノードN
2i−1とソース出力S
2i−1の間に接続され、ストレートスイッチ32
2iは、ノードN
2iとソース出力S
2iの間に接続されている。ストレートスイッチ32
2i−1、32
2iは、ソース線5
2i−1(及びそれに接続されたソース出力S
2i−1)を正電圧に駆動し、ソース線5
2i(及びそれに接続されたソース出力S
2i)を負電圧に駆動する場合にオンされる。
【0040】
一方、クロススイッチ33
2i−1は、ノードN
2i−1とソース出力S
2iの間に接続され、クロススイッチ33
2iは、ノードN
2iとソース出力S
2i−1の間に接続されている。クロススイッチ33
2i−1、33
2iは、ソース出力S
2i及びそれに接続されたソース線5
2i−1を負電圧に駆動し、ソース出力S
2i及びそれに接続されたソース線5
2iを正電圧に駆動する場合にオンされる。
【0041】
イコライズスイッチ34
2i−1は、ノードN
2i−1と接地線37の間に接続され、イコライズスイッチ34
2iは、ノードN
2iと接地線37の間に接続される。イコライズスイッチ34
2i−1、34
2iは、ソース線5
2i−1、5
2iのイコライズを行うためのイコライズ部を構成しており、ソース線5
2i−1、5
2iのイコライズを行う場合にオンされる。なお、本実施形態では、ソース線5
2i−1、5
2iのイコライズを行う場合、ストレートスイッチ32
2i−1、32
2i及び/又はクロススイッチ33
2i−1、33
2iもオンされる。
【0042】
プリチャージスイッチ35
2i−1、35
2iと、制御回路36
2i−1、36
2iは、ソース線5
2i−1、5
2iをプリチャージするためのプリチャージ部を構成している。
【0043】
詳細には、プリチャージスイッチ35
2i−1は、ノードN
2i−1と電圧VCIが供給されているノードの間に接続され、プリチャージスイッチ35
2iは、ノードN
2iと電圧VCLが供給されているノードの間に接続される。ここで、電圧VCIは、所定の正電圧であり、電圧VCLは、所定の負電圧である。プリチャージスイッチ35
2i−1は、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正電圧に駆動されるべきソース線を電圧VCIにプリチャージする場合にオンされ、プリチャージスイッチ35
2iは、ソース線5
2i−1、5
2iのうち負電圧に駆動されるべきソース線を電圧VCLにプリチャージする場合にオンされる。
【0044】
制御回路36
2i−1は、プリチャージスイッチ35
2i−1を制御し、制御回路36
2iは、プリチャージスイッチ35
2iを制御する。本実施形態では、制御回路36
2i−1は、制御部13から供給されるプリチャージ制御信号S
PRC_CTRLと、階調電圧V
2i−1に対応する画像データD
2i−1の最上位ビットD
MSB(2i−1)に応じてプリチャージスイッチ35
2i−1を制御する。同様に、制御回路36
2iは、制御部13から供給されるプリチャージ制御信号S
PRC_CTRLと、階調電圧V
2iに対応する画像データD
2iの最上位ビットD
MSB(2i)に応じてプリチャージスイッチ35
2iを制御する。後述されるように、本実施形態では、プリチャージ制御信号S
PRC_CTRLが温度センサ21によって生成される温度データに応じて生成され、これにより、プリチャージの実行、不実行が、温度センサ21によって測定された温度(測定温度)に応じて制御される。
【0045】
図5Aは、本実施形態における液晶表示パネル2の駆動動作の一例を示す概念図である。本実施形態では、液晶表示装置1が低温で動作する場合に、通常動作と異なる駆動動作が行われる。より具体的には、温度センサ21によって測定された測定温度が所定の閾値温度T
THよりも高い第1温度範囲にある場合には、通常時駆動動作(第1駆動動作)が行われ、温度センサ21によって測定された測定温度が所定の閾値温度T
THよりも低い第2温度範囲にある場合には、低温時駆動動作(第2駆動動作)が行われる。閾値温度T
THは、レジスタ22において設定されるプリチャージ制御データにおいて指定されてもよい。
【0046】
通常時駆動動作においては、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する駆動動作、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージの実行、不実行を選択する駆動動作が行われる。このような動作は、消費電力の低減に有効である。
【0047】
一方、低温時駆動動作においては、画像データに示された階調値に依存せずにソース線のプリチャージを制御する駆動動作が行われる。一実施形態では、低温時駆動動作では、画像データに示された階調値に無関係に(画像データの最上位ビットの値に無関係に)プリチャージを行わない駆動動作が行われてもよいし、画像データに示された階調値に無関係に(画像データの最上位ビットの値に無関係に)プリチャージを行う駆動動作が行われてもよい。ソース線のプリチャージの制御を画像データに示された階調値に無関係に行えば、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で、当該画素の実際の輝度が大きく変化するという問題は発生しない。例えば、低温時駆動動作において画像データに示された階調値に無関係にプリチャージを実行しないこととすれば、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で、画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を解消することができる。
【0048】
低温時駆動動作は、レジスタ22に設定されるプリチャージ制御データを変更することによって、複数の駆動動作の間で切り換えてもよい。例えば、ホスト4から所望の駆動動作を指定するプリチャージ制御データをレジスタ22に書き込むことで、低温時駆動動作を変更してもよい。
【0049】
図5Aに図示されているような、温度センサ21によって測定された測定温度が所定の閾値温度T
THより高いか否かに応じて駆動動作を切り換える場合、温度センサ21によって測定された測定温度が閾値温度T
THの近傍である場合に、通常時駆動動作と低温時駆動動作との間の切り換えが頻繁に行われ得る。このような不具合を回避するためには、駆動動作の切り換えにヒステリシス(履歴特性)を持たせてもよい。
【0050】
図5Bは、駆動動作の切り換えにヒステリシスを持たせる場合の液晶表示パネル2の駆動動作の一例を示す概念図である。より具体的には、温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度T
TH1より高い場合には、通常時駆動動作が行われる。上述のように、通常時駆動動作においては、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する駆動動作、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージの実行、不実行を選択する駆動動作が行われる。
【0051】
通常時駆動動作が行われているときに温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度T
TH1より低い第2閾値温度T
TH2よりも低くなると、液晶表示パネル2の駆動動作が、低温時駆動動作に切り替えられる。上述のように、低温時駆動動作においては、画像データに示された階調値に依存せずにソース線のプリチャージを制御する駆動動作が行われる。また、低温時駆動動作が行われているときに温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度T
TH1よりも高くなると、液晶表示パネル2の駆動動作が、通常時駆動動作に切り替えられる。第1閾値温度T
TH1及び第2閾値温度T
TH2は、レジスタ22において設定されるプリチャージ制御データにおいて指定されてもよい。
【0052】
このような動作では、温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度T
TH1よりも高い第1温度範囲にある場合には通常時駆動動作が行われ、温度センサ21によって測定された測定温度が第2閾値温度T
TH2よりも低い第2温度範囲にある場合には低温時駆動動作が行われる。温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度T
TH1と第2閾値温度T
TH2の間である場合には、温度センサ21によって測定された測定温度の過去の変化に応じて通常時駆動動作又は低温時駆動動作が行われる。
【0053】
図5A、
図5Bのいずれの駆動動作においても、第1温度範囲において通常時駆動動作が行われ、第1温度範囲よりも低い第2温度範囲において低温時駆動動作が行われることに留意されたい。
【0054】
上記のように、本実施形態では、低温時駆動動作において画像データに示された階調値に依存せずにソース線のプリチャージが制御されるが、低温時駆動動作としては様々な駆動動作が行われ得る。以下では、本実施形態の液晶表示パネルの駆動方法の実施例、特に、低温時駆動動作の様々な実施例を説明する。なお、以下の実施例においては、各画素について256階調表示が行われるとする。この場合、各画素の画像データは、8ビットであり、画像データに示されている階調値が0〜127の場合に最上位ビット(MSB:most significant bit)が“0”、128〜255の場合に最上位ビット“1”に設定されることになる。
【0055】
(実施例1)
図6A、
図6Bは、実施例1における、第k水平同期期間におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、
図6Aは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示しており、
図6Bは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。例えば、
図4に図示されているソースドライバ回路17については、第k水平同期期間においてソース線5
2i−1が正極性の駆動電圧に駆動され、ソース線5
2iが負極性の駆動電圧に駆動される場合には、ソース線5
2i−1、5
2iの電圧波形が、それぞれ、
図6A、
図6Bに図示されることになる。また、第k水平同期期間においてソース線5
2i−1が負極性の駆動電圧に駆動され、ソース線5
2iが正極性の駆動電圧に駆動される場合には、ソース線5
2i−1、5
2iの電圧波形が、それぞれ、
図6B、
図6Aに図示されることになる。
【0056】
温度センサ21で測定された温度が常温である場合、通常時駆動動作が行われる。詳細には、例えば
図5Aで図示されている駆動動作が行われる場合には、温度センサ21で測定された温度が閾値温度T
THよりも高い場合に通常時駆動動作が行われる。一方、
図5Bで図示されている駆動動作が行われる場合には、液晶表示装置1が、温度センサ21で測定された温度が第1閾値温度T
TH1よりも低い状態から第1閾値温度T
TH1よりも高い状態に遷移した場合、又は、温度センサ21で測定された温度が常に第1閾値温度T
TH1よりも高い状態に維持されてきた場合、通常時駆動動作が行われる。
【0057】
一方、温度センサ21で測定された温度が低温である場合、低温時駆動動作が行われる。詳細には、例えば
図5Aで図示されている駆動動作が行われる場合には、温度センサ21で測定された温度が閾値温度T
THよりも低い場合に低温時駆動動作が行われる。一方、
図5Bで図示されている駆動動作が行われる場合には、液晶表示装置1が、温度センサ21で測定された温度が第2閾値温度T
TH2よりも高い状態から第2閾値温度T
TH2よりも低い状態に遷移した場合、又は、温度センサ21で測定された温度が常に第2閾値温度T
TH2よりも低い状態に維持されてきた場合、低温時駆動動作が行われる。以下では、通常時駆動動作及び低温時駆動動作のそれぞれにおける液晶表示装置1の動作を説明する。
【0058】
(1)通常時駆動動作が行われる場合
図6A、
図6Bの左図は、実施例1における、通常時駆動動作が行われる場合の第k水平期間における液晶表示装置1の動作を示すタイミングチャートである。
【0059】
第k水平同期期間においてソース線5
2i−1が正極性の駆動電圧に駆動され、ソース線5
2iが負極性の駆動電圧に駆動される場合、第k水平同期期間では、ストレートスイッチ32
2i−1、32
2iがオンされてソース線5
2i−1、5
2iがノードN
2i−1、N
2iに電気的に接続される。一方、第k水平同期期間においてソース線5
2i−1が負極性の駆動電圧に駆動され、ソース線5
2iが正極性の駆動電圧に駆動される場合、第k水平同期期間では、クロススイッチ33
2i−1、33
2iがオンされてソース線5
2i−1、5
2iがノードN
2i、N
2i−1に電気的に接続される。
【0060】
通常時駆動動作が行われる場合、
図4に図示されているソースドライバ回路17では、制御部13によってプリチャージ制御信号S
PRC_CTRLがアサートされる。プリチャージ制御信号S
PRC_CTRLがアサートされると、制御回路36
2i−1は、画像データD
2i−1の最上位ビットD
MSB(2i−1)に応じてプリチャージスイッチ35
2i−1を制御する状態に設定され、制御回路36
2iは、画像データD
2iの最上位ビットD
MSB(2i)に応じてプリチャージスイッチ35
2i−1を制御する状態に設定される。
【0061】
第k水平同期期間において通常時駆動動作が行われる場合、該第k水平同期期間においてイコライズ期間、プリチャージ期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。プリチャージ期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、プリチャージ期間の後に設けられる。
【0062】
イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。詳細には、イコライズスイッチ34
2i−1、34
2iがオンされてノードN
2i−1、N
2iが接地線37に電気的に接続され、更に、出力回路31
2i−1、31
2iの出力がハイインピーダンス状態(Hi−Z)に設定される。これにより、ソース線5
2i−1、5
2iが接地線37に電気的に接続され、ソース線5
2i−1、5
2iが接地電位にイコライズされる。
図6A、
図6Bでは、イコライズ期間においてソース線が接地電位GNDに設定される場合のソース線の電圧波形を図示している。
図6A、
図6Bにおいて、記号“A”は、ソース線が接地電位GNDにイコライズされる動作を示している。
【0063】
イコライズ期間に続くプリチャージ期間においては、画像データに示された階調値に応じて、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージが行われる。詳細には、プリチャージ期間においては、下記の動作が行われる。
【0064】
制御回路36
2i−1は、画像データD
2i−1の最上位ビットが“0”である場合にプリチャージスイッチ35
2i−1をオフし、画像データD
2i−1の最上位ビットが“1”である場合にプリチャージスイッチ35
2i−1をオンする。これにより、
図6Aに図示されているように、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD
2i−1の最上位ビットが“0”である場合にハイインピーダンス状態に設定され、画像データD
2i−1の最上位ビットが“1”である場合に電圧VCIにプリチャージされる。
【0065】
図6Aの左上図は、第k水平同期期間において正極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD
2i−1の階調値が“127”である場合の電圧波形を示しており、記号“B”は、ビット線がハイインピーダンス状態に設定される動作を示している。画像データD
2i−1の階調値が“127”である場合、画像データD
2i−1の最上位ビットは“0”であり、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、ハイインピーダンス状態に設定される。
【0066】
また、
図6Aの左下図は、第k水平同期期間において正極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD
2i−1の階調値が“128”である場合の電圧波形を示しており、記号“C”は、ビット線がプリチャージされる動作を示している。画像データD
2i−1の階調値が“128”である場合、画像データD
2i−1の最上位ビットは“1”であり、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCIにプリチャージされる。
【0067】
一方、制御回路36
2iは、画像データD
2iの最上位ビットが“0”である場合にプリチャージスイッチ35
2iをオフし、画像データD
2i−1の最上位ビットが“1”である場合にプリチャージスイッチ35
2iをオンする。これにより、
図6Bに図示されているように、ソース線5
2i−1、5
2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD
2iの最上位ビットが“0”である場合にハイインピーダンス状態に設定され、画像データD
2iの最上位ビットが“1”である場合に電圧VCLにプリチャージされる。
【0068】
図6Bの左上図は、第k水平同期期間において負極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD
2iの階調値が“127”である場合の電圧波形を示している。この場合、画像データD
2iの最上位ビットは“0”であり、ソース線5
2i−1、5
2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、ハイインピーダンス状態に設定される。
【0069】
また、
図6Bの左下図は、第k水平同期期間において負極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD
2iの階調値が“128”である場合の電圧波形を示している。この場合、画像データD
2iの最上位ビットは“1”であり、ソース線5
2i−1、5
2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCLにプリチャージされる。
【0070】
プリチャージ期間に続く駆動期間では、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される。詳細には、ソース線5
2i−1、5
2iのうち、正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、
図6Aに図示されているように、出力回路31
2i−1によって階調電圧V
2i−1に対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動され、負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、
図6Bに図示されているように、出力回路31
2iによって階調電圧V
2iに対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動される。
図6Aでは、階調値“127”に対応する正極性の電圧が記号“V
P127”として図示されており、階調値“128”に対応する正極性の電圧が記号“V
P128”として図示されている。また、
図6Bでは、階調値“127”に対応する負極性の電圧が記号“V
N127”として図示されており、階調値“128”に対応する負極性の電圧が記号“V
N128”として図示されている。以上で、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0071】
(2)低温時駆動動作が行われる場合
図6A、
図6Bの右図は、実施例1における、低温時駆動動作が行われる場合の第k水平期間における液晶表示装置1の動作を示すタイミングチャートである。
【0072】
実施例1では、低温時駆動動作が行われる場合、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージは行われない。画像データに示された階調値に無関係にプリチャージを実行しないこととすれば、上述されているような、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0073】
詳細には、低温時駆動動作が行われる場合、制御部13によってプリチャージ制御信号S
PRC_CTRLがネゲートされる。制御回路36
2i−1、36
2iは、プリチャージ制御信号S
PRC_CTRLのネゲートに応答して、プリチャージスイッチ35
2i−1、35
2iをオフする。
【0074】
低温時駆動動作が行われる場合には、イコライズ期間と駆動期間の間に、プリチャージ期間の代わりにハイインピーダンス期間が設けられる。ハイインピーダンス期間とは、ソース線がハイインピーダンス状態に設定される期間である。ハイインピーダンス期間においては、画像データに示された階調値に無関係に、プリチャージスイッチ35
2i−1、35
2iがオフされ、更に、出力回路31
2i−1、31
2iの出力がハイインピーダンス状態に設定される。これにより、ソース線5
2i−1、5
2iが、いずれも、ハイインピーダンス状態になる。
図6A、
図6Bの右図において、ビット線がハイインピーダンス状態に設定される動作は、記号“B”で示されている。ソース線5
2i−1、5
2iが、ハイインピーダンス状態に設定される場合には、基本的には、ソース線5
2i−1、5
2iの電圧は変化せず、そのままに維持される。
【0075】
低温時駆動動作におけるイコライズ期間と駆動期間における動作は、それぞれ、通常時駆動動作におけるイコライズ期間と駆動期間における動作と同一である。ハイインピーダンス期間の後の駆動期間にソース線が画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動され、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0076】
以上に説明されているように、実施例1では、低温時駆動動作が行われる場合、画像データに示された階調値に無関係に、プリチャージが実行されない。これにより、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0077】
(実施例2)
図7A、
図7Bは、実施例2における、第k水平同期期間におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、
図7Aは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示しており、
図7Bは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。
【0078】
実施例2においても、温度センサ21で測定された温度に応じた通常時駆動動作、低温時駆動動作の選択は、実施例1と同様にして行われる。また、実施例2の通常時駆動動作における液晶表示パネル2の駆動動作は、実施例1と同様である。
【0079】
ただし、実施例2では、低温時駆動動作において画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが実行される点において、実施例1と相違している。
図7A、
図7Bの右図は、実施例2における、低温時駆動動作を図示している。画像データに示された階調値に無関係にプリチャージを実行する場合にも、上述されているような、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0080】
以下では、実施例2における低温時駆動動作について詳細に説明する。低温時駆動動作が行われる場合、制御部13によってプリチャージ制御信号S
PRC_CTRLがネゲートされる。制御回路36
2i−1、36
2iは、プリチャージ制御信号S
PRC_CTRLのネゲートに応答して、プリチャージ期間においてプリチャージスイッチ35
2i−1、35
2iをオンする状態に設定される。
【0081】
第k水平同期期間において低温時駆動動作が行われる場合、該第k水平同期期間においてイコライズ期間、プリチャージ期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。プリチャージ期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、プリチャージ期間の後に設けられる。
【0082】
イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。詳細には、イコライズスイッチ34
2i−1、34
2iがオンされてノードN
2i−1、N
2iが接地線37に電気的に接続され、更に、出力回路31
2i−1、31
2iの出力がハイインピーダンス状態(Hi−Z)に設定される。これにより、ソース線5
2i−1、5
2iが接地線37に電気的に接続され、ソース線5
2i−1、5
2iが接地電位にイコライズされる。
図7A、
図7Bにおいて、記号“A”は、ソース線が接地電位GNDにイコライズされる動作を示している。
【0083】
イコライズ期間に続くプリチャージ期間においては、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが行われる。詳細には、プリチャージ期間においては、下記の動作が行われる。
【0084】
プリチャージ制御信号S
PRC_CTRLのネゲートに応答して、制御回路36
2i−1、36
2iは、それぞれ、プリチャージスイッチ35
2i−1、35
2iをオンする。これにより、
図7Aの右図に図示されているように、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は電圧VCIにプリチャージされ、また、
図7Bに図示されているように、ソース線5
2i−1、5
2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCLにプリチャージされる。
【0085】
プリチャージ期間に続く駆動期間では、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される。詳細には、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、
図7Aに図示されているように、出力回路31
2i−1によって階調電圧V
2i−1に対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動され、負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、
図7Bに図示されているように、出力回路31
2iにより、階調電圧V
2iに対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動される。以上で、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0086】
以上に説明されているように、実施例2では、低温時駆動動作が行われる場合、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが実行される。これにより、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0087】
(実施例3)
図8A、
図8Bは、実施例3における、第k水平同期期間におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、
図8Aは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示しており、
図8Bは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。
【0088】
実施例3においても、温度センサ21で測定された温度に応じた通常時駆動動作、低温時駆動動作の選択は、実施例1と同様にして行われる。また、実施例3の通常時駆動動作における液晶表示パネル2の駆動動作は、実施例1と同様である。
【0089】
実施例3においても、実施例1と同様に、低温時駆動動作においては、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが実行されない。ただし、実施例3では、ハイインピーダンス期間が設けられず、通常時駆動動作におけるプリチャージ期間に相当する期間に、画像データに示された階調値に対応する電圧を先行して出力する先行出力動作を行う。先行出力動作が行われる期間を、以下では、先行出力期間という。
図8A、
図8Bでは、先行出力動作が、記号“D”で示されている。実施例3の動作によっても、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。また、実施例3の動作では、液晶表示装置1が低温で動作する場合においてソース線が階調値に対応する電圧に維持される期間が長くなり、これは、低温において液晶表示パネル2の反応速度が低下しても、液晶表示パネル2の各画素の実際の輝度を所望の輝度に近づけるために有用である。
【0090】
以下では、実施例3における低温時駆動動作について詳細に説明する。
低温時駆動動作が行われる場合、制御部13によってプリチャージ制御信号S
PRC_CTRLがネゲートされる。制御回路36
2i−1、36
2iは、プリチャージ制御信号S
PRC_CTRLのネゲートに応答して、プリチャージスイッチ35
2i−1、35
2iをオフする。
【0091】
第k水平同期期間において低温時駆動動作が行われる場合、該第k水平同期期間においてイコライズ期間、先行出力期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。先行出力期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、先行出力期間の後に設けられる。先行出力期間は、通常時駆動動作におけるプリチャージ期間に相当する期間である。
【0092】
イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。詳細には、イコライズスイッチ34
2i−1、34
2iがオンされてノードN
2i−1、N
2iが接地線37に電気的に接続され、更に、出力回路31
2i−1、31
2iの出力がハイインピーダンス状態(Hi−Z)に設定される。これにより、ソース線5
2i−1、5
2iが接地線37に電気的に接続され、ソース線5
2i−1、5
2iが接地電位にイコライズされる。
図8A、
図8Bにおいて、記号“A”は、ソース線が接地電位GNDにイコライズされる動作を示している。
【0093】
イコライズ期間に続く先行出力期間においては、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される。詳細には、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、
図8Aに図示されているように、出力回路31
2i−1によって階調電圧V
2i−1に対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動され、負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、
図8Bに図示されているように、出力回路31
2iにより、階調電圧V
2iに対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動される。
【0094】
駆動期間においても、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される動作が継続される。各ソース線は、対応する画像データに示されている階調値に対応する電圧に維持される。以上で、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0095】
以上に説明されているように、実施例3においては、低温時駆動動作が行われる場合、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが実行されない。これにより、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0096】
また、実施例3では、低温時駆動動作が行われる場合、通常時駆動動作におけるプリチャージ期間に相当する期間において、画像データに示されている階調値に対応する電圧の出力が先行して開始されるので、低温における液晶表示パネル2の反応速度の低下にも有効に対応することができる。
【0097】
(実施例4)
図9A、
図9Bは、実施例4における、第k水平同期期間におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、
図9Aは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示しており、
図9Bは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。
【0098】
実施例4においても、温度センサ21で測定された温度に応じた通常時駆動動作、低温時駆動動作の選択は、実施例1と同様にして行われる。また、実施例3の通常時駆動動作における液晶表示パネル2の駆動動作は、実施例1と同様である。
【0099】
ただし、実施例4では、低温時駆動動作において、画像データに示された階調値に応じて、プリチャージと先行出力動作のいずれを行うかが選択される。上述されているように、先行出力動作とは、通常時駆動動作におけるプリチャージ期間に相当する期間において、画像データに示された階調値に対応する電圧を先行して出力する動作である。
図9A、
図9Bでは、階調値に対応する電圧を先行して出力する動作が、記号“D”で示されている。プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値においては、プリチャージを行う場合のソース線の電圧波形は、先行出力動作を行う場合のソース線の電圧波形と同一ではないが類似している。したがって、このような実施例4の動作によっても、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間の画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を軽減することができる。
【0100】
以下では、実施例4における低温時駆動動作について詳細に説明する。
実施例4においては、低温時駆動動作が行われる場合でも、制御部13によってプリチャージ制御信号S
PRC_CTRLがアサートされる。プリチャージ制御信号S
PRC_CTRLがアサートされると、制御回路36
2i−1は、画像データD
2i−1の最上位ビットD
MSB(2i−1)に応じてプリチャージスイッチ35
2i−1を制御する状態に設定され、制御回路36
2iは、画像データD
2iの最上位ビットD
MSB(2i)に応じてプリチャージスイッチ35
2i−1を制御する状態に設定される。
【0101】
第k水平同期期間において低温時駆動動作が行われる場合、該第k水平同期期間においてイコライズ期間、プリチャージ期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。プリチャージ期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、プリチャージ期間の後に設けられる。
【0102】
イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。詳細には、イコライズスイッチ34
2i−1、34
2iがオンされてノードN
2i−1、N
2iが接地線37に電気的に接続され、更に、出力回路31
2i−1、31
2iの出力がハイインピーダンス状態(Hi−Z)に設定される。これにより、ソース線5
2i−1、5
2iが接地線37に電気的に接続され、ソース線5
2i−1、5
2iが接地電位にイコライズされる。
図8A、
図8Bにおいて、記号“A”は、ソース線が接地電位GNDにイコライズされる動作を示している。
【0103】
イコライズ期間に続くプリチャージ期間においては、画像データに示された階調値に応じて、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じて、プリチャージ又は先行出力動作のいずれかが行われる。詳細には、プリチャージ期間においては、下記の動作が行われる。
【0104】
制御回路36
2i−1は、画像データD
2i−1の最上位ビットが“0”である場合にプリチャージスイッチ35
2i−1をオフし、画像データD
2i−1の最上位ビットが“1”である場合にプリチャージスイッチ35
2i−1をオンする。また、出力回路31
2i−1は、画像データD
2i−1の最上位ビットが“0”である場合に階調電圧V
2i−1に対応する電圧(典型的には同一の電圧)を出力し、画像データD
2i−1の最上位ビットが“1”である場合にその出力をハイインピーダンス状態に設定する。
【0105】
これにより、
図6Aに図示されているように、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD
2i−1の最上位ビットが“0”である場合に画像データD
2i−1に示されている階調値に対応する電圧に駆動され、画像データD
2i−1の最上位ビットが“1”である場合に電圧VCIにプリチャージされる。
【0106】
図9Aの右上図は、第k水平同期期間において正極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD
2i−1の階調値が“127”である場合の電圧波形を示している。
図9Aの記号“D”は、先行出力動作を示している。画像データD
2i−1の階調値が“127”である場合、画像データD
2i−1の最上位ビットは“0”であり、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD
2i−1に示されている階調値に対応する電圧V
P127に駆動される。
【0107】
また、
図9Aの右下図は、第k水平同期期間において正極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD
2i−1の階調値が“128”である場合の電圧波形を示している。
図9Aの記号“C”は、ビット線がプリチャージされる動作を示している。画像データD
2i−1の階調値が“128”である場合、画像データD
2i−1の最上位ビットは“1”であり、ソース線5
2i−1、5
2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCIにプリチャージされる。
【0108】
一方、制御回路36
2iは、画像データD
2iの最上位ビットが“0”である場合にプリチャージスイッチ35
2iをオフし、画像データD
2i−1の最上位ビットが“1”である場合にプリチャージスイッチ35
2iをオンする。また、出力回路31
2iは、画像データD
2iの最上位ビットが“0”である場合に階調電圧V
2iに対応する電圧(典型的には同一の電圧)を出力し、画像データD
2iの最上位ビットが“1”である場合にその出力をハイインピーダンス状態に設定する。
【0109】
これにより、
図9Bに図示されているように、ソース線5
2i−1、5
2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD
2iの最上位ビットが“0”である場合に画像データD
2iに示されている階調値に対応する電圧に駆動され、画像データD
2iの最上位ビットが“1”である場合に電圧VCLにプリチャージされる。
【0110】
図9Bの右上図は、第k水平同期期間において負極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD
2iの階調値が“127”である場合の電圧波形を示している。画像データD
2iの階調値が“127”である場合、画像データD
2iの最上位ビットは“0”であり、ソース線5
2i−1、5
2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD
2i−1に示されている階調値に対応する電圧V
N127に駆動される。
【0111】
また、
図6Bの右下図は、第k水平同期期間において負極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD
2iの階調値が“128”である場合の電圧波形を示している。この場合、画像データD
2iの最上位ビットは“1”であり、ソース線5
2i−1、5
2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCLにプリチャージされる。
【0112】
プリチャージ期間に続く駆動期間では、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される。詳細には、ソース線5
2i−1、5
2iのうち、正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、
図9Aに図示されているように、出力回路31
2i−1によって階調電圧V
2i−1に対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動され、負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、
図9Bに図示されているように、出力回路31
2iによって階調電圧V
2iに対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動される。以上で、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0113】
以上に説明されているように、実施例4における低温時駆動動作では、画像データに示された階調値、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じて、プリチャージ又は先行出力動作のいずれかが選択的に行われる。これにより、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を軽減することができる。
【0114】
上記の実施形態では、温度センサ21が表示ドライバ3に設けられている構成が図示されているが、温度センサ21は、液晶表示装置1の適宜の場所に設けられ得る。例えば、温度センサ21が液晶表示パネル2に接合されていてもよい。この場合でも、プリチャージの実行/不実行は、温度センサ21によって測定された測定温度に応じて選択される。
【0115】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されると解釈してはならない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。