特許第6552086号(P6552086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552086
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ドライバ及び液晶表示パネルの駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20190722BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20190722BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 623R
   G09G3/20 641C
   G09G3/20 623Y
   G09G3/20 623C
   G09G3/20 623D
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 611A
   G09G3/20 621F
   G09G3/20 612B
   G09G3/20 642A
   G02F1/133 550
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-51399(P2015-51399)
(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2016-170358(P2016-170358A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】308017571
【氏名又は名称】シナプティクス・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】中原 道弘
【審査官】 橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−189765(JP,A)
【文献】 特開2004−219824(JP,A)
【文献】 特開2013−228518(JP,A)
【文献】 特開2005−316459(JP,A)
【文献】 特開2007−199203(JP,A)
【文献】 特開2007−011273(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0009202(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0303771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G02F 1/133
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルのソース線を駆動するドライバであって、
画像データに示された階調値に対応する電圧に前記ソース線を駆動するように構成された駆動部と、
前記ソース線をプリチャージするように構成されたプリチャージ部
とを具備し、
温度センサによって測定された測定温度が第1温度範囲にある場合、各水平同期期間の第1期間において、前記プリチャージ部が前記画像データに示された階調値に応じて前記ソース線をプリチャージし、
前記測定温度が前記第1温度範囲より低い第2温度範囲にある場合、各水平同期期間の前記第1期間において、前記プリチャージ部が前記ソース線のプリチャージを行う動作又は前記駆動部が前記画像データに示された階調値に対応する電圧に前記ソース線を駆動する動作が前記画像データに示された階調値に応じて選択的に実行され、
各水平同期期間の前記第1期間に続く第2期間において、前記駆動部が前記ソース線を前記画像データに示された階調値に対応する電圧に駆動する
ドライバ。
【請求項2】
請求項1に記載のドライバであって、
前記測定温度が第2温度範囲にある場合、各水平同期期間の前記第1期間において、前記プリチャージ部によって前記ソース線のプリチャージを行う動作又は前記駆動部によって前記画像データに示された階調値に対応する駆動電圧に前記ソース線を駆動する動作が、前記画像データの最上位ビットの値に応じて選択的に実行される
ドライバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドライバであって、
更に、前記ソース線を前記液晶表示パネルの他のソース線と電気的に接続するイコライズ動作を行うように構成されたイコライズ部を具備し、
各水平同期期間の前記第1期間より前の第3期間において前記イコライズ部が前記イコライズ動作を行う
ドライバ。
【請求項4】
各水平同期期間の第1期間において、液晶表示装置に設けられた温度測定手段によって測定された測定温度が第1温度範囲にある場合に、前記液晶表示装置の液晶表示パネルのソース線を画像データに示された階調値に応じてプリチャージするステップと、
各水平同期期間の前記第1期間において、前記測定温度が前記第1温度範囲よりも低い第2温度範囲にある場合に、前記ソース線をプリチャージする動作、又は、前記ソース線を前記画像データに示された階調値に対応する電圧に駆動する動作を、前記画像データに示された階調値に応じて選択的に行うステップと、
各水平同期期間の前記第1期間に続く第2期間において、前記ソース線を前記画像データに示された階調値に対応する電圧に駆動するステップ
とを含む
液晶表示パネルの駆動方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、ドライバ、及び、液晶表示パネルの駆動方法に関し、特に、液晶表示パネルの駆動動作の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルに画像を表示する液晶表示装置は、例えば車載用途の液晶表示装置のように、その仕様において広い温度範囲での動作を保証することが求められることがある。広い温度範囲での動作を保証するためには、低温でも表示品位を保つ必要がある。
【0003】
その一方で、液晶表示装置は、消費電力の低減が求められることがある。消費電力の低減は、電池のような電力蓄積デバイスを電源として用いるシステムに液晶表示装置を組み込む場合に特に重要である。
【0004】
消費電力の低減のための一つの手法として、画像データ(各画素の階調を指示するデータ)の値に応じてソース線のプリチャージを制御する技術が知られている。この技術では、最も典型的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージの実行、不実行が選択される。例えば、各画素について256階調表示を行う場合、画像データに示されている階調値が“127”以下である場合(この場合、画像データの最上位ビットは“0”である)、プリチャージは実行されず、階調値が“128”以上である場合(この場合、画像データの最上位ビットは“1”である)、プリチャージが実行される。また、画像データに示された階調値に応じてプリチャージレベルを制御する技術も知られており、このような技術は、例えば、特開2010−102146号公報に開示されている。
【0005】
しかしながら、発明者の検討によれば、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する技術は、液晶表示装置の低温での表示品位を劣化させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−102146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、液晶表示装置の低温での表示品位の劣化を抑制するための技術を提供することにある。本発明の他の目的、新規な特徴は、以下の開示から当業者には理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の観点では、液晶表示パネルのソース線を駆動するドライバが、温度センサと、画像データに示された階調値に対応する電圧にソース線を駆動するように構成された駆動部と、ソース線をプリチャージするように構成されたプリチャージ部とを具備する。温度センサによって測定された測定温度が第1温度範囲にある場合、プリチャージ部は、画像データに示された階調値に応じてソース線をプリチャージする動作を行う。一方、測定温度が第1温度範囲より低い第2温度範囲にある場合、プリチャージ部は、画像データに示された階調値に無関係にソース線のプリチャージを実行し、又は、画像データに示された階調値に無関係にソース線のプリチャージを実行しない。
【0009】
本発明の他の観点では、液晶表示パネルのソース線を駆動するドライバが、温度センサと、画像データに応答してソース線を駆動する駆動部と、ソース線をプリチャージするように構成されたプリチャージ部と、ソース線を液晶表示パネルの他のソース線と電気的に接続するイコライズ動作を行うイコライズ部とを具備する。温度センサによって測定された測定温度が第1温度範囲にある場合、各水平同期期間の第1期間においてはイコライズ部がイコライズ動作を行い、各水平同期期間の第1期間に続く第2期間においてはプリチャージ部が画像データに示された階調値に応じてソース線をプリチャージし、各水平同期期間の第2期間に続く第3期間において、駆動部がソース線を画像データに示された階調値に対応する駆動電圧に駆動する。測定温度が第1温度範囲より低い第2温度範囲にある場合、各水平同期期間の第1期間においてはイコライズ部がイコライズ動作を行い、各水平同期期間の第2期間においてはプリチャージ部がソース線のプリチャージを行う動作又は駆動部が画像データに示された階調値に対応する電圧にソース線を駆動する動作が画像データに示された階調値に応じて選択的に実行され、各水平同期期間の第3期間においては駆動部がソース線を画像データに示された階調値に対応する電圧に駆動する。
【0010】
このようなドライバは、液晶表示装置に好適に適用される。
【0011】
本発明の更に他の観点では、液晶表示パネルと温度測定手段を備える液晶表示装置における液晶表示パネルの駆動方法が提供される。当該駆動方法は、温度測定手段によって測定された測定温度に応じて液晶表示パネルのソース線をプリチャージするステップと、画像データに示された階調値に対応する電圧にソース線を駆動するステップとを具備する。測定温度に応じてソース線をプリチャージするステップでは、測定温度が第1温度範囲にある場合、画像データに示された階調値に応じてソース線をプリチャージする動作が行われ、測定温度が第1温度範囲より低い第2温度範囲にある場合、画像データに示された階調値に無関係にソース線のプリチャージが実行され、又は、画像データに示された階調値に無関係にソース線のプリチャージが実行されない。
【0012】
本発明の更に他の観点では、液晶表示パネルと温度測定手段を備える液晶表示装置における液晶表示パネルの他の駆動方法が提供される。当該駆動方法は、各水平同期期間の第1期間において液晶表示パネルのソース線を他のソース線と電気的に接続するイコライズ動作を行うステップと、各水平同期期間の第1期間に続く第2期間において、温度測定手段によって測定された測定温度に応じて、液晶表示パネルのソース線をプリチャージし、又は、ソース線を画像データに示された階調値に対応する電圧に駆動する動作を行うステップと、各水平同期期間の第2期間に続く第3期間において、ソース線を画像データに示された階調値に対応する電圧に駆動するステップとを具備する。測定温度が第1温度範囲にある場合、各水平同期期間の第2期間において、ソース線を画像データに示された階調値に応じてプリチャージする動作が行われる。測定温度が第1温度範囲よりも低い第2温度範囲にある場合、各水平同期期間の第2期間において、ソース線のプリチャージを行う動作又は画像データに示された階調値に対応する電圧にソース線を駆動する動作を、画像データに示された階調値に応じて選択的に実行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液晶表示装置の低温での表示品位の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージの実行、不実行を選択する場合の、ある水平同期期間(以下、第k水平同期期間という。)におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。
図2図1に図示されている駆動動作において左から右に向けて階調値が0から255に逐次に変化するような画像を液晶表示パネルに表示した場合における、画像の実際の見え方の例を示している。
図3】一実施形態における液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態におけるソースドライバ回路の構成の一例を示す回路図である。
図5A】本実施形態における液晶表示パネルの駆動動作の一例を示す概念図である。
図5B】本実施形態における液晶表示パネルの駆動動作の他の例を示す概念図である。
図6A】実施例1におけるソース線の駆動動作を示すタイミングチャートである。
図6B】実施例1におけるソース線の駆動動作を示すタイミングチャートである。
図7A】実施例2におけるソース線の駆動動作を示すタイミングチャートである。
図7B】実施例2におけるソース線の駆動動作を示すタイミングチャートである。
図8A】実施例3におけるソース線の駆動動作を示すタイミングチャートである。
図8B】実施例3におけるソース線の駆動動作を示すタイミングチャートである。
図9A】実施例4におけるソース線の駆動動作を示すタイミングチャートである。
図9B】実施例4におけるソース線の駆動動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本実施形態の液晶表示装置、ドライバ、及び、液晶表示パネルの駆動方法の技術的意義の理解を容易にするために、まず、液晶表示パネルの駆動において、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する技術を採用した場合に生じ得る問題について説明する。
【0016】
図1は、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する技術を採用した場合、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージの実行、不実行を選択する場合の、ある水平同期期間(以下、第k水平同期期間という。)におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図1は、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。また、各画素について255階調表示が行われるとする。この場合、各画素の画像データは、8ビットであり、画像データに示されている階調値が0〜127の場合に最上位ビット(MSB:most significant bit)が“0”、128〜255の場合に最上位ビット“1”に設定されることになる。
【0017】
図1に図示された駆動動作では、画像データの最上位ビットが“0”である場合にはプリチャージは行われず、画像データの最上位ビットが“1”である場合にプリチャージが行われる。例えば、図1の上図は、第k水平同期期間における画素の階調値が“127”である場合のソース線の電圧波形を示しており、下図は、第k水平同期期間における画素の階調値が“128”である場合のソース線の電圧波形を示している。
【0018】
各水平同期期間における駆動動作においては、イコライズ期間、プリチャージ期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。プリチャージ期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、プリチャージ期間の後に設けられる。イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。一例では、液晶表示パネルのソース線が互いに電気的に接続されて同一の電位(例えば、接地電位)に設定される。図1では、ソース線のイコライズにおいてソース線が接地電位GNDに設定される場合のソース線の電圧波形を図示している。
【0019】
イコライズ期間に続くプリチャージ期間においては、画像データの最上位ビットに応じてプリチャージが行われる。詳細には、画像データの最上位ビットが“1”である場合、プリチャージ期間においてプリチャージが行われる。図1では、ソース線が電圧VCIにプリチャージされるとしてソース線の電圧波形が図示されている。画像データの最上位ビットが“0”である場合にはプリチャージ期間においてもプリチャージは行われない。この場合、ソース線がハイインピーダンス(Hi−Z)に設定される。ソース線がハイインピーダンスに設定される場合には、ソース線の電圧は基本的には変動しない。このような動作では、ソース線を高い電圧に駆動すべき場合にのみ選択的にプリチャージが行われることになり、消費電力を有効に低減することができる。
【0020】
プリチャージ期間に続く駆動期間では、ソース線が、階調値に対応する電圧に駆動される。図1では、階調値“127”に対応する電圧が記号“V127”として図示されており、階調値“128”に対応する電圧が記号“V128”として図示されている。十分な駆動能力を有する出力回路でソース線を駆動すれば、当該画素のTFT(thin film transistor)がオフされるタイミングよりも十分に早いタイミングでソース線を階調値に対応する電圧に到達させることができる。
【0021】
図1に示されている駆動方法では、液晶の反応速度が十分に速ければ、当該画素の実際の輝度(厳密には、液晶表示パネルに実際に表示される画像における当該画素の輝度)は、プリチャージの実行、不実行に関わらず、ソース線が最終的に駆動される電圧(図1の動作では、V127又はV128)に対応する輝度になる。従って、階調値が“127”である場合と階調値が“128”である場合とで階調値の差“1”に対応する僅かな輝度の差が生じるように当該画素が駆動されることになる。
【0022】
しかしながら、液晶表示装置が低温で動作し、液晶の反応速度が低下する場合には、当該画素の実際の輝度は、ソース線の実効的な電圧(ソース線の電圧の時間平均)に対応する輝度になる。この結果、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で、当該画素の実際の輝度が大きく変化することになる。例えば、図1の例では、液晶表示装置が低温で動作する場合には、階調値が“128”である場合の当該画素の実際の輝度と、階調値“127”とである場合の当該画素の実際の輝度との間で大きな差が発生する。
【0023】
例えば、図2は、左から右に向けて階調値が0から255に逐次に変化するような画像を液晶表示パネルに表示した場合における、画像の実際の見え方の例を示している。液晶表示装置が常温で動作する場合には、滑らかに輝度が変化するような画像が液晶表示パネルに表示される。一方、液晶表示装置が低温で動作する場合には、液晶表示パネルに表示される画像において、階調値が127である位置と階調値が128である位置の間で大きな輝度差が発生する。
【0024】
この現象は、液晶表示装置が低温で動作する場合の表示品位を劣化させるため、好ましくない。以下に述べられる実施形態では、液晶表示装置の低温での表示品位の劣化を抑制するための手法が採用される。
【0025】
図3は、一実施形態における液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。液晶表示装置1は、液晶表示パネル2と、表示ドライバ3とを備えている。液晶表示パネル2は、行列に配置された画素と、複数のゲート線と、複数のソース線とを備えている(ただし、画素、ゲート線、ソース線は、いずれも、図3には図示されていない)。各画素は、対応するゲート線及びソース線に接続されている。表示ドライバ3は、ホスト4から受け取った画像データ及び制御信号に応答して液晶表示パネル2を駆動する。
【0026】
表示ドライバ3は、画像データインターフェース11、制御信号インターフェース12と、制御部13と、メモリ14と、データラッチ15と、階調電圧選択回路16と、ソースドライバ回路17と、ゲート制御ドライバ18と、電源回路19と、温度センサ21と、レジスタ22とを備えている。
【0027】
画像データインターフェース11は、ホスト4から受け取った画像データを制御部13に転送し、制御信号インターフェース12は、ホスト4から受け取った制御信号から生成した各種の制御データ(制御コマンド、制御パラメータ等)を制御部13に供給する。
【0028】
制御部13は、制御信号インターフェース12から受け取った制御データに応じて、表示ドライバ3の各回路を制御する。詳細には、制御部13は、タイミングコントローラを備えており、表示ドライバ3の各回路のタイミング制御を行う。また、後に詳細に説明されるように、制御部13は、ソースドライバ回路17の動作、特に、ソース線のプリチャージ動作を制御する機能も有しており、制御部13は、ソースドライバ回路17の動作を制御するソースドライバ制御信号群SCTRLを生成する。ソースドライバ制御信号群SCTRLは、プリチャージ動作を制御するプリチャージ制御信号SPRC_CTRLを含んでいる。更に、制御部13は、画像データインターフェース11から受け取った画像データをメモリ14に転送する機能も有している。
【0029】
メモリ14、データラッチ15、階調電圧選択回路16及びソースドライバ回路17は、制御部13から受け取った画像データに応答して液晶表示パネル2の各ソース線を駆動する駆動部を構成している。詳細には、メモリ14は、制御部13から受け取った画像データを一時的に保存する。一実施形態では、メモリ14は、1フレーム画像の画像データを保存するように構成される。データラッチ15は、メモリ14から読み出された画像データをラッチし、階調電圧選択回路16に転送する。一実施形態では、データラッチ15は、液晶表示パネル2の1ラインの画素(一のゲート線に接続された画素)に対応する画像データを同時にラッチするように構成される。階調電圧選択回路16は、データラッチ15から受け取った画像データに対応する階調電圧を選択し、選択した階調電圧をソースドライバ回路17に供給する。ソースドライバ回路17には、液晶表示パネル2の各ソース線に対応する階調電圧が階調電圧選択回路16から供給される。ソースドライバ回路17は、液晶表示パネル2の各ソース線を、階調電圧選択回路16から受け取った階調電圧に対応する電圧に駆動する。
【0030】
ゲート制御ドライバ18は、液晶表示パネル2のゲート線を駆動する。なお、液晶表示パネル2にゲート線を駆動するゲートドライバ回路が内蔵される場合(このようなゲートドライバ回路は、GIP(gate-in-panel)回路と呼ばれることがある)、ゲート制御ドライバ18は、該ゲートドライバ回路を制御する制御信号を液晶表示パネル2に供給してもよい。
【0031】
電源回路19は、外部から供給される電源電圧Vcc及びアナログ電源電圧Vsp、Vsnから表示ドライバ3の各回路の動作に用いられる各種の電源電圧を生成する。一実施形態では、電源回路19は、電源電圧Vccから生成したロジック電源電圧Vddを制御部13及びメモリ14に供給する。また、電源回路19は、アナログ電源電圧Vsp、Vsnから生成したアナログ電源電圧sVdd、sVssを階調電圧選択回路16及びソースドライバ回路17に供給すると共に、アナログ電源電圧Vsp、Vsnから生成したゲートハイ電圧VGH、ゲートロー電圧VGLをゲート制御ドライバ18に供給する。
【0032】
温度センサ21と、レジスタ22は、制御部13によるプリチャージ動作の制御に用いられる情報を制御部13に供給する。詳細には、温度センサ21は、当該温度センサ21の温度に対応する温度データを生成し、制御部13に供給する温度測定手段として動作する。温度センサ21は、温度特性を有する半導体回路で形成可能である。温度センサ21の温度は、液晶表示装置1の環境温度又は液晶表示パネル2の温度に近い温度なので、温度センサ21によって生成される温度データは、液晶表示装置1の環境温度又は液晶表示パネル2の温度に対応する値を示すことになる。
【0033】
レジスタ22は、制御部13によるプリチャージ動作の制御に用いられるプリチャージ制御データを格納する。プリチャージ制御データとは、各温度範囲において行われるべきプリチャージ動作を規定するデータである。プリチャージ制御データの内容及びプリチャージ動作の制御については、後に詳細に説明する。レジスタ22は、プリチャージ制御データ以外の他の制御パラメータの格納にも使用されてもよい。
【0034】
図4は、ソースドライバ回路17の構成の一例を示す回路図であり、詳細には、ソースドライバ回路17のうち、奇数番目のソース出力S2i−1と、それに隣接する偶数番目のソース出力S2iを駆動する駆動回路部の構成を示している。ソース出力S2i−1、S2iは、それぞれ、液晶表示パネル2のソース線52i−1、52iに接続されており、該駆動回路部は、ソース出力S2i−1、S2iを介してソース線52i−1、52iを駆動することになる。
【0035】
図4に図示されているソースドライバ回路17は、水平方向(ゲート線が延伸する方向)に隣接する画素を反対の極性の電圧で駆動するように構成されている。即ち、ソースドライバ回路17は、ソース出力S2i−1、S2iの一方を正電圧に駆動し、他方を負電圧に駆動するように構成されている。このような構成は、ドット反転駆動を行う場合に好適である。以下、図4のソースドライバ回路17の構成について詳細に説明する。
【0036】
ソースドライバ回路17は、出力回路312i−1、312iと、ストレートスイッチ322i−1、322iと、クロススイッチ332i−1、332iと、イコライズスイッチ342i−1、342iと、プリチャージスイッチ352i−1、352iと、制御回路362i−1、362iとを備えている。
【0037】
出力回路312i−1は、階調電圧選択回路16から受け取った階調電圧V2i−1に対応する電圧(最も典型的には、同一の電圧)を出力し、出力回路312iは、階調電圧選択回路16から受け取った階調電圧V2iに対応する電圧(最も典型的には、同一の電圧)を出力する。出力回路312i−1の出力は、ノードN2i−1に接続され、出力回路312iの出力は、ノードN2iに接続される。
【0038】
ここで、出力回路312i−1は、正電圧を出力するように構成され、出力回路312iは、負電圧を出力するように構成される。階調電圧選択回路16においては、階調電圧V2i−1は、ソース出力S2i−1、S2iにそれぞれ接続されたソース線52i−1、52iのうち、正電圧に駆動されるソース線を駆動すべき電圧に対応するように選択され、階調電圧V2iは、ソース線52i−1、52iのうち、負電圧に駆動されるソース線を駆動すべき電圧に対応するように選択される。
【0039】
ストレートスイッチ322i−1、322iとクロススイッチ332i−1、332iとは、ノードN2i−1、N2iとソース出力S2i−1、S2iの間の接続関係を切り替えるためのスイッチ部を構成している。詳細には、ストレートスイッチ322i−1は、ノードN2i−1とソース出力S2i−1の間に接続され、ストレートスイッチ322iは、ノードN2iとソース出力S2iの間に接続されている。ストレートスイッチ322i−1、322iは、ソース線52i−1(及びそれに接続されたソース出力S2i−1)を正電圧に駆動し、ソース線52i(及びそれに接続されたソース出力S2i)を負電圧に駆動する場合にオンされる。
【0040】
一方、クロススイッチ332i−1は、ノードN2i−1とソース出力S2iの間に接続され、クロススイッチ332iは、ノードN2iとソース出力S2i−1の間に接続されている。クロススイッチ332i−1、332iは、ソース出力S2i及びそれに接続されたソース線52i−1を負電圧に駆動し、ソース出力S2i及びそれに接続されたソース線52iを正電圧に駆動する場合にオンされる。
【0041】
イコライズスイッチ342i−1は、ノードN2i−1と接地線37の間に接続され、イコライズスイッチ342iは、ノードN2iと接地線37の間に接続される。イコライズスイッチ342i−1、342iは、ソース線52i−1、52iのイコライズを行うためのイコライズ部を構成しており、ソース線52i−1、52iのイコライズを行う場合にオンされる。なお、本実施形態では、ソース線52i−1、52iのイコライズを行う場合、ストレートスイッチ322i−1、322i及び/又はクロススイッチ332i−1、332iもオンされる。
【0042】
プリチャージスイッチ352i−1、352iと、制御回路362i−1、362iは、ソース線52i−1、52iをプリチャージするためのプリチャージ部を構成している。
【0043】
詳細には、プリチャージスイッチ352i−1は、ノードN2i−1と電圧VCIが供給されているノードの間に接続され、プリチャージスイッチ352iは、ノードN2iと電圧VCLが供給されているノードの間に接続される。ここで、電圧VCIは、所定の正電圧であり、電圧VCLは、所定の負電圧である。プリチャージスイッチ352i−1は、ソース線52i−1、52iのうち正電圧に駆動されるべきソース線を電圧VCIにプリチャージする場合にオンされ、プリチャージスイッチ352iは、ソース線52i−1、52iのうち負電圧に駆動されるべきソース線を電圧VCLにプリチャージする場合にオンされる。
【0044】
制御回路362i−1は、プリチャージスイッチ352i−1を制御し、制御回路362iは、プリチャージスイッチ352iを制御する。本実施形態では、制御回路362i−1は、制御部13から供給されるプリチャージ制御信号SPRC_CTRLと、階調電圧V2i−1に対応する画像データD2i−1の最上位ビットDMSB(2i−1)に応じてプリチャージスイッチ352i−1を制御する。同様に、制御回路362iは、制御部13から供給されるプリチャージ制御信号SPRC_CTRLと、階調電圧V2iに対応する画像データD2iの最上位ビットDMSB(2i)に応じてプリチャージスイッチ352iを制御する。後述されるように、本実施形態では、プリチャージ制御信号SPRC_CTRLが温度センサ21によって生成される温度データに応じて生成され、これにより、プリチャージの実行、不実行が、温度センサ21によって測定された温度(測定温度)に応じて制御される。
【0045】
図5Aは、本実施形態における液晶表示パネル2の駆動動作の一例を示す概念図である。本実施形態では、液晶表示装置1が低温で動作する場合に、通常動作と異なる駆動動作が行われる。より具体的には、温度センサ21によって測定された測定温度が所定の閾値温度TTHよりも高い第1温度範囲にある場合には、通常時駆動動作(第1駆動動作)が行われ、温度センサ21によって測定された測定温度が所定の閾値温度TTHよりも低い第2温度範囲にある場合には、低温時駆動動作(第2駆動動作)が行われる。閾値温度TTHは、レジスタ22において設定されるプリチャージ制御データにおいて指定されてもよい。
【0046】
通常時駆動動作においては、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する駆動動作、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージの実行、不実行を選択する駆動動作が行われる。このような動作は、消費電力の低減に有効である。
【0047】
一方、低温時駆動動作においては、画像データに示された階調値に依存せずにソース線のプリチャージを制御する駆動動作が行われる。一実施形態では、低温時駆動動作では、画像データに示された階調値に無関係に(画像データの最上位ビットの値に無関係に)プリチャージを行わない駆動動作が行われてもよいし、画像データに示された階調値に無関係に(画像データの最上位ビットの値に無関係に)プリチャージを行う駆動動作が行われてもよい。ソース線のプリチャージの制御を画像データに示された階調値に無関係に行えば、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で、当該画素の実際の輝度が大きく変化するという問題は発生しない。例えば、低温時駆動動作において画像データに示された階調値に無関係にプリチャージを実行しないこととすれば、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で、画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を解消することができる。
【0048】
低温時駆動動作は、レジスタ22に設定されるプリチャージ制御データを変更することによって、複数の駆動動作の間で切り換えてもよい。例えば、ホスト4から所望の駆動動作を指定するプリチャージ制御データをレジスタ22に書き込むことで、低温時駆動動作を変更してもよい。
【0049】
図5Aに図示されているような、温度センサ21によって測定された測定温度が所定の閾値温度TTHより高いか否かに応じて駆動動作を切り換える場合、温度センサ21によって測定された測定温度が閾値温度TTHの近傍である場合に、通常時駆動動作と低温時駆動動作との間の切り換えが頻繁に行われ得る。このような不具合を回避するためには、駆動動作の切り換えにヒステリシス(履歴特性)を持たせてもよい。
【0050】
図5Bは、駆動動作の切り換えにヒステリシスを持たせる場合の液晶表示パネル2の駆動動作の一例を示す概念図である。より具体的には、温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度TTH1より高い場合には、通常時駆動動作が行われる。上述のように、通常時駆動動作においては、画像データに示された階調値に応じてソース線のプリチャージを制御する駆動動作、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージの実行、不実行を選択する駆動動作が行われる。
【0051】
通常時駆動動作が行われているときに温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度TTH1より低い第2閾値温度TTH2よりも低くなると、液晶表示パネル2の駆動動作が、低温時駆動動作に切り替えられる。上述のように、低温時駆動動作においては、画像データに示された階調値に依存せずにソース線のプリチャージを制御する駆動動作が行われる。また、低温時駆動動作が行われているときに温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度TTH1よりも高くなると、液晶表示パネル2の駆動動作が、通常時駆動動作に切り替えられる。第1閾値温度TTH1及び第2閾値温度TTH2は、レジスタ22において設定されるプリチャージ制御データにおいて指定されてもよい。
【0052】
このような動作では、温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度TTH1よりも高い第1温度範囲にある場合には通常時駆動動作が行われ、温度センサ21によって測定された測定温度が第2閾値温度TTH2よりも低い第2温度範囲にある場合には低温時駆動動作が行われる。温度センサ21によって測定された測定温度が第1閾値温度TTH1と第2閾値温度TTH2の間である場合には、温度センサ21によって測定された測定温度の過去の変化に応じて通常時駆動動作又は低温時駆動動作が行われる。
【0053】
図5A図5Bのいずれの駆動動作においても、第1温度範囲において通常時駆動動作が行われ、第1温度範囲よりも低い第2温度範囲において低温時駆動動作が行われることに留意されたい。
【0054】
上記のように、本実施形態では、低温時駆動動作において画像データに示された階調値に依存せずにソース線のプリチャージが制御されるが、低温時駆動動作としては様々な駆動動作が行われ得る。以下では、本実施形態の液晶表示パネルの駆動方法の実施例、特に、低温時駆動動作の様々な実施例を説明する。なお、以下の実施例においては、各画素について256階調表示が行われるとする。この場合、各画素の画像データは、8ビットであり、画像データに示されている階調値が0〜127の場合に最上位ビット(MSB:most significant bit)が“0”、128〜255の場合に最上位ビット“1”に設定されることになる。
【0055】
(実施例1)
図6A図6Bは、実施例1における、第k水平同期期間におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図6Aは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示しており、図6Bは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。例えば、図4に図示されているソースドライバ回路17については、第k水平同期期間においてソース線52i−1が正極性の駆動電圧に駆動され、ソース線52iが負極性の駆動電圧に駆動される場合には、ソース線52i−1、52iの電圧波形が、それぞれ、図6A図6Bに図示されることになる。また、第k水平同期期間においてソース線52i−1が負極性の駆動電圧に駆動され、ソース線52iが正極性の駆動電圧に駆動される場合には、ソース線52i−1、52iの電圧波形が、それぞれ、図6B図6Aに図示されることになる。
【0056】
温度センサ21で測定された温度が常温である場合、通常時駆動動作が行われる。詳細には、例えば図5Aで図示されている駆動動作が行われる場合には、温度センサ21で測定された温度が閾値温度TTHよりも高い場合に通常時駆動動作が行われる。一方、図5Bで図示されている駆動動作が行われる場合には、液晶表示装置1が、温度センサ21で測定された温度が第1閾値温度TTH1よりも低い状態から第1閾値温度TTH1よりも高い状態に遷移した場合、又は、温度センサ21で測定された温度が常に第1閾値温度TTH1よりも高い状態に維持されてきた場合、通常時駆動動作が行われる。
【0057】
一方、温度センサ21で測定された温度が低温である場合、低温時駆動動作が行われる。詳細には、例えば図5Aで図示されている駆動動作が行われる場合には、温度センサ21で測定された温度が閾値温度TTHよりも低い場合に低温時駆動動作が行われる。一方、図5Bで図示されている駆動動作が行われる場合には、液晶表示装置1が、温度センサ21で測定された温度が第2閾値温度TTH2よりも高い状態から第2閾値温度TTH2よりも低い状態に遷移した場合、又は、温度センサ21で測定された温度が常に第2閾値温度TTH2よりも低い状態に維持されてきた場合、低温時駆動動作が行われる。以下では、通常時駆動動作及び低温時駆動動作のそれぞれにおける液晶表示装置1の動作を説明する。
【0058】
(1)通常時駆動動作が行われる場合
図6A図6Bの左図は、実施例1における、通常時駆動動作が行われる場合の第k水平期間における液晶表示装置1の動作を示すタイミングチャートである。
【0059】
第k水平同期期間においてソース線52i−1が正極性の駆動電圧に駆動され、ソース線52iが負極性の駆動電圧に駆動される場合、第k水平同期期間では、ストレートスイッチ322i−1、322iがオンされてソース線52i−1、52iがノードN2i−1、N2iに電気的に接続される。一方、第k水平同期期間においてソース線52i−1が負極性の駆動電圧に駆動され、ソース線52iが正極性の駆動電圧に駆動される場合、第k水平同期期間では、クロススイッチ332i−1、332iがオンされてソース線52i−1、52iがノードN2i、N2i−1に電気的に接続される。
【0060】
通常時駆動動作が行われる場合、図4に図示されているソースドライバ回路17では、制御部13によってプリチャージ制御信号SPRC_CTRLがアサートされる。プリチャージ制御信号SPRC_CTRLがアサートされると、制御回路362i−1は、画像データD2i−1の最上位ビットDMSB(2i−1)に応じてプリチャージスイッチ352i−1を制御する状態に設定され、制御回路362iは、画像データD2iの最上位ビットDMSB(2i)に応じてプリチャージスイッチ352i−1を制御する状態に設定される。
【0061】
第k水平同期期間において通常時駆動動作が行われる場合、該第k水平同期期間においてイコライズ期間、プリチャージ期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。プリチャージ期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、プリチャージ期間の後に設けられる。
【0062】
イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。詳細には、イコライズスイッチ342i−1、342iがオンされてノードN2i−1、N2iが接地線37に電気的に接続され、更に、出力回路312i−1、312iの出力がハイインピーダンス状態(Hi−Z)に設定される。これにより、ソース線52i−1、52iが接地線37に電気的に接続され、ソース線52i−1、52iが接地電位にイコライズされる。図6A図6Bでは、イコライズ期間においてソース線が接地電位GNDに設定される場合のソース線の電圧波形を図示している。図6A図6Bにおいて、記号“A”は、ソース線が接地電位GNDにイコライズされる動作を示している。
【0063】
イコライズ期間に続くプリチャージ期間においては、画像データに示された階調値に応じて、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じてプリチャージが行われる。詳細には、プリチャージ期間においては、下記の動作が行われる。
【0064】
制御回路362i−1は、画像データD2i−1の最上位ビットが“0”である場合にプリチャージスイッチ352i−1をオフし、画像データD2i−1の最上位ビットが“1”である場合にプリチャージスイッチ352i−1をオンする。これにより、図6Aに図示されているように、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD2i−1の最上位ビットが“0”である場合にハイインピーダンス状態に設定され、画像データD2i−1の最上位ビットが“1”である場合に電圧VCIにプリチャージされる。
【0065】
図6Aの左上図は、第k水平同期期間において正極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD2i−1の階調値が“127”である場合の電圧波形を示しており、記号“B”は、ビット線がハイインピーダンス状態に設定される動作を示している。画像データD2i−1の階調値が“127”である場合、画像データD2i−1の最上位ビットは“0”であり、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、ハイインピーダンス状態に設定される。
【0066】
また、図6Aの左下図は、第k水平同期期間において正極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD2i−1の階調値が“128”である場合の電圧波形を示しており、記号“C”は、ビット線がプリチャージされる動作を示している。画像データD2i−1の階調値が“128”である場合、画像データD2i−1の最上位ビットは“1”であり、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCIにプリチャージされる。
【0067】
一方、制御回路362iは、画像データD2iの最上位ビットが“0”である場合にプリチャージスイッチ352iをオフし、画像データD2i−1の最上位ビットが“1”である場合にプリチャージスイッチ352iをオンする。これにより、図6Bに図示されているように、ソース線52i−1、2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD2iの最上位ビットが“0”である場合にハイインピーダンス状態に設定され、画像データD2iの最上位ビットが“1”である場合に電圧VCLにプリチャージされる。
【0068】
図6Bの左上図は、第k水平同期期間において負極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD2iの階調値が“127”である場合の電圧波形を示している。この場合、画像データD2iの最上位ビットは“0”であり、ソース線52i−1、2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、ハイインピーダンス状態に設定される。
【0069】
また、図6Bの左下図は、第k水平同期期間において負極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD2iの階調値が“128”である場合の電圧波形を示している。この場合、画像データD2iの最上位ビットは“1”であり、ソース線52i−1、2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCLにプリチャージされる。
【0070】
プリチャージ期間に続く駆動期間では、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される。詳細には、ソース線52i−1、2iのうち、正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、図6Aに図示されているように、出力回路312i−1によって階調電圧V2i−1に対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動され、負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、図6Bに図示されているように、出力回路312iによって階調電圧V2iに対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動される。図6Aでは、階調値“127”に対応する正極性の電圧が記号“VP127”として図示されており、階調値“128”に対応する正極性の電圧が記号“VP128”として図示されている。また、図6Bでは、階調値“127”に対応する負極性の電圧が記号“VN127”として図示されており、階調値“128”に対応する負極性の電圧が記号“VN128”として図示されている。以上で、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0071】
(2)低温時駆動動作が行われる場合
図6A図6Bの右図は、実施例1における、低温時駆動動作が行われる場合の第k水平期間における液晶表示装置1の動作を示すタイミングチャートである。
【0072】
実施例1では、低温時駆動動作が行われる場合、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージは行われない。画像データに示された階調値に無関係にプリチャージを実行しないこととすれば、上述されているような、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0073】
詳細には、低温時駆動動作が行われる場合、制御部13によってプリチャージ制御信号SPRC_CTRLがネゲートされる。制御回路362i−1、362iは、プリチャージ制御信号SPRC_CTRLのネゲートに応答して、プリチャージスイッチ352i−1、352iをオフする。
【0074】
低温時駆動動作が行われる場合には、イコライズ期間と駆動期間の間に、プリチャージ期間の代わりにハイインピーダンス期間が設けられる。ハイインピーダンス期間とは、ソース線がハイインピーダンス状態に設定される期間である。ハイインピーダンス期間においては、画像データに示された階調値に無関係に、プリチャージスイッチ352i−1、352iがオフされ、更に、出力回路312i−1、312iの出力がハイインピーダンス状態に設定される。これにより、ソース線52i−1、52iが、いずれも、ハイインピーダンス状態になる。図6A図6Bの右図において、ビット線がハイインピーダンス状態に設定される動作は、記号“B”で示されている。ソース線52i−1、52iが、ハイインピーダンス状態に設定される場合には、基本的には、ソース線52i−1、52iの電圧は変化せず、そのままに維持される。
【0075】
低温時駆動動作におけるイコライズ期間と駆動期間における動作は、それぞれ、通常時駆動動作におけるイコライズ期間と駆動期間における動作と同一である。ハイインピーダンス期間の後の駆動期間にソース線が画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動され、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0076】
以上に説明されているように、実施例1では、低温時駆動動作が行われる場合、画像データに示された階調値に無関係に、プリチャージが実行されない。これにより、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0077】
(実施例2)
図7A図7Bは、実施例2における、第k水平同期期間におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図7Aは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示しており、図7Bは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。
【0078】
実施例2においても、温度センサ21で測定された温度に応じた通常時駆動動作、低温時駆動動作の選択は、実施例1と同様にして行われる。また、実施例2の通常時駆動動作における液晶表示パネル2の駆動動作は、実施例1と同様である。
【0079】
ただし、実施例2では、低温時駆動動作において画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが実行される点において、実施例1と相違している。図7A図7Bの右図は、実施例2における、低温時駆動動作を図示している。画像データに示された階調値に無関係にプリチャージを実行する場合にも、上述されているような、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0080】
以下では、実施例2における低温時駆動動作について詳細に説明する。低温時駆動動作が行われる場合、制御部13によってプリチャージ制御信号SPRC_CTRLがネゲートされる。制御回路362i−1、362iは、プリチャージ制御信号SPRC_CTRLのネゲートに応答して、プリチャージ期間においてプリチャージスイッチ352i−1、352iをオンする状態に設定される。
【0081】
第k水平同期期間において低温時駆動動作が行われる場合、該第k水平同期期間においてイコライズ期間、プリチャージ期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。プリチャージ期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、プリチャージ期間の後に設けられる。
【0082】
イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。詳細には、イコライズスイッチ342i−1、342iがオンされてノードN2i−1、N2iが接地線37に電気的に接続され、更に、出力回路312i−1、312iの出力がハイインピーダンス状態(Hi−Z)に設定される。これにより、ソース線52i−1、52iが接地線37に電気的に接続され、ソース線52i−1、52iが接地電位にイコライズされる。図7A図7Bにおいて、記号“A”は、ソース線が接地電位GNDにイコライズされる動作を示している。
【0083】
イコライズ期間に続くプリチャージ期間においては、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが行われる。詳細には、プリチャージ期間においては、下記の動作が行われる。
【0084】
プリチャージ制御信号SPRC_CTRLのネゲートに応答して、制御回路362i−1、362iは、それぞれ、プリチャージスイッチ352i−1、352iをオンする。これにより、図7Aの右図に図示されているように、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は電圧VCIにプリチャージされ、また、図7Bに図示されているように、ソース線52i−1、2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCLにプリチャージされる。
【0085】
プリチャージ期間に続く駆動期間では、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される。詳細には、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、図7Aに図示されているように、出力回路312i−1によって階調電圧V2i−1に対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動され、負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、図7Bに図示されているように、出力回路312iにより、階調電圧V2iに対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動される。以上で、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0086】
以上に説明されているように、実施例2では、低温時駆動動作が行われる場合、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが実行される。これにより、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0087】
(実施例3)
図8A図8Bは、実施例3における、第k水平同期期間におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図8Aは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示しており、図8Bは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。
【0088】
実施例3においても、温度センサ21で測定された温度に応じた通常時駆動動作、低温時駆動動作の選択は、実施例1と同様にして行われる。また、実施例3の通常時駆動動作における液晶表示パネル2の駆動動作は、実施例1と同様である。
【0089】
実施例3においても、実施例1と同様に、低温時駆動動作においては、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが実行されない。ただし、実施例3では、ハイインピーダンス期間が設けられず、通常時駆動動作におけるプリチャージ期間に相当する期間に、画像データに示された階調値に対応する電圧を先行して出力する先行出力動作を行う。先行出力動作が行われる期間を、以下では、先行出力期間という。図8A図8Bでは、先行出力動作が、記号“D”で示されている。実施例3の動作によっても、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。また、実施例3の動作では、液晶表示装置1が低温で動作する場合においてソース線が階調値に対応する電圧に維持される期間が長くなり、これは、低温において液晶表示パネル2の反応速度が低下しても、液晶表示パネル2の各画素の実際の輝度を所望の輝度に近づけるために有用である。
【0090】
以下では、実施例3における低温時駆動動作について詳細に説明する。
低温時駆動動作が行われる場合、制御部13によってプリチャージ制御信号SPRC_CTRLがネゲートされる。制御回路362i−1、362iは、プリチャージ制御信号SPRC_CTRLのネゲートに応答して、プリチャージスイッチ352i−1、352iをオフする。
【0091】
第k水平同期期間において低温時駆動動作が行われる場合、該第k水平同期期間においてイコライズ期間、先行出力期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。先行出力期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、先行出力期間の後に設けられる。先行出力期間は、通常時駆動動作におけるプリチャージ期間に相当する期間である。
【0092】
イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。詳細には、イコライズスイッチ342i−1、342iがオンされてノードN2i−1、N2iが接地線37に電気的に接続され、更に、出力回路312i−1、312iの出力がハイインピーダンス状態(Hi−Z)に設定される。これにより、ソース線52i−1、52iが接地線37に電気的に接続され、ソース線52i−1、52iが接地電位にイコライズされる。図8A図8Bにおいて、記号“A”は、ソース線が接地電位GNDにイコライズされる動作を示している。
【0093】
イコライズ期間に続く先行出力期間においては、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される。詳細には、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、図8Aに図示されているように、出力回路312i−1によって階調電圧V2i−1に対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動され、負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、図8Bに図示されているように、出力回路312iにより、階調電圧V2iに対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動される。
【0094】
駆動期間においても、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される動作が継続される。各ソース線は、対応する画像データに示されている階調値に対応する電圧に維持される。以上で、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0095】
以上に説明されているように、実施例3においては、低温時駆動動作が行われる場合、画像データに示された階調値に無関係にプリチャージが実行されない。これにより、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を有効に解消することができる。
【0096】
また、実施例3では、低温時駆動動作が行われる場合、通常時駆動動作におけるプリチャージ期間に相当する期間において、画像データに示されている階調値に対応する電圧の出力が先行して開始されるので、低温における液晶表示パネル2の反応速度の低下にも有効に対応することができる。
【0097】
(実施例4)
図9A図9Bは、実施例4における、第k水平同期期間におけるソース線の駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図9Aは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示しており、図9Bは、直前の水平同期期間(第k−1水平同期期間)において負電圧に駆動されたソース線を第k水平同期期間において正電圧に駆動する場合の動作を示している。
【0098】
実施例4においても、温度センサ21で測定された温度に応じた通常時駆動動作、低温時駆動動作の選択は、実施例1と同様にして行われる。また、実施例3の通常時駆動動作における液晶表示パネル2の駆動動作は、実施例1と同様である。
【0099】
ただし、実施例4では、低温時駆動動作において、画像データに示された階調値に応じて、プリチャージと先行出力動作のいずれを行うかが選択される。上述されているように、先行出力動作とは、通常時駆動動作におけるプリチャージ期間に相当する期間において、画像データに示された階調値に対応する電圧を先行して出力する動作である。図9A図9Bでは、階調値に対応する電圧を先行して出力する動作が、記号“D”で示されている。プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値においては、プリチャージを行う場合のソース線の電圧波形は、先行出力動作を行う場合のソース線の電圧波形と同一ではないが類似している。したがって、このような実施例4の動作によっても、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間の画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を軽減することができる。
【0100】
以下では、実施例4における低温時駆動動作について詳細に説明する。
実施例4においては、低温時駆動動作が行われる場合でも、制御部13によってプリチャージ制御信号SPRC_CTRLがアサートされる。プリチャージ制御信号SPRC_CTRLがアサートされると、制御回路362i−1は、画像データD2i−1の最上位ビットDMSB(2i−1)に応じてプリチャージスイッチ352i−1を制御する状態に設定され、制御回路362iは、画像データD2iの最上位ビットDMSB(2i)に応じてプリチャージスイッチ352i−1を制御する状態に設定される。
【0101】
第k水平同期期間において低温時駆動動作が行われる場合、該第k水平同期期間においてイコライズ期間、プリチャージ期間、駆動期間の3つの期間が設けられる。プリチャージ期間は、イコライズ期間の後に設けられ、駆動期間は、プリチャージ期間の後に設けられる。
【0102】
イコライズ期間では、ソース線のイコライズが行われる。詳細には、イコライズスイッチ342i−1、342iがオンされてノードN2i−1、N2iが接地線37に電気的に接続され、更に、出力回路312i−1、312iの出力がハイインピーダンス状態(Hi−Z)に設定される。これにより、ソース線52i−1、52iが接地線37に電気的に接続され、ソース線52i−1、52iが接地電位にイコライズされる。図8A図8Bにおいて、記号“A”は、ソース線が接地電位GNDにイコライズされる動作を示している。
【0103】
イコライズ期間に続くプリチャージ期間においては、画像データに示された階調値に応じて、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じて、プリチャージ又は先行出力動作のいずれかが行われる。詳細には、プリチャージ期間においては、下記の動作が行われる。
【0104】
制御回路362i−1は、画像データD2i−1の最上位ビットが“0”である場合にプリチャージスイッチ352i−1をオフし、画像データD2i−1の最上位ビットが“1”である場合にプリチャージスイッチ352i−1をオンする。また、出力回路312i−1は、画像データD2i−1の最上位ビットが“0”である場合に階調電圧V2i−1に対応する電圧(典型的には同一の電圧)を出力し、画像データD2i−1の最上位ビットが“1”である場合にその出力をハイインピーダンス状態に設定する。
【0105】
これにより、図6Aに図示されているように、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD2i−1の最上位ビットが“0”である場合に画像データD2i−1に示されている階調値に対応する電圧に駆動され、画像データD2i−1の最上位ビットが“1”である場合に電圧VCIにプリチャージされる。
【0106】
図9Aの右上図は、第k水平同期期間において正極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD2i−1の階調値が“127”である場合の電圧波形を示している。図9Aの記号“D”は、先行出力動作を示している。画像データD2i−1の階調値が“127”である場合、画像データD2i−1の最上位ビットは“0”であり、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD2i−1に示されている階調値に対応する電圧VP127に駆動される。
【0107】
また、図9Aの右下図は、第k水平同期期間において正極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD2i−1の階調値が“128”である場合の電圧波形を示している。図9Aの記号“C”は、ビット線がプリチャージされる動作を示している。画像データD2i−1の階調値が“128”である場合、画像データD2i−1の最上位ビットは“1”であり、ソース線52i−1、2iのうち正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCIにプリチャージされる。
【0108】
一方、制御回路362iは、画像データD2iの最上位ビットが“0”である場合にプリチャージスイッチ352iをオフし、画像データD2i−1の最上位ビットが“1”である場合にプリチャージスイッチ352iをオンする。また、出力回路312iは、画像データD2iの最上位ビットが“0”である場合に階調電圧V2iに対応する電圧(典型的には同一の電圧)を出力し、画像データD2iの最上位ビットが“1”である場合にその出力をハイインピーダンス状態に設定する。
【0109】
これにより、図9Bに図示されているように、ソース線52i−1、2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD2iの最上位ビットが“0”である場合に画像データD2iに示されている階調値に対応する電圧に駆動され、画像データD2iの最上位ビットが“1”である場合に電圧VCLにプリチャージされる。
【0110】
図9Bの右上図は、第k水平同期期間において負極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD2iの階調値が“127”である場合の電圧波形を示している。画像データD2iの階調値が“127”である場合、画像データD2iの最上位ビットは“0”であり、ソース線52i−1、2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、画像データD2i−1に示されている階調値に対応する電圧VN127に駆動される。
【0111】
また、図6Bの右下図は、第k水平同期期間において負極性の駆動電圧に駆動されるビット線の、画像データD2iの階調値が“128”である場合の電圧波形を示している。この場合、画像データD2iの最上位ビットは“1”であり、ソース線52i−1、2iのうち負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、電圧VCLにプリチャージされる。
【0112】
プリチャージ期間に続く駆動期間では、ソース線が、画像データに示されている階調値に対応する電圧に駆動される。詳細には、ソース線52i−1、2iのうち、正極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、図9Aに図示されているように、出力回路312i−1によって階調電圧V2i−1に対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動され、負極性の駆動電圧に駆動されるビット線は、図9Bに図示されているように、出力回路312iによって階調電圧V2iに対応する電圧(典型的には、同一の電圧)に駆動される。以上で、第k水平同期期間における駆動動作が完了する。
【0113】
以上に説明されているように、実施例4における低温時駆動動作では、画像データに示された階調値、より具体的には、画像データの最上位ビットの値に応じて、プリチャージ又は先行出力動作のいずれかが選択的に行われる。これにより、プリチャージの実行、不実行が切り換えられる境界の階調値の間で画素の実際の輝度が大きく変化するという問題を軽減することができる。
【0114】
上記の実施形態では、温度センサ21が表示ドライバ3に設けられている構成が図示されているが、温度センサ21は、液晶表示装置1の適宜の場所に設けられ得る。例えば、温度センサ21が液晶表示パネル2に接合されていてもよい。この場合でも、プリチャージの実行/不実行は、温度センサ21によって測定された測定温度に応じて選択される。
【0115】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されると解釈してはならない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。
【符号の説明】
【0116】
1 :液晶表示装置
2 :液晶表示パネル
3 :表示ドライバ
4 :ホスト
2i−1、52i:ソース線
11 :画像データインターフェース
12 :制御信号インターフェース
13 :制御部
14 :メモリ
15 :データラッチ
16 :階調電圧選択回路
17 :ソースドライバ回路
18 :ゲート制御ドライバ
19 :電源回路
21 :温度センサ
22 :レジスタ
312i−1、312i:出力回路
322i−1、322i:ストレートスイッチ
332i−1、332i:クロススイッチ
342i−1、342i:イコライズスイッチ
352i−1、352i:プリチャージスイッチ
362i−1、362i:制御回路
37 :接地線
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B