(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようにヒートシール部の一部の接着強度を弱くして内圧の上昇によって剥離させて孔を開口させる従来例では、適度に剥離させて孔を開口させるという調整が容易ではなく、剥離部分の面積が適切でなく、孔が小さ過ぎると、内圧が過剰となって包装袋が破損したり、逆に、孔が大き過ぎると、包装袋から水蒸気が必要以上に排出されて調理が不十分となって食感が低下するといった課題がある。
【0008】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、加熱処理の際に、適切な内圧に調整するのが容易なラベル、それを用いた包装材及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0010】
(1)本発明のラベルは、加熱によって生じる蒸気が逃げる蒸気抜き部を有する包装材の前記蒸気抜き部を覆うように前記包装材に貼着されるラベルであって、熱収縮性フィルムと非熱収縮性フィルムとが積層され、前記熱収縮性フィルムには、前記加熱による収縮方向に対して交差する方向に沿って、当該ラベルを貫通する蒸気抜き用切れ目が形成され
ており、前記包装材は、前記蒸気抜き部及びその周囲が凹部となっており、前記熱収縮性フィルムは、前記凹部の少なくともに一部に対向する面積を有し、前記非熱収縮性フィルムは、前記熱収縮性フィルムよりも大きく、かつ、前記凹部に対向すると共に、該凹部の周辺部まで延在して前記周辺部に貼着できる面積を有しています。
【0011】
本発明のラベルは、例えば、各種の食材や加工食品等の内容物を収容した包装容器や包装袋を構成する包装材に、その蒸気抜き部を覆うように貼着されるものであり、内容物を収容した包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、当該ラベルを構成する熱収縮性フィルムが熱によって収縮し、収縮方向に対して交差する方向に沿って当該ラベルを貫通して形成された蒸気抜き用切れ目が、収縮によって目開きするので、包装材の蒸気抜き部からの水蒸気等を、目開きした蒸気抜き用切れ目を介して当該ラベル外へ排出することができる。
【0012】
熱収縮性フィルムに形成される蒸気抜き用切れ目の長さ、数や配置、あるいは、熱収縮性フィルムの材質やサイズなどを適宜設定することによって、包装材の蒸気抜き部から、目開きした蒸気抜き用切れ目を介して逃がす水蒸気等の逃がし量を調整することができ、したがって、包装容器や包装袋の内圧や温度を調整することが可能となる。
【0013】
これによって、内容物を収容した包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、内容物から生じる水蒸気等によって、包装容器や包装袋の内圧が過剰に上昇するのを防止して、包装容器の蓋が外れたり、包装袋が破損するのを防止することができる一方、包装容器や包装袋から水蒸気等が必要以上に排出されて加熱処理が不十分となるのを防止することができる。
また、本発明によると、非熱収縮性フィルムは、蒸気抜き部を有する凹部を覆って該凹部の周辺部に貼着できる面積であるのに対して、非熱収縮性フィルムより高価な熱収縮性フィルムは、凹部の少なくとも一部に対向する小さな面積としているので、その分コストを低減することができる。
【0014】
(2)本発明のラベルの好ましい実施態様では、前記交差する方向が、前記収縮方向に対して直角に交差する方向であり、前記蒸気抜き用切れ目が、直線状の切れ目である。
【0015】
この実施態様によると、熱収縮性フィルムに形成される蒸気抜き用切れ目が、
熱収縮性フィルムの加熱による収縮方向に対して直角に交差する方向に沿って直線状に形成されるので、加熱によって熱収縮性フィルムが収縮する際に、直線状の蒸気抜き用切れ目が、その両側から前記収縮する方向(目開きする方向)に沿って引っ張られて大きく目開きして蒸気抜き部からの水蒸気等を当該ラベル外へ十分に逃がすことができる。
【0016】
(3)本発明のラベルの一つの実施態様では、前記熱収縮性フィルムを挟んで、前記非熱収縮性フィルムが積層される。
【0017】
熱収縮性フィルムの一方の面側にのみ非熱収縮性フィルムが存在し、他方の面側に非熱収縮性フィルムが存在しない場合には、加熱による熱収縮性フィルムの不所望な収縮変形を規制することができず、加熱が進むと、熱収縮性フィルムが、非熱収縮性フィルムから部分的に剥離して皺が生じる場合があるが、この実施態様によると、熱収縮性フィルムを、その両面側から挟む非熱収縮性フィルムが存在するので、加熱が進んでも熱収縮性フィルムが不所望に収縮変形するのを規制することができ、これによって、皺が生じるのを抑制することができる。
【0020】
(
4)
本発明のラベルの他の実施態様では、前記非熱収縮性フィルムの前記熱収縮性フィルムが存在しない領域であって、かつ、前記凹部に対向する領域には、蒸気抜きを補助する補助切れ目を、当該ラベルを貫通して形成してもよい。
【0021】
この実施態様によると、非熱収縮性フィルムの、包装材の凹部に対向する領域には、目開きはしないものの、当該ラベルを貫通する補助切れ目を形成しているので、内容物を収容した包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理する場合に、その加熱の開始時の、熱収縮性フィルムに形成された蒸気抜き用切れ目が、熱収縮によって十分に目開きするまでの間に、包装材の凹部に充満した水蒸気等を、補助切れ目を介して当該ラベル外へ補助的に排出することができ、包装容器や包装袋の内圧の過剰な上昇を抑制することができる。この場合、補助切れ目が形成される領域には、熱収縮性フィルムが存在しないので、その分、水蒸気等を効率的に逃がすことができる。
【0022】
(
5)本発明のラベルの他の実施態様では、複数の前記蒸気抜き用切れ目が、前記交差する方向に沿って、間隔をあけて列状に形成される。
【0023】
この実施態様によると、複数の蒸気抜き用切れ目が、交差する方向に沿って間隔をあけて列状に形成されるので、内容物を収納した包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、交差する方向に沿って、列状に並んだ複数の蒸気抜き用切れ目が目開きし、包装材の蒸気抜き部からの水蒸気等を効率的に逃がすことができる。
【0024】
(
6)
本発明のラベルの他の実施態様では、前記列状に形成される前記複数の蒸気抜き用切れ目を、少なくとも3列形成してもよい。
【0025】
熱収縮性フィルムは、加熱による収縮方向の両端が、内方へ収縮することになるが、この実施態様によると、前記収縮方向に対して交差する方向に沿って列状に並ぶ複数の蒸気抜き用切れ目が、少なくとも3列形成されるので、前記収縮方向の両端寄りの2列の蒸気抜き用切れ目によって、熱収縮性フィルムの前記両端が、内方へ収縮するのを規制することができ、これによって、両端寄りの前記2列の蒸気抜き用切れ目の間に存在する少なくとも1列の蒸気抜き用切れ目は、熱収縮性フィルムの内方への収縮の影響を受けることなく、十分に目開きすることができる。
【0026】
(
7)本発明のラベルの好ましい実施態様では、前記熱収縮性フィルムは、非熱収縮性の基材フィルムに、接着剤によって接着されて一体化されており、前記基材フィルムに接着されて一体化された前記熱収縮性フィルムと前記非熱収縮性フィルムとが、粘着剤層を介して積層される。
【0027】
熱収縮性フィルムと非熱収縮性フィルムとは、粘着剤層を介して積層されるので、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、加熱が進むと、熱収縮性フィルムが、非熱収縮性フィルムから部分的に剥離して皺等が生じる場合があるが、この実施態様によると、熱収縮性フィルムは、接着剤によって、非熱収縮性の基材フィルムと一体化されているので、加熱が進んでも基材フィルムから剥離することがなく、基材フィルムによって不所望な変形が規制される結果、皺等が生じるのを抑制することができる。
【0028】
(
8)本発明の包装材は、上記(1)ないし(
7)のいずれかのラベルによって覆われる前記蒸気抜き部を備える。
【0029】
本発明の包装材によると、当該包装材によって、各種の食材や加工食品等の内容物を収容した包装容器や包装袋を構成した場合、内容物を収容した包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理したときに、当該包装材の蒸気抜き部を覆うラベルの熱収縮性フィルムが熱によって収縮し、収縮方向に対して交差する方向に沿って貫通して形成された蒸気抜き用切れ目が、目開きするので、当該包装材の蒸気抜き部からの水蒸気等を、目開きした蒸気抜き用切れ目を介してラベル外へ排出することができる。
【0030】
熱収縮性フィルムに形成される蒸気抜き用切れ目の長さ、数や配置、あるいは、熱収縮性フィルムの材質やサイズなどを適宜設定することによって、蒸気抜き部から、目開きした蒸気抜き用切れ目を介して逃がす水蒸気等の逃がし量を調整することができ、したがって、包装容器や包装袋の内圧や温度を調整することが可能となる。
【0031】
これによって、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、内容物から生じる水蒸気等によって、包装容器や包装袋の内圧が過剰に上昇するのを防止して、包装容器の蓋が外れたり、包装袋が破損するのを防止することができる一方、包装容器や包装袋から水蒸気等が必要以上に排出されて加熱処理が不十分となるのを防止することができる。
【0032】
(
9)本発明の包装材の他の実施態様では、内容物を収容する容器本体の開口を塞ぐ蓋体を構成する。
【0033】
この実施態様によると、包装容器を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、内容物等から生じる水蒸気等によって、包装容器の内圧が過剰に上昇するのが防止されて、包装容器の容器本体から蓋体が外れるのを防止することができる一方、包装容器から水蒸気等が必要以上に排出されて加熱処理が不十分となるのを防止することができる。
【0034】
(
10)本発明の包装体は、上記(
9)の包装材と、内容物を収容する前記容器本体とを備える。
【0035】
本発明の包装体によると、当該包装体である包装容器を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、内容物等から生じる水蒸気等によって、包装容器の内圧が過剰に上昇するのが防止されて、包装材である蓋体が、容器本体から外れるのを防止することができる一方、包装容器から水蒸気等が必要以上に排出されて加熱処理が不十分となるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明のラベルで蒸気抜き部が覆われた包装材によって構成された包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、当該ラベルを構成する熱収縮性フィルムが熱によって収縮し、収縮方向に対して交差する方向に沿って貫通して形成された蒸気抜き用切れ目が、収縮によって目開きするので、包装材の蒸気抜き部からの蒸気を、目開きした蒸気抜き用切れ目を介して当該ラベル外へ排出することができる。
【0037】
熱収縮性フィルムに形成される蒸気抜き用切れ目の長さ、数や配置、あるいは、熱収縮性フィルムの材質やサイズなどを適宜設定することによって、蒸気抜き部から、目開きした蒸気抜き用切込みを介して逃がす水蒸気等の逃がし量を調整することができ、したがって、包装容器や包装袋の内圧や温度を調整することが可能となる。
【0038】
これによって、内容物を収容した包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、内容物から生じる水蒸気等によって、包装容器や包装袋の内圧が過剰に上昇するのを防止して、包装容器の蓋が外れたり、包装袋が破損するのを防止することができる一方、包装容器や包装袋から水蒸気等が必要以上に排出されて加熱処理が不十分となるのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装体としての包装容器1の平面図であり、
図2は、その断面図である。
【0042】
この実施形態の包装容器1は、電子レンジ調理食品等の図示しない内容物が収容された容器本体2と、該容器本体2に外周部を嵌合させて容器本体2の上部開口2aを塞ぐ包装材としての蓋体3と、蓋体3の中央部に形成された窪んだ凹部3aを覆う透明なラベル4とを備えている。
【0043】
蓋体3の凹部3aは、平面視矩形であり、この凹部3aには、電子レンジによる加熱調理の際に、内容物から生じる水蒸気等が逃げる横向き略U字状の貫通した切込みからなる蒸気抜き部5が形成されている。
【0044】
蒸気抜き部5は、電子レンジ等による加熱調理の際に、内圧の上昇によって切込みに沿って変形して、水蒸気等を凹部3aへ逃がすものであり、上記の横向き略U字状の切り込みに限らず、V字状、C字状、X字状、その他の形状であってもよく、貫通孔や包装容器1の内圧の上昇によって破断するハーフカットなどであってもよい。
【0045】
この実施形態では、容器本体2及び蓋体3は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂からなり、平面視円形である。
【0046】
図3は、蒸気抜き部5が形成された凹部3aを覆うラベル4の平面図であり、
図4は、
図3のA−A線に沿う断面図である。
【0047】
この実施形態のラベル4は、裏面に第1粘着剤層6が形成された非熱収縮性フィルム7と、この非熱収縮性フィルム7に第2粘着剤層8を介して貼着され、かつ、加熱によって収縮変形するシュリンクフィルムである熱収縮性フィルム9との積層フィルムである。
【0048】
加熱によって収縮変形する熱収縮性フィルム9と、非熱収縮性フィルム7とを積層することによって、熱収縮性フィルム9の熱収縮による変形を規制することができ、加熱時に、熱収縮性フィルム9が、不所望に変形して皺等が生じるのを抑制することができる。
【0049】
熱収縮性フィルム9は、例えば、一軸延伸のポリスチレンフィルム(PS)であり、加熱によって
図3の矢符Bで示される収縮方向(図の左右方向)に沿って収縮する。この熱収縮性フィルム9は、長方形であり、短辺が、前記収縮方向Bに沿って延び、長辺が、収縮方向Bに直交する方向に沿って延びている。
【0050】
この熱収縮性フィルム9は、上記一軸延伸のポリスチレンフィルムに限らず、他の熱収縮性フィルム、例えば、熱収縮性PETフィルム、熱収縮性PE(ポリエチレン)フィルム、熱収縮性PP(ポリプロピレン)フィルム、熱収縮性PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、あるいは、PS(ポリスチレン)とPET(ポリエチレンテレフタレート)の積層系であるハイブリッド熱収縮性フィルム等を使用することができ、一軸延伸に限らず、二軸延伸の熱収縮性フィルムを使用してもよい。
【0051】
熱収縮性フィルム9の下層の非熱収縮性フィルム7は、一辺が、熱収縮性フィルム9の長辺に等しい略正方形であって、熱収縮性フィルム9よりも大きな面積を有し、仮想線で示される蓋体3の凹部3aの周辺部まで延出している。
【0052】
ラベル4は、非熱収縮性フィルム7の下層の第1粘着剤層6によって凹部3aを覆うように蓋体3に貼着される。
【0053】
熱収縮性フィルム9は、非熱収縮性フィルム7の対向する二辺の一方の辺の中央部から他方の辺の中央部に亘るように積層され、非熱収縮性フィルム7の正方形の中心と、熱収縮性フィルム9の長方形の中心とは、略一致しており、蓋体3の凹部3aの中心に対向する。
【0054】
なお、熱収縮性フィルム9は、蒸気抜き部5の形状や位置などに応じて該蒸気抜き部5に対向するように配置するのが好ましく、熱収縮性フィルム9の長方形の中心と非熱収縮性フィルム7の正方形の中心とが、一致しない場合もある。
【0055】
非熱収縮性フィルム7は、熱収縮性フィルム9のように加熱によって収縮するものではなく、樹脂フィルム、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる。この非熱収縮性フィルム7は、PETフィルムに限らず、他の樹脂フィルム、例えば、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム、PEフィルム等を使用することができる。
【0056】
熱収縮性フィルム9及び非熱収縮性フィルム7は、上記形状に限らず、蒸気抜き部5や凹部3a等の形状に応じて、円形、三角形、その他の形状としてもよい。
【0057】
この実施形態のラベル4では、
図3及び
図4に示すように、熱収縮性フィルム9には、加熱時に容器本体2の内容物から生じる水蒸気等を逃がすための排出経路となる複数の蒸気抜き用切れ目10が、当該ラベル4を貫通するように形成され、加熱時には、熱収縮性フィルム9の収縮によって、蒸気抜き用切れ目10が、後述のように目開きして水蒸気等の主たる排出経路を形成する。
【0058】
蒸気抜き用切れ目10は、細い直線状の切断線(スリット)であり、熱収縮性フィルム9が熱収縮して切れ目が目開きする前は、その開口は極めて小さい。
【0059】
非熱収縮性フィルム7の熱収縮性フィルム9が存在しない領域であって、かつ、蓋体3の凹部3aに対向する領域には、加熱時に容器本体2の内容物から生じる水蒸気等を逃がすための補助的な排出経路となる複数の補助切れ目11が、当該ラベル4を貫通して形成される。
【0060】
この補助切れ目11も、蒸気抜き用切れ目10と同様の細い直線状の切断線(スリット)であり、その開口は極めて小さい。この補助切れ目11は、加熱時に容器本体2の内容物から生じる水蒸気等を逃がすための主たる排出経路となる熱収縮性フィルム9の蒸気抜き用切れ目10が、熱収縮によって目開きするまでの排出経路として有効である。この補助切れ目11は、目開きしないが、熱収縮性フィルム9が存在しない領域に形成されるので、熱収縮性フィルム9が存在しない分、水蒸気等を逃がし易い。
【0061】
複数の蒸気抜き用切れ目10は、熱収縮性フィルム9の加熱による収縮方向Bに対して、直角に交差する方向(
図3の上下方向)に沿って間隔をあけてそれぞれ列状に形成され、前記収縮方向Bに沿って複数列、この例では、4列形成される。
【0062】
各蒸気抜き用切れ目10は、略同じ長さに形成され、各列の蒸気抜き用切れ目10が、互い違いになる千鳥状に形成される。
【0063】
複数の補助切れ目11は、熱収縮性フィルム9の両側の蓋体3の凹部3aに対向する領域に、蒸気抜き用切れ目10と同様に、収縮方向Bに対して、直角に交差する方向に沿って間隔をあけて列状にそれぞれ形成される。
【0064】
以上のように構成された包装容器1を、電子レンジ等によって加熱調理すると、加熱によって、熱収縮性フィルム9が、収縮方向Bに沿って収縮しようとする。このとき、熱収縮性フィルム9に形成された直線状の各蒸気抜き用切れ目10は、その両側から前記収縮方向(目開きする方向)Bに沿って引っ張られ、第2粘着剤層8によって熱収縮性フィルム9に貼着されている非熱収縮性フィルム7と共に、各蒸気抜き用切れ目10が、
図5に示すように、大きく目開きし、ラベル4には、目が開いた形状の大きな貫通孔が形成される。
【0065】
したがって、容器本体2の内容物から生じる水蒸気等による内圧の上昇を受けて、蓋体3の凹部3aに形成された蒸気抜き部5が切込みに沿って変形して開き、この蒸気抜き部5からの水蒸気等は、凹部3aを介して目開きした蒸気抜き用切れ目10からラベル4外へ排出される共に、一部が、凹部3aを介して補助切れ目11からラベル4外へ排出される。
【0066】
これによって、包装容器1における内圧が過剰に上昇するのを防止し、蓋体3が容器本体2から外れるのを防止することができる。
【0067】
なお、熱収縮性フィルム9が熱によって収縮する際に、収縮方向Bの両側の端部が、内方側へ収縮するために、
図5に示すように、上記4列の蒸気抜き用切れ目10の内、収縮方向Bの両側の2列の蒸気抜き用切れ目10aは、熱収縮性フィルム9の内方側への収縮の影響を受けて目開きが小さいのに対して、2列の蒸気抜き用切れ目10aに挟まれた内側の2列の蒸気抜き用切れ目10bは、熱収縮性フィルム9の内方側への収縮の影響を殆ど受けないので、目開きが大きくなる。
【0068】
包装容器1からラベル4外へ排出される水蒸気等は、ラベル4の形状やサイズ、特に、熱収縮性フィルム9に形成される蒸気抜き用切れ目10の数、長さ、配置、あるいは、熱収縮性フィルム9の材質などを適宜選択することによって、調整することができる。
【0069】
これによって、包装容器1における内圧が過剰に上昇するのを防止しつつ、包装容器1内の水蒸気等が必要以上に排出されるのを防止することができるので、包装容器1内を所要の内圧に維持して内容物を蒸らすことができ、適切な加熱調理を行うことができる。
【0070】
この実施形態によれば、加熱による熱収縮性フィルム9の収縮によって、蒸気抜き用切れ目10を目開きして水蒸気等の排出経路を形成するので、例えば、熱によって熱収縮性フィルムが丸まるように収縮変形させて排出経路を形成する構成に比べて、丸まるためのスペースを必要とすることなく、また、急激な内圧の上昇に迅速に目開きして水蒸気等を排出することができる。
【0071】
したがって、
図6に示すように、包装容器1に帯封13が巻き掛けられ、帯封13とその下のラベル4との間に、熱収縮性フィルムが丸まるようなスペースを確保できない場合には、熱収縮性フィルムが丸まって排出経路を形成するのが難しく、水蒸気等を十分に逃がすことができないことがある。
【0072】
帯封13は、包装容器1の蓋体3の中央部よりも両端の周縁部において強く密着されるので、例えば、蓋体3に、蒸気抜き部5を有する凹部3a以外に、薬味等の小袋を収納する収納凹部が、帯封13の巻掛け方向に沿って並んで形成されるような場合には、蒸気抜き部5を有する凹部3aを蓋体3の中央部に配置することができず、蓋体3の周縁部寄りに配置されることになり、帯封13と凹部3aを覆うラベル4との間に、十分なスペースを確保するのは一層困難となる。
【0073】
これに対して、本実施形態では、熱収縮性フィルム9に形成した蒸気抜き用切れ目10を、熱収縮性フィルム9の熱による収縮によって目開きするだけで、水蒸気等の排出経路を形成するので、帯封13があっても何ら阻害されることはなく、また、熱収縮性フィルム9と帯封13との間には、水蒸気等が逃げる僅かな隙間があればよいので、帯封13に妨げられることなく、水蒸気等を逃がすことができる。
【0074】
また、蒸気抜き用切れ目10は、細い直線状の切れ目であり、熱収縮性フィルム9が熱収縮して目開きする迄は、その開口は極めて小さく、目開きしない補助切れ目も細い直線状の切れ目であって、その開口は極めて小さいので、加熱処理される迄は、包装容器1の蓋体3の凹部3aを略密閉することができる。更に、上記帯封13を巻き掛けることによって、蓋体3の凹部3aの密閉性を高めることができる。
【0075】
上記実施形態では、熱収縮性フィルム9を、非熱収縮性フィルム7の上面側に設けたが、熱収縮性フィルム9を、非熱収縮性フィルム7の下面側、すなわち、凹部3a側に設けてもよい。
【0076】
上記実施形態では、熱収縮性フィルム9の一方の面のみが、加熱によって収縮しない非熱収縮性フィルム7に貼着されている。このため、熱収縮性フィルム9が、熱によって不所望に収縮変形するのを十分に規制することができず、加熱が進んで加熱が終了した時点では、熱収縮性フィルム9が、非熱収縮性フィルム7から部分的に剥離して皺が生じる場合がある。
【0077】
このため、本発明の他の実施形態として、
図7に示すように、熱収縮性フィルム9を、第1,第2非熱収縮性フィルム7
1,7
2で挟むように積層してもよい。
【0078】
このラベル4
1では、第1粘着剤層6を有する第1非熱収縮性フィルム7
1上に、第2粘着剤層8を有する熱収縮性フィルム9が積層され、この熱収縮性フィルム9上に、第3粘着剤層6
2を有する第2非熱収縮性フィルム7
2が積層されて形成される。
【0079】
ラベル4
1の熱収縮性フィルム9の領域には、ラベル4
1を貫通する蒸気抜き用切れ目10が形成され、第1,第2非熱収縮性フィルム7
1,7
2の熱収縮性フィルム9が存在しない領域であって、蓋体3の凹部3aに対向する領域には、ラベル4
1を貫通する補助切れ目11が形成される。
【0080】
この実施形態のラベル4
1も上記実施形態のラベル4と同様に、包装容器1を、電子レンジによって加熱調理すると、加熱によって、熱収縮性フィルム9が収縮し、熱収縮性フィルム9に形成された蒸気抜き用切れ目10が、目開きして水蒸気等の排出経路が形成される。
【0081】
更に、この実施形態では、熱収縮性フィルム9の両面が、加熱によって収縮しない第1,第2非熱収縮性フィルム7
1,7
2に貼着されているので、加熱が進んで加熱が終了した時点でも、熱収縮性フィルム9が、両非熱収縮性フィルム7
1,7
2から剥離して皺が生じるのを抑制することができ、加熱終了後の外観も良好なものとなる。
【0082】
上記各実施形態では、熱収縮性フィルム9は、粘着剤層8,12を介して非熱収縮性フィルム7,7
1,7
2に貼着されたけれども、本発明の他の実施形態として、例えば、
図8に示すように、熱収縮性フィルム9を、接着剤14によって非熱収縮性フィルムである基材フィルム15に接着して一体化し、この基材フィルム15を一体化した熱収縮性フィルム9と、非熱収縮性フィルム7とを、粘着剤層8を介して積層し、ラベル4
2を構成してもよい。
【0083】
基材フィルム15は、非熱収縮性であり、非熱収縮性フィルム7と同じフィルムを用いることができる。
【0084】
このように熱収縮性フィルム9に、非熱収縮性の基材フィルム15を、接着剤14によって接着して一体化することによって、加熱の進行に伴なって熱収縮性フィルム9が収縮しても、基材フィルム15から剥離することがなく、熱収縮性フィルム9に皺が生じるのを効果的に抑制しながら、蒸気抜き用切れ目10の目開きをより確実に行うことができる。
【0085】
上記
図7の実施形態と同様に、基材フィルム15を一体化した熱収縮性フィルム9を挟むように、第1,第2非熱収縮性フィルム7
1,7
2を積層してラベルを構成してもよい。
【0086】
なお、基材フィルム15と熱収縮性フィルム9とは、いずれを上層あるいは下層としてもよい。
【0087】
上記各実施形態では、蒸気抜き用切れ目10は、熱収縮性フィルム9の加熱による収縮方向Bに対して、直角に交差する方向に沿って形成したけれども、交差する方向は、直角に限らず、蒸気抜き用切れ目10が、加熱によって目開きできれば、斜めに交差してもよい。
【0088】
上記各実施形態では、蒸気抜き用切れ目10は、直線状に形成されたけれども、直線状に限らず、蒸気抜き用切れ目が、加熱によって目開きできれば屈曲した形状や湾曲した形状などであってもよい。
【0090】
上記各実施形態では、非熱収縮性フィルム7に補助切れ目11を形成したが、この補助切れ目11は、熱収縮方向とは関係がないので、どの方向に形成してもよく、例えば、
図9に示すように、蒸気抜き用切れ目10の形成方向に対して直交する方向、すなわち、熱収縮方向Bに沿って形成してもよい。また、補助切れ目11は省略してもよい。
【0092】
上記各実施形態では、容器本体2の上部開口2aは、薄い板状の蓋体3を嵌合させて塞いだけれども、他の実施形態として、蓋体3に代えて、フィルム状の包装フィルムで塞いでよい。この場合、包装フィルムに形成される蒸気抜き部を覆うように、ラベル4を貼着すればよい。
【0093】
また、包装容器に限らず、包装フィルムを重ね合せて、その周縁部をヒートシールして構成した包装袋に適用してもよい。