(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指令信号のパルス幅に基づいて、前記インバータに流れるインバータ電流の計測値が正常か否かを判定するとともに、前記インバータ電流の計測値が異常であると判定した場合には、前記パルス幅上限値を下げるリミット値学習部を更に備える
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係るインバータについて、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
【0022】
(インバータの回路構成)
図1は、第1の実施形態に係るインバータの回路構成を示す図である。
図1に示すインバータ1は、図示しないコンバータ(交流−直流電力変換回路)から出力される直流電力を、負荷であるモータ2(圧縮機モータ)を所望に駆動させるための三相交流電力に変換して出力する電力変換回路である。
【0023】
図1に示すように、インバータ1は、CPU10(制御装置)と、3個の高耐圧IC110、111、112(スイッチング素子駆動回路)と、スイッチング素子IC12と、を備えている。
なお、本実施形態においては、CPU10と、3個の高耐圧IC110、111、112と、スイッチング素子IC12とは、それぞれ別々のICパッケージで一つ又は複数の回路基板上に実装される。
【0024】
CPU10(制御装置)は、インバータ1の動作全体を制御するプロセッサIC(Integrated circuit)であって、例えば、汎用のマイコン等が用いられる。CPU10は、パルス幅変調制御(以下、「PWM制御」とも記載する)に基づく指令信号を出力し、後述する高耐圧IC110、111、112を通じて、高耐圧スイッチング素子(スイッチング素子120H、120L等)のオン/オフ制御を行う。
CPU10の具体的な機能及び処理の流れについては後述する。
【0025】
高耐圧IC110、111、112(スイッチング素子駆動回路)は、後述するスイッチング素子120H、120L等を駆動させるための高耐圧IC(HVIC:High Voltage IC)である。高耐圧IC110は、CPU10から入力された指令信号を、スイッチング素子120H、120L等を駆動するための駆動用信号に変換して出力する。3個の高耐圧IC110、111、112は、それぞれ、モータ2に向けて出力する三相交流電力の各相に対応して設けられている。
【0026】
スイッチング素子IC12は、6個のスイッチング素子120H、120L、121H、121L、122H、122Lを有してなるICである。スイッチング素子120H、120L、121H、121L、122H、122Lは、高電力を取扱うことができる半導体素子(パワートランジスタ)であって、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
スイッチング素子IC12の入力端子VBUSは、直流電圧Vbusの出力源(図示しないコンバータ)と接続される。スイッチング素子IC12の入力端子Gは、接地電位(0V)を与える接地点GNDと接続される。なお、直流電圧Vbusは、例えば、DC600V等とされる。
スイッチング素子120H及びスイッチング素子120Lは、直流電圧Vbusの出力源と接地点GNDとの間に直列に接続され、ハーフブリッジ回路を構成している。スイッチング素子120Hは、当該ハーフブリッジ回路の高電位側(ハイサイド)におけるスイッチング動作(オン/オフ動作)を行い、スイッチング素子120Lは、ハーフブリッジ回路の低電位側(ローサイド)におけるスイッチング動作を行う。
スイッチング素子121Hとスイッチング素子121L、及び、スイッチング素子122H及びスイッチング素子122Lも、それぞれ、スイッチング素子120H及びスイッチング素子120Lと同様のハーフブリッジ回路を構成する。3個のハーフブリッジ回路は、それぞれ、モータ2に向けて出力する三相交流電力の各相に対応して設けられている。
【0027】
CPU10が出力端子Hsig1、Lsig1から出力する各指令信号(PWM制御に基づく指令信号)は、それぞれ、高耐圧IC110の入力端子Hin、Linに入力される。高耐圧IC110は、CPU10から入力された指令信号を、スイッチング素子IC12内部におけるスイッチング素子120H、120Lを駆動するための駆動用信号に変換する。ここで、駆動用信号とは、入力された指令信号の電圧レベルが、スイッチング素子120H、120Lをオン/オフ制御可能なゲート電圧レベルにまで引き上げられてなる信号である。
高耐圧IC110は、スイッチング素子120H(ハーフブリッジ回路高電位側)を駆動するための駆動用信号を出力端子HOから出力する。また、高耐圧IC110は、スイッチング素子120L(ハーフブリッジ回路低電位側)を駆動するための駆動用信号を出力端子LOから出力する。
高耐圧IC110の出力端子HOから出力された駆動用信号は、スイッチング素子IC12の入力端子HP1に入力される。また、高耐圧IC110の出力端子LOから出力された駆動用信号は、スイッチング素子IC12の入力端子LP1に入力される。入力端子HP1に入力された駆動用信号は、ハーフブリッジ回路高電位側のスイッチング素子120Hを駆動する。また、入力端子LP1に入力された駆動用信号は、ハーフブリッジ回路低電位側のスイッチング素子120Lを駆動する。スイッチング素子120H、120Lは、それぞれ、入力端子HP1、LP1に入力された各駆動用信号をゲート入力としてオン/オフ動作する。
スイッチング素子120H及びスイッチング素子120Lで構成されるハーフブリッジ回路は、三相交流電力のうちの一つの相(U相)に対応する交流電力を生成し、出力端子Vuを通じてモータ2に向けて出力する。
【0028】
また、CPU10が出力端子Hsig2、Lsig2から出力する各指令信号は、それぞれ、高耐圧IC111の入力端子Hin、Linに入力される。高耐圧IC111は、CPU10から入力された指令信号を、スイッチング素子IC12内部におけるスイッチング素子121H、121Lを駆動するための駆動用信号に変換する。
高耐圧IC111は、スイッチング素子121Hを駆動するための駆動用信号を出力端子HOから出力する。また、高耐圧IC111は、スイッチング素子121Lを駆動するための駆動用信号を出力端子LOから出力する。
高耐圧IC111の出力端子HOから出力された駆動用信号は、スイッチング素子IC12の入力端子HP2に入力される。また、高耐圧IC111の出力端子LOから出力された駆動用信号は、スイッチング素子IC12の入力端子LP2に入力される。入力端子HP2に入力された駆動用信号は、ハーフブリッジ回路高電位側のスイッチング素子121Hを駆動する。また、入力端子LP2に入力された駆動用信号は、ハーフブリッジ回路低電位側のスイッチング素子121Lを駆動する。スイッチング素子121H、121Lは、それぞれ、入力端子HP2、LP2に入力された各駆動用信号をゲート入力としてオン/オフ動作する。
スイッチング素子121H及びスイッチング素子121Lで構成されるハーフブリッジ回路は、三相交流電力のうちの一つの相(V相)に対応する交流電力を生成し、出力端子Vvから出力する。
【0029】
また、CPU10が出力端子Hsig3、Lsig3から出力する各指令信号は、それぞれ、高耐圧IC112の入力端子Hin、Linに入力される。高耐圧IC112は、CPU10から入力された指令信号を、スイッチング素子IC12内部におけるスイッチング素子122H、122Lを駆動するための駆動用信号に変換する。
高耐圧IC112は、スイッチング素子122Hを駆動するための駆動用信号を出力端子HOから出力する。また、高耐圧IC112は、スイッチング素子122Lを駆動するための駆動用信号を出力端子LOから出力する。
高耐圧IC112の出力端子HOから出力された駆動用信号は、スイッチング素子IC12の入力端子HP3に入力される。また、高耐圧IC112の出力端子LOから出力された駆動用信号は、スイッチング素子IC12の入力端子LP3に入力される。入力端子HP3に入力された駆動用信号は、ハーフブリッジ回路高電位側のスイッチング素子122Hを駆動する。また、入力端子LP3に入力された駆動用信号は、ハーフブリッジ回路低電位側のスイッチング素子122Lを駆動する。スイッチング素子122H、122Lは、それぞれ、入力端子HP3、LP3に入力された各駆動用信号をゲート入力としてオン/オフ動作する。
スイッチング素子122H及びスイッチング素子122Lで構成されるハーフブリッジ回路は、三相交流電力のうちの一つの相(W相)に対応する交流電力を生成し、出力端子Vwから出力する。
【0030】
電流センサ13は、3個のハーフブリッジ回路の低電位側から接地点GNDにかけて流れる電流(インバータ電流)を検出する電流センサである。電流センサ13は、例えば、接地点GNDに接続される配線上に接続されたシャント抵抗等で構成される。
電流センサ13は、CPU10の入力端子SENSに向けて、インバータ電流の検出結果を示す検出信号を出力する。
【0031】
図2は、第1の実施形態に係るインバータの回路構成をより詳細に示す図である。
図2に示す回路は、高耐圧IC110と、スイッチング素子120H、120Lとの接続関係を詳細に示している。なお、高耐圧IC111と、スイッチング素子121H、121Lとの接続関係、及び、高耐圧IC112と、スイッチング素子122H、122Lとの接続関係については、
図2に示す、高耐圧IC110と、スイッチング素子120H、120Lとの接続関係と同様であるため、図示を省略する。
【0032】
図2に示すように、高耐圧IC110の入力端子VCCは、直流電圧Vccの出力源(図示しない駆動用電源)と接続される。高耐圧IC110の入力端子COMは、接地点GNDと接続される。なお、直流電圧Vccは、例えば、DC15V等とされる。
【0033】
また、高耐圧IC110は、ハイサイド駆動回路110aと、ローサイド駆動回路110bとを有している。
ハイサイド駆動回路110aは、CPU10から入力端子Hinを通じて入力された指令信号を、スイッチング素子120Hを駆動するための駆動用信号に変換する。
ハイサイド駆動回路110aは、入力端子VBから入力されるブートストラップ電圧Vbと、入力端子VSから入力される負荷駆動用電圧Vsとに基づいて動作する。なお、高耐圧IC110の入力端子VSは、スイッチング素子IC12の負荷駆動用電圧出力端子VS1と接続されている。
ここで、負荷駆動用電圧Vsは、負荷(モータ2)に対してU相に対応する交流電力を送出して駆動させるための電圧であって、スイッチング素子120Hとスイッチング素子120Lとの間に生じる電圧である。また、ブートストラップ電圧Vbは、ダイオード素子Dとコンデンサ素子CHとからなるブートストラップ回路により、負荷駆動用電圧Vsよりも常に一定の電位差だけ高い値となって入力端子VBに入力される。
【0034】
ローサイド駆動回路110bは、CPU10から入力端子Linを通じて入力された指令信号を、スイッチング素子120Lを駆動するための駆動用信号に変換する。
ローサイド駆動回路110bは、入力端子VCCから入力される直流電圧Vccと、入力端子COMから入力される接地電位(0V)とに基づいて動作する。
なお、入力端子VCCと入力端子COMとの間にはノイズ対策として設けられたコンデンサ素子CLが接続されている。
【0035】
COM
(CPUの機能構成)
図3は、第1の実施形態に係るCPUの機能構成を示す図である。
図3に示すように、CPU10は、パルス幅演算部100、リミット判定部101、信号出力部102としての機能を発揮する。
パルス幅演算部100は、所定のキャリア周期TCごとに出力すべき指令信号のパルス幅を示すパルス幅演算値Tpw_calを算出する。例えば、パルス幅演算部100は、三相交流電力のうちの一つの相に対応する正弦波交流電圧を出力しようとする場合、出力電圧が当該正弦波となるように、(PWM制御に基づき)指令信号のパルス幅をキャリア周期TCごとに逐次変化させながら出力する。
ここで、「キャリア周期」とは、PWM制御において、指令信号をなす“パルス”(矩形波)を出力する周期であって、例えば、148.8μs(キャリア周波数:6.72kHz)等とされる。
【0036】
リミット判定部101は、パルス幅演算部100によって算出されたパルス幅演算値Tpw_calが所定のパルス幅上限値よりも大きいか否か、及び、所定のパルス幅下限値よりも小さいか否かを判定する。パルス幅上限値、及び、パルス幅下限値については後述する。
【0037】
信号出力部102は、キャリア周期TCごとに、当該キャリア周期TCにおける開始側オフ期間と終了側オフ期間とが一致するように、パルス幅演算部100によって算出されたパルス幅演算値Tpw_calに示されるパルス幅の指令信号を出力する。
また、信号出力部102は、リミット判定部101の判定結果に基づいて、指令信号のパルス幅を、パルス幅演算値Tpw_calとは異なる値に変化させる。
【0038】
(リミット判定部の機能)
図4は、第1の実施形態に係るリミット判定部の機能を説明する図である。
図4に示す各波形は、CPU10が出力端子Hsig1から出力する指令信号SS、高耐圧IC110が出力端子HOから出力する駆動用信号SD、スイッチング素子120Hのゲート端子に印加されるゲート電圧Vg、及び、負荷駆動用電圧Vsの経時的変化を示している。
以下、
図4に示す各波形の例を参照しながら、リミット判定部101が判定基準とするパラメータであるオフ期間リミット値Tpw_off_limについて説明する。
【0039】
図4に示す例において、CPU10は、ある時刻taで指令信号SSをオフする。そうすると、指令信号SSのオフ(時刻ta)からわずかな遅延を経て高耐圧IC110が出力する駆動用信号SDもオフする(時刻tb)。駆動用信号SDのオフ(時刻tb)から更なる遅延を経てスイッチング素子120Hのゲート電圧Vgがオフする(時刻tc)。ゲート電圧Vgのオフ(時刻tc)から更なる遅延を経て負荷駆動用電圧Vsがオフ(0Vに到達)する(時刻td)。
しかし、この時点(時刻td)において、負荷(モータ2)、配線等に寄生するインダクタ成分に起因して、当該負荷に流れている交流電流を維持しようと、負電圧サージが発生する。この負電圧サージに伴い、負荷駆動用電圧Vsが0Vよりも低い電位に落ち込む。時刻tdから所定時間経過後に、安全動作が保障される電圧レベル(−5V)まで回復する(時刻te)。
【0040】
ここで、負電圧サージの発生中(時刻tdから時刻teまでの期間)に、CPU10が指令信号SSをオンすると、高耐圧IC110において誤動作が生じ、当該指令信号SSのオンに応じた駆動用信号SDが出力されない(オフのままとなる)場合があることが知られている。このような誤動作が生じると、正規のPWM制御がなされないために、モータ2に送出される三相交流電力の波形(正弦波)にひずみが生じる。
【0041】
上記のような誤動作を防止するために、CPU10は、指令信号SSをオフした時点から次にオンするまでの期間(時刻taから時刻tfまで)が、必ず、指令信号SSをオフした時点から負電圧サージが回復するまでの期間(回復期間tvs)よりも大きくなるように制御を行う。
【0042】
本実施形態において、リミット判定部101は、予め定められたオフ期間リミット値Tpw_off_limを記憶している。ここで、オフ期間リミット値Tpw_off_limは、事前に取得された回復期間tvsの計測結果を用いて規定される。
例えば、事前の計測の結果、回復期間tvsが2.5μsであった場合、オフ期間リミット値Tpw_off_limは、“2.5μs”と規定される。
【0043】
(CPUの処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係るCPUの処理フローを示す図である。
図5に示す処理フローは、所定のキャリア周期TCごとに、CPU10が最終的に出力すべき指令信号(
図4)のパルス幅を決定する度に実行される。
まず、パルス幅演算部100は、モータ2に送出される交流電力が理想的な正弦波となるように、PWM制御に基づいて、指令信号のパルス幅を示すパルス幅演算値Tpw_calを算出する(ステップS00)。
【0044】
次に、リミット判定部101は、ステップS00で算出されたパルス幅演算値Tpw_calが、所定のパルス幅上限値よりも大きいか否かを判定する(ステップS01)。ここで、「パルス幅上限値」は、キャリア周期TCからオフ期間リミット値Tpw_off_limの二倍を差し引いてなる値である。
【0045】
パルス幅演算値Tpw_calがパルス幅上限値よりも大きい場合(ステップS01:YES)、次に、リミット判定部101は、パルス幅演算値Tpw_calがキャリア周期TCに一致するか否か(つまり、Duty比100%か否か)を判定する(ステップS02)。
パルス幅演算値Tpw_calがキャリア周期TCに一致しない場合(ステップS02:NO)、信号出力部102は、最終的に出力する指令信号のパルス幅Tpwをパルス幅上限値(キャリア周期TCからオフ期間リミット値Tpw_off_limの二倍を差し引いてなる値)とする(ステップS03)。
他方、パルス幅演算値Tpw_calがキャリア周期TCに一致する場合(ステップS02:YES)、信号出力部102は、最終的に出力する指令信号のパルス幅Tpwをパルス幅演算値(=キャリア周期TC(即ち、Duty比100%))とする(ステップS04)。
【0046】
また、パルス幅演算値Tpw_calがパルス幅上限値以下の場合(ステップS01:NO)、次に、リミット判定部101は、パルス幅演算値Tpw_calが所定のパルス幅下限値Tpw_limよりも小さいか否かを判定する(ステップS05)。ここで、「パルス幅下限値」とは、高耐圧IC110、111、112(
図1)が誤動作を引き起こさないことが保障されるパルス幅Tpwの最小値とされる。
パルス幅演算値Tpw_calがパルス幅下限値Tpw_limよりも小さい場合(ステップS05:YES)、信号出力部102は、最終的に出力する指令信号のパルス幅Tpwをパルス幅下限値Tpw_limとする(ステップS06)。
他方、パルス幅演算値Tpw_calがパルス幅下限値Tpw_limよりも大きい場合(ステップS05:NO)、信号出力部102は、最終的に出力する指令信号のパルス幅Tpwをパルス幅演算値Tpw_calとする(ステップS07)。
【0047】
信号出力部102は、ステップS03、S04、S06、S07のいずれかで決定されたパルス幅Tpwの指令信号を、各高耐圧IC110、111、112に向けて出力する(ステップS08)。
【0048】
図6は、第1の実施形態に係るCPUの処理の例を説明する図である。
図6は、指令信号のリミット処理適用前の波形(パルス幅演算値Tpw_calのみに基づく波形)と、指令信号のリミット処理適用後の波形(
図5に示す処理フローの後、CPU10が実際に出力する波形)と、を示している。
【0049】
パルス幅演算部100は、あるキャリア周期TCにおいて出力すべきパルス幅演算値Tpw_calを算出する(
図5のステップS00)。ここで算出されたパルス幅演算値Tpw_calが上述のパルス幅下限値Tpw_lim以上かつパルス幅上限値(TC−2×Tpw_off_lim)以下であった場合(
図5のステップS05:NOに相当)、信号出力部102は、パルス幅演算値Tpw_calと同じパルス幅Tpw(Tpw=Tpw_cal)の指令信号を出力する(
図6の期間T1参照)。
【0050】
ここで、信号出力部102は、キャリア周期TCごとに、当該キャリア周期TCにおける開始側オフ期間Tpw_off_aと終了側オフ期間Tpw_off_bとが一致するように、パルス幅Tpwの指令信号を出力する。つまり、信号出力部102は、指令信号を、キャリア周期TCの開始時点から開始側オフ期間Tpw_off_a経過後にオンとし、当該オンの時点から更にパルス幅Tpw(=Tpw_cal)経過後にオフとする。ここで、当該指令信号のオフの時点からキャリア周期TCの終了時点までの期間である終了側オフ期間Tpw_off_bは、開始側オフ期間Tpw_off_aと同じ時間間隔(Tpw_off_a=Tpw_off_b)となるように調整される。
【0051】
図6の期間T1においては、パルス幅Tpwがパルス幅上限値よりも小さい値であるため、開始側オフ期間Tpw_off_a及び終了側オフ期間Tpw_off_bは、共に、オフ期間リミット値Tpw_off_limよりも大きい期間となっている。したがって、期間T1におけるキャリア周期TC、及び、これに続くキャリア周期TCにおいて、負電圧サージに起因するPWM制御の誤動作は生じない。
【0052】
パルス幅演算値Tpw_calがパルス幅上限値(TC−2×Tpw_off_lim)よりも大きく、かつ、キャリア周期TCに一致しない場合(
図5のステップS02:NOに相当)、信号出力部102は、パルス幅上限値と同じパルス幅Tpw(Tpw=TC−2×Tpw_off_lim)の指令信号を出力する(
図6の期間T2参照)。
ここで、パルス幅上限値(TC−2×Tpw_off_lim)よりも大きいパルス幅の指令信号を出力しようとすると、開始側オフ期間Tpw_off_a及び終了側オフ期間Tpw_off_bは、いずれも、オフ期間リミット値Tpw_off_limよりも小さくなる。そうすると、
図4で説明したように、負電圧サージの発生中に指令信号がオンし得るため、PWM制御における誤動作が生じ得ることになる。
したがって、この場合、信号出力部102は、パルス幅演算値Tpw_calに代えてパルス幅上限値(TC−2×Tpw_off_lim)に示されるパルス幅の指令信号を出力する(
図6の期間T2参照)。なお、この場合においても、信号出力部102は、キャリア周期TCにおける開始側オフ期間Tpw_off_aと終了側オフ期間Tpw_off_bとが一致するように上記指令信号を出力する。
これにより、キャリア周期TCにおける開始側オフ期間Tpw_off_a及び終了側オフ期間Tpw_off_bは、共に、オフ期間リミット値Tpw_off_limに一致する。即ち、開始側オフ期間Tpw_off_a及び終了側オフ期間Tpw_off_bの双方において、誤動作が生じない最低限のオフ期間(オフ期間リミット値Tpw_off_lim)が確保される。
【0053】
パルス幅演算値Tpw_calがキャリア周期TCに一致する場合(
図5のステップS02:YESに相当)、信号出力部102は、パルス幅演算値Tpw_cal(=TC)と同じパルス幅Tpw(Tpw=Tpw_cal=TC)の指令信号を出力する(
図6の期間T3参照)。
ここで、パルス幅演算値Tpw_calがキャリア周期TCに一致する(Duty比100%の)指令信号を出力する場合、そもそも、当該キャリア周期TCにおいてオフ期間(開始側オフ期間Tpw_off_a及び終了側オフ期間Tpw_off_b)が存在しなくなる。したがって、この場合は、当該キャリア周期TCにおいて、負電圧サージは発生し得ないため、信号出力部102は、算出されたパルス幅演算値Tpw_cal通りのパルス幅Tpwとされた指令信号を出力する(
図6の期間T3参照)。
【0054】
パルス幅演算値Tpw_calがパルス幅下限値Tpw_limよりも小さい場合(
図5のステップS05:YESに相当)、信号出力部102は、パルス幅下限値Tpw_limと同じパルス幅Tpw(Tpw=Tpw_lim)の指令信号を出力する(
図6の期間T4参照)。
ここで、パルス幅下限値Tpw_limよりも小さいパルス幅の指令信号を出力しようとすると、高耐圧IC110、111、112において、指令信号のパルス幅が小さすぎることに起因する誤動作が発生し得る。
したがって、この場合、信号出力部102は、パルス幅演算値Tpw_calに代えてパルス幅下限値Tpw_limに示されるパルス幅の指令信号を出力する(
図6の期間T4参照)。なお、この場合においても、信号出力部102は、キャリア周期TCにおける開始側オフ期間Tpw_off_aと終了側オフ期間Tpw_off_bとが一致するように上記指令信号を出力する。
これにより、キャリア周期TCにおける指令信号のパルス幅Tpwは、パルス幅下限値Tpw_limに一致する。即ち、誤動作が生じない最低限のパルス幅(パルス幅下限値Tpw_lim)が確保される。
【0055】
(作用、効果)
上記のとおり、第1の実施形態に係るCPU10(信号出力部102)は、パルス幅演算値Tpw_calが所定のパルス幅上限値よりも大きい場合には、パルス幅演算値Tpw_calに代えて、パルス幅上限値に示されるパルス幅の指令信号を出力する。
このようにすることで、キャリア周期TCを占める指令信号のパルス幅が所定値(パルス幅上限値)以上とならないため、指令信号において、誤動作が生じない程度のオフ期間が確保される。したがって、別途の素子を追加することなく、負電圧サージに基づく誤動作の発生を抑制することができる。
【0056】
また、上記の通り、第1の実施形態に係るCPU10によれば、上述のパルス幅上限値は、キャリア周期TCから所定のオフ期間リミット値Tpw_off_limの二倍を差し引いてなる値とされる。また、オフ期間リミット値Tpw_off_limは、指令信号がオフした時点から、当該指令信号に基づいて動作するスイッチング素子(例えば、スイッチング素子120H)のオフ動作に伴って発生する負電圧サージが回復するまでの期間として規定されている(
図4参照)。
このようにすることで、オフ期間リミット値Tpw_off_limを、負電圧サージが回復するまでの最短時間として規定することができるので、指令信号のパルス幅Tpwを、本来のパルス幅演算値Tpw_calからパルス幅上限値(TC−2×Tpw_lim_off)にまで低下させた場合に生じ得る電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0057】
また、上記の通り、第1の実施形態に係るCPU10は、パルス幅演算値Tpw_calがキャリア周期TCに一致する場合(Duty比100%の場合)には、パルス幅上限値に代えて、キャリア周期TCに一致するパルス幅演算値Tpw_cal(=TC)に示されるパルス幅の指令信号を出力する。
このようにすることで、Duty比100%の場合に限り、指令信号のパルス幅Tpwがパルス幅上限値にまで低減されないので、電力変換効率の低下を一層抑制することができる。
【0058】
また、上記の通り、第1の実施形態に係るCPU10は、パルス幅演算値Tpw_calが所定のパルス幅下限値Tpw_limよりも小さい場合には、当該パルス幅演算値Tpw_calに代えて、パルス幅下限値Tpw_limに示されるパルス幅の指令信号を出力する。
このようにすることで、パルス幅下限値Tpw_limよりも小さいパルス幅の指令信号が高耐圧IC110、111、112に出力されなくなるので、指令信号のパルス幅が小さすぎることに起因する誤動作を防止することができる。
【0059】
また、第1の実施形態に係るインバータ1は、CPU10、高耐圧IC110、111、112、及び、スイッチング素子IC12は、それぞれ別のICパッケージで実装されている。
このようにすることで、例えば、高耐圧ICとスイッチング素子とが一体でパッケージされたICを用いるよりも、安価な高耐圧IC及びスイッチング素子のみを用いて製造することができるため、インバータの低コスト化を図ることができる。
【0060】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るインバータについて、
図7〜
図10を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態に係るインバータの回路構成については第1の実施形態(
図1、
図2)と同様である。
【0061】
(CPUの機能構成)
図7は、第2の実施形態に係るCPUの機能構成を示す図である。
図7に示すように、第2の実施形態に係るCPU10は、第1の実施形態に加え、更に、リミット値学習部103を備えている。
以下、リミット値学習部103の機能について詳細に説明する。
【0062】
(CPUの処理フロー)
図8は、第2の実施形態に係るCPUの第1の処理フローを示す図である。
また、
図9は、第2の実施形態に係るリミット値学習部の機能を説明する図である。
まず、
図8、
図9を参照しながら、リミット値学習部103が実行する第1の処理フローについて説明する。
【0063】
図8に示す第1の処理フローは、例えば、キャリア周期TCごとに実行される。
まず、リミット値学習部103は、インバータ電流の電流センサ13による計測結果であるインバータ電流計測値I_inv_sを取得する(ステップS11)。
次に、リミット値学習部103は、取得したインバータ電流計測値I_inv_sが正常であるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、リミット値学習部103は、予め用意された参照テーブルTab1(
図9)を参照しながら、取得したインバータ電流計測値I_inv_sが正常であるか否かを判定する。
【0064】
図9は、リミット値学習部103が有する参照テーブルTab1の例を示している。
参照テーブルTab1には、信号出力部102が出力する指令信号のパルス幅Tpw[μs]と、そのパルス幅Tpwに対応するインバータ電流想定値I_inv_i[A]が関連付けられて記録されている。
ここで、CPU10からあるパルス幅Tpwの指令信号が出力された際には、そのパルス幅Tpwに従ってスイッチング素子120H、120Lのオン/オフ動作が行われることから、当該パルス幅Tpwに応じたインバータ電流が流れる。参照テーブルTab1には、パルス幅Tpwごとに想定されるインバータ電流を示すインバータ電流想定値I_inv_iが、事前に取得されたインバータ電流の計測結果等に基づいて規定されている。
なお、負電圧サージ等に基づくPWM制御の誤動作が発生した場合には、パルス幅Tpwごとに想定されるインバータ電流とは大きく異なるインバータ電流が生じ得る。
【0065】
ステップS12において、リミット値学習部103は、あるキャリア周期TCで出力した指令信号のパルス幅Tpwに対応するインバータ電流想定値I_inv_i(
図9)と、当該キャリア周期TCにおいて計測されたインバータ電流計測値I_inv_s(ステップS11で取得したもの)と、を比較する。そして、取得したインバータ電流計測値I_inv_sとインバータ電流想定値I_inv_iとの差が予め規定された許容誤差δの範囲内(I_inv_i−δ<I_inv_s<I_inv_i+δ)にあった場合には、リミット値学習部103は、インバータ電流計測値I_inv_sが正常であると判定し(ステップS12:YES)、第1の処理フローを終了する。
他方、取得したインバータ電流計測値I_inv_sとインバータ電流想定値I_inv_iとの差が予め規定された許容誤差δの範囲内にはなかった場合、インバータ電流計測値I_inv_sが異常であると判定する(ステップS12:NO)。
この場合、リミット値学習部103は、所定の異常発生フラグF(初期値は0とする。)に1を代入し(ステップS13)、第1の処理フローを終了する。
【0066】
図10は、第2の実施形態に係るCPUの第2の処理フローを示す図である。
次に、リミット値学習部103が実行する第2の処理フローについて説明する。
図10に示す第2の処理フローは、キャリア周期TCごと、又は、キャリア周期TCよりも長い、予め規定された所定期間ごとに実行される。
リミット値学習部103は、異常発生フラグFが0か否かを判定する(ステップS21)。
異常発生フラグFが0であった場合(ステップS21:YES)、リミット値学習部103は、オフ期間リミット値Tpw_off_limを、現時点において規定されている値(例えば、2.5μs)から所定の微小値Δ(例えば、Δ=0.1μs)だけ小さくする(ステップS22)。
【0067】
ここで、第1の処理フローにおいて、インバータ電流計測値I_inv_sに異常が発生していない場合には、異常発生フラグFの値は0のままとなる。したがって、リミット値学習部103の第2の処理フローによれば、インバータ電流計測値I_inv_sに異常が発生していない状態が持続している限り、オフ期間リミット値Tpw_off_limが微小値Δずつ徐々に小さくなっていく。
【0068】
他方、異常発生フラグFが1であった場合(ステップS21:NO)、次に、リミット値学習部103は、現時点において規定されているオフ期間リミット値Tpw_off_limが初期値(例えば、2.5μs)か否かを判定する(ステップS23)。
オフ期間リミット値Tpw_off_limが初期値であった場合、リミット値学習部103は、オフ期間リミット値Tpw_off_limを変更することなく、異常発生フラグFを0に戻して(ステップS25)、第2の処理フローを終了する。
オフ期間リミット値Tpw_off_limが初期値でなかった場合、リミット値学習部103は、オフ期間リミット値Tpw_off_limを、現時点において規定されている値から所定の微小値Δ(例えば、Δ=0.1μs)だけ大きくする(ステップS24)。そして、リミット値学習部103は、異常発生フラグFを0に戻して(ステップS25)、第2の処理フローを終了する。
【0069】
ここで、第1の処理フローにおいて、インバータ電流計測値I_inv_sに異常が発生した場合には、異常発生フラグFの値は1とされる。したがって、リミット値学習部103の第2の処理フローによれば、インバータ電流計測値I_inv_sに異常が発生した場合、オフ期間リミット値Tpw_off_limが微小値Δだけ大きくなる。
【0070】
(作用、効果)
上記の通り、第2の実施形態に係るCPU10(リミット値学習部103)は、指令信号のパルス幅Tpwに基づいて、インバータ電流の計測値(インバータ電流計測値I_inv_s)が正常か否かを判定する。そして、当該計測値が異常であると判定した場合には、CPU10は、オフ期間リミット値Tpw_off_limを所定の微小値Δずつ大きくし、パルス幅上限値を下げていく。
このようにすることで、PWM制御に誤動作が生じやすい状態にある場合には、オフ期間リミット値Tpw_off_limが大きくなって(パルス幅上限値が下がって)、誤動作が生じにくい状態へと移行する。したがって、負電圧サージに基づく誤動作の発生を抑制することができる。
【0071】
また、上記の通り、第2の実施形態に係るCPU10は、インバータ電流計測値I_inv_sが正常であると判定した場合には、オフ期間リミット値Tpw_off_limを所定の微小値Δずつ小さくし、パルス幅上限値を上げていく。
このようにすることで、PWM制御に誤動作が生じていない状態にある場合には、オフ期間リミット値Tpw_off_limが小さくなって(パルス幅上限値が上がって)いく。したがって、指令信号のパルス幅Tpwを、本来のパルス幅演算値Tpw_calからパルス幅上限値にまで低下させた場合に生じ得る電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0072】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係るインバータについて、
図11〜
図13を参照しながら説明する。なお、第3の実施形態に係るインバータの回路構成については第1の実施形態(
図1、
図2)と同様である。
【0073】
(CPUの機能構成)
図11は、第3の実施形態に係るCPUの機能構成を示す図である。
図11に示すように、第3の実施形態に係るCPU10は、第1の実施形態に加え、更に、リミット値設定部104を備えている。
以下、リミット値設定部104の機能について詳細に説明する。
【0074】
(CPUの処理フロー)
図12は、第3の実施形態に係るCPUの処理フローを示す図である。
また、
図13は、第3の実施形態に係るリミット値設定部の機能を説明する図である。
以下、
図12、
図13を参照しながら、リミット値設定部104の処理について説明する。
【0075】
リミット値設定部104は、インバータ電流の電流センサ13による計測結果であるインバータ電流計測値I_inv_sを取得する(ステップS31)。
次に、リミット値設定部104は、取得したインバータ電流計測値I_inv_sの値に基づいてオフ期間リミット値Tpw_off_limを設定する(ステップS32)。ここで、リミット値設定部104は、予め用意された参照テーブルTab2(
図13)を参照しながら、取得したインバータ電流計測値I_inv_sの値に基づいてオフ期間リミット値Tpw_off_limを設定する。
【0076】
図13は、リミット値設定部104が有する参照テーブルTab2の例を示している。
参照テーブルTab2には、インバータ電流計測値I_inv_s[A]と、設定すべきオフ期間リミット値Tpw_off_limと、が関連付けられて記録されている。
ここで、回復期間tvs(
図4)のうち、ゲート電圧Vgがオフしてから負荷駆動用電圧Vsが0Vに到達するまでの遅延時間(時刻tcから時刻tdまでの時間)は、インバータ電流の大小によって大きく変わることが知られている。具体的には、一般的なスイッチング素子(スイッチング素子120H等)は、インバータ電流が大きいほど、上記遅延時間(時刻tc〜時刻td)は小さくなる特性を有している。したがって、インバータ電流が大きいほど回復期間tvsも小さくなる。
参照テーブルTab2には、インバータ電流計測値I_inv_sごとに対応するオフ期間リミット値Tpw_off_limが、事前に取得された回復期間tvsの計測結果等に基づいて規定されている。
【0077】
リミット値設定部104は、ステップS31及びステップS32を繰り返し実行し、インバータ電流計測値I_inv_sに応じて、オフ期間リミット値Tpw_off_limを逐次変更していく。
【0078】
(作用、効果)
上述の通り、第3の実施形態に係るCPU10(リミット値設定部104)は、オフ期間リミット値Tpw_off_lim(即ち、パルス幅上限値)を、インバータ電流計測値I_inv_sに応じた値に設定する。
このようにすることで、オフ期間リミット値Tpw_off_limが、インバータ電流に応じた最短期間に設定されるので、電力変換効率の低下を一層抑制することができる。
【0079】
<各実施形態の変形例>
以上、第1〜第3の実施形態に係るインバータ1及びCPU10について詳細に説明したが、インバータ1及びCPU10の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
【0080】
例えば、第1の実施形態の説明において、信号出力部102は、一つのキャリア周期TCにおける開始側オフ期間Tpw_off_a(及び終了側オフ期間Tpw_off_b)が、少なくともオフ期間リミット値Tpw_off_limの時間幅となるように、パルス幅Tpwに制限をかけるものとした。しかし、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係る信号出力部102は、一つ前のキャリア周期TCにおける終了側オフ期間Tpw_off_bと、今回のキャリア周期TCにおける開始側オフ期間Tpw_off_aとの合計がオフ期間リミット値Tpw_off_lim未満とならない範囲で制限をかけるものとしてもよい。
具体的には、信号出力部102は、一つ前のキャリア周期TCにおける終了側オフ期間Tpw_off_b’を参照し、回復期間tvsに基づいて規定されたオフ期間リミット値Tpw_off_limからTpw_off_b’を差し引いた値を、今回のキャリア周期TCに適用するオフ期間リミット値としてもよい。
このようにすることで、一つ前のキャリア周期TCで出力されたパルス(オン期間)と今回のキャリア周期TCで出力されるパルス(オン期間)との間のオフ期間がオフ期間リミット値Tpw_off_limよりも小さくならないように制限をかけることができる。これにより、電力変換効率の低下を一層抑制することができる。
【0081】
また、上述の各実施形態においては、上述したCPU10の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われるものとしてもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0082】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。更に、CPU10は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0083】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。