(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例)
図1ないし
図8は、本発明に係るミスト発生装置の実施例を示す。本発明における前後、左右、上下とは、
図1および
図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図1においてミスト発生装置は、中空箱状の本体ケース1を有し、その内部に、ミスト原液をミスト化するミスト発生部2と、ミスト発生部2で生成した冷ミストを流動案内するミスト送給路3と、ミスト送給路3内の冷ミストを加熱して温ミスト化する加熱部4などを配置して構成してある。本体ケース1の上面は前面へ向かって下り傾斜させてあり、その下部にスイッチパネル5が配置してある。
【0013】
ミスト発生部2は、ミスト原液を収容する原液容器8と、原液容器8にミスト原液を補給するタンク9と、原液容器8の底面に配置した超音波振動子10などで構成する。原液容器8には、タンク9を装着するための補給口11と、後述する送給筒体20を装着するための装着口12が設けてあり、さらに容器の後面に加圧空気を導入するための空気入口13が開口してある。タンク9の下端には、原液容器8内の液位を一定にするための液位調整弁14が設けてあり、タンク9の上端には、補給口を開閉するキャップ15が装着してある。タンク9は、先に述べたスイッチパネル5を起立操作することにより、原液容器8から取外して本体ケース1の外へ取出すことができる。超音波振動子10は、円板状の圧電セラミックスを振動源とする市販品であって、高周波の交流電圧を印加することにより、原液容器8内のミスト原液を振動させて微細ミスト化する。超音波振動子10は、その上面が原液容器8の底面に開口した加振窓16に臨む状態でタンク底壁に固定してある。符号17は超音波振動子10の周囲をシールするシールゴムである。
【0014】
ミスト送給路3は、前後の分割筒体からなる送給筒体20で形成してあり、空気入口13から導入した加圧空気の流動作用で、超音波振動子10で生成した冷ミストをミスト送給路3に沿って搬送する。送給筒体20は、下端のミスト入口部21と上端のミスト出口部22と、上下方向中途部に設けた加熱チャンバー23を備えており、ミスト入口部21からミスト出口部22に至る空間全体がミスト送給路3として機能する。送給筒体20を原液容器8の装着口12に装着固定した状態において、ミスト入口部21は原液容器8の内部に位置して、超音波振動子10の真上の液面と正対しており、ミスト出口部22は本体ケース1の上面の傾斜壁の上部においてケース外面に露出している。つまり、ミスト入口部21は原液容器8の内部においてミスト発生部2に臨ませてある。
【0015】
ミスト入口部21は、加熱チャンバー23の下部に連続する入口通路24と、入口通路24からミスト発生部2へ向かって徐々に拡開するベルマウス状のミスト導入部25を備えており、ミスト導入部25の開口端がミスト発生部2の真上に位置している。また、ミスト出口部22は、加熱チャンバー23の上部に連続する出口通路26と、出口通路26に連続するベルマウス状のミスト放出部27を備えている。加熱チャンバー23の周囲壁は丸筒状に形成してあり、その内面の上下に堰止め体28の一群が設けてある。堰止め体28は、加熱チャンバー23を通過する冷ミストと後述する伝熱ブロック31の接触機会を増加するために設けてある。上記のように、ミスト入口部21にベルマウス状のミスト導入部25を形成すると、超音波振動子10で生成された冷ミストを加圧空気と共にミスト入口部21に確実に導入して、加熱チャンバー23へと送給することができる。従って、超音波振動子10で生成した冷ミストが、原液容器8内に充満して結露し流下するのを解消して、生成した冷ミストの全てを有効に活用できる。
【0016】
加熱部4には加熱体Kが配置してある。加熱体Kは、表面全体が防水被膜で覆ってある市販のPTCヒーター(電熱体)30と、PTCヒーター30を前後から挟む前後一対のアルミニウム製の伝熱ブロック31とを一体化したユニット体からなり、電熱体30の熱を伝熱ブロック31で放熱してミスト送給路3内の冷ミストを加熱し温ミスト化する。
図2に示すように、PTCヒーター30は、丸筒状の加熱チャンバー23の中央部分に配置してあり、その前後面に伝熱ブロック31が配置してある。伝熱ブロック31は、上下に隣接配置したPTCヒーター30に密着するベース壁32と、同壁32から加熱チャンバー23の内面壁へ向かって平行に突設される7個の伝熱リブ33とでヒートシンク状に構成してある。加圧空気で搬送された冷ミストは、伝熱リブ33の間の伝熱通路34を通過する間に加熱され温ミスト化される。
【0017】
先に述べた堰止め体28は、左右に隣接する伝熱リブ33と係合して伝熱通路34に突出しており、冷ミストの一部を上下の堰止め体28で堰止めることにより、冷ミストの流動方向を変え、さらに流動速度を低下させて伝熱リブ33との接触機会を増す。堰止め体28は、伝熱ブロック31を加熱チャンバー23に固定保持する保持突起を兼ねており、各堰止め体28が伝熱リブ33の間に係合して、加熱体Kを回止めして安定した状態で支持できる。なお、冷ミストは、伝熱リブ33およびPTCヒーター30の表面に接触するときの熱伝導作用で加熱されるのと同時に、伝熱リブ33およびPTCヒーター30から放射される輻射熱によっても加熱される。換言すると、冷ミストと加熱体Kの伝熱機会や接触時間に関して、冷ミストと加熱体Kが直接接触することによる伝熱作用はもちろんのこと、冷ミストと加熱体Kが直接接触しない輻射熱による伝熱作用によっても、伝熱機会や接触時間を増加できることとなる。上記のように、加熱部4は、電力により発熱する電熱体30と電熱体30の熱を放熱して冷ミストを加熱する伝熱ブロック31を有する加熱体Kと、冷ミストの一部を堰止めて、その流動方向を変える堰止め体28とで構成されている。
【0018】
本体ケース1の内部の送給筒体20の後側には、ミスト搬送用の空気流を生成する送風部37が設けてある。送風部37は、本体ケース1の外部空気を吸込んで加圧する送風ファン38と、送風ファン38を回転駆動するモーター39と、送風ファン38で加圧された空気流を流動案内する空気通路40などで構成する。空気通路40は、加圧された空気流を原液容器8へ向かって送給案内する第1通路41と、加圧された空気流を本体ケース1の外へ向かって送給案内する第2通路42とを備えており、両通路41・42の分岐部分に設けた風洞部43に送風ファン37が配置してある。第1通路41、第2通路42及び風洞部43は、2分岐する風洞ケース40Aで形成する。つまり空気通路40は、送風ファン38及びモーター39を収容する風洞ケース40Aにより形成されている。符号44は空気通路40の空気吸込口43aに設けられるフィルターである。第1通路41はエルボ45を介して空気入口13と連通しており、空気入口13から原液容器8内へ吹出された加圧空気は、超音波振動子10で生成された冷ミストを随伴して、ミスト入口部21からミスト送給路3内へと流動する。モーター39は、
図4に示す整流回路で整流した直流電流で回転駆動される。整流回路は、商用電源の交流電流を全波整流するダイオードブリッジ48と、モーター39と並列接続される雑音防止用のコンデンサー49と、モーター39の駆動電流の電圧を低下するドロッパー抵抗50など構成してある。整流前の交流電流は商用電源に接続した電源コードを介して本体ケース1内へ導入してあり、ドロッパー抵抗50で降圧したのちダイオードブリッジ48で整流される。ドロッパー抵抗50は、圧縮コイルばね状に形成した抵抗線のコイル体からなる。
【0019】
第2通路42は、風洞部43から本体ケース1の上面にわたって形成してあり、その上端に吹出しノズル53が設けてある。吹出しノズル53は、第2通路42の上端の球殻状のソケット55で傾動可能に軸支される球軸部56と、上拡がりテーパー状に形成されるノズル筒57を一体に備えており、ノズル筒57を傾動操作することにより、ノズル筒57の開口を第2通路42の中心軸の回りの任意方向へ指向できるようにしている。第2通路42の内部には先に述べたドロッパー抵抗50を配置して、第2通路42を通過する加圧空気でドロッパー抵抗50を冷却している。換言すると、第2通路42を通過する加圧空気を、ドロッパー抵抗50の熱で加熱して加圧空気の相対湿度を低下させた状態で、ドロッパー抵抗49より風下側の第2通路の内部に設けたイオン種発生部54に送給している。
【0020】
イオン種発生部54は、筒状に形成されるプラスチック製のホルダー60と、ホルダー60の内部中央に配置した針状の放電電極61と、ホルダー60の周囲に配置されるリング状の対向電極62と、両電極61・62の間の空間を絶縁する誘電筒63などで構成してある。放電電極61は高圧のパルス電流を供給する駆動回路(図示していない)に接続されており、対向電極62は駆動回路のグランドリードに接続されている。放電電極61と対向電極62との間にパルス電流が供給されると、コロナ放電によって放電電極61から電子が放出される。放出された電子は、空気中の酸素分子と結合してイオン種(負電荷あるいは正電荷を帯びた分子種)となる。このイオン種と水分子が結合したものがイオンであり、吹出しノズル53からはイオン種とイオンが放出される。吹出しノズル53の開口をミスト放出部27に向かって指向させておくと、ミスト放出部27から放出された温ミストまたは冷ミストにイオン種を接触させて、各ミストをマイナス電位あるいはプラス電位に帯電させることができる。
【0021】
第1通路41と第2通路42の関係において、第2通路42の通路断面積よりも第1通路41の通路断面積の方を大きく設定している。これによりイオン種発生部54側よりもミスト送給路3側により多くの空気を送給することができ、低温度のミストの吹出し量を多くすることができる。ミスト送給路3に空気抵抗が大きい加熱部4を有していた場合にミストの吹出し量が極端に減少しないので上記構成は有用である。
【0022】
ミスト送給路3を構成するミスト入口部21と、ミスト出口部22と、加熱チャンバー23は、それぞれ次のように構成してある。
図5に示すように、加熱部4における加熱体Kの通気方向の長さHを、通気方向と直交する向きの加熱体Kの長さWより大きく設定している。このように、長さHを長さWより大きく設定することにより、加熱部4を通過する冷ミストと加熱体Kとの接触時間を長引かせて伝熱リブ33で直接あるいは間接的に加熱して、温度むらのない状態の温ミストを生成することができる。つまり、長さHが大きく設定してある分だけ、冷ミストとPTCヒーター30および伝熱ブロック31の伝熱機会を増加して、均一な温度の温ミストを生成できる。また、PTCヒーター30を熱源とするので、ヒーター温度が必要以上に上昇することがなく、温ミストが顔肌等に適用されることを考慮すると、安全性に優れている点で有利である。
【0023】
図2に示すように、加熱チャンバー23においてPTCヒーター30および伝熱ブロック31が占める仮想空間の断面積S1(
図2の2点鎖線)が、加熱チャンバー23の断面積S(
図2の1点鎖線)の半分以上を占めるようにして、加熱部4を通過する冷ミストと伝熱ブロック31の接触機会を増やしている。この実施例では、PTCヒーター30および伝熱ブロック31が占める仮想空間の大きさが、加熱チャンバー23の断面積Sより僅かに小さくなるようにして、熱容量が大きな伝熱ブロック31による冷ミストの加熱を効果的に行えるようにした。なお、PTCヒーター30および伝熱ブロック31が占める仮想空間とは、PTCヒーター30が占める空間と、伝熱ブロック31が占めるD字状の空間の和を意味している。
【0024】
ミスト入口部21と加熱チャンバー23の関係構造に関しては、ミスト入口部21における入口通路24の直径寸法D2を、加熱チャンバー23の内面の直径寸法D1より小さくして、入口通路24の断面積S2を、加熱チャンバー23の断面積Sより小さく設定した。このように、不等式(S2<S)を満足するように入口通路24を形成することにより、ミスト入口部21から加熱チャンバー23へ流動してきた空気流および冷ミストの流動速度を大きく低下させて、加熱チャンバー23における滞留時間を長引かせることができる。また、加熱チャンバー23へ流動してきた空気流および冷ミストを、伝熱リブ33の先端に比べて温度が高いベース壁32に沿って流動させることができる。従って、PTCヒーター30および伝熱ブロック31による冷ミストおよび空気流の加熱を効果的に行えるうえ、温度むらのない状態の温ミストを生成できる。
【0025】
ミスト出口部22とミスト入口部21の関係構造に関しては、ミスト出口部22における出口通路26の直径寸法D3を、ミスト入口部21における入口通路24の直径寸法D2より大きく設定して、出口通路26の断面積S3を、入口通路24の断面積S2より大きく設定した。このように、不等式(S2<S3)を満足するように出口通路26を形成することにより、加熱チャンバー23で加熱された直後の温ミストの流動速度を、入口通路24を通過する冷ミストの流動速度より低下させて、ミスト放出部27から放出された温ミストが顔肌等に勢いよく吹付けられるのを解消し、ユーザーが熱い思いをしないですむようにしている。
【0026】
入口通路24の断面積S2と、出口通路26の断面積S3と、加熱チャンバー23の断面積Sの関係は、不等式(S2<S3<S)を満足するように形成してある。このように、出口通路26の断面積S3を、入口通路24の断面積S2より大きくしながら、加熱チャンバー23の断面積Sより小さくすると、ミスト出口部22における温ミストの流動速度を、加熱チャンバー23における冷ミストあるいは温ミストの流動速度より大きくして、温ミストがミスト出口部22の内面に付着して結露するのを防止できる。
【0027】
上記のように構成したミスト発生装置は、冷ミストモードと、温ミストモードと、温冷交互モードのいずれかひとつの運転モード作動させることができ、そのために、スイッチパネル5に電源スイッチ66と、冷ミストスイッチ67と、温ミストスイッチ68と、温冷ミストスイッチ69を設けている。以下に、ミスト発生部2と、加熱部4と、送風部37と、イオン種発生部54の作動状況を、個々の運転モードごとに説明する。
【0028】
(冷ミストモード)
電源スイッチ66をオン操作したのち、冷ミストスイッチ67をオン操作して冷ミストモードを選択すると、
図6に示すようにイオン種発生部54が作動して吹出しノズル53へ向かってイオン種の放出を開始する。また、イオン種発生部54の作動と同時にミスト発生部2が作動し、原液容器8内のミスト原液に超音波振動子10の振動を作用させて冷ミストを生成する。さらに、超音波振動子10が作動して一定時間(0.5秒)が経過すると送風部37が起動して、加圧空気を原液容器8内へ送給し、同時に第2通路42内へ送給する。このときの送風ファン38はモーター39の出力Hiにより高速度(Hi状態)で回転駆動されて、温ミストモード時に比べて大量の加圧空気を原液容器8と第2通路42へ送給する。
【0029】
原液容器8内で生成された冷ミストは、流動する加圧空気で搬送されて、ミスト導入部25および入口通路24を通過して加熱チャンバー23内へ流動し、冷ミストの状態のままで加熱チャンバー23を流動して、ミスト出口部22のミスト放出部27からケース外へ放出される。放出された冷ミストの霧状塊に顔肌を晒すことにより、顔肌に湿り気を与えて潤いを増すことができる。また、入浴直後の顔肌を冷ミストで冷却することにより、顔肌の火照りを抑えながら、潤いを与えることができる。このとき、第2通路42にドロッパー抵抗50を配置して、同抵抗50を冷却したのちの加熱空気を室内へ放出するので、第1通路41からミスト発生部2へ送給される加圧空気がドロッパー抵抗50の熱で加熱されるのを阻止できる。これにより、冷ミストがドロッパー抵抗50の熱で加熱される場合に比べて、より低い温度の冷ミストをミスト出口部22から放出して、肌面に対して冷熱刺激を効果的に作用させ、顔肌の火照りを抑えることができる。
【0030】
第2通路42側へ送給された加圧空気は、イオン種発生部54で生成されたイオン種と共に吹出しノズル53からケース外へ放出されて、空気中に含まれる水分子と結合してイオン化する。このとき、第2通路42に配置したドロッパー抵抗50の熱で加熱されたのちの、相対湿度が低い空気がイオン種発生部54へ送給されるので、放電電極61と対向電極62との間の放電に伴うイオン種の生成を活発化できる。吹出しノズル53の開口を、ミスト放出部27に向かって指向させておくと、ミスト放出部27から放出された冷ミストにイオン種を接触させて、冷ミストをマイナス電位またはプラス電位に帯電させることができ、帯電させた冷ミストを顔肌、首筋、および胸元などの肌面に供給できる。
【0031】
冷ミストスイッチ67がオン操作されたのち一定時間(10分)が経過すると、ミスト発生部2の作動を停止して冷ミストの生成を停止する。また、ミスト発生部2が停止したのち一定時間(60秒)が経過すると、イオン種発生部54と送風部37の作動が停止されて、イオン種の生成と加圧空気の送給を停止する。同時に加熱部4が一定時間(60秒)だけ作動して、PTCヒーター30の熱で伝熱ブロック31を加熱し、伝熱ブロック31や加熱チャンバー23の内面に付着している冷ミストや結露を蒸散させて、伝熱ブロック31や加熱チャンバー23を乾燥させる。この蒸散の際のPTCヒーター30の出力は、後述する温ミストモードにおける温ミスト生成状態の出力よりも低下させてミスト送給路3内の過熱状態を防止している。冷ミストスイッチ67がオン操作されてから、PTCヒーター30が作動を停止するまでの時間は12分であるが、その途中において
図6に破線で示すように冷ミストスイッチ67が再びオン操作された場合には、ミスト発生部2が作動を停止したのち、一定時間が経過してからイオン種発生部54と送風部37の作動を停止する。この場合にも、先に説明した時間間隔でミスト発生部2とイオン種発生部54と送風部37の作動を停止する。最後にPTCヒーター30を所定時間だけ低出力で作動させて乾燥処理を行う。上述のように、ミスト発生部2および送風ファン38の作動を停止したのち、加熱部4を一定時間作動させると、加熱部4の熱でミスト送給路3内のミストを蒸散させて乾燥を促進することができる。従って、ミスト送給路3内にミストが残留するのを解消して雑菌の繁殖を防止でき、ミスト発生装置を衛生的な状態で保管できる。また、ミスト発生部2と送風ファン38と加熱部4を、記載順に一定時間が経過するごとに作動停止させると、冷ミストの生成を停止したのち、送風ファン38で加圧空気を送給して、ミスト送給路3内を加熱された空気で予備乾燥できる。さらに、予備乾燥が終了したのちに加熱部4を作動させて、ミスト送給路3内に残留するミストを確実に蒸散させることができる。つまり、使用後の保管準備をミスト発生装置が自ら行うことができるので、ユーザーによる手入れの手間を軽減してミスト発生装置の使い勝手を向上できる。
【0032】
(温ミストモード)
電源スイッチ66をオン操作したのち、温ミストスイッチ68をオン操作して温ミストモードを選択すると、
図7に示すようにイオン種発生部54が作動して吹出しノズル53へ向かってイオン種の放出を開始し、同時に加熱部4のPTCヒーター30が作動して伝熱ブロック31を加熱する。イオン種発生部54と加熱部4が作動を開始してから、一定時間(5秒)が経過するとミスト発生部2が作動し、原液容器8内のミスト原液に超音波振動子10の振動を作用させて冷ミストを生成する。さらに、超音波振動子10が作動して一定時間(0.5秒)が経過すると送風部37が起動して、加圧空気を原液容器8内へ送給し、同時に第2通路42内へ送給する。このときのモーター39の出力がlowとなり、送風ファン38は低速度(Lo状態)で回転駆動されて、冷ミストモード時に比べて低圧で、より少ない量の加圧空気を原液容器8と第2通路42へ送給する。
【0033】
図7に示すように、温ミストスイッチ68のオン操作から送風部37の送風ファン38が作動するまでの加熱部4の予備加熱状態のときと、送風ファン38が作動してから同ファン38の作動が停止するまでの加熱部4の温ミスト生成状態のときのPTCヒーター30の出力は同じに設定している。これは、室温とほぼ同じ温度状態にある加熱部4を早期に温めて、温ミストを生成できる状態にするためである。より早く温ミストを生成できる状態にするため、予備加熱状態の出力を温ミスト生成状態のときの加熱部4の出力よりも高く設定することができる。また、送風ファン38が停止してからの蒸散時の加熱部4の出力は、予備加熱状態や温ミスト生成状態の加熱部4の出力よりも低下させている。これは、すでに高温状態にある加熱部4が送風ファン38を停止することによって過熱状態となり、それに伴いミスト送給路3など装置内部が過熱状態となるのを防止するためである。したがって装置内部が過熱状態となるのを避けながら加熱部4の熱でミスト送給路3内のミストや水分を蒸散させて乾燥を促進することができ、雑菌の繁殖を防止できる。
【0034】
上述のように本実施例では、イオン種発生部54と加熱部4を作動させてから所定時間が経った後に、ミスト発生部2を作動し、ミスト発生部2を作動させてから所定時間が経った後に、送風部37の送風ファン38を作動させているので、スイッチ操作されて温ミストモードで使用する際の使用当初、冷ミストが放出されて、ユーザーに不快感を与えてしまうのを確実に防止できる。また、加熱部4とミスト発生部2と送風ファン38を、記載順に一定時間が経過するごとに作動させると、加熱部4を十分な温度にまで加熱し、冷ミストの生成量が充分な量に達して始めて、加圧空気によって冷ミストをミスト送給路3へ搬送し、加熱部4で加熱できる。つまり、準備作業が全て整った状態で温ミストを的確に生成して、ミスト生成装置の使用開始から温ミストを放出できる。従って、ユーザーは温ミストの放出量や温度状態などをいちいち確認する必要がなく、温ミストが放出されるのと同時に肌面の処理などを行うことができる。本実施例では、イオン種発生部54と加熱部4を作動させてから所定時間が経った後に、ミスト発生部2を作動し、ミスト発生部2を作動させてから所定時間が経った後に、送風部37の送風ファン38を作動させているが、加熱部4を作動させてから所定時間が経った後に、イオン種発生部54、ミスト発生部2および送風ファン38の三者を同時に作動するよう制御させることもできる。この場合も、加熱部4が充分に加熱された後に、冷ミストをミスト送給路3に送給できるため、スイッチ操作されて温ミストモードで使用する際の使用当初、冷ミストが放出されて、ユーザーに不快感を与えてしまうのを確実に防止できる。
【0035】
原液容器8内で生成された冷ミストは、流動する加圧空気で搬送されて、ミスト導入部25および入口通路24を通過して加熱チャンバー23内へ流動する。加熱チャンバー23内に達した冷ミストは、熱容量の大きな伝熱ブロック31のベース壁32や伝熱リブ33と接触して熱伝導作用によって加熱され、さらに伝熱ブロック31の輻射熱によって加熱される。冷ミストの一部は、PTCヒーター30の熱で直接加熱される。さらに、冷ミストおよび加熱途中の温ミストは、上下の堰止め体28を迂回しながら流動する間に、ベース壁32や伝熱リブ33と接触して加熱される。従って、冷ミストは、加熱チャンバー23を通過する間に充分に加熱されて温ミスト化し、ミスト出口部22からケースの外へ放出される。このときの温ミストの温度は40〜45℃である。放出された温ミストの霧状塊に顔肌を晒すことにより、顔肌に湿り気を与えながら肌面の潤いを増すことができる。このとき、吹出しノズル53の開口を、ミスト放出部27に向かって指向させておくと、ミスト放出部27から放出された温ミストにイオン種を接触させて、温ミストをマイナス電位またはプラス電位に帯電させることができ、帯電させた温ミストを顔肌、首筋、および胸元などの肌面に供給できる。
【0036】
図7に示すように、温ミストモード時の送風部37のモーター39の出力はlowとなり、送風ファン38は低速度で回転駆動される。これにより、冷ミストの移動速度が温モード時に比べて低下することになり、加熱部4を通過する冷ミストの加熱部4への接触時間が長くなる。したがって冷ミストを満遍なく加熱でき、温ミストを温度むらのない状態で均一に生成できる。
【0037】
温ミストスイッチ68がオン操作されてから、PTCヒーター30が作動を停止するまでの時間は12分であるが、その途中において
図7に破線で示すように温ミストスイッチ68が再びオン操作された場合には、ミスト発生部2の作動停止と、イオン種発生部54および送風部37の作動停止とが、冷ミストモード時と同じ時間間隔で行われ、さらに一定時間が経過するまでの間PTCヒーター30を作動させて乾燥処理を行う。
【0038】
(温冷交互モード)
電源スイッチ66をオン操作したのち、温冷スイッチ69をオン操作して温冷交互モードを選択すると、
図8に示すようにイオン種発生部54が作動して吹出しノズル53へ向かってイオン種の放出を開始し、同時に加熱部4のPTCヒーター30が作動して伝熱ブロック31を加熱する。イオン種発生部54と加熱部4が作動を開始してから、一定時間(5秒)が経過するとミスト発生部2が作動し、原液容器8内のミスト原液に超音波振動子10の振動を作用させて冷ミストを生成する。さらに、超音波振動子10が作動して一定時間(0.5秒)が経過すると送風部37が起動して、加圧空気を原液容器8内へ送給し、同時に第2通路42内へ送給する。このときの送風ファン38は低速度(Lo状態)で回転駆動される。この状態では、冷ミストがPTCヒーター30および伝熱ブロック31で加熱されるので、加熱された温ミストがミスト出口部22からケースの外へ放出される。
【0039】
送風部37が起動して2分が経過すると、PTCヒーター30の作動が停止され、同時に送風ファン38を高速度(Hi状態)で回転駆動して、大量の加圧空気を原液容器8と第2通路42へ送給する。従って、ミスト出口部22から放出されるミストは冷ミストとなる。冷ミストの供給は、PTCヒーター30が作動を停止してから1分間連続して行われ、1分が経過すると、再びPTCヒーター30が作動して伝熱ブロック31を加熱し、同時に送風ファン38を低速度(Lo状態)で回転駆動して、温ミストを生成しミスト出口部22から放出する。以後、温ミストの生成を2分、冷ミストの生成を1分ずつ交互に行って、温ミストの生成が4回目に達した時点で、ミスト発生部2の作動停止と、イオン種発生部54および送風部37の作動停止とを、冷ミストモード時と同じ時間間隔で行う。さらに、最後の温ミスト生成に連続して、PTCヒーター30を作動させた状態のままにして、伝熱ブロック31や加熱チャンバー23の乾燥処理を行って、合計12分間の温冷交互モードを終了する。このように、温冷交互モードにおいては、PTCヒーター30の通電状態を所定の時間間隔でオン・オフし、さらに送風ファン38の回転速度を所定の時間間隔で増減して、温ミストと冷ミストを交互に供給する。なお必要があれば、冷ミストの生成を最初に行ってもよい。
【0040】
以上のように構成した、ミスト発生装置によれば、加熱チャンバー23に設けたPTCヒーター30を熱源にして、熱容量が大きな伝熱ブロック31で冷ミストと加圧空気の混合気を加熱するので、常温の冷ミストはもちろん、充分に加温された温ミストを確実に生成できる。また、加圧空気を冷ミストの搬送媒体にして、これら両者が加熱チャンバー23を通過する間に、PTCヒーター30および伝熱ブロック31で冷ミストと加圧空気の混合気を強制的に加熱するので、従来装置とは異なり、均一な温度状態の温ミストを生成し放出できる。
【0041】
また、冷ミストの生成時と温ミストの生成時のいずれの場合にも、ミスト発生部2とミスト送給路3を共通して使用し、温ミストの生成時に限ってミスト送給路3に設けた加熱部4を作動させるので、従来装置に比べて、ミスト発生装置の全体構造を簡素化してその製造コストを削減できる。温ミストは煮沸方式、つまりミスト原液を電熱で加熱して生成することができるが、その場合には、突沸現象によって湯玉や煮沸飛沫が生成され、水蒸気圧で煮沸飛沫がミスト放出部から放出されるおそれがあり安全上問題がある。また、ミスト原液が充分に加熱されて水蒸気が生成されるまでに長い時間を要するため、ミスト発生までのレスポンスが遅い傾向がある。しかし、超音波振動子10で冷ミストを生成する場合には、超音波振動子10が作動すると短時間のうちに冷ミストを生成し、さらに熱容量が小さな冷ミストを、熱容量が大きく熱伝導性に優れたアルミニウム製の伝熱ブロック31で加熱するので、温ミストを迅速にレスポンスよく生成できる。冷ミストの生成時に、湯玉や煮沸飛沫が生成されることもないので、ミスト原液を電熱で加熱して温ミストを生成する場合に比べて、安全性を格段に向上できる。
【0042】
PTCヒーター30の出力を調整することにより、冷ミストを加熱するときの熱量を加減できるので、温ミストの温度を必要に応じて自由に変更することができる。また、超音波振動子10の出力状態を変更することにより、冷ミストの生成量を変更することができる。さらに、超音波振動子10や遠心霧化方式で生成した冷ミストの粒径は、煮沸方式で生成した温ミストの粒径より小さくて熱容量が小さいので、加熱部4による冷ミストの加熱を速やかに行って、温ミストを迅速に生成できる。PTCヒーター30、モーター39、および超音波振動子10などの電装品を作動させるには、30〜50Wの電力を出力できる電源部が必要になるが、電源部を外付構造としておくことにより、本体ケース1が肥大化するのを避けてコンパクト化できる。
【0043】
図1に示すように、水道水(ミスト原液)に陽極電極35と陰極電極36を浸漬させておき、両電極35・36に10〜20ボルトの電圧を印加すると、電気分解作用によって中性域の塩素系電解水(次亜塩素酸含有水)が生成される。このとき、次亜塩素酸は陽極電極35の側で生成されるため、同電極35の付近に濃度の濃い次亜塩素酸含有水が多く存在する。そこで、陽極電極35と陰極電極36を超音波振動子10の真上の左右に分離配置し、陽極電極35をミスト生成個所に近接配置することにより、濃度の濃い次亜塩素酸含有水をミスト化して、制菌効果の高いミストを生成できる。さらに具体的には、
図1に示すように陽極電極35と陰極電極36を、超音波振動子10の真上以外の位置であり、かつ、ミスト入口部21の軸方向(上下方向)の投影視においてミスト入口部25の内径に収まるように配設している。なお、
図1では、超音波振動子10の縁の部分の上方において陽極電極35および陰極電極36の一部がオーバーラップしているが、実際は、ミスト原液が盛り上がってミストを生成するミスト生成部が、超音波振動子10の縁の部分の上方には無いのでミスト生成において特に問題はない。また、得られた塩素系電解水は制菌作用があるので、タンク内の制菌が可能となる。さらに、塩素系電解水をミスト化して、ミスト放出部27から放出することにより、ミスト装置が設置された周辺空間の空気の制菌を行うことができる。
【0044】
図1〜
図8に係る実施例では、堰止め体28を加熱チャンバー23の内面からチャンバー中央へ向かって一体に突設して、堰止め体28が通気方向と直交する向きの板状体として形成されるようにした。しかし、堰止め体28は通気方向と直交している必要はなく、冷ミストを堰止めてその流動方向を変えられる構造であれば、大きな角度(例えば45度)で傾斜する構造であってもよい。つまり、板状の堰止め体28は通気方向と交差する向きに配設してあればよい。また、堰止め体28は加熱チャンバー23と一体に設ける必要はなく、別体の独立部品として形成してあってもよい。さらに、堰止め体28は伝熱リブ33と一体に形成してあってもよい。加熱チャンバー23の内壁寄りに堰止め体28が配置してあると、電熱体30から遠い部分を通過する冷ミストを、加熱チャンバー23の中央に配置した電熱体30へ向かって流動案内して、効果的に加熱することができる。
【0045】
上記の実施例では、加熱チャンバー23においてPTCヒーター30および伝熱ブロック31が占める仮想空間の断面積S1が、加熱チャンバー23の断面積Sより僅かに小さくなるようにしたがその必要はなく、断面積S1は断面積Sの2分の1以上であれば足りる。例えば
図9に示すように、PTCヒーター30の片面にのみ1個の伝熱ブロック31を配置する場合には、PTCヒーター30が占める空間と、伝熱ブロック31が占めるD字状の空間の合計の断面積S1(
図9の2点鎖線)が、加熱チャンバー23の断面積S(
図9の1点鎖線)の2分の1以上あればよい。
【0046】
また、
図10に示すように、先の実施例で説明したPTCヒーター30および伝熱ブロック31より、ひとまわり小さなPTCヒーター30および伝熱ブロック31で熱源を構成する場合には、伝熱ブロック31が占める2個のD字状の空間と、PTCヒーター30が占める仮想空間の断面積S1(
図10の2点鎖線)が、加熱チャンバー23の断面積S(
図10の1点鎖線)の2分の1以上あればよい。なお、PTCヒーター30および伝熱ブロック31が占める仮想空間の断面積S1が、加熱チャンバー23の断面積Sの半分未満であると、加熱チャンバー23を通過する冷ミストを充分に加熱するのが困難になる。また、温ミストの加熱温度を充分なものとするために、加熱チャンバー23の通風方向の長さを大きくすると、ミスト発生装置が大形化するのを避けられない。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0047】
図11および
図12は、加熱部のさらに別の実施例を示す。そこでは、2枚の絶縁板72を十文字状に組み、各絶縁板72に段違い状に形成した巻回溝73に沿って、電熱体30をらせん状に配置した。また、この実施例では、堰止め体28をらせん状に形成し、さらに交差する絶縁板72の中央部に円板状の堰止め体29を多段状に配置して、冷ミストと電熱体30の接触機会を向上できるようにした。この場合の電熱体30は、ヒーター線(ニクロム線)の外面に絶縁性のシリコン被膜を施して防水機能が付加してあるので、隣接するヒーターコイルがミストによって短絡することはない。この実施例において加熱部4に設けた加熱体Kは、十文字状に組んだ絶縁板72と、絶縁板72の周囲に巻付けた電熱体(ヒーター線)30とからなる。この実施例においては、加熱部4における加熱体Kの通気方向の長さHを、通気方向と直交する向きの加熱体Kの長さWより大きく設定するので、加熱チャンバー23を通過する冷ミストを電熱体30で加熱して、充分な温度状態の温ミストを確実に生成できる。また、加熱体Kが占める仮想空間の断面積S1(
図12の2点鎖線)は、加熱チャンバー23の断面積S(
図12の1点鎖線)とほぼ同じにした。上記のように、この実施例における加熱部4は、電力により発熱するヒーター線からなる電熱体30と電熱体30が巻装される絶縁板72とを有する加熱体Kと、冷ミストの一部を堰止めて、その流動方向を変える堰止め体28とで構成されている。
【0048】
図13は、ミスト発生部の別の実施例を示す。そこでは、超音波振動の代わりに遠心霧化構造を使用して、冷ミストを生成するようにした。遠心霧化構造は、ミスト原液に浸漬される円錐状の揚水体76と、揚水体76の上端に固定される回転基板77と、回転基板77の下面の径方向へ多重に配置してある一群の衝突壁78と、回転基板77を回転駆動するモーター79などで構成した。モーター79が起動すると、揚水体76と回転基板77が回転駆動され、ミスト原液が遠心力の作用で浸漬部から揚水体76の表面に沿って這い上がり、回転基板77の下面へと流動する。回転基板77に到達したミスト原液は、そこでも遠心力を受けて径方向へ跳ね飛ばされ、回転基板77の下面の衝突壁78に繰返し衝突して微細された冷ミストとなる。生成された冷ミストは、原液容器8内に送給された加圧空気で加熱チャンバー23へ搬送される。
【0049】
以上のように構成した遠心霧化構造によれば、モーター79の駆動回転数を大小に変更することで、揚水体76から回転基板77へ向かって流動するミスト原液の量を変化させて、生成できる冷ミスト量を増減できる。従って、例えば冷ミストモード時にはより大量の冷ミストを生成し、温ミストモード時には冷ミストの生成量を幾分抑えるように設定することができる。
【0050】
図14および
図15は、加熱部のさらに別の実施例を示す。そこでは、ペルチェ素子(熱電変換素子)で電熱体30を構成し、その前後面のそれぞれにアルミニウム製の伝熱ブロック31を固定して加熱体Kを構成した。一対の伝熱ブロック31のうち、片方の伝熱ブロック31は加熱チャンバー23内に収容し、他方の伝熱ブロック31は送給筒体20の外に露出してある。符号82は電熱体30用のホルダーであり、送給筒体20の筒壁に固定してある。
【0051】
温ミストを生成する場合には、電熱体30に駆動電流を供給して、その放熱面側に固定した伝熱ブロック31に伝導した熱で、加熱チャンバー23を通過する冷ミストを加熱し温ミスト化する。このとき、送給筒体20の外の吸熱面側の伝熱ブロック31は冷熱を放出する。また、冷ミスト生成する場合には、電熱体30に逆極性の駆動電流を供給して、加熱チャンバー23の側を吸熱面にして、吸熱面の冷熱を加熱チャンバー23内の伝熱ブロック31に伝導する。冷却された伝熱ブロック31は、加熱チャンバー23内の冷ミストを強制的に冷却して、室温以下の温度にすることができる。なお、冷ミストの温度を室温以下の温度にする必要がない場合には、電熱体30への通電を停止するとよい。
【0052】
この実施例においては、加熱体Kが占める仮想空間の断面積S1(
図15の2点鎖線)を、加熱チャンバー23の断面積S(
図15の1点鎖線)とほぼ同じにした。また、入口通路24の断面積S2と、出口通路26の断面積S3と、加熱チャンバー23の断面積Sは、等式(S2=S3=S)を満足するように形成した。なお、送給筒体20の外に配置した伝熱ブロック31は省略することができる。その場合には、電熱体30に通電した場合に、加熱チャンバー23内の伝熱ブロック31を加熱して温ミストを生成し、電熱体30への通電を停止した場合に冷ミストを送給できるようにする。
【0053】
上記の実施例以外に、送給筒体20は、断面円形の円筒状に形成する以外に、四角筒や楕円筒などで構成してあってもよい。ミスト導入部25はベルマウス構造である必要はなく、ミスト発生部2へ向かって拡開するテーパー筒状や漏斗状であってもよい。必要があれば、換気フード状に構成してあってもよく、要は冷ミストを入口通路24へ向かって集約し案内できる構造であればよい。伝熱ブロック31はヒートシンク状に形成する必要はなく、例えば丸筒の内部が蜂の巣状に形成してあるブロックで形成することができ、その場合には、丸筒の周面の複数個所にPTCヒーター30を配置し、あるいは丸筒の周面にヒーター線をらせん状に巻付けて加熱部4とすることができる。
図2で説明した伝熱リブ33は垂直に形成する以外に、スパイラル上に傾斜させることができる。その場合には、伝熱リブ33の表面積を増加して、冷ミストと加熱体Kの接触機会と接触時間をさらに増加することができる。
【0054】
上記実施例のミスト発生装置は以下の態様で実施することができる。
本体ケース1の内部に、ミスト原液をミスト化するミスト発生部2と、ミスト発生部2で生成した冷ミストを流動案内するミスト送給路3が設けられており、
ミスト送給路3は、ミスト発生部2と対向するミスト入口部21から、本体ケース1の外面に臨むミスト出口部22にわたって形成されており、
ミスト送給路3に、冷ミストを加熱する加熱部4が設けてあることを特徴とするミスト発生装置。
このように、ミスト送給路3に加熱部4を設けて、ミスト送給路3内の冷ミストを加熱部4で直接加熱するので、熱容量が小さな加熱空気で微細ミスト化された熱容量が大きなスチームを加熱する従来装置に比べて、冷ミストの加熱を確実に行って、温ミストを効果的に生成できる。従って、冷ミストと温ミストを、それぞれ効果的に生成できるミスト発生装置を提供できる。また、冷ミストの生成時と温ミストの生成時のいずれの場合にも、ミスト発生部2とミスト送給路3を共通して使用し、温ミストの生成時に限ってミスト送給路3に設けた加熱部4を作動させるので、スプレー装置とスチーム発生装置を個別に設ける必要があった従来装置に比べて、ミスト発生装置の全体構造を簡素化してその製造コストを削減できる。全体構造が簡素化される分だけミスト発生装置を小形化できる利点もある。
【0055】
上記態様において、
加熱部4が、電熱体30を含む加熱体Kを備えており、
ミスト送給路3には、加熱体Kを収容する加熱チャンバー23が設けられており、
加熱チャンバー23において加熱体Kが占める仮想空間の断面積S1が、加熱チャンバー23の断面積Sの半分以上を占めているミスト発生装置。
このように、電熱体30を含む加熱体Kを備える加熱部4によれば、ミスト送給路3内の冷ミストを短時間で加熱できる。また、加熱チャンバー23において、加熱体Kが占める仮想空間の断面積S1が、加熱チャンバー23の断面積Sの半分以上を占める構造とすることにより、冷ミストと加熱体Kとの伝熱機会をさらに拡大して、温ミストを温度むらのない状態で均一に生成できる。
【0056】
上記態様において、
加熱部4における加熱体Kの通気方向の長さHが、前記通気方向と直交する向きの加熱体Kの長さWより大きく設定してあるミスト発生装置。
このように、加熱体Kの通気方向の長さHを、通気方向と直交する向きの加熱体Kの長さWより大きく設定すると、長さHが大きく設定してある分だけ、加熱部4を通過する冷ミストと加熱体Kとの接触時間を長引かせて、冷ミストと加熱体Kの伝熱機会を増加でき、均一な温度の温ミストをさらに確実に生成できる。
【0057】
上記態様において、
加熱チャンバー23の内面に、冷ミストの流動方向を変える堰止め体28が設けられており、
加熱チャンバー23を通過する冷ミストを堰止め体28で受止めて、冷ミストと加熱体Kの接触機会を増加しているミスト発生装置。
このように、加熱チャンバー23の内面に冷ミストの流動方向を変える堰止め体28を設けると、加熱体Kを通過する冷ミストの一部を堰止め体28で堰止めて、冷ミストおよび加熱途中の温ミストの流動方向を変え、さらに流動速度を低下させて加熱体Kとの伝熱機会を増やすことができる。従って、加熱部4を通過する冷ミストの加熱をさらに確実に行って、温度むらのない状態の温ミストを的確に生成できる。
【0058】
上記態様において、
ミスト送給路3のミスト入口部21における入口通路24の断面積S2が、加熱チャンバー23の断面積Sより小さく設定してあるミスト発生装置。
このように、入口通路24の断面積S2を、加熱チャンバー23の断面積Sより小さく設定すると、入口通路24から加熱チャンバー23へ流動してきた空気流および冷ミストの流動速度を大きく低下させることができる。また、加熱チャンバー23へ流動してきた空気流および冷ミストを、加熱体Kの中央寄りに沿って流動させて、加熱体Kによる冷ミストおよび空気流の加熱を効果的に行えるうえ、温度むらのない状態の温ミストを生成できる。
【0059】
上記態様において、
ミスト送給路3のミスト出口部22における出口通路22の断面積S3が、ミスト入口部21における入口通路24の断面積S2より大きく設定してあるミスト発生装置。
このように、ミスト出口部22の出口通路22の断面積S3を、ミスト入口部21における入口通路24の断面積S2より大きく設定すると、加熱チャンバー23で加熱された直後の温ミストの流動速度を、入口通路24を通過する冷ミストの流動速度より低下させることができる。従って、ミスト出口部22から放出された温ミストの空気中における貫通度を緩和して、ミスト出口部22から放出された温ミストが顔肌等に勢いよく吹付けられるのを解消でき、放出された温ミストに触れたユーザーが熱い思いをするのを解消できる。
【0060】
上記態様において、
ミスト入口部21における入口通路24の断面積S2と、ミスト出口部22における出口通路26の断面積S3と、加熱チャンバー23の断面積Sの3者が、不等式(S2<S3<S)を満足するように設定してあるミスト発生装置。
このように、入口通路24の断面積S2と、出口通路26の断面積S3と、加熱チャンバー23の断面積Sの3者の関係は、不等式(S2<S3<S)を満足するように設定すると、ミスト出口部22における温ミストの流動速度を、ミスト入口部21の流動速度より小さくしながら、加熱チャンバー23における冷ミストあるいは温ミストの流動速度より大きくして、温ミストがミスト出口部22の内面に付着して結露するのを防止できる。従って、加熱チャンバー23において生成した温ミストの殆どを、本体ケース1の外へ有効に放出できる。
【0061】
上記態様において、
ミスト入口部21に、入口通路24からミスト発生部2へ向かって徐々に拡開するミスト導入部25が形成してあるミスト発生装置。
このように、ミスト入口部21に拡開状のミスト導入部25を形成すると、ミスト発生部2で生成した冷ミストを、ミスト導入部25で流動案内し集約したのち、ミスト導入部25に連続する入口通路24から加熱チャンバー23へと送給することができる。このとき、入口通路24を通過した冷ミストは、加熱体Kの中央寄りに向かって流動するので、加熱チャンバー23における冷ミストの加熱をさらに的確に行える。
【0062】
上記実施例では、冷ミストモード時の風量と温ミストモード時の風量を異ならせるのに、送風ファン38の回転速度を可変することにより行ったが、これに限らず、送給筒体20もしくは風洞ケース40Aに、通路面積を調整できるバルブとバルブを駆動するモーター等の駆動部とを設け、温ミストモード時は、通路面積を絞り、冷ミストモード時は、通路面積を拡大して、冷ミストモード時の風量と温ミストモード時の風量を大小異ならせることができる。なお、この実施例では、温ミストモード時と冷ミストモード時の送風ファン38の回転速度は同じに設定する。
【0063】
冷ミストは常温のものに限らず、加温された温ミストよりも低くければ、冷ミストの概念に含むものとする。例えば、体感的に温かくても冷ミストに含まれる。つまり加熱部4の電熱源30を完全にオフせず制限して温ミストよりも低い温度に温められた冷ミストも冷ミストの概念に含むものとする。また、加熱部4の電熱源30を完全にオフしたうえで、別途、ミスト送給路3内に設けられたペルチェ素子(熱電変換素子)により、常温より低い温度まで冷やした冷ミストも冷ミストの概念に含むものとする。
【0064】
上記実施例では、ミスト送給路3を、前後の分割筒体からなる送給筒体20で形成し、送給筒体20の後側の空気通路40は、送風ファン38及びモーター39を収容する風洞ケース40Aで形成されるが、送給筒体20及び風洞ケース40Aを一体で形成した連続筒状の送給体で構成することができる。この連続筒状の送給体の内部に、加熱部4、ミスト発生部2、モーター39及び送風ファン38をミスト出口部22から外気取り入れ部(風洞部43)にかけて記載順に配置した形態を採用することもできる。この場合、ミスト発生部2は、超音波素子とタンクをユニット化し、これを送給体の側部から着脱可能に装着するものとする。