【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうしたデバイスを使ったり、試験する際に、特別な注意を払う必要があるものとして、これらデバイスのそれぞれに共通する1つが、利得である。当業者には周知のように、利得を有するデバイスでは、利得が1より大きくて、その出力が入力に位相ゼロで戻る結合が許されていると、発振する可能性が残る。これら高速増幅回路が意図するアプリケーションで使われる場合、その出力が遅延して位相が揃って入力に結合されることないように注意しなければならない。更に、非常に高速な増幅回路の場合、これらデバイスの入力ラインと出力ラインで反射を起こさないように適切に終端するよう更なる注意をしなければならない。増幅回路の出力端子からの反射は、増幅回路の入力端子に結合されることがあり、これは、増幅回路の発振の原因となる。この場合、増幅回路の出力端子から増幅回路の入力端子までのエネルギーが、反射によって結合されることがあり、上述のようなゼロ位相状態を発生させる。
【0007】
トランジスタや増幅回路のような上述の高速デイバスは、典型的には、長いバナナ・ケーブル又は3軸ケーブルを用いてSMUに接続されていた。それぞれの場合において、長いケーブル(伝送ライン)は、適切に終端されていないし、望まない発振を防ぐような正しいRFインピーダンスを有してもいない。結果として、多くの高速デバイスは、上述したようなやり方で基本的なI/V測定を行おうとすると、発振してしまうことになった。
【0008】
これら3軸ケーブル(Triaxial Cable)は、トリアックス・ケーブル(Triax Cable)とも呼ばれ、同軸ケーブル(coaxial Cable、略してCoax(コアックス)))に類似する形式の電気ケーブルであるが、絶縁及び第2導電性鎧装から構成される追加のレイヤ(層)を加えたものである。このため、3軸ケーブルは、同軸ケーブルよりも、更に広い帯域幅を提供すると共に、干渉を更に防止できるようになっている。理想的には、3軸ケーブルは、中心導体から外側シェルまでのインピーダンスが約100オームとなる。
【0009】
こうした望まない発振を低減する従来周知の方法及びシステムでは、SMUに接続する場合のHi(ハイ)端子及びSense Hi(センス・ハイ)入力端子について「ガード」する役割を3軸ケーブルの内部シールドに求めていた。このガード周波数は、SMUのループが閉じる(loop closure)よりも遙かに下でロールオフして、上述した望まない条件が原因でSMUが発振するのを防ぐもので、これは、「ガード・リング発振回路」と呼ばれる。上述の分割ガード(split guard)は、ケーブル・ガードを抵抗でドライブすることによって実現されている。この抵抗性ガードは、このガードが高周波数では自由に変動できるようになる周波数でロールオフする。結果として、3軸ケーブル中のこの内部シールド(つまり「ガード導体」)は、ガード・ロール・オフ周波数よりも十分に上の全周波数に関しては、3軸ケーブルの内部及び外側シールド間におけるその位置に応じて適切なRF電圧を帯びることとなる。
【0010】
こうしたことから、高速RFデバイスを試験するのに適し、望まない発振を低減又は除去するための改良が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態は、大まかに言えば、RF試験システムを含み、これによると、DC測定経路が、適切に終端されたRF経路のようにも動作する。この目的を実現するため、Hi、LO及びSense Hi導体の出力信号が周波数に応じて選択的に終端されるが、この終端がSMUのDC測定に影響しないようにする。反射を除去するよう適切に終端するのに加えて、SMUの全ての入力/出力インピーダンが制御されれば、装置と装置の間(高速デバイスのゲートとドレインや、入力端子と出力端子とで、別々の装置が利用される)で高いアイソレーションが維持されている限り、高速デバイスは、デバイス試験中に発振することはない。
【0012】
本発明の概念1は、被試験デバイス(DUT)を試験する方法であって、
少なくとも中心信号導体、外側シールド、中間導体及びグラウンド端子をそれぞれ有する3つの3軸ケーブルの第1セットに、少なくとも3つの試験ポイントを含む第1ソース・メジャーメント・ユニット(SMU)を、3つの上記試験ポイントのそれぞれが3つの上記3軸ケーブルの上記第1セットそれぞれの上記中心信号導体の第1端部に接続されると共に上記3軸ケーブルの上記第1セットそれぞれの上記外側シールドが上記グラウンド端子と一緒に互いに接続されるようにして、接続する処理と、
上記3軸ケーブルの上記第1セットそれぞれの第2端部を上記被試験デバイスの複数ノードのセットに接続する処理と、
少なくとも中心信号導体、外側シールド、中間導体及びグラウンド端子をそれぞれ有する3つの3軸ケーブルの第2セットに、少なくとも3つの試験ポイントを含む第2SMUを、3つの上記試験ポイントのそれぞれが3つの上記3軸ケーブルの上記第2セットそれぞれの上記中心信号導体の第1端部に接続されると共に上記3軸ケーブルの上記第2セットそれぞれの上記外側シールドが上記グラウンド端子と一緒に互いに接続されるようにして、接続する処理と、
上記3軸ケーブルの上記第2セットの第2端部を上記被試験デバイスの上記複数ノードのセットに接続する処理とを具え、
上記3軸ケーブルの上記第1及び上記第2セットの両方の上記外側シールドが互いに電気的に接続されると共に、それぞれの上記グラウンド端子に電気的に接続されることを特徴としている。
【0013】
本発明の概念2は、上記概念1の方法であって、このとき、上記第1及び第2SMUのそれぞれは、筐体(chassis:シャーシ)グラウンド端子を含み、上記3軸ケーブルの上記第1及び第2セットそれぞれの上記外側シールドが上記筐体グラウンド端子に電気的に結合されることを特徴としている。
【0014】
本発明の概念3は、上記概念1の方法であって、このとき、上記第1及び第2SMUのそれぞれが、
上記第1試験ポイントに電気的に結合される第1入力端子と、
上記第2試験ポイントに電気的に結合される第2入力端子と、
上記第1入力端子、上記第2入力端子及び上記第3試験ポイントと電気的に結合される第3入力端子とを更に含み、
上記第1入力端子は、
上記第1入力端子と直列に電気的に結合される第1終端抵抗器と、
上記第1終端抵抗器と直列に電気的に結合される第1及び第2ガード・コンデサと、
上記第1ガード・コンデサ及び上記第2ガード・コンデンサと電気的に結合される第1ガード抵抗器と、
上記グラウンド端子のそれぞれに電気的に結合される接地コンデンサとを有し、
上記第2入力端子は、
上記第2入力端子と直列に電気的に結合される第2終端抵抗器と、
上記第2終端抵抗器と直列に電気的に結合される第3及び第4ガード・コンデサと、
上記第3ガード・コンデサ及び上記第4ガード・コンデンサと電気的に結合される第2ガード抵抗器とを有し、
上記第3入力端子は、上記接地コンデンサと上記グラウンド端子のそれぞれに電気的に結合されることを特徴としている。
【0015】
本発明の概念4は、上記概念3の方法であって、このとき、上記第1入力端子は、Hi入力信号を受けるように構成されることを特徴としている。
【0016】
本発明の概念5は、上記概念3の方法であって、このとき、上記第2入力端子は、Sense Hi入力信号を受けるように構成されることを特徴としている。
【0017】
本発明の概念6は、上記概念3の方法であって、このとき、上記第3入力端子は、Lo入力信号を受けるように構成されることを特徴としている。
【0018】
本発明の概念7は、上記概念1の方法であって、このとき、上記DUTは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、演算増幅回路(オペアンプ)又は3端子ディスクリート・デバイスであることを特徴としている。
【0019】
本発明の概念8は、上記概念1の方法であって、このとき、上記DUTは、上記3軸ケーブルの上記第1及び第2セットにエミット接地で電気的に結合されることを特徴としている。
【0020】
本発明の概念9は、上記概念1の方法であって、このとき、上記DUTは、上記3軸ケーブルの上記第1及び第2セットにベース接地で電気的に結合されることを特徴としている。
【0021】
本発明の概念10は、上記概念1の方法であって、このとき、上記DUTは、上記3軸ケーブルの上記第1及び第2セットにコレクタ接地で電気的に結合されることを特徴としている。
【0022】
本発明の概念11は、上記概念1の方法であって、このとき、上記第1及び第2SMUのそれぞれは、第1試験ポイントに電気的に結合されると共に第1終端抵抗器に電気的に結合される第1入力端子とを有し、上記第1及び第2SMUそれぞれの上記第1終端抵抗器は、すくなくとも50オームの抵抗値を有している。
【0023】
本発明の概念12は、上記概念1の方法であって、このとき、上記3軸ケーブルの上記第1及び第2セットは、少なくとも100オームのインピーダンスを有することを特徴としている。
【0024】
本発明の概念13は、上記概念1の方法であって、このとき、上記第1及び第2SMUのそれぞれは、上記3軸ケーブルの第1及び第2セット中の第1及び第2の上記3軸ケーブルの上記中間導体にそれぞれ電気的に結合される第3ガード抵抗器を更に含むことを特徴としている。これは、別の見方によれば、本発明の概念13は、上記概念3の方法であって、上記第1及び第2SMUのそれぞれが、上記第1及び第2入力端子がそれぞれ結合される上記中心信号導体を有する上記3軸ケーブルそれぞれの上記中間導体に電気的に結合された第3ガード抵抗器を更に含むことを特徴としている。
【0025】
本発明の概念14は、被試験デバイス(DUT)を試験するシステムであって、
少なくとも3つの試験ポイントを含む第1ソース・メジャーメント・ユニット(SMU)であって、少なくとも中心信号導体、外側シールド、中間導体及びグラウンド端子をそれぞれ有する3つの3軸ケーブルの第1セットに、3つの上記試験ポイントのそれぞれが3つの上記3軸ケーブルの上記第1セットそれぞれの上記中心信号導体の第1端部に接続されると共に上記3軸ケーブルの上記第1セットそれぞれの上記外側シールドが上記グラウンド端子と一緒に互いに接続されるようにして、接続される上記第1SMUと、
上記3軸ケーブルの上記第1セットそれぞれの第2端部と、上記DUTとに接続される複数ノードのセットと、
少なくとも3つの試験ポイントを含む第2SMUであって、少なくとも中心信号導体、外側シールド、中間導体及びグラウンド端子をそれぞれ有する3つの3軸ケーブルの第2セットに、3つの上記試験ポイントのそれぞれが3つの上記3軸ケーブルの上記第2セットそれぞれの上記中心信号導体の第1端部に接続されると共に上記3軸ケーブルの上記第2セットそれぞれの上記外側シールドが上記グラウンド端子と一緒に互いに接続されるようにして、接続される上記第2SMUと、
上記複数ノードのセットと上記DUTに接続される上記3軸ケーブルの上記第2セットそれぞれの第2端部と
を具え、
上記3軸ケーブルの上記第1及び第2セットの両方の上記外側シールドは、それぞれの上記第1及び第2グラウンド端子に電気的に結合されることを特徴としている。
【0026】
本発明の概念15は、上記概念14のシステムであって、このとき、上記第1及び第2SMUのそれぞれは、上記3軸ケーブルの上記第1及び第2セットそれぞれの上記外側シールドに電気的に結合される筐体グラウンド端子を含んでいる。
【0027】
本発明の概念16は、上記概念14のシステムであって、このとき、上記DUTは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、演算増幅回路(オペアンプ)又は3端子ディスクリート・デバイスであることを特徴としている。
【0028】
本発明の上述その他の目的、特徴、効果は、以下の詳細な説明を図面と共に読み進めることによって、更に明確になるであろう。