(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸方向において、前記周縁部の前記他方側の端部は、前記円筒部の前記他方側の端部と同じ位置、または、前記円筒部の前記他方側の端部より前記一方側の位置に設けられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の電動オイルポンプ用モータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプ用モータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0012】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示し、Z軸方向を
図1に示すシャフト31の軸方向とし、X軸方向を
図1に示すインバータハウジング60のコネクタ部60bの延びる方向、すなわち、
図1の左右方向とし、Y軸方向をX軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)をリア側(他方側)とし、Z軸方向の負の側(−Z側)をフロント側(一方側)とする。また、シャフト31の軸周りをθ
Z方向とする。また、特に断りのない限り、以下の説明において軸方向とは、シャフト31の軸方向を意味するものとする。また、特に断りのない限り、以下の説明において径方向とは、シャフト31の径方向を意味するものとする。
【0013】
<第1実施形態>
図1から
図3は、本実施形態の電動オイルポンプ用モータ10を示す図である。
図1は、断面図である。
図2は、
図1における部分拡大断面図である。
図3は、斜視図である。
図3においては、モータハウジング20等、一部の部品の図示を省略している。
【0014】
本実施形態の電動オイルポンプ用モータ10は、ブラシレスモータである。電動オイルポンプ用モータ10は、
図1に示すように、モータハウジング20と、軸受ブラケット40と、シャフト(回転軸)31と、シャフト31に支持されたロータ30と、ステータ34と、フロントベアリング(第1の軸受部材)39aと、リアベアリング(第2の軸受部材)39bと、バスバー部材50と、インバータハウジング(支持部材)60と、制御装置70と、蓋部90と、を備える。
【0015】
ロータ30とステータ34とフロントベアリング39aとは、モータハウジング20内に収容されている。モータハウジング20は、リア側(+Z側)に開口しており、モータハウジング20の開口部25には、軸受ブラケット40が嵌合されている。リアベアリング39bは、軸受ブラケット40に保持されている。シャフト31は、フロントベアリング39aとリアベアリング39bとによって軸方向(Z軸方向)の両側を支持されている。
【0016】
モータハウジング20のリア側、すなわち、開口部25側には、インバータハウジング60を介して、蓋部90が固定されている。蓋部90とインバータハウジング60と軸受ブラケット40とで囲まれた領域には、バスバー部材50と制御装置70とが収容されている。以下、各部品について詳細に説明する。
【0017】
[モータハウジング]
モータハウジング20は、ロータ30とステータ34とフロントベアリング39aとを内側に収容する。モータハウジング20は、円筒部21と、フロントベアリング保持部(第1突起部)22と、フランジ部23と、を備える。本実施形態において、モータハウジング20は、例えば、鋼板をプレス成形したものである。
【0018】
なお、本明細書において、モータハウジング20にロータ30とステータ34とフロントベアリング39aとが収容される、とは、モータハウジング20の内側にロータ30の全体とステータ34の全体とフロントベアリング39aの全体とが位置する場合のみを含むものではなく、ロータ30とステータ34とフロントベアリング39aとのうちの一部がモータハウジング20の外側に位置する場合も含む。
【0019】
円筒部21は、リア側(+Z側)に開口する有底の円筒である。円筒部21は、フロント側(−Z側)に設けられた円形の底部24を有する。底部24は、中央に貫通孔24aを有する。円筒部21の内側には、ステータ34が保持されている。
【0020】
フロントベアリング保持部22は、底部24の貫通孔24aの周縁からフロント側(−Z側)に突出している。言い換えると、フロントベアリング保持部22は、底部24の中央からフロント側に突出している。フロントベアリング保持部22は、円筒部21と同心の円筒である。フロントベアリング保持部22のリア側(+Z側)は、円筒部21の内側に開口している。フロントベアリング保持部22の径方向内側には、フロントベアリング39aが保持される。フロントベアリング保持部22は、フロント側(−Z側)に円形の底板部22aを有する。底板部22aは、中央に出力軸孔22bを有する。
【0021】
フランジ部23は、円筒部21のリア側(+Z側)の端部から径方向外側に延びている。フランジ部23は、モータハウジング20と蓋部90とを固定するための雄ネジ66が挿入される貫通孔23aを有する。図示は省略するが、貫通孔23aは複数設けられている。
【0022】
なお、本明細書において、径方向外側、または径方向内側に延びるとは、厳密に径方向に延びる場合のみを含むものではなく、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0023】
[軸受ブラケット]
軸受ブラケット40は、リアベアリング39bを保持する部材である。軸受ブラケット40は、モータハウジング20における円筒部21の開口部25に圧入されている。言い換えると、軸受ブラケット40は、モータハウジング20に嵌合されている。軸受ブラケット40は、ステータ34のリア側(+Z側)に位置する。軸受ブラケット40は、本実施形態においては、例えば、鋼板をプレス成形したものである。
【0024】
本実施形態においては、軸受ブラケット40全体は、モータハウジング20におけるフランジ部23の径方向内側に位置している。軸受ブラケット40は、円環部41と、リアベアリング保持部(第2突起部)42と、周縁部43と、を備える。また、軸受ブラケット40は、
図3に示すように、複数の押し当て部(接触部)として、押し当て部(接触部)44aと、押し当て部(接触部)44bと、を備える。
【0025】
円環部41は、
図1に示すように、モータハウジング20の円筒部21と同心である。円環部41には、貫通孔41bが設けられている。図示は省略するが、本実施形態においては、貫通孔41bは、周方向に等間隔に3つ設けられている。
【0026】
リアベアリング保持部42は、円環部41の内周縁41cからリア側(+Z側)に突出している。言い換えると、リアベアリング保持部42は、円環部41の中央からリア側に突出する。リアベアリング保持部42は、フロントベアリング保持部22と同心の円筒である。リアベアリング保持部42のフロント側(−Z側)は、円環部41のフロント側のフロント面41aに開口している。リアベアリング保持部42は、リア側に円形の天板部42aを有する。天板部42aは、中央に貫通孔42bを有する。リアベアリング保持部42の内側には、リアベアリング39bが保持される。
【0027】
周縁部43は、円環部41の外周縁からリア側(+Z側)に円筒状に延びている。周縁部43は、モータハウジング20における円筒部21の内周面21aに嵌合されている。本実施形態においては、周縁部43は、円筒部21の内周面21aに圧入されている。本実施形態においては、軸方向(Z軸方向)において、周縁部43のリア側の端部は、円筒部21のリア側の端部よりフロント側(−Z側)の位置に設けられる。
【0028】
軸受ブラケット40には、円環部41とリアベアリング保持部42と周縁部43とで囲まれた円環状凹部45が設けられている。円環状凹部45は、リアベアリング保持部42の径方向外側、すなわち、リアベアリング保持部42に保持されるリアベアリング39bの径方向外側に位置している。
【0029】
押し当て部44aと押し当て部44bとは、
図1及び
図3に示すように、周縁部43のリア側(+Z側)の端部から径方向内側に突出している。複数の押し当て部、すなわち、押し当て部44aと押し当て部44bとは、周縁部43の周方向に互いに離間して設けられている。本実施形態においては、例えば、押し当て部44bは、押し当て部44aに対して、軸周り(θ
Z方向)に約120°回転した位置に設けられている。
【0030】
押し当て部44a,44bは、バスバー部材50のリア側(+Z側)の面に接触する。より詳細には、押し当て部44a,44bは、バスバー部材50のうち円環状凹部45内に位置する部分のリア側の面に接触する。これにより、軸受ブラケット40に対して、バスバー部材50を固定できる。
【0031】
[シャフト及びロータ]
シャフト31は、Z軸方向に延びる中心軸Jを中心とする。すなわち、シャフト31は、Z軸方向(軸方向)に延びている。シャフト31は、フロントベアリング39aとリアベアリング39bとによって、軸周り(θ
Z方向)に回転可能に支持されている。
【0032】
シャフト31のフロント側(−Z側)の端部は、フロントベアリング保持部22における底板部22aの出力軸孔22bからモータハウジング20の外側に突出している。
シャフト31のリア側(+Z側)の端部は、リアベアリング保持部42における天板部42aの貫通孔42bを介して、リアベアリング保持部42のリア側に突出している。
【0033】
ロータ30は、
図1に示すように、ロータコア32と、ロータマグネット33と、を備える。
ロータコア32は、シャフト31を軸周り(θ
Z方向)に囲んで、シャフト31に固定されている。これにより、ロータ30はシャフト31に支持されている。
【0034】
ロータマグネット33は、ロータコア32の軸周り(θ
Z方向)に沿った外周面に固定されている。
ロータ30、すなわち、ロータコア32及びロータマグネット33は、シャフト31と一体となって回転する。
【0035】
[ステータ]
ステータ34は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータ34は、ロータ30を軸周り(θ
Z方向)に囲んでいる。ステータ34は、モータハウジング20の円筒部21の内側において、軸受ブラケット40よりフロント側(−Z側)に位置している。ステータ34は、コアバック部35と、ティース部36と、コイル部37と、ボビン38と、を備える。
【0036】
コアバック部35の形状は、シャフト31と同心の円筒状である。コアバック部35の外周面、すなわち、ステータ34の外周面は、モータハウジング20における円筒部21の内周面21aに嵌合されている。
【0037】
ティース部36は、コアバック部35の内周面からシャフト31に向かって延びている。ティース部36は、複数設けられ、コアバック部35の内周面の周方向に均等な間隔で配置されている。
コイル部37は、導電線がボビン38に巻き回されて構成されている。
ボビン38は、各ティース部36に装着されている。
【0038】
[フロントベアリング及びリアベアリング]
フロントベアリング39aは、モータハウジング20のフロントベアリング保持部22に保持されている。すなわち、フロントベアリング39aは、ロータ30の軸方向のフロント側(−Z側)に配置されている。
【0039】
リアベアリング39bは、軸受ブラケット40のリアベアリング保持部42に保持されている。すなわち、リアベアリング39bは、ロータ30の軸方向のリア側(+Z側)に配置されている。
【0040】
すなわち、フロントベアリング39aとリアベアリング39bとの軸方向(Z軸方向)の間には、ステータ34が配置されている。フロントベアリング39aとリアベアリング39bとは、上述したようにシャフト31を支持している。
フロントベアリング39a及びリアベアリング39bの構成は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングを用いてもよい。
【0041】
[バスバー部材]
バスバー部材50は、シャフト31の径方向においてリアベアリング39bの外側に配置されている。より詳細には、バスバー部材50は、円環状凹部45に配置されている。バスバー部材50は、略円環状である。
【0042】
なお、本明細書において略円環状であるとは、厳密に円環状である場合のみだけでなく、わずかに歪んで楕円環状となる場合や、円環状の部分から突出してはみ出した部分が設けられている場合を含む。
【0043】
バスバー部材50は、
図1に示すように、内径部51と、キャップ部52と、センサ保持部53と、バスバー保持部56と、回路基板用配線部材55aと、バスバー55bと、ステータ用配線部材55cと、を備える。また、バスバー部材50は、
図3に示すように、センサ位置決め部54aと、センサ位置決め部54bと、センサ位置決め部54cと、を備える。
【0044】
本実施形態においては、内径部51と、キャップ部52と、センサ保持部53と、センサ位置決め部54a〜54cと、バスバー保持部56とは、樹脂製である。
内径部51は、
図1に示すように、軸受ブラケット40のリアベアリング保持部42に径方向外側から嵌合される。本実施形態においては、内径部51は、リアベアリング保持部42と同心の円筒である。
【0045】
キャップ部52は、内径部51のリア側(+Z側)の端部から径方向内側に延びている。キャップ部52は、
図2に示すように、リアベアリング保持部42の天板部42aにおけるリア側の端面42cの外縁部と接触している。すなわち、キャップ部52は、リアベアリング保持部42におけるリア側の端面42cの一部を覆う。
【0046】
センサ保持部53は、キャップ部52の径方向内側の端部からリア側(+Z側)に延びている。
センサ位置決め部54a,54b,54cは、
図3に示すように、センサ保持部53に設けられている。すなわち、センサ位置決め部54a〜54cは、内径部51のリア側に設けられている。センサ位置決め部54a〜54cは、後述する回転センサ74a〜74cを位置決めする部分である。
【0047】
センサ位置決め部54a〜54cは、センサ保持部53から径方向外側に突出している。センサ位置決め部54a〜54cは、センサ保持部53の周方向に等間隔に設けられている。センサ位置決め部54aには、径方向内側に開口するセンサ位置決め凹部57aが設けられている。センサ位置決め部54bには、径方向内側に開口するセンサ位置決め凹部57bが設けられている。センサ位置決め部54aには、の径方向内側に開口するセンサ位置決め凹部57cが設けられている。
【0048】
本実施形態においては、
図1及び
図3に示すように、センサ保持部53及びセンサ位置決め部54a〜54cは、後述するセンサマグネット81の径方向外側に位置している。すなわち、バスバー部材50の一部は、センサマグネット81の径方向外側に位置している。
【0049】
バスバー保持部56は、内径部51の周りに設けられている。バスバー保持部56は、平面視(XY面視)で略円環状である。バスバー保持部56は、軸受ブラケット40の円環状凹部45に嵌合されている。バスバー保持部56は、回路基板用配線部材55aと、バスバー55bと、ステータ用配線部材55cと、を保持する。
図3に示すように、バスバー保持部56のリア側(+Z側)の面には、複数の局所凹部56aが設けられている。言い換えると、バスバー部材50は、リア側に局所凹部56aを備えている。
【0050】
回路基板用配線部材55aは、
図1に示すように、軸方向(Z軸方向)に延びており、リア側(+Z側)の端部が後述する回路基板71に接続されている。回路基板用配線部材55aのフロント側(−Z側)の端部は、バスバー保持部56の内部に埋め込まれている。
【0051】
バスバー55bは、回路基板用配線部材55aとステータ用配線部材55cとを連結する。バスバー55bは、バスバー保持部56の内部にほぼ埋め込まれており、主として軸方向(Z軸方向)と直交する面内において延びている。バスバー55bは、図示は省略するが、バスバー保持部56に埋め込まれた部分において回路基板用配線部材55aと電気的に接続されている。
【0052】
バスバー55bは、一方の端部がバスバー保持部56のリア側(+Z側)に突出している。バスバー55bは、バスバー保持部56のリア側に突出した部分において、ステータ用配線部材55cと電気的に接続されている。本実施形態においては、バスバー55bは、
図3に示すように、3つ設けられている。3つのバスバー55bにおけるバスバー保持部56のリア側に突出した部分は、バスバー保持部56の周方向に沿って、等間隔に配置されている。
【0053】
ステータ用配線部材55cは、
図1に示すように、軸方向(Z軸方向)に延びており、バスバー保持部56を軸方向に貫通している。ステータ用配線部材55cのリア側(+Z側)の端部は、バスバー保持部56のリア側に突出し、バスバー55bと接続されている。ステータ用配線部材55cのフロント側(−Z側)の端部は、軸受ブラケット40における円環部41の貫通孔41bを介して、円環部41のフロント側に突出している。ステータ用配線部材55cのフロント側の端部は、ステータ34のコイル部37と電気的に接続されている。本実施形態においては、ステータ用配線部材55cは、
図3に示すように、バスバー55bに対応して、3つ設けられている。
【0054】
これにより、後述する回路基板71とステータ34とは、回路基板用配線部材55aと、バスバー55bと、ステータ用配線部材55cと、を介して電気的に接続され、回路基板71から出力されるモータ駆動信号がステータ34に伝達される。すなわち、バスバー55bは、回路基板71から出力されるモータ駆動信号をステータ34に伝える。
【0055】
なお、本明細書において、バスバーとは、主として軸方向と直交する面内において延びる配線である。
また、本明細書において、配線部材とは、主として軸方向に延びる配線である。
【0056】
また、本明細書において、軸方向と直交する面内において延びる、とは、厳密に軸方向に対して直交する面内において延びる場合のみを含むものではなく、軸方向と直交する面に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0057】
また、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合のみを含むものではなく、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0058】
[インバータハウジング]
インバータハウジング60は、蓋部90とモータハウジング20との間に設けられている。インバータハウジング60は、蓋部90とともに後述する回路基板71を収容する。本実施形態においては、インバータハウジング60は、樹脂製である。インバータハウジング60は、
図3に示すように、インバータハウジング本体部60aと、コネクタ部60bと、を備える。
【0059】
インバータハウジング本体部60aは、内周部62を有する枠状である。内周部62は、軸受ブラケット40及びバスバー部材50と、同心で、平面視(XY面視)においてほぼ重なる形状である。インバータハウジング本体部60aは、インバータハウジング底部63aと、外殻部63bと、複数の回路基板支持部63cと、を備える。
【0060】
インバータハウジング底部63aは、内周部62の周りに枠状に設けられている。
図1に示すように、インバータハウジング底部63aのフロント側(−Z側)の面には、一周に亘ってフロント側液状ガスケット64bが設けられている。フロント側液状ガスケット64bは、モータハウジング20のフランジ部23のリア側(+Z側)の面に接触している。
【0061】
外殻部63bは、
図3に示すように、インバータハウジング底部63aの外縁に設けられている。外殻部63bは、インバータハウジング底部63aからリア側(+Z側)に突出している。外殻部63bのリア側の面には、リア側液状ガスケット64aが一周に亘って設けられている。リア側液状ガスケット64aは、
図1に示すように、後述する蓋部90の垂下部92のフロント側(−Z側)の端面と接触している。外殻部63bは、モータハウジング20と蓋部90とを固定するための雄ネジ66が挿入される貫通孔67cを有する。図示は省略するが、貫通孔67cは複数設けられている。
【0062】
複数の回路基板支持部63cは、後述する回路基板71を支持する。言い換えると、インバータハウジング60は、回路基板71を支持する。複数の回路基板支持部63cは、インバータハウジング底部63aからリア側(+Z側)に突出して設けられている。回路基板支持部63cは、内周部62の径方向外側近傍に設けられている。
【0063】
複数の回路基板支持部63cは、内周部62の周方向に沿って互いに離間して設けられている。回路基板支持部63cの内部には、
図1に示すように、リア側に開口する雌ネジ部67bが設けられている。回路基板支持部63cのリア側の端部の位置は、外殻部63bのリア側の端部の位置より、リア側に位置している。
【0064】
コネクタ部60bは、インバータハウジング本体部60aの外殻部63bから径方向外側に突出している。コネクタ部60bは、径方向外側に開口する電源用開口部61を有している。図示は省略するが、電源用開口部61の底面には、制御装置70に電源を供給するためのコネクタが突出して設けられている。コネクタ部60bには、図示しない外部電源が接続される。外部電源は、電源用開口部61の底面に設けられたコネクタを介して、電動オイルポンプ用モータ10に電源を供給する。
【0065】
[制御装置]
制御装置70は、電動オイルポンプ用モータ10の駆動を制御する。制御装置70は、軸受ブラケット40のリア側(+Z側)に設けられている。制御装置70は、回路基板71と、パワーIC72と、回路部品73a,73bと、センサマグネット保持部材80と、センサマグネット81と、を備える。また、制御装置70は、
図3に示すように、回転センサ74aと、回転センサ74bと、回転センサ74cと、を備える。
【0066】
回路基板71は、
図2に示すように、シャフト31のリア側(+Z側)の延長上に配置されている。回路基板71は、主面、例えば、フロント側(−Z側)のフロント面71aが軸方向(Z軸方向)と直交する。
【0067】
回路基板71は、
図1に示すように、インバータハウジング60における複数の回路基板支持部63cのリア側(+Z側)の端面で支持されている。回路基板71は、雄ネジ67aが回路基板71を介して回路基板支持部63cの雌ネジ部67bに締め込まれることで、回路基板支持部63cと固定されている。これにより、回路基板71は、インバータハウジング60に固定される。回路基板71の主面には、図示しないプリント配線が設けられている。回路基板71は、モータ駆動信号を出力する。
【0068】
図2に示すように、本実施形態においては、回路基板71とシャフト31との間には、非配置領域AR1が設けられている。非配置領域AR1は、回路基板71とシャフト31とを除いた電動オイルポンプ用モータ10を構成する部品、すなわち、回路部品73a,73bや、回転センサ74a〜74c等が配置されない領域である。言い換えると、回路基板71とシャフト31との間には電動オイルポンプ用モータ10の構成部品が何も配置されず、シャフト31のリア側(+Z側)の端面31aは、回路基板71のフロント側(−Z側)のフロント面71aと直接対向している。
【0069】
センサマグネット保持部材80は、シャフト31のリアベアリング保持部42のリア側(+Z側)に突出する部分に設けられている。本実施形態においては、センサマグネット保持部材80は、バスバー部材50のセンサ保持部53の径方向内側に位置している。
【0070】
センサマグネット保持部材80は、円環状の部材であり、中央の孔がシャフト31のリア側(+Z側)の端部の小径部分に嵌合されることで位置決めされている。すなわち、センサマグネット保持部材80の内周面は、シャフト31のリア側の端部に嵌合されている。センサマグネット保持部材80は、シャフト31とともに回転可能である。センサマグネット保持部材80は、軸受ブラケット40におけるリアベアリング保持部42のリア側(+Z側)に配置されている。すなわち、センサマグネット保持部材80は、リアベアリング39bのリア側に配置されている。
【0071】
センサマグネット81は、円環状であり周方向でN極とS極とが交互に配置されている。センサマグネット81は、センサマグネット保持部材80の外周面に嵌合されている。これにより、センサマグネット81は、センサマグネット保持部材80に保持され、リアベアリング39bのリア側(+Z側)において、シャフト31の周りにシャフト31とともに回転可能に配置される。
【0072】
回転センサ74a〜74cは、
図1から
図3に示すように、センサマグネット81の近傍に配置されている。回転センサ74a〜74cは、センサマグネット81の磁束を検出する。
回転センサ74a〜74cの構成は、配置されている位置を除いて、同様の構成であるため、以下の説明においては、代表して回転センサ74aについてのみ説明する場合がある。
【0073】
なお、本明細書において、回転センサがセンサマグネットの近傍に配置される、とは、回転センサがセンサマグネットの磁束の変化を好適に検出できる範囲内に配置されることを含む。
【0074】
回転センサ74aは、
図3に示すように、バスバー部材50におけるセンサ位置決め部54aによって位置決めされる。本実施形態においては、回転センサ74aは、センサ位置決め部54aのセンサ位置決め凹部57aに嵌合されている。同様に、回転センサ74bは、センサ位置決め部54bのセンサ位置決め凹部57bに嵌合されている。同様に、回転センサ74cは、センサ位置決め部54cのセンサ位置決め凹部57cに嵌合されている。これにより、回転センサ74a〜74cは、センサマグネット81の径方向外側に、センサマグネット81と径方向に対向して設けられる。
【0075】
回転センサ74aの端子75aは、リア側(+Z側)に延びており、回路基板71に接続されている。回転センサ74bの端子75bは、リア側(+Z側)に延びており、回路基板71に接続されている。回転センサ74cの端子75cは、リア側(+Z側)に延びており、回路基板71に接続されている。各端子75a〜75cは、それぞれ、例えば、3本ずつ設けられている。これにより、回転センサ74a〜74cは、それぞれ回路基板71に取り付けられている。
【0076】
パワーIC72は、
図1に示すように、回路基板71のリア側(+Z側)の面に固定されている。パワーIC72は、インバータ回路を構成し、電動オイルポンプ用モータ10にコネクタ部60bを介して供給される電源を制御する。
【0077】
回路部品73a,73bは、回路基板71に取り付けられる部品である。回路部品73a,73bは、パワーIC72とともにインバータ回路を構成する部品であり、例えば、コンデンサや、トランジスタ等である。回路部品73a,73bは、
図1に示すように、回路基板71のフロント面71aに固定されている。回路部品73a,73bは、径方向において、回転センサ74a〜74cの外側に配置されている。
【0078】
回路部品73a,73bは、回路基板71のフロント面71aからフロント側(−Z側)に突出している。回路部品73a,73bのフロント側の一部は、センサマグネット81の径方向外側に位置している。
【0079】
[蓋部]
蓋部90は、インバータハウジング60のリア側(+Z側)に設けられている。蓋部90は、回路基板71を覆っている。蓋部90は、天板部91と、垂下部92と、を備える。
天板部91のフロント側(−Z側)のフロント面91aには、熱伝導シート65が設けられている。熱伝導シート65は、パワーIC72と接触している。
【0080】
垂下部92は、天板部91の外縁からフロント側(−Z側)に延びている。垂下部92のフロント側の端面は、モータハウジング20のフランジ部23のリア側(+Z側)の面と接触している。垂下部92には、フロント側に開口する雌ネジ部92aが設けられている。本実施形態においては、垂下部92の径方向内側に回路基板71が位置している。
【0081】
蓋部90は、複数の雄ネジ66がフランジ部23の各貫通孔23aから挿入され外殻部63bの各貫通孔67cを介して各雌ネジ部92aと締め込まれることによって、モータハウジング20と固定されている。また、これにより、インバータハウジング60が、蓋部90の垂下部92とモータハウジング20のフランジ部23との間に固定される。
【0082】
本実施形態の電動オイルポンプ用モータ10は、コネクタ部60bを介して接続される外部電源から制御装置70に電源が供給される。これにより、制御装置70から回路基板用配線部材55aとバスバー55bとステータ用配線部材55cとを介して、ステータ34のコイル部37に駆動電流が供給される。コイル部37に駆動電流が供給されると、磁場が発生し、この磁場によってシャフト31を有するロータ30が回転する。このようにして、電動オイルポンプ用モータ10は、回転駆動力を得る。
【0083】
ステータ34のコイル部37に供給される駆動電流は、制御装置70におけるパワーIC72及び回路部品73a,73bによって構成されたインバータ回路によって、制御される。具体的には、制御装置70は、回転センサ74a〜74cによってセンサマグネット81の磁束の変化を検出することで、ロータ30の回転位置を検出する。制御装置70のインバータ回路は、このロータ30の回転位置に応じたモータ駆動信号を出力し、ステータ34のコイル部37に供給される駆動電流を制御する。このようにして、本実施形態の電動オイルポンプ用モータ10の駆動が制御される。
【0084】
本実施形態によれば、リアベアリング39bを保持するリアベアリング保持部42の径方向外側に円環状凹部45が設けられている。そのため、例えば、
図1に示すように、円環状凹部45の内部にバスバー部材50の少なくとも一部を配置できる。また、例えば、回路基板71のフロント面71aに固定されている回路部品73a,73bのフロント側の一部を円環状凹部45内に収容できる。すなわち、リアベアリング39bの径方向外側の領域を、バスバー部材50や回路部品73a,73bの配置領域として利用できる。これにより、
図2に示す回路基板71とシャフト31との距離H1を小さくできる。したがって、本実施形態によれば、回路基板71や回転センサ74a〜74cを備えつつ、軸方向に大型化することを抑制できる構造を備える電動オイルポンプ用モータが得られる。
【0085】
これにより、本実施形態の電動オイルポンプ用モータ10を搭載した電動オイルポンプを、例えば車両のエンジンルームに取り付ける場合に、電動オイルポンプの設置位置が制約されることを抑制できる。また、その結果として、電動オイルポンプに接続される油管を取り回す距離が大きくなることを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、車両のエンジンルーム内の限られたスペースにおいて、電動オイルポンプ及び電動オイルポンプに接続される油管の設置領域が大きくなることを抑制できる。
【0086】
また、本実施形態によれば、上記のように電動オイルポンプ用モータ10が軸方向に大型化することを抑制できるため、電動オイルポンプ用モータ10の重量が増加することを抑制できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、回路部品73a,73bのフロント側の一部がセンサマグネット81の径方向外側に位置している。すなわち、本実施形態によれば、回路部品73a,73bの一部とセンサマグネット81とを軸方向に重ねて配置できる。したがって、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0088】
また、本実施形態によれば、バスバー部材50の一部、すなわち、センサ保持部53及びセンサ位置決め部54a〜54cがセンサマグネット81の径方向外側に位置している。これにより、センサマグネット81の径方向外側の領域を、バスバー部材50を配置する領域として利用できる。したがって、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0089】
また、例えば、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法を小さくするためには、シャフト31を短くし、フロントベアリング39aとリアベアリング39bとの軸方向の距離を小さくすればよい。しかしながら、この場合においては、フロントベアリング39aとリアベアリング39bとが径方向にずれた際、そのずれ量が、フロントベアリング39aとリアベアリング39bとの軸方向の距離に対して、相対的に大きくなる。そのため、シャフト31の傾きが大きくなり、シャフト31に負荷がかかりやすい問題があった。したがって、リアベアリング39bとフロントベアリング39aとの軸方向の距離を小さくする場合には、リアベアリング39bとフロントベアリング39aとの同軸度の精度をより向上させる必要があった。
【0090】
これに対して、本実施形態によれば、軸受ブラケット40がモータハウジング20の円筒部21に圧入されているため、軸受ブラケット40をモータハウジング20の円筒部21の内側に強固に固定できる。これにより、軸受ブラケット40のリアベアリング保持部42に保持されるリアベアリング39bの位置を強固に固定でき、リアベアリング39bが径方向にガタつくことを抑制できる。また、リアベアリング39bとフロントベアリング39aとの同軸度を向上させることができる。
【0091】
したがって、本実施形態によれば、リアベアリング39bとフロントベアリング39aとの軸方向の距離を小さくした場合であっても、シャフト31に負荷がかかることを抑制でき、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法を小さくできる。また、これにより、電動オイルポンプ用モータ10全体を小型化でき、軽量化できる。また、シャフト31の回転にかかる負荷を低減できるため、電動オイルポンプ用モータ10のエネルギー効率を向上できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、軸受ブラケット40は鋼板をプレス成形したものであるため、強度が高い。そのため、軸受ブラケット40をモータハウジング20内により強固に固定できる。
【0093】
また、本実施形態によれば、モータハウジング20も軸受ブラケット40と同様に鋼板によって成形されているため、モータハウジング20内に軸受ブラケット40を容易かつ強固に固定できる。
【0094】
また、本実施形態によれば、バスバー部材50がセンサ位置決め部54a〜54cを備え、バスバー部材50の内径部51がリアベアリング保持部42に嵌合されている。そのため、本実施形態によれば、回転センサ74a〜74cを、リアベアリング保持部42に嵌合されたバスバー部材50のセンサ位置決め部54a〜54cに装着するだけで、各回転センサ74a〜74cをシャフト31の中心軸Jから等距離となる位置に精度よく配置できる。
【0095】
また、本実施形態によれば、回転センサ74aは、センサ位置決め部54aのセンサ位置決め凹部57aに嵌合される。そのため、回転センサ74aの位置が安定して固定され、センサマグネット81の磁束の変化、すなわち、ロータ30の回転を安定して検出できる。また、電動オイルポンプ用モータ10の振動などによりロータ30の回転の検出精度が低下することも抑制できる。回転センサ74b,74cについても同様である。
【0096】
また、本実施形態によれば、バスバー部材50は、キャップ部52を備えており、キャップ部52が軸受ブラケット40におけるリアベアリング保持部42のリア側の端面の一部を覆っている。そのため、キャップ部52によってバスバー部材50の軸方向のリア側の位置が規制され、バスバー部材50の軸受ブラケット40に対する軸方向位置を精度よく決定できる。したがって、本実施形態によれば、バスバー部材50のリアベアリング39bに対する軸方向位置を精度よく決定できる。
【0097】
また、本実施形態によれば、バスバー部材50はキャップ部52の径方向内側からリア側に延びるセンサ保持部53を備えており、センサ位置決め部54a〜54cはセンサ保持部53に設けられている。そのため、本実施形態によれば、回転センサ74a〜74cをセンサマグネット81に近づけて精度よく配置することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、回転センサ74a〜74cは、センサマグネット81の径方向外側に設けられているため、回転センサ74a〜74cがセンサマグネット81と軸方向に並んで配置される場合に比べて、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法を小さくできる。
【0099】
また、例えば、軸受ブラケット40が周縁部43のリア側の端部から径方向外側に延びるフランジ部を備え、そのフランジ部とモータハウジング20のフランジ部23とが軸方向に重ねられて連結されると、軸受ブラケット40のフランジ部の分だけ電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなる。
【0100】
これに対して、本実施形態によれば、軸受ブラケット40全体が、フランジ部23の径方向内側に位置しており、軸受ブラケット40におけるフランジ部23に対して軸方向に重ねられる部分がない。したがって、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0101】
また、本実施形態によれば、軸方向において、軸受ブラケット40の周縁部43のリア側の端部は、モータハウジング20の円筒部21のリア側の端部の位置よりフロント側の位置に設けられている。そのため、軸方向における軸受ブラケット40全体のモータハウジング20に対する相対位置を、よりフロント側とすることができる。したがって、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0102】
また、例えば、雄ネジを用いて軸受ブラケット40とバスバー部材50とを固定する場合には、雄ネジのヘッド部分の厚みの分だけ軸受ブラケット40とバスバー部材50とを合わせた全体の軸方向の寸法が大きくなる。また、雌ネジ部やナット等の雄ネジが締め込まれる部分が必要となり、さらにその分だけ軸受ブラケット40とバスバー部材50とを合わせた全体の軸方向の寸法が大きくなる。その結果、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなりやすい問題があった。
【0103】
これに対して、本実施形態によれば、軸受ブラケット40は、押し当て部44a,44bを備えており、押し当て部44a,44bがバスバー部材50のリア側の面に接触することで、軸受ブラケット40に対してバスバー部材50が固定されている。したがって、本実施形態によれば、軸受ブラケット40とバスバー部材50とを固定するために雄ネジを用いる必要がなく、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0104】
また、本実施形態によれば、回路基板71とシャフト31との間には、非配置領域AR1が設けられ、シャフト31のリア側の端面31aが回路基板71のフロント面71aと直接対向している。そのため、回路基板71とシャフト31との距離H1を小さくしやすい。したがって、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0105】
また、本実施形態によれば、回路基板71は、主面が軸方向と直交して配置されているため、電動オイルポンプ用モータ10の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。また、回路基板71に取り付けられる回転センサ74a〜74c及び回路部品73a,73bを精度よく配置しやすい。
【0106】
また、本実施形態によれば、リア側液状ガスケット64aが設けられているため、インバータハウジング60と蓋部90との隙間から電動オイルポンプ用モータ10の内部に水や油が侵入することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、フロント側液状ガスケット64bが設けられているため、インバータハウジング60とモータハウジング20との隙間から電動オイルポンプ用モータ10の内部に水や油が侵入することを抑制できる。
【0107】
また、本実施形態によれば、熱伝導シート65が蓋部90における天板部91のフロント面91aに設けられており、熱伝導シート65は、パワーIC72と接触している。これにより、パワーIC72や回路基板71で発熱した熱を、熱伝導シート65を介して、蓋部90に放熱できる。したがって、本実施形態によれば、パワーIC72や回路基板71が高熱となって破損することを抑制できる。
【0108】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0109】
上記説明においては、回路基板71の主面、例えば、フロント面71aは、軸方向と直交する構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、回路基板71の主面が軸方向と交差すればよく、回路基板71の主面が軸方向に対して傾いていてもよい。
【0110】
また、本実施形態においては、回路基板71に取り付けられる回路部品73a,73bの全体がセンサマグネット81の径方向外側に位置していてもよい。すなわち、本実施形態においては、回路部品73a,73bの少なくとも一部が、センサマグネット81の径方向外側に位置する構成を採用できる。回路部品73a,73bの全体がセンサマグネット81の径方向外側に位置する場合においては、例えば、回路部品73a,73bは接続配線によって回路基板71と接続される。
【0111】
また、本実施形態においては、軸方向において、軸受ブラケット40のリア側の端部は、モータハウジング20の円筒部21のリア側の端部と同じ位置であってもよい。すなわち、本実施形態においては、軸方向において、軸受ブラケット40のリア側の端部は、モータハウジング20の円筒部21のリア側の端部と同じ位置、または、円筒部21のリア側の端部よりフロント側の位置に設けられる構成を採用できる。
【0112】
また、上記説明においては、軸受ブラケット40の周縁部43は、円環部41の外周縁からリア側に延びる構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、円環部41の外周縁からリア側に延びた部分の先端を径方向外側に折り曲げ、その折り曲げられた部分の径方向外側の端部からフロント側に延びた部分を周縁部とする構成としてもよい。
【0113】
また、上記説明においては、バスバー部材50とインバータハウジング60とは別々の部材としたが、これに限られない。本実施形態においては、バスバー部材50とインバータハウジング60とが一体的に連結された構成としてもよい。
【0114】
また、本実施形態においては、軸受ブラケット40の押し当て部の数は、特に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
また、本実施形態においては、軸受ブラケット40の押し当て部44a,44bは設けられていなくてもよい。
【0115】
また、本実施形態においては、熱伝導シート65は設けられていなくてもよい。
また、本実施形態においては、リア側液状ガスケット64a及びフロント側液状ガスケット64bのうちの一方、または両方は、設けられていなくてもよい。
また、本実施形態においては、回路部品は2つに限られず、1つであっても、3つ以上設けられていてもよい。
【0116】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に対して、バスバー部材の形状が異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0117】
図4は、本実施形態の電動オイルポンプ用モータ110を示す断面図である。
電動オイルポンプ用モータ110は、
図4に示すように、モータハウジング20と、軸受ブラケット40と、シャフト31と、ロータ30と、ステータ34と、フロントベアリング39aと、リアベアリング39bと、バスバー部材150と、インバータハウジング60と、制御装置170と、蓋部90と、を備える。
【0118】
バスバー部材150は、内径部151と、センサ位置決め部154aと、センサ位置決め部154bと、バスバー保持部56と、回路基板用配線部材55aと、バスバー55bと、ステータ用配線部材55cと、を備える。
【0119】
バスバー部材150は、第1実施形態のバスバー部材50と同様に、センサ位置決め部を3つ備えている。すなわち、図示は省略するが、バスバー部材150は、センサ位置決め部154a,154bの他に、もう一つセンサ位置決め部を備える。
【0120】
内径部151は、リアベアリング保持部42の端面42cよりもリア側(+Z側)に突出している。内径部151のリア側の端部には、センサ位置決め部154aとセンサ位置決め部154bと図示しないもう一つのセンサ位置決め部とが設けられている。3つのセンサ位置決め部は、内径部151の周方向に等間隔に配置されている。
【0121】
センサ位置決め部154aは、径方向内側にセンサ位置決め凹部157aを有する。センサ位置決め部154bは、径方向内側にセンサ位置決め凹部157bを有する。センサ位置決め凹部157a,157bは、第1実施形態のセンサ位置決め凹部57a,57bと同様の構成である。図示しないもう一つのセンサ位置決め部は、センサ位置決め部154a,154bと同様の構成である。
本実施形態の内径部151は、上記の点以外の点については、第1実施形態の内径部51と同様である。
【0122】
制御装置170は、回路基板171と、パワーIC72と、回路部品73a,73bと、回転センサ74aと、回転センサ74bと、回転センサ74cと、センサマグネット保持部材180と、センサマグネット81と、を備える。
図4においては、回転センサ74cの図示は省略する。
回路基板171は、回転センサ74a〜74cの端子75a〜75cが接続されている箇所が異なる点を除いて、第1実施形態の回路基板71と同様である。
【0123】
センサマグネット保持部材180は、第1実施形態のセンサマグネット保持部材80に対して、外周の径が大きい点において異なる。そのため、センサマグネット保持部材180に保持されるセンサマグネット81の径方向の位置が第1実施形態と比べて外側となる。
【0124】
これにより、内径部151に設けられたセンサ位置決め部154a〜154cに保持される回転センサ74a〜74cに対して、センサマグネット81を近づけて配置できる。
【0125】
本実施形態によれば、バスバー部材150がキャップ部52及びセンサ保持部53を備えていないため、その分、バスバー部材150の軸方向の寸法を小さくできる。これにより、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ110の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0126】
<第3実施形態>
第3実施形態は、回転センサが回路基板に直接固定されている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0127】
図5は、本実施形態の電動オイルポンプ用モータ210を示す断面図である。
電動オイルポンプ用モータ210は、
図5に示すように、モータハウジング20と、軸受ブラケット40と、シャフト31と、ロータ30と、ステータ34と、フロントベアリング39aと、リアベアリング39bと、バスバー部材250と、インバータハウジング60と、制御装置270と、蓋部90と、を備える。
【0128】
バスバー部材250は、内径部51と、バスバー保持部56と、回路基板用配線部材55aと、バスバー55bと、ステータ用配線部材55cと、を備える。すなわち、バスバー部材250は、第1実施形態のバスバー部材50に対して、キャップ部52と、センサ保持部53と、センサ位置決め部54a〜54cと、を備えていない点において異なる。本実施形態においては、バスバー部材250の全体が、軸受ブラケット40のリアベアリング保持部42の端面42cよりもフロント側(−Z側)に位置している。
【0129】
制御装置270は、回路基板271と、パワーIC72と、回路部品73a,73bと、回転センサ274aと、回転センサ274bと、センサマグネット保持部材80と、センサマグネット81と、を備える。制御装置270は、第1実施形態の制御装置70と同様に、回転センサを3つ備えている。すなわち、図示は省略するが、制御装置270は、回転センサ274a,274bの他に、もう一つ回転センサを備える。
回路基板271は、回転センサ274a,274bが直接固定されている点を除いて、第1実施形態の回路基板71と同様である。
【0130】
回転センサ274a,274bは、回路基板271におけるフロント側(−Z側)のフロント面271aに固定されている。回転センサ274a,274bは、回路基板271とセンサマグネット81との間に、軸方向(Z軸方向)に対向して設けられている。図示しないもう一つの回転センサについても同様である。
回路部品73a,73bは、回転センサ274a,274b及び図示しないもう一つの回転センサの径方向外側に配置されている。
【0131】
本実施形態によれば、比較的軸方向の寸法が小さい回転センサ274a,274bが回路基板271に直接固定され、回路部品73a,73bが回転センサ274a,274bの径方向外側に配置されている。そのため、回路基板271とシャフト31との軸方向の距離H1(
図2参照)を小さくしやすく、電動オイルポンプ用モータ210の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0132】
また、本実施形態によれば、バスバー部材250が、キャップ部52と、センサ保持部53と、センサ位置決め部54a〜54cと、を備えていないため、センサマグネット81の径方向外側の領域を広くできる。そのため、センサマグネット81の径方向外側の領域に回路基板271に取り付けられた回路部品73a,73bや、その他の部品を配置できる。したがって、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ210の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0133】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0134】
本実施形態においては、回路基板271の径方向においてセンサマグネット81の外側となる位置に、回転センサ274a,274bを固定し、回路基板271をシャフト31に接近して配置することで、回転センサ274a,274bがセンサマグネット81の径方向外側に配置される構成としてもよい。
【0135】
また、本実施形態においては、バスバー部材250の全体が、円環状凹部45の内部に収容される構成としてもよい。
【0136】
<第4実施形態>
第4実施形態は、インバータハウジングによる回路基板の支持位置がインバータハウジングと蓋部との接触する位置よりフロント側である点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0137】
図6は、本実施形態の電動オイルポンプ用モータ310を示す断面図である。
電動オイルポンプ用モータ310は、
図6に示すように、モータハウジング20と、軸受ブラケット40と、シャフト331と、シャフト331を備えるロータ330と、ステータ34と、フロントベアリング39aと、リアベアリング39bと、バスバー部材350と、インバータハウジング360と、制御装置370と、蓋部390と、を備える。
【0138】
ロータ330は、シャフト331の軸方向(Z軸方向)の長さが、第1実施形態のシャフト31の軸方向の長さより短い点を除いて、同様である。具体的には、シャフト331は、軸受ブラケット40におけるリアベアリング保持部42のリア側(+Z側)に突出している部分の突出長さが、第1実施形態のシャフト31よりやや短い。
【0139】
バスバー部材350は、内径部51と、キャップ部352と、センサ位置決め部354aと、センサ位置決め部354bと、バスバー保持部56と、回路基板用配線部材55aと、バスバー55bと、ステータ用配線部材55cと、を備える。
【0140】
バスバー部材350は、第1実施形態のバスバー部材50と同様に、センサ位置決め部を3つ備えている。すなわち、図示は省略するが、バスバー部材350は、センサ位置決め部354a,354bの他に、もう一つセンサ位置決め部を備える。
【0141】
キャップ部352は、第1実施形態のキャップ部52に対して、径方向内側の端部にセンサ位置決め部354a,354b及び図示しないもう一つのセンサ位置決め部が設けられている点において異なる。3つのセンサ位置決め部は、キャップ部352の径方向内側の周方向に等間隔に配置されている。
【0142】
センサ位置決め部354aは、径方向内側にセンサ位置決め凹部357aを有する。センサ位置決め部354bは、径方向内側にセンサ位置決め凹部357bを有する。センサ位置決め凹部357a,357bは、第1実施形態のセンサ位置決め凹部57a,57bと同様の構成である。図示しないもう一つのセンサ位置決め部は、センサ位置決め部354a,354bと同様の構成である。
本実施形態のキャップ部352は、上記の点以外の点については、第1実施形態のキャップ部52と同様である。
【0143】
インバータハウジング360は、インバータハウジング本体部360aと、コネクタ部60bと、を備える。
インバータハウジング本体部360aは、内周部362を有する枠状である。内周部362は、第1実施形態の内周部62と同様である。
【0144】
インバータハウジング本体部360aは、インバータハウジング底部63aと、外殻部363bと、複数の回路基板支持部363cと、を備える。
外殻部363bは、第1実施形態の外殻部63bと同様である。
【0145】
複数の回路基板支持部363cは、リア側(+Z側)の端部の位置が、外殻部363bのリア側の端部の位置よりもフロント側(−Z側)である点において、第1実施形態の回路基板支持部63cと異なる。すなわち、モータハウジング20のフランジ部23の軸方向(Z軸方向)の位置を基準としたとき、回路基板支持部363cの高さH3は、外殻部363bの高さH2より小さい。
【0146】
制御装置370は、回路基板371と、パワーIC72と、回路部品373と、回転センサ74aと、回転センサ74bと、回転センサ74cと、センサマグネット保持部材380と、センサマグネット381と、を備える。
図6においては、回転センサ74cの図示は省略している。
【0147】
回路基板371は、第1実施形態の回路基板71と同様に、複数の回路基板支持部363cに雄ネジ67aで固定されて支持されている。本実施形態においては、回路基板支持部363cの高さH3は、外殻部363bの高さH2より小さいため、インバータハウジング360の回路基板371が支持される位置は、外殻部363bのリア側(+Z側)の端部よりフロント側(−Z側)である。すなわち、回路基板371は、外殻部363bの内側に配置されている。
【0148】
回路基板371は、第1実施形態の回路基板71に対して、回路部品373と回転センサ74a〜74cとが接続されている箇所が異なる。
本実施形態の回路基板371は、上記の点以外の点については、第1実施形態の回路基板71と同様である。
【0149】
センサマグネット保持部材380は、シャフト331のリア側(+Z側)の端部に取り付けられている。センサマグネット保持部材380は、第1実施形態のセンサマグネット81に対して、全体的に寸法が小さい。シャフト331のリアベアリング保持部42からリア側(+Z側)に突出した部分が、第1実施形態のシャフト31と比べて短いためである。
【0150】
同様にして、センサマグネット381は、第1実施形態のセンサマグネット381に対して、全体的に寸法が小さい。
本実施形態のセンサマグネット保持部材380とセンサマグネット381とは、上記の点以外の点については、それぞれ第1実施形態のセンサマグネット保持部材80とセンサマグネット81と同様である。
【0151】
回路部品373は、回路基板371のフロント側(−Z側)のフロント面371aに固定されている。回路部品373のフロント側(−Z側)の端部は、バスバー部材350におけるバスバー保持部56の局所凹部56aの内部に位置するとともに、軸受ブラケット40の円環状凹部45の内部に位置する。
本実施形態の回路部品373は、上記の点以外の点については、第1実施形態の回路部品73aと同様である。
【0152】
蓋部390は、垂下部が設けられていない略平板状である点において、第1実施形態の蓋部90と異なる。すなわち、本実施形態において、蓋部390の全体が、第1実施形態における天板部91に相当する。蓋部390は、第1実施形態の蓋部90と同様に、複数の雄ネジ66によってインバータハウジング360を介してモータハウジング20と固定されている。
【0153】
蓋部390におけるフロント側(−Z側)のフロント面390aの外縁部は、インバータハウジング360における外殻部363bのリア側(+Z側)の端面と接触している。蓋部390のフロント面390aがインバータハウジング360と接触する位置は、回路基板371よりもリア側である。言い換えると、インバータハウジング360の回路基板371が支持される位置は、インバータハウジング360と蓋部390とが接触する位置よりもフロント側(−Z側)である。
【0154】
本実施形態によれば、回路部品373のフロント側の端部がバスバー部材350の局所凹部56aの内部に位置しているため、回路基板371をシャフト331に接近して配置することができる。したがって、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ310の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0155】
また、本実施形態によれば、回路部品373のフロント側の端部がバスバー部材350の円環状凹部45の内部に位置しているため、回路基板371をシャフト331に接近して配置することができる。したがって、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ310の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0156】
また、本実施形態によれば、回路基板支持部363cの高さH3が、外殻部363bの高さH2より小さいため、回路基板371の支持される位置が、蓋部390がインバータハウジング360と接触する位置よりもフロント側である。そのため、蓋部390が垂下部を備えない構成としても、蓋部390が回路基板371と接触することがない。したがって、本実施形態において示すように蓋部390の軸方向の寸法を、垂下部を備える場合に比べて小さくでき、電動オイルポンプ用モータ310の軸方向の寸法を小さくできる。
【0157】
また、本実施形態によれば、回路基板371の支持される位置が、外殻部363bのリア側の端部よりもフロント側であるため、回路基板371をシャフト331に近づけて配置できる。したがって、本実施形態によれば、電動オイルポンプ用モータ310の軸方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0158】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0159】
本実施形態においては、回路部品373の全体がバスバー保持部56の局所凹部56aの内部に位置する構成としてもよい。すなわち、本実施形態においては、回路部品373の少なくとも一部が、バスバー保持部56の局所凹部56aの内部に位置する構成を採用できる。
【0160】
また、本実施形態においては、回路部品373の全体が円環状凹部45の内部に位置する構成としてもよい。すなわち、本実施形態においては、回路部品373の少なくとも一部が、円環状凹部45の内部に位置する構成を採用できる。
【0161】
また、上記説明においては、第1実施形態から第3実施形態と異なり、回路部品373が1つしか設けられていない構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、回路部品が2つ以上設けられていてもよい。
【0162】
なお、上記説明した第1実施形態から第4実施形態の構成は、互いに干渉しない範囲内で、適宜組み合わせることが可能である。