(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552174
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ミグろう付け装置及びミグろう付け方法
(51)【国際特許分類】
B23K 1/00 20060101AFI20190722BHJP
B23K 31/02 20060101ALI20190722BHJP
B23K 1/005 20060101ALI20190722BHJP
B60K 15/04 20060101ALN20190722BHJP
B23K 101/06 20060101ALN20190722BHJP
【FI】
B23K1/00 L
B23K1/00 320
B23K31/02 310H
B23K1/005 B
!B60K15/04 C
B23K101:06
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-203326(P2014-203326)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-68146(P2016-68146A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 稔正
(72)【発明者】
【氏名】田川 諭
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/090288(WO,A1)
【文献】
特開2005−177849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00
B23K 1/005
B23K 31/02
B60K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ状のろう材を送出可能なろう付け用トーチを有し、金属製第1筒部材の一端側外周面全周を金属製第2筒部材の外周面に連続させた状態で当該第1及び第2筒部材の連続部に対して上記ろう付け用トーチから上記ろう材を送出させ、且つ、上記連続部と上記ろう材との間にアークを発生させて当該ろう材を溶融させながら上記連続部に沿って付着させることにより当該連続部に沿う環状のろう付け部を形成して上記第1及び第2筒部材を互いに繋ぐミグろう付け装置であって、
上記ろう付け用トーチの側方には、上記連続部におけるろう付け開始領域を予め加温する加温手段が設けられており、
上記ろう付け開始領域の加温が完了した後、上記加温手段による上記ろう付け開始領域の加温を停止させた状態で、上記連続部に対して上記ろう付け用トーチから上記ろう材を送出させ、且つ、上記連続部と上記ろう材との間にアークを発生させて当該ろう材を溶融させながら上記連続部に沿って付着させることにより当該連続部に沿う環状のろう付け部を形成して上記第1及び第2筒部材を互いに繋ぐことを特徴とするミグろう付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミグろう付け装置において、
上記加温手段は、近赤外線を照射する近赤外線照射器であることを特徴とするミグろう付け装置。
【請求項3】
金属製第1筒部材の一端側外周面全周を金属製第2筒部材の外周面に連続させた状態で当該第1及び第2筒部材の連続部に対してろう付け用トーチからワイヤ状のろう材を送出させ、且つ、上記連続部と上記ろう材との間にアークを発生させることにより、溶融した上記ろう材を上記連続部に沿って付着させて当該連続部に沿う環状のろう付け部を形成することで上記第1及び第2筒部材を互いに繋ぐミグろう付け方法であって、
上記連続部におけるろう付け開始領域を加温手段で予め加温した後、上記ろう付け部を形成するミグろう付け工程を含み、
上記ミグろう付け工程は、上記ろう付け開始領域の加温が完了した後、上記加温手段による上記ろう付け開始領域の加温を行うことなく、上記連続部に対して上記ろう付け用トーチから上記ろう材を送出させ、且つ、上記連続部と上記ろう材との間にアークを発生させて当該ろう材を溶融させながら上記連続部に沿って付着させることにより当該連続部に沿う環状のろう付け部を形成して上記第1及び第2筒部材を互いに繋ぐ工程であることを特徴とするミグろう付け方法。
【請求項4】
請求項3に記載のミグろう付け方法において、
ろう付け開始直前において、上記連続部におけるろう付け開始領域に近赤外線を照射して加温することを特徴とするミグろう付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの金属製筒部材のうちの一方の一端側外周面全周を他方の外周面に連続させた状態において、その連続部をミグろう付けにて繋ぐミグろう付け装置及びミグろう付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車部品を組み立てる際に、2つの金属製筒部材のうちの一方の一端側外周面全周を他方の外周面に繋げることが行われている。例えば、特許文献1に開示されている燃料給油管には、燃料蒸気を含む空気を燃料タンクから給油管本体に抜くためのブリーザチューブが設けられ、該ブリーザチューブは、その一端側を給油管本体に形成された貫通孔に差し込むとともに、ミグろう付けによって給油管本体外周面及びブリーザチューブ外周面の連続部に環状のろう付け部を形成することで給油管本体に繋げられるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−91534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ミグろう付けにおけるろう付け開始直後は、給油管本体外周面及びブリーザチューブ外周面の連続部とろう材との間に発生するアークが不安定でアーク熱が低い状態であるため、
図6に示すように、連続部16に対するろう材Wの付着が不完全になって連続部16とろう付け部17との間に微細な隙間Sが発生することがある。そうすると、ろう付け開始部分Rにろう付け終了部分を重ね合わせて環状のろう付け部17を形成したとしても、当該ろう付け部17のろう付け開始部分Rと連続部16との間に微細な隙間Sが残った状態となってしまい、外観上においてろう付け部17が健全な状態であったとしても、上記隙間Sによって気密性が保てなくなってしまう。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2つの金属製筒部材のうちの一方の一端側外周面全周を他方の外周面にミグろう付けで繋げる際、ろう付け部において高い気密性を確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、ろう付け開始直前においてろう付け開始領域の温度を予め上昇させておくようにしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、ワイヤ状のろう材を送出可能なろう付け用トーチを有し、金属製第1筒部材の一端側外周面全周を金属製第2筒部材の外周面に連続させた状態で当該第1及び第2筒部材の連続部に対して上記ろう付け用トーチから上記ろう材を送出させ、且つ、上記連続部と上記ろう材との間にアークを発生させて当該ろう材を溶融させながら上記連続部に沿って付着させることにより当該連続部に沿う環状のろう付け部を形成して上記第1及び第2筒部材を互いに繋ぐミグろう付け装置において次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、上記ろう付け用トーチの側方には、上記連続部におけるろう付け開始領域を予め加温する加温手段が設けられて
おり、上記ろう付け開始領域の加温が完了した後、上記加温手段による上記ろう付け開始領域の加温を停止させた状態で、上記連続部に対して上記ろう付け用トーチから上記ろう材を送出させ、且つ、上記連続部と上記ろう材との間にアークを発生させて当該ろう材を溶融させながら上記連続部に沿って付着させることにより当該連続部に沿う環状のろう付け部を形成して上記第1及び第2筒部材を互いに繋ぐことを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、上記加温手段は、近赤外線を照射する近赤外線照射器であることを特徴とする
。
【0010】
また、本発明は、金属製第1筒部材の一端側外周面全周を金属製第2筒部材の外周面に連続させた状態で当該第1及び第2筒部材の連続部に対してろう付け用トーチからワイヤ状のろう材を送出させ、且つ、上記連続部と上記ろう材との間にアークを発生させることにより、溶融した上記ろう材を上記連続部に沿って付着させて当該連続部に沿う環状のろう付け部を形成することで上記第1及び第2筒部材を互いに繋ぐミグろう付け方法をも対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第
3の発明では、上記連続部におけるろう付け開始領域を加温手段で予め加温した後、上記ろう付け部を形成する
ミグろう付け工程を含み、上記ミグろう付け工程は、上記ろう付け開始領域の加温が完了した後、上記加温手段による上記ろう付け開始領域の加温を行うことなく、上記連続部に対して上記ろう付け用トーチから上記ろう材を送出させ、且つ、上記連続部と上記ろう材との間にアークを発生させて当該ろう材を溶融させながら上記連続部に沿って付着させることにより当該連続部に沿う環状のろう付け部を形成して上記第1及び第2筒部材を互いに繋ぐ工程であることを特徴とする。
【0012】
第
4の発明では、第
3の発明において、上記連続部におけるろう付け開始領域に近赤外線を照射して加温することを特徴とする
。
【発明の効果】
【0013】
第1及び第3の発明では、第1及び第2筒部材の連続部におけるろう付け開始領域とろう材との間でアークが発生した際、上記連続部のろう付け開始領域の温度が予め高い状態になるので、アーク熱で溶融したろう材が上記連続部に密着(浸透)し易くなる。したがって、ろう付け開始時のように、アークが不安定でアーク熱が低く、アーク熱だけでは上記連続部におけるろう付け開始領域の温度が十分に高くならないような状態であっても、上記連続部のろう付け開始領域と上記ろう付け部との間に隙間が発生することがなく、ろう付け部について高い気密性を確保することができる。
【0014】
第2及び第4の発明では、近赤外線によって第1及び第2筒部材の外周面側だけが加温されるようになるので、予め加温する連続部の領域が入熱過多によって変形してしまうといったことが回避され、第1及び第2筒部材を精度良く繋ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るミグろう付け装置で組み立てられた燃料給油管、燃料給油管が接続される燃料タンク、及び、給油口を旋蓋する給油キャップの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るミグろう付け装置の概略構成図である。
【
図3】
図1のA矢視相当図であり、ミグろう付けを開始する直前の状態を示す。
【
図4】
図1のA矢視相当図であり、ミグろう付けを開始した直後の状態を示す。
【
図5】
図1のA矢視相当図であり、ミグろう付けを終了した直後の状態を示す。
【
図6】(a)は、従来のミグろう付け装置を用いてミグろう付けを開始した直後の状態を示す図であり、(b)は、(a)のB部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0017】
図1は、車両の燃料タンク20及び該燃料タンク20に対して燃料を給油する際の通路となる燃料給油管1であり、該燃料給油管1は、一端側が拡径されてなるとともに、他端が上記燃料タンク20に接続された略円形筒状の金属製給油管本体2(第2筒部材)と、該給油管本体2の拡径部分に嵌合された略円形短筒状のリテーナ3とを備えている。
【0018】
該リテーナ3の一端は、上記燃料給油管1の給油口3bを構成する一方、上記リテーナ3の他端側は、端部に向かうにつれて緩やかに縮径する形状をなしている(
図2参照)。
【0019】
上記リテーナ3の一端側内周面には、給油キャップ11の雄螺旋部11aと螺合する雌螺旋部3cが一条形成され、上記給油口3bは、上記給油キャップ11で開閉可能に施蓋されるとともに、図示しない給油ガンのノズルが挿入されるようになっている。
【0020】
上記給油管本体2の側方には、当該給油管本体2のリテーナ3側に一端が接続される一方、上記燃料タンク20に他端が接続された細筒状の金属製ブリーザチューブ4(第1筒状部材)が並設され、該ブリーザチューブ4は、上記燃料タンク20に溜まる燃料蒸気を含む空気を上記給油管本体2の一端側に抜くようになっている。
【0021】
上記給油管本体2と上記ブリーザチューブ4とは、本発明の実施形態に係るミグろう付け装置10で組み立てられている。
【0022】
該ミグろう付け装置10は、
図2及び
図3に示すように、ワイヤ状のろう材5dを送出可能なろう付け用トーチ5と、上記給油管本体2及び上記ブリーザチューブ4の少なくとも一方と上記ろう材5dとの間に電圧をかけることが可能な溶接電源6と、上記ろう付け用トーチ5の側方に配置され、近赤外線Hを照射可能な近赤外線照射器7(加温手段)と、上記ろう付け用トーチ5及び上記近赤外線照射器7を把持して当該ろう付け用トーチ5及び近赤外線照射器7の位置を移動させることが可能なマニピュレーター8と、上記ろう付け用トーチ5、上記溶接電源6、上記近赤外線照射器7及び上記マニピュレーター8に接続され、当該各機器に作動信号を出力する制御盤9とを備えている。
【0023】
尚、本発明の近赤外線照射器7には、例えば、ハロゲンヒーターが用いられる。
【0024】
上記給油管本体2と上記ブリーザチューブ4とは、図示しない固定治具によって固定され、上記給油管本体2の一端側に形成された貫通孔2aに上記ブリーザチューブ4の一端側を嵌入して、ブリーザチューブ4の一端側外周面を給油管本体2の外周面に連続させた状態となっている。
【0025】
上記ろう付け用トーチ5は、円柱状のトーチ本体5aを備え、該トーチ本体5aの先端側には、円筒状のトーチノズル5bが装着されている。
【0026】
上記トーチ本体5aの先端中央には、上記ろう材5dを案内するコンタクトチップ5cの基端側が螺合連結され、上記トーチノズル5bは、上記コンタクトチップ5cを囲っている。
【0027】
上記マニピュレーター8は、上記給油管本体2及び上記ブリーザチューブ4の連続部12に沿って上記ろう付け用トーチ5のろう材5d先端及び上記近赤外線照射器7の照射位置Zが移動するよう上記ブリーザチューブ4の一端側の中心線C周りに上記ろう付け用トーチ5及び上記近赤外線照射器7を回転させるようになっている。
【0028】
上記制御盤9は、上記ろう付け用トーチ5のろう材送出動作、上記溶接電源6の電圧値、上記近赤外線照射器7の近赤外線照射量、及び上記マニピュレーター8の移動動作を制御するようになっている。
【0029】
そして、上記制御盤9は、
図3に示すように、上記近赤外線照射器7に作動信号を出力して上記連続部12におけるろう付け開始領域Rを予め加温するようになっている。
【0030】
また、上記制御盤9は、
図4に示すように、上記近赤外線照射器7に停止信号を出力して、上記ろう付け開始領域Rに対する加温を停止させるとともに、上記ろう付け用トーチ5に作動信号を出力して上記連続部12に対して上記ろう付け用トーチ5からろう材5dを送出させ、且つ、上記溶接電源6に作動信号を出力して上記連続部12と上記ろう材5dとの間に電圧をかけることによりアークを発生させるようになっている。
【0031】
さらに、上記制御盤9は、
図5に示すように、上記マニピュレーター8に作動信号を出力して上記ろう付け用トーチ5及び上記近赤外線照射器7を移動させることにより、アーク熱により溶融させたろう材5dを上記連続部12に沿って付着させて当該連続部12に沿う環状のろう付け部13を形成して給油管本体2とブリーザチューブ4とを互いに繋ぐようになっている。
【0032】
次に、上記ミグろう付け装置10による上記給油管本体2及び上記ブリーザチューブ4の組み立てについて説明する。
【0033】
まず、作業者は、上記給油管本体2の貫通孔2aにブリーザチューブ4の一端側を嵌入させるとともに、図示しない固定治具で給油管本体2及びブリーザチューブ4を固定する。
【0034】
次に、作業者は、図示しないろう付け開始ボタンを押す。すると、制御盤9は、近赤外線照射器7に作動信号を出力し、その信号に基づいて上記近赤外線照射器7は、
図3に示すように、上記連続部12におけるろう付け開始領域Rに近赤外線Hを照射して当該領域Rを予め加温する。
【0035】
次いで、制御盤9は、上記近赤外線照射器7に停止信号を出力し、その信号に基づいて近赤外線照射器7は上記ろう付け開始領域Rの加温を停止する。
【0036】
しかる後、上記制御盤9は、上記ろう付け用トーチ5に作動信号を出力して上記連続部12に対して上記ろう付け用トーチ5からろう材5dを送出させ、且つ、上記溶接電源6に作動信号を出力して上記連続部12と上記ろう材5dとの間に電圧をかけることによりアークを発生させる。
【0037】
その後、上記制御盤9は、
図4及び
図5に示すように、上記マニピュレーター8に作動信号を出力して上記ろう付け用トーチ5及び上記近赤外線照射器7を移動させることにより、アーク熱により溶融させたろう材5dを上記連続部12に沿って付着させる。これにより、上記連続部12に沿う環状のろう付け部13が形成されて給油管本体2とブリーザチューブ4とが互いに繋がる。
【0038】
以上より、本発明の実施形態によると、給油管本体2及びブリーザチューブ4の連続部12におけるろう付け開始領域Rとろう材5dとの間でアークが発生した際、上記近赤外線照射器7によって上記連続部12のろう付け開始領域Rの温度が予め高い状態になるので、アーク熱で溶融したろう材5dが上記連続部12に密着(浸透)し易くなる。したがって、ろう付け開始時のように、アークが不安定でアーク熱が低く、アーク熱だけでは上記連続部12におけるろう付け開始領域Rの温度が十分に高くならないような状態であっても、上記連続部12のろう付け開始領域Rと上記ろう付け部13との間に隙間Sが発生することがなく、ろう付け部13について高い気密性を確保することができる。
【0039】
また、近赤外線Hによって給油管本体2及びブリーザチューブ4の外周面側だけが加温されるようになるので(
図3のZ部分)、予め加温する連続部12のろう付け開始領域Rが入熱過多によって変形してしまうといったことが回避され、給油管本体2及びブリーザチューブ4を精度良く繋ぐことができる。
【0040】
尚、本発明の実施形態では、ミグろう付け装置10によって給油管本体2とブリーザチューブ4とを互いに繋いだが、これら給油管本体2及びブリーザチューブ4ではない2つの金属筒部材を繋ぐ場合にも本発明のミグろう付け装置10及びミグろう付け方法を適用することができる。
【0041】
また、本発明の実施形態では、給油管本体2の一端側に形成された貫通孔2aに上記ブリーザチューブ4の一端側を嵌入することでブリーザチューブ4の一端側外周面を給油管本体2の外周面に連続させた状態にしてミグろう付けをしているが、これに限らず、例えば、ブリーザチューブ4の一端周縁を貫通孔2a周縁に当接させることでブリーザチューブ4の一端側外周面を給油管本体2の外周面に連続させた状態にしてミグろう付けをしてもよい。
【0042】
さらに、本発明の実施形態では、ろう付け用トーチ5を用いて連続部12に沿ってろう付けをする際、ろう付け用トーチ5だけでなく近赤外線照射器7も同時に移動させているが、当該近赤外線照射器7は上記ろう付け用トーチ5と同時に移動させることが必須要件ではなく、例えば、近赤外線照射器7をろう付け開始領域Rの近くに固定していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、2つの金属製筒部材のうちの一方の一端側外周面全周を他方の外周面に連続させた状態において、その連続部をミグろう付けにて繋ぐミグろう付け装置及びミグろう付け方法に適している。
【符号の説明】
【0044】
1 燃料給油管
2 給油管本体(第2筒部材)
4 ブリーザチューブ(第1筒部材)
5 ろう付け用トーチ
5d ろう材
7 近赤外線照射器(加温手段)
10 ミグろう付け装置
12 連続部
13 ろう付け部
R ろう付け開始領域