特許第6552180号(P6552180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552180
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】超音波流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   G01F1/66 A
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-221631(P2014-221631)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-87397(P2015-87397A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2017年7月5日
(31)【優先権主張番号】10 2013 018 187.9
(32)【優先日】2013年10月30日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2014 002 223.4
(32)【優先日】2014年2月21日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2014 004 747.4
(32)【優先日】2014年4月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591168600
【氏名又は名称】クローネ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Krohne AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】イェルーン マルティン ファン クロースター
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−507623(JP,A)
【文献】 特開昭63−026537(JP,A)
【文献】 特表平09−511570(JP,A)
【文献】 特開2009−014611(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/098234(WO,A1)
【文献】 実開昭62−132425(JP,U)
【文献】 特開昭60−035220(JP,A)
【文献】 特開昭61−093914(JP,A)
【文献】 特開昭60−219513(JP,A)
【文献】 米国特許第07086286(US,B1)
【文献】 特開2003−202254(JP,A)
【文献】 特開2003−065817(JP,A)
【文献】 実開昭58−151818(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動媒体(1)の流量を測定するための超音波流量計であって、該超音波流量計が、測定管(2)と、1つの超音波変換器(3)とを備えており、測定管(2)が、変換器用ポケット(4)を有しており、超音波変換器(3)が、流動媒体(1)に接触するように測定管(2)の変換器用ポケット(4)内に設けられていて、変換器ハウジング(5)と変換器素子(6)とを有しており、変換器ハウジング(5)が、超音波窓(8)を有している、流動媒体の流量を測定するための超音波流量計において、
筒状の遮蔽体(9)が設けられており、該筒状の遮蔽体(9)は両端部において開放されており、遮蔽体(9)が、変換器ハウジング(5)の、測定管(2)の内部に向けられた端面側(7)に設けられていることを特徴とする、流動媒体の流量を測定するための超音波流量計。
【請求項2】
遮蔽体(9)が、変換器ハウジング(5)の超音波窓(8)に設けられている、請求項記載の超音波流量計。
【請求項3】
遮蔽体(9)が、変換器ハウジング(5)もしくは変換器ハウジング(5)の超音波窓(8)に固く結合されている、請求項または記載の超音波流量計。
【請求項4】
遮蔽体(9)と変換器ハウジング(5)もしくは変換器ハウジング(5)の超音波窓(8)とが、一体に形成されている、請求項記載の超音波流量計。
【請求項5】
遮蔽体(9)が、変換器ハウジング(5)もしくは変換器ハウジング(5)の超音波窓(8)に弾性的に結合されており、遮蔽体(9)の基部に設けられた複数の切欠き(11)によって、弾性的な結合が実現されている、請求項1または2記載の超音波流量計。
【請求項6】
遮蔽体(9)が、変換器ハウジング(5)もしくは変換器ハウジング(5)の超音波窓(8)に少なくとも1つの取付けエレメント(12)によって結合されている、請求項1、2、3たは記載の超音波流量計。
【請求項7】
遮蔽体(9)が、その直径に比べて相対的に少ない肉厚を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載の超音波流量計。
【請求項8】
遮蔽体(9)が、測定管(2)の内部に向けられた変換器ハウジング(5)の端面(7)における超音波窓(8)に対して、変換器ハウジング(5)の延在方向に延びる軸線に関して軸線対称的に形成かつ/または配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の超音波流量計。
【請求項9】
遮蔽体(9)が、変換器ハウジング(5)もしくは変換器ハウジング(5)の超音波窓(8)と反対の端部に、平らな端面(14)を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載の超音波流量計。
【請求項10】
前記遮蔽体が、前記変換器ハウジングもしくは前記変換器ハウジングの前記超音波窓と反対の端部に、1つの平面内に位置しない端面を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載の超音波流量計。
【請求項11】
遮蔽体(9)の外径が、変換器用ポケット(4)の内径よりも小さく寸法設定されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の超音波流量計。
【請求項12】
遮蔽体(9)が、測定管(2)内に全く突出していないかまたは僅かしか突出していない、請求項1から11までのいずれか1項記載の超音波流量計。
【請求項13】
遮蔽体(9)が、金属、プラスチックまたはセラミックスから成っている、請求項1から12までのいずれか1項記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動媒体の流量を測定するための超音波流量計であって、該超音波流量計が、測定管と、1つの超音波変換器とを備えており、測定管が、変換器用ポケットを有しており、超音波変換器が、流動媒体に接触するように測定管の変換器用ポケット内に設けられていて、変換器ハウジングと変換器素子とを有しており、変換器ハウジングが、超音波窓を有している、流動媒体の流量を測定するための超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
前述した超音波流量計は、この超音波流量計に測定管と超音波変換器とが含まれている限り、通常の超音波流量計である。しかしながら、以下では、測定管を有しておらず、むしろ、測定管が、測定すべき媒体流量が通流する管路、たとえば導管路の一体部分であるようなものも、超音波流量計として解釈することにする。
【0003】
超音波流量計の使用は、すでに長い間、液体およびガス(共にまとめて流動媒体と呼ぶ)の動作流量測定において、ますます重要性を増している。超音波流量計による流量測定は、たとえば磁気誘導型の流量計の場合、「非接触式」に、すなわち、流れ内に組み込まれた、常に渦形成および高められた圧力損失の原因となる障害物なしに行われる。
【0004】
超音波流量計では、測定法に関して、特にドップラー法と伝搬時間法とが区別され、この伝搬時間法では、直接的な伝搬時間差法と、パルス列周波数法と、位相シフト法とが区別される(expert出版のBonfig/Bartz/Wolffにより出版されたH.Bernard著の「Sensoren, Messaufnehmer」における「Ultraschall-Durchflussmessung」ならびにVDI/VDE-Richtlinie 2642の「Ultraschall-Durchflussmessung von Fluessigkeiten in voll durchstroemten Rohrleitungen」参照)。
【0005】
このような超音波流量計には、機能のために必要なものとして、通常では流入区間および流出区間と共に測定区間を成す測定管と、部分的に測定ヘッドとも呼ばれる少なくとも1つの超音波変換器とが含まれている。この超音波変換器は極めて一般的に解釈されてよい。まず、超音波変換器には、超音波送信器、すなわち、超音波信号を発生させて放射するための測定ヘッドと、超音波受信器、すなわち、超音波信号を受信して、受信した超音波信号を電気的な信号に変換するための測定ヘッドとが含まれている。しかしながら、超音波変換器には、超音波送信器と超音波受信器とを1つにまとめた測定ヘッド、すなわち、超音波信号の発生および放射だけでなく、超音波信号の受信および電気的な信号への受信した超音波信号の変換のためにも働く測定ヘッドも含まれる。
【0006】
後者のタイプの超音波変換器は、ただ1つの超音波変換器で作業する超音波流量計に使用される。このような超音波流量計は、流動媒体の不均質性において反射された超音波信号のドップラーシフト(ドップラー効果)によって、流動媒体の速度を測定する。また、超音波信号のドップラーシフトを、測定管の互いに反対の側にオフセットなしに配置された2つの超音波変換器を介して測定することも同様に可能である。
【0007】
また、2つの超音波変換器が測定管の同一の側に流れ方向でずらされて配置されている、伝搬時間法をベースとした超音波流量測定も可能である。この超音波流量測定では、超音波信号が、測定管の、超音波変換器と反対の側に位置する面で反射される。通常では、流動媒体の流れ方向で互いにずらされて配置された2つの超音波変換器が設けられている。
【0008】
冒頭ですでに述べたように、このような超音波流量計には、測定管と、1つの超音波変換器とが含まれており、測定管が、変換器用ポケットを有しており、超音波変換器が、流動媒体に接触するように測定管の変換器用ポケット内に設けられている。しかし、本発明は、当然ながら、複数の超音波変換器を備えた超音波流量計にも関する。すなわち、この超音波流量計では、測定管が結果的に複数の変換器用ポケットも有している。
【0009】
本発明の範囲内では、測定管の流れ横断面の範囲外に位置する切欠きまたは凹部が、どう実現されていようとも、変換器用ポケットを成している。この変換器用ポケット内には、超音波変換器が、測定管の流れ横断面内に突出しておらず、いずれにせよ、測定管の流れ横断面内に大幅には突出していない、すなわち、流れに影響を与えず、いずれにせよ、流れに多大には影響を与えないように組み込まれている。複数の超音波変換器が流れ方向で互いにずらされて設けられている場合には、これらの超音波変換器は互いに整合されている。通常では、変換器用ポケットの長手方向軸線は、流動媒体の流れ方向もしくは測定管の長手方向軸線に対して鋭角もしくは鈍角を成して延びている(上述した文献「Sensoren, Messaufnehmer」の第532頁、Bild 6.1.1、上述したVDI/VDE-Richtlinie 2642の第18頁、Bild 8およびHarcourt Brace Jovanovichにより出版されたLawrence C. Lynnworth(ACADE-MIC PRESS, INC)著の「Ultrasonic Measurements for Process Control」の第21頁、Fig. 2-2参照)。
【0010】
超音波変換器が流動媒体に接触しない、すなわち、測定管の外部に配置されている、いわゆる「クランプオン配置型」の超音波流量計も存在する。しかし、本発明は、超音波変換器が流動媒体に接触する超音波流量計にのみ関する。
【0011】
変換器用ポケットによって、測定管内の流動媒体の流れに影響が与えられずにいることはなく、むしろ、変換器用ポケットによって、流れ内に渦が形成される。この渦の形成の研究および形成過程の説明は、現今の学術的な研究分野である。主として、渦形成は、キャビティ共鳴理論(cavity resonance theory)によって説明することができる。この理論について以下に簡単に説明する。
【0012】
一般性を失うことなく、測定管に位置する開放された直方体の形のキャビティに基づき説明を行う。この場合、開放された面は流れ通路に向けられている。しかしながら、この説明は、変換器用ポケットのあらゆる形状に難なく転用可能である。キャビティは、5つの閉鎖された面、つまり、1つのキャビティ底面と4つの側面とを有している。説明のために、ただ2つの側面、つまり、流れ方向に対して垂直な第1の側面と、流れ方向に対して垂直な第2の側面とが重要となる。第1の側面は、流れ方向で見て、第2の側面の上流側に位置している。
【0013】
渦の形成時に発現する現象もしくはメカニズムは、1つには、いわゆる「剪断層モード(shear layer modes)」であり、もう1つには、いわゆる「後流モード」である。一般的に、互いに異なる速度を有する2つの平行な流れの間の移行領域が、自由剪断層と呼ばれる。剪断層モードは、キャビティの長さおよび深さと、媒体内の音速に対する媒体の速度の比を示すマッハ数M=U/cと、境界面層厚さδとに関連している。境界面層とは、粘性力が慣性力と同じオーダ内にある測定管壁の近くの流れ領域のことである。この場合、粘性力が影響を与える区間が、境界面層厚さと呼ばれる。ここで、剪断層モードに起因した渦の形成について以下に説明する。
【0014】
キャビティと、測定管内に位置する「外側領域」との間には、自由剪断層が形成される。通常、この自由剪断層は不安定であり、障害物を有している。キャビティを取り囲む自由剪断層の障害物は、キャビティの第2の側面、すなわち、流れ方向で見て下流側の側面に衝突する。よどみ点圧力によって、上流側で伝搬する音響パルスもしくは音響波が発生させられる。この音響波は、剪断層の下方で伝搬する音響波と、剪断層の上方の連続的に伝搬する音響波との間に圧力差を形成する。この圧力差が剪断層に影響を与えて、剪断層の更なる障害物が形成され、剪断層が「巻かれ」、下流側で伝搬する渦を形作るようになっている。下流側で運動させられる渦もやはりキャビティの第2の側面に衝突する。これによって、系を励起しかつ維持するためのフィードバックループが閉じられ、更なる渦が形成される。すなわち、周期的に非定常な圧力変動により発現する流れ状態が形成される。
【0015】
Rossiterにより導かれた、方形のキャビティに対する経験式によって、キャビティフィードバック共鳴周波数を算定することができる。それは、
【数1】
である。この場合、Stは、ストローハル数であり、fは、渦の剥離周波数であり、Lは、キャビティの長さであり、Uは、流速であり、αは、剪断層流れの衝突と、キャビティの第2の側面での音響波/音響パルスの放出もしくは発生との間の時間的な遅れを示す係数であり、κは、渦の対流速度と媒体の自由流動速度との間の比であり、Mは、マッハ数である。
【0016】
上記公式に基づき認められるように、ストローハル数Stはマッハ数Mに関連している。しかしながら、ストローハル数Stが、いわば一定である、すなわち、マッハ数Mにほぼ左右されない事例も存在することが判っている。このことから、剪断層モードに基づく渦形成メカニズムが単独のものではなく、むしろ、純粋流体力学的な不安定現象に基づく別のメカニズムが存在しているに違いないことが仮定される。この別のメカニズムは、いわゆる「後流モード」によって説明がつく。後流モードは、特に高いレイノルズ数の場合に生じる。このメカニズムにより形成された渦は、剪断層モードに起因した渦よりも低い剥離周波数を有している。後流モードは、自由剪断層とキャビティ流れとの間の相互作用が著しく強く際立っていることに起因して、無秩序な特性を有する極めて非定常な流れによって特徴づけられている。
【0017】
変換器用ポケットにより形成される渦の結果として生じる前述した問題を解決するために、すでに、変換器用ポケットをプラスチックで埋め尽くすことが提案されている(上述した文献「Ultrasonic Measurements for Process Control」の第257頁、Fig. 4-9参照)。しかしながら、この提案では、超音波変換器が外側から測定管に取り付けられている、すなわち、いわゆる「クランプオン配置型」の超音波流量計と同じ、スネルの法則(屈折の法則)に基づく欠点が生じる。付加的には、音響インピーダンスに伴う問題と、変換器用ポケットを、特により高い温度で埋め尽くすプラスチックに伴う問題とが存在する。変換器用ポケットをプラスチックで埋め尽くすことに関連した欠点および問題が、何故この構成が実際に採用されなかったのかということの理由である。
【0018】
当業者は、すでに、変換器用ポケットにより形成される渦の結果として生じる問題に別の方法でも取り組んでいる。これについては、独国特許第19648784号明細書、米国特許第6189389号明細書、米国特許第6748811号明細書および国際公開第2012084392号にも示されている。独国特許第19648784号明細書、米国特許第6189389号明細書および米国特許第6748811号明細書に基づき、変換器用ポケットが入口側に、メッシュを有する格子体を備えている超音波流量計が公知である。国際公開第2012084392号には、別の実施の形態、つまり、測定管の変換器用ポケット内に、超音波変換器の超音波窓の前方で、この超音波変換器の超音波窓に対して垂直に案内金属薄板が挿入されているような実施の形態が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】独国特許第19648784号明細書
【特許文献2】米国特許第6189389号明細書
【特許文献3】米国特許第6748811号明細書
【特許文献4】国際公開第2012084392号
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】「Sensoren, Messaufnehmer」(H.Bernard著/expert出版)の「Ultraschall-Durchflussmessung」
【非特許文献2】VDI/VDE-Richtlinie 2642の「Ultraschall-Durchflussmessung von Fluessigkeiten in voll durchstroemten Rohrleitungen」
【非特許文献3】「Sensoren, Messaufnehmer」(H.Bernard著/expert出版)の第532頁、Bild 6.1.1
【非特許文献4】VDI/VDE-Richtlinie 2642の第18頁、Bild 8
【非特許文献5】「Ultrasonic Measurements for Process Control」(Lawrence C. Lynnworth著)の第21頁、Fig. 2-2
【非特許文献6】「Ultrasonic Measurements for Process Control」(Lawrence C. Lynnworth著)の第257頁、Fig. 4-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前述した先行技術と、変換器用ポケットにより形成される渦の結果として生じる前述した問題とを出発点として、本発明の課題は、変換器用ポケットにより形成される渦の結果として生じる問題が先行技術よりも良好に解決されている超音波流量計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この課題を解決するために、本発明に係る超音波流量計では、筒状の遮蔽体が設けられている。
【0023】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、管状に形成されている。
【0024】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、変換器ハウジングの、測定管の内部に向けられた端面側に設けられている。
【0025】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、変換器ハウジングの超音波窓に設けられている。
【0026】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、変換器ハウジングもしくは変換器ハウジングの超音波窓に固く結合されている。
【0027】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体と変換器ハウジングもしくは変換器ハウジングの超音波窓とが、一体に形成されている。
【0028】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、変換器ハウジングもしくは変換器ハウジングの超音波窓に弾性的に結合されており、特に遮蔽体の基部に設けられた複数の切欠きによって、弾性的な結合が実現されている。
【0029】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、変換器ハウジングもしくは変換器ハウジングの超音波窓に少なくとも1つの取付けエレメントによって結合されている。
【0030】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、前記遮蔽体が、前記測定管の前記変換器用ポケットの内壁に取り付けられている。
【0031】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、その直径に比べて相対的に少ない肉厚を有している。
【0032】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、変換器ハウジングの超音波窓に対して軸線対称的に形成かつ/または配置されている。
【0033】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、変換器ハウジングもしくは変換器ハウジングの超音波窓と反対の端部に、平らな端面を有している。
【0034】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、前記遮蔽体が、前記変換器ハウジングもしくは前記変換器ハウジングの前記超音波窓と反対の端部に、1つの平面内に位置しない端面を有している。
【0035】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体の外径が、変換器用ポケットの内径よりも小さく寸法設定されている。
【0036】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、流動媒体内に全く突出していないかまたは僅かしか突出していない。
【0037】
本発明に係る超音波流量計の好ましい態様では、遮蔽体が、金属、特に特殊鋼、金属合金、プラスチックまたはセラミックスから成っている。
【発明の効果】
【0038】
前述した課題を解決する本発明に係る超音波流量計は、まず、主として、筒状の遮蔽体が設けられていることを特徴としている。この遮蔽体は、好ましくは管状に形成されている。詳細には、筒状の遮蔽体、好ましくは管状に形成された遮蔽体は、1つには、測定経路に沿った渦の形成もしくは測定に対する渦の影響が減じられ、もう1つには、超音波信号もしくは超音波信号の伝搬経路に影響もしくは損害が与えられず、いずれにせよ、多大な影響もしくは損害が与えられないように実現されている。すなわち、本発明の根底にある思想は、変換器用ポケットでの渦形成を阻止することではなく、むしろ、形成された渦を超音波信号の伝搬経路に対して遮蔽することである。本発明では、超音波変換器の音響特性に対する遮蔽体の影響は無視できる程度のものでしかない。
【0039】
本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器の特別な実施の形態を、図面に示した実施の形態に関連して、以下でさらに詳しく説明する。ここで、補足的にのみ指摘しておくと、特別な事例では、超音波変換器の図示の幾何学形状および作業周波数に関連して、本発明により提案された遮蔽体それ自体が振動し始めてしまうことがある。この振動が過度に強くなると、遮蔽体が、超音波変換器により発生させられた信号と干渉し、ひいては、超音波信号に影響を与えてしまう。この問題を回避するために、本発明によれば、超音波変換器を筒状の遮蔽体から分離する特別な手段が設けられている。この点についても、図面に示した実施の形態に関連して、以下でさらに詳しく説明することを指摘しておく。
【0040】
詳細には、本発明に係る超音波流量計の構成および改良の種々異なる可能性が存在している。このことは、請求項1に従属する請求項および図面に関連した説明に示してある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】超音波変換器の第1の実施の形態を備えた本発明に係る超音波流量計の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した超音波流量計に含まれた超音波変換器の側面図である。
図3】本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器の第2の実施の形態を示す図である。
図4】本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器の第3の実施の形態を示す図である。
図5】本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器の第4の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0043】
図1に示した、流動媒体1の流量を測定するための超音波流量計には、測定管2と、1つの超音波変換器3とが含まれている。測定管2は変換器用ポケット4を有している。超音波変換器3は、流動媒体1に接触するように測定管2の変換器用ポケット4内に設けられていて、変換器ハウジング5と変換器素子6とを有している。変換器ハウジング5は、測定管2の内部に向けられた端面7に超音波窓8を有している。
【0044】
本発明によれば、遮蔽体9が設けられている。この遮蔽体9の目的、作用および構成について、以下に詳しく説明する。
【0045】
図1図3に示したように、これらの図面に示した、本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器3の実施の形態では、遮蔽体9が、変換器ハウジング5の、測定管2の内部に向けられた端面側7、具体的には、変換器ハウジング5の超音波窓8に設けられている。さらに、これらの実施の形態には、遮蔽体9が変換器ハウジング5もしくは変換器ハウジング5の超音波窓8に固く結合されていることが認められる。変換器ハウジング5もしくは変換器ハウジング5の超音波窓8への遮蔽体9の「固い結合」は、この遮蔽体9と変換器ハウジング5もしくは変換器ハウジング5の超音波窓8とが一体に形成されているように実現されていてもよい。
【0046】
図4に示した、本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器3の実施の形態では、遮蔽体9が変換器ハウジング5に所定の形式で弾性的に結合されている。つまり、変換器ハウジング5の超音波窓8への遮蔽体9の弾性的な結合が実現されてもよい。
【0047】
図1および図5にだけ示したように、超音波変換器3が変換器用ポケット4内に挿入されている場合には、遮蔽体9と変換器用ポケット4との間にキャビティ10が残されている。
【0048】
図3図5には、本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器3の特別な実施の形態が示してある。図3に示した実施の形態では、遮蔽体9の基部、すなわち、遮蔽体9が変換器ハウジング5の超音波窓8に結合されている部分に、複数の切欠き11が設けられている。これに対して、図4に示した実施の形態には、遮蔽体9が変換器ハウジング5に少なくとも1つの取付けエレメント12によって結合されていることが認められる。しかし、1つの取付けエレメントによる変換器ハウジング5の超音波窓8への遮蔽体9の結合も可能である。
【0049】
図面に示した、本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器3の全ての実施の形態では、遮蔽体9が、変換器ハウジング5の超音波窓8に結合されている(図1図3参照)かもしくは変換器ハウジング5に結合されている(図4参照)。しかし、遮蔽体9が、少なくとも1つの取付けエレメント12によって測定管2の変換器用ポケット4の内壁に取り付けられている図5に示した実施の形態も可能である。
【0050】
すでに詳しく上述したように、遮蔽体9を変換器ハウジング5もしくは変換器ハウジング5の超音波窓8に固く結合することができるものの、変換器ハウジング5もしくは変換器ハウジング5の超音波窓8への遮蔽体9の弾性的な結合も可能である。「固い結合」と「弾性的な結合」との間には、「境界が定まらない」中間段階が存在する。図1および図2に示した実施の形態では、遮蔽体9が変換器ハウジング5の超音波窓8に「特に固く」結合されているのに対して、図4に示した実施の形態には、遮蔽体9が変換器ハウジング5に「特に弾性的に」結合されていることが認められる。このためには、遮蔽体9と変換器ハウジング5の超音波窓8との間に自由空間13も実現されている。図1および図2に示した、遮蔽体9と変換器ハウジング5の超音波窓8との間の「特に固い」結合と、図4に示した、変換器ハウジング5への遮蔽体9の「特に弾性的な」結合との間に、図3に示した実施の形態が位置している。この実施の形態では、遮蔽体9の基部、すなわち、遮蔽体9が変換器ハウジング5の超音波窓8に結合されている部分に、複数の切欠き11が設けられていることによって、所定の弾性が実現されている。
【0051】
全ての図面に示した、本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器3の実施の形態を適正に解釈すれば、遮蔽体9が、それぞれ直径に比べて相対的に少ない肉厚を有しているという結論が難なく得られる。
【0052】
さらに、図1図4に示したように、本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器3の図示の実施の形態では、遮蔽体9が、それぞれ変換器ハウジング5の超音波窓8に対して軸線対称的に形成されており、図1図2および図4に示したように、これらの実施の形態では、遮蔽体9が、変換器ハウジング5もしくは変換器ハウジング5の超音波窓8と反対の端部に、平らな端面14を有している。しかし、遮蔽体が、変換器ハウジングもしくは変換器ハウジングの超音波窓と反対の端部に、1つの平面内に位置しない端面、特に変換器用ポケット4の領域における測定管2の湾曲に対応する端面を備えていることも可能である。
【0053】
さらに、念のために指摘しておくと、図面に示した、本発明に係る超音波流量計に含まれた超音波変換器3の全ての実施の形態に認められるように、遮蔽体9の外径は、変換器用ポケット4の内径よりも小さく寸法設定されており、遮蔽体9は、流動媒体1内に全く(または僅かしか)突出しておらず、遮蔽体9は、金属、特に特殊鋼、金属合金、プラスチックまたはセラミックスから成っていてよい。
【0054】
本発明に係る超音波流量計では、個々に前述した筒状、好ましくは管状の遮蔽体9が細部において実現されており、これによって、1つには、測定経路に沿った渦の形成もしくは測定に対する渦の影響が減じられ、もう1つには、超音波信号もしくは超音波信号の伝搬経路に影響もしくは損害が与えられず、いずれにせよ、多大な影響もしくは損害が与えられないようになっている。
【符号の説明】
【0055】
1 流動媒体
2 測定管
3 超音波変換器
4 変換器用ポケット
5 変換器ハウジング
6 変換器素子
7 端面側
8 超音波窓
9 遮蔽体
10 キャビティ
11 切欠き
12 取付けエレメント
13 自由空間
14 端面
図1
図2
図3
図4
図5