(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552182
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】体温計およびその装着部品
(51)【国際特許分類】
G01K 7/00 20060101AFI20190722BHJP
G01K 1/08 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
G01K7/00 341Z
G01K1/08 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-227101(P2014-227101)
(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公開番号】特開2016-90467(P2016-90467A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100161089
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 良一
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀樹
【審査官】
平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−123839(JP,U)
【文献】
実開昭60−134131(JP,U)
【文献】
特開平08−178757(JP,A)
【文献】
特開2014−062841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の本体部と、
前記本体部の先端に設けられた検温部と、
前記本体部に対して突出し、前記検温部が使用者の腋下に保持されるように前記本体部の一部とともに使用者の腕と胴体の間に挟まれる突出部と、を有し、
前記突出部は、前記本体部と合わせた体温計全体が折れ曲がった形状を有するように前記本体部に対して突出する棒状部材であり、
前記検温部が使用者の腋下に挟まれたときに、前記本体部の先端と前記突出部の先端との2か所で使用者の腕と胴体の間に保持される
ことを特徴とする体温計。
【請求項2】
前記突出部は、前記本体部に平行な位置と前記本体部に交差する位置との間で角度を変更可能に構成される、請求項1に記載の体温計。
【請求項3】
前記突出部は、前記本体部に平行な位置にあるときに、前記本体部を保護するカバーとして機能する、請求項2に記載の体温計。
【請求項4】
棒状の本体部と、
前記本体部の先端に設けられた検温部と、
前記本体部に対して突出し、前記検温部が使用者の腋下に保持されるように前記本体部の一部とともに使用者の腕と胴体の間に挟まれる突出部と、を有し、
前記突出部は、長さおよび幅が前記本体部よりも小さい帯状の弾性部材であり、前記本体部のうち使用者の腕と胴体の間に挟まれる部分において前記本体部に沿って配置され、長さ方向の両端が前記本体部に近接し前記長さ方向の中央が前記本体部から遠ざかるように湾曲している
ことを特徴とする体温計。
【請求項5】
前記突出部と同じ形状の弾性部材であり、前記本体部を間に挟んで前記突出部とは反対側における前記本体部の長さ方向の同じ位置に配置された第2の突出部をさらに有する、請求項4に記載の体温計。
【請求項6】
棒状の体温計に装着される装着部と、
前記装着部が体温計に装着された状態で前記体温計の本体部に対して突出し、前記体温計の検温部が使用者の腋下に保持されるように前記本体部の一部とともに使用者の腕と胴体の間に挟まれる突出部と、を有し、
前記突出部は、前記本体部と合わせた体温計全体が折れ曲がった形状を有するように前記本体部に対して突出する棒状部材であり、
前記検温部が使用者の腋下に挟まれたときに、前記本体部の先端と前記突出部の先端との2か所で使用者の腕と胴体の間に保持される
ことを特徴とする体温計の装着部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温計およびその装着部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、腋下に挟んで使用する水銀体温計は細長い本体形状を有し、電子体温計も水銀体温計を踏襲した細長い本体形状を有している。体温計を正しく使用するには、腋下の窪みの中心部に検温部の先端が当たるように、鉛直方向に対して30〜45度程度の斜め下方向から体温計を腋下に挟んで固定する必要がある。しかしながら、細長い形状では腋下に挟んだ際の安定性に欠けるため、体温計が使用者の腋下に適切な角度で安定して固定されるようにするための様々な改良が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、平板形状の本体部と、本体部の一方の端部に形成され、円弧または楕円弧形状の外周面を有し、その外周面上に複数の感温部が設けられた測定部とを備えることで、腋下に安定して固定されるようにした電子体温計が記載されている。また、特許文献2には、先端に温度センサが内蔵された測定部と、温度センサにより検出された温度に基づいて被検者の体温を算出する回路が内蔵された本体部とを備え、本体部が、測定部を回動可能に結合する結合部、および本体部の長軸方向に対して略平行な第1の位置とその長軸方向に対して所定の角度をなす第2の位置との間で測定部を回動させるための回動機構を備えることで、使用時に腋下に適切な角度で固定されるようにした電子体温計が記載されている。また、特許文献3には、体温計本体に取り付けられることで、検温時に体温計を腋から外れにくくするとともに、使用者が体温計を確実に保持できるようにする体温計紛失防止装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−22094号公報
【特許文献2】特開2014−62841号公報
【特許文献3】特開平6−78831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に高齢者には、毎日の健康チェックに体温を測る人が多い。しかしながら、高齢者や痩せている人は、皮下脂肪が少なく筋力も弱いことが多いため、上記の通り、通常の細長い体温計では測定中に体温計を安定して挟み続けることが難しいという問題がある。
【0006】
図8は、一般的な細長い体温計による測定温度の時間変化の例を示すグラフである。グラフの横軸は体温計が腋下に挿入されてからの経過時間t(秒)を示し、縦軸は体温計の検温部からの出力温度T(℃)を示す。実線のグラフは、体温計が腋下に正しく固定され正常に測定できた場合の結果を示し、破線のグラフは、体温計が腋下に正しく固定されず正常に測定できなかった場合の結果を示す。2つのグラフを比較すると、体温計が正しく固定されなかった場合には温度上昇が不安定になることがわかる。痩せている人の場合には、例えば5回の測定のうち1〜2回程度の頻度で、体温計が正しく固定されず、破線のグラフに示すように温度上昇が不安定になる。特に、体温計が予測式の電子体温計である場合には、腋下への挿入直後の温度上昇カーブから、数分後の温度上昇が飽和した時点での体温値を予測しているため、温度上昇が不安定になると、正しい予測値が得られなかったり、エラーになったりする。
【0007】
特許文献1の電子体温計のように、検温部を面積の広い楕円形状とすれば、挟みやすさは改善されるが、温度センサや検出回路を複数設ける必要があるため、体温計の製造コストが高くなる。また、特許文献2の電子体温計のように本体を折曲げ式とすれば、検温部を30度程度の角度で腋下に挿入しやすくはなるが、細長い本体を腋下に固定しづらいという点は依然として解決されない。また、特許文献3の体温計紛失防止装置も、体温計を腋から外れにくくするという効果はあるものの、細長い体温計本体を腋下に挟みやすくするものではない。
【0008】
そこで、本発明は、腋下に挟んで使用する体温計を、痩せている人にとっても挟みやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の体温計は、棒状の本体部と、本体部の先端に設けられた検温部と、本体部に対して突出し、検温部が使用者の腋下に保持されるように本体部の一部とともに使用者の腕と胴体の間に挟まれる突出部とを有することを特徴とする。
上記の突出部は、本体部と合わせた体温計全体が折れ曲がった形状を有するように本体部に対して突出する棒状部材であり、検温部が使用者の腋下に挟まれたときに、本体部の先端と突出部の先端との2か所で使用者の腕と胴体の間に保持されることが好ましい。
上記の突出部は、本体部に平行な位置と本体部に交差する位置との間で角度を変更可能に構成されることが好ましい。
上記の突出部は、本体部に平行な位置にあるときに、本体部を保護するカバーとして機能することが好ましい。
上記の突出部は、本体部のうち使用者の腕と胴体の間に挟まれる部分において本体部に沿って配置されて、挟まれる部分の太さを拡大することが好ましい。
上記の突出部は、湾曲した形状を有する弾性部材であることが好ましい。
上記の突出部は、本体部に対して着脱可能であることが好ましい。
また、体温計の装着部品は、棒状の体温計に装着される装着部と、装着部が体温計に装着された状態で体温計の本体部に対して突出し、体温計の検温部が使用者の腋下に保持されるように本体部の一部とともに使用者の腕と胴体の間に挟まれる突出部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、腋下に挟んで使用する体温計が、痩せている人にとっても挟みやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】体温計1による測定温度の時間変化の例を示すグラフである。
【
図6】体温計2による測定温度の時間変化の例を示すグラフである。
【
図8】一般的な細長い体温計による測定温度の時間変化の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、体温計およびその装着部品について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0013】
図1(A)〜
図1(C)は、体温計1の外観を示す模式図である。また、
図2は、体温計1の使用状態を説明する図である。
【0014】
図1(A)に示すように、体温計1は、本体部10と、検温部20と、突出部30とを有する。なお、体温計1は電子体温計であるが、本明細書でいう体温計は電子体温計には限定されず、電子式でない水銀体温計であってもよい。
【0015】
本体部10は、一般的な水銀体温計と同様に細長い棒状の形状を有し、その表面に表示部11およびスイッチ12を有する。表示部11は、測定中である旨や体温の測定値などを表示する。スイッチ12は、体温計1の電源のオン/オフや検温開始の操作などを行うためのスイッチである。また、本体部10は、その内部に、図示しない制御部や、使用者に検温完了を報知するための圧電ブザーなどを有する。
【0016】
検温部20は、本体部10の先端に設けられ、被測定部位の温度を検知する。検温部20は、サーミスタなどの感熱素子である体温センサと、その体温センサによる測定データから被測定部位の温度を検知する検知回路で構成される。検温部20で測定された温度値は、本体部10内の制御部に順次送られる。
【0017】
例えば体温計1が予測式の電子体温計である場合には、本体部10内の制御部は、検温部20から取得した温度値の変化率に基づき、検温部20が熱平衡状態になり温度上昇が安定状態に達したか否かを判定する。制御部は、温度上昇が安定状態に達したと判定すると検温を完了し、本体部10内の圧電ブザーを駆動させて使用者に検温完了を報知するとともに、測定された温度値を表示部11に表示させる。
【0018】
突出部30は、本体部10と合わせた体温計1全体が折れ曲がった形状を有するように本体部10の側面13から突出する、例えば樹脂製の棒状部材である。突出部30は、
図1(A)に矢印で示すように、本体部10に対する角度を変更可能に構成される。これにより、突出部30は、本体部10に平行な位置と本体部10に交差する位置との間で、本体部10に設けられた支点14(
図1(C)を参照)の周りに例えば約90度の角度だけ回転することができる。
図1(A)は、突出部30が本体部10にほぼ直交し、本体部10に交差する位置にある場合を示し、
図1(B)は、突出部30が本体部10に平行な位置にある場合を示す。
【0019】
体温計1は、使用時に、
図1(A)に示すように突出部30を本体部10に交差する位置に回転させた上で、
図2に示すように腋下に挿入される。突出部30を設けることで、体温計1は、検温部20が使用者の腋下に挟まれたときに、本体部10の先端部分と突出部30の先端部分との2か所で使用者の腕と胴体の間に保持される。このような2点保持により、体温計1は単なる棒状の体温計よりも安定して腋下に保持され、測定中に体温計1の位置がずれることなくその保持状態が持続されやすくなる。すなわち、突出部30は、本体部10の一部とともに使用者の腕と胴体の間に挟まれることで、腋下への検温部20の保持を補助する挟み補助部として機能する。
【0020】
また、本体部10にほぼ直交する角度で突出部30を突出させることにより、本体部10と突出部30が腋下に挟まれたときに、検温部20の先端は、自然に、鉛直方向に対して30〜45度程度の斜め下方向から腋下の窪みに当たる。これにより、体温計1は、安定して腋下に保持されるだけでなく、単なる棒状の体温計よりも確実に、腋下に適切な角度で当てられる。
【0021】
また、突出部30は、本体部10に平行な位置にあるときに、本体部10を保護するカバーとして機能する。
図1(B)および
図1(C)は、それぞれ、突出部30が本体部10に平行な位置にある場合の体温計1の正面図および側面図を示す。このように、突出部30をカバー兼用の折畳み式とすれば、体温計1を使用しないときには体温計1をコンパクトに収納することができ、使用時には、カバーを90度回転させるだけで、挟み補助部として機能する突出部30を設けることができる。
【0022】
なお、体温計1の突出部30は本体部10の側面13から突出しているが、本体部10の上面や背面など、側面13以外の部分から突出部が本体部10に対して突出するように構成してもよい。
【0023】
図3は、体温計1による測定温度の時間変化の例を示すグラフである。グラフの横軸は体温計1が腋下に挿入されてからの経過時間t(秒)を示し、縦軸は体温計1の検温部20からの出力温度T(℃)を示す。実線のグラフは、痩せていない人が体温計1を使用して測定した結果を示し、破線のグラフは、痩せている人が体温計1を使用して測定した結果を示す。体温計1では、単なる棒状の体温計の場合に起こり得る不安定な温度上昇は発生せず、
図3の2つのグラフからわかるように、使用者が痩せているか否かにかかわらず同じような温度上昇カーブが得られる。したがって、ジャックナイフのような折畳み式の挟み補助部である突出部30を設けることで、体温計1は高齢者や痩せている人でも腋下に安定して挟んで使用できることが、温度上昇の測定結果からも確かめられる。
【0024】
図4(A)〜
図4(C)は、体温計の装着部品40の模式図である。
図4(A)および
図4(B)は、それぞれ装着部品40の側面図および正面図を示し、
図4(C)は、装着部品40を既存の体温計1’に装着した状態を示す。
【0025】
装着部品40は、既存の体温計1’に着脱可能な例えば樹脂製の部品であり、装着部41および突出部42を有する。装着部41は、装着される体温計1’の幅に応じた大きさの溝が形成された部分であり、体温計1’の本体にはめ込みにより装着される。突出部42は、装着部41が体温計1’に装着された状態で体温計1’の本体部に対して突出する棒状部材である。突出部42は、装着部品40が体温計1’に装着されたときに、上記の突出部30と同様に、体温計1’の本体部の一部とともに使用者の腕と胴体の間に挟まれることで腋下への体温計1’の検温部の保持を補助する挟み補助部として機能する。このように、挟み補助部として機能する突出部は、カバーとして予め体温計に取り付けられたものではなく、必要に応じて使用者が使用時に取り付けるものであってもよい。
【0026】
図5(A)〜
図5(D)は、体温計2の外観を示す模式図である。このうち、
図5(A)〜
図5(C)は、それぞれ体温計2の正面図、側面図および背面図である。これらの図に示すように、体温計2は、本体部10と、検温部20と、突出部50とを有する。本体部10と検温部20は上記した体温計1のものと同じであり、体温計1と体温計2は突出部の形状のみが異なる。そこで、以下では、体温計2について、突出部50の形状および機能を中心に説明し、体温計1と重複する部分については説明を省略する。
【0027】
突出部50は、湾曲した形状(R形状)を有するばねなどの弾性部材であり、本体部10のうち使用者の腕と胴体の間に挟まれる検温部20側において本体部10に沿って配置され、その一端部にある環状の装着部51で本体部10にはめ込まれて固定される。
図5(D)に示すように、突出部50は、湾曲がつぶれるように押圧されたときに変形して、一定の反力(テンション)を発生させる。突出部50を設けることで、体温計2は、腋下に挟まれる部分が見かけ上太くなり、実際に腋下に挟まれたときに、腕の押圧力に対抗する反力を発生させる。これにより「挟んでいる感」が生じるため、体温計2は単なる棒状の体温計よりも安定して腋下に保持され、測定中に体温計2の位置がずれることなくその保持状態が持続されやすくなる。すなわち、突出部50は、本体部10の一部とともに使用者の腕と胴体の間に挟まれることで、腋下への検温部20の保持を補助する挟み補助部として機能する。
【0028】
また、突出部50は、装着部51を本体部10に対してスライドさせることができ、本体部10に対して着脱可能に構成されている。したがって、突出部50は、それ自体が独立した体温計の装着部品でもある。湾曲形状の大きさが異なる複数種類の突出部50を用意しておき、使用者が自分の体型に合った大きさの突出部50に交換できるようにしてもよい。また、このように突出部50が着脱可能であれば、突出部50を必要としない人が使用するときは突出部50を取り外して、体温計2を普通の電子体温計として使用することも可能である。
【0029】
なお、折畳み式の突出部30を有する体温計1は、使用時に突出部30を本体部10に交差する位置に回転させると単なる棒状の体温計より大きくなるが、本体部10に沿って湾曲した突出部50を有する体温計2であれば、大きさは棒状の体温計とあまり変わらない。このため、体温計1より体温計2の方が、例えば首元から腋下に挿入するときに便利である。
【0030】
図6は、体温計2による測定温度の時間変化の例を示すグラフである。グラフの横軸は体温計2が腋下に挿入されてからの経過時間t(秒)を示し、縦軸は体温計2の検温部20からの出力温度T(℃)を示す。実線のグラフは、痩せていない人が体温計2を使用して測定した結果を示し、破線のグラフは、痩せている人が体温計2を使用して測定した結果を示す。体温計2では、単なる棒状の体温計の場合に起こり得る不安定な温度上昇は発生せず、
図6の2つのグラフからわかるように、使用者が痩せているか否かにかかわらず同じような温度上昇カーブが得られる。したがって、本体部10を見かけ上太くするとともに反発テンションを発生させる挟み補助部である突出部50を設けることで、体温計2は高齢者や痩せている人でも腋下に安定して挟んで使用できることが、温度上昇の測定結果からも確かめられる。
【0031】
図7(A)〜
図7(C)は、体温計の装着部品60の模式図である。
図7(A)および
図7(B)は、それぞれ装着部品60の側面図および正面図を示し、
図7(C)は、装着部品60を既存の体温計2’に装着した状態を示す。
【0032】
装着部品60は、既存の体温計2’に着脱可能な部品であり、装着部61および突出部62を有する。装着部61は、上記した突出部50の装着部51と同様に、装着される体温計2’の太さに応じた大きさの貫通孔を有し、体温計2’の本体にはめ込みにより装着される。突出部62は、突出部50と同様の湾曲した形状の2個のばねで構成され、それぞれの一端部が装着部61を挟んで互いに向かい合うように装着部61に固定される。このように、複数のばねで構成された突出部を有する装着部品60を装着すれば、体温計2’の両側面にばねが配置されるため、体温計2よりも腋下に挟まれる部分が見かけ上太くなり、腕の押圧力に対抗する反力も大きくなる。したがって、体温計2’は、体温計2よりもさらに安定して腋下に保持される。
【0033】
以上説明したように、体温計1,2および装着部品40,60によれば、既存の体温計と同じ細長い形状のままで、高齢者や痩せている人も含めたどんな人にとっても、体温計を腋下に挟むときの挟みやすさを改善させることができる。さらに、上記した改良は体温計の形状を大きく変更しないものであるため、使用者にとって違和感なく受け入れられるという利点もある。なお、上記では電子体温計の場合の例を説明したが、電子式でない水銀体温計に上記の突出部30、装着部品40、突出部50または装着部品60を設けてもよく、水銀体温計の挟みやすさも同様に改善することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1,2 体温計
10 本体部
11 表示部
12 スイッチ
13 側面
14 支点
20 検温部
30,50 突出部
40,60 装着部品
41,61 装着部
42,62 突出部