(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1)から3)の成分の合計量に対する前記2)の成分の割合[2)の成分/〔1)の成分+2)の成分+3)の成分〕]が、20質量%以上70質量%以下である請求項1から10のいずれかに記載の塗料組成物。
前記1)から3)の成分の合計量に対する前記3)の成分の割合[3)の成分/〔1)の成分+2)の成分+3)の成分〕]が、20質量%以上70質量%以下である請求項1から11のいずれかに記載の塗料組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記(i)の撥水性塗料では、撥水性がよいものもあるが、「超撥水性」を耐久試験後も維持する「撥水性の耐久性」に関しては充分とはいえなかった。
「超撥水性」を付与しながら、耐久試験後も係る「超撥水性」を維持できる「撥水性の耐久性」をも併せ持つ塗料を得ることは困難であった。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、「超撥水性」及び「撥水性の耐久性」に優れた塗膜を形成できる塗料組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、「超撥水性」及び「撥水性の耐久性」に優れた塗膜からなる超撥水フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記1)から5)の5つの成分を少なくとも含有することを特徴とする塗料組成物である。
1)フッ素を含有する多官能(メタ)アクリレート
2)フッ素を含有せず、かつ上記1)の成分と反応するバインダー成分
3)表面に有機基を有する金属酸化物ナノ粒子
4)ハンセン溶解度パラメータにおける極性項δPと水素結合項δHの合計(δP+δH)が、8MPa
1/2以上である溶剤
5)反応開始剤
<2> 前記合計(δP+δH)が、10MPa
1/2以上である前記<1>に記載の塗料組成物である。
<3> 前記合計(δP+δH)が、21MPa
1/2以下である前記<1>に記載の塗料組成物である。
<4> 前記金属酸化物ナノ粒子の表面に存在する有機基が、下記a)からc)の少なくともいずれかの基である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の塗料組成物である。
a)[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]シリル基
b)ジメチルシリル基
c)トリメチルシリル基
<5> 前記金属酸化物ナノ粒子表面の有機基が、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]シリル基である前記<4>に記載の塗料組成物である。
<6> 前記金属酸化物ナノ粒子が、シリカである前記<1>から<5>のいずれかに記載の塗料組成物である。
<7> 前記2)のバインダー成分が、(メタ)アクリルモノマーである前記<1>から<6>のいずれかに記載の塗料組成物である。
<8> 前記2)のバインダー成分が、多官能(メタ)アクリルモノマーである前記<7>に記載の塗料組成物である。
<9> 前記1)のフッ素を含有する多官能(メタ)アクリレートが、パーフルオロポリエーテルの骨格を有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の塗料組成物である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の塗料組成物によって形成された塗膜からなる超撥水フィルムであって、
水に対する接触角が、150°以上であることを特徴とする超撥水フィルムである。
<11> 表面粗さRaが、30nm以上である前記<10>に記載の超撥水フィルムである。
<12> 表面粗さRaが、40nm以上である前記<11>に記載の超撥水フィルムである。
<13> 可視光線透過率が、80%以上である前記<10>から<12>のいずれかに記載の超撥水フィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、「超撥水性」及び「撥水性の耐久性」に優れた塗膜を形成できる塗料組成物を提供することができる。
また、本発明は、「超撥水性」及び「撥水性の耐久性」に優れた塗膜からなる超撥水フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(塗料組成物)
本発明の塗料組成物は、下記1)から5)の5つの成分を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
1)フッ素を含有する多官能(メタ)アクリレート
2)フッ素を含有せず、かつ上記1)の成分と反応するバインダー成分
3)表面に有機基を有する金属酸化物ナノ粒子
4)ハンセン溶解度パラメータにおける極性項δPと水素結合項δHの合計(δP+δH)が、8MPa
1/2以上である溶剤
5)反応開始剤
【0011】
上記要件を満たす、本発明の塗料組成物は、「超撥水性」及び「撥水性の耐久性」に優れた塗膜を形成することができる。さらにまた、本発明の塗料組成物は、塗布ムラもなく透過性に優れた塗膜を形成することができる。
【0012】
前記特許文献1に記載の撥水性塗料は、実施例によると基板上に塗膜厚25μmで塗布され、その後、37℃で15分間乾燥、水洗され、さらに150℃で30分間乾燥されて、撥水塗膜を形成している。しかし、本発明者は、特許文献1の塗料組成物では、成膜した際の膜のゆるさゆえ、「撥水性の耐久性」は充分ではなく、特に、本発明の対象とする400nm以下の膜厚での成膜は不適当であるとの認識に至った。さらに、特許文献1の塗料組成物の成分構成では、膜は白濁しており、本発明の所望とする膜透過率は確保できないとの認識に至った。
【0013】
そこで、本発明者は、種々の実験を行った結果、モノマーを含有する塗料組成物を用い、モノマーの形で塗布し塗膜を形成した後、熱や紫外線等のエネルギー線を照射することにより、超撥水フィルムを形成する方法を用いること、及びその際、塗料組成物に含有させるモノマーや他の成分を特定のものとすることにより、「超撥水性」にも「撥水性の耐久性」にも優れた超撥水フィルムが得られることを見出した。
【0014】
本発明では、表面自由エネルギーを下げる効果のある前記1)の1)フッ素を含有する(メタ)アクリレートが多官能(メタ)アクリレートであることが重要である。(メタ)アクリレートが単官能(メタ)アクリレートであると充分な撥水性能が得られない。これはおそらく、単官能では、非架橋の塗膜が形成されるために、表面配向されたフッ素が固定化し難いためと考えられる。
【0015】
また、本発明では、基材に対する充分な接着力を確保するため、前記2)として、前記1)の(メタ)アクリレートと反応するバインダー成分を含有させることが重要である。
また、本発明では、塗膜の表面粗さを調整し、さらなる撥水性を得るため、前記3)の金属酸化物ナノ粒子が、前記1)のフッ素を含有する多官能(メタ)アクリレートや前記2)のバインダー成分との親和性を考慮し、金属酸化物ナノ粒子の分散性を良くするため、表面に有機基を有する金属酸化物ナノ粒子を含有させることが重要である。
さらにまた、本発明では、塗布する際の塗液の粘度を下げるために、前記1)から3)の成分を溶剤に溶解するが、溶剤のハンセン溶解度パラメータにおける極性項δPと水素結合項δHの合計(δP+δH)が、8MPa
1/2以上の溶剤を用いることが重要である。これにより、前記1)から3)の成分との親和性に優れ、これら成分の分散性を良くすることができ、撥水性に優れた塗膜が形成できると思われる。
【0016】
そして、これら全ての要件を満たした塗料組成物を用いて撥水フィルムを形成することにより、表面にフッ素が固定され、かつ3次元架橋された強化な撥水フィルムであって、かつ金属酸化物ナノ粒子の分散の程度やフィルムの表面粗さの程度が好ましい状態の撥水フィルムを得ることができる。係る撥水フィルムは、「超撥水性」、及び「撥水性の耐久性」に優れており、さらに塗布ムラもなく透過率もよいものとなる。
【0017】
<フッ素を含有する多官能(メタ)アクリレート>
本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルについての略称として、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートについての略称として、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルについての略称として、使用される。
前記フッ素を含有する多官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パーフルオロポリエーテルの骨格を有する多官能(メタ)アクリレートであるとより好ましい。
【0018】
前記フッ素を含有する多官能(メタ)アクリレートの分子量としては、特に制限はないが、1,000〜5,000程度であることが好ましい。
【0019】
前記フッ素を含有する多官能(メタ)アクリレートの含有量としては、
上記1)から3)の成分の合計量に対する1)の成分の割合、つまり、
1)の成分/( 1)の成分+2)の成分+3)の成分)が、
10質量%以上35質量%以下であるとよく、15質量%以上35質量%以下であるとより好ましい。
【0020】
尚、本発明では、1)の成分とは、1)フッ素を含有する多官能(メタ)アクリレートのことを、2)の成分とは、2)フッ素を含有せず、かつ上記1)の成分と反応するバインダー成分のことを、3)の成分とは、3)表面に有機基を有する金属酸化物ナノ粒子のことを、それぞれ示している。
【0021】
<フッ素を含有せず、かつ上記1)の成分と反応するバインダー成分>
フッ素を含有せず、かつ上記1)の成分と反応する上記2)に記載のバインダー成分としては、基材に対する充分な接着力を塗料組成物に付与するため、末端に(メタ)アクリル基を有するものであれば、モノマーでもオリゴマーでもポリマーでも特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
中でも、(メタ)アクリルモノマーが好ましい。さらに、前記(メタ)アクリルモノマーが、多官能(メタ)アクリルモノマーであると、塗膜中における凝集力を確保することができるため、より好ましい。
【0022】
前記(メタ)アクリルモノマーの含有量としては、
上記1)から3)の成分の合計量に対する2)の成分の割合、つまり
2)の成分/( 1)の成分+2)の成分+3)の成分)が、
20質量%以上70質量%以下であるとよく、25質量%以上55質量%以下であるとより好ましい。
【0023】
<表面に有機基を有する金属酸化物ナノ粒子>
前記金属酸化物ナノ粒子の表面に存在する有機基は、上記1)の成分や上記2)の成分との親和性の観点から、下記a)からc)に記載の少なくともいずれかの基であるとよい。
a)[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]シリル基
b)ジメチルシリル基
c)トリメチルシリル基
中でも、前記有機基が、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]シリル基であると、上記1)の成分や上記2)の成分との重合反応時に、化学的に結合され、より優れた親和性を得ることができるため、より好ましい。
【0024】
前記金属酸化物ナノ粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シリカであるとより好ましい。
前記金属酸化物ナノ粒子の平均粒径は、100nm以下であるとよく、5nm以上50nm以下のナノ粒子が好適に使用できる。
【0025】
前記表面に有機基を有する金属酸化物ナノ粒子の含有量としては、
3)の成分/( 1)の成分+2)の成分+3)の成分)が、
20質量%以上70質量%以下であるとよく、25質量%以上50質量%以下であるとより好ましい。
【0026】
<溶剤>
塗布する際の塗液の粘度を下げるために使用する、前記1)から3)の成分を溶解する溶剤としては、ハンセン溶解度パラメータにおける極性項δPと水素結合項δHの合計(δP+δH)が8MPa
1/2以上の溶剤を用いる。
さらに、前記合計(δP+δH)が、8.5MPa
1/2以上、より好ましくは10MPa
1/2以上であるとよい。また、前記合計(δP+δH)が、25MPa
1/2以下、より好ましくは21MPa
1/2以下であるとよい。これらの範囲であると、さらに良好な分散性が得られ、より撥水性の優れた塗膜を形成することができるからである。
【0027】
なお、ハンセン溶解度パラメータは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、ハンセン(Hansen)が分散項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)の3成分に分割し、3次元空間に示したものである。
ハンセン溶解度パラメータの定義および計算方法は、下記の文献に記載されている。
Charles M. Hansen著、「Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook」、CRCプレス、2007年。
溶媒が2種以上の溶媒を組み合わせた混合溶媒の場合は、混合溶媒の混合比(体積比)から平均のハンセン溶解度パラメータを求める。
【0028】
使用し得る溶剤としては、上記要件を満たすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアセトンアルコール(DAA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸ブチル(BA)、イソプロピルアルコール(IPA)、ジイソブチルケトン(DIBK)、酢酸ヘキシル(HA)などが挙げられる。
【0029】
<反応開始剤>
前記反応開始剤は、熱や光により、上記1)フッ素を含有する多官能(メタ)アクリレートや上記2)のバインダー成分(特に(メタ)アクリルモノマー)に重合反応を生じさせる重合開始剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、一般的にエネルギー線の照射によりラジカルを発生してラジカル重合反応を生じさせる物質が使用できる。
【0030】
<その他の成分>
前記その他の成分として、充填剤、酸化防止剤、粘度調整剤、レベリング剤等を含有してもよい。
また、本発明の効果に弊害が生じない程の少量であれば、フッ素を含有する単官能(メタ)アクリレートや、表面に有機基を有しない金属酸化物ナノ粒子を含有してもよい。
【0031】
(超撥水フィルム)
本発明の超撥水フィルムは、上記本発明の塗料組成物を基材の表面に塗布して塗膜を形成した後、前記溶剤を除去し、さらに加熱及び/又は光照射により重合反応を生じさせることにより形成することができる。
前記超撥水フィルムの平均厚みとしては、溶剤除去した乾燥工程後の塗膜の平均厚みが、74nm〜200nmになるように調整するとよい。
【0032】
<基材>
前記超撥水フィルムを形成する対象となる基材は、撥水性の付与が求められている基材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面の材料としては、金属、樹脂、ガラス、セラミック、これらの複合材料などが挙げられる。
【0033】
<フィルムの特性>
本発明の超撥水フィルムは、水に対する接触角が150°以上にすることができる。
水に対する接触角が150°以上であると、優れた撥水性や自己洗浄性能を発揮でき、実用上優れた撥水性フィルムとなる。
本発明の超撥水フィルムの算術平均表面粗さRaは、30nm以上、より好ましくは40nm以上とすることができる。Raを大きくすることで撥水性を高めることができる。
本発明の超撥水フィルムは、可視光線透過率が80%以上である。
このように透過率が高いため、窓ガラスやミラー、液晶画面等に使用する場合には、より効果が発揮される。
【0034】
<用途>
前記超撥水フィルムは、超撥水性能を有するフィルムとして様々な分野に適用することができ、例えば、窓ガラスや自動車のボディ、太陽電池パネル、信号機、公園の遊具等に使用することができる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
フッ素含有多官能アクリレート(商品名:KY1203、信越化学工業株式会社製 固形分20質量%)15質量部、多官能アクリルモノマー(商品名:PETIA、ダイセル・オルネクス株式会社製)55質量部、(メタクリロイルオキシアルキル)シリル基で表面修飾されたフュームドシリカ(平均粒径12nm、商品名AEROSIL R711、日本アエロジル株式会社製)30質量部、及び重合開始剤(商品名:Darocur1173 BASFジャパン株式会社製)3質量部を、固形分が5質量%となるように溶媒(DAA)を配合し、溶液を調整した。超音波で30分間、溶液を分散させた。
実施例1では下記表1に示すシリカ粒子を用いた。また、実施例1の塗料組成物の配合組成を下記表2に示す。尚、表2において、KY1203の欄には、KY1203に含まれているフッ素含有多官能アクリレートの量を記載している。
また、上記KY1203は、パーフルオロポリエーテルの構造を有する多官能アクリレートである。
【0037】
次に、その溶液をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(ルミラーU48、東レ株式会社製)上に、Select−Roller(OSP−03、オーエスジーシステムプロダクツ株式会社製)を用いて、wet膜厚が3μmになるように塗布した(塗布工程)。
その後、塗膜を80℃オーブン中で1分間加熱して、溶剤を揮発させた(乾燥工程)。乾燥後塗布膜の平均厚みは約150nmであった。
さらに乾燥工程後の塗膜に対して、コンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社製)のメタルハライドランプを用いて、2000mJ/cm
2となりように窒素雰囲気中で紫外線照射し、超撥水フィルムを得た。
【0038】
<超撥水性フィルムの評価>
作製した超撥水性フィルムに対し、下記の測定及び評価を行った。尚、塗布ムラの評価については、フィルムを作製する途中段階における、塗布工程後の塗膜と、乾燥工程後の塗膜に対して行った。
【0039】
<<接触角>>
協和界面科学製接触角試験機(DM−501)を用い、23℃の条件でフィルムに対する純水(2μL)の接触角を測定した。
【0040】
<<浸漬後の接触角>>
水に浸漬した後の接触角を測定し、撥水性の耐久性を評価した。
上記の方法により接触角を測定した後、フィルムを23℃の純水中に30分浸漬し、その後、乾燥させた。次に、乾燥後、再び上記の方法により水の接触角を測定した。
但し、接触角の値が悪く、浸漬後も同様に悪いかそれ以上に悪いことから、そもそも測定するに値しないレベルであるときは、“−”と表記し、測定を行わなかった。
【0041】
<<Ra(nm)>>
走査型プロープ顕微鏡(株式会社日立ハイテクサイエンス製、装置:SPA400(ユニット)、NanoNavi II(プローブステーション))を用いて、Dynamic Force Microscopeモードで、測定エリア:5μm×5μm、測定点数:256×256により得られた算術平均粗さをRaとした。
【0042】
<<透過率>>
分光光度計(V−560、日本分光株式会社製)を用いて基材を含むフィルムの光線透過率を測定し、400nm−800nmの平均透過率を測定した。
【0043】
<<塗布ムラ(目視)>>
上記塗布工程・乾燥工程後の塗膜に対して、塗布ムラの有無を目視にて確認した。
−評価基準−
○:塗布ムラが認められない
△:塗布時に若干の塗布ムラが認められるが、乾燥後は確認できない。
×:乾燥後にも塗布ムラが認められる。
【0044】
超撥水フィルムに対する、上記評価方法に基づく結果を下記表2に示す。
【0045】
(実施例2から8)
実施例1において、溶剤の種類を表2及び表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表2及び表3に示す。
尚、表2及び3中、例えば、実施例5のIPA50/PGMEA50は、体積比50:50(=1:1)でIPAとPGMEAとを混合した混合溶剤を表す。
【0046】
(実施例9から10)
実施例4において、フッ素含有多官能アクリレート(KY1203)の配合量を表3に示すように変え、表3に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0047】
(実施例11から12)
実施例4において、(メタクリロイルオキシアルキル)シリル基で表面修飾されたフュームドシリカ(AEROSIL R711)の配合量を表4に示すように変え、表4に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表4に示す。
【0048】
(実施例13から14)
実施例4において、フッ素含有多官能アクリレート(KY1203)を表4に示す他のフッ素含有多官能アクリレートに変え、表4に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表4に示す。
尚、実施例13で使用した、フッ素含有多官能アクリレートは、商品名:DAC−HP、ダイキン工業株式会社製 固形分20質量%である。また、実施例14で使用した、フッ素含有多官能アクリレートは、商品名:RS−75、DIC株式会社製 固形分40質量%である。
【0049】
(実施例15)
実施例4において、多官能アクリルモノマー(PETIA)を表4に示す他の多官能アクリルモノマーに変え、表4に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表4に示す。
尚、実施例15で使用した、多官能アクリルモノマーは、商品名:HDDA、ダイセル・オルネクス株式会社製である。
【0050】
(実施例16から17)
実施例4において、(メタクリロイルオキシアルキル)シリル基で表面修飾されたフュームドシリカ(AEROSIL R711)を表5に示す他のフュームドシリカに変え、表5に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表5に示す。
尚、実施例16で使用したフュームドシリカは、商品名:AEROSIL R976S、日本アエロジル株式会社製である。また、実施例17で使用したフュームドシリカは、商品名:AEROSIL RX200、日本アエロジル株式会社製である。それぞれのシリカ粒子についての詳細は、表1に示すとおりである。
【0051】
(実施例18)
実施例4において、多官能アクリルモノマー(PETIA)を表5に示す他の単官能アクリルモノマーに変え、表5に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表5に示す。
尚、実施例18で使用した、単官能アクリルモノマーは、商品名:CHDMMA、日本化成株式会社製である。
【0052】
(実施例19から20)
実施例1において、溶剤の種類を表5に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表5に示す。
【0053】
(比較例1)
実施例1において、溶剤の種類を表6に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表6に示す。
【0054】
(比較例2から3)
実施例4において、フッ素含有多官能アクリレート(KY1203)を表6に示すフッ素含有単官能アクリレートに変え、表6に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表6に示す。
尚、比較例2及び3で使用した、フッ素含有単官能アクリレートは、商品名:ビスコート13F、大阪有機化学工業株式会社製である。
【0055】
(比較例4)
実施例4において、フッ素含有多官能アクリレート(KY1203)を除き、表6に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表6に示す。
【0056】
(比較例5)
実施例4において、(メタクリロイルオキシアルキル)シリル基で表面修飾されたフュームドシリカ(AEROSIL R711)を表面修飾されていない表6に示すフュームドシリカに変え、表6に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表6に示す。
尚、比較例5で使用したフュームドシリカは、商品名:AEROSIL 300、日本アエロジル株式会社製である。係るシリカ粒子についての詳細は、表1に示すとおりである。
【0057】
(比較例6)
実施例4において、フュームドシリカ(AEROSIL R711)を除き、表7に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表7に示す。
【0058】
(比較例7)
実施例4において、フッ素含有多官能アクリレート(KY1203)を表7に示すフッ素含有単官能アクリレートに変え、多官能アクリルモノマー(PETIA)を表7に示す他の単官能アクリルモノマーに変え、表7に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表7に示す。
【0059】
(比較例8)
実施例4において、フッ素含有多官能アクリレート(KY1203)を表7に示すフッ素含有単官能アクリレートに変え、(メタクリロイルオキシアルキル)シリル基で表面修飾されたフュームドシリカ(AEROSIL R711)を表面修飾されていない表7に示すフュームドシリカに変え、表7に示す塗料組成物の配合組成とした以外は、実施例4で引用する実施例1と同様にして、超撥水フィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表7に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
実施例の結果から、本発明の超撥水フィルムが、「超撥水性」及び「撥水性の耐久性」に優れていること、さらに、塗布ムラや透過性についても良好な結果を示すことが確認できた。
比較例2、3、7、及び8では、フッ素含有多官能アクリレートに変え、フッ素含有単官能アクリレートを用いているが、フッ素含有単官能アクリレートを用いると、はじきによる塗布ムラが生じる。また、接触角の値も悪い。フッ素含有単官能アクリレートだと、表面にフッ素を固定化させにくいのではないかと思われる。一方、フッ素含有多官能アクリレートと反応させるバインダー成分であるアクリルモノマーは、多官能アクリルモノマーであっても、単官能アクリルモノマーであっても、本発明の所望の効果を示す(実施例18)。よって、実施例4、実施例18、比較例2、及び比較例7の結果から、フッ素を含有する(メタ)アクリレートが、単官能(メタ)アクリレートではなく、多官能(メタ)アクリレートであることが必要であることがわかった。
また、比較例5、及び8では、表面修飾されていない未処理シリカを用いると、分散性が悪く、接触角の値も悪く、凝集による塗布ムラも生じ、透過率も悪い。よって、実施例4、比較例2、比較例5、及び比較例8の結果から、フッ素を含有する(メタ)アクリレートが、多官能(メタ)アクリレートであることに加え、さらに、含有させる金属酸化物ナノ粒子の表面が有機基を有し、表面修飾されていることが必要であることもわかった。