(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接着剤と、アルコールおよび水の少なくとも一方の溶媒とを含む接着剤溶液を、ポリエチレン系フィルムまたはポリスチレン系フィルムの一方の表面上に付与し、乾燥することで接着層を形成する工程と、
前記ポリエチレン系フィルムと該ポリスチレン系フィルムとを前記接着層を介して接着する工程と、
を含む鮮度保持ラミネートフィルムの製造方法であって、
前記ポリエチレン系フィルムの、前記接着層と接する面とは反対側の表面に、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が0.002〜0.5g/m2存在し、
前記ポリスチレン系フィルムが、少なくとも1軸方向に延伸されている、
鮮度保持ラミネートフィルムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[鮮度保持ラミネートフィルム]
本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムは、ポリエチレン系フィルムと、ポリスチレン系フィルムとを備える鮮度保持ラミネートフィルムであって、前記ポリエチレン系フィルムの、外部に露出している側の表面に、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(以下、特定化合物とも示す)が、0.002〜0.5g/m
2存在する。
【0022】
本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムでは、ポリエチレン系フィルムの、外側に露出している表面、すなわちポリスチレン系フィルムとは反対側の表面に、特定化合物が0.002〜0.5g/m
2存在する。このため、該鮮度保持ラミネートフィルムは高い抗菌性を示し、鮮度保持性を有する。また、本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムは、ポリスチレン系フィルムを備える。該ポリスチレン系フィルムは、ポリエチレン系フィルムの高い酸素透過性を阻害することなく、鮮度保持ラミネートフィルムに手切れ性を付与することができる。このため、本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムは、高い抗菌性および高い酸素透過性を有し、かつ良好な手切れ性を有する。
【0023】
なお、本発明において鮮度保持ラミネートフィルムとは、例えば該鮮度保持ラミネートフィルムにより包装体を形成し、被包装物を該包装体内に封入した場合、該被包装物と接する該包装体表面の菌抑制作用により、該被包装物の鮮度が保たれる効果を有するラミネートフィルムをいう。
【0024】
<特定化合物>
本発明に係る特定化合物は、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物である。パルミチルジエタノールアミンは、炭素数16の長鎖アルキル基であるパルミチル基を有するアルキルジエタノールアミンである。ステアリルジエタノールアミンは、炭素数18の長鎖アルキル基であるステアリル基を有するアルキルジエタノールアミンである。グリセリンモノラウレートは、ラウリン酸(炭素数12)とグリセリンとのモノエステルである。ジグリセリンモノラウレートは、ラウリン酸(炭素数12)とジグリセリンとのモノエステルである。
【0025】
ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは、ミリスチルジエタノールアミンやラウリルジエタノールアミンに比べて融点が比較的高い。以下に、各アルキルジエタノールアミンの長鎖アルキル基の部分の炭素数と融点を示す。
【0026】
(アルキルジエタノールアミン;長鎖アルキル基の部分の炭素数;融点)
ステアリルジエタノールアミン;18個;51℃
パルミチルジエタノールアミン;16個;28℃
ミリスチルジエタノールアミン;14個;22〜23℃
ラウリルジエタノールアミン;12個;常温で液体。
【0027】
このため、例えば鮮度保持ラミネートフィルムを溶融成形する際、特に鮮度保持ラミネートフィルムが延伸フィルムである場合であって熱固定する際にも、ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは比較的揮発しにくい。また、ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは、抗菌性および鮮度保持性に優れる。さらに、鮮度保持ラミネートフィルムを包装体として用いる場合、ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは、包装体に接触する内容物である被包装物への移行が比較的遅く、安全性に優れており、さらにその性能を持続することができる。なお、「被包装物」を「内容物」と記すことがある。
【0028】
なお、本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムは、前記特定化合物以外に、前記特定化合物に類似する類似化合物を含有していてもよい。該類似化合物は、一般に特定化合物の合成、分離などの工程において、同時に合成されたり、分離が困難であったりする化合物である。特定化合物としてパルミチルジエタノールアミン(炭素数16)を用いる場合、類似化合物としてミリスチルジエタノールアミン(炭素数14)や、ステアリルジエタノールアミン(炭素数18)等の炭素数12〜20のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンが少量含まれてもよい。また、特定化合物としてステアリルジエタノールアミン(炭素数18)を用いる場合、類似化合物として炭素数16〜20のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンが少量含まれてもよい。また、特定化合物としてパルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミンを用いる場合には、これらの類似化合物のアミンの一部が脂肪族カルボン酸とエステルを形成した化合物が少量含まれてもよい。さらに、特定化合物としてグリセリンモノラウレートを用いる場合、類似化合物として炭素数が10、14等である高級直鎖脂肪族カルボン酸とグリセリンとのモノエステル等が少量含まれてもよい。また、特定化合物としてジグリセリンモノラウレートを用いる場合、類似化合物として炭素数が10、14等である高級脂肪族カルボン酸とジグリセリンとのモノエステル等が少量含まれてもよい。また、特定化合物としてグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレートを用いる場合、類似化合物として(ジ)グリセリンジエステル、(ジ)グリセリントリエステル等、さらにはグリセリン部分またはジグリセリン部分がトリグリセリンである化合物が少量含まれてもよい。また、前記類似化合物は、特定化合物100質量部に対して、50質量部以下含まれてもよく、40質量部以下含まれてもよいが、含まれないことが好ましい。
【0029】
<特定化合物の表面量、含有量>
本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムでは、ポリエチレン系フィルムの、外側に露出している表面(以下、単に表面とも示す)に、特定化合物が0.002〜0.5g/m
2存在する。ポリエチレン系フィルムの表面に特定化合物が0.002g/m
2以上存在することにより、鮮度保持ラミネートフィルムは十分な抗菌性を示す。また、ポリエチレン系フィルムの表面に特定化合物が0.5g/m
2以下存在することにより、特定化合物の内容物への移行を十分に抑制することができる。ポリエチレン系フィルムの表面に存在する特定化合物の量(以下、特定化合物の表面量とも示す)は、0.004〜0.4g/m
2が好ましく、0.01〜0.3g/m
2がより好ましく、0.02〜0.2g/m
2が更に好ましい。なお、特定化合物の表面量の測定は後述する方法により行う。
【0030】
ポリエチレン系フィルムの表面に特定化合物を前記範囲の量存在させる方法としては、ポリエチレン系フィルムの表面に特定化合物を噴霧する方法、およびポリエチレン系フィルムの表面に特定化合物を含む溶液や懸濁液を塗布する方法等のコート法、並びにポリエチレン系フィルム中に特定化合物を含有させ、特定化合物をポリエチレン系フィルムの表面にブリードアウトさせる方法等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン系フィルム中に特定化合物を含有させ、特定化合物をポリエチレン系フィルムの表面にブリードアウトさせる方法が好ましい。ポリエチレン系フィルム中に特定化合物を含有させる場合、ポリエチレン系フィルム中の特定化合物の含有量は0.001〜3質量%であることが好ましい。該含有量が0.001〜3質量%であることにより、特定化合物がポリエチレン系フィルムの表面に適量ブリードアウトし、ポリエチレン系フィルムの表面に特定化合物が0.002〜0.5g/m
2存在するようになる。該含有量は、0.01〜3質量%がより好ましく、0.1〜2質量%がさらに好ましい。なお、該含有量は、ポリエチレン系フィルム製造時にポリエチレン系フィルムの原料に対して添加する特定化合物の量から算出される値である。
【0031】
また、前記ポリエチレン系フィルム中の特定化合物の含有量は、ポリエチレン系フィルム全体に対する特定化合物の含有量を示す。例えば後述するようにポリエチレン系フィルムが複数の層からなり、特定化合物を含む層と含まない層が存在する場合には、該ポリエチレン系フィルム中の特定化合物の含有量は、ポリエチレン系フィルム全体としての平均値を示す。したがって、例えばポリエチレン系フィルムが2層以上からなる場合には、ポリエチレン系フィルムの表面に特定化合物が0.002〜0.5g/m
2存在すれば、ポリエチレン系フィルムの少なくとも1層に特定化合物が含有されていればよく、必ずしもポリエチレン系フィルムの全ての層に特定化合物が含有されている必要はない。
【0032】
<ポリエチレン系フィルム>
本発明に係るポリエチレン系フィルムは、エチレン系重合体を含む。該ポリエチレン系フィルムはエチレン系重合体を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことが更に好ましい。
【0033】
前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主要モノマーとし、それと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、そのケン化物及びアイオノマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などのエチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体が挙げられる。これらの共重合体中のα−オレフィン単位の割合は、1〜15モル%であることが好ましい。
【0034】
また、前記エチレン系重合体としては、ポリエチレンの名称で製造・販売されているエチレンの重合体が挙げられる。具体的には、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましく、LLDPEがより好ましい。LLDPEは、エチレンと、少量のプロピレン、ブテン−1、ヘプテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1等との共重合体であることができる。また、前記エチレン系重合体は、エチレンの単独重合体であってもよく、LLDPE等のエチレンを主体とする重合体であってもよい。
【0035】
前記エチレン系重合体の密度は0.910〜0.940g/cm
3が好ましく、0.920〜0.930g/cm
3がより好ましい。該密度が0.910g/cm
3以上であることにより、ヒートシール性が向上する。また、該密度が0.940g/cm
3以下であることにより、加工性および透明性が向上する。
【0036】
前記ポリエチレン系フィルムの厚さは、10〜100μmであることが好ましく、15〜80μmであることがより好ましく、20〜50μmであることが更に好ましい。該厚さが10μm以上であることにより、十分な抗菌性が得られる。また、該厚さが100μm以下であることにより十分な手切れ性が得られる。
【0037】
前記ポリエチレン系フィルムは、単層から構成されていてもよく、2層以上の多層から構成されていてもよい。例えば、ポリエチレン系フィルムと、ポリスチレン系フィルムとを後述する接着層により接着する場合、ポリエチレン系フィルムは、シール層、中間層および表面層(接着層と接する層)の3層からなることができる。前記ポリエチレン系フィルムが複数の層からなる場合、各層に含まれるエチレン系重合体の種類は、表面に特定化合物が0.002〜0.5g/m
2存在すれば、同じであっても異なっていてもよい。また、ポリエチレン系フィルムが特定化合物を含有する場合、各層で特定化合物の含有量は同じであっても異なっていてもよく、特定化合物を含まない層が存在していてもよい。
【0038】
前記ポリエチレン系フィルムが例えばシール層、中間層および表面層の3層からなる場合、特定化合物はシール層および中間層に含まれることが、抗菌性能を発現させるのに十分な量の特定化合物をシール層表面にブリードアウトさせることができる観点から好ましい。また表面層が特定化合物を含まないことが積層後のラミネート強度を低下させない観点から好ましい。シール層、中間層および表面層の厚みの比率は、表面層と中間層が十分な厚みを有するため鮮度保持ラミネートフィルムに腰感を与えることができ、またシール層も十分な厚みを有するため製袋時に十分なシール強度が得られる観点から、シール層/中間層/表面層=10/80/10〜40/20/40が好ましく、15/70/15〜30/40/30がより好ましい。
【0039】
<ポリスチレン系フィルム>
本発明に係るポリスチレン系フィルムは、ポリスチレン系樹脂を含む。ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレンおよび/またはポリスチレン系共重合樹脂をいう。該ポリスチレン系フィルムはポリスチレン系樹脂を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことが更に好ましい。ポリスチレン系樹脂の結晶性は特に限定されない。例えば、アタクチック構造、アイソタクチック構造、シンジオタック構造のポリスチレン系樹脂を用いることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、フィルムとしての加工性の観点から、非晶性のアタクチック構造のポリスチレン系樹脂を用いることが好ましい。また、鮮度保持ラミネートフィルムの透明性や、鮮度保持ラミネートフィルムの包装体への加工性の観点から、非晶性のアタクチック構造のポリスチレン系共重合樹脂を用いることがより好ましい。
【0040】
前記ポリスチレン系共重合樹脂とは、スチレンモノマーと他のモノマーとを共重合した樹脂をいう。他のモノマーとしては、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジフェニルエチレン等のスチレン系誘導体、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のアルキル置換メタクリレート化合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキル置換アクリレート化合物、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、N−置換無水マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロロスチレン、ブロモスチレン等のビニルモノマー等が挙げられる。これらの他のモノマーは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0041】
前記ポリスチレン系共重合樹脂に含まれる他のモノマー由来の単位の含有量は、適宜選定することができる。他のモノマーとして、例えばアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸を用いる場合には、樹脂の剛性が高く、延伸処理により手切れ性をより向上させることができる観点から、該含有量は3〜30質量%が好ましい。また、他のモノマーとして、例えばα−メチルスチレンを用いる場合には、樹脂の剛性が高く、手切れ性が良好である観点から、該含有量は9〜50質量%が好ましい。
【0042】
また、ポリスチレン系フィルムは、ポリスチレン系樹脂として、フィルムに加工する際、製膜性や耐衝撃性を与える目的で、耐衝撃性を有するポリスチレン系樹脂、ポリスチレン系のエラストマーを含むことができる。なお、ポリスチレン系のエラストマーとは、ポリスチレン系樹脂に耐衝撃性を与える物質で、一般的に室温でゴム弾性を有する部分を持つ物質であり、分子中にソフトセグメントを持つものをいう。
【0043】
耐衝撃性を有するポリスチレン系樹脂、ポリスチレン系のエラストマーとしては、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−共役ジエン系共重合物、スチレン−脂肪族カルボン酸系共重合物等が挙げられる。また、ポリスチレン系のエラストマーは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ブタジエンラバー等のソフトセグメントを持っていてもよい。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0044】
前記ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は特に限定されず、フィルム化する際に十分な溶融粘性が得られるものであればよい。例えば、10万〜100万とすることができる。なお、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される値である。
【0045】
ポリスチレン系フィルム中に残存するモノマー、ダイマー、トリマー等のスチレン系低分子量成分の含有量は特に限定されないが、被包装物への影響を考慮すると低い方が好ましく、10000ppm以下が好ましい。
【0046】
ポリスチレン系フィルムは、前記ポリスチレン系樹脂以外にも、フィルムに加工する際、製膜性や耐衝撃性を与える目的で、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル)等を含んでもよい。
【0047】
前記ポリスチレン系フィルムは、少なくとも1軸方向に延伸されていることが、鮮度保持ラミネートフィルムの手切れ性、および酸素透過性を向上させる観点から好ましい。ここで、手切れ性とは手で力を加えることでフィルムが直線的に裂けていく性質をいう。手切れ性は特に包装体から被包装物を取り出す場合における開封容易性の指標となる。
【0048】
ポリスチレン系フィルムの延伸方法としては特に限定されず、例えばインフレーション延伸法やテンター延伸法が挙げられる。例えばポリスチレン系フィルムを1軸方向に延伸する場合には、延伸倍率は1.5〜15倍であることが好ましく、2〜12倍であることがより好ましく、3〜10倍であることが更に好ましい。
【0049】
特に、ポリスチレン系フィルムを2軸方向に延伸することが、手切れ性の向上、即ち2方向での手切れ性が向上するため好ましい。
【0050】
インフレーション延伸法によりポリスチレン系フィルムを2軸方向に延伸する場合、延伸倍率は、手切れ性の向上の観点から、流れ(MD)方向、巾(TD)方向のそれぞれにおいて3〜12倍が好ましく、5〜10倍がより好ましい。
【0051】
テンター延伸法における同時2軸延伸法によりポリスチレン系フィルムを2軸方向に延伸する場合、延伸倍率は、手切れ性の向上の観点から、MD方向およびTD方向のそれぞれにおいて、1.5〜8倍が好ましく、2〜6倍がより好ましい。また、逐次2軸延伸テンター法では、手切れ性の向上の観点から、MD方向の延伸倍率は1.3〜4.0倍が好ましく、TD方向の延伸倍率は4〜8倍が好ましい。
【0052】
なお、ポリスチレン系フィルムの手切れ性は任意の方向にほぼ同じなため、いずれの方向からでも容易に開封することができ、その引き裂き方向は同方向に進み易い。
【0053】
ポリスチレン系フィルムの厚みは、適度な酸素透過性の保持、フィルム強度および手切れ性の観点から10〜50μmが好ましく、11〜30μmがより好ましく、12〜20μmが更に好ましい。該厚みが10μm以上であることにより、十分な手切れ性が得られる。また、該厚みが50μm以下であることにより、十分なフィルム強度および酸素透過性が得られる。ポリスチレン系フィルムは、単層から構成されていてもよく、2層以上の多層から構成されていてもよい。
【0054】
<他の添加剤>
前記ポリエチレン系フィルムおよび前記ポリスチレン系フィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、耐熱安定剤(酸化防止剤)、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料等の他、タルク、シリカ、珪藻土などの各種フィラー類を含んでもよい。
【0055】
耐熱安定剤としては、例えば、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系酸化防止剤、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系酸化防止剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、フェニルサルチレート、4−t−ブチルフェニルサリチレート等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0056】
帯電防止剤としては、例えば、アルキルアミンおよびその誘導体、高級アルコール、ピリジン誘導体、硫酸化油、石鹸類、オレフィンの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル類、脂肪酸エチルスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルナタレンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、琥珀酸エステルスルフォン酸塩、リン酸エステル塩、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトルのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0057】
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、高級アルコール、流動パラフィン等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0058】
紫外線吸収剤としては、例えば、エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0059】
防曇剤としては、前記特定化合物を除く化合物であり、例えば、高級脂肪族アルコール類、グリセリン脂肪酸類、ジグリセリン脂肪酸類、これらのモノ又はジグリセリン脂肪酸の酸エステル類、高級脂肪族アミン類、高級脂肪酸エステル類、これらの混合物等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0060】
前記ポリエチレン系フィルムが特定化合物を含む場合、他の添加剤と、前記特定化合物の類似化合物との合計の含有量は、特定化合物100質量部に対して、50質量部以下であってもよく、40質量部以下であってもよく、30質量部以下であってもよい。
【0061】
<接着層>
前記ポリエチレン系フィルムと、前記ポリスチレン系フィルムとは、接着剤と、アルコールおよび水の少なくとも一方の溶媒とを含む接着剤溶液を付与し、乾燥することで形成される接着層により接着されていることが、前記ポリエチレン系フィルム又は前記ポリスチレン系フィルムを該溶媒が侵さず、鮮度保持性が向上する観点から好ましい。
【0062】
前記接着剤としては、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、ポリエーテル系の接着剤を用いることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0063】
前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール(TBA)、ブタンジオール、エチルヘキサノールおよびベンジルアルコール等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0064】
前記接着剤溶液には、固形分濃度として15〜50質量%の接着剤が前記溶媒に溶解された状態で含まれることが好ましい。接着剤の固形分としての濃度が15質量%以上であることにより、溶媒除去のための工程が容易であり、製造コストを低くすることができる。また、接着剤の固形分としての濃度が50質量%以下であることにより、接着剤溶液の粘度が低くなり、接着剤溶液の塗布性が向上し、接着層を均一に形成することができる。接着剤の固形分としての濃度は20〜45質量%がより好ましく、25〜40質量%が更に好ましい。
【0065】
前記接着層の厚みは、0.1〜3μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。該厚みが0.1μm以上であることにより、十分な接着強度が得られる。また、該厚みが3μm以下であることにより、鮮度保持ラミネートフィルムの透明性が向上する。
【0066】
<酸素透過性>
本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムは、20℃、80%RHでの酸素透過度(JIS K 7126に準じて測定)が1000〜10000ml/m
2・MPaであることが、野菜等の鮮度保持性を向上させる観点から好ましい。包装体内部の野菜等は酸素濃度を1〜5%程度とすることで、呼吸、即ち生体活動を抑え、鮮度を維持できる。ここで呼吸量は野菜等の種類や量で決まるが、保管温度の影響も受ける。一般にカット野菜は酸素が多いと褐変が大きくなり、酸素が少ないと嫌気性菌が増えて悪臭が発生する。前記酸素透過度が1000〜10000ml/m
2・MPaであることにより、褐変、悪臭の発生をより抑制することができる。さらに、本発明では、前記酸素透過度による鮮度保持効果と、特定化合物による雑菌の抑制効果との相乗作用により、鮮度保持性を飛躍的に向上させることができる。前記酸素透過度は、1500〜6000ml/m
2・MPa以下であることがより好ましく、2000〜4000ml/m
2・MPa以下であることが更に好ましい。
【0067】
[鮮度保持ラミネートフィルムの製造方法]
本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムは、前記ポリエチレン系フィルムと前記ポリスチレン系フィルムとを積層して得られる。必要に応じて、前記ポリエチレン系フィルムおよび前記ポリスチレン系フィルム以外の他のフィルムを積層してもよい。
【0068】
積層方法としては特に限定されない。例えば、ポリエチレン系フィルムまたはポリスチレン系フィルムの少なくとも一方が溶融状態にあるときに積層させてもよい。例えば、ポリスチレン系フィルムの上に、溶融したエチレン系重合体を押し出してコートするウエットラミネーションによる方法が挙げられる。また、接着剤により貼着させる方法により積層してもよい。例えば、予め作製されたポリスチレン系フィルムとポリエチレン系フィルムとを接着剤を含む接着層により貼着させるドライラミネーションによる方法が挙げられる。
【0069】
これら積層方法の中でも、ドライラミネーションによる方法が抗菌性を有するポリエチレン系フィルムの厚さ等を精密に制御できるため好ましい。特に、接着剤と、アルコールおよび水の少なくとも一方の溶媒とを含む接着剤溶液を、ポリエチレン系フィルムまたはポリスチレン系フィルムの一方の表面上に付与し、乾燥することで接着層を形成する工程と、前記ポリエチレン系フィルムと該ポリスチレン系フィルムとを前記接着層を介して接着する工程と、を含む方法が好ましい。該接着剤溶液としては、前述した接着剤溶液を用いることができるが、ウレタン系の接着剤と、アルコールおよび水の少なくとも一方の溶媒とを含む接着剤溶液が、ポリエチレン系フィルムおよびポリスチレン系フィルムを侵さず、鮮度保持性が向上する観点から好ましい。
【0070】
前記接着剤溶液の付与量は、固形分としての接着剤の付与量が1〜5g/m
2となる量であることが好ましい。該付与量が1g/m
2以上であることにより、十分な接着強度が得られる。また、該付与量が5g/m
2以下であることにより、製造コストを低くすることができる。該付与量は1.5〜4.5g/m
2あることがより好ましく、2〜4g/m
2であることが更に好ましい。前記乾燥の温度は、接着剤の架橋反応を進め、十分なラミネート強度が得られる観点から、30〜100℃であることが好ましい。前記乾燥の温度は35〜90℃であることがより好ましく、40〜80℃であることが更に好ましい。なお、前記接着剤溶液を使用する場合には、接着剤溶液に含まれる溶媒をある程度揮発させた後に貼着することが、溶媒のポリエチレン系フィルムおよびポリスチレン系フィルムへの影響を少なくする観点から好ましい。すなわち、前記乾燥により接着層を完全に乾燥させる必要はなく、接着層内に溶媒が一部残存していてもよい。この場合、ポリエチレン系フィルムとポリスチレン系フィルムとを該接着層を介して積層させた後、乾燥することで、該接着層による接着性が向上する。また、接着剤溶液をポリエチレン系フィルムに付与しても、ポリスチレン系フィルムに付与してもよいが、ポリスチレン系フィルムに付与する方が、ポリエチレン系フィルムへの溶媒の影響を低減できるため好ましい。
【0071】
また、接着層によってポリエチレン系フィルムとポリスチレン系フィルムとを接着させる場合、接着層と接するフィルムの表面に対して、予めコロナ処理を施しておくことが接着安定性の観点から好ましい。具体的には、コロナ処理後のフィルム表面の表面張力が、35mN/m以上であることが好ましく、40mN/m以上であることがより好ましい。なお、該表面張力は、JISK6768に準じて和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液(例えばNO.35.0)が塗れるか塗れないかにより確認する。
【0072】
さらに、接着層によってポリエチレン系フィルムとポリスチレン系フィルムとを接着させる場合、接着性を高める目的で、接着層と接するフィルムの表面に対して、予めアンカーコート剤を付与しておくことが好ましい。該アンカーコート剤としては、接着性を高めるものであれば特に限定されないが、例えばウレタン系、イミン系、ブタジエン系、天然ゴム系、カゼイン、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、エーテル−無水マレイン酸系共重合体、ポリスチレン系重合体、ポリフェニレンエーテル系共重合体等のアンカーコート剤を使用できる。これらは一種を用いてもよく、二種以上併用してもよい。また、アンカーコート剤を溶媒に溶解した溶液を塗布することでアンカーコート剤を付与する場合には、フィルムが該溶媒で侵されないようにするために、該溶媒としてアルコールや水を使用することがより好ましい。アンカーコート剤の付与量は、接着性を向上させることができれば特に限定されないが、製造コストや酸素透過性の確保という観点から、乾燥質量で10mg/m
2以下が好ましく、5mg/m
2以下がより好ましい。なお、アンカーコート剤を付与する場合にも、アンカーコート剤の付与面の表面張力は、接着性向上の観点から35mN/m以上が好ましく、40mN/m以上がより好ましい。
【0073】
また、ポリエチレン系フィルムとポリスチレン系フィルムとをウエットラミネーションにより積層する場合であって、溶融したエチレン系重合体をポリスチレン系フィルムの表面上に押し出してコートする場合、エチレン系重合体を溶融押出する温度は、接着性の観点から280℃以上が好ましい。一方、ポリエチレン系フィルムに特定化合物を含有させる場合、特定化合物は高温でガス化し飛散するため、より効果的に抗菌性能を発現させる観点から、エチレン系重合体を溶融押出する温度は350℃以下が好ましい。
【0074】
[鮮度保持包装体およびその製造方法]
本発明に係る鮮度保持包装体は、本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムからなる。本発明に係る鮮度保持包装体は、例えば、前記鮮度保持ラミネートフィルムのポリエチレン系フィルムを内面として二つに折畳んで、両端をヒートシール、溶断シールなどにより封止することで製造することができる。また、二枚の前記鮮度保持ラミネートフィルムを、ポリエチレン系フィルムが内面になるように重ね合わせて、三方をヒートシール、溶断シールなどにより封止することで製造することもできる。前記鮮度保持包装体は、成形する前に必要に応じてポリスチレン系フィルムの表面に印刷処理を行ってもよい。前記鮮度保持包装体は、野菜、果物等の生鮮食品を包装するのに適している。
【0075】
特に、本発明に係る鮮度保持包装体は、本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムを、該鮮度保持ラミネートフィルムの水平面に対して略平行な方向に引っ張りながら、前記ポリエチレン系フィルムを内側にして折り畳み、引張り方向に対して略平行な端部同士を接着する工程(以下、ボトムシール工程とも示す)と、前記鮮度保持ラミネートフィルムの水平面に対して垂直な方向(1)から加熱された第一の圧着部材を、前記方向(1)とは反対の方向(2)から加熱されていない第二の圧着部材を押し当て、前記鮮度保持ラミネートフィルムを挟み、引張り方向に対して略垂直な長手方向を有する領域を接着する工程(以下、サイドシール工程1とも示す)と、前記第一の圧着部材および前記第二の圧着部材により接着された前記領域に対し、前記方向(1)から加熱されていない第三の圧着部材を、前記方向(2)から加熱された第四の圧着部材を押し当て、前記鮮度保持ラミネートフィルムを挟み、前記領域をさらに接着する工程(以下、サイドシール工程2とも示す)と、を含む方法により製造されることが好ましい。
【0076】
本発明に係る鮮度保持ラミネートフィルムは、ポリエチレン系フィルムと、ポリスチレン系フィルムとを備えるが、エチレン系重合体とポリスチレン系樹脂とでは融点差がほとんどない。このため、鮮度保持ラミネートフィルムを一方向に引っ張りながら、引張り方向に対して略垂直な長手方向を有する領域を加熱することでサイドシールを行う場合、加熱により該領域の鮮度保持ラミネートフィルムが溶けて、引っ張ることができなくなる。
【0077】
そこで、サイドシール工程を2回に分け、サイドシール工程1において、鮮度保持ラミネートフィルムの上に配置された圧着部材を加熱し、下に配置された圧着部材を加熱せずに、圧着し、その後、サイドシール工程2において、鮮度保持ラミネートフィルムの下に配置された圧着部材を加熱し、上に配置された圧着部材を加熱せずに、再度圧着する。または、サイドシール工程1において、鮮度保持ラミネートフィルムの下に配置された圧着部材を加熱し、上に配置された圧着部材を加熱せずに、圧着し、その後、サイドシール工程2において、鮮度保持ラミネートフィルムの上に配置された圧着部材を加熱し、下に配置された圧着部材を加熱せずに、再度圧着する。これにより、サイドシール工程1では上下いずれか一方の圧着部材のみが加熱されているため、圧着部において鮮度保持ラミネートフィルムが全て溶解することなく、引っ張ることができる。また、サイドシール工程2では他方の圧着部材のみが加熱されているため、鮮度保持ラミネートフィルムを引っ張りながらサイドシールを十分に行うことができる。
【0078】
以下、
図1により前記製造方法を具体的に説明する。なお、前記製造方法は
図1に示される方法に限定されない。
【0079】
まず、
図1(a)に示されるように、鮮度保持ラミネートフィルム1を、鮮度保持ラミネートフィルム1の水平面に対して略平行な方向(引張り方向2)に引っ張りながら、ポリエチレン系フィルムが内面となるように折り畳む。この時、折り目は引張り方向2と略平行である。次に、
図1(b)に示されるように、鮮度保持ラミネートフィルム1の、引張り方向2に対して略平行な端部同士を接着することで、ボトムシール部3を形成する。例えば、加熱された2つの圧着部材により該端部を上下から挟むことで、該端部を接着することができる。該圧着部材の加熱温度は、120〜150℃が好ましく、130〜140℃がより好ましい。ボトムシール部3の幅は特に限定されないが、例えば2〜10mmとすることができる。なお、「略」とは、ある方向に対して±10°の範囲内を示す。
【0080】
次に、
図1(c)に示されるように、鮮度保持ラミネートフィルム1の水平面に対して略垂直な方向(1)6から、加熱された第一の圧着部材4を、方向(1)6とは反対の方向(2)7から、加熱されていない第二の圧着部材5を、それぞれ鮮度保持ラミネートフィルム1に対して押し当てる。第一の圧着部材4の温度は、120〜150℃が好ましく、130〜140℃がより好ましい。第二の圧着部材5の温度は室温であることができる。これにより、
図1(d)に示されるように、第一の圧着部材4と第二の圧着部材5とにより鮮度保持ラミネートフィルム1を挟み、接着することで、引張り方向2に対して略垂直な長手方向を有する領域に、仮サイドシール部を形成する。この時、鮮度保持ラミネートフィルム1は引張り方向2に引っ張られているが、一方の圧着部材(第二の圧着部材5)が加熱されていないため、圧着部において鮮度保持ラミネートフィルム1は全て溶解せず、鮮度保持ラミネートフィルム1を引っ張ることができる。
【0081】
次に、
図1(e)に示されるように、前記仮サイドシール部に対し、方向(1)6から加熱されていない第三の圧着部材8を、方向(2)7から加熱された第四の圧着部材9をそれぞれ押し当てる。第三の圧着部材8の温度は室温であることができる。第四の圧着部材9の温度は、120〜150℃が好ましく、130〜140℃がより好ましい。これにより、
図1(f)に示されるように、該仮サイドシール部において、第三の圧着部材8と第四の圧着部材9とにより鮮度保持ラミネートフィルム1を挟み、再度接着を行い、サイドシール部を形成する。この時、鮮度保持ラミネートフィルム1は引張り方向2に引っ張られているが、一方の圧着部材(第三の圧着部材8)が加熱されていないため、圧着部において鮮度保持ラミネートフィルム1は全て溶解せず、鮮度保持ラミネートフィルム1を引っ張りながらサイドシール部において十分な接着を行うことができる。サイドシール部の幅は特に限定されないが、例えば2〜10mmとすることができる。
【0082】
その後、鮮度保持ラミネートフィルム1を冷却し、切断することで、袋状の鮮度保持包装体を得ることができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。また、以下の実施例および比較例における各評価は、下記の方法に従って行った。
【0084】
(鮮度保持ラミネートフィルム表面のステアリルジエタノールアミンの量(C18DEA表面量)(g/m
2))
鮮度保持ラミネートフィルムの、ポリエチレン系フィルムの表面(接着層と接する面とは反対側の表面)に存在するステアリルジエタノールアミン(C18DEA)の量を、以下の方法で求めた。23℃の環境下で鮮度保持ラミネートフィルムの表面(A4大、0.06m
2)をジクロロメタン(20ml)で洗浄し、その洗浄液を回収し、濃縮定容し、シリル化した。その後、Aglient Technologies社製のGC/MSを用いてステアリルジエタノールアミンを定量して、鮮度保持ラミネートフィルム表面のステアリルジエタノールアミンの量を求めた。なお、本発明においてステアリルジエタノールアミン以外の特定化合物を用いる場合にも、この方法により鮮度保持ラミネートフィルム表面における特定化合物の定量を行う。また、前述したコート法によりポリエチレン系フィルムの表面に特定化合物を付与する場合には、特定化合物のコート量から特定化合物の表面量を算出する。
【0085】
(抗菌試験)
JIS Z 2801に準じて、抗菌試験を、大腸菌(Escherichia coli)を用いて行った。但し、鮮度保持ラミネートフィルム(ポリエチレン系フィルム)の表面の状態を保つためにアルコールによるふき取りは行わなかった。また、それ以外にも一部条件を変更して行った。
【0086】
1/500普通ブイヨン培地に大腸菌(Escherichia coli)を規定数量(前記JIS試験で0.4ml用いたブイヨン)入れたものを、4cm角の鮮度保持ラミネートフィルム(ポリエチレン系フィルム)の表面に滴下した。該滴下物を、他の4cm角の鮮度保持ラミネートフィルム(ポリエチレン系フィルム)で挟み込んだ。これを35℃で24時間保持した後、鮮度保持ラミネートフィルム(ポリエチレン系フィルム)の表面を洗浄し、その普通ブイヨン培地を含む洗浄液を回収した。該洗浄液を、普通寒天培地を用いて培養してコロニーの数をカウントした。
【0087】
即ち、顕微鏡下で菌の個数をカウントすることは困難なため、コロニーの数を目視によりカウントし、その1グラム(g)あたりのコロニーの数を生菌数CFU(colony forming unit)(単位[個/g])とした。また、2枚の鮮度保持ラミネートフィルム(ポリエチレン系フィルム)の代わりに、2枚の抗菌成分を含まないポリエチレン系フィルムの間に挟み込んだサンプルをコントロール(Control)として、比較の基準とした。表1から4にはn=1から3の平均値も合わせて示した。但し、測定値のバラツキが10倍以上の場合には、JIS規格上平均値は計算できない。抗菌性能は以下の基準で評価した。
有り:24時間後の菌数がcontrolに比べて1/100以下である。
なし:24時間後の菌数がcontrolに比べて1/100よりも大きい。
【0088】
(手切れ性)
鮮度保持ラミネートフィルムの端に1辺2mmの正三角形のノッチをはさみで入れ、そこを起点に鮮度保持ラミネートフィルムを引き裂くことが出来るかを手で評価した。手切れ性は以下の基準で評価した。
有り:5cm以上鮮度保持ラミネートフィルムを引き裂くことができる。
なし:5cm以上鮮度保持ラミネートフィルムを引き裂くことができない。
【0089】
(酸素透過性)
JIS K 7126に準じて、鮮度保持ラミネートフィルムの20℃、80%RHでの酸素透過度[ml/m
2・MPa]を測定した。
【0090】
[実施例1]
(1)中間層の材料
中間層の材料には、直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製、密度:0.940g/cm
3、MFR:4.0g/10分、融点:117.3℃)に、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA、理研ビタミン社製)を添加した材料を用いた。該材料のステアリルジエタノールアミンの含有量は0.1質量%であった。
【0091】
(2)表面層(接着層と接する層)の材料
表面層の材料には、前記直鎖状低密度ポリエチレンに、シリカ(富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア730(平均粒径3μm))及びエルカ酸アミド(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:ATMERSA1753)を添加した材料を用いた。該材料のシリカ及びエルカ酸アミドの含有量は、それぞれ0.1質量%であった。
【0092】
(3)シール層の材料
シール層の材料には、直鎖状低密度ポリエチレン((三井化学社製、密度:0.92g/cm
3、MFR:4.0g/10分、融点:128℃)に、ステアリルジエタノールアミン(理研ビタミン社製)、シリカ(富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア730(平均粒径3μm))及びエルカ酸アミド(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:ATMERSA1753)を添加した材料を用いた。該材料のステアリルジエタノールアミン、シリカ及びエルカ酸アミドの含有量は、それぞれ0.1質量%であった。
【0093】
(4)ポリエチレン系フィルム1の製造
前記各材料を用いて、シール層/中間層/表面層の3層キャストフィルムであるポリエチレン系フィルム1を、各層の厚みの比率が20/60/20となるように製造した。ポリエチレン系フィルム1の成形は、押出機のダイス温度:200℃、チル温度:50℃の条件で行った。得られたポリエチレン系フィルム1の表面層の表面をコロナ処理した。コロナ処理された表面の表面張力が38mN/m以上であることを、和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液NO.38.0を用いて確認した。得られたポリエチレン系フィルム1の厚みは25μmであった。得られたポリエチレン系フィルム1に対して、前記抗菌試験を行った。結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
(5)鮮度保持ラミネートフィルムの製造
AD−393(商品名、東洋インキ製、接着剤:末端にアミノ基を有するポリウレタン尿素からなる有機ポリオール、固形分濃度としての接着剤濃度:50質量%)15質量部と、CAT−EP1(商品名、東洋インキ製、接着剤:エポキシ樹脂、固形分濃度としての接着剤濃度:84質量%)1質量部と、メタノール11質量部とを混合することで、接着剤溶液を調製した。該接着剤溶液中の固形分濃度としての接着剤濃度は31質量%であった。
【0096】
二軸延伸ポリスチレンフィルム(商品名:#13、エフピコ製、厚さ13μm)に、前記接着剤溶液を、該接着剤溶液の付与量が、固形分としての接着剤の付与量が2g/m
2となる量塗布した。その後、これを60m/分の速度で、40℃の第1オーブン、50℃の第2オーブン、および60℃の第3オーブンにこの順で通すことで、該接着剤溶液を乾燥させて接着層を形成した。該接着層を介して前記ポリエチレン系フィルム1と前記二軸延伸ポリスチレンフィルムとを接着することで、鮮度保持ラミネートフィルムを製造した。
【0097】
(6)鮮度保持包装体の製造
前記鮮度保持ラミネートフィルムを用いて、
図1に示す方法により鮮度保持包装体を製造した。加工機としてはTOTANI製の製袋機を使用した。
【0098】
まず、
図1(a)に示されるように、鮮度保持ラミネートフィルム1を、鮮度保持ラミネートフィルム1の水平面に対して略平行な方向(引張り方向2)に引っ張りながら、ポリエチレン系フィルムが内面となるように折り畳んだ。次に、
図1(b)に示されるように、鮮度保持ラミネートフィルム1の、引張り方向2に対して略平行な端部同士を135℃に加熱して接着することで、ボトムシール部3を形成した。次に、
図1(c)に示されるように、鮮度保持ラミネートフィルム1の水平面に対して略垂直な方向(1)6から、138℃に加熱された第一の圧着部材4を、方向(1)6とは反対の方向(2)7から、加熱されていない第二の圧着部材5を、鮮度保持ラミネートフィルム1に対して押し当てた。これにより、
図1(d)に示されるように、第一の圧着部材4と第二の圧着部材5とにより鮮度保持ラミネートフィルム1を挟み、接着することで、引張り方向2に対して略垂直な長手方向を有する、仮サイドシール部を形成した。次に、
図1(e)に示されるように、該仮サイドシール部に対し、方向(1)6から加熱されていない第三の圧着部材8を、方向(2)7から138℃に加熱された第四の圧着部材9を押し当てた。これにより、
図1(f)に示されるように、該仮サイドシール部において、第三の圧着部材8と第四の圧着部材9とにより鮮度保持ラミネートフィルム1を挟み、再度接着を行い、サイドシール部を形成した。
【0099】
その後、鮮度保持ラミネートフィルム1を冷却し、切断することで、内寸が200mm×300mm、サイドシール部の幅が3mm、ボトムシール部の幅が3mmの鮮度保持包装体を得た。なお、鮮度保持包装体の製造速度は75ショット/分であった。
【0100】
得られた鮮度保持包装体について、前記評価を行った。結果を表2に示す。
【0101】
[比較例1]
中間層およびシール層の材料として、ステアリルジエタノールアミンを添加しない材料を用いた以外は実施例1のポリエチレン系フィルム1と同様にポリエチレン系フィルム2を製造した。得られたポリエチレン系フィルム2に対して、前記抗菌試験を行った。結果を表1に示す。また、該ポリエチレン系フィルム2を用いた以外は実施例1と同様に鮮度保持ラミネートフィルムおよび鮮度保持包装体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0102】
[比較例2]
ポリエチレン系フィルム2に、二軸延伸ポリスチレンフィルムを接着しなかった以外は、比較例1と同様に鮮度保持包装体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
表2に示されるように、抗菌性を有するポリエチレン系フィルム1に2軸延伸ポリスチレンフィルムをラミネートした実施例1は、抗菌性に優れ、かつ手切れ性に優れていた。また、酸素透過度も1000〜10000ml/m
2・MPaの範囲内であり、生鮮食品を包装するのに適していた。
【0105】
一方、抗菌性を有さないポリエチレン系フィルム2に2軸延伸ポリスチレンフィルムをラミネートした比較例1は、手切れ性に優れているものの、抗菌性を有さなかった。また、ポリエチレン系フィルム1単体からなる比較例2は、抗菌性は有するものの手切れ性が低かった。