特許第6552214号(P6552214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552214
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】電車線のテンションバランサ
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/26 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   B60M1/26 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-32068(P2015-32068)
(22)【出願日】2015年2月20日
(65)【公開番号】特開2016-153284(P2016-153284A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2018年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】畠山 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】半田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】山川 盛実
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−088109(JP,A)
【文献】 特開2009−263944(JP,A)
【文献】 特開平06−016068(JP,A)
【文献】 特開平09−240328(JP,A)
【文献】 特開2012−101667(JP,A)
【文献】 特開平02−286786(JP,A)
【文献】 特開平08−216739(JP,A)
【文献】 特開2001−275240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車線の一端部を電車線の伸縮量にかかわらずほぼ一定の張力を維持したまま構築物に支持するテンションバランサであって、
前記構築物に枢支されたガス圧ばねと、前記構築物に枢支され前記ガス圧ばねと前記電車線の一端部を連結する回転アームとを具備し、
前記ガス圧ばねは、圧縮ガスが封入されるケースと、当該ケースに出入り自在に挿入され突出方向に前記圧縮ガスの反力が生じるロッドとを具備し、当該ロッドを上方に向け、前記ケースの上部において前記構築物に枢支され、
前記回転アームは、前記構築物への枢着点から延出する第1の腕に前記電車線が係止され、前記第1の腕に対して所定角度を置いて前記枢着点から延出する第2の腕に前記ガス圧ばねのロッドが枢着され、
前記電車線の温度変化による伸縮に伴う前記回転アームの回転変位に対して、前記ガス圧ばねの圧縮ガスの膨張、収縮による前記ロッドの出入りに伴う前記回転アームの回転変位を同期させるように設定されることを特徴とする電車線のテンションバランサ。
【請求項2】
前記回転アームの枢着点からロッドの枢着点までの長さが、前記回転アームの枢着点から前記電車線の係止点までの長さより短いことを特徴とする請求項1に記載の電車線のテンションバランサ。
【請求項3】
前記ガス圧ばねは、前記構築物に支持されるフレームに枢着され、
前記フレームには、前記回転アームの回転変位を指示するインジケータを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電車線のテンションバランサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度変化等により伸縮する電車線を一定の張力で支持するためのテンションバランサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電車線は、温度変化による伸縮や、クリープ、電車線の摩耗による弾性伸び、さらに経年による支持物の傾斜などにより、張力が影響を受けるため、電車線の張力を一定範囲に保持する手段を講じる必要がある。
従来、例えば特許文献1に記載のテンションバランサは、支柱に固定したばねケースに、一端をばねケースの上端に、他端をばね受け板に当接させた縦方向に圧縮変形するばねを収容すると共に、ばね受け板に結合したリンクロッドをばねケースに出入り自在に挿入する。回動アームは、ばねケースに固定したフレームに枢着し、またリンクロッドを連結すると共に、電車線につながるテンションロッドを連結し、電車線に張力を付与するようにばね力で回転付勢する。
このテンションバランサにおいては、電車線の伸縮によって、回動アームがフレームとの枢着点を中心に回動すると、リンクロッドはばね受部との連結点を中心に傾斜回動しながら、ばねケースを出入りする。しかし、ばねケースは支柱に固定されているため、リンクロッドとばねケースの軸方向とが一致せず、リンクロッドはばね受部のばねケースの軸に沿った引き上げを阻害される。
これに対して、特許文献2に記載のテンションバランサは、リンクロッドに相当する内側可動部を挿通したばねケースに相当する外側筐体の下端を支柱に回転可能に軸支している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-166583号公報
【特許文献2】特開2012-101667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のテンションバランサにおいては、いずれも使用するばねがコイルばねであるから、高張力を得るためにコイルばねの線材が太くなり、重量も大きくなる。大重量のコイルばねは自重によるたわみのためばねケースと摩擦接触し、回動アームに対するリンクロッドの追従が阻害されるし、経年の性能低下を招くおそれがある。また、特許文献2に記載のように外側筐体を回動可能に軸支しても、外側筐体の軸支点と回動連結部の枢着点との距離が長く、外側筐体の軸に対して内側可動部の軸が一致するように追随し難く、外側筐体の出入り口と内側可動部との摺動抵抗が大きくなるおそれがある。
そこで本発明は、コイルばねを使用することなく、小型軽量に構成すると共に、ケースの軸に対してロッドの軸が一致するように追随し易く、摺動抵抗を低減するテンションバランサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明においては、上記従来の問題点を解決するため、電車線Tの一端部を電車線Tの伸縮量にかかわらずほぼ一定の張力を維持したまま支持するテンションバランサ1を構成する。構築物に上下に回転可能に軸支されたケース4を、作動油が充填される油圧室6と圧縮ガスが封入されるガス圧室7とにベローズ5で仕切り、油圧室6に出入り可能にロッド8を挿入してガス圧ばね2を構成する。構築物Pに回転自在に枢着し、この枢着点から距離をおいて電車線Tを引き留め、枢着点周りの電車線Tの張力を受け留める位置にガス圧ばね2のロッド8が連結して回転アームを構成する。電車線Tの許容範囲の伸縮に伴う回転アーム3の回転変位に対して、ガス圧ばねのガス圧室7の膨張,収縮によるロッド8の出入りに伴う回転アーム3の回転変位がほぼ同等に構成した。
回転アーム3の枢着点からロッド8の連結点までの長さが、回転アーム3の枢着点から電車線Tの連結点までの長さより短くして、ロッド8のストロークを短くした。
ガス圧ばね2は、構築物Pに支持されるフレーム9に枢着し、このフレーム9に、回転アーム3の回転変位を指示するインジケータ14を備えた。
【発明の効果】
【0006】
この発明においては、ガス圧ばねでロッドを付勢するので、小型軽量で簡易の構成にも関わらず、電車線を所定の張力で支持することができる。また、コイルばねを使用しないので、従来のようなコイルばねとケースとの摩擦接触が発生せず、ケースがロッドの出入り動に良好に追随し、電車線の伸縮に対する円滑な対応動作を維持できる。さらに、ケースの上部を回転可能に軸支するので、ロッドと回転アームの連結点とケースの軸支点との距離が短縮されて、ロッドの出入り動に対するケースの追随がより円滑になり、ケースとロッドの摺動抵抗を低減することができる。回転アームの枢支点からロッドの連結点までの長さが、回転アームの枢支点から電車線Tの連結点までの長さより短くすれば、電車線の伸縮に対するガス圧ばねのロッドのストロークを小さく構成できるから、ガス圧ばねの小型化を図ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るテンションバランサの斜視図である。
図2図1のテンションバランサの正面図である。
図3図1のテンションバランサの側面図である。
図4図1のテンションバランサの平面図である。
図5】ガス圧ばねの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の一形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図4において、テンションバランサ1は、鉄道線路の側部に立設された構築物である支柱Pに支持されるガス圧ばね2と、同じく支柱Pに支持され、電車線T及びガス圧ばね2が連結される回転アーム3を具備している。
【0009】
ガス圧ばね2は、図5に示すように、円筒状のケース4と、ケース4内を作動油が充填される油圧室6と窒素ガスが充填されるガス圧室7とに仕切るベローズ5と、ケース4の油圧室6に出入り自在に挿入されるロッド8とを具備する。ケース4は、支柱P周りに締め付け固定される上下二つの固定バンド10に結合された下部フレーム9に縦方向に回転自在に軸支される。下部フレーム9は、間隔を置いて対向する左右一対のブラケット9a,9aの上端部に支持軸9bでケース4を軸支する。ベローズ5は軸線方向に伸縮可能な円筒状をなし、開口端がケース4の油圧室6側の端蓋に固着され、閉塞端が軸線方向に中間部付近で終結して、作動油が気密に充填される。ロッド8はケース4の端蓋を摺動可能に貫通して一端側がベローズ5内に挿入され、ケース4外に突出する他端側がケース4の端面とロッド8の端部に固定された伸縮自在のカバー11で覆われる。
【0010】
回転アーム3は、左右に間隔を置いて平行に対向するアーム片3aが、枢軸3b,3c,3dにより結合して構成される。アーム片3aは、異なる長さの三辺からなるほぼ直角三角形の各辺を構成する帯板鋼材が環状に連続して構成される。枢軸3bは回転アーム3の直角部を上部フレーム12に縦方向に回転自在に支持する。上部フレーム12は、支柱P周りに締め付け固定される上下二つの固定バンド13に固定される。枢軸3cは、回転アーム3の上端角部に電車線Tを連結する。枢軸3dは、回転アーム3の斜辺部の下端にロッド8の上端部を回転自在に連結する。回転アーム3の枢支点(枢軸3b)からロッド8の連結点(枢軸3d)までの長さは、回転アーム3の枢支点(枢軸3b)から電車線Tの連結点(枢軸3c)までの長さより短い。上部フレーム12には、電車線Tの伸縮長を指示するインジケータ14を備える。インジケータ14は、回転アーム3に表示された指針が上部フレーム12上に表示された目盛を指示する。
【0011】
このテンションバランサ1は、回転アーム3を所定気温において電車線に所定の張力がかかる基準の姿勢位置(図2の実線)に配置するようにガス圧ばね2及び回転アーム3を調整して設置される。この回転アーム3の基準の姿勢位置は、直角部を挟む短辺をほぼ水平に、長辺をほぼ垂直に配置したものである。
夏季などに気温が高くなった場合、ガス圧ばね2のケース4内の窒素ガスが膨張してガス圧室7を拡張し、ベローズ5の縮小変形に伴う油圧室6内の加圧によりロッド8を押し出す。ケース4外のロッド8の伸長により、回転アーム3が枢軸3bを中心に回転移動する。一方、気温に対応して電車線Tの伸びが生じて回転アーム3が枢軸3bを中心に回転移動する。このとき、電車線Tとロッド8との伸長量による回転アーム3の回転変位が同じになるように設置時に調整すれば、電車線Tの張力は一定となる。
一方、冬季などに気温が低くなった場合、ガス圧ばね2のケース4内の窒素ガスが収縮してガス圧室7を縮小し、ベローズ5の拡大変形に伴う油圧室6内の減圧によりロッド8が引き込まれる。ケース4の外部のロッド8の短縮により、ロッド8の枢軸3cと回転アーム3の枢軸3bとの距離が狭まるように回転アーム3が枢軸3bを中心に回転移動する。電車線Tの縮みとロッド8の短縮量が同じになるから電車線Tの張力は一定となる。
ガス圧ばね2は、従来のコイルばねと比較して、窒素ガス、作動油を使用することで軽量化でき、このため自重によるロッド8とケース4の摺動抵抗が小さく、電車線の伸縮に円滑に追従する。また、ガス圧ばね2の支持軸9bを回転アーム3の枢軸3bの近くに配置したことで、ケース4の軸に対してロッド8の軸が一致し易くより円滑に追随する。さらに、回転アーム3の枢支点(枢軸3b)からロッド8の連結点(3d)までの長さが、回転アーム3の枢支点(枢軸3b)から電車線Tの連結点(枢軸3c)までの長さより短いので、回転アーム3の回転変位による枢軸3dの変位量が枢軸3cの変位量より小さくなるので、電車線Tの伸縮に対するガス圧ばね2のロッド8のストロークを小さく構成でき、ガス圧ばね2の小型化を図れる。
【符号の説明】
【0012】
1 テンションバランサ
2 ガス圧ばね
3 回転アーム
3b 枢軸
3c 枢軸
3d 枢軸
4 ケース
5 ベローズ
6 油圧室
7 ガス圧室
8 ロッド
9 下部フレーム
9b 支持軸
10 固定バンド
13 固定バンド
12 上部フレーム
14 インジケータ
14a 指針
14b 目盛
P 支柱
T 電車線
図1
図2
図3
図4
図5