特許第6552246号(P6552246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6552246-ロープ用ストランド及びロープ 図000005
  • 特許6552246-ロープ用ストランド及びロープ 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552246
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ロープ用ストランド及びロープ
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/04 20060101AFI20190722BHJP
   D03D 3/02 20060101ALI20190722BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20190722BHJP
   D03D 15/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   D07B1/04
   D03D3/02
   D03D1/00 Z
   D03D15/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-74796(P2015-74796)
(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公開番号】特開2016-194172(P2016-194172A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082027
【弁理士】
【氏名又は名称】竹安 英雄
(72)【発明者】
【氏名】小阪 俊之
(72)【発明者】
【氏名】森本 崇介
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−095552(JP,A)
【文献】 特開2014−111851(JP,A)
【文献】 特開2000−178888(JP,A)
【文献】 特開平03−008878(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/069299(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B 1/00− 9/00
D03D 1/00−27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たて糸(2)とよこ糸(3)とを筒状に織成した筒状織物(4)と、当該筒状織物(4)内にその長さ方向に対して平行に集束された、前記筒状織物(4)のたて糸(2)と同種の素材よりなる芯材(5)とよりなるロープ用ストランド(1)において、前記筒状織物(4)の織り組織が綾織り組織であり、且つ前記筒状織物(4)におけるたて糸(2)と芯材(5)との長さが、下記の式を満足することを特徴とする、ロープ用ストランド
【数2】
:ストランドを切り出した単位長さ
:ストランドの単位長さ当たりの筒状織物のたて糸の織り込み長さ
:ストランドの単位長さ当たりの芯材の長さ
【請求項2】
前記筒状織物(4)のたて糸(2)及び芯材(5)が、高強度高弾性繊維よりなることを特徴とする、請求項1に記載のロープ用ストランド
【請求項3】
前記筒状織物(4)の織り組織が3/1綾織り組織であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロープ用ストランド
【請求項4】
前記筒状織物(4)が、環状織機で織成されていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載のロープ用ストランド
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載のロープ用ストランド(1)を撚り合わせ、又は組み合わせてなることを特徴とする、ロープ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロープ用ストランド及び当該ストランドを使用したロープに関するものであって、特に船舶を係留したり、海上構造物を海底から係留するための海洋リグ固定用のロープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にロープは、複数の原糸を撚り合わせてヤーンを形成し、当該ヤーンをさらに複数本撚り合わせてストランドとし、さらに当該ストランドをより合わせ又は組み合わせてロープとしている。
【0003】
三本のストランドを撚り合わせたものを三つ撚りロープ又は三つ打ちロープと称し、八本のストランドを組み合わせたものをクロスロープ又は八つ打ちロープと称している。さらに四本のストランドを撚り合わせた四つ打ちロープや、十二本または十六本組み合わせたロープも使用されている。
【0004】
而してこれらのロープにおけるストランドとして、特開2014−111851号公報に見られるように、たて糸とよこ糸とを筒状に織成した筒状織物内に、複数の繊維を引き揃えた芯材を挿通したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−111851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の三つ撚りロープやクロスロープにおいては、ヤーンを形成するために原糸を二度・三度と繰り返して撚り合わせ、さらにそのヤーンを撚り合わせてストランドとし、さらに当該ストランドをより合わせ又は組み合わせることによりロープを形成している。
【0007】
そのため最終的なストランド又はロープにおいては、個々の原糸が繰り返して撚られることにより、ロープの長さに対して原糸の長さが長くなり、ロープにテンションがかかったときの伸び率が大きいものとなると共に、繊維が本来有する引っ張り強さを十分に活かすことができなかった。
【0008】
またロープの太さが大きくなるにつれて、ストランドを構成するヤーンの本数が増加し、ストランドの中心部と周辺部とでヤーンの長さが異なり、複数のヤーンの張力を合わせることが困難であり、繊維の強度の利用率が低下していた。
【0009】
また前記公報に記載されたストランド又はロープにおいては、ストランドの芯材が略平行に延びているため、比較的強度の利用率が高いロープが得られているが、それでも十分とは言えなかった。特に破断時伸度が10%未満であるような高機能繊維をストランドのたて糸として使用したような場合に問題がある。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、前記公報に記載された構造のストランド又はロープにおいて、強度の利用率がさらに高いロープを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
たて糸とよこ糸とを筒状に織成した筒状織物と、当該筒状織物内にその長さ方向に対して平行に集束された、前記筒状織物のたて糸と同種の素材よりなる芯材とよりなるロープ用ストランドにおいて、前記筒状織物の織り組織が綾織り組織であり、且つ前記筒状織物におけるたて糸と芯材との長さが、下記の式を満足することを特徴とする、ロープ用ストランド
【0012】
【数1】
L0 :ストランドを切り出した単位長さ
L1 :ストランドの単位長さ当たりの筒状織物のたて糸の織り込み長さ
L2 :ストランドの単位長さ当たりの芯材の長さ
【0013】
本発明のロープ用ストランドにおいては、前記筒状織物のたて糸及び芯材が、高強度高弾性繊維よりなることが好ましい。また前記筒状織物の織り組織が3/1綾織り組織であることが好ましい。また前記筒状織物は、環状織機で織成されていることが好ましい。
【0014】
また本発明のロープは、上記記載のロープ用ストランドを撚り合わせ、又は組み合わせてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、筒状織物のたて糸と芯材とのストランドを同種の繊維とし、その長さ方向に対する長さをほゞ等しくすることにより、筒状織物のたて糸をも効率的に強度に寄与させることができ、高い強度利用率を有するストランドとすることができ、ひいては強度の大きいロープを得ることができるのである。
【0016】
また前記筒状織物を綾織り組織とすることにより、たて糸とよこ糸との交点をが少なくなり、当該たて糸と芯材との長さを揃えることが可能となり、さらにストランドの強度利用率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のストランドを示すものであって、(a)は中央縦断面図、(b)は横断面図である。
図2】本発明のロープを示すものであって、(a)は平面図、(b)は横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明のストランド1を示すものであって、たて糸2とよこ糸3とを筒状に織成した筒状織布4内に、その長さ方向に延びる芯材5が平行に挿通されており、前記筒状織布4の織り組織を3/1綾織り組織としたものである。そして筒状織布4のたて糸と、芯材とは同種の素材よりなっており、高強度高弾性繊維を使用するのが好ましい。
【0019】
かかる高強度高弾性繊維としては、パラ型アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズアゾール繊維、超高強力ポリビニルアルコール繊維などの繊維が適当である。
【0020】
そして図2は本発明のロープ6を示すものであって、前記ストランド1を十二本組み合わせて、十二打ちのクロスロープとしたものである。なおこのロープ1は八つ打ちなどであっても良く、また三つ撚りなどのロープとすることも可能である。
【実施例】
【0021】
次に、前記筒状織布4のたて糸2と芯材5とを同一の素材として、前記たて糸2の張力及び筒状織布4の組織を調整することにより、筒状織布4におけるたて糸2の織り込み長さを調節し、芯材5との長さのバランスを種々調整したストランド1を形成し、当該ストランド1及びそれを組み合わせたロープ6の強度を測定した。
【0022】
而して前記たて糸2及び芯材5の素材として、高強度高弾性繊維として超高分子量ポリエチレン繊維を使用し、1760テックスの単糸を3本撚り合わせた糸条をヤーンとした。芯材5としては、当該ヤーンを103本使用した。
【0023】
また筒状織布4としては前記ヤーンを50本使用してたて糸2とし、それと1650テックスのポリエステル繊維を2本撚り合わせた糸条をよこ糸3として、当該たて糸2とよこ糸3とを3/1綾織り組織により筒状織布4を織成した。
【0024】
而して前記芯材5としてのヤーンを引き込みながら、前記たて糸2とよこ糸3とを3/1綾織りにて筒状に織成して筒状織布4を形成し、筒状織布4内に芯材5を挿通した直径20mmのストランド1を得た。また当該ストランド1を十二打ちのロープ6(ロープ径48mm、ロープリード7倍)を作製した。
【0025】
なお筒状織布4のよこ糸3の打ち込み密度を変えることにより、たて糸2の織り込み長さを調節したが、実施例2,3,4については、たて糸2のテンションウェイトを変更することによりたて糸2の張力を変え、たて糸2の織り込み長さを調節した。
【0026】
試験のデータを表1に示す。ただし、「長さの差」は、ストランド1m当たりの筒状織布4のたて糸2の平均長さと、芯材5のヤーンの平均長さとの差を測定した。またストランド及びロープの強度利用率は、超高分子量ポリエチレンの単糸の強度と使用単糸数との積に対する、ストランド及びロープの強度の割合を算出した。
【0027】
【表1】
【符号の説明】
【0028】
1 ストランド
2 たて糸
3 よこ糸
4 筒状織布
5 芯材
6 ロープ
図1
図2