特許第6552287号(P6552287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552287
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/24 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   B65D47/24
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-116656(P2015-116656)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-1700(P2017-1700A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220206
【氏名又は名称】東京ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】崎村 孝陽
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 昌
(72)【発明者】
【氏名】水落 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 元
(72)【発明者】
【氏名】市川 悟
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−009816(JP,A)
【文献】 特開2013−249084(JP,A)
【文献】 特開2014−213906(JP,A)
【文献】 実開昭50−011956(JP,U)
【文献】 実公昭48−031086(JP,Y2)
【文献】 米国特許第02828054(US,A)
【文献】 米国特許第04261485(US,A)
【文献】 特開2013−241197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/24
B65D 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に嵌合されるキャップ本体を備えた、合成樹脂製のキャップであって、
前記キャップ本体は、
前記容器口部の内壁面に嵌合される円筒状主嵌合壁部と、
前記円筒状主嵌合壁部の下部の内壁面から一体的に径方向中心に向かって斜め上方に延び、截頭円錐状の下壁面を有する環状壁部と、
前記環状壁部の先端部から一体的に径方向中心に向かって斜めに下方に延び、倒立截頭円錐状面を有する環状の弁座と、
前記環状壁部の先端部から一体的に軸方向上方に延び、前記環状の弁座と連なる円筒状壁部と、
前記容器口部と連通し、周囲に前記弁座を有する吐出孔と、
前記環状の弁座に対応して、前記吐出孔の上方に配置された逆止弁と、
前記円筒状主嵌合壁部の内壁面に上方から嵌合される円筒状支持部と、円筒状壁部の内壁部に上方から嵌合される円筒状嵌合壁部と、吐出通路とを備えてなる中栓と、を備え、
前記逆止弁は、自重により前記弁座に着座又は前記容器の傾倒によって離座し、前記吐出孔を開放又は閉鎖することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記中栓は、前記円筒状嵌合壁部の内壁部から周方向に沿って間隔を置いて径方向延びる複数の閉鎖防止壁部と、
前記閉鎖防止壁部間に設けられ、前記吐出通路と前記吐出孔とを連通させる流通路とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記逆止弁は、
略円柱状の弁体と、
前記弁体の下面中央から軸方向下方に向かって延びる略円柱状の案内軸と、から構成され、
前記弁体は、前記環状の弁座の前記倒立截頭円錐状面に沿うように、下部外周縁部に倒立截頭円錐状下縁面を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記キャップ本体は、該環状の弁座の先端部に連なる底壁部を有し、
前記底壁部は、前記弁座の先端部から一体的に径方向中心に向かって延び、所定の間隔を置いて配置された帯状の複数の連結片と、
前記各連結片の先端部に一体的に設けられ、前記弁体の前記案内軸を挿通する開口部を有した円筒状挿通部とから構成され、
前記各連結片間に、複数の前記吐出孔が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
前記逆止弁は、球状弁であり、
前記環状の弁座の前記倒立截頭円錐状面は、前記球状弁の形状に沿った内壁面を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ、特に、醤油等の液状内容物が充填される容器の容器口部に装着され、弁部の自重により開放又は閉鎖するキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した内容物の使用後、キャップの締着が弱いと、容器内の密封状態を維持できず容器内に空気または菌類等が入り、内容物の酸化またはカビ等の繁殖をきたし劣化を早めるなどの問題があった。これを解決するために、例えば、容器口部に装着されるキャップには、容器の胴部を圧搾して容器に内圧を加え、適量の内容物を使用した直後、使用者が手でキャップを操作することなく容器内(容器の口部)を密封するものが提案され、又は、キャップに自重で移動する弁部を設け、容器の姿勢変更に応じて、容器内を開封又は密封するものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、キャップ本体に、吐出孔を開放又は閉鎖する逆止弁を設け、容器に内圧を加えることで、逆止弁の各弾性部片が屈曲して、弁部材が弁座から離座し、吐出孔を開放し、内容物を注出することができ、その後、容器への内圧を解除すると、各弾性部片の復元力により、弁部材が弁座の方向に付勢されて、弁部材が弁座に着座して、吐出孔を閉鎖し、内容物の注出を止めることができるキャップが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、二重容器の姿勢状態に応じて、自重により移動する球状体を設けた二重容器が記載されている。この球状体は、二重容器を起立姿勢から傾倒或いは倒立姿勢に変更することにより、自重にて傾斜面から離座し、貫通孔を開放して、内容物を吐出し、その後、二重容器を起立姿勢に戻すことにより、球状体が自重によって傾斜面に着座し、貫通孔を閉鎖する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−241197号公報
【特許文献2】特開2014−213906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、弁体を弾性片で、吐出孔の周辺の弁座に押圧する構成となっており、容器を押圧し、内圧をかけることで、弁体を開き、内圧を除くことで、弁体を閉弁する動作を迅速に行うことが極めて有効なキャップであるが、特許文献1には、容器を押圧しないで、容器内の内容物を吐出させることについての開示はない。
【0007】
また、特許文献2では、二重容器を傾倒或いは倒立姿勢から起立姿勢に戻したとき、内容物は、貫通孔を介して二重容器内に戻るが、球状体が傾斜面に着座することで、二重容器内に戻れなかった内容物は、中栓の凹部内に溜まり、衛生的に好ましいものではない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、容器の姿勢状態に応じて、内容物のスムーズな注出及び注出後、容器内を密封することができ、更に、内容物の吐出後に、キャップ内への内容物の残留量を減らすことができるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、容器口部に嵌合されるキャップ本体を備えた、合成樹脂製のキャップであって、前記キャップ本体は、前記容器口部の内壁面に嵌合される円筒状主嵌合壁部と、前記円筒状主嵌合壁部の下部の内壁面から一体的に径方向中心に向かって斜め上方に延び、截頭円錐状の下壁面を有する環状壁部と、前記環状壁部の先端部から一体的に径方向中心に向かって斜めに下方に延び、倒立截頭円錐状面を有する環状の弁座と、前記環状壁部の先端部から一体的に軸方向上方に延び、前記環状の弁座と連なる円筒状壁部と、前記容器口部と連通し、周囲に前記弁座を有する吐出孔と、前記環状の弁座に対応して、前記吐出孔の上方に配置された逆止弁と、前記円筒状主嵌合壁部の内壁面に上方から嵌合される円筒状支持部と、円筒状壁部の内壁部に上方から嵌合される円筒状嵌合壁部と、吐出通路とを備えてなる中栓と、を備え、前記逆止弁は、自重により前記弁座に着座又は前記容器の傾倒によって離座し、前記吐出孔を開放又は閉鎖することを特徴とするものである。
【0010】
本項に係るキャップは、内容物の使用時には、容器を直立状態から傾倒又は倒立状態にすれば、逆止弁の自重によって弁座から離座するため、吐出孔が開放され、内容物が吐出孔を介してスムーズに外部に注出される。一方、容器を直立状態に戻すことで、逆止弁の自重によって弁座に向かって移動して着座するために、環状壁部の吐出孔が閉塞されて、迅速に容器内を密封状態に維持でき、空気の容器内への流入を抑制することができる。
また、本項に係るキャップは、円筒状壁部と中栓の円筒状嵌合壁部とが嵌合することで、内容物の吐出時、円筒状壁部によって環状壁部側への流れを阻止することができる。更に、内容物は、円筒状壁部によって案内され、吐出通路へ容易に導くことができる。
更に、本項に係るキャップは、環状壁部の先端部から一体的に径方向中心に向かって斜めに下方に延びる環状の弁座を設けることで、弁座と逆止弁との間に空間が形成され、内容物の吐出後、吐出されなかった内容物は、空間を介して容器内へ戻るため、内容物をキャップ内に溜まるのを防ぎ、キャップ内への内容物の残留量を減らすことができ、衛生的に好ましいものとなる。
【0011】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記中栓は、前記円筒状嵌合壁部の内壁部から周方向に沿って間隔を置いて径方向延びる複数の閉鎖防止壁部と、前記閉鎖防止壁部間に設けられ、前記吐出通路と前記吐出孔とを連通させる流通路とを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本項に係るキャップは、周方向に沿って間隔を置いて、中栓の円筒状嵌合壁部の内壁部から径方向延びる複数の閉鎖防止壁部を設けることで、容器を倒立状態にしたとき、自重により移動した逆止弁を止めることができ、吐出通路の閉鎖を防ぐものとなる。
また、本項に係るキャップは、流通路と吐出通路とを連通する流通路を設けることで、逆止弁が閉鎖防止壁部に当接した状態でも、内容物が流通路を通って吐出通路に流れ、外部へと吐出することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した発明において、前記逆止弁は、略円柱状の弁体と、前記弁体の下部中央から軸方向下方に向かって延びる略円柱状の案内軸と、から構成され、前記弁体は、前記環状の弁座の前記倒立截頭円錐状面に沿うように、下部外周縁部に倒立截頭円錐状下縁面を形成することを特徴とするものである。
【0014】
本項に係るキャップは、環状の弁座の倒立截頭円錐状面に沿うように、逆止弁の弁体の下部外周縁部に倒立截頭円錐状下縁面を形成することで、倒立截頭円錐状下縁面が倒立截頭円錐状面に密着し、吐出孔と吐出通路との連通を遮断するため、容器内を密封することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した発明において、前記キャップ本体は、該環状の弁座の先端部に連なる底壁部を有し、前記底壁部は、前記弁座の先端部から一体的に径方向中心に向かって延び、所定の間隔を置いて配置された帯状の複数の連結片と、前記各連結片の先端部に一体的に設けられ、前記弁体の前記案内軸を挿通する開口部を有した円筒状挿通部とから構成され、前記各連結片間に、複数の前記吐出孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
本項に係るキャップは、底壁部に弁体の案内軸を挿通する開口部を有した円筒状挿通部を設けることにより、容器の姿勢状態に応じて逆止弁が移動したとき、案内軸を案内させ、逆性弁を適切な姿勢で移動させるることができる。
【0017】
請求項5に記載した発明は、請求項1又は2に記載した発明において、前記逆止弁は、球状弁であり、前記環状の弁座の前記倒立截頭円錐状面は、前記球状弁の形状に沿った内壁面を形成していることを特徴とするものである。
【0018】
本項に係るキャップは、球状弁にすることにより、容器の姿勢状態に応じて、自重によって弁座から着座又は容器の傾倒によって離座し、吐出孔を開放又は閉鎖することができるので、内容物のスムーズな注出及び容器内を密封することができる。
また、本項に係るキャップにおいて、環状の弁座の倒立截頭円錐状面には、球状弁の形状に沿った内壁面を形成することにより、球状弁と内壁面とが面接触して密着し、容器内を密封することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のキャップによれば、容器の姿勢状態に応じて、内容物のスムーズな注出及び注出後、容器内を密封することができ、更に、内容物の吐出後に、キャップ内への内容物の残留量を減らすことができるキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るキャップの断面図である。
図2図1に示すキャップの構成である蓋体及び主キャップ体を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は下面図である。
図3図1に示すキャップの構成である逆止弁を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図、(c)は下面図である。
図4図1に示すキャップの構成である中栓を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図、(c)は下面図、(d)は下面斜視図である。
図5図1に示す容器口部の断面図である。
図6図1のキャップの作用を段階的に示した図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るキャップの断面図である。
図8図7に示すキャップの構成である蓋体及び主キャップ体を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図、(c)は下面図である。
図9図7のキャップの作用を段階的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aの構成を図1図4に基づいて詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係るキャップ1Aは、合成樹脂で形成され、図1に示すように、容器3の容器口部121に嵌合されるキャップ本体5と、キャップ本体5を構成する主キャップ体7にヒンジ11を介して連結される蓋体9とから構成される。
【0022】
図1に示すように、キャップ本体5は、図2に示す主キャップ体7と、図3に示す逆止弁13Aと、図4に示す中栓15との三つの構成部材を組み立てて構成される。具体的には、キャップ本体5は、容器口部121に打栓される円筒状の主キャップ体7と、後述する主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33の内壁面から一体的に径方向中心に向かって斜め上方に延びる環状壁部17と、この環状壁部17の環状の先端部に一体的に径方向中心に向かって斜め下方に延びる環状の弁座19と、この環状の弁座19と連なり、環状壁部17の先端部から一体的に軸方向上方に向かって延びる円筒状壁部21と、環状の弁座19の先端部に一体的に形成された底壁部23と、容器3の容器口部121と連通する複数の吐出孔25と、弁座19に対し着座又は離座して、各吐出孔25を開放又は閉鎖する逆止弁13Aと、この逆止弁13Aの上方に配置され、吐出孔25から内容物を通す吐出通路85を有する中栓15とから構成される。蓋体9を含む主キャップ体7は、合成樹脂、望ましくは、ポリプロピレンにて成形される。また、中栓15は、ポリプロピレン又はポリエチレンにて成形される。更に、逆止弁13Aは、ポリプロピレンにて成形される。
【0023】
図1及び図2に示すように、主キャップ体7は、胴部31と、この胴部31の内側に同心状に配置される円筒状主嵌合壁部33と、胴部31の上端と円筒状主嵌合壁部33の上端とを接続する環状水平壁部35とから構成される。胴部31の下部内壁面には、突条係止部37が形成される。胴部31と円筒状主嵌合壁部33との間には、容器口部121が嵌合される環状空間39が形成される。環状水平壁部35の上面でその外周部に、上方に突起する環状突起部41が形成される。円筒状主嵌合壁部33の上部内壁面には、周方向に沿って環状に延びる環状嵌合凹部43が形成される。
【0024】
環状水平壁部35の上面に形成した環状突起部41の一部であって、ヒンジ11に対向する位置に、径方向外側に突出する突条係止部55が形成される(図2(b)参照)。この突条係止部55は、閉止時、ヒンジ11に接続された蓋体9、具体的には、後述する蓋体9の胴部101の突条係止部109に係止する。環状水平壁部35の下面で、胴部31と円筒状主嵌合壁部33の間の環状空間39内に同心状に円筒状副嵌合壁部57が垂設される。円筒状副嵌合壁部57と胴部31との間には、環状空間59が形成される。この環状空間59には、周方向に沿って間隔を置いて複数の補強リブ61(図3(c)参照)が形成される。本実施形態では、複数の補強リブ61は、8箇所形成される。複数の補強リブ61が形成されることにより、円筒状副嵌合壁部57の剛性を保持することができる。なお、円筒状副嵌合壁部57と胴部31との間に環状空間59を設けている理由は、その環状空間59を設けず、円筒状副嵌合壁部57を胴部31の内壁面から一体的に設けると、肉厚になりひけ等の問題が発生するためである。
【0025】
円筒状主嵌合壁部33の下部内壁面に形成された環状壁部17は、截頭円錐状を呈している。環状壁部17と、円筒状主嵌合壁部33の内壁面と、円筒状壁部21の外壁面とにより上方を開放した環状空間45が形成される。環状壁部17の先端部に連なる環状の弁座19は、倒立截頭円錐状(下方に縮径した環状テーパ状)を呈する。弁座19の倒立截頭円錐状面47(内周面)は、環状壁部17の環状の先端部を越えて延びている(図1参照)。倒立截頭円錐状面47と後述する逆止弁13の弁部71との間には、空間144が形成される。
【0026】
環状の弁座19に連なる底壁部23は、弁座19の先端部から一体的に径方向中心に向かって延びる帯状の複数の連結片49(図2参照)と、この複数の連結片49と一体的に形成された円筒状挿通部51とからなる。連結片49は、周方向に90°ピッチで4箇所形成される(図2(a)及び(c)参照)。円筒状挿通部51の開口部53は、後述する逆止弁13Aの案内軸73が摺動できるように、案内軸73の直径より大きく形成される。環状の弁座19の先端部と、各連結片49と、円筒状挿通部51の外周面との間に、各吐出孔25が設けられている。この各吐出孔25は、容器口部121内と連通され、周方向に90°ピッチで4箇所形成される(図2(a)及び(c)参照)。なお、連結片49及び吐出孔25は、周方向に90°ピッチで4箇所形成されているが、例えば、周方向に45°ピッチで8箇所、周方向に60°ピッチで6箇所等形成されてもよい。
【0027】
図1及び図3に示すように、逆止弁13Aは、断面視略T字状を呈し、容器3の姿勢状態に応じて、自重によって移動し、吐出孔25を開放又は閉鎖する略円柱状の弁部71と、この弁部71の下面中央から一体的に軸方向下方に延びる棒状の案内軸73とから構成される。弁部71は、平面視形状が円形状(図3(a)参照)で、上面は、湾曲面で構成される。また、弁部71は、環状の弁座19、すなわち、弁座19の倒立截頭円錐状面47の形状に沿うように、弁部71の下部外周縁部には、倒立截頭円錐状下縁面75(テーパ面)が形成される。案内軸73は、先端部が底壁部23の円筒状挿通部51の開口部53に摺動可能に挿通される。また、案内軸73は、逆止弁13Aが吐出通路85側へ移動したとき(図6(c)参照)、開口部53から抜けないように、適切な長さで形成される。弁部71は、後述する中栓15の円筒状案内部83の内径(吐出通路85)より大きい直径で形成される。案内軸73の直径は、円筒状挿通部51の開口部53より小さく形成される。
【0028】
図1及び図4に示すように、中栓15は、主キャップ体7の逆止弁13Aの上方に配置される。この中栓15は、主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33に嵌合される円筒状支持部81と、この円筒状支持部81の内側に同心状に配置され、内部に吐出通路85を有する円筒状案内部83と、円筒状支持部81の上端と円筒状案内部83の下端とを一体的に接続する天面壁部87と、円筒状支持部81の内側に同心状に配置され、主キャップ体7の円筒状壁部21の内側に嵌合される円筒状嵌合壁部89と、逆止弁13Aの移動による吐出通路85の閉鎖を防ぐ半径方向に延びる閉鎖防止壁部91と、吐出孔25と吐出通路85とを連通する複数の流通路93(図4(b)〜(d)参照)と、から構成される。
【0029】
円筒状支持部81の外壁面には、周方向に延びる環状突条部95が形成される。天面壁部87には、円筒状支持部81の外周面から径方向に突設される環状鍔部97が形成される。天面壁部87の下壁面と円筒状支持部81の内壁面との間には、周方向に沿って間隔を置いて複数の補強リブ99が半径方向に向け形成される。本実施形態では、複数の補強リブ99は、16箇所形成される(図4(c)参照)。円筒状嵌合壁部89は、天面壁部87の下壁面に一体的に形成され、円筒状支持部81と円筒状案内部83との間に垂設される。閉鎖防止壁部91は、円筒状嵌合壁部89及び天面壁部87に一体的に形成され、円筒状嵌合壁部89の内壁面から径方向中心に向かって延び、周方向に沿って間隔を置いて配置される。本実施形態では、閉鎖防止壁部91は、周方向に90°ピッチで4箇所形成される(図4(c)参照)。また、閉鎖防止壁部91の内側面は、吐出通路85に連なる。本実施形態では、流通路93は、各閉鎖防止壁部91の間に4箇所設けられている。なお、閉鎖防止壁部91は、周方向に90°ピッチで4箇所形成されているが、例えば、周方向に45°ピッチで8箇所、周方向に60°ピッチで6箇所等形成されてもよい。また、補強リブ99は、16箇所形成されているが、適宜設置箇所数を変更してもよい。
【0030】
図1及び図2に示すように、蓋体9は、主キャップ体7の胴部31にヒンジ11を介して一体的に接続されている。この蓋体9は、ヒンジ11を介して主キャップ7の胴部31の外壁面に接続される円筒状の胴部101と、この胴部101の上端の周方向全域に一体的に接続される天面部103とから構成される。この天面部103の下面の中央部には、キャップ本体5を構成する中栓15の円筒状案内部83の上端内部に緊密に嵌合する筒状密着部105が垂設される。また、天面部103の下面には、天面部103の筒状密着部105と胴部101との間に、円筒状飛散抑制部107が垂設される。胴部101の下部内壁面であって、ヒンジ11に対向する側には、径方向中心に向かって突出する突条係止部109が形成される。胴部101の上部外壁面で、ヒンジ11側と反対側には、使用者が指を掛ける指掛部111が周方向に沿う所定範囲で外方に向かって突設される。
【0031】
次に、容器3の構成を図1及び図5に基づいて詳細に説明する。
容器3は、例えば、合成樹脂製で保形成のある容器であり、その内部には液状内容物や粘性を有する流動性内容物が充填される。この内容物は、例えば、醤油、オリーブオイル、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、とんかつ用ソース、ペースト状マスタード等が挙げられる。容器3の容器口部121は、円筒状に形成される。なお、容器3は、外容器と内容器とからなる二重容器(剥離容器と言われるものも含む)を含む。内容器は、その内部に内容物が充填されると共に内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性を有するものである。内容器の減容形状を保持するために外容器と内容器との間には外気が吸入されるように構成される。
【0032】
図1又は図5に示すように、容器3は、胴部123と、キャップ1Aが打栓により嵌合され、胴部123から連続して形成される容器口部121とから構成される。容器口部121は、全体として円筒状に形成される。この容器口部121は、その胴部123から略同じ厚みで連続して形成される。容器口部121は、外径が相違する複数の段部が軸方向に沿って連続して構成される。具体的には、容器口部121は、上端に配置され軸方向に延びる大径部125と、この大径部125から下方に配置され、その外径が大径部125より小径で軸方向に延びる小径部127と、この小径部127から下方に配置され、その外径が大径部125より大径で軸方向に延びる最大径部129とを備えている。上端に位置する大径部125と小径部127とは、大径部125から連続して下方に向かって次第に縮径する弾性変形可能な縮径部131により接続される。小径部127と最大径部129とは、小径部127から連続して下方に向かって次第に拡径する弾性変形可能な拡径部133により接続される。最大径部129の下方には、連続して、最大径部129より小径で、大径部125より大径の、軸方向に延びる筒状の支持部135が形成される。支持部135と胴部123との間には、小径部127と略同径の凹状部137が形成される。なお、容器口部121にキャップ1Aを打栓する際、凹状部137の外周部位が、打栓機(図示略)にて把持される。
【0033】
次に、キャップ1Aを組立て、並びに、キャップ本体5を容器口部121に装着する方法を説明する。
【0034】
キャップ1Aを組立てるには、まず、主キャップ体7に対し、蓋体9を開いた状態において、逆止弁13Aの案内軸73を主キャップ体7の底壁部23側に向けて、逆止弁13Aを環状の弁座19に向かって組み込む。このとき、案内軸73は、底壁部23の円筒状挿通部51の開口部53に挿通される。また、逆止弁13Aの弁部71と環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47との間には、空間144が形成される。更に、逆止弁13Aと底壁部23との間には、隙間が形成される。
【0035】
次に、中栓15を、主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33内に配置する。すなわち、中栓15の円筒状支持部81の外壁面は、主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33の内壁面に沿うように配置して、中栓15の円筒状支持部81の外壁面に設けた環状突条部95を主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33の内壁面に設けた環状嵌合凹部43に嵌合させると共に、中栓15の環状鍔部97を環状水平壁部35の上面に当接させて組み付ける。また、中栓15の円筒状嵌合壁部89は、キャップ体5の円筒状壁部21の内周面に沿って嵌合させ、円筒状壁部21の先端部を環状水平壁部35の下面に当接させる。この組立てによって、円筒状嵌合壁部89、円筒状壁部21の内壁面、環状の弁座19及び底壁部23によって、吐出通路85及各吐出孔25と接続する空間145が形成される。吐出通路85と各吐出孔25とは、流通路93及び空間145を介して連通する。また、環状壁部17と、円筒状主嵌合壁部33の内壁面と、円筒状壁部21の外壁面とによって環状空間45が形成される。逆止弁13Aは、自重によって、環状の弁座19に密着する。また、逆止弁13Aの弁部71の直上に、中栓15の円筒状案内部83が位置する。更に、中栓15の環状鍔部97の外周面から径方向に間隔を置いて主キャップ体7の環状水平壁部35に設けた環状突起部41が位置するようになる。これにより、キャップ本体5の組立てが完了する。
【0036】
次に、キャップ1Aに蓋体9を被冠する際には、ヒンジ11を折り曲げて蓋体9をキャップ1Aの上方から覆うように被せる。これによって、蓋体9の胴部101に設けた突条係止部109が、主キャップ体7の環状水平壁部35に設けた突条係止部55を乗り越えるように係合すると共に、蓋体9の天面部103に設けた筒状密着部105がキャップ1Aの中栓15を構成する円筒状案内部83の上端内部に緊密に嵌合される。
【0037】
キャップ1Aを容器口部121に打栓により装着する際には、容器口部121を、主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33と胴部31との間の環状空間39内に挿入する。これによって、主キャップ体7の環状水平壁部35から環状空間39内に垂設させた円筒状副嵌合壁部57の内壁面と容器口部121の大径部125の外壁面とが密着する(図1の密着部139参照)と共に、主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33の外壁面と容器口部121の小径部127の内壁面とが密着する(図1の密着部141参照)。同時に、容器口部121の最大径部129が、主キャップ体7の胴部31の下部内壁面に設けた突条係止部37を乗り越えて、最大径部129と突条係止部37とが係合すると共に、容器口部121の最大径部129が主キャップ体7の胴部31の内壁面に密着する(図1の密着部143参照)。この結果、容器口部121の縮径部131及び拡径部133が下方から押し上げられることでそれぞれ弾性変形して、縮径部131及び拡径部133の復元力により、容器口部121の小径部127の内壁面から主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33の外壁面に向かう押圧力が高められる。
【0038】
また、打栓時、主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33の外壁面と容器口部121の小径部127の内壁面との密着部141は、環状壁部17の基端部よりも上方に位置するようになる。しかも、主キャップ体7の環状壁部17は径方向中心に向かって斜め上方に延びているので、容器口部121を主キャップ体7の環状空間39内に挿入する際、環状壁部17が水平方向に延びている形態に比べて円筒状主嵌合壁部33の内側への弾性変形を許容できるために、容器口部121を環状空間39内に抵抗なくスムーズに挿入することができる。更に、挿入後は、環状壁部17により円筒状主嵌合壁部33の外側への復元力を増加させることができ、主キャップ体7の円筒状主嵌合壁部33の外壁面と容器口部121の小径部127の内壁面との間のシール性をさらに向上させることができる。このようにして、キャップ1Aは、容器口部121への打栓による装着が完了する。
【0039】
次に、本発明の実施の形態に係るキャップ1Aの作用を図6に基づいて詳細に説明する。
テーブル等の上に置いた容器3内の内容物を使用する際には、まず、蓋体9を開いて、キャップ本体5の中栓15を外部に露出させる(図6(a)参照)。このとき、容器3の姿勢が直立状態であるため、逆止弁13Aの弁体71は、環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47に着座し、これにより、複数の吐出孔25が閉鎖され、容器3内は、密封された状態にある。
【0040】
次に、中栓15の吐出通路85が下方を向くように容器3を徐々に傾倒させると、図6(b)に示すように、逆止弁13Aは、自重によって、案内軸73が底壁部23の円筒状挿通部51の開口部53に案内されながら、吐出通路85側に移動する。これにより、逆止弁13Aの弁部71の倒立截頭円錐状下縁面75は、環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47から離座され、複数の吐出孔25が開放される。このとき、弁座19と弁部71との間に隙間146が形成され、複数の吐出孔25と吐出通路85とが連通する。この結果、容器3内の内容物は、複数の吐出孔25から隙間146及び空間145を通り、流通路93を通って、吐出通路85に流れ、外部へ吐出される。このとき、内容物は、円筒状壁部21と円筒状嵌合壁部89とによって環状空間45側への流れが阻止されている。
【0041】
その後、容器3をさらに傾け、倒立状態にすることで、逆止弁13Aの弁部71は、中栓15の閉鎖防止壁部91に当接し、移動が止まる(図6(c))。このとき、逆止弁13Aの案内軸73は、底壁部23の円筒状挿通部の開口部53に挿通されたまま保持されている。
【0042】
次に、内容物の吐出を止める場合、容器3を倒立状態から傾倒状態に戻すことで、逆止弁13Aの弁部71は、自重により、複数の吐出孔25側に向かって移動する(図6(d)参照)。逆止弁13Aが環状の弁座19に着座されていないとき、吐出通路85から外部に吐出されなかった内容物は、弁部71の倒立截頭円錐状下縁面75と弁座19の倒立截頭円錐状面47との隙間146を通り、複数の吐出孔25を通って容器3内に戻る。
【0043】
容器3を直立状態にすることで、逆止弁13Aの弁部71の倒立截頭円錐状下縁面75が環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47に着座して、複数の吐出孔25を閉鎖する(図6(e)参照)。このとき、逆止弁13Aは、弁部71の自重によって、弁座19の倒立截頭円錐状面47に密着して、容器3内が密封状態となる。
【0044】
次に、ヒンジ11を折り曲げて蓋体9を、キャップ本体5の上方から覆うように被せれば、蓋体9の胴部101に設けた突条係止部109が、主キャップ体7の環状水平壁部35に設けた突条係止部55に係合すると共に、蓋体9の天面部103に設けた筒状密着部105が、中栓15の円筒状案内部83の上端内部に緊密に嵌合される(図6(e)参照)。
【0045】
そして、蓋体9をキャップ本体5に被冠することで、キャップ本体5内への異物の混入を抑制すると共に、容器3内を二重で密封することができる。これにより、キャップ本体5内は、蓋体9により密封されているので、空間145に内容物が若干残存したとしても、その内容物の酸化を防止することができる。
【0046】
本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、逆止弁13Aの弁体71は、容器3の姿勢に応じて、逆止弁13Aの自重により環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47に着座又は離座し、複数の吐出孔25を開封又は閉鎖することができるので、使用者が手で操作することなく、容器3内の内容物を外部に吐出することができ又は容器3内を密封することできる。逆性弁13Aの弁部71の倒立截頭円錐状下縁面75は、自重によって、環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47に密着するため、空気の容器3内への流入を抑制することができる。
【0047】
また、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、環状壁部17の先端部から一体的に軸方向上方に延びる円筒状壁部21を設け、この円筒状壁部21が中栓15の円筒状嵌合壁部89と嵌合することで、容器3内の内容物の注出時、環状壁部17側、すなわち、環状壁部17と、円筒状主嵌合壁部33の内壁面と、円筒状壁部21の外壁面とによって形成された環状空間45への流れを阻止することができる。更に、内容物は、円筒状壁部21によって吐出通路85側へ案内されるので、吐出通路85へ容易に導くことができる。
【0048】
更に、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、環状赤部17の先端部から一体的に径方向中心に向かって斜めに下方に延びる環状の弁座19を設けることで、弁部71と環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47との間に空間144が形成され、容器3を傾倒させたとき(図6(b)及び(d)参照)、弁部71と倒立截頭円錐状面47との間に隙間146が形成される。これにより、内容物の吐出後、外部へ吐出されなかった内容物は、弁部71と倒立截頭円錐状面47との間の隙間146を通り、吐出孔25を通って容器3内に戻るので、内容物が環状空間145内に溜まるのを防ぎ、キャップ内への内容物の残留量を減らすことができ、衛生的に好ましい。
【0049】
また、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、中栓15の円筒状嵌合壁部89の内壁部から径方向延びる複数の閉鎖防止壁部91を設けることで、容器3を倒立状態にしたとき、自重により吐出通路へ移動した逆止弁13Aを止めることができ、更に、容器3の倒立状態時に吐出通路85の閉鎖を防ぐことができる。
【0050】
また、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、各閉鎖防止壁部91間に流通路93を設けることで、流通路93と吐出通路85とが連通し、容器の倒立状態時、逆止弁13Aが閉鎖防止壁部91に当接していても、内容物が流通路93を通って吐出通路85に流れ、外部へと注出することができる。
【0051】
また、本発明の第1実施形態に係るキャップ1Aによると、底壁部23に弁体71の案内軸73を挿通する開口部53を有した円筒状挿通部51を設けることにより、容器3の姿勢状態に応じて逆止弁13Aが移動する際、案内軸73が開口部53に沿って案内され、逆止弁13Aを適切な位置に移動させることができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0053】
図7に示すように、第2実施形態に係るキャップ1Bでは、環状の弁座19の先端側の倒立截頭円錐状面47には、後述する逆止弁13Bの球状弁151の球状面と面接触するように、球状面に沿った内壁面153が形成されている(図8(b)参照)。環状の弁座19の径方向中心部には、略円形状の吐出孔25が形成される。この吐出孔25は、中栓15の円筒状案内部83の吐出通路85と連通している。逆止弁13Bの球状弁151は、容器3の傾倒姿勢に応じて、自重によって転動する。この球状弁151は、ポリプロピレン又はポリアセタールにて成形される。
【0054】
次に、本発明の実施の形態に係るキャップ1Bの作用を図9に基づいて詳細に説明する。
キャップ1Bの蓋体9を開いて、キャップ本体5の中栓15を外部に露出させた状態で(図9(a)参照)、中栓15の吐出通路85が下方を向くように容器3を徐々に傾倒させる(図9(b)参照)。これにより、球状弁151は、容器3の傾倒又は倒立によって、吐出通路85側に転動して、環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47の球状面153から離座され、吐出孔25が開放される。この結果、内容物は、開放された吐出孔25から隙間146及び空間145を通り、流通路93を通って、吐出通路85に流れ、外部へ吐出される(図9(b)及び(c)参照)。
【0055】
内容物の吐出を止める場合、容器3を倒立状態から傾倒状態にすることで、球状弁151は、自重により、吐出孔25側に向かって転動する(図9(d)参照)。このとき、吐出通路85から外部に吐出されなかった内容物は、球状弁151の外形に沿って流れ、吐出孔25から容器3内に戻る。その後、容器3が完全に直立状態になることで、球状弁151が環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47の内壁面153に着座して、吐出孔25を閉鎖し、容器3を密封する(図9(e)参照)。
【0056】
第2実施形態に係るキャップ1Bによると、容器3の姿勢に応じて、球状弁151が自重により環状の弁座19の倒立截頭円錐状面47に着座又は容器3の傾倒によって離座し、吐出孔25を開封又は閉鎖することができるので、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
なお、第1及び第2実施形態のキャップ1A,1Bでは、蓋体9をヒンジ11によりキャップ本体5に連結されているが、別体として構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B…キャップ、3…容器、5…キャップ本体、13A,13B…逆止弁、15…中栓、17…環状壁部、19…環状の弁座、21…円筒状壁部、25…吐出孔、47…倒立截頭円錐状面、33…円筒状主嵌合壁部、81…円筒状支持部、85…吐出通路、89…円筒状嵌合壁部、91…閉鎖防止壁部、93…流通路、121…容器口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9