(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552310
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
F15B 15/28 20060101AFI20190722BHJP
B23Q 3/06 20060101ALI20190722BHJP
F15B 15/26 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
F15B15/28 B
B23Q3/06 304K
B23Q3/06 302F
B23Q3/06 302B
F15B15/26
F15B15/28 L
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-140846(P2015-140846)
(22)【出願日】2015年6月26日
(65)【公開番号】特開2017-15237(P2017-15237A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】児嶋 良太
【審査官】
北村 一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−100844(JP,A)
【文献】
特開昭55−155903(JP,A)
【文献】
特開2015−113976(JP,A)
【文献】
特開2014−238174(JP,A)
【文献】
特開2014−159868(JP,A)
【文献】
特開2015−020221(JP,A)
【文献】
特開2014−114898(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0211522(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00−15/28
B23Q 3/00− 3/154; 3/16−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)内に上下方向に移動可能で保密状に挿入された進退用の第1ピストン(10)であって、出力ロッド(12)を有する第1ピストン(10)と、
前記出力ロッド(12)の外周部に保密状に外嵌めされると共に、前記ハウジング(1)内に上下方向に移動可能で保密状に挿入された倍力用の第2ピストン(15)と、
ロック用の圧力流体から前記第2ピストン(15)に作用する力を倍力変換して前記出力ロッド(12)に伝達する倍力機構(30)であって、前記出力ロッド(12)と前記第2ピストン(15)との間に当該出力ロッド(12)の半径方向に移動可能に設けられた係合ボール(32)を有する倍力機構(30)と、
前記ハウジング(1)内に形成された検出用のエア検出路(38)と、
前記ハウジング(1)に設けられた検出弁(40)であって、前記係合ボール(32)が当該検出弁(40)の検出ロッド(50)を前記半径方向に対して交差する方向に移動させることにより前記検出用のエア検出路(38)を開閉する検出弁(40)と、を備える、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
請求項1のシリンダ装置において、
前記係合ボール(32)と前記検出ロッド(50)との間に被操作部材(80)が前記半径方向に対して交差する方向へ移動可能に設けられ、
前記係合ボール(32)が前記半径方向へ移動したときに、当該係合ボール(32)が前記被操作部材(80)を介して検出ロッド(50)を前記半径方向に対して交差する方向へ移動させる、ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項3】
ハウジング(1)内に上下方向に移動可能で保密状に挿入された進退用の第1ピストン(10)であって、出力ロッド(12)を有する第1ピストン(10)と、
前記出力ロッド(12)の外周部に保密状に外嵌めされると共に、前記ハウジング(1)内に上下方向に移動可能で保密状に挿入された倍力用の第2ピストン(15)と、
ロック用の圧力流体から前記第2ピストン(15)に作用する力を倍力変換して前記出力ロッド(12)に伝達する倍力機構(30)であって、前記出力ロッド(12)と前記第2ピストン(15)との間に当該出力ロッド(12)の半径方向に移動可能に設けられた係合ボール(32)を有する倍力機構(30)と、
検出ロッドを有するスイッチと、を備え、
そのスイッチは、前記係合ボール(32)が当該スイッチの検出ロッドを前記半径方向に対して交差する方向へ移動させることを電気的または電子的に検出する、ことを特徴とするシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、倍力機構付きのシリンダ装置に関し、より詳しくいえば、シリンダ装置に設けられた倍力機構の作動状態を検知するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の倍力機構付きのシリンダ装置には、従来では、特許文献1(特開2014−240117号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
ハウジング内に進退用の第1ピストンと倍力用の第2ピストンとを上下方向へ直列に配置する。ロック用の圧力流体から前記第2ピストンに上方へ作用する力を下方へ倍力変換して前記出力ロッドへ伝達する。また、ハウジングの上側壁に形成された検出用のエア通路に、検出弁が設けられる。その検出弁は、前記上壁から下方へわずかに突出された検出ロッドを有する。そして、上記の第2ピストンがリリース位置からロック領域を越えて上限近傍位置まで上昇したときに、その第2ピストンが検出ロッドに当接され、その後、その第2ピストンが検出ロッドを上限近傍位置から上限位置まで押し上げる。これにより、検出弁が開弁される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2014−240117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術は次の問題がある。
上記の第2ピストンによって検出弁の検出ロッドが上記の上限位置近傍から上限位置までわずかに押し上げられることにより、第2ピストンがロック領域を越えて上限位置まで過度に移動したことを確実に検知できる点で優れる。
しかし、その検出弁によって第2ピストンが上限位置以外の位置、例えば、上昇途中位置であるロック領域に移動したことを検出したい場合がある。この場合、検出弁の検出ロッドを、前記上壁からロック領域まで下方へ大きく突出させる必要がある。このため、上記の第2ピストンがロック領域まで上昇して検出ロッドに当接した後、その検出ロッドをロック領域から上限位置までの長い距離を押し上げる。従って、検出ロッドが前記の長い距離だけ移動するのを許容する空間を備える必要がある。その結果、検出弁の全体寸法が大きくなると共に、上記のシリンダ装置の全体寸法が大きくなる。
本発明の目的は、検出機能付きのシリンダ装置をコンパクトに造ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1から
図3Bに示すように、シリンダ装置を次のように構成した。
ハウジング1内に進退用の第1ピストン10が上下方向に移動可能で保密状に挿入され、その第1ピストン10が出力ロッド12を有する。前記出力ロッド12の外周部に保密状に外嵌めされる倍力用の第2ピストン15が、前記ハウジング1内に上下方向に移動可能で保密状に挿入される。ロック用の圧力流体から前記第2ピストン15に作用する力を倍力機構30によって倍力変換して前記出力ロッド12に伝達する。その倍力機構30は、前記出力ロッド12と前記第2ピストン15との間に半径方向に移動可能に設けられた係合ボール32を有する。前記ハウジング1内に検出用のエア検出路38が形成される。前記ハウジング1に検出弁40が設けられる。前記係合ボール32が検出弁40の検出ロッド50を半径方向に対して交差する方向に移動させることにより、検出弁40が前記検出用のエア検出路38を開閉する。
【0006】
本発明は、次の作用効果を奏する。
上記のシリンダ装置をロック駆動するときには、第2ピストンが係合ボールを半径方向へ移動させることにより、その係合ボールが検出ロッドを半径方向に対して交差する方向に移動させる。このため、上記の検出ロッドは、第2ピストンによって直接に当該第2ピストンと同方向に移動される従来技術の検出ロッドに比べて、移動距離を大幅に短くできる。従って、検出ロッドの移動を許容する検出弁内の空間を小さく製作できる。その結果、検出弁の全体寸法を小さくでき、その検出弁に付設されたシリンダ装置をコンパクトに造ることができる。
【0007】
本発明は、下記(1)および(2)の構成を加えることが好ましい。
(1)前記係合ボール32と前記検出弁40との間に被操作部材80が半径方向に対して交差する方向へ移動可能に設けられる。前記係合ボール32が半径方向へ移動したときに、当該係合ボール32が前記被操作部材80を介して検出ロッド50を半径方向に対して交差する方向へ移動させる。
この場合、前記係合ボールから離れた位置に検出ロッドが設けられた場合にも、係合ボールが被操作部材を介して検出ロッドを確実に移動させることができる。
【0008】
(2)前記ハウジング1に前記エア検出路38及び前記検出弁40を設けることに代えて、前記ハウジング1にスイッチを設ける。そのスイッチは、前記係合ボール32が当該スイッチの検出ロッドを半径方向に対して交差する方向へ移動させたことを電気的または電子的に検出する。
この場合、上記のシリンダ装置をロック駆動するときには、上記の第2ピストンが係合ボールを半径方向へ移動させることにより、その係合ボールが検出ロッドを半径方向に対して交差する方向へ移動させる。このため、上記の検出ロッドは、第2ピストンによって直接に当該第2ピストンと同方向に移動される従来技術の検出ロッドに比べて、移動距離を大幅に短くできる。従って、検出ロッドの移動を許容するスイッチ内の空間を小さく製作できる。その結果、スイッチの全体寸法を小さくでき、そのスイッチに付設されたシリンダ装置をコンパクトに造ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態を示し、シリンダ装置のリリース状態を示す立面視の断面図である。
【
図2】
図2は、上記シリンダ装置のロック状態を示す断面図であって、上記
図1に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図3Bは、本発明の一実施形態を示している。この実施形態では、倍力機構付きシリンダ装置をリンク式クランプに適用した場合を例示してある。まず、リリース状態を示す
図1により、シリンダ装置の構造を説明する。
ハウジング1は、テーブル等の固定台Tに取り付けられている。そのハウジング1は、上側ハウジング2と、その上側ハウジング2の下側に螺合される下側ハウジング3とを有する。上側ハウジング2の上部に上端壁2aが形成されると共に、下側ハウジング3の下部に下端壁3aが形成される。その上側ハウジング2の内部に上側シリンダ孔5が形成されると共に、下側ハウジング3の内部に下側シリンダ孔6が形成される。
【0011】
上記の上側シリンダ孔5に第1ピストン10が上下方向に移動可能で保密状に挿入される。その第1ピストン10は、ピストン本体11と、そのピストン本体11から上下に突設された出力ロッド12とを有する。その出力ロッド12は、ピストン本体11から上方へ突設された上ロッド12aと、ピストン本体11から下方へ突設された下ロッド12bとを有する。
【0012】
上記の上ロッド12aの上端部にクランプアーム13の左端部が垂直面内で回転可能に連結される。上側ハウジング2の右上部から枢支部2bが上方へ突設され、その枢支部2bの上端部にリンク部材14の下端部が回転可能に連結されると共に、リンク部材14の上端部にクランプアーム13の長手方向の途中部が回転可能に連結される。
【0013】
上記の下側シリンダ孔6に倍力用の第2ピストン15が、上下方向に移動可能で保密状に挿入されると共に、上記の下ロッド12bの外周部に移動可能で保密状に外嵌めさせる。
【0014】
上記のピストン10のピストン本体11と第2ピストン15との間にロック室16が形成される。そのロック室16に、ロック用の圧力流体としての圧油が、ロック給排路17とロックポートP1とを介して供給及び排出される。
また、ピストン本体11の上側に第1リリース室20が形成されると共に、第2ピストン15の下側に第2リリース室21が形成される。上記の上ロッド12aとピストン本体11と下ロッド12bとに形成された連通孔22が、第1リリース室20と第2リリース室21とを連通させる。これにより、第1リリース室20および第2リリース室21に圧油がリリース給排路23とリリースポートP2とを介して供給及び排出される。
【0015】
上記の下側シリンダ孔6の下部に形成された段差部3bに、環状の受止めスリーブ26が下方から受け止められる。その受止めスリーブ26の内周孔には、上記の下ロッド12bが上下方向に移動可能に挿入される。
【0016】
上記の第2リリース室21に倍力機構30が設けられ、その倍力機構30が、ロック室16の圧油によって第2ピストン15が下方へ作用する力を、上方へ倍力変換させて下ロッド12bに伝達する。その倍力機構30は、
図2に示すように、次のように構成される。
【0017】
上記の受止めスリーブ26の上部に案内溝31が、周方向に所定の間隔をあけて半径方向に形成される。その案内溝31に係合ボール32が左右方向へ移動可能に挿入される。上記の第2ピストン15の内周孔に倍力部33が、上方に向かうにつれて軸心に近づくように形成される。その倍力部33に係合ボール32が当接されている。上記の下ロッド12bの下部に伝達溝35が周方向に所定の間隔をあけて設けられ、その伝達溝35が上方に向かうにつれて軸心から遠ざかるように形成されている。その伝達溝35の周壁に伝達部36が係合ボール32に当接されている。
【0018】
前記下側ハウジング3の下端壁3aの左部に検出用の第1エア検出路38が形成される。その第1エア検出路38の途中部に第1検出弁(検出弁)40が設けられる。その第1検出弁40の上流側に第1供給路38aが形成されると共に、その第1検出弁40の下流側に第1排出路38bが形成される。
また、下端壁3aの右部に検出用の第2エア検出路39が形成される。その第2エア検出路39の途中部に第2検出弁60が設けられる。その第2検出弁60の上流側に第2供給路39aが形成されると共に、その第2検出弁60の下流側に第2排出路39bが形成される。
【0019】
上記の第1検出弁40は、
図3Aに示すように、次のように構成される。
上記の下端壁3aに第1装着孔41が第2リリース室21に連通されるように上下方向に形成される。その第1装着孔41は、下側から順に形成された雌ネジ孔42と中径孔43と小径孔44とを有する。その雌ネジ孔42と中径孔43との間に形成された段差部46に、第1環状押さえ47が、雌ネジ孔42に螺合される第1ケーシング48によって固定される。その第1ケーシング48の内部に弁室49が形成され、その弁室49に第1供給路38aが連通される。また、その弁室49に第1検出ロッド50が挿入される。その第1検出ロッド50の上端部が、封止部材51を介して小径孔44に上下方向に移動可能で挿入されると共に、第2リリース室21内に突出される。その第1検出ロッド50の途中高さ部に形成された大径部が、弁室49の内周壁に沿って上下方向に案内される。その大径部に溝50aが周方向に間隔をあけて上下方向に形成される。また、その第1検出ロッド50の下部に溝52が周方向に形成され、その溝52に第1弁体としてのOリング53が装着される。上記の弁室49に第1排出路38bが連通され、その第1排出路38bの周縁部に弁座54が形成される。上記の第1ケーシング48の下部と第1検出ロッド50の大径部との間に装着された圧縮バネ55が、第1検出ロッド50を上方へ付勢する。
【0020】
上記の第2検出弁60は、第1検出弁40と同じ構造であり、次のように構成される。
上記の下端壁3aに第2装着孔61が第2リリース室21に連通されるように上下方向に形成される。その第2装着孔61の雌ネジ孔62に第2ケーシング68が螺合され、その第2ケーシング68によって第1環状押さえ67が段差部66に固定される。その第2ケーシング68内に形成された弁室69に、第1供給路38aが連通される。また、その弁室69に第2検出ロッド70が挿入される。その第2検出ロッド70の上端部が、封止部材71を介して第2装着孔61の小径孔64に上下方向に移動可能で挿入されると共に、第2リリース室21内に突出される。その第2検出ロッド70の途中高さ部に形成された大径部が、弁室69の内周壁に沿って上下方向に案内される。その大径部に溝70aが周方向に間隔をあけて上下方向に形成される。その第2検出ロッド70の下部に溝72が周方向に形成され、その溝72に第2弁体としてのOリング73が装着される。上記の弁室69に第2排出路39bが連通され、その第2排出路39bの周縁部に弁座74が形成される。上記の第2ケーシング68の下部と第2検出ロッド70の大径部との間に装着された圧縮バネ75が、第2検出ロッド70を上方へ付勢する。
【0021】
上記の係合ボール32と第1検出ロッド50の上端部との間に被操作部材80が上下方向へ移動可能に挿入される。その被操作部材80は、下側から順に被操作リング81と被操作ピン82とを有する。その被操作リング81が、上記の下端壁3aと受止めスリーブ26との間に形成された隙間に上下移動可能に挿入されると共に、第1検出弁40の第1検出ロッド50の上面に当接されている。上記の被操作ピン82が、前記受止めスリーブ26に形成された装着孔に、上下移動可能に挿入される。その被操作ピン82の下端部が、上記の被操作リング81の上部に形成された凹部81aに挿入されることにより、その受止めスリーブ26と被操作リング81とが、周方向への位相が合致するように構成される。その被操作ピン82の上端部が係合ボール32に当接可能となるように受止めスリーブ26の前記案内溝31から上方へ突出される。
また、下ロッド12bの外周部からピン85が半径方向の外方へ突設される。また、受止めスリーブ26に案内溝86が上下方向へ形成され、その案内溝86に連続するように案内溝87が被操作リング81に上下方向へ形成される。これにより、そのピン85が案内溝86と案内溝87とに沿って上下方向に案内される。その結果、第1ピストン10と受止めスリーブ26とは、周方向への位相が合致するように構成される。また、第1ピストン10と被操作リング81とは、周方向への位相が合致するように構成される。
【0022】
上記のシリンダ装置は、
図1から
図3Bに示すように、次のように作動する。
図1(及び
図3A)に示すリリース状態では、ロック室16から圧油が排出されると共に、第1リリース室20および第2リリース室21に圧油が供給されている。これにより、第1リリース室20の圧油によって第1ピストン10が下方へ移動され、下ロッド12bの下端部が下端壁3bに下方から受け止められている。また、第2リリース21の圧油によって第2ピストン15が上昇位置へ移動され、その第2ピストン15が、上側シリンダ孔5の下端部に形成された段差部2cに上方から受け止められている。また、係合ボール32は、下ロッド12bの外周部によって半径方向の外方へ移動されている。
【0023】
また、
図3Aに示すリリース状態では、第1検出弁40の圧縮バネ55が第1検出ロッド50と被操作リング81とを介して被操作ピン82を上方へ移動させている。このため、第1検出ロッド50のOリング53が弁座54から離間され、第1検出弁40が開弁されている。
また、下ロッド12bが第2検出弁60の圧縮バネ75に抗して第2検出ロッド70を下方へ移動させている。このため、第2検出ロッド70のOリング73が弁座74に封止係合され、第2検出弁60は閉弁されている。
【0024】
図1(及び
図3A)のリリース状態から
図2(及び
図3B)のロック状態へロック駆動するときには、リリース状態において、第1リリース室20および第2リリース室21から圧油が排出されると共に、ロック室16に圧油が供給される。
すると、まず、ロック室16の圧油が、第1ピストン10を上方へ低負荷で移動させていくと、下ロッド12bも上昇される。すると、第2検出ロッド70が圧縮バネ75によって上方へ移動されていき、第2検出弁60が開弁される。また、係合ボール32が、受止めスリーブ26の案内溝31に下方から支持されると共に、下ロッド12bの外周部に半径方向の内方から支持される。このため、第2ピストン15が係合ボール32によって上昇位置で保持されている。
次いで、下ロッド12bの伝達部36が係合ボール32と同じ高さ位置まで当該下ロッド12bが上昇されると、その係合ボール32が半径方向の内方へ移動されることが許容される。引き続いて、第2ピストン15が下降されていくと、当該第2ピストン15が係合ボール32を半径方向の内方へ押し込み、上記の倍力機構30が倍力駆動を開始する。すると、係合ボール32が被操作ピン82と被操作リング81とを介して第1検出弁40の第1検出ロッド50を下方へ移動させていく。
最後に、
図2に示すように、クランプアーム13の右端部がクランプ対象物Wを押圧すると、第1ピストン10が上昇位置で停止すると共に、第2ピストン15が下降位置で停止する。このときに、係合ボール32が被操作ピン82と被操作リング81とを介して第1検出ロッド50を下方へ移動させることにより、第1検出ロッド50のOリング53が弁座54に当接されて第1検出弁40が閉弁される。これにより、第1エア供給路38a側の上昇圧力を圧力センサ(図示せず)が検出する。その結果、上記の倍力機構30が倍力駆動していることが検知される。
【0025】
図2(3B)のロック状態から
図1(
図3A)のリリース状態へリリース駆動するときには、ロック状態において、ロック室16から圧油が排出されると共に、第1リリース室20および第2リリース室21に圧油が供給される。
すると、まず、第2リリース室21の圧油が第2ピストン15を上方へ移動させていくと、係合ボール32が半径方向の外方へ移動されることが許容される。
次いで、第1リリース室20の圧油が第1ピストン10を下降させていくと、下ロッド12bの伝達部36が係合ボール32を半径方向の外方へ移動させていく。すると、第1検出弁40の圧縮バネ55が、第1検出弁40の第1検出ロッド50と被操作リング81と被操作ピン82とを上方へ移動していく。すると、第1検出弁40のOリング53が弁座54から離間され、第1検出弁40が開弁される。これにより、第1エア供給路38a側の下降圧力を圧力センサ(図示せず)によって検出する。
最後に、第2ピストン15が、上側ハウジング2の段差部2cに上方から受け止められる。また、下ロッド12bが第2検出弁60の検出ロッド70を下限位置に移動させると共に、その下ロッド12bが下端壁3aに受け止められる。これにより、第2検出弁60が閉弁される。その結果、第2エア供給路39a側の上昇圧力を圧力センサ(図示せず)が検出することにより、第2検出弁60によって下ロッド12bが下限位置に移動したことが検出される。
【0026】
上記の実施形態は次の作用効果を奏する。
上記のシリンダ装置をロック駆動するときには、上記の第2ピストン15が係合ボール32を半径方向の内方へ移動させることにより、その係合ボール32が第1検出ロッド50を下方に移動させる。このため、上記の第1検出ロッド50は、第2ピストンによって直接に下方に移動される従来技術の第1検出ロッドに比べて、移動距離を大幅に短くできる。従って、第1検出ロッド50の移動を許容する弁室49を小さく製作できる。その結果、第1検出弁40の全体寸法を小さくでき、その第1検出弁40に付設されたシリンダ装置をコンパクトに造ることができる。
【0027】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
上記の圧力流体は、例示した圧油に代えて、他の液体または圧縮空気等の気体であってもよい。
上記の検出弁40,60が、下端壁3aに設けられるのに代えて、上端壁2aにもうけてもよい。また、上記の検出弁40,60の配置姿勢を、例示の縦向きに代えて、斜め向きとしてもよい。
また、検出弁40,60に代えて、電気式のスイッチ、例えば、接触式のリミットスイッチ、近接スイッチ等の非接触式のスイッチによって係合ボール32の動きを検出してもよい。さらには、電気式のスイッチではなく、半導体素子などを用いた電子式のスイッチであってもよい。
上記の第1ピストン10をロック駆動させるときに、リリース状態から上方へ低負荷で駆動させ、その後、倍力駆動させるのに代えて、リリース状態からロック状態まで倍力駆動させてもよい。
上記の倍力機構30は、ロック室16の圧油から第2ピストン15に下方へ作用する力を上方へ倍力変換して出力ロッド12に伝達するのに代えて、ロック室16の圧油から第2ピストン15に上方へ作用する力を下方へ倍力変換して出力ロッド12に伝達してもよい。
上記の被操作部材80は、前記係合ボール32と前記検出弁40との間に上下方向へ移動可能に設けられるのに代えて、上下方向から傾斜された方向へ移動可能に設けられてもよい。
上記の被操作部材80が有する被操作リング81と被操作ピン82とが、別々に形成されるのに代えて、一体に形成されてもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
1:ハウジング,10:第1ピストン,12:出力ロッド,15:第2ピストン,30:倍力機構,32:係合ボール,38:エア検出路(第1エア検出路),40:検出弁(第1検出弁),50:検出ロッド(第1検出ロッド),80:被操作部材.