(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車載用のDC/DCコンバータでは、高電圧系統の入力電圧が数百ボルトである一方、各車載電装品の定格電圧が10〜15ボルトと、入力電圧と出力電圧との電圧比が大きい。
【0005】
このため、DC/DCコンバータにおいて電力の変換を行うと、トランスの2次側の電流が極めて大きくなる。したがって、2次側のコイルの発熱量が大きくなり、DC/DCコンバータの他の部分を加熱して悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
本発明の目的は、2次側のコイルから発生した熱を効率よく発散できる電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1発明は、1次側コイル、2次側コイルおよびコアを備える変圧用トランスと、前記変圧用トランスが載置される載置面を有するヒートシンクと、を有し、前記コアは、上下に延びる柱状コア部を有し、前記1次側コイルは、前記柱状コア部を囲むコイル部を有し、前記2次側コイルは、第1平板コイル部品と、第2平板コイル部品とを有し、前記ヒートシンクは、上面が前記載置面となる載置部と、前記載置部と一体に形成され、前記載置面から上方へ向かって突出する接触部と、前記載置部と熱的に接続される放熱フィンと、を有し、前記第1平板コイル部品は、前記柱状コア部を円弧状に囲み、前記載置面に略平行に拡がる平板状の第1起電部と、前記第1起電部の一端から延びる板状の第1出力部と、前記第1起電部の他端から延びる板状の第1接地部と、を有し、前記第2平板コイル部品は、前記柱状コア部を円弧状に囲み、前記載置面に略平行に拡がる平板状の第2起電部と、前記第2起電部の一端から延びる板状の第2出力部と、前記第2起電部の他端から延びる板状の第2接地部と、を有し、前記接触部は、前記載置面に略平行に拡がり、前記第1接地部と接触する第1接触面と、前記載置面に略平行に拡がり、前記第2接地部と接触する第2接触面と、を有
し、前記第1接地部は、前記第1起電部と同一平面上において、前記載置面に略平行に拡がる平板状であり、前記第2接地部は、前記第2起電部と同一平面上において、前記載置面に略平行に拡がる平板状である、電力変換装置である。
【0009】
本願の
第2発明は、
第1発明の電力変換装置であって、前記第1接地部の端部と前記第2接地部の端部とは、上下方向の位置が異なり、前記第1接触面と前記第2接触面とは、上下方向の位置が異なる段差部を構成する。
【0010】
本願の
第3発明は、第1発明
または第2発明の電力変換装置であって、前記第1出力部は、前記第1起電部と同一平面上において、前記載置面に略平行に拡がる平板状であり、前記第2出力部は、前記第2起電部と同一平面上において、前記載置面に略平行に拡がる平板状である。
【0011】
本願の
第4発明は、第1発明ないし
第3発明のいずれかの電力変換装置であって、前記第1平板コイル部品および前記第2平板コイル部品は、いずれも、前記載置面に略平行に拡がる平板状である。
【0012】
本願の
第5発明は、第1発明ないし
第4発明のいずれかの電力変換装置であって、前記第1平板コイル部品と前記第2平板コイル部品とは、上下に重なって配置され、前記第1平板コイル部品と前記第2平板コイル部品との間に、絶縁部品が配置される。
【0013】
本願の
第6発明は、第1発明ないし
第5発明のいずれかの電力変換装置であって、前記第1平板コイル部品と前記第2平板コイル部品とは、同一形状である。
【0014】
本願の
第7発明は、第1発明ないし
第6発明のいずれかの電力変換装置であって、前記第1接地部および前記第2接地部は、前記第1出力部と前記第2出力部の間に配置される。
【発明の効果】
【0015】
本願の第1発明〜
第7発明によれば 第1平板コイル部品と第2平板コイル部品とが直接ヒートシンクに接触することにより、2次側コイルの接地とヒートシンクへの伝熱とを同時に行う。したがって、2次側のコイルから発生した熱を効率よく発散できる。
また、第1接地部および第2接地部はそれぞれ、第1起電部および第2起電部と同一平面上において、載置面に略平行に拡がる平板状である。これにより、第1接地部および第2接地部の寸法誤差を抑制できる。したがって、第1接地部および第2接地部と、第1接触面および第2接触面とを、より確実に面接触できる。その結果、第1接地部および第2接地部と、第1接触面および第2接触面とを、より確実に電気的に接続できるとともに、より伝熱効率を高めることができる。
【0017】
特に、本願の
第2発明によれば 第1接地部の端部と第2接地部の端部との上下方向の位置が異なる場合であっても、1つの接触部で第1接地部と第2接地部との双方と接続できる。これにより、2つの接触部を設ける場合と比べて、接触部の剛性が向上する。
【0018】
特に、本願の
第3発明によれば、第1出力部および第2出力部の寸法誤差を抑制できる。
【0019】
特に、本願の
第4発明によれば、平板コイル部品はいずれも真っ平らな形状をしている。これにより、平板コイル部品の成形工程を簡略化できる。また、平板コイル部品全体としての寸法誤差を抑制できる。
【0020】
特に、本願の
第5発明によれば、平板コイル部品同士の間に絶縁部品を配置することにより、平板コイル部品の表面に絶縁塗装等の絶縁加工をしなくてよい。これにより、接地部や出力部の表面にも絶縁加工がされていないため、接地や出力側の接続がしやすい。
【0021】
特に、本願の
第6発明によれば、表裏を反転させて左右対称に配置しやすい。このため、生産効率が向上する。
【0022】
特に、本願の
第7発明によれば、第1接地部と第2接地部は、上下に延びる接触部と接続するため、周辺に余裕がなくてもよい。一方、第1出力部と第2出力部は、接続部材などを介して整流回路のダイオードと接続するため、周辺に余裕のある両端に配置するのが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、ヒートシンクの載置面と平行な平面を水平面とし、ヒートシンクに対して載置面側を上として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係る電力変換装置の使用時の向きを限定する意図はない。
【0025】
<1.第1実施形態>
<1−1.DC/DCコンバータの回路構成>
まず、第1実施形態に係る電力変換装置1について、その回路構成を
図1を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置1の構成を示した回路図である。
【0026】
この電力変換装置1は、プラグイン式HEV(Hybrid Electric Vehicle)やプラグイン式EV(Electric Vehicle)等のプラグイン式電気自動車に搭載され、高圧電力系統から入力される直流の入力電圧Vinを、直流の出力電圧Voutへ変換して低圧電力系統へと出力する、DC/DCコンバータである。
【0027】
電力変換装置1は、電気自動車のメインバッテリから出力される数百ボルト程度の高圧電力を14ボルト程度の低圧電力へと変換し、サブバッテリへと出力する。サブバッテリは、電力変換装置1から入力された電力を充電し、12ボルト程度の定電圧の電力を、パワーウィンドウ、パワーステアリング、フューエルポンプ、照明機器、オーディオ等の各車両用負荷に対して供給する。
【0028】
図1に示すように、電力変換装置1は、入力端子11、出力端子12、第1中間端子13、第2中間端子14、第3中間端子15、スイッチング回路20、トランス30、整流回路40、平滑回路50、および制御部10を有する。
【0029】
入力端子11は、電力変換装置1の入力端子であり、かつ、スイッチング回路20の入力端子である。出力端子12は、電力変換装置1の出力端子であり、かつ、平滑回路50の出力端子である。第1中間端子13は、スイッチング回路20の出力端子であり、かつ、トランス30の入力端子である。第2中間端子14は、トランス30の出力端子であり、かつ、整流回路40の入力端子である。第3中間端子15は、整流回路40の出力端子であり、かつ、平滑回路50の入力端子である。
【0030】
スイッチング回路20は、入力端子11から入力された直流電圧Voutを交流電圧へ変換し、第1中間端子13へと出力する。スイッチング回路20は、4個のスイッチング素子21〜24がフルブリッジ状に接続されたフルブリッジ回路である。本実施形態では、スイッチング素子21〜24として、電界効果トランジスタ(FET)が用いられる。
【0031】
一対のスイッチング素子21,22は、2つの入力端子11間に順に直列に接続される。また、他の一対のスイッチング素子23,24も、2つの入力端子11間に順に直列に接続される。すなわち、一対のスイッチング素子21,22と、他の一対のスイッチング素子23,24とは、並列に接続される。
【0032】
スイッチング素子21〜24のゲート端子には、それぞれ、制御部10からスイッチング信号が入力される。このスイッチング信号は、ON信号とOFF信号の2値の電圧値を有するPWM信号である。制御部10がスイッチング素子21〜24へスイッチング信号を入力することにより、スイッチング素子21〜24のON/OFFが切り替わり、2つの第1中間端子13間に交流電力が出力される。
【0033】
トランス30は、1次側コイル31、2次側コイル32およびコア33を有する。トランス30は、第1中間端子13に入力された交流電力を1次側コイル31と2次側コイル32との巻線比に従って変圧する。
【0034】
1次側コイル31は、2つの第1中間端子13の間に接続される。2次側コイル32は、第1巻線321および第2巻線322からなる。第1巻線321の一端には、一対の第2中間端子14の一方が接続される。第1巻線321の他端と、第2巻線322の一端とは、いずれも接地される。また、第2巻線322の他端には、一対の第2中間端子14の他方が接続される。コア33は、1次側コイル31と2次側コイル32とを相互インダクタンスで結合する磁気回路である。
【0035】
整流回路40は、トランス30から出力された交流電力を整流する回路である。整流回路40は、2つのダイオード41を有する。各ダイオード41は、カソード側が2つの第2中間端子14のそれぞれに接続される。また、2つのダイオード41はいずれも、アノード側が単一の第3中間端子15に接続される。
【0036】
2つの第2中間端子14にはそれぞれ、トランス30から反転した交流電力が入力される。整流回路40は、反転した交流電力のそれぞれを半波整流して足し合わせることにより、第3中間端子15に全波整流電力を出力する。
【0037】
平滑回路50は、チョークコイル51およびコンデンサ52を有する。平滑回路50は、トランス30から出力され、整流回路40により全波整流された電力を平滑化する。これにより、平滑回路50は、出力端子12に出力電圧Voutを有する直流の出力電力を出力する。
【0038】
制御部10は、スイッチング回路20の各スイッチング素子21〜24に対してスイッチング信号を出力する。本実施形態の制御部10は、いわゆるPWM−ICにより実現される。
【0039】
<1−2.DC/DCコンバータの装置構成>
次に、電力変換装置1について、その装置構成を
図2を参照しつつ説明する。
図2は、電力変換装置1の斜視図である。
図2において、接続用の部材および配線は、図示を省略している。
【0040】
図2に示すように、電力変換装置1は、
図1に示す上記の回路構成に加えて、各部から発生する熱を発散させるための放熱部材として、ヒートシンク60を有する。
【0041】
ヒートシンク60は、板状の載置部61と、載置部61の下側に配置される複数の放熱フィン62と、載置部61の上面から上方へ向かって突出する接触部63とを有する。ヒートシンク60は、導電性を有する金属により形成されており、電気的に接地されている。
【0042】
載置部61は、トランス30が載置される載置面610を有する。なお、載置面610は、載置部61の上面である。
図2に示すように、載置面610は、略水平に拡がる略長方形の面である。ここで、
図2に示すように、載置面610の長手方向をx方向、短手方向をy方向、x方向およびy方向に直交する上方向をz方向と称する。
【0043】
複数の放熱フィン62は、載置部61の下面から下方へ向かって板状に延びる。本実施形態では、放熱フィン62は載置部61と一体に形成される。なお、放熱フィン62は、載置部61と繋がり、載置部61と熱的に接続されていれば(すなわち、載置部61との間で熱伝導可能であれば)、載置部61と別体の部材により形成されてもよい。
【0044】
載置面610の略中央には、トランス30が載置されている。トランス30の(+x)方向には、スイッチング回路20が絶縁シート25を介して載置面610に載置されている。一方、トランス30の(−x)方向には、整流回路40および平滑回路50が絶縁シート42を介して載置面610に載置されている。
【0045】
図3は、トランス30の分解者静である。
図3に示すように、トランス30は、2つのコア部材71,72と、螺旋コイル部品73と、第1平板コイル部品74と、第2平板コイル部品75と、絶縁部品81〜84を有する。
【0046】
2つのコア部材71,72はそれぞれ、フェライトによりE字状に成形されている。2つのコア部材71,72が上下方向に重なることによりトランス30のコア33が構成される。
【0047】
上側のコア部材71は、y方向に延びる板状の上板部711と、上板部711のy方向の両端部から下方へ延びる2つの上側壁部712と、上板部711の下面略中央から下方に延びる上側柱状部713とを有する。下側のコア部材72は、y方向に延びる板状の下板部721と、下板部721のy方向の両端部から上方へ延びる2つの下側壁部722と、下板部721の上面略中央から上方に延びる下側柱状部723とを有する。
【0048】
2つのコア部材71,72が重ねられると、2つの上側壁部712の下端面と、2つの下側壁部722の上端面とがそれぞれ接続される。また、上側柱状部713の下端面と下側柱状部723の上端面とが接続される。上側柱状部713および下側柱状部723により、上下に延びる略円柱状の柱状コア部331(
図4参照)が構成される。
【0049】
螺旋コイル部品73は、板状のバスバーを螺旋状に巻回して構成されるコイル部731と、コイル部731の両端から(−x)方向に延びる2つの入力部732を有する。コイル部731は、柱状コア部331を囲むように配置される。2つの入力部732は、接続用の部材および配線(図示省略)により、スイッチング回路20と接続される。コイル部731により、1次側コイル31が構成される。
【0050】
第1平板コイル部品74は、第1起電部741、第1出力部742および第1接地部743を有する金属部品である。第1起電部741は、柱状コア部331を円弧状に囲み、載置面610に略平行に平板状に拡がる。第1起電部741により、2次側コイル32の第1巻線321が構成される。第1出力部742は、第1起電部741の一端から(−x)方向へ延びる板状の部位である。第1接地部743は、第1起電部741の他端から(−x)方向へ延びる板状の部位である。
【0051】
第2平板コイル部品75は、第2起電部751、第2出力部752および第2接地部753を有する金属部品である。第2起電部751は、柱状コア部331を円弧状に囲み、載置面610に略平行に平板状に拡がる。第2起電部751により、2次側コイル32の第2巻線322が構成される。第2出力部752は、第2起電部751の一端から(−x)方向へ延びる板状の部位である。第2接地部753は、第2起電部751の他端から(−x)方向へ延びる板状の部位である。
【0052】
第1出力部742および第2出力部752はそれぞれ、接続用の部材および配線(図示せず)により、整流回路40に接続される。
【0053】
コア部材71,72、螺旋コイル部品73、第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75は、上下に重なって配置される。絶縁部品81〜84はそれぞれ、コア部材71,72、螺旋コイル部品73、第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75のうち、上下に隣り合う2部材の間に配置される。これにより、これらの部材間における導通を防止する。
【0054】
第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75の上下にそれぞれ絶縁部品82〜85が配置されることにより、第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75の表面に絶縁塗装等の絶縁加工を施す必要が無い。このため、本実施形態の第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75は、絶縁塗装がなされていない。これにより、第1出力部742、第1接地部743、第2出力部752および第2接地部753の表面にも絶縁塗装がされていない。したがって、第1出力部742、第1接地部743、第2出力部752および第2接地部753と、それぞれの接続先との電気的接続を確保しやすい。
【0055】
図3に示すように、トランス30は、下側のコア部材72、絶縁部品81、螺旋コイル部品73、絶縁部品82、第1平板コイル部品74、絶縁部品83、第2平板コイル部品75、絶縁部品84、そして上側のコア部材71の順に下から上へと組み立てられる。
【0056】
図4は、ヒートシンク60およびトランス30の(−x)方向から見た部分断面図である。
図4においては、各絶縁部品81〜84は図示を省略している。
図2および
図4に示すように、ヒートシンク60は、載置面610から上方へ向かって突出する接触部63を有する。接触部63は、載置部61と一体に形成される。接触部63は、その上端部に、載置面610と略平行に拡がる第1接触面631および第2接触面632を有する。
【0057】
第1接地部743の端部および第2接地部753の端部はそれぞれ、その下面が第1接触面631および第2接触面632と接触する。また、第1接地部743は、接触部63に対してねじ641により固定される。第2接地部753は、接触部63に対してねじ642により固定される。
【0058】
ヒートシンク60は接地されているため、第1接地部743および第2接地部753がそれぞれ接触部63に接触することにより、第1接地部743および第2接地部753は接地される。また、第1接地部743および第2接地部753が接触部63に接触することにより、第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75が直接ヒートシンク60に接触する。これにより、2次側コイル32である第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75のコイルから発生した熱がヒートシンク60を介して発散できる。
【0059】
このように、2次側コイル32の接地とヒートシンクへの伝熱とを同時に行うことにより、2次側のコイルから発生した熱を効率よく発散できる。
【0060】
また、第1接地部743および第2接地部753と、接触部63とを、面で接触させることにより、電気的接続および熱的接続をより確実なものとできる。
【0061】
図2および
図4に示すように、第1接地部743の端部と第2接地部753の端部とは、上下方向(z方向)の位置が異なる。そのため、第1接触面631と第2接触面632も上下方向(z方向)の位置が異なる。本実施形態では、接触部63は、第1接触面631および第2接触面632により構成される段差部630を有する。
【0062】
本実施形態では、このように、第1接触面631と第2接触面632との双方を有する単一の接触部63を設けている。これにより、第1接触面631を有する接触部63と、第2接触面を有する接触部63とが別々に設けられている場合と比べて、接触部のy方向の幅を大きくとれるため、接触部63の剛性を向上できる。また、第1接地部743と第2接地部753との双方を単一の接触部63に接続できるため、第1接地部743と第2接地部753との電気的な条件をより同一に近づけることができる。
【0063】
なお、スペースや剛性が十分に得られる場合には、第1接触面631を有する接触部63と、第2接触面を有する接触部63とが、別々に設けられていてもよい。
【0064】
本実施形態では、第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75は、いずれも、載置面610に略平行に拡がる平板状である。すなわち、平板コイル部品74,75はいずれも真っ平らな形状をしている。このため、第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75は、上下方向(z方向)への曲げ部を有しない。これにより、平板コイル部品74,75の成形工程を簡略化できる。また、平板コイル部品74,75全体としての寸法誤差を抑制できる。
【0065】
このため、第1出力部742および第1接地部743は、それぞれ、第1起電部741と同一平面上において、載置面610に略平行に拡がる平板状となっている。これにより、第1出力部742および第1接地部743がそれぞれ曲げ部を有している場合と比べて、第1出力部742および第1接地部743の寸法誤差を抑制できる。
【0066】
また、第2出力部752および第2接地部753は、それぞれ、第2起電部751と同一平面上において、載置面610に略平行に拡がる平板状となっている。これにより、第2出力部752および第2接地部753がそれぞれ曲げ部を有している場合と比べて、第2出力部752および第2接地部753の寸法誤差を抑制できる。
【0067】
第1接地部743および第2接地部753の寸法誤差を抑制することにより、第1接地部743および第1接触面631と、第2接地部753および第2接触面632とをそれぞれ、より確実に面接触できる。すなわち、第1接地部743および第1接触面631と、第2接地部753および第2接触面632とをそれぞれ、より確実に電気的に接続できる。
【0068】
本実施形態では、
図2に示すように、第1平板コイル部品74および第2平板コイル部品75の各端子(第1出力部742、第1接地部743、第2出力部752、第2接地部753)は、y方向に配列されている。また、(−y)方向から(+y)方向に向かって第2出力部752、第1接地部743、第2接地部753、第1出力部742の順に配置されている。このように、上方から見て、第1接地部743および第2接地部753が、第1出力部742および第2出力部752の間に配置される。
【0069】
第1接地部743および第2接地部753は、その下面が、上下に延びる接触部63と接触する。このため、第1接地部743および第2接地部753は、その周囲に余裕がなくてもよい。そのため、y方向において他の端子の間に配置されていてもよい。一方、第1出力部742および第2出力部752は、接続部材等を介して整流回路40と接続するため、接続しやすさを考慮して、4つの端子の両端に配置されるのが好ましい。
【0070】
また、
図3に示すように、第1平板コイル部品74と第2平板コイル部品75とは、表裏を反転させると、同一形状である。このように、第1平板コイル部品74と第2平板コイル部品75とを同一形状にすることにより、生産すべき部品の種類を抑制できる。また、トランス30の組み立て時に、左右対称に配置させやすい。すなわち、生産効率を向上できる。
【0071】
<2.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0072】
上記の実施形態では、1次側のコイルが板状のバスバーを螺旋状に巻回して構成されるコイルであったが、本発明はこれに限られない。1次側のコイルは、導線を巻回して形成されたコイルであってもよい。また、1次側のコイルは、上下に分割されてもよい。
【0073】
また、上記の実施形態では、2次側のコイルである第1平板コイル部品および第2平板コイル部品がいずれも1次側のコイルの上方に配置されていたが、本発明はこの限りではない。第1平板コイル部品および第2平板コイル部品がいずれも1次側のコイルの下方に配置されてもよいし、第1平板コイル部品および第2平板コイル部品の一方が1次側のコイルの上方に配置され、他方が1次側のコイルの下方に配置されてもよい。また、1次側のコイルが分割される場合、分割した1次側のコイルの間に、第1平板コイル部品および第2平板コイル部品の一方または両方が配置されてもよい。
【0074】
また、上記の実施形態では、第1平板コイル部品の第1起電部と、第2平板コイル部品の第2起電部とが上下方向から見て同心状に重なって配置されたが、本発明はこれに限られない。第1起電部の中心と、第2起電部の中心とが、上下方向から見てずれて配置されてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態では、第1平板コイル部品および第2平板コイル部品の各端子が、第1出力部、第2接地部、第1接地部、第2出力部の順に配置されるが、本発明はこれに限られない。
【0076】
また、上記の実施形態では、柱状コア部が略真円柱状であったが、本発明はこれに限られない。柱状コア部の形状は、楕円柱や六角柱、その他真円柱以外の柱状であってもよい。
【0077】
また、上記の実施形態の電力変換装置はDC/DCコンバータであったが、本発明の構成をAC/DCコンバータ等の、トランスを有する他の電力変換装置に用いてもよい。AC/DCコンバータの場合、DC/DCコンバータの前段に整流平滑化を行うAC/DC変換部をさらに有していればよい。AC/DC変換部には交流電力が入力され、直流の中間電力を出力する。そして、DC/DCコンバータのDC/DC変換部には、当該中間電力が入力電力として入力され、直流の出力電力を出力する。
【0078】
また、電力変換装置の各部を実現するための具体的な回路構成については、
図2に示された回路構成と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。