(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明にかかる印刷装置の第1実施形態の構成を示す斜視図である。印刷装置1は、主たる構成として、基台2と、版ステージユニット10と、版アライメントユニット20と、インク充填ユニット30と、ローラユニット40と、インク供給充填ユニット50と、ワークアライメントユニット60と、ワークステージユニット70と、版ステージユニット10およびワークステージユニット70を移動させる搬送ユニット80と、制御ユニット90とを備えている。この印刷装置1では、制御部90が予めインストールされたプログラムに従って印刷装置1の各部を制御することで、平板状の凹版3に設けられる凹部(
図2、3中の符号3a)にインクを充填する充填工程と、ローラユニット40に凹版3のインクを受理させる受理工程と、受理されたインクを平板状のワーク4に転写する転写工程とを行う。これによって、凹版3の凹部により規定されるパターンがワーク4に印刷される。
【0012】
基台2は
図1に示すように水平方向Yに延設されている。基台2の上面には、一対の直動ガイド81、これらの直動ガイド81の間に配設されたリニアモータなどの直動駆動部82および図示しないリニアスケールがY方向に延設されている。また、直動ガイド81および直動駆動部82には、2つの搬送ステージ83、84が設けられており、直動駆動部82の駆動を受けてY方向に直線移動する。これら2つの搬送ステージのうち一方側の搬送ステージ83上に版ステージユニット10が搭載され、他方側の搬送ステージ84上にワークステージユニット70が搭載されている。これによって、版ステージユニット10およびワークステージユニット70が互いに独立して水平方向Yに往復移動可能となっている。この明細書では、
図1および後で説明する各図では、装置各部の配置関係を明確にするために、搬送ステージ83、84の搬送方向Yのうち版ステージユニット10に向かう方向を「Y1」と称し、ワークステージユニット70に向かう方向を「Y2」と称する。また、水平方向Yと直交する水平方向を「X方向」と称する。また、水平方向Xのうち装置正面に向かう方向を「X1」と称するとともに装置背面に向かう方向を「X2」と称する。さらに、鉛直方向を「Z方向」と称する。
【0013】
版ステージユニット10は、搬送ステージ83の上面に配置される支持台11と、支持台11の上面に取り付けられ、その上面で凹版3を保持する版ステージ12とを有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて直動駆動部82が搬送ステージ83をY方向に移動させることで、版ステージ12に保持される凹版3をY方向に搬送することが可能となっている。
【0014】
一方、ワークステージユニット70は、搬送ステージ84の上面に配置される位置調整機構71と、位置調整機構71の上面に取り付けられ、その上面でワーク4を保持するワークステージ72とを有している。この位置調整機構71は、ワークステージ72を搬送ステージ84に対してX方向およびθ1方向(鉛直軸回りの回転方向)に駆動する機能を有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて直動駆動部82が搬送ステージ84をY方向に移動させ、また制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構71がワークステージ72をX方向およびθ1方向に移動させることで、ワークステージ72に保持されるワーク4をX方向、Y方向およびθ1方向に位置決めすることが可能となっている。
【0015】
基台2の上面では、Y方向における略中央部にローラユニット40が配置されている。このローラユニット40では、当該中央部のX方向の両端部において昇降機構41によって昇降テーブル42が鉛直方向Zに昇降可能に設けられている。この実施形態では、一対の昇降テーブル42は、版ステージユニット10およびワークステージユニット70が移動する空間(以下「ステージ移動空間」という)よりもX方向外側に設けられている。これによって、版ステージユニット10およびワークステージユニット70との干渉が回避されている。
【0016】
このように互いに離間して配置された一対の昇降テーブル42を橋渡しするように転写ローラ43が配置されている。この転写ローラ43は、X方向に延びる回転軸回りに回転自在な円筒形状のブランケット胴の外周面にブランケットを装着したものであり、制御ユニット90からの動作指令に応じて回転駆動モータ(
図4中の符号44)が駆動されると、回転軸回りの回転方向θ2に回転する。また、昇降機構41の昇降モータ(
図4中の符号45)に対し、制御ユニット90から昇降指令が与えられると、それに応じて昇降モータが作動して転写ローラ43が昇降テーブル42とともに一体的に昇降する。これによって、鉛直方向Zにおける転写ローラ43の位置が高精度に調整される。
【0017】
上記ローラユニット40のY1方向側およびY2方向側には、インク充填ユニット30およびインク供給充填ユニット50がそれぞれ隣接して配置されている。これらのうちインク供給充填ユニット50では、上記ステージ移動空間よりもX方向外側で基台2の上面から柱部材51、51が立設されている。また、柱部材51、51の上端部同士を連結するように梁部材52が設けられ、上記ステージ移動空間を上方から跨ぐようにアーチ形状の支持部53が形成されている。そして、支持部53に対してスリットノズルおよびドクターブレードが取り付けられている。
【0018】
図2はインク供給充填ユニットを構成するスリットノズルおよびドクターブレード部を示す図である。スリットノズル54はX方向に延びる長尺状の吐出口541を有するノズルであり、当該吐出口541を鉛直下方に向けた状態で配置されている。また、スリットノズル54は、液状または粘性状の印刷材料(以下「インク」という)を供給するインク供給部55と接続されている。このため、凹版3を保持している版ステージユニット10がスリットノズル54の鉛直直下位置をY2方向に搬送されるのに同期してインク供給部55がインクをスリットノズル54に供給すると、インクがスリットノズル54の吐出口541から下方に向けて吐出され、版ステージユニット10に保持される凹版3の上面にインク溜り(
図5A中の符号IK)が形成される。
【0019】
このスリットノズル54のY2方向側には、ドクターブレード部56が隣接して配置されている。このドクターブレード部56はX方向に延設された先端561を有するステンレス鋼板製のブレード562を有している。このブレード562の表裏両面のうちY1方向を向いた面を腹面としてY2方向を向いた面を背面とし、当該背面に対してバックアップブレード563が配置されている。そして、これらブレード562およびバックアップブレード563を板状部材564、565が挟み込んで一体化している。このように構成されたドクターブレード部56には、昇降機構57が接続されており、制御ユニット90からの昇降指令に応じて昇降機構57が作動することでドクターブレード部56を鉛直方向Zに昇降させる。これによって、ドクターブレード部56の先端561が凹版3の上面3b(凹部3aが形成されている面)を押し付ける圧力(以下「押付圧」という)が調整され、スリットノズル54から凹版3の上面3bに供給されたインクが凹版3の凹部3aに充填される量や充填状況などを制御可能となっている。
【0020】
インク充填ユニット30は、スリットノズルが設けられていない点を除き、インク供給充填ユニット50と同様に構成されている。すなわち、
図1に示すように、X方向において上記ステージ移動空間よりも外側で基台2の上面から柱部材31、31が立設されるとともに当該柱部材31、31の上端部同士を連結するように梁部材32が設けられている。これによって、上記ステージ移動空間を上方から跨ぐようにアーチ形状の支持部33が形成されている。そして、支持部33に対して次のように構成されるドクターブレード部が取り付けられている。
【0021】
図3はインク充填ユニットを構成するドクターブレード部を示す図である。ドクターブレード部36は、X方向に延設された先端361を有するステンレス鋼板製のブレード362と、Y2方向側の面(背面)に対してバックアップブレード363が配置されている。そして、これらブレード362およびバックアップブレード363を板状部材364、365が挟み込んで一体化している。このように構成されたドクターブレード部36には、昇降機構37が接続されており、制御ユニット90からの昇降指令に応じて昇降機構37が作動することでドクターブレード部36を鉛直方向Zに昇降させる。これによって、凹版3の上面3bに対するドクターブレード部36の押付圧が調整され、スリットノズル34から凹版3の上面3bに供給されたインクが凹版3の凹部3aに充填される量や充填状況などを制御可能となっている。なお、本実施形態では、後で詳述するように、ドクターブレード部36の押付圧がドクターブレード部56のそれよりも大きくなるように、鉛直方向Zにおけるドクターブレード部36、56の高さ位置が制御される。
【0022】
図1に戻って印刷装置1の構成説明を続ける。上記インク充填ユニット30のY1方向側には、版アライメントユニット20が配置されている。この版アライメントユニット20においても、インク充填ユニット30およびインク供給充填ユニット50と同様のアーチ状の支持部23が基台2の上面に設けられている。すなわち、4本の柱部材21、21の頂部同士を連結するように梁部材22が設けられている。そして、梁部材22に対して2つのアライメントカメラ24、25がそれぞれ位置調整機構26、27を介して取り付けられている。位置調整機構26はアライメントカメラ24を梁部材22に対してX方向およびZ方向に駆動する機能を有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構26がアライメントカメラ24をX方向およびZ方向に移動させることで、版ステージ12に保持されている凹版3の一部を高精度に撮像可能となっている。
【0023】
また、もう一方の位置調整機構27はアライメントカメラ25を梁部材22に対してX方向およびZ方向に駆動する機能を有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構27がアライメントカメラ25をX方向およびZ方向に移動させることで、アライメントカメラ24で撮像した領域と異なる凹版3の上面領域を高精度に撮像可能となっている。なお、このようにして撮像される2つの画像は制御ユニット90に転送されてメモリ(
図4中の符号92)に保存される。
【0024】
また、インク供給充填ユニット50のY2方向側には、ワークアライメントユニット60が配置されている。このワークアライメントユニット60では、ガントリークレーン状の支持部61、62がワークステージユニット70のステージ移動空間からX2方向側に離れて基台2の上面でそれぞれY方向に移動自在に配置されている。一方の支持部61の梁部材63に対してアライメントカメラ64がX方向およびZ方向に移動自在に取り付けられている。本実施形態では、アライメントカメラ64をX方向、Y方向およびZ方向に移動させるために、位置調整機構65が設けられている。この位置調整機構65は、アライメントカメラ64を支持する支持部61を基台2に対してY方向に駆動することでアライメントカメラ64をY方向に位置決めする駆動部と、支持部61の梁部材63に対してアライメントカメラ64をX方向およびZ方向に駆動して位置決めする駆動部とを有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構65がアライメントカメラ64をX方向、Y方向およびZ方向に移動させることで、ワークステージ72に保持されているワーク4の一部を高精度に撮像可能となっている。
【0025】
また、他方の支持部62の梁部材66に対してアライメントカメラ67がX方向およびZ方向に移動自在に取り付けられている。本実施形態では、アライメントカメラ67をX方向、Y方向およびZ方向に移動させるために、位置調整機構68が設けられている。この位置調整機構68は、アライメントカメラ67を支持する支持部62を基台2に対してY方向に駆動することでアライメントカメラ67をY方向に位置決めする駆動部と、支持部62の梁部材66に対してアライメントカメラ67をX方向およびZ方向に駆動して位置決めする駆動部とを有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構65がアライメントカメラ64をX方向、Y方向およびZ方向に移動させることで、先に説明したアライメントカメラ64と同様にして、アライメントカメラ64により撮像された部位と異なるワーク4の部位を高精度に撮像可能となっている。なお、このようにして撮像される2つの画像についても制御ユニット90に転送されてメモリ(
図4中の符号92)に保存される。
【0026】
図4は
図1の印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。この印刷装置1の制御ユニット90には、予め定められた処理プログラムを実行して各部の動作を制御するCPU91と、CPU91により実行される処理プログラムや処理中に生成されるデータ等を記憶保存するためのメモリ92と、処理の進行状況や異常の発生などを必要に応じてユーザに報知するとともにユーザからの入力を受け付けるための操作表示部93とが設けられている。そして、処理プログラムにしたがってCPU91が装置各部を制御することで、以下に詳述するインク供給工程、本充填工程、受理工程、転写工程および仮充填工程などを実行する。なお、「仮充填」とは、後で詳述するように凹版3の上面3bの全体あるいは一部にインクが薄く残留する程度にインクを粗く均すとともに凹部3aにインクを充填することを意味し、「本充填」とは凹版3の上面3b上のインクを掻き取るとともに凹部3aにインクを充填することを意味している。
【0027】
図5Aないし
図5Cは
図1に示す印刷装置で実行される印刷動作を模式的に示す図である。これらの図面中の符号DP1、RP/TP、IP、DR2は、それぞれ、
DP1:ドクターブレード部36により本充填が行われる本充填位置、
RP/TP:転写ローラ43により受理および転写が行われる受理転写位置、
IP:スリットノズル54からインクが供給されるインク供給位置、
DP2:ドクターブレード部56により仮充填が行われる仮充填位置、
を意味している。また、ハッチング部分は凹版3の凹部3aにインクが本充填されたことを意味する一方、梨地部分は凹版3の凹部3aにインクが仮充填されたことを意味している。
【0028】
ここでは、既に以下の印刷準備動作が完了し、1枚目の印刷動作を開始することができる準備完了状態になっているという前提で1枚目から3枚目までの印刷動作について詳述する。この印刷準備動作とは、搬送ユニット80により版ステージユニット10が凹版供給回収装置(図示省略)との間で凹版3の受渡しを行うロード/アンロード位置に位置決めされており、凹版供給回収装置から搬入された凹版3を版ステージ12で保持している。また、搬送ユニット80によりワークステージユニット70がワーク供給回収装置(図示省略)との間でワーク4の受渡しを行うロード/アンロード位置に位置決めされており、ワーク供給回収装置から搬入された印刷前のワーク4をワークステージ72で保持している。また、版アライメントユニット20により得られる凹版3の画像と、ワークアライメントユニット60により得られるワーク4の画像とに基づいて凹版3に対してワーク4を位置合せする、いわゆるアライメント動作を完了している。さらに、
図5Aの上段に模式的に示すように、ドクターブレード部36、56および転写ローラ43はそれぞれ本充填位置、受理転写位置および仮充填位置から上方に退避している。
【0029】
1枚目の印刷動作が開始されると、
図5Aないし
図5Cに示す工程が実行される。以下、ステップ毎に印刷装置1で行われる印刷動作について詳述する。
【0030】
ステップS101:インク供給工程
凹版3の上面3bを上方に向けた水平姿勢で保持しながら版ステージユニット10がY2方向に移動し、インク供給位置IPに位置決めされる。より詳しくは、
図5Aに示すように、凹版3のY2方向側端部がスリットノズル54の吐出口541の鉛直直下に到達した時点で版ステージユニット10は移動を停止する。これに続いて、インク供給部55からインクがスリットノズル54に供給され、凹版3の上面3bに吐出される。これによって、凹版3のY2方向側上面端部にインク溜りIKが形成される(インク供給工程)。
【0031】
ステップS102:
凹版3の上面3bでインク溜りIKを担持しながら版ステージユニット10がY1方向に移動し、インク溜りIKが本充填位置DP1を越えた時点で版ステージユニット10は移動を停止する。これに続いて、ドクターブレード部36が下降して先端361(
図3)を凹版3の上面3bに押し付ける。
【0032】
ステップS103:1枚目の本充填工程
ドクターブレード部36の先端361が凹版3の上面3bに当接した状態のまま版ステージユニット10がY2方向に移動する。このとき、ドクターブレード部36によって、インク溜りIKが掻き取られるとともに凹部3aにインクが充填される。ここでは、ドクターブレード部36の押付力は比較的強く設定されているため、ドクターブレード部36が通過した後の凹版3の上面3bにインクは残留することはなく、凹部3aのみにインクが充填される(本充填工程)。それに続いて、版ステージユニット10がY2方向に移動して凹版3のY2方向側端部を受理転写位置RP/TPに移動させる。
【0033】
ステップS104:1枚目の受理工程と2枚目の仮充填工程
転写ローラ43が下降して受理転写位置RP/TPに位置決めされるとともに転写ローラ43が
図5Aの紙面において時計回りに回転する(以下、このような回転を「正回転」という)。また、この正回転動作に同期して、本充填工程を受けた凹版3を保持しながら版ステージユニット10が受理転写位置RP/TPを通過してY2方向に移動する。この通過時に凹部3aに充填されたインクが転写ローラ43の外周面に転写され、受理される(受理工程)。この受理工程は凹版3が受理転写位置RP/TPを完全に通過するまで継続される。
【0034】
ところで、
図5Aに示すように、受理転写位置RP/TPとインク供給位置IPとの距離は凹版3の搬送方向Yの長さよりも短いため、受理工程を継続している間に、凹版3の上面のY2方向側端部がインク供給位置IPに到達する。そこで、2枚目の印刷動作のために、当該到達タイミングでインク供給を行い、凹版3の上面3bにインク溜りIKを形成する。このように本実施形態では、1枚目の受理工程と2枚目のインク供給工程とが並行して行われ、凹版3では1枚目の印刷用インクと、2枚目の印刷用インクとが併存している。
【0035】
ここで、凹版3の上面3bのうち受理工程を受けた表面領域では、凹部3aからインクの大部分が転写ローラ43に移行しているものの、一部インクが凹版3に残留することがある。このまま次回のインク供給まで放置すると、残留インク中の溶媒成分が揮発して凹版3に固体状態で付着してしまうことがある。このような乾燥インクが付着した凹版3を用いて印刷動作を継続させると、印刷不良を招くおそれがある。そこで、本実施形態では、2枚目の印刷用インクとして形成されたインク溜りIKを仮充填位置DP2に位置決めされるドクターブレード部56によって凹版3の上面3b全体に粗く均す、いわゆる仮充填工程を実行する。
【0036】
図6Aは仮充填工程を示す図である。この仮充填工程では、Y2方向に移動する凹版3の上面3bに対してドクターブレード部56の先端561が上記した本充填のときの押付力よりも弱く設定されている。このため、インク溜りIKのインクは凹版3の上面3bに薄く広がり、これによって凹版3の上面3bがインクに覆われている。このため、乾燥インクの発生を効果的に抑制することができ、印刷品質の向上を図ることができる。
【0037】
ステップS105:
凹版3全体が受理転写位置RP/TPを通過することで1枚目の受理工程が完了する。これを受けて、転写ローラ43は回転を停止するとともに上方に退避する。これに続いて、凹版3全体が仮充填位置DP2を通過することで2枚目の印刷動作のための仮充填工程が完了する。これに受けて、ドクターブレード部56が上方に退避するとともに版ステージユニット10は移動を停止する。この時点では、
図5Bに示すように、版ステージユニット10およびワークステージユニット70はローラユニット40のY2方向側に位置している。
【0038】
ステップS106〜S109:1枚目の転写工程と2枚目の本充填工程
次に、1枚目の転写工程および2枚目の本充填工程を並行して行う。仮充填工程を受けた凹版3を保持しながら版ステージユニット10がY1方向に移動し、凹版3のY2方向側端部が本充填位置DP1に到達した時点で移動を停止する。それに続いてドクターブレード部36が降下して先端361が凹版3の上面3bに押し付けられる(ステップS106)。これによって本充填工程が開始される。このように本充填工程は、
図5Bに示すように凹版3の中心位置が受理転写位置RP/TPからY1方向に距離L2だけ離れた位置(本発明の「第2位置」に相当)P2に位置決めされた状態で開始され、さらに凹版3がY2方向に搬送されることで本充填工程が進行していく。
【0039】
一方、版ステージユニット10のY1方向への移動に追従して印刷前のワーク4を保持したままワークステージ72がY1方向に移動し、ワーク4のY2方向側端部が受理転写位置RP/TPに到達した時点で移動を停止する。それに続いて受理したインクの先頭位置が転写ローラ43の外周面のうち最も低い最下点に位置してワーク4のY2方向側端部を向くように、転写ローラ43は回転位置決めされた後で下降し、受理転写位置RP/TPに位置決めされる(ステップS107)。これによって1枚目の転写工程が開始される。このように転写工程は、
図5Bに示すようにワーク4の中心位置が受理転写位置RP/TPからY1方向に距離L1だけ離れた位置(本発明の「第1位置」に相当)P1に位置決めされた状態で開始され、さらにワーク4がY2方向に搬送されることで転写工程が進行していく。
【0040】
なお、本実施形態では、受理転写位置RP/TPと本充填位置DP1との距離L3が凹ワーク4の搬送方向Yの長さよりも長くなるように構成されている。そこで、上記ステップS106、S107は並行して行われる。もちろん、版ステージユニット10およびワークステージユニット70の移動態様はこれに限定されるものではなく、ワークステージユニット70が版ステージユニット10に追突しない限り、任意である。
【0041】
転写工程が開始されると、転写ローラ43の正回転動作とワークステージユニット70のY2方向への移動動作とが同期して実行され、これによって受理転写位置RP/TPで転写ローラ43に受理されていたインクがワーク4に順次転写される。ワーク4全体が受理転写位置RP/TPを通過した時点で凹版3の凹部3aで規定されるインクパターンPTがワーク4の上面4aに印刷される(ステップS108)。こうして1枚目の転写工程が実行され、1枚目の印刷動作が完了する。
【0042】
上記転写工程と並行して2枚目の本充填工程がドクターブレード部36によって実行される。
図6Bは2枚目の印刷動作における本充填工程を示す図である。この本充填工程が、ステップS103で実行されたものと相違する点は、既に仮充填工程が実行されてインクが凹版3の上面3b全体に均されている点のみであり、その他の構成については同一である。つまり、
図6Bに示すように、Y2方向に移動する凹版3の上面3bに対してドクターブレード部36の先端361が上記した仮充填のときの押付力よりも強く設定されている。このため、上面3bのうち凹部3aを除く表面領域に付着しているインクはドクターブレード部36で掻き取られて当該表面領域からインクがなくなるのに対し、凹部3aにはインクが充満される。この本充填工程は、凹版3全体が本充填位置DP1をY2方向に通過するまで継続され、その継続中においては
図5Bに示すように凹版3においては本充填領域(ハッチング部分)と仮充填領域(梨地部分)とが併存する。また、凹版3全体が本充填位置DP1を通過すると、ドクターブレード部36は上方に退避する。
【0043】
ステップS110:1枚目の印刷済ワーク4の搬出準備
ワーク4へのパターンPTの印刷が完了すると、当該ワーク4を保持しながらワークステージユニット70がY2方向に移動し、ワーク用のロード/アンロード位置に移動する。
【0044】
ステップS111、S112:2枚目の受理工程と3枚目のインク供給および仮充填工程
本実施形態では、本充填工程を完了した時点では既に転写ローラ43の外周面で担持していた1枚目の印刷用インクはワーク4の上面4aに転写されている。そこで、そのまま続けて版ステージユニット10がY2方向に移動して凹版3のY2方向側端部が受理転写位置RP/TPに到達して2枚目の受理工程が開始される(ステップS111)。さらに転写ローラ43の回転に同期して版ステージユニット10がY2方向に移動することで上記ステップS104と同様にして凹部3aに充填されたインクが転写ローラ43の外周面に転写され、受理される(ステップS112)。この受理工程は凹版3が受理転写位置RP/TPを完全に通過するまで継続され、当該受理工程が完了すると、転写ローラ43は上方に退避する。これに続いて、凹版3全体が仮充填位置DP2を通過することで2枚目の印刷動作における仮充填工程が完了する。これに受けて、ドクターブレード部56が上方に退避するとともに版ステージユニット10は移動を停止する。この時点では、版ステージユニット10およびワークステージユニット70はローラユニット40のY2方向側に位置している。
【0045】
ステップS113、S114:ワークの入替
上記のようにして2枚目の本充填工程および受理工程を行うのに並行して、ワーク用のロード/アンロード位置に待機しているワークステージユニット70に対し、図示を省略するワーク供給回収装置がアクセスしてワーク4の入替えを行う。すなわち、ワーク供給回収装置により、パターンPTが印刷された1枚目のワーク4がワークステージユニット70から搬出された(ステップS113)後で、2枚目のワーク4がワークステージユニット70に搬入される(ステップS114)。
【0046】
ステップS115以降:
それ以降については、ステップS106〜S114と同様のステップ(
図5Cでは、ステップS116〜S123が図示されている)が繰り返されることで3枚目、4枚目、…の印刷を行うことができる。なお、
図5Cには、2枚目と3枚目の印刷動作を並行して行う動作が模式的に記載されている。
【0047】
以上のように、第1実施形態では、1枚のワーク4を印刷するのに本充填工程、受理工程および転写工程を行っているが、n(ただし、nは1以上の自然数)枚目のワーク4に対する転写工程と、(n+1)枚目の凹版3に対する本充填工程とを並行して行っている。このため、複数枚の印刷を行う場合の印刷装置1のタクトタイムは、転写工程と本充填工程とを並行して実行した分だけ短縮することができる。その結果、印刷装置1の生産性を大幅に高めることができる。なお、上記「n枚目のワーク」および「(n+1)枚目のワーク」がそれぞれ本発明の「第1の基材」および「第2の基材」に相当し、n枚目のワークに対する印刷動作および(n+1)枚目のワークに対する印刷動作がそれぞれ本発明の「第1の印刷動作」および「第2の印刷動作」に相当している。これらの点については以下の実施形態においても同様である。
【0048】
また、上記第1実施形態では、仮充填工程を設けているため、凹版3でのインク乾燥を効果的に防止することができる。その結果、印刷品質を向上させることができる。
【0049】
また、上記第1実施形態では、n枚目の受理工程と、(n+1)枚目の凹版3に対する仮充填工程とを並行して行っている。このため、受理工程と仮充填工程とを並行して実行することで、n枚目の受理工程と(n+1)枚目の仮充填工程とを逐次的に実行する場合よりもタクトタイムを短縮することができる。
【0050】
ところで、上記第1実施形態では、ローラユニット40のY2方向側でインク供給を行っているが、インク供給位置はこれに限定されるものではなく、ローラユニット40のY1方向側で行ってもよい(第2実施形態)。以下、
図7Aないし
図7Cを参照しつつ本発明の第2実施形態について説明する。
【0051】
図7Aないし
図7Cは本発明にかかる印刷装置の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、インク充填ユニット30にインク供給用のスリットノズル34が追加されて実質上インク供給充填ユニットとして機能する点と、インク供給充填ユニット50が省略されている点と、仮充填工程が省略されている点とである。なお、その他の構成は基本的に第1実施形態と同様であるため、同一構成については同一符号を付して構成説明を省略する。
【0052】
第2実施形態では、
図7Aの上段部分に示すように、ドクターブレード部36のY1方向側にスリットノズル34が隣接して配置されている。このスリットノズル34は、配設位置が相違している点を除き、第1実施形態のスリットノズル54と同一である。つまり、スリットノズル34はX方向に延びる長尺状の吐出口341を有するノズルであり、当該吐出口341を鉛直下方に向けた状態で配置されている。また、スリットノズル34は、図示を省略するインク供給部と接続されており、インク供給部から供給されるインクをインク吐出口341から下方に向けて吐出することで版ステージユニット10に保持される凹版3の上面3bにインク溜りIKを形成する。
【0053】
次に、第2実施形態における印刷動作を
図7Aないし
図7Cを参照しつつ詳述する。ここでは、第1実施形態と同様に、既に上記印刷準備動作が完了し、1枚目の印刷動作を開始することができる準備完了状態になっているという前提で1枚目から3枚目までの印刷動作について詳述する。
【0054】
1枚目の印刷動作が開始されると、
図7Aないし
図7Cに示す工程が実行される。以下、ステップ毎に印刷装置1で行われる印刷動作について詳述する。
【0055】
ステップS201:インク供給工程
凹版3の上面3bを上方に向けた水平姿勢で保持しながら版ステージユニット10がY2方向に移動し、インク供給位置IPに位置決めされる。より詳しくは、
図7Aに示すように、凹版3のY2方向側端部がスリットノズル34の吐出口341の鉛直直下に到達した時点で版ステージユニット10は移動を停止する。これに続いて、インク供給部(図示省略)からインクがスリットノズル34に供給され、凹版3の上面3bに吐出される。これによって、凹版3のY2方向側上面端部にインク溜りIKが形成される。
【0056】
ステップS202、S203:1枚目の本充填工程
凹版3の上面3bでインク溜りIKを担持しながら版ステージユニット10がさらにY2方向に移動するとともに、ドクターブレード部36が下降して先端361を凹版3の上面3bに押し付ける(ステップS202)。それに続いて、ドクターブレード部36の先端361が凹版3の上面3bに当接した状態のまま版ステージユニット10がさらにY2方向に移動する(ステップS203)。このとき、ドクターブレード部36によって、インク溜りIKが掻き取られるとともに凹部3aにインクが充填される。ここでは、第1実施形態の本充填工程と同様に、ドクターブレード部36の押付力は比較的強く設定されており、ドクターブレード部36が通過した後の凹版3の上面3bにインクは残留することはなく、凹部3aのみにインクが充填されている(本充填工程)。それに続いて、版ステージユニット10がY2方向に移動して凹版3のY2方向側端部を受理転写位置RP/TPに移動させる。
【0057】
ステップS204:1枚目の受理工程
転写ローラ43が下降して受理転写位置RP/TPに位置決めされるとともに転写ローラ43が正回転する。また、この正回転動作に同期して、本充填工程を受けた凹版3を保持しながら版ステージユニット10が受理転写位置RP/TPを通過してY2方向に移動する。この通過時に凹部3aに充填されたインクが転写ローラ43の外周面に転写され、受理される(受理工程)。
【0058】
ステップS205:
上記した受理工程は凹版3が受理転写位置RP/TPを完全に通過するまで継続され、通過時点で転写ローラ43の正回転は停止されるとともに転写ローラ43は上方に退避する。また、版ステージユニット10はY2方向への移動を停止する。
【0059】
ステップS206〜S211:1枚目の転写工程と2枚目の本充填工程
上記受理工程によってインクが取り除かれた凹版3を保持しながら版ステージユニット10がY1方向に移動し、ステップS201と同様に、凹版3のインク供給位置IPへの位置決めと、凹版3のY2方向側上面端部へのインク溜りIKの形成が実行される。こうして、2枚目の印刷動作用のインク供給が実行される(ステップS206)。
【0060】
一方、版ステージユニット10のY1方向への移動に追従して印刷前のワーク4を保持したままワークステージ72がY1方向に移動し、ワーク4のY2方向側端部が受理転写位置RP/TPに到達した時点で移動を停止する(ステップS207)。それに続いて受理したインクの先頭位置が転写ローラ43の外周面のうち最も低い最下点に位置してワーク4のY2方向側端部を向くように、転写ローラ43は回転位置決めされた後で下降し、受理転写位置RP/TPに位置決めされる。これによって1枚目の転写工程が開始される。
【0061】
こうして転写工程が開始されると、第1実施形態のステップS108と同様に転写ローラ43の正回転動作とワークステージユニット70のY2方向への移動動作とが同期して実行され、これによって受理転写位置RP/TPで転写ローラ43に受理されていたインクがワーク4に順次転写される(ステップS208)。ワーク4全体が受理転写位置RP/TPを通過した時点で凹版3の凹部3aで規定されるインクパターンPTがワーク4の上面4aに印刷される(ステップS209)。こうして1枚目の転写工程が実行され、1枚目の印刷動作が完了する。
【0062】
上記転写工程と並行して2枚目の本充填工程がドクターブレード部36によって実行される。すなわち、1枚目の本充填工程(ステップS202、S203)と同様に、凹版3の上面3bでインク溜りIKを担持しながら版ステージユニット10がY2方向に移動するとともに、ドクターブレード部36が下降して先端361を凹版3の上面3bに押し付ける(ステップS210)。それに続いて、ドクターブレード部36の先端361が凹版3の上面3bに当接した状態のまま版ステージユニット10がさらにY2方向に移動する(ステップS211)。このとき、ドクターブレード部36によって、インク溜りIKが掻き取られるとともに凹部3aにインクが充填される。ここでは、第1実施形態の本充填工程と同様に、ドクターブレード部36の押付力は比較的強く設定されており、ドクターブレード部36が通過した後の凹版3の上面3bにインクは残留することはなく、凹部3aのみにインクが充填されている(本充填工程)。本実施形態では、凹版3全体が本充填位置DP1をY2方向に通過するまで継続され、その継続中においては
図7Bに示すように凹版3においては本充填領域(ハッチング部分)が凹版3のY1方向側端部に広がっていく。また、凹版3全体が本充填位置DP1を通過すると、ドクターブレード部36は上方に退避する。
【0063】
ステップS212:1枚目の印刷済ワーク4の搬出準備
ワーク4へのパターンPTの印刷が完了すると、当該ワーク4を保持しながらワークステージユニット70がY2方向に移動し、ワーク用のロード/アンロード位置に移動する。
【0064】
ステップS213、S214:2枚目の受理工程
本実施形態では、本充填工程を完了した時点では既に転写ローラ43の外周面で担持していた1枚目の印刷用インクはワーク4の上面4aに転写されている。そこで、そのまま続けて版ステージユニット10がY2方向に移動して凹版3のY2方向側端部が受理転写位置RP/TPに到達して2枚目の受理工程が開始される(ステップS213)。さらに転写ローラ43の回転に同期して版ステージユニット10がY2方向に移動することで上記ステップS204と同様にして凹部3aに充填されたインクが転写ローラ43の外周面に転写され、受理される(ステップS214)。この受理工程は凹版3が受理転写位置RP/TPを完全に通過するまで継続され、当該受理工程が完了すると、転写ローラ43は上方に退避する。
【0065】
ステップS215、S216:
上記のようにして2枚目の本充填工程および受理工程を行うのに並行して、ワーク用のロード/アンロード位置に待機しているワークステージユニット70に対し、図示を省略するワーク供給回収装置がアクセスしてワーク4の入替えを行う。すなわち、ワーク供給回収装置により、パターンPTが印刷された1枚目のワーク4がワークステージユニット70から搬出された(ステップS215)後で、2枚目のワーク4がワークステージユニット70に搬入される(ステップS216)。
【0066】
ステップS217以降:
それ以降については、ステップS206〜S216と同様のステップ(
図7Cでは、ステップS217〜S226が図示されている)が繰り返されることで3枚目、4枚目、…の印刷を行うことができる。なお、
図7Cには、2枚目と3枚目の印刷動作を並行して行う動作が模式的に記載されている。
【0067】
以上のように、第2実施形態では、1枚のワーク4を印刷するのに本充填工程、受理工程および転写工程を行っているが、n枚目のワーク4に対する転写工程と、(n+1)枚目の凹版3に対する本充填工程とを並行して行っている。このため、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0068】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、
図5B、
図5C、
図7B、
図7Cに示すように、n枚目の転写工程から(n+1)枚目の受理工程に移行する間、転写ローラ43を下降させた状態を維持しているが、転写工程を完了した時点で転写ローラ43を上方に退避し、受理工程を行う際に転写ローラ43を下降させて受理転写位置RP/TPに位置させるように構成してもよい。
【0069】
また、上記第1実施形態ではスリットノズル54とドクターブレード部56とでインク供給充填ユニットを構成し、第2実施形態ではスリットノズル34とドクターブレード部36とでインク供給充填ユニットを構成しているが、スリットノズルとドクターブレード部とを個別に設けてもよい。
【0070】
また、印刷材料としてインクを例示したが、例えば有機EL用ポリマーインク、電極配線に用いられる銅や銀などを含むナノメタルインクなどが含まれる。また、印刷材料が転写されるワーク(基材)としては、有機ELディスプレイ用の基板、タッチパネルやプリント配線に用いられる基板などが含まれる。しかしながら、本発明の「印刷材料」および「基材」については上記したものに限定されるものではなく、種々の印刷材料や基材に適用できる。
【0071】
以上説明したように、上記実施形態においては、
インクが本発明の「印刷材料」の一例に相当し、ワーク4が本発明の「基材」の一例に相当している。また、版ステージ12およびワークステージ72がそれぞれ本発明の「凹版保持部」および「基材保持部」の一例に相当している。また、スリットノズル34、54が本発明の「供給部」の一例に相当している。また、ブレード362、562がそれぞれ本発明の「第1のブレード」および「第2のブレード」の一例に相当しており、これらを有するドクターブレード部36、56が本発明の「充填部」として機能している。また、転写ローラ43が本発明の「転写部」の一例に相当している。また、版ステージユニット10を支持する搬送ステージ83が直動駆動部82によって移動されることで凹版3を搬送しており、直動駆動部82および搬送ステージ83が本発明の「凹版搬送部」として機能している。また、ワークステージユニット70を支持する搬送ステージ84が直動駆動部82によって移動されることでワーク(基材)4を搬送しており、直動駆動部82および搬送ステージ84が本発明の「基材搬送部」として機能している。また、制御ユニット90が本発明の「制御部」の一例に相当している。さらに、方向Y1および方向Y2がそれぞれ本発明の「第1方向」および「第2方向」に相当している。
【0072】
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明は、例えば転写工程を、転写部から第1方向に離れた第1位置から第1方向と反対の第2方向に基材を搬送しながら基材の表面を転写部に当接させる工程とし、充填工程が、転写部から第1方向に離れた第2位置から第2方向に凹版を搬送しながら転写部と第2位置との間に配設される第1のブレードを凹版の表面に摺接させることによって、凹版の表面から印刷材料を掻き取るとともに凹部に印刷材料を充填する本充填工程を有し、第2位置が第1位置よりも第1方向側であり、転写工程における基材の第2方向への搬送と、充填工程における凹版の第2方向への搬送とを少なくとも一部で並行して行うように構成してもよい。
【0073】
また、転写部から第1のブレードまでの距離は第1方向における基材の長さよりも長く、転写工程における基材の第2方向への搬送と、充填工程における凹版の第2方向への搬送とを並行して行うように構成してもよい。
【0074】
また、転写部から第2方向に搬送されてくる凹版の表面に印刷材料を供給する供給工程をさらに備え、充填工程が、転写部の第2方向側に配置される第2のブレードを、転写部から第2方向に搬送されてくる凹版の表面に摺接させて供給工程により供給された印刷材料を凹版の表面に均す仮充填工程と、 仮充填工程後に凹版を第1方向に搬送して第2位置に位置させる搬送工程とをさらに有し、搬送工程後に本充填工程を実行するように構成してもよい。
【0075】
第1の印刷動作における受理工程と、第2の印刷動作における仮充填工程とを少なくとも一部で並行して行うように構成してもよい。
【0076】
さらに、充填工程の前に第1のブレードの第1方向側で凹版の表面に印刷材料を供給する供給工程をさらに備えるように構成してもよい。