特許第6552373号(P6552373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552373
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20190722BHJP
   H02P 6/16 20160101ALI20190722BHJP
【FI】
   H02P5/46 Z
   H02P6/16
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-201182(P2015-201182)
(22)【出願日】2015年10月9日
(65)【公開番号】特開2017-73942(P2017-73942A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年3月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】深沢 信夫
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−072821(JP,A)
【文献】 特開2004−187450(JP,A)
【文献】 特開平02−070281(JP,A)
【文献】 特開2009−044905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/46
H02P 6/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御方式が異なる複数種類のモータを制御可能とする1つのモータ制御装置であって、
前記モータに接続され、複数種類の前記モータの結線方式に対し接続可能であり、前記モータを駆動するための複数のパワー部と、
制御する前記モータ毎に、前記モータの種類を判別し前記モータの制御方式を、複数の前記制御方式から択一的に選択し決定する制御部と、
前記制御部を備えるECU制御部と、
前記ECU制御部に備えられる制御電源部と、
複数の前記パワー部に備えられ、前記制御電源部からの供給された電源を前記パワー部に供給する制御電源供給部と、
複数の前記パワー部に備えられ、外部から供給された電源を前記モータに供給する電源部と、
を有し、
前記制御部は、選択し決定した制御方式に基づい駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記パワー部に出力し前記モータを制御するモータ制御装置。
【請求項2】
前記モータに接続され、接続された前記モータの回転角情報を取得するエンコーダのエンコーダ方式を、複数のエンコーダ方式から択一的に選択するエンコーダ制御部と、
前記エンコーダが検出した前記回転角情報を電気角情報に変換する変換部であって、前記エンコーダ制御部により選択されたエンコーダ方式に基づいて、前記エンコーダから供給される回転角を電気角に変換する変換方式を切り替える変換部と、
をさらに有し、
前記制御部は、前記電気角と前記制御方式に基づいて、前記パワー部を駆動する駆動信号する請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記パワー部には、それぞれ独立した電源が供給される電源端子が備えられている請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
複数種類の前記エンコーダを択一的に接続可能なコネクタをさらに備える請求項2に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ制御装置を用いてトルク等のモータの特性を検査する場合には、モータ制御装置からモータに電力を供給して、モータを一定の回転数で動作させる。例えば、モータ制御装置は、制御対象であるモータに接続されているエンコーダから供給される回転角の情報に基づいてモータを一定の回転数で動作させることで、モータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−70277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータの種類が変わると、モータの制御方式が変化する場合がある。例えば、ブラシレスモータを制御する場合には、制御対象であるブラシレスモータに対して3相結線で接続し、d−q軸2相座標系の電流を用いるベクトル制御でブラシレスモータを駆動する。一方、インダクションモータを制御する場合には、制御対象であるインダクションモータに対して3相結線で接続し、インダクションモータに印加する電圧と周波数との比を一定にするV/F制御でインダクションモータを駆動する。このように、モータの種類が変わると、モータの駆動を制御する制御方式が変わるため、異なる種類のモータを制御する場合には、そのモータの制御方式に適合したモータ制御装置を新たに用意する必要がある。したがって、複数種類のモータを制御する場合に、多大な作業時間を必要としていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数種類のモータを制御する場合に、作業時間を従来と比較して削減することが可能なモータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、制御方式が異なる複数種類のモータを制御可能とする1つのモータ制御装置であって、前記モータに接続され、複数種類の前記モータの結線方式に対し接続可能であり、前記モータを駆動するための複数のパワー部と、制御する前記モータ毎に、前記モータの種類を判別し前記モータの制御方式を、複数の前記制御方式から択一的に選択し決定する制御部と、前記制御部を備えるECU制御部と、前記ECU制御部に備えられる制御電源部と、複数の前記パワー部に備えられ、前記制御電源部からの供給された電源を前記パワー部に供給する制御電源供給部と、複数の前記パワー部に備えられ、外部から供給された電源を前記モータ部に供給する電源部と、を有し、前記制御部は、選択し決定した制御方式に基づい駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記パワー部に出力し前記モータを制御するモータ制御装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上述のモータ制御装置であって、前記モータに接続され、接続された前記モータの回転角情報を取得するエンコーダのエンコーダ方式を、複数のエンコーダ方式から択一的に選択するエンコーダ制御部と、前記エンコーダが検出した前記回転角情報を電気角情報に変換する変換部であって、前記エンコーダ制御部により選択されたエンコーダ方式に基づいて、前記エンコーダから供給される回転角を電気角に変換する変換方式を切り替える変換部と、をさらに有し、前記制御部は、前記電気角と前記制御方式に基づいて、前記パワー部を駆動する駆動信号する。
【0008】
また、本発明の一態様は、上述のモータ制御装置であって、前記パワー部には、それぞれ独立した電源が供給される電源端子が備えられている。
【0009】
また、本発明の一態様は、上述のモータ制御装置であって、複数種類の前記エンコーダを択一的に接続可能なコネクタをさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、複数種類のモータを制御する場合に、作業時間を従来と比較して削減することが可能なモータ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態におけるモータ制御装置5を含めたモータ制御システム1の概略構成の一例を示す図である。
図2】実施形態におけるインバータ回路25の構成概略図の一例を示す図である。
図3】実施形態におけるルックアップテーブルの一例を示す図である。
図4】本実施形態におけるエンコーダ信号処理部50aの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0013】
本発明は、1つのモータ制御装置で複数種類のモータを制御することができる。すなわち、実施形態におけるモータ制御装置は、種類が異なる複数のモータを制御する場合に、制御対象のモータの制御方式を複数のモータの制御方式の中から選択する。これにより、モータ制御装置は、種類が異なる複数のモータの中から、任意のモータ(制御対象のモータ)を駆動制御する場合に、その制御対象のモータの制御方式を選択するため、複数種のモータを制御することができる。
以下、実施形態のモータ制御装置を、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、実施形態のモータ制御装置5を含めたモータ制御システム1の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、モータ制御システム1は、モータ制御装置5、モータ30(モータ30a及びモータ30b)及びエンコーダ40(エンコーダ40a及びエンコーダ40b)を備える。本実施形態において、モータ制御装置5は、複数種のモータ30として、モータ30a及びモータ30bの2つのモータを駆動する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、モータ制御装置5は、1つのモータ30を駆動してもよいし、種類が異なる3つ以上のモータを駆動してもよい。すなわち、モータ制御装置5により駆動されるモータ30の数は、図1に示す例に限られない。
【0015】
モータ30a及びモータ30bは、互いに種類が異なるモータである。例えば、モータ30a及びモータ30bは、ブラシレスモータ、ブラシモータ、インダクションモータ、同期モータ、又はスイッチトリラクタンスモータ(以下、「SRモータ」という)である。
【0016】
ブラシレースモータに対する結線は、3相結線又は3相独立結線(6線式)である。また、ブラシレースモータの制御方式は、dq軸電流制御における正弦波駆動、uvw軸電流制御における正弦波駆動、又は矩形波(120°通電)駆動である。
【0017】
インダクションモータに対する結線は3相結線である。また、インダクションモータの制御方式は、V/F制御又はすべり周波数型ベクトル制御である。
【0018】
同期モータに対する結線は3相結線である。同期モータの制御方式は、dq軸電流制御における正弦波駆動又はuvw軸電流制御における正弦波駆動である。
【0019】
SRモータに対する結線は3相6線式である。また、SRモータの制御方式は矩形波駆動である。
【0020】
エンコーダ40は、モータの回転の角度(回転角)を検出する。エンコーダ40は、エンコーダ40a及びエンコーダ40bを備える。
エンコーダ40aは、モータ30aに接続されている。エンコーダ40bは、モータ30bに接続されている。すなわち、エンコーダ40aは、モータ30aの回転角を示す回転角情報を検出する。エンコーダ40bは、モータ30bの回転角を示す回転角情報を検出する。例えば、エンコーダ40a及びエンコーダ40bは、シリアル通信エンコーダ、インクリメンタルエンコーダ、レゾルバ又は複数のホールセンサである。
【0021】
モータ制御装置5は、ECU制御部10及び複数のパワー部20(パワー部20−1〜20−4)を備える。
【0022】
パワー部20−1〜パワー部20−4は、それぞれモータ30用の電源を外部から取得する。すなわち、パワー部20−1〜パワー部20−4には、それぞれ独立した電源が供給される電源端子が備えられている。
パワー部20−1は、モータ30aのU相の巻線、V相の巻線及びW相の巻線にそれぞれ接続されている。パワー部20−2は、モータ30aのX相の巻線、V相の巻線及びW相の巻線にそれぞれ接続されている。
パワー部20−3は、モータ30bのU相の巻線、V相の巻線及びW相の巻線にそれぞれ接続されている。パワー部20−4は、モータ30bのX相の巻線、V相の巻線及びW相の巻線にそれぞれ接続されている。
【0023】
パワー部20−1は、制御電源供給部21、電源部22、第2通信部23、ゲートドライバ24、インバータ回路25、電流測定器26−1〜26−3及び電流検出部27を備える。なお、パワー部20−3の構成は、パワー部20−2と同様であるため、説明を省略する。
【0024】
制御電源供給部21は、ECU制御部10から第1電源が供給される。制御電源供給部21は、パワー部20−1の各部にECU制御部10から供給された第1電源を供給する。ただし、第1電源とは、パワー部20−1において、モータ30aに供給する電源以外の電源である。すなわち、第1電源は、モータ30aに供給する電源とは別の制御系の電源である。
電源部22は、それぞれモータ30用の電源である第2電源を外部から取得する。上述したように、パワー部20−1〜パワー部20−4には、それぞれ独立した第2電源が供給される。電源部22において外部から取得した第2電源は、インバータ回路25によりモータ30aに供給される。
【0025】
第2通信部23は、ECU制御部10の第1通信部12(後述する)と通信する。第2通信部23は、第1通信部12から供給された駆動信号をゲートドライバ24に出力する。
【0026】
ゲートドライバ24は、インバータ回路25の駆動制御を行う。すなわち、ゲートドライバ24は、ECU制御部10から第2通信部23を介して供給された駆動信号に基づいて、インバータ回路25内のスイッチング素子をオン・オフさせる。
【0027】
インバータ回路25は、電源部22から供給される第2電源である直流電力を交流電力に変換してモータ30aに印加する。例えば、インバータ回路25は、例えば、6個のスイッチング素子を三相ブリッジ接続して構成されている。図2は、インバータ回路25の構成概略図の一例を示す図である。
インバータ回路25は、図2に示すように、6つのスイッチング素子12UH、12UL、12VH、12VL、12WH、12WLを有している。インバータ回路25は、スイッチング素子12UH〜12WLのオンとオフとを切り替えて直流電力を交流電力に変換する。
【0028】
直列に接続されたスイッチング素子12UH、12ULと、直列に接続されたスイッチング素子12VH、12VLと、直列に接続されたスイッチング素子12WH、12WLとは、電源部22の高電位側と接地電位との間に並列に接続されている。また、スイッチング素子12UH、12ULの接続点は、U相の巻線の一端に接続されている。スイッチング素子12VH、12VLの接続点、及びスイッチング素子12WH、12WLの接続点は、それぞれがV相の巻線の一端、V相の巻線の一端に接続されている。
各スイッチング素子12UH〜12WLは、例えば、FET(Field Effect Transistor;電界効果トランジスタ)、あるいはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。各スイッチング素子12UH〜12WLは、還流ダイオードと並列に接続された構成を有している。
【0029】
電流検出部27は、インバータ回路25からモータ30aに接続される3相の通電線に流れる電流IU、IV、IWが入力される。なお、図1では、U相、V相、W相の電流を電流測定器26−1〜26−3で検出している。なお、例えば、電流検出部27は、2つのU相の電流IUとW相の電流IWから残りのV相の電流IVを演算してもよいし、他の2相(U相とV相、V相とW相)の電流を検出してもよい。さらに、通電線の電圧を検出し、その電圧から電流を算出しても良い。電流検出部27は、検出した電流IU、IV、IWを第2通信部23を介してECU制御部10に出力する。
【0030】
パワー部20−2は、パワー部20−1と同様の構成であるが、パワー部20−2のインバータ回路25がモータ30aのX相の巻線、Y相の巻線及びZ相の巻線にそれぞれ接続されている。すなわち、パワー部20−2のインバータ回路25は、スイッチング素子12UH、12ULの接続点が、X相の巻線の一端に接続されている。スイッチング素子12VH、12VLの接続点、及びスイッチング素子12WH、12WLの接続点は、それぞれがY相の巻線の一端、Z相の巻線の一端に接続されている。
【0031】
このように、本実施形態ではパワー部20−1がモータ30aのU相の巻線、V相の巻線及びW相の巻線で結線されており、パワー部20−2がモータ30aのX相の巻線、Y相の巻線及びZ相の巻線で結線されている。これにより、モータ制御装置5は、モータ30aに対して3相独立結線で結線されている場合や、3相6線式で結線されている場合でも、モータ30aを制御することができる。
【0032】
同様に、本実施形態ではパワー部20−3がモータ30bのU相の巻線、V相の巻線及びW相の巻線で結線されており、パワー部20−4がモータ30bのX相の巻線、Y相の巻線及びZ相の巻線で結線されている。これにより、モータ制御装置5は、モータ30bに対して3相独立結線で結線されている場合や、3相6線式で結線されている場合でも、モータ30bを制御することができる。
【0033】
ECU制御部10は、制御電源部11、第1通信部12、制御部13及びエンコーダ制御部14を備える。
制御電源部11は、パワー部20に第1電源を供給する。
【0034】
第1通信部12は、複数のパワー部20の各々と通信する。第1通信部12は、通信部12−1〜12−4を備える。通信部12−1は、パワー部20−1の第2通信部23と通信する。通信部12−2は、パワー部20−2の第2通信部23と通信する。通信部12−3は、パワー部20−3の第2通信部23と通信する。通信部12−4は、パワー部20−4の第2通信部23と通信する。例えば、通信部12−1〜12−4は、それぞれパワー部20−1〜20−4の第2通信部23と通信ケーブルを介して接続されている。通信部12−1〜12−4は、自身に接続されているそれぞれのパワー部20−1〜20−4の第2通信部23にモータ30を駆動させる指示を示す駆動信号を出力する。例えば、第1通信部12は、駆動信号をLVDS(Low voltage differential signaling)でパワー部20に出力する。なお、第1通信部12と第2通信部23との接続は、有線である。
【0035】
制御部13は、制御するモータ30毎に複数のモータの種類から任意のモータの種類を選択する。例えば、制御部13は、モータ30aを制御するために、複数のモータの種類から任意の種類を選択する。制御部13は、モータ30bを制御するために、複数のモータの種類から任意の種類を選択する。なお、制御部13によりモータの種類を選択する方法は、特に限定されないが、本実施形態では、例えば、以下に説明する方法で、モータの種類を選択することができる。例えば、複数のモータの種類の中から制御するモータ30の種類を選択するための第1選択スイッチをECU制御部10に設け、モータ30を制御する際に、制御するモータの種類に応じて第1選択スイッチをユーザにより切り換える。その後、制御部13は、第1選択スイッチの切換え状態に基づいてモータの種類を判別する。すなわち、第1選択スイッチは、複数のモータの種類の中から制御するモータ30の種類を示す第1選択信号を入力するためのものであり、例えば、スイッチ、ダイアル、タッチパネル、ポインティングデバイス、音声認識装置等の単数又は複数の組み合わせで構成される。また、携帯端末やコンピュータ等の外部装置にECU制御部10が有線又は無線で接続され、制御部13は、その外部装置から送信された第1選択信号に基づいて、複数のモータの種類の中から制御するモータ30の種類を選択してもよい。
【0036】
制御部13は、選択したモータの種類に基づいて、モータの制御方式を決定する。例えば、制御部13は、制御部13は、モータの種類とモータの制御方式の関係を表すルックアップテーブルを予め記憶しておき、制御部13が選択したモータの種類に基づき、ルックアップテーブルを参照することによりモータ30の制御方式を決定する。図3は、本実施形態におけるルックアップテーブルの一例を示す図である。図3に示すように、例えば、制御部13は、モータ30aの種類としてインダクションモータを選択した場合、ルックアップテーブルを参照することによりモータ30aの制御方式をV/F制御とする。さらに、3相結線や3相独立結線等といった結線方式の情報を予めルックアップテーブルに設定しておくことで、より細かいモータ30の制御方式を決定することができる。また、電圧(PWM)制御、電流(トルク)制御、速度制御、位置制御等の制御レベルの情報を予めルックアップテーブルに設定しておくことで、より細かいモータ30の制御方式を決定することができる。制御部13は、決定した制御方式に基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を第1通信部12を介して、各第2通信部23に出力する。例えば、制御部13は、決定したモータ30aの制御方式とモータ30aの電気角とに基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を第1通信部12を介して、パワー部20−1、20−2の第2通信部23に出力する。また、制御部13は、決定したモータ30bの制御方式とモータ30bの電気角に基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を第1通信部12を介して、パワー部20−3、20−4の第2通信部23に出力する。
【0037】
また、制御部13は、電流検出部27が検出した電流IU、IV、IW(又は電流IX、IY、IZ)を第2通信部23を介して取得する。制御部13は、電流検出部27から取得した電流IU、IV、IW(又は電流IX、IY、IZ)に基づいてq軸成分やd軸成分の電流を算出し、算出したq軸成分やd軸成分の電流に基づいてモータ30aの特性を評価する。例えば、制御部13は、dq変換器を有し、3相電流IU、IV、IWを2相電流Id、Iqに変換する。変換処理には、エンコーダ制御部14(後述する)から入力される電気角の値も用いられる。電流Iqは、q軸成分の電流である。q軸とは、モータ30の永久磁石によって作られる磁界と直交方向の座標軸であって、トルクに寄与する成分である。電流Idは、d軸成分の電流である。d軸とは、磁界と同方向の座標軸である。
【0038】
エンコーダ制御部14は、制御するモータ毎に複数のエンコーダ方式から任意の方式を選択する。例えば、エンコーダ制御部14は、モータ30aを制御するために、エンコーダ40aのエンコーダ方式を複数のエンコーダ方式から選択する。例えば、エンコーダ制御部14は、モータ30bを制御するために、エンコーダ40bのエンコーダ方式を複数のエンコーダ方式から選択する。エンコーダ方式とは、モータ30の回転角を検出する検出方式であり、複数のエンコーダの種類から任意のエンコーダの種類を選択することで、複数のエンコーダ方式から任意の方式を選択してもよい。なお、エンコーダ制御部14によりエンコーダの方式を選択する方法は、特に限定されないが、本実施形態では、例えば、以下に説明する方法で、エンコーダ方式を選択することができる。例えば、複数のエンコーダ方式の種類の中から制御するモータ30に接続されたエンコーダ40のエンコーダ方式を選択するための第2選択スイッチをECU制御部10に設け、モータ30を制御する際に、制御するモータ30に接続されたエンコーダ40のエンコーダ方式に応じて第2選択スイッチをユーザにより切り換える。その後、エンコーダ制御部14は、第2選択スイッチの切換え状態に基づいてエンコーダ方式を判別する。すなわち、第2選択スイッチは、モータ制御装置5により制御されるモータ30に接続されたエンコーダ40のエンコーダ方式を示す第2選択信号を入力するためのものであり、例えば、スイッチ、ダイアル、タッチパネル、ポインティングデバイス、音声認識装置等の単数又は複数の組み合わせで構成される。また、携帯端末やコンピュータ等の外部装置にECU制御部10が有線又は無線で接続され、エンコーダ制御部14は、その外部装置から送信された第2選択信号に基づいて、複数のエンコーダ方式の中から制御するモータ30に接続されたエンコーダ40のエンコーダ方式を選択してもよい。
【0039】
エンコーダ制御部14は、選択したエンコーダ40aのエンコーダ方式を制御部13及びエンコーダ信号処理部50aに出力する。また、エンコーダ制御部14は、選択したエンコーダ40bのエンコーダ方式を制御部13及びエンコーダ信号処理部50bに出力する。
エンコーダ制御部14は、エンコーダ信号処理部50aからモータ30aの電気角情報を取得する。エンコーダ制御部14は、エンコーダ信号処理部50bからモータ30bの電気角情報を取得する。エンコーダ制御部14は、エンコーダ信号処理部50a、50bから取得したモータ30aの電気角情報とモータ30bの電気角情報とを制御部13に出力する。
【0040】
図4は、本実施形態におけるエンコーダ信号処理部50aの概略構成図である。エンコーダ信号処理部50aは、複数のインターフェースI/F51(インターフェースI/F51−1〜54−4)、選択部52、変換部53及び第3通信部54を備える。なお、エンコーダ信号処理部50bは、エンコーダ信号処理部50bと同様な構成を備えるため、説明を省略する。
【0041】
エンコーダ信号処理部50aには、さまざまな種類のエンコーダから回転角情報を取得するために、複数種のエンコーダに対応したインターフェースI/F51を複数備えている。例えば、エンコーダ40aがシリアル通信エンコーダの場合にはエンコーダ40aがインターフェースI/F51−1に接続され、エンコーダ40aがインクリメンタルエンコーダの場合にはエンコーダ40aがインターフェースI/F51−2に接続され、エンコーダ40aがレゾルバの場合にはエンコーダ40aがインターフェースI/F51−3に接続され、エンコーダ40aがホールセンサの場合にはエンコーダ40aがインターフェースI/F51−4に接続される。例えば、インターフェースI/F51−1〜51−4は、接続コネクタである。
【0042】
選択部52は、第3通信部54から供給される選択信号に基づいて、インターフェースI/F51−1〜51−4で取得した複数の回転角情報の中から1つの回転角情報を選択する。選択部52は、選択した回転角情報を変換部53に出力する。ここで、選択信号とは、制御対象であるモータ30に接続されているエンコーダ40から出力される回転角情報を選択することを示す信号である。
【0043】
変換部53は、選択部52から供給された回転角情報を電気角及び回転速度の情報に変換する。例えば、エンコーダ40aがシリアル通信エンコーダの場合、回転角情報は、モータ30の回転角の絶対値であり、その絶対値がバイナリコードやグレイコード等による二進数値である。変換部53は、モータ30の回転角の絶対値に基づいて、モータ30の電気角を決定する。例えば、変換部53はアナログ/デジタル変換器である。
【0044】
エンコーダ40aがインクリメンタルエンコーダの場合、回転角情報は、モータ30の回転に応じて出力されるA相、B相及びZ相の各々のパルス信号である。A相信号およびB相信号は、互いに90°の位相差を有する。Z相は、モータ30が1回転にする毎に1回出力される。変換部53は、選択部52から供給された回転角情報であるA相、B相及びZ相の各々のパルス信号に基づいて、モータ30の電気角及び回転速度を決定する。
【0045】
レゾルバは、モータ30の回転シャフトと一体に回転するレゾルバロータと、レゾルバロータの外周側に対向して設置され、複数設けられた磁極にセンサコイルを巻回してなるレゾルバステータとを備える。したがって、エンコーダ40aがレゾルバの場合、回転角情報は、センサコイルから出力されるパルス信号である。したがって、変換部53は、レゾルバのレゾルバステータに巻回されたセンサコイルからのパルス信号に基づいてモータ30の電気角及び回転速度を決定する。
【0046】
例えば、エンコーダ40aが複数のホールICの場合、モータ30の回転子の回転位置を検出可能な所定の位置にホールICが3つ配置されている。この場合、回転角情報は、各ホールICから出力されるハイレベルとロウレベルとの信号である。変換部53は、ホールICのそれぞれから出力される3つの信号の信号レベルの組み合わせでモータ30の電気角及び回転速度を決定する。
【0047】
このように、変換部53は、エンコーダ40aからさまざまな回転角情報が入力されても、入力された回転角情報を所定の形式に変換することができる。すなわち、変換部53は、エンコーダ40aがさまざまな種類のエンコーダに変更されても、エンコーダ40aから供給される回転角情報に基づいてモータ30の電気角及び回転速度を決定することができる。
【0048】
上述したように、モータ制御装置5は、制御方式が異なる複数種類のモータ30a、30bを制御するモータ制御装置5であって、モータを駆動するための複数のパワー部20と、制御するモータ30a、30b毎に、複数の制御方式から択一的に選択する制御部13と、を有する。そして、パワー部20は、制御部13により選択された制御方式にてモータ30a及びモータ30bを制御する。このように、モータ制御装置5は、種類が異なる複数のモータの中から、任意のモータ(制御対象のモータ)を制御する場合に、制御対象のモータの制御方式を選択することができる。したがって、制御方式が異なるモータを制御する場合に、各モータの制御方式に適合したモータ制御装置を新たに用意する必要がなく、1つのモータ制御装置5で制御方式が異なる複数種類のモータを制御することができる。したがって、モータ制御装置5は、制御方式が異なる複数種類のモータを制御する場合に、作業時間を従来と比較して削減することができる。
【0049】
また、パワー部20−1〜20−4には、それぞれ独立した電源が供給される電源端子が備えられているため、自身に接続されたモータ30に、所望の電力を供給することができきる。
【0050】
モータ制御装置5の各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、プログラムが実行されることにより、コンピュータが、モータ制御装置5の一部として機能してもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
【0051】
上述の実施形態において、エンコーダ信号処理部50は、電気角の推定初期値を原点としてエンコーダ40から供給されるパルス信号を用いてカウンタをインクリメント又はデクリメントしてモータ30の電気角を推定算出するようにしてもよい。
【0052】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)で構成されてもよいし、ASIC(Application Specified IC:特定用途向け専用IC)で構成されてもよい。同様に、エンコーダ信号処理部50は、CPUで構成されてもよいし、ASICで構成されてもよい。
【0053】
上述した実施形態におけるモータ制御装置5をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0054】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0055】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 モータ制御システム
5 モータ制御装置
10 ECU制御部
11 制御電源部
12 第1通信部
13 制御部
14 エンコーダ制御部
20 パワー部
21 制御電源供給部
22 電源部
23 第2通信部
24 ゲートドライバ
25 インバータ回路
27 電流検出部
30 モータ
40 エンコーダ
50 エンコーダ信号処理部
51 インターフェースI/F
52 選択部
53 変換部
54 第3通信部
図1
図2
図3
図4