(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の神経刺激システムの模式図である。
図1に示す本実施形態の神経刺激システム1は、頻脈や心筋梗塞、慢性心不全等の治療を行うために患者の迷走神経を電気刺激する医療用のシステムである。
図1に示すように、神経刺激システム1は、リード2と、制御ユニット10とを備えている。
リード2は、神経刺激パルスを生体に印加して神経を刺激するための第一電極3(神経刺激用電極)と、神経刺激システム1を取り付ける対象となる患者の心拍数を取得するための第二電極4(心拍数計測用電極)と、第一電極3及び第二電極4を制御ユニット10に接続するための被覆線5とを有している。
【0016】
制御ユニット10は、筐体11と、神経刺激システム1の動力源となる電源部12と、神経刺激パルスの強度や印加期間等を操作者が設定するための操作部13と、神経刺激システム1の全体を制御する制御部14とを備えている。
【0017】
制御部14は、電源部12から電力の供給を受け、操作部13に対する所定の入力操作に従って、リード2へと神経刺激パルスを出力する。
【0018】
本実施形態の制御部14は、刺激強度調整部15と、パルス発生部20とを有している。
【0019】
刺激強度調整部15は、心拍数計測部16と、保存部17と、変化量算出部18と、比較部19とを備えている。
【0020】
心拍数計測部16は、リード2の第二電極4が取り付けられた患者の心拍数を第二電極4から取得する。心拍数計測部16は、患者の心拍数を特定可能な情報をたとえばA/D変換して保存部17へと出力可能である。
【0021】
保存部17は、心拍数計測部16によって第二電極4から取得された心拍数の情報を、神経刺激パルスの印加の有無及び心拍数の取得時刻と関連付けられた情報として保存可能である。本明細書では、神経刺激パルスの印加が行われている期間(第一期間)に取得される心拍数の情報を「刺激時心拍数」といい、神経刺激パルスの印加が行われていない期間(第二期間)に取得される心拍数の情報を「非刺激時心拍数」という。
【0022】
変化量算出部18は、下記の(A),(B),(C),及び(D)の情報を保存部17から取得する。
【0023】
(A)第一非刺激時心拍数:神経刺激用電極に神経刺激パルスを印加開始する第一タイミングの直前に第二電極4から取得された非刺激時心拍数(bpm)
(B)第二非刺激時心拍数:第一タイミングにおける神経刺激パルスの持続時間の経過後神経刺激用電極に神経刺激パルスを印加開始する第二タイミングの直前に第二電極4から取得された非刺激時心拍数(bpm)
(C)第一刺激時心拍数:第一タイミングの後神経刺激パルスの持続時間内に第二電極4から取得された刺激時心拍数(bpm)
(D)第二刺激時心拍数:第二タイミングの後神経刺激パルスの持続時間内に第二電極4から取得された刺激時心拍数(bpm)
【0024】
たとえば、第一タイミングは任意のタイミングとし、第二タイミングは第一タイミングの直後のタイミングである。
なお、第一タイミング及び第二タイミングとは時系列で直近直後の関係にあるものには限られない。すなわち、第一タイミングとして規定されたタイミングの後n回目(nは自然数)の印加開始のタイミングが第二タイミングであってもよい。
【0025】
変化量算出部18は、神経刺激パルスの印加開始直前の非刺激期間の開始からこの神経刺激パルスの持続時間終了までを一周期としたときの、一周期あたりの心拍数の変化量(差)を、非刺激時と刺激時とについて、それぞれ算出する。なお、第二タイミングが第一タイミングの直後とされる場合には、上記のnは1である。
【0026】
非刺激時における一周期あたりの心拍数の変化量rbは、下記(式1)により算出される。
rb={(B)−(A)}/n・・・(式1)
【0027】
刺激時における一周期あたりの心拍数の変化量rcは、下記(式2)により算出される。
rc={(D)−(C)}/n・・・(式2)
【0028】
比較部19は、下記(式3)及び(式4)に示す関係のいずれかを満たす場合、非刺激時における心拍数の変化量rbと刺激時における心拍数の変化量rcとに乖離があると判定する。
(rc/rb)<0.5・・・(式3)
2<(rc/rb)・・・(式4)
【0029】
なお、上記のrc/rbの大きさは、nの値の影響を受けない。
【0030】
比較部19は、上記(式3)及び(式4)に示す関係のいずれかを満たす場合、神経刺激パルスの強度を下げる制御信号をパルス発生部20へと送信する。
なお、比較部19は、上記(式3)及び(式4)のいずれも満たしていない状態では、パルス発生部20へ制御信号を送信しない。
【0031】
パルス発生部20は、所定の神経刺激パルスを生成して、この神経刺激パルスを第一電極3へと出力する。パルス発生部20が発生させる神経刺激パルスの強度は、操作部13に対する入力及び比較部19からの制御信号の送信によって変更可能である。
たとえば、操作部13に対する入力による神経刺激パルスの強度の変更例として、神経刺激システム1の操作者が、過去の検査結果等を考慮した適切な神経刺激強度を入力する。
また、比較部19からの制御信号の送信による神経刺激パルスの強度の変更例として、パルス発生部20は、神経刺激パルスの強度を下げる制御信号をパルス発生部20が受信したときに、パルス発生部20が生成する神経刺激パルスの周波数、パルス幅、電流、及び電圧のいずれかを変更する。
一例として、パルス発生部20は、神経刺激パルスの強度を下げる制御信号をパルス発生部20が受信したときに、まず、神経刺激パルスの周波数を低下させることが可能であれば周波数を低下させる。また、パルス発生部20は、周波数が下限にある場合にはパルス幅を短くする。また、パルス発生部20は、周波数が下限にありさらにパルス幅も下限にある場合には電流及び電圧を低下させる。
これにより、パルス発生部20は、制御信号を受信したときに、制御信号の受信後に発生させる神経刺激パルスの強度を、制御信号の受信前に発生させた神経刺激パルスの強度よりも弱くする。
【0032】
上記の刺激強度調整部15及びパルス発生部20を備えた本実施形態の制御部14は、たとえば、入出力部,演算部,及び記憶部を有するコンピュータであってもよい。この場合、制御部14は、コンピュータを上記の刺激強度調整部15及びパルス発生部20として動作させるために記憶部に記憶された制御プログラムに従って動作する。
【0033】
本実施形態の神経刺激システム1の制御部14の動作フローについて説明する。
図2から
図5までは、本実施形態の神経刺激システム1の制御部14の動作を説明するためのフローチャートである。
神経刺激システム1の制御部14は、神経刺激の処置をする旨の入力操作が操作部13に対して行われたときに動作開始する。
まず、制御部14は、カウンタをリセットする(ステップS1,
図2参照)。ステップS1では、制御部14が動作開始してからの経過時間に対応して増加する変数t及び神経刺激パルスの印加タイミングの繰り返し数に対応して増加する変数mの値を0とする。
これでステップS1は終了し、ステップS2へ進む。
【0034】
ステップS2は、心拍数を取得するステップである。
ステップS2では、心拍数計測部16が、第二電極4(心拍数取得用電極)を用いて、心拍数の計測を行う。心拍数計測部16は、計測した心拍数の値(bpm)を記憶する。
これでステップS2は終了し、ステップS3へ進む。
【0035】
ステップS3は、神経刺激パルスを用いた刺激の開始及び停止を切り替えるステップである。
ステップS3では、まず、制御部14が、上記のステップS2で心拍数計測部16が取得した心拍数と、神経刺激システム1に予め設定された徐脈閾値とを、比較する(ステップS101,
図3参照)。ステップS101では、制御部14は、例えば、上記のステップS2において取得された心拍数が徐脈閾値未満であるか否かを判定する。
ステップS101において心拍数が徐脈閾値よりも低い(Yes)と判定された場合には、ステップS102へ進む。
ステップS101において心拍数が徐脈閾値以上(No)と判定された場合には、ステップS104へ進む。
【0036】
ステップS102は、神経刺激パルスの印加中あるいは神経刺激パルスの印加開始タイミングであるか否かを判定するステップである。
ステップS102において、神経刺激パルスの印加中あるいは神経刺激パルスの印加開始タイミングである(Yes)と判定された場合には、ステップS103へ進む。
ステップS102において、神経刺激パルスの印加中あるいは神経刺激パルスの印加開始タイミングでない(No)と判定された場合には、ステップS3は終了してステップS4へ進む。
【0037】
ステップS103は、ステップS102における判定以降の神経刺激パルスの印加を停止あるいは減弱するステップである。
ステップS103では、神経刺激パルスの印加中である場合には、神経刺激パルスの強度を低下させ、あるいは印加を停止する。また、ステップS103では、神経刺激パルスの印加開始タイミングであるときには、神経刺激パルスの印加を開始しない、あるいは神経刺激パルスの強度を低下させた状態で印加開始する。
これでステップS103は終了し、ステップS4へ進む。
【0038】
ステップS104は、刺激開始タイミングであるか否かを判定するステップである。
ステップS104の実行時に刺激開始タイミングである(Yes)場合には、ステップS105へ進む。
ステップS104の実行時に刺激開始タイミングでない(No)場合には、ステップS106へ進む。
【0039】
ステップS105は、神経刺激パルスの出力を開始するステップである。
ステップS105では、操作部13に対する入力操作によって指定された強度又は上記のステップS103において減弱された強度の神経刺激パルスを、第一電極3(神経刺激用電極)へと制御部14が出力する。
ステップS105によって開始した神経刺激は、上記のステップS103又は下記のステップS107の実行時まで、継続する。
これでステップS105は終了し、ステップS4へ進む。
【0040】
ステップS106は、刺激終了タイミングであるか否かを判定するステップである。
ステップS106の実行時に刺激終了タイミングである(Yes)場合には、ステップS107へ進む。
ステップS106の実行時に刺激終了タイミングでない(No)場合には、ステップS4へ進む。
【0041】
ステップS107は、制御部14は、神経刺激パルスの出力を停止するステップである。
ステップS107では、パルス発生部20からの神経刺激パルスの出力を停止させる。なお、ステップS107において神経刺激パルスの出力を停止させたとき、最後に出力した神経刺激パルスの強度に関する情報が記憶される。このとき記憶された強度は、神経刺激パルスの出力が再開(上記のステップS105)されたときの神経刺激パルスの強度の設定に使用可能である。
これでステップS107は終了し、ステップS4へ進む。
【0042】
ステップS4は、神経刺激パルスの印加中であるか否かを判定するステップである。
ステップS4では、上記のステップS105により神経刺激が開始されている場合にはステップS5へ進み、上記のステップS103あるいはステップS107により神経刺激が停止されている場合にはステップS6へ進む。
【0043】
ステップS5は、神経刺激中であることを記憶するステップである。
ステップS5では、神経刺激中であるか否かを示す変数(刺激中フラグP)に1を代入する。なお、刺激中フラグPの初期値は0である。
これでステップS5は終了し、ステップS7へ進む。
【0044】
ステップS6は、神経刺激中でないことを記憶するステップである。
ステップS6では、神経刺激中であるか否かを示す変数(刺激中フラグP)に0を代入する。
これでステップS6は終了し、ステップS7へ進む。
【0045】
ステップS7は、心拍数の情報を保存するステップである。
ステップS7では、上記のステップS2において取得した心拍数を、変数t及び刺激中フラグPの値と関連付けて保存する。
これでステップS7は終了し、ステップS8へ進む。
【0046】
ステップS8は、非刺激時心拍数保存タイミングであるか否かを判定するステップである。
非刺激時心拍数保存タイミングは、たとえば、ステップS1からステップS15までの一連の動作において、上記のステップS6によって刺激中フラグPに0が代入されてから、上記のステップS5によって刺激中フラグPに1が代入されるまでの間の期間に設定されたタイミングである。
ステップS8の実行時に非刺激時心拍数保存タイミングである場合(Yes)にはステップS9へ進み、ステップS8の実行時に非刺激時心拍数保存タイミングでない場合(No)にはステップS10へ進む。
【0047】
ステップS9は、ステップS7において保存された心拍数を非刺激時心拍数として内部記憶するステップである。
ステップS9では、ステップS7において保存された心拍数の情報を読み出し、変数m及び刺激中フラグPの値と関連付けて、非刺激時心拍数として保存する。
ステップS9において非刺激時心拍数が保存された後、保存された非刺激時心拍数の情報は、後述のステップS201からステップS204までの各ステップ(
図4参照)からなる刺激強度低下の判断及び実行の処理に使用される。
これでステップS9は終了し、ステップS13へ進む。
【0048】
ステップS10は、刺激時心拍数保存タイミングであるか否かを判定するステップである。
刺激時心拍数保存タイミングは、たとえば、ステップS1からステップS15までの一連の動作において、上記のステップS5によって刺激中フラグPに1が代入されてから、上記のステップS6によって刺激中フラグPに0が代入されるまでの間の期間に設定されたタイミングである。
ステップS10の実行時に刺激時心拍数保存タイミングである場合(Yes)にはステップS11へ進み、ステップS10の実行時に刺激時心拍数保存タイミングでない場合(No)にはステップS13へ進む。
【0049】
ステップS11は、ステップS7において保存された心拍数を刺激時心拍数として内部記憶するステップである。
ステップS11では、ステップS7において保存された心拍数の情報を読み出し、変数m及び刺激中フラグPの値と関連付けて、刺激時心拍数として保存する。
ステップS11において刺激時心拍数が保存された後、保存された刺激時心拍数の情報は、後述のステップS201からステップS204までの各ステップからなる刺激強度低下の判断及び実行の処理に使用される。
これでステップS11は終了し、ステップS12へ進む。
【0050】
ステップS12は、変数mの値を1つ増やすステップである。ステップS12が終了したらステップS13へ進む。
【0051】
ステップS13は、ステップS9において保存された非刺激時心拍数とステップS11において保存された刺激時心拍数とを比較するステップである。
ステップS13では、非刺激時心拍数と刺激時心拍数とが等しい場合にステップS14へ進み、非刺激時心拍数と刺激時心拍数とが等しくない場合にステップS15へ進む。
【0052】
ステップS14は、刺激強度を強める、またはユーザに通知をするステップである。
ステップS14では、たとえば、ステップS13において非刺激時心拍数と刺激時心拍数とが等しいと判定されたことに対応して神経刺激パルスの強度を強める。また、ステップS14では、神経刺激パルスの強度を強めることを促すメッセージの表示をする等により、ユーザへの通知を行う。
これでステップS14は終了し、ステップS15へ進む。
【0053】
ステップS15は、変数tの値を1つ増やすステップである。ステップS15が終了したらステップS2へ進み、ステップS2からステップS15までの繰り返しとなる。
【0054】
上記のステップS9において記憶された非刺激時心拍数及び上記のステップS11において記憶された刺激時心拍数の情報を用いて刺激強度低下の判断及び実行を行う処理のフロー(ステップS201からステップS204まで)について、
図4を参照して説明する。
ステップS201は、第一非刺激時心拍数と第二非刺激時心拍数との変化量rbを算出するステップである。
ステップS201では、変数mの値を用いて、第一非刺激時心拍数として、第一タイミングm−1直前の非刺激時心拍数(m−1,P)を取得する。また、ステップS201では、変数mの値を用いて、第二非刺激時心拍数として、第二タイミングm直前の非刺激時心拍数(m,P)を取得する。さらに、ステップS201では、第一非刺激時心拍数と第二非刺激時心拍数との変化量rb(上記の式1参照)を算出する。
なお、ステップS201は、非刺激時心拍数の情報が不足している場合(m=0の場合)には実行されない。
これでステップS201は終了し、ステップS202へ進む。
【0055】
ステップS202は、第一刺激時心拍数と第二刺激時心拍数との変化量rcを算出するステップである。
ステップS202では、変数mの値を用いて、第一刺激時心拍数として、第一タイミングm−1直後の刺激時心拍数(m−1,P)を取得する。また、ステップS202では、変数mの値を用いて、第二刺激時心拍数として、第二タイミングm直後の刺激時心拍数(m,P)を取得する。さらに、ステップS202では、第一刺激時心拍数と第二刺激時心拍数との変化量rc(上記の式2参照)を算出する。
なお、ステップS202は、刺激時心拍数の情報が不足している場合(m=0の場合)には実行されない。
これでステップS202は終了し、ステップS203へ進む。
【0056】
ステップS203は、ステップS201において算出された変化量rbとステップS202において算出された変化量rcとを比較するステップである。
ステップS203の実行時に(rc/rb)が所定の範囲内(0.5≦rc/rb≦2)である場合にはステップS9に戻る。
ステップS203の実行時に0.5≦rc/rb≦2でない場合にはステップS204へ進む。すなわち、ステップS203では、上記の(式3)又は(式4)のいずれかが満たされた状態ではステップS204へ進む。
【0057】
ステップS204は、神経刺激パルスの強度を弱めるステップである。
ステップS204では、まず、制御部14が、神経刺激パルスの強度を急速に弱める必要があるか否かの判定を行う(ステップS301、
図5参照)。
神経刺激パルスの強度を急速に弱める必要があるか否かの判定は、たとえば、上記のステップS203における範囲から(rc/rb)の値が所定の閾値以上乖離しているか否かに基づいて行われる。
ステップS301において神経刺激パルスの強度を急速に弱める必要があると判定された場合にはステップS302へ進む。ステップS301において神経刺激パルスの強度を急速に弱める必要がないと判定された場合にはステップS303へ進む。
【0058】
ステップS302は、神経刺激パルスの強度を急速に弱めるステップである。
ステップS302では、神経刺激パルスの強度を規定する条件(電流,電圧,周波数,パルス幅)のうち、電流値または電圧値を下げる。すなわち、ステップS302では、電流値または電圧値を低い値に変更するための制御信号がパルス発生部20へ送信される。
これでステップS302は終了し、ステップS304へ進む。
【0059】
ステップS303は、神経刺激パルスの強度を緩やかに弱めるステップである。
ステップS303では、神経刺激パルスの強度を規定する条件(電流,電圧,周波数,パルス幅)のうち、周波数を下げる。すなわち、ステップS303では、周波数を低い値に変更するための制御信号がパルス発生部20へ送信される。
これでステップS303は終了し、ステップS304へ進む。
【0060】
ステップS304は、神経刺激パルスの強度を追加的に弱める必要の有無を判定するステップである。
ステップS304では、たとえば、上記のステップS302において電流値又は電圧値が下限値に達した場合、及び上記のステップS303において周波数が下限値に達した場合に、他の条件を変更することにより神経刺激パルスの強度をさらに弱めるために、ステップS305(電流値又は電圧値の低下),ステップS306(パルス幅の短縮),及びステップS307(周波数の低下)の各ステップのうち実行可能なステップを実行する。ステップS305,ステップS306,及びステップS307は、それぞれの実行順序を問わない。
ステップS305,ステップS306,及びステップS307が終了したらステップS304が再度実行される。
上記のステップS302において電流値又は電圧値が下限値に達していない場合、及び上記のステップS303において周波数が下限値に達していない場合には、神経刺激パルスの強度を追加的に弱める必要がないと判定され、ステップS204が終了する。
【0061】
本実施形態の神経刺激システム1の作用について説明する。
神経刺激パルスを生体に印加して心拍数を低下させる場合、神経刺激パルスの強度が適切な範囲内にあれば、神経刺激パルスの強度と心拍数の低下率とは相関する。しかしながら、神経刺激パルスの強度が高ければ高いほど心拍数が低下するものではない。
【0062】
神経刺激パルスにより心拍数が低下している場合、患者の恒常性により心拍数を上げようとする作用が生じ、心拍数は、神経刺激パルスの作用と恒常性とが拮抗する下限心拍数以下には下がりにくい。患者の個人差や環境等に応じて下限心拍数が異なるので、神経刺激システム1の使用開始前に下限心拍数を把握することは難しい。
【0063】
本実施形態の神経刺激システム1において、上記の式3または式4を満たしている時には、神経刺激パルスを印加したことで患者の下限心拍数に達していることが示唆され、このときに印加した神経刺激パルスの強度は、不適切に高く生体に負担と可能性があるので、低下させるべきである。
【0064】
本実施形態の神経刺激システム1は、上記のステップS201からステップS204までのフローにより、患者の心拍数(非刺激時心拍数,刺激時心拍数)に基づいて、ステップS203における判断条件を満たしていないときに刺激強度設定値を弱める。この一連のステップにより、患者に対して不適切に強い神経刺激パルスが継続して印加されることを防ぐことができる。
【0065】
また、心拍数の日内変動によらず心拍数を一定に制御しようとすると、日内変動の範囲内で心拍数が高い時間帯に無理に心拍数を下げることとなり生体に負担がかかる。日内変動の範囲内で心拍数が高い時間帯には、その高さに応じて心拍数の上昇を許容することにより、日内変動があっても生体に負担がかからない程度の心拍数とすることが望ましい。
本変形例の神経刺激システム1は、上記の式3または式4を満たしたときに、比較部19がパルス発生部20に対して、刺激強度を弱めるための制御信号を送信するので、不適切に高い強度の神経刺激パルスが継続して印加されることを防ぐことができる。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態の神経刺激システム1によれば、心拍数を低下させる際に生体にかかる負担を少なくすることができる。
【0067】
(変形例)
上記第1実施形態の変形例について説明する。
図6は、本変形例の神経刺激システムの制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
本変形例の神経刺激システム1の比較部19(
図1参照)は、上記第1実施形態と異なる基準により乖離の有無を判定する。
すなわち、本変形例では、上記の(式3)又は(式4)を満たしている場合であっても、下記(式5)と(式6)とを同時に満たす場合には、乖離がないと判定される。
【0068】
−0.05×(A)<rb<0.05×(A)・・・(式5)
−0.05×(C)<rc<0.05×(C)・・・(式6)
本変形例では、上記の(式5)及び(式6)を満たすときには、rc/rbの値によらず、乖離はないと比較部19が判定する。すなわち、上記の(式5)及び(式6)を満たすときには、神経刺激パルスの強度を低下させるための制御信号は送信されない。
【0069】
本変形例における制御部14の動作について
図6に示すフローチャートに沿って説明する。
本変形例では、上記のステップS201からステップS204までのフローに代えて、ステップS401からステップS405までのフローが実行される。
【0070】
ステップS401及びステップS402は、上記のステップS201及びステップS202と同様のステップである。ステップS401及びステップS402では、上記の第1実施形態と同様に、ステップS9において記憶された非刺激時心拍数の情報及びステップS11において記憶された刺激時心拍数の情報を参照する。
ステップS401及びステップS402の終了後、ステップS403へ進む。
【0071】
ステップS403は、上記のステップS203と同様の比較をして判断するステップである。
ステップS403の実行時に(rc/rb)が所定の範囲内(0.5≦rc/rb≦2)である場合にはステップS403は終了する。
ステップS403の実行時に0.5≦rc/rb≦2でない場合にはステップS404へ進む。すなわち、ステップS403では、上記の(式3)又は(式4)のいずれかが満たされた状態ではステップS404へ進む。
【0072】
ステップS404は、上記の(式5)及び(式6)を満たしているか否かを判断するステップである。
ステップS404において、上記の(式5)及び(式6)をともに満たしている場合にはステップS404は終了する。
ステップS404において、上記の(式5)と(式6)との少なくともいずれかを満たしていない場合にはステップS405へ進む。
【0073】
ステップS405は、神経刺激パルスの強度を弱めるステップである。
ステップS405では、上記のステップS301からステップS307までのフローが実行され、上述の通り神経刺激パルスの強度を規定する条件(電流,電圧,周波数,パルス幅)の少なくともいずれかが変更される。
これでステップS405は終了する。
【0074】
本変形例の神経刺激システム1の使用時における心拍数の変動について
図7から
図8までを参照して説明する。
図7及び
図8は、非刺激時の心拍数(非刺激時HR)、刺激時の心拍数(刺激時HR)、及び心拍低下率をそれぞれ時系列(横軸)で示したグラフである。
図7は、本変形例の比較部19による制御信号の送信が常に行われていない場合を示している。
図8は、上記の比較部19が上記の基準により制御信号をパルス発生部20に送信する場合を示している。
【0075】
図7に示すように、制御信号の送信がない場合には、非刺激時の心拍数の時系列の変動と刺激時の心拍数の時系列の変動が相関せず、心拍数低下率に大きな変動がみられる。これに対して、
図8に示すように、制御信号の送信がある場合には、非刺激時の心拍数と刺激時の心拍数に相関があり、心拍数低下率が安定して推移している。
【0076】
本変形例では、上記の(式5)及び(式6)をともに満たしている場合に、非刺激中の心拍数同士の変化量と、神経刺激中の心拍数同士の変化量に乖離がないとし、神経刺激強度をそのまま維持することができる。このため、本変形例の神経刺激システム1によれば、生体にとって負担を少なくし、心拍数の低下率を安定させることができる。
【0077】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態において、上記の第1実施形態に開示された構成要素と同様の構成要素については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略されている。また、以下の各実施形態において、上記の第1実施形態に開示された構成要素に対応する構成要素については、実施形態ごとに異なる文字を符号の後ろに付して
図1に示される。
【0078】
本実施形態の神経刺激システム1Aは、上記の第1実施形態に開示された変化量算出部18及び比較部19とは構成が異なる変化量算出部18A及び比較部19Aを有している。神経刺激システム1Aにおける変化量算出部18A,比較部19A以外の構成は上記の第1実施形態と同様であってよい。
【0079】
本実施形態の神経刺激システム1Aの変化量算出部18Aは、上記の第1実施形態と同様に、第一非刺激時心拍数(A),第二非刺激時心拍数(B),第一刺激時心拍数(C),及び第二刺激時心拍数(D)の情報を保存部17から取得する。
【0080】
上記の(A),(B),(C),及び(D)の取得後、変化量算出部18Aは、(B)/(A)及び(D)/(C)の値を算出する。(B)/(A)は非刺激時における心拍数の変化率を示し、(D)/(C)は刺激時における心拍数の変化率を示している。
【0081】
比較部19Aは、変化量算出部18Aが算出した上記の各変化率を比較して、各変化率に乖離があるか否かを判定する。
すなわち、比較部19Aは、上記の(A),(B),(C),及び(D)が以下の式7に示す関係を満たす場合に、前記乖離があると判定する。
【0082】
(B)/(A)>k(D)/(C) ただしkは1より大きい定数・・・(式7)
ここで、定数kは、神経刺激システム1の適用対象となる患者の年齢,性別その他を考慮して予め設定された値である。
【0083】
上記の式7を満たしていることは、刺激時心拍数の変化率が非刺激時心拍数の変化率よりも小さくなりすぎていることを示しており、神経刺激パルスの強度が不適切に高いことを示唆している。
【0084】
各変化率に乖離があると判定した場合には、比較部19Aは、上記の式1を満たした状態を解消するために、(D)/(C)を高めるための制御信号をパルス発生部20へと送信する。
各変化率に乖離がないと判定した場合には、比較部19Aは、パルス発生部20へ制御信号を送信しない。
【0085】
本実施形態の神経刺激システム1Aも、第1実施形態と同様に、心拍数を低下させる際に生体にかかる負担を少なくすることができる。
【0086】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、本実施形態の神経刺激システムの制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
本実施形態の神経刺激システム1B(
図1参照)は、上記の第1実施形態に開示された変化量算出部18及び比較部19とは構成が異なる変化量算出部18B及び比較部19Bを有している。神経刺激システム1Bにおける変化量算出部18B,比較部19B以外の構成は上記の第1実施形態と同様であってよい。
【0087】
本実施形態の神経刺激システム1Bの制御部14の動作について
図9に示すフローチャートに沿って説明する。
本実施形態では、上記の第1実施形態におけるステップS7(
図2参照)において、心拍数を保存した後に、下記のステップS501からステップS503までのフローが実行される。
【0088】
ステップS501は、心拍数のトレンドの情報を用いて相互相関解析を行うステップである。
ステップS501では、まず、神経刺激システム1Bの変化量算出部18Bが、神経刺激パルスの印加持続時間を複数含む所定の第一期間T(t<T<t+s)における非刺激時心拍数のトレンドを非刺激時トレンドfb(T)として算出する。たとえば、上記の第一期間Tにおける定数sは、少なくとも3つ以上の印加持続時間を第一期間Tが含むように、あらかじめ規定された値である。
さらに、神経刺激システム1Bは、第一期間における刺激時心拍数のトレンドを刺激時トレンドfc(T)として算出する。非刺激時トレンドfb(T)及び刺激時トレンドfc(T)は、いずれも保存部17に保存される。
さらに、ステップS501において、非刺激時トレンドfb(T)及び刺激時トレンドfc(T)が保存部17に保存された後、変化量算出部18Bは、非刺激時トレンドfb(T)と刺激時トレンドfc(T)との相互相関係数を相互相関解析により取得する。
これでステップS501は終了し、ステップS502へ進む。
【0089】
ステップS502は、上記のステップS502において取得された相互相関係数に基づいて処理を分岐するステップである。
ステップS502では、相互相関係数が、1よりも所定の閾値を超えて小である時(たとえば本実施形態では相互相関係数が0.4未満)に、心拍数の変化率に乖離があると比較部19Bが判定し、ステップS403へ進む。
ステップS502において、相互相関係数が所定の閾値よりも1に近い値である時(たとえば本実施形態では相互相関係数が0.4以上)には、ステップS502は終了する。
【0090】
ステップS503は、神経刺激パルスを弱めるために刺激強度設定値を弱めるステップである。
ステップS503では、上記のステップS301からステップS307までの各ステップが実行されることにより、神経刺激パルスを弱めるための制御信号をパルス発生部20へ送信する。
これでステップS503は終了する。
【0091】
このように、本実施形態の神経刺激システム1Bは、非刺激時トレンドfb(T)と刺激時トレンドfc(T)とを比較することにより、心拍数のばらつきの影響を軽減して神経刺激パルスの強度を調整することができる。
その結果、本実施形態の神経刺激システム1Bも、第1実施形態と同様に、心拍数を低下させる際に生体にかかる負担を少なくすることができる。
【0092】
(変形例)
上記の第3実施形態の変形例について説明する。
図10は、本変形例の神経刺激システムの制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
本変形例では、制御部14が、神経刺激パルスの強度を急激に低下させるか緩やかに低下させるかを相互相関係数の値に応じて選択し、神経刺激パルスの強度を規定する条件(電流,電圧,周波数,パルス幅)の少なくともいずれかを、相互相関係数の値に応じた選択に基づいて変更する。
【0093】
本変形例における制御部14の動作を、
図10に示すフローチャートに沿って説明する。
まず、上記第1実施形態に開示されたステップS7において、上記のステップS501と同様に相互相関解析を行うステップS601が実行される。
【0094】
ステップS601の後、上記のステップS502と同様の判断条件により相互相関係数の値の比較が行われる(ステップS602)。ステップS602において相互相関係数が1よりも所定の閾値を超えて小である場合(本変形例では相互相関係数が0.4未満)には、ステップS603へ進む。ステップS602において相互相関係数が所定の閾値よりも1に近い値である場合(本変形例では相互相関係数が0.4以上)にはステップS604へ進む。
【0095】
ステップS603は、神経刺激パルスの強度を規定する条件(電流,電圧,周波数,パルス幅)のうち、電流値又は電圧値を低下させるステップである。電流値又は電圧値は、上記条件のうち、神経刺激パルスの強度を急激に変化させることが可能な条件である。
これでステップS603は終了する。
【0096】
ステップS604は、上記のステップS602とは異なる閾値(本変形例では0.7)を用いて、相互相関係数の値と閾値とを比較するステップである。ステップS604において相互相関係数が1よりも所定の閾値を超えて小である場合(本変形例では相互相関係数が0.7未満)には、ステップS605へ進む。ステップS604において相互相関係数が所定の閾値より1に近い値である場合(本変形例では相互相関係数が0.7以上)には、ステップS604は終了する。
【0097】
ステップS605は、神経刺激パルスの強度を規定する条件(電流,電圧,周波数,パルス幅)のうち、周波数を低下させるステップである。周波数は、電流及び電圧よりも神経刺激パルスの強度を緩やかに変化させることが可能な条件である。
これでステップS605は終了する。
【0098】
本変形例の神経刺激システム1Bも、第2実施形態と同様に、心拍数を低下させる際に生体にかかる負担を少なくすることができる。
さらに、本変形例では、相互相関係数の値の大きさから、神経刺激パルスの強度を急速に弱める必要があるのか、神経刺激パルスの強度を緩やかに弱める必要があるのかを制御部14が自動的に判断することができるので、心拍数のトレンドの情報を用いて、神経刺激パルスの強度を適切な強さに変更することができる。
【0099】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。
図11は、本実施形態の神経刺激システムの制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
本実施形態の神経刺激システム1Cは、上記の第1実施形態に開示された変化量算出部18及び比較部19とは構成が異なる変化量算出部18C及び比較部19Cを有している。神経刺激システム1Cにおける変化量算出部18C,比較部19C以外の構成は上記の第1実施形態と同様であってよい。
【0100】
本実施形態の神経刺激システム1Cの制御部14Cは、下記のステップS701からステップS703までのフロー(
図11参照)を実行する。
ステップS701は、心拍数のトレンドのばらつきを算出するステップである。
ステップS701では、制御部14Cの変化量算出部18Cが、神経刺激パルスの印加持続時間を複数含む所定の第一期間T(t<T<t+s)の非刺激時トレンドfb(T)における各心拍数のばらつきを非刺激時ばらつきvb(T)として算出する。さらに、変化量算出部18Cは、第一期間の刺激時トレンドfc(T)における各心拍数のばらつきを刺激時ばらつきvc(T)として算出する。非刺激時ばらつきvb(T)及び刺激時ばらつきvc(T)は、いずれも保存部17に保存される。
これでステップS701は終了し、ステップS702へ進む。
【0101】
ステップS702は、ステップS701において保存された各ばらつきを比較して処理を分岐するステップである。
ステップS702では、比較部19Cが、非刺激時ばらつきvb(T)に対して刺激時ばらつきvc(T)が所定の閾値(本実施形態では5)を超えて小である時に、心拍数の変化率に乖離があると判定し、ステップS703へ進む。
ステップS702において非刺激時ばらつきvb(T)に対して刺激時ばらつきvc(T)が所定の閾値(本実施形態では5)以上であるときには、ステップS7へ戻りステップS8へ進む。
ステップS703は、神経刺激パルスの強度を弱めるために、刺激強度設定値を弱めるステップである。
ステップS703では、上記のステップS301からステップS307までの各ステップが実行されることにより、神経刺激パルスの強度を弱める制御信号がパルス発生部20へ送信される。
【0102】
本実施形態において、非刺激時ばらつきvb(T)に対して刺激時ばらつきvc(T)が所定の閾値を超えて小である時は、神経刺激パルスの影響によって心拍数を下げる作用と恒常性により心拍数を上げる作用とが強く拮抗することにより心拍数のばらつきが小さくなっていることを意味する。すなわち、非刺激時ばらつきvb(T)に対して刺激時ばらつきvc(T)が所定の閾値を超えて小である時には、神経刺激パルスを弱めることで患者への負担を下げることが好ましい。本実施形態の神経刺激システム1Cは、非刺激時ばらつきvb(T)と刺激時ばらつきvc(T)とを比較することにより、神経刺激パルスの強度が不適切に高い状態であるか否かを判定することができる。その結果、本実施形態の神経刺激システム1Cは、生体にとって負担が少ない強度の神経刺激パルスによって神経刺激をすることができる。
【0103】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態の神経刺激システム1Dは、上記の第1実施形態に開示された変化量算出部18及び比較部19とは構成が異なる変化量算出部18D及び比較部19Dを有している。神経刺激システム1Dにおける変化量算出部18D,比較部19D以外の構成は上記の第1実施形態と同様であってよい。
【0104】
変化量算出部18Dは、神経刺激パルスの印加持続時間を複数含む所定の第一期間T(t<T<t+s)における非刺激時心拍数のトレンドを非刺激時トレンドfb(T)として算出する。さらに、変化量算出部18Dは、第一期間Tにおける非刺激時心拍数に対する刺激時心拍数の低下率を算出し、第一期間における低下率のトレンドを低下率トレンドfbc(T)として算出する。非刺激時トレンドfb(T)及び低下率トレンドfbc(T)は保存部17に保存される。
その後、変化量算出部18Dは、非刺激時トレンドfb(T)と低下率トレンドfbc(T)との相互相関係数を相互相関解析により取得する。
【0105】
比較部19Dは、変化量算出部18Dが取得した相互相関係数が1に近い(たとえば相互相関係数が0.7以上)である時に、心拍数の変化率に乖離があると判定し、神経刺激パルスを弱める制御信号をパルス発生部20へ送信する。
【0106】
本実施形態の神経刺激システム1Dでは、非刺激時トレンドと低下率トレンドとの相互相関係数を取得し、非刺激時トレンドと低下率トレンドとを比較することにより、非刺激時における心拍数の変化に刺激時における心拍数の変化が追従しないほどに神経刺激パルスの強度が高い状態を検知して、神経刺激パルスを弱めることができる。これにより、本実施形態の神経刺激システム1Dは、生体にとって負担が少ない強度の神経刺激パルスによって神経刺激をすることができる。また、低下率トレンドを用いて比較部19Dが判定を行うので、ノイズ等の影響によって心拍数の低下率の値が異常値を示した場合にも、精度よく判定をすることができる。
【0107】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、上述の各実施形態及びその変形例において、神経刺激パルスの強度を自動的に変更するのではなく、神経刺激パルスの強度を低下させるための設定変更を使用者に促すための信号等を制御部が出力してもよい。
また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。