特許第6552393号(P6552393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552393
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】杭打機
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/20 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   E02D7/20
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-235788(P2015-235788)
(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公開番号】特開2017-101468(P2017-101468A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一磨
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−056142(JP,U)
【文献】 特開平06−299554(JP,A)
【文献】 特開2010−013814(JP,A)
【文献】 特開2014−047576(JP,A)
【文献】 特開2002−121736(JP,A)
【文献】 特開2007−113222(JP,A)
【文献】 特開2004−036261(JP,A)
【文献】 米国特許第04542795(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/06
E02D 7/14
E02D 7/16
E02D 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンの前部に設けたリーダを、前記ベースマシン後部両側に張り出すアウトリガービームに支持されるバックステーで支持し、前記リーダに沿って作業装置を昇降可能に設け、前記ベースマシンに複数のウインチを設置し、該ウインチに巻回したワイヤロープの巻き取り及び繰り出しを行うことにより杭打ち作業を行う杭打機において、
前記アウトリガービームの先端部にウインチ取付けブラケットを取り付け、該ウインチ取付けブラケットに補助ウインチを設けるとともに、前記バックステーに補助シーブを取り付け、前記補助ウインチと前記補助シーブとに補助ワイヤロープを架け渡すことを特徴とする杭打機。
【請求項2】
前記補助シーブは、前記バックステーの上部に配置される上部補助シーブと、前記バックステーの中間部に配置される下部補助シーブとを備えていることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、詳しくは、ベースマシンに設置した複数のウインチにワイヤロープを巻回し、該ワイヤロープの巻き取り及び繰り出しを行うことにより杭打ち作業を行う杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
杭打機は、ベースマシンの前部に設けたリーダに沿ってハンマーやオーガなどの作業装置を昇降させて杭打ち作業を行っており、作業装置の昇降、パイルやロッドの吊上げ、リーダの起伏などの作業は、ベースマシンに設置した複数のウインチに巻回したワイヤロープを巻き取ったり、繰り出したりすることにより行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−47576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の杭打機の大型化に伴いウインチの増設が要請されているが、上述の特許文献1のような杭打機では、ベースマシン上には新たにウインチを増設するスペースの余裕がなく、さらに、リーダの上部には複数のワイヤロープが架け渡されているとともに、リーダの周囲には複数の作業装置が配置されていることから、これらとの干渉を避けながら新たなウインチに巻回したワイヤロープを架け渡すことは難しかった。
【0005】
そこで本発明は、ベースマシンに配置される複数の作業装置やワイヤロープとの干渉を避けながら、ベースマシンに新たなウインチを増設することができる杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、ベースマシンの前部に設けたリーダを、前記ベースマシン後部両側に張り出すアウトリガービームに支持されるバックステーで支持し、前記リーダに沿って作業装置を昇降可能に設け、前記ベースマシンに複数のウインチを設置し、該ウインチに巻回したワイヤロープの巻き取り及び繰り出しを行うことにより杭打ち作業を行う杭打機において、前記アウトリガービームの先端部にウインチ取付けブラケットを取り付け、該ウインチ取付けブラケットに補助ウインチを設けるとともに、前記バックステーに補助シーブを取り付け、前記補助ウインチと前記補助シーブとに補助ワイヤロープを架け渡すことを特徴としている。また、前記補助シーブは、前記バックステーの上部に配置される上部補助シーブと、前記バックステーの中間部に配置される下部補助シーブとを備えていると好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の杭打機によれば、アウトリガービームにウインチ取付けブラケットを設け、ウインチ取付けブラケットに補助ウインチを取り付け、該補助ウインチとバックステーに設けた補助シーブとに補助ワイヤロープを巻回することにより、複数の作業装置や他のワイヤロープとの干渉を避けながら、ベースマシンに新たなウインチを増設でき、作業性の向上を図ることができる。また、補助ウインチをアウトリガービームの先端側に配置するとともに、補助ワイヤロープをバックステーに沿って延出させ、バックステーに設けた補助シーブに架け渡すことから、補助ワイヤロープに荷を吊った際に、バックステーの曲げ方向へ掛かる力を小さく抑えることができ、バックステーへの負荷を極力小さく抑えることができる。
【0008】
また、バックステーの上部に配置される上部補助シーブと、バックステーの中間部に配置される下部補助シーブとを備えたことにより、フリートアングルが大きくなることを抑制でき、ワイヤロープの乱巻や、ワイヤロープが補助ウインチの端部に重なることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一形態例を示す杭打機の平面図である。
図2】同じくアウトリガービームの要部正面図である。
図3】同じくバックステーの中間位置の要部正面図である。
図4】同じくバックステーの上部位置の要部正面図である。
図5】同じく杭打機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図5は本発明の杭打機の一形態例を示す図で、この杭打機11のベースマシン12は、クローラ13aを備えた下部走行体13の上部に、上部旋回体14を旋回可能に設けるとともに、該上部旋回体14の前部には、リーダ15及びフロントジャッキ16,16が取り付けられるリーダブラケット17が設けられ、上部旋回体14の後部側には、リアジャッキ18とバックステー19と補助ウインチ20とがそれぞれ取り付けられる一対のアウトリガービーム21,21が設けられている。さらに、上部旋回体14の後端部には、カウンタウエイトや発電機22を載置する載置台14aが設けられている。
【0011】
前記リーダ15は、リーダブラケット17に対して前後左右に傾動可能に取り付けられるリーダ基部材15aの上部に、複数のリーダ部材15bを連結したもので、リーダ15の中間部には、リーダ15を回動可能に保持するリーダホルダ23が設けられている。このリーダホルダ23の後部には、前記アウトリガービーム21,21の先端部上面に基端が支持される左右一対の前記バックステー19,19が設けられ、該バックステー19,19によってリーダ15が後方から支持されている。
【0012】
上部旋回体14には、複数のウインチが設けられ、複数のウインチ中の第1ウインチのドラムから、昇降用ワイヤロープ24が繰り出され、該昇降用ワイヤロープ24は、バックステー19の上端部に設けられたホルダガイドシーブ25、リーダ15の上端に設けられたトップシーブブロック26の複数のシーブ26aを経てリーダ15の車体前方へ繰り出され、先端部がリーダ15に昇降可能に設けられたオーガ等の作業装置(図示せず)に連結され、作業装置を吊持するようにしている。
【0013】
アウトリガービーム21,21は、上部旋回体14の後部から車体左右方向にそれぞれ張り出され、各アウトリガービーム21の中央部に前記リアジャッキ18がそれぞれ設けられ、先端部上面には、前記バックステー19が支持されている。さらにアウトリガービーム21の先端部後側には、ウインチ取付けブラケット27が着脱可能に取り付けられ、該ウインチ取付けブラケット27に補助ウインチ20が設けられ、補助ウインチ20のドラム20aには、補助ワイヤロープ28が巻回されている。
【0014】
バックステー19には、車体外側の上部に吊り具29を介して上部補助シーブ30が、中間部に固定部材31を介して下部補助シーブ32がそれぞれ回転可能に取り付けられ、補助ウインチ20と下部補助シーブ32と上部補助シーブ30とに亘って補助ワイヤロープ28が架け渡される。補助ワイヤロープ28の先端部には、例えば、図4に示されるように、ハンガー部材33が連結され、該ハンガー部材33に発電機22から作業装置に接続されるキャブタイヤケーブルを掛けて吊り上げることができる。
【0015】
本形態例の杭打機11は、上述のように形成されることにより、複数の作業装置や他のワイヤロープとの干渉を避けながら、ベースマシン12に新たな補助ウインチ20を増設でき、作業性の向上を図ることができる。また、補助ウインチ20をアウトリガービーム21の先端側に配置するとともに、補助ワイヤロープ28は、バックステー19の外側に設けた下部補助シーブ32と上部補助シーブ30とを介してバックステー19に沿って延出していることから、補助ワイヤロープ28に荷を吊った際に、バックステー19の曲げ方向へ掛かる力を小さく抑えることができ、バックステー19への負荷を極力小さく抑えることができる。また、バックステー19の中間部に下部補助シーブ32を設けたことにより、フリートアングルが大きくなることを抑制でき、補助ワイヤロープ28の乱巻や、補助ワイヤロープ28が補助ウインチ20のドラム20aの端部に重なることを防止できる。
【0016】
なお、本発明の杭打機は上述の形態例に限らず、リーダの構造は任意であり、地盤改良機にも適用することができる。さらに、リーダの長さが短いものであれば、バックステーに下部補助シーブを設けていなくても良い。
【符号の説明】
【0017】
11…杭打機、12…ベースマシン、13…下部走行体、13a…クローラ、14…上部旋回体、14a…載置台、15…リーダ、15a…リーダ基部、15b…リーダ部材、16…フロントジャッキ、17…リーダブラケット、18…リアジャッキ、19…バックステー、20…補助ウインチ、20a…ドラム、21…アウトリガービーム、22…発電機、23…リーダホルダ、24…昇降用ワイヤロープ、25…ホルダガイドシーブ、26…トップシーブブロック、26a…シーブ、27…ウインチ取付けブラケット、28…補助ワイヤロープ、29…吊り具、30…上部補助シーブ、31…固定部材、32…下部補助シーブ、33…ハンガー部材
図1
図2
図3
図4
図5