(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552398
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】作業車及びバックホー
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20190722BHJP
E02F 3/96 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
E02F9/00 F
E02F3/96 K
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-238815(P2015-238815)
(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2017-106179(P2017-106179A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 英司
(72)【発明者】
【氏名】米倉 嵩博
(72)【発明者】
【氏名】阿部 将樹
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−273901(JP,A)
【文献】
特開平05−239845(JP,A)
【文献】
特開平07−255211(JP,A)
【文献】
実開昭62−044952(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0262256(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 3/96
E02F 3/36
E02F 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部に着脱可能なバックホーと、
前記バックホーを前記機体に装着する装着機構と、が備えられており、
前記装着機構に、前記機体に設けられた被係合部材と、前記バックホーに設けられ、前記被係合部材に係合可能な係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定するロック部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定し、
前記係合部材は、前記被係合部材に係合する係合位置と前記被係合部材と係合しない非係合位置とに切替え可能であり、
前記ロック部材は、前記係合部材を前記被係合部材に係合する状態に固定するロック位置と当該固定を解除する解除位置とに切替え可能であり、
前記係合部材を前記非係合位置に切り替わるように付勢する第一付勢部材が備えられており、
前記係合部材は、前記ロック部材が前記解除位置に切り替えられることにより、前記第一付勢部材によって前記非係合位置に切り替えられ、
前記ロック部材を前記ロック位置に切り替わるように付勢する第二付勢部材と、
前記ロック部材が前記ロック位置に切り替わるのを阻止する阻止状態と前記ロック部材が前記ロック位置に切り替わるのを許容する許容状態とに切替え可能な阻止部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記阻止部材が前記許容状態に切り替えられた状態で、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記第二付勢部材によって前記ロック位置に切り替えられる作業車。
【請求項2】
機体の後部に着脱可能なバックホーと、
前記バックホーを前記機体に装着する装着機構と、が備えられており、
前記装着機構に、前記機体に設けられた被係合部材と、前記バックホーに設けられ、前記被係合部材に係合可能な係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定するロック部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定し、
前記係合部材は、前記被係合部材に係合する係合位置と前記被係合部材と係合しない非係合位置とに切替え可能であり、
前記ロック部材は、前記係合部材を前記被係合部材に係合する状態に固定するロック位置と当該固定を解除する解除位置とに切替え可能であり、
前記係合部材を前記非係合位置に切り替わるように付勢する第一付勢部材が備えられており、
前記係合部材は、前記ロック部材が前記解除位置に切り替えられることにより、前記第一付勢部材によって前記非係合位置に切り替えられ、
上下一対の前記係合部材が備えられており、
上下一対の前記係合部材の間に、前記係合部材を前記非係合位置に位置決めする係合部材用位置決めピンが設けられている作業車。
【請求項3】
上下一対の前記係合部材が備えられており、
上下一対の前記係合部材のうち少なくとも何れか一方は、前記非係合位置に切り替えられた時に、前記第一付勢部材の横側に位置する形状である請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
前記ロック部材を前記ロック位置に位置決めするロック部材用位置決めピンが備えられている請求項2に記載の作業車。
【請求項5】
前記係合部材用位置決めピンと前記ロック部材用位置決めピンとは、同一の部材である請求項4に記載の作業車。
【請求項6】
前記被係合部材は、機体左右方向に延びる軸部材であり、
前記被係合部材を上下方向から挟み込む上下一対の前記係合部材が備えられており、
前記ロック部材は、上下一対の前記係合部材の間に差し込まれることにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定する請求項1から5の何れか一項に記載の作業車。
【請求項7】
機体の後部に着脱可能なバックホーであって、
前記バックホーを前記機体に装着する装着機構が備えられており、
前記装着機構に、前記機体側の被係合部材に係合可能な係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定するロック部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定し、
前記係合部材は、前記被係合部材に係合する係合位置と前記被係合部材と係合しない非係合位置とに切替え可能であり、
前記ロック部材は、前記係合部材を前記被係合部材に係合する状態に固定するロック位置と当該固定を解除する解除位置とに切替え可能であり、
前記係合部材を前記非係合位置に切り替わるように付勢する第一付勢部材が備えられており、
前記係合部材は、前記ロック部材が前記解除位置に切り替えられることにより、前記第一付勢部材によって前記非係合位置に切り替えられ、
前記ロック部材を前記ロック位置に切り替わるように付勢する第二付勢部材と、
前記ロック部材が前記ロック位置に切り替わるのを阻止する阻止状態と前記ロック部材が前記ロック位置に切り替わるのを許容する許容状態とに切替え可能な阻止部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記阻止部材が前記許容状態に切り替えられた状態で、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記第二付勢部材によって前記ロック位置に切り替えられるバックホー。
【請求項8】
機体の後部に着脱可能なバックホーであって、
前記バックホーを前記機体に装着する装着機構が備えられており、
前記装着機構に、前記機体側の被係合部材に係合可能な係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定するロック部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定し、
前記係合部材は、前記被係合部材に係合する係合位置と前記被係合部材と係合しない非係合位置とに切替え可能であり、
前記ロック部材は、前記係合部材を前記被係合部材に係合する状態に固定するロック位置と当該固定を解除する解除位置とに切替え可能であり、
前記係合部材を前記非係合位置に切り替わるように付勢する第一付勢部材が備えられており、
前記係合部材は、前記ロック部材が前記解除位置に切り替えられることにより、前記第一付勢部材によって前記非係合位置に切り替えられ、
上下一対の前記係合部材が備えられており、
上下一対の前記係合部材の間に、前記係合部材を前記非係合位置に位置決めする係合部材用位置決めピンが設けられているバックホー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の後部に着脱可能なバックホー及びこれを備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業車として、例えば、特許文献1に記載の作業車が既に知られている。特許文献1に記載の作業車には、機体の後部に着脱可能なバックホーが備えられている。特許文献1に記載の作業車では、バックホー側のピン挿通孔と機体側のピン挿通孔とに、ピンが挿通されることにより、バックホーが機体に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−257076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の作業車では、バックホーを機体に装着するためには、上述のような作業をしなければならず、煩わしい。
【0005】
上記状況に鑑み、機体に容易に着脱可能なバックホー及びこれを備えた作業車が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
機体の後部に着脱可能なバックホーと、
前記バックホーを前記機体に装着する装着機構と、が備えられており、
前記装着機構に、前記機体に設けられた被係合部材と、前記バックホーに設けられ、前記被係合部材に係合可能な係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定するロック部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定
し、
前記係合部材は、前記被係合部材に係合する係合位置と前記被係合部材と係合しない非係合位置とに切替え可能であり、
前記ロック部材は、前記係合部材を前記被係合部材に係合する状態に固定するロック位置と当該固定を解除する解除位置とに切替え可能であり、
前記係合部材を前記非係合位置に切り替わるように付勢する第一付勢部材が備えられており、
前記係合部材は、前記ロック部材が前記解除位置に切り替えられることにより、前記第一付勢部材によって前記非係合位置に切り替えられ、
前記ロック部材を前記ロック位置に切り替わるように付勢する第二付勢部材と、
前記ロック部材が前記ロック位置に切り替わるのを阻止する阻止状態と前記ロック部材が前記ロック位置に切り替わるのを許容する許容状態とに切替え可能な阻止部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記阻止部材が前記許容状態に切り替えられた状態で、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記第二付勢部材によって前記ロック位置に切り替えられることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、係合部材を被係合部材に係合させるだけで、係合部材をロック部材によって被係合部材に係合した状態に固定することができる。これにより、バックホーを機体に容易に装着することができる。すなわち、ピンやボルト等を用いることなくバックホーを機体に装着して、バックホーを機体に容易に着脱することができる。
本特徴構成によれば、ロック部材を解除位置に切り替えることにより、第一付勢部材によって、係合部材を非係合位置に素早く切り替えると共に非係合位置に安定的に保持することができる。
本特徴構成によれば、阻止部材を阻止状態に切り替えることにより、ロック部材が第二付勢部材によってロック位置に勝手に切り替えられることがない。また、阻止部材を許容状態に切り替えて、係合部材を被係合部材に係合させることにより、係合部材がロック部材によって被係合部材に係合した状態に固定されることになる。その際、第二付勢部材によって、ロック部材をロック位置に素早く切り替えると共にロック位置に安定的に保持することができる。
本発明の特徴は、
機体の後部に着脱可能なバックホーと、
前記バックホーを前記機体に装着する装着機構と、が備えられており、
前記装着機構に、前記機体に設けられた被係合部材と、前記バックホーに設けられ、前記被係合部材に係合可能な係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定するロック部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定し、
前記係合部材は、前記被係合部材に係合する係合位置と前記被係合部材と係合しない非係合位置とに切替え可能であり、
前記ロック部材は、前記係合部材を前記被係合部材に係合する状態に固定するロック位置と当該固定を解除する解除位置とに切替え可能であり、
前記係合部材を前記非係合位置に切り替わるように付勢する第一付勢部材が備えられており、
前記係合部材は、前記ロック部材が前記解除位置に切り替えられることにより、前記第一付勢部材によって前記非係合位置に切り替えられ、
上下一対の前記係合部材が備えられており、
上下一対の前記係合部材の間に、前記係合部材を前記非係合位置に位置決めする係合部材用位置決めピンが設けられていることにある。
本特徴構成によれば、係合部材を被係合部材に係合させるだけで、係合部材をロック部材によって被係合部材に係合した状態に固定することができる。これにより、バックホーを機体に容易に装着することができる。すなわち、ピンやボルト等を用いることなくバックホーを機体に装着して、バックホーを機体に容易に着脱することができる。
本特徴構成によれば、ロック部材を解除位置に切り替えることにより、第一付勢部材によって、係合部材を非係合位置に素早く切り替えると共に非係合位置に安定的に保持することができる。
本特徴構成によれば、係合部材が係合部材用位置決めピンによって非係合位置に位置決めされることにより、上側の係合部材と下側の係合部材とが接触することがない。これにより、上側の係合部材と下側の係合部材の動作範囲に差があっても、各係合部材の被係合位置が正確に定まるため、被係合部材との係合を安定して行うことが可能となる。
【0008】
【0009】
【0010】
さらに、本発明において、
上下一対の前記係合部材が備えられており、
上下一対の前記係合部材のうち少なくとも何れか一方は、前記非係合位置に切り替えられた時に、前記第一付勢部材の横側に位置する形状であると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、係合部材が非係合位置に切り替えられた時に、第一付勢部材の横側に係合部材が存在する。これにより、バックホー脱着時に、第一付勢部材が係合部材の横側部に支持されるため、第一付勢部材の揺れが抑制されて第一付勢部材の脱落を防止することができる。このとき、第一付勢部材が上側の係合部材の横側部と下側の係合部材の横側部との間の段差部に支持されると、第一付勢部材が破損する原因となり易い。このため、第一付勢部材が段差部に支持されないように、上下一対の係合部材の両方又は何れか一方が第一付勢部材の横側に位置することが好ましく、使用環境による係合誤差等を鑑みた場合、係合部材の何れか一方が第一付勢部材の横側に位置することがより好ましい。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
さらに、本発明において、
前記ロック部材を前記ロック位置に位置決めするロック部材用位置決めピンが備えられていると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、ロック部材がロック部材用位置決めピンによってロック位置に位置決めされることにより、係合部材を被係合部材に係合した状態にロック部材によって強固に固定することができる。
【0018】
さらに、本発明において、
前記係合部材用位置決めピンと前記ロック部材用位置決めピンとは、同一の部材であると好適である。
【0019】
本特徴構成によれば、部材の共通化によって、コストの低減を図ることができると共に、省スペース化を図ることができる。
【0020】
さらに、本発明において、
前記被係合部材は、機体左右方向に延びる軸部材であり、
前記被係合部材を上下方向から挟み込む上下一対の前記係合部材が備えられており、
前記ロック部材は、上下一対の前記係合部材の間に差し込まれることにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定すると好適である。
【0021】
本特徴構成によれば、係合部材が軸部材に対して上下両側から係合するため、軸部材に対する係合部材の係合状態が安定する。また、上下一対の係合部材に対して一つのロック部材を設けるだけで済むため、一方の係合部材用のロック部材と他方に係合部材用のロック部材とを別々に設けるよりも、コストがかからなくなる。
【0022】
本発明の特徴は、
機体の後部に着脱可能なバックホーであって、
前記バックホーを前記機体に装着する装着機構が備えられており、
前記装着機構に、前記機体側の被係合部材に係合可能な係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定するロック部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定
し、
前記係合部材は、前記被係合部材に係合する係合位置と前記被係合部材と係合しない非係合位置とに切替え可能であり、
前記ロック部材は、前記係合部材を前記被係合部材に係合する状態に固定するロック位置と当該固定を解除する解除位置とに切替え可能であり、
前記係合部材を前記非係合位置に切り替わるように付勢する第一付勢部材が備えられており、
前記係合部材は、前記ロック部材が前記解除位置に切り替えられることにより、前記第一付勢部材によって前記非係合位置に切り替えられ、
前記ロック部材を前記ロック位置に切り替わるように付勢する第二付勢部材と、
前記ロック部材が前記ロック位置に切り替わるのを阻止する阻止状態と前記ロック部材が前記ロック位置に切り替わるのを許容する許容状態とに切替え可能な阻止部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記阻止部材が前記許容状態に切り替えられた状態で、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記第二付勢部材によって前記ロック位置に切り替えられることにある。
【0023】
本特徴構成によれば、係合部材を被係合部材に係合させるだけで、係合部材をロック部材によって被係合部材に係合した状態に固定することができる。これにより、バックホーを機体に容易に装着することができる。すなわち、ピンやボルト等を用いることなくバックホーを機体に装着して、バックホーを機体に容易に着脱することができる。
本特徴構成によれば、ロック部材を解除位置に切り替えることにより、第一付勢部材によって、係合部材を非係合位置に素早く切り替えると共に非係合位置に安定的に保持することができる。
本特徴構成によれば、阻止部材を阻止状態に切り替えることにより、ロック部材が第二付勢部材によってロック位置に勝手に切り替えられることがない。また、阻止部材を許容状態に切り替えて、係合部材を被係合部材に係合させることにより、係合部材がロック部材によって被係合部材に係合した状態に固定されることになる。その際、第二付勢部材によって、ロック部材をロック位置に素早く切り替えると共にロック位置に安定的に保持することができる。
本発明の特徴は、
機体の後部に着脱可能なバックホーであって、
前記バックホーを前記機体に装着する装着機構が備えられており、
前記装着機構に、前記機体側の被係合部材に係合可能な係合部材と、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定するロック部材と、が備えられており、
前記ロック部材は、前記係合部材が前記被係合部材に係合することにより、前記係合部材を前記被係合部材に係合した状態に固定し、
前記係合部材は、前記被係合部材に係合する係合位置と前記被係合部材と係合しない非係合位置とに切替え可能であり、
前記ロック部材は、前記係合部材を前記被係合部材に係合する状態に固定するロック位置と当該固定を解除する解除位置とに切替え可能であり、
前記係合部材を前記非係合位置に切り替わるように付勢する第一付勢部材が備えられており、
前記係合部材は、前記ロック部材が前記解除位置に切り替えられることにより、前記第一付勢部材によって前記非係合位置に切り替えられ、
上下一対の前記係合部材が備えられており、
上下一対の前記係合部材の間に、前記係合部材を前記非係合位置に位置決めする係合部材用位置決めピンが設けられていることにある。
本特徴構成によれば、係合部材を被係合部材に係合させるだけで、係合部材をロック部材によって被係合部材に係合した状態に固定することができる。これにより、バックホーを機体に容易に装着することができる。すなわち、ピンやボルト等を用いることなくバックホーを機体に装着して、バックホーを機体に容易に着脱することができる。
本特徴構成によれば、ロック部材を解除位置に切り替えることにより、第一付勢部材によって、係合部材を非係合位置に素早く切り替えると共に非係合位置に安定的に保持することができる。
本特徴構成によれば、係合部材が係合部材用位置決めピンによって非係合位置に位置決めされることにより、上側の係合部材と下側の係合部材とが接触することがない。これにより、上側の係合部材と下側の係合部材の動作範囲に差があっても、各係合部材の被係合位置が正確に定まるため、被係合部材との係合を安定して行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図4】係合体がピンに係合した状態の装着機構を示す左側面断面図である。
【
図5】ロックレバーが阻止状態に切り替えられた状態の装着機構を示す左側面断面図である。
【
図6】ロックレバーが許容状態に切り替えられた状態の装着機構を示す左側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、
図1及び
図2に示す矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、
図2に示す矢印Lの方向を「機体左側」、矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0026】
〔トラクタの全体構成〕
図1には、フロントローダ3及びバックホー70を備えたトラクタ(本発明に係る「作業車」に相当)を示している。本トラクタには、機体フレーム1と、機体フレーム1を支持するホイール式の走行装置2と、が備えられている。走行装置2には、左右一対の前輪2Fと、左右一対の後輪2Bと、が備えられている。
【0027】
機体の前方には、フロントローダ3が設けられている。フロントローダ3は、機体に着脱可能に装着されている。機体フレーム1の左側部と右側部のそれぞれには、フロントローダ3を装着可能な取付フレーム1Aが設けられている。機体フレーム1の前半部には、ボンネット4が設けられている。ボンネット4内には、エンジン(図示省略)が収容されている。
【0028】
機体の後方には、バックホー70が設けられている。バックホー70は、機体の後部に着脱可能に装着されている。機体フレーム1の後半部には、オペレータが搭乗する運転部5が設けられている。運転部5には、運転座席6やフロントパネル7が備えられている。フロントパネル7には、ステアリングハンドル9が設けられている。機体フレーム1の後端部には、バックホー70を装着可能なブラケット71が設けられている。ブラケット71には、バックホー70を装着するために、詳しくは後述するピン72(本発明に係る「被係合部材」に相当)及び凹部73が設けられている(
図3参照)。
【0029】
〔バックホー〕
図1及び
図2に示すように、バックホー70には、主フレーム74と、主フレーム74に支持される作業機本体75と、オペレータが作業機本体75等の操作を行なう操縦部76と、が備えられている。主フレーム74の前部には、ブラケット71に取り付けられる左右一対のサイドフレーム77が設けられている。サイドフレーム77の下部からは、ブラケット71側の凹部73に嵌め込まれるピン78が機体横内方に突出している。
【0030】
主フレーム74の左右両側部には、それぞれ、スタビライザー79が接地位置と非接地位置とに亘って機体前後方向に延びる揺動軸心周りで揺動可能に支持されている。スタビライザー79と主フレーム74とに亘って、スタビライザー79を揺動駆動する油圧シリンダ80が設けられている。
【0031】
作業機本体75には、スイングフレーム81と、ブーム82と、アーム83と、バケット84と、が備えられている。スイングフレーム81は、主フレーム74の後端部に上下方向に延びる揺動軸心周りで揺動可能に支持されている。スイングフレーム81と主フレーム74とに亘って、スイングフレーム81を揺動駆動する油圧シリンダ85が設けられている。ブーム82は、スイングフレーム81に機体左右方向に延びる揺動軸心周りで揺動可能に支持されている。ブーム82とスイングフレーム81とに亘って、ブーム82を揺動駆動する油圧シリンダ86が設けられている。アーム83は、ブーム82の遊端部に機体左右方向に延びる揺動軸心周りで揺動可能に支持されている。アーム83とブーム82とに亘って、アーム83を揺動駆動する油圧シリンダ87が設けられている。バケット84は、アーム83の遊端部に機体左右方向に延びる揺動軸心周りで揺動可能に支持されている。バケット84とアーム83とに亘って、バケット84を揺動駆動する油圧シリンダ88が設けられている。
【0032】
〔バックホー用の装着機構〕
図3及び
図4に示すように、本トラクタには、バックホー70を機体に装着する左右一対の装着機構89が備えられている。装着機構89には、ブラケット71に設けられたピン72と、サイドフレーム77に設けられ、ピン72に係合可能な上下一対の係合体90(本発明に係る「係合部材」に相当)と、係合体90をピン72に係合した状態に固定するロック体91(本発明に係る「ロック部材」に相当)と、が備えられている。
【0033】
〔ピン〕
ピン72は、機体左右方向に延びる軸部材である。ピン72は、ブラケット71の上部から機体横外方に突出している。
【0034】
〔係合体〕
係合体90は、ピン72に係合する係合位置(
図4参照)とピン72と係合しない非係合位置(
図5参照)とに切替え可能である。係合体90は、ピン72を上下方向から挟み込むように設けられている。係合体90は、サイドフレーム77から機体横外方に突出するボス部92に機体左右方向に延びる揺動軸心X1周りで揺動可能に支持されている。係合体90には、ピン72の外周形状に沿う円弧形状の凹部90aが形成されている。
【0035】
上下一対のボス部92に亘って、係合体90がボス部92から抜けないように係合体90を保持する保持板93が設けられている。保持板93は、ボス部92にボルト94によって固定されている。上下一対の係合体90に亘って、係合体90を非係合位置に切り替わるように付勢する第一スプリング95(本発明に係る「第一付勢部材」に相当)が設けられている。第一スプリング95は、係合体90のうち揺動軸心X1に対して凹部90aとは反対側に設けられている。
【0036】
〔ロック体〕
ロック体91は、係合体90をピン72に係合する状態に固定するロック位置(
図4参照)と当該固定を解除する解除位置(
図5参照)とに切替え可能である。ロック体91は、ロッド96の先端部に固定されている。ロッド96は、サイドフレーム77側のステー97にスライド可能に支持されている。ロッド96には、ロック体91とステー97とに亘って、ロック体91をロック位置に切り替わるように付勢する第二スプリング98(本発明に係る「第二付勢部材」に相当)が設けられている。ロック体91には、ガイドピン99が機体左右方向に貫通する状態で設けられている。サイドフレーム77には、ガイドピン99を案内するガイド溝77aが形成されている。
【0037】
〔ロックレバー〕
ロック体91がロック位置に切り替わるのを阻止する阻止状態(
図5参照)とロック体91がロック位置に切り替わるのを許容する許容状態(
図6参照)とに切替え可能なロックレバー100(本発明に係る「阻止部材」に相当)が設けられている。ロックレバー100は、ボス部101を介してサイドフレーム77側の支軸102に機体左右方向に延びる揺動軸心X2周りで揺動可能かつ揺動軸心X2方向にスライド可能に支持されている。サイドフレーム77には、ロックレバー100をロック体91のロック位置に対応するロック操作位置に位置決めするロック位置決め孔77bと、ロックレバー100をロック体91の解除位置に対応する解除操作位置に位置決めする解除位置決め孔77cと、が形成されている。
【0038】
〔リンク〕
ロックレバー100とガイドピン99とに亘って、ロックレバー100とロック体91とを連動連係するリンク103が設けられている。リンク103には、支軸102に揺動軸心X2周りで揺動可能に支持されるボス部104と、ロックレバー100に連結される第一アーム部105と、ガイドピン99に連結される第二アーム部106と、が備えられている。第一アーム部105には、ロックレバー100が揺動軸心X2方向にスライド可能に支持されている。第一アーム部105とロックレバー100とに亘って、ロックレバー100をサイドフレーム77側にスライドするように付勢するスプリング107が設けられている。第二アーム部106の遊端部には、ガイドピン99が挿通される長孔106aが形成されている。
【0039】
〔バックホーの装着〕
図5に示す状態では、ロックレバー100が解除位置決め孔77cに挿通されることにより、ロックレバー100が解除位置決め孔77cによって解除操作位置に位置決めされて、ロック体91がロック位置に切り替わるのを阻止する阻止状態に切り替えられている。そして、係合体90が第一スプリング95によって非係合位置側に揺動して、サイドフレーム77側の位置決めピン108(本発明に係る「係合部材用位置決めピン」、「ロック部材用位置決めピン」に相当)に当接することにより、非係合位置に位置決めされて、非係合位置に切り替えられている。
【0040】
先ず、バックホー70を機体に装着するには、ロックレバー100をスプリング107の付勢力に抗して解除位置決め孔77cから手前側(機体横外側)に引き抜く。すなわち、ロックレバー100をロック体91がロック位置に切り替わるのを許容する許容状態に切り替える。そうすると、
図6に示すように、ロック体91が第二スプリング98によってロック位置側に係合体90に当接する位置までスライドすると共に、ロックレバー100がリンク103によってロック体91に連動連係されて、揺動軸心X2周りでロック位置決め孔77b側に揺動する。
【0041】
そして、サイドフレーム77側のピン78をブラケット71側の凹部73に嵌め込んだ状態で、ピン72が係合体90のうち凹部90aに当接するように、バックホー70を機体に装着して行く。そうすると、
図4に示すように、係合体90が第一スプリング95の付勢力に抗して揺動軸心X1周りで係合位置側に揺動して、上側の係合体90がピン72に対して上方から係合し、かつ、下側の係合体90がピン72に対して下方から係合する。これに伴って、ロック体91が上下一対の係合体90の間に差し込まれるように、第二スプリング98によってロック位置側に更にスライドする。そして、ロック体91がサイドフレーム77側の位置決めピン108に当接することにより、ロック位置に位置決めされる。こうして、係合体90がピン72に係合した状態にロック体91によって固定される。このとき、凹部73とピン72が床面に対して略垂直であるほど装着が容易となり、作業性を高めることができる。また、本実施形態では、ロック体91と各係合体90が一面で当接している(二面以上で当接していない)。
【0042】
また、ロックレバー100がリンク103によってロック体91に連動連係されて、揺動軸心X2周りでロック位置決め孔77b側に更に揺動する。そして、ロックレバー100がロック位置決め孔77b上に位置すると、スプリング107によってロック位置決め孔77bに挿通されて、ロック位置決め孔77bによってロック操作位置に位置決めされる。
【0043】
次に、バックホー70を機体から取り外すには、ロックレバー100を
図4に示す状態から
図5に示す状態に手動で揺動操作する。すなわち、ロックレバー100をスプリング107の付勢力に抗してロック位置決め孔77bから手前側(機体横外側)に引き抜いて揺動軸心X2周りで解除位置決め孔77cまで揺動操作する。そうすると、ロック体91がリンク103によってロックレバー100に連動連係されて、第二スプリング98の付勢力に抗して解除位置に切り替わる。
【0044】
そして、ロックレバー100が解除位置決め孔77c上に位置した状態で、ロックレバー100から手を離すと、ロックレバー100がスプリング107によって解除位置決め孔77cに挿通されて、解除位置決め孔77cによって解除操作位置に位置決めされる。これにより、ロックレバー100がロック体91がロック位置に切り替わるのを阻止する阻止状態に切り替わる。そして、係合体90が第一スプリング95によって非係合位置側に揺動して、サイドフレーム77側の位置決めピン108に当接することにより、非係合位置に位置決めされて、非係合位置に切り替わる。これにより、バックホー70を機体から取り外すことができる。
【0045】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、装着機構89に、上下一対の係合体90が備えられているが、上側の係合体90のみ、あるいは、下側の係合体90のみが備えられていてもよい。
【0046】
(2)上記実施形態では、上下一対の係合体90に対して一つのロック体91が設けられているが、上下一対の係合体90に対してそれぞれロック体が設けられていてもよい。
【0047】
(3)上側の係合体90と下側の係合体90とについて、「係合部材用位置決めピン」が別々に設けられていてもよい。また、「係合部材用位置決めピン」と「ロック部材用位置決めピン」とが、別の部材であってもよい。
【0048】
(4)上記実施形態では、トラクタにフロントローダ3が備えられているが、フロントローダ3が備えられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、キャビンを備えない作業車の他、キャビン付きの作業車にも利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
70 バックホー
72 ピン(被係合部材)
89 装着機構
90 係合体(係合部材)
91 ロック体(ロック部材)
95 第一スプリング(第一付勢部材)
98 第二スプリング(第二付勢部材)
100 ロックレバー(阻止部材)
108 位置決めピン(係合部材用位置決めピン、ロック部材用位置決めピン)