(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、運転者が車体に対して車体の横側から乗降するときには、左右のフェンダに備えた手摺りを使用することができ、これにより、運転者は車体に対する車体横側からの乗降が行い易くなる。
しかしながら、上記の構成では、手摺りを左右のフェンダに備えるだけであることから、運転者は、車体に対する車体横側からの乗降を行うときに、車体後側に位置する手で手摺りを掴むことができるものの、車体前側に位置する手は車体前側の外面に添えるだけになることから、車体に対する車体横側からの乗降を更に行い易くする上において改善の余地がある。
【0005】
つまり、運転者の車体に対する車体横側からの乗降を更に行い易くすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、本発明に係る作業車は、
運転ステップと、
前記運転ステップよりも後側において、平面視で左右の後側走行装置の間に設けられた運転座席と、
前記運転座席の前方に設けられたステアリングホイールと、
前記運転座席の左右両側方に設けられ、前記左右の後側走行装置を上方から覆う左右のフェンダと、
前記ステアリングホイールの側方かつ前記フェンダの前方に形成され、前記運転ステップに対する乗降を可能にする乗降部と、
前記乗降部に配置される操作ペダルと、
前記運転ステップのうち、平面視で前記ステアリングホイールと前記フェンダとの間に形成され、前記乗降部と前記運転座席とを往来可能に接続する通路部と、
前記乗降部の前側に位置し、乗降時に運転者が車体前側となる手で握る第一手摺りと、
前記乗降部の後側に位置し、乗降時に運転者が車体後側となる手で握る第二手摺りと、を備え、
前記フェンダの車体左右方向中央側の側壁部は、前記操作ペダルの車体左右方向外側の端部よりも車体左右方向中央側に位置しており、
前記フェンダの前端部は、前記ステアリングホイールの後端部よりも前に位置しており、
前記第一手摺りの握り部は、前記ステアリングホイールの中心よりも車体左右方向外側に位置し、かつ、車体左右方向に沿うかまたは車体外側ほど車体後側となるように傾斜し、
前記第一手摺りの握り部は、平面視で前記第二手摺りの握り部よりも車体左右方向中央側に位置しており、且つ、平面視で前記操作ペダルよりも車体左右方向中央側に位置しており、
前記第一手摺りの握り部は、前記第二手摺りの握り部よりも高い位置に位置しており、且つ、車体外側ほど下側となるように傾斜しており、
前記第二手摺りの握り部は、平面視で車体前後方向に沿って
おり、且つ、水平方向に沿っている。
【0007】
この手段によると、運転者は、車体に対して乗降部から乗降するときには、車体前側の手で第一手摺りを掴むことができ、かつ、車体後側の手で第二手摺りを掴むことができる。これにより、運転者は、車体に対する乗降を、乗降部を踏みながら、乗降部の前後に位置する2つの手摺りを両手で掴んだ3点支持による安定状態で行うことができる。
しかも、運転者は、乗降部から乗車するときには、車体前側の手で、前述した傾斜姿勢の第一手摺りの握り部を掴むことにより、身体の正面を、平面視で運転座席に向かって車体後側ほど車体中心側に位置するように傾斜している通路部上の移動空間に向け易くなる。
又、運転者は、通路部を移動するときには、車体後側の手で第二手摺りを掴むことができる。これにより、運転者は、通路部上での乗降部と運転座席とにわたる移動を、車体後側の手で第二手摺りを掴んだ安定状態で行うことができる。
その結果、運転者の車体に対する乗降部からの乗降を好適に更に行い易くすることができる。又、運転者の乗降部と運転座席とにわたる通路部上での移動も行い易くすることができる。
【0008】
又、この手段によると、運転者は、乗降部から乗車するときには、車体前側の手で車体左右方向中央側に位置する第一手摺りの握り部を掴み、かつ、車体後側の手で車体左右方向外側に位置する第二手摺りの握り部を掴むことにより、身体の正面を通路部上の移動空間に向け易くなる。
又、運転者は、乗降部から降車するために通路部を移動するときには、身体の正面が通路部上の移動空間に向くのに対し、第一手摺りは、その握り部が運転者の車体前側の手に近い車体左右方向中央側に位置し、かつ、第二手摺りは、その握り部が運転者の車体後側の手に近い車体左右方向外側に位置する状態になる。これにより、運転者は、乗降部から降車するときに、車体前側の手で第一手摺りの握り部を掴み易くなり、かつ、車体後側の手で第二手摺りの握り部を掴み易くなる。
【0009】
又、この手段によると、運転者は、乗降部から車体に乗り上がるときには、車体前側の手で高い側に位置する第一手摺りの握り部を掴むことで、身体を上方に引き上げ易くなり、又、車体後側の手で低い側に位置する第二手摺りの握り部を掴むことで身体を上方に押し上げ易くなる。これにより、運転者は、乗降部からの乗車が行い易くなる。
又、運転者は、乗降部から降車するときには、車体前側の手で高い側の第一手摺りの握り部を掴みながら、車体後側の手で低い側の第二手摺りの握り部を掴むことで、下方に移動する身体を支え易くなる。これにより、運転者は、乗降部からの降車が行い易くなる。
【0010】
又、この手段によると、例えば、第一手摺りの握り部が同じ高さで車体外側に延びる場合に比較して、運転者は、特に、車体に対して乗降部から乗車するときに、手首が無理な姿勢になり難いことから、第一手摺りの握り部を車体前側の手によって掴み易くなる。これにより、第一手摺りの握り部を掴んだ状態での車体に対する乗降部から乗車が行い易くなる。
その結果、運転者の車体に対する乗降部からの乗車を更に行い易くすることができる。
【0011】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記第一手摺りの握り部は、平面視で車体外側ほど車体後側となるように傾斜している。
【0012】
この手段によると、第一手摺りは、その握り部が車体の左右方向に沿う姿勢である場合に比較して、握り部の車体横外側部分が前後方向において第二手摺りに近くなる。これにより、運転者は、車体に対して乗降部から乗降するときに、第一手摺りと第二手摺りとを両手で掴み易くなる。そして、運転者が両手で第一手摺りと第二手摺りとを掴んだ状態において、運転者の両手が胴体に近い位置に位置し、これにより、運転者は、両腕に力を入れ易くなり、身体を運転部側に引き寄せ易くなる。
しかも、運転者は、乗降部から乗車するときには、車体前側の手で、前述した傾斜姿勢の第一手摺りの握り部を掴むことにより、身体の正面を、平面視で運転座席に向かって車体後側ほど車体中心側に位置するように傾斜している通路部上の移動空間に向け易くなる。
又、運転者が乗降部から降車するために通路部を移動するときには、運転者の身体の正面が通路部上の移動空間に向く。このとき、第一手摺りは、その握り部が車体から運転者の車体前側の手に向けて延出する状態になる。これにより、運転者は、乗降部から降車するときに、車体前側の手で第一手摺りの握り部を掴み易くなる。
その結果、運転者の車体に対する乗降部からの乗降を更に行い易くすることができる。
【0013】
上記の課題を解決するための手段として、本発明に係る作業車は、
運転ステップと、
前記運転ステップよりも後側において、平面視で左右の後側走行装置の間に設けられた運転座席と、
前記運転座席の前方に設けられたステアリングホイールと、
前記運転座席の左右両側方に設けられ、前記左右の後側走行装置を上方から覆う左右のフェンダと、
前記ステアリングホイールの側方かつ前記フェンダの前方に形成され、前記運転ステップに対する乗降を可能にする乗降部と、
前記運転ステップのうち、平面視で前記ステアリングホイールと前記フェンダとの間に形成され、前記乗降部と前記運転座席とを往来可能に接続する通路部と、
前記乗降部の前側に位置し、乗降時に運転者が車体前側となる手で握る第一手摺りと、
前記乗降部の後側に位置し、乗降時に運転者が車体後側となる手で握る第二手摺りと、を備え、
前記第一手摺りの握り部は、前記ステアリングホイールの中心よりも車体左右方向外側に位置し、かつ、車体左右方向に沿うかまたは車体外側ほど車体後側となるように傾斜し、
前記第一手摺りの握り部は、平面視で前記第二手摺りの握り部よりも車体左右方向中央側に位置しており、
前記第一手摺りの握り部は、前記第二手摺りの握り部よりも高い位置に位置しており、且つ、車体外側ほど下側となるように傾斜しており、
前記第一手摺りの握り部は、平面視で車体外側ほど車体後側となるように傾斜しており、
前記第一手摺りは、握り部の延出端から真下に延びる下向き延出部を備えており、
前記第二手摺りの握り部は、平面視で車体前後方向に沿っている。
【0014】
この手段によると、運転者は、車体に対して乗降部から乗降するときには、車体前側の手で第一手摺りを掴むことができ、かつ、車体後側の手で第二手摺りを掴むことができる。これにより、運転者は、車体に対する乗降を、乗降部を踏みながら、乗降部の前後に位置する2つの手摺りを両手で掴んだ3点支持による安定状態で行うことができる。
しかも、運転者は、乗降部から乗車するときには、車体前側の手で、前述した傾斜姿勢の第一手摺りの握り部を掴むことにより、身体の正面を、平面視で運転座席に向かって車体後側ほど車体中心側に位置するように傾斜している通路部上の移動空間に向け易くなる。
又、運転者は、通路部を移動するときには、車体後側の手で第二手摺りを掴むことができる。これにより、運転者は、通路部上での乗降部と運転座席とにわたる移動を、車体後側の手で第二手摺りを掴んだ安定状態で行うことができる。
その結果、運転者の車体に対する乗降部からの乗降を好適に更に行い易くすることができる。又、運転者の乗降部と運転座席とにわたる通路部上での移動も行い易くすることができる。
【0015】
又、この手段によると、運転者は、乗降部から乗車するときには、車体前側の手で車体左右方向中央側に位置する第一手摺りの握り部を掴み、かつ、車体後側の手で車体左右方向外側に位置する第二手摺りの握り部を掴むことにより、身体の正面を通路部上の移動空間に向け易くなる。
又、運転者は、乗降部から降車するために通路部を移動するときには、身体の正面が通路部上の移動空間に向くのに対し、第一手摺りは、その握り部が運転者の車体前側の手に近い車体左右方向中央側に位置し、かつ、第二手摺りは、その握り部が運転者の車体後側の手に近い車体左右方向外側に位置する状態になる。これにより、運転者は、乗降部から降車するときに、車体前側の手で第一手摺りの握り部を掴み易くなり、かつ、車体後側の手で第二手摺りの握り部を掴み易くなる。
【0016】
又、この手段によると、運転者は、乗降部から車体に乗り上がるときには、車体前側の手で高い側に位置する第一手摺りの握り部を掴むことで、身体を上方に引き上げ易くなり、又、車体後側の手で低い側に位置する第二手摺りの握り部を掴むことで身体を上方に押し上げ易くなる。これにより、運転者は、乗降部からの乗車が行い易くなる。
又、運転者は、乗降部から降車するときには、車体前側の手で高い側の第一手摺りの握り部を掴みながら、車体後側の手で低い側の第二手摺りの握り部を掴むことで、下方に移動する身体を支え易くなる。これにより、運転者は、乗降部からの降車が行い易くなる。
【0017】
又、この手段によると、例えば、第一手摺りの握り部が同じ高さで車体外側に延びる場合に比較して、運転者は、特に、車体に対して乗降部から乗車するときに、手首が無理な姿勢になり難いことから、第一手摺りの握り部を車体前側の手によって掴み易くなる。これにより、第一手摺りの握り部を掴んだ状態での車体に対する乗降部から乗車が行い易くなる。
その結果、運転者の車体に対する乗降部からの乗車を更に行い易くすることができる。
【0018】
又、この手段によると、第一手摺りは、その握り部が車体の左右方向に沿う姿勢である場合に比較して、握り部の車体横外側部分が前後方向において第二手摺りに近くなる。これにより、運転者は、車体に対して乗降部から乗降するときに、第一手摺りと第二手摺りとを両手で掴み易くなる。そして、運転者が両手で第一手摺りと第二手摺りとを掴んだ状態において、運転者の両手が胴体に近い位置に位置し、これにより、運転者は、両腕に力を入れ易くなり、身体を運転部側に引き寄せ易くなる。
しかも、運転者は、乗降部から乗車するときには、車体前側の手で、前述した傾斜姿勢の第一手摺りの握り部を掴むことにより、身体の正面を、平面視で運転座席に向かって車体後側ほど車体中心側に位置するように傾斜している通路部上の移動空間に向け易くなる。
又、運転者が乗降部から降車するために通路部を移動するときには、運転者の身体の正面が通路部上の移動空間に向く。このとき、第一手摺りは、その握り部が車体から運転者の車体前側の手に向けて延出する状態になる。これにより、運転者は、乗降部から降車するときに、車体前側の手で第一手摺りの握り部を掴み易くなる。
その結果、運転者の車体に対する乗降部からの乗降を更に行い易くすることができる。
【0019】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記第一手摺りの下向き延出部は、少なくとも前記第二手摺りの握り部と同じ高さまで延びている。
【0020】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記乗降部に配置される操作ペダルを備え、
前記フェンダの車体左右方向中央側の側壁部は、前記操作ペダルの車体左右方向外側の端部よりも車体左右方向中央側に位置しており、
前記フェンダの前端部は、前記ステアリングホイールの後端部よりも前に位置しており、
前記第一手摺りの握り部は、平面視で前記操作ペダルよりも車体左右方向中央側に位置している。
【0021】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記第二手摺りの握り部は水平方向に沿っている。
【0022】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記ステアリングホイールの前下側に表示パネルを備え、
前記第一手摺りは、前記表示パネルの前側に位置し、
前記第一手摺りの握り部は、前記表示パネルと同じ高さに位置し、かつ、前記表示パネルの前面の前方突出の湾曲形状に沿うように傾斜している。
【0023】
この手段によると、第一手摺りの握り部の全体と表示パネルの前部側との間隔が部分的に極端に狭くなることがなくなるため、第一手摺りの握り部を第二手摺りに近づけながら、運転者が車体前側の手で第一手摺りの握り部を掴むときに、表示パネルが邪魔になることを防止することができる。
その結果、第一手摺りの握り部を、車体に対して乗降部から乗降する運転者の車体前側の手で更に掴み易くすることができる。
【0024】
本発明をより好適にするための手段の一つとして
、
前記第一手摺りは、車体前側に設けられたエンジンルームと前記ステアリングホイールとの間において車体フレームから立設されたフレーム体に支持されている。
【0025】
この手段によると
、第一手摺りは、本来より高い強度を有するフレーム体に強固に支持されることになる。これにより、第一手摺りの支持強度として、運転者が乗降部から車体に乗り上がるときに第一手摺りにかかる引っ張り力、及び、運転者が乗降部から降車するときに第一手摺りにかかる押圧力に耐え得る高い強度を簡単に得ることができる。
その結果、第一手摺りに要する支持強度を、第一手摺り専用の支持部材又は補強部材を設けることなく簡単に得られるようにしながら、運転者の車体に対する乗降部からの乗降を更に行い易くすることができる。
【0026】
本発明をより好適にするための手段の一つとして
、
前記第二手摺りは、前記フェンダの上方に位置する状態で、前記フェンダに支持されている。
【0027】
この手段によると
、フェンダが第二手摺りの支持部材に利用されることにより、第二手摺り専用の支持部材を備える場合に比較して、部品点数の削減による構成の簡素化などを図ることができる。
その結果、構成の簡素化などを図りながら、運転者の車体に対する乗降部からの乗降を更に行い易くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
尚、
図1に記載した符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向がトラクタの上側である。
又、
図2に記載した符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Lの矢印が指し示す方向がトラクタの左側である。
【0031】
図1及び
図2に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体の骨組みを形成する車体フレーム1、車体の前部側に配置される原動部2、原動部2の後端に連接された主クラッチ3、車体の後部側に配置される変速ユニット4と搭乗式の運転部5、操舵可能で原動部2からの動力で駆動される左右の前輪6、原動部2からの動力で駆動される左右の後輪(後側走行装置の一例)7、左右の後輪7を上方から覆う左右のフェンダ8、及び、車体フレーム1の後端部に連結される保護フレーム9、などを備えている。
【0032】
図1に示すように、車体フレーム1は、原動部2などを支持する前部フレーム10、運転部5の前部側などを支持する中間フレーム11、及び、運転部5の後部側などを支持する後部フレーム12、などを備えている。主クラッチ3は、そのクラッチハウジング3Aが車体フレーム1の一部を兼ねている。変速ユニット4は、そのケーシング4Aが車体フレーム1の後部フレーム12を兼ねている。
【0033】
図1〜3に示すように、原動部2は、エンジン13及びその周辺機器(図示せず)などを含む原動ユニット14、原動ユニット14などを覆う揺動開閉式のボンネット15、及び、ボンネット15を上下方向に開閉揺動可能に支持するセンタピラー(フレーム体)16、などを備えている。
【0034】
図示は省略するが、原動部2は、エンジン13の周辺機器として、ラジエータ、エアクリーナ、及び、マフラ、などを備えている。変速ユニット4は、主変速装置、副変速装置、後輪用の差動装置、及び、後輪用の左右のサイドブレーキ、などをケーシング内に備えている。
【0035】
図1〜3に示すように、運転部5は、中間フレーム11に支持される運転ステップ17、後部フレーム12に支持される運転座席18、前輪操舵用のステアリングホイール19、エンジン回転数などを表示する表示パネル20、エンジン13の調速レバー(図示せず)に操作連係されるアクセルペダル21、左右のサイドブレーキに操作連係される左右のサイドブレーキペダル22、主クラッチに操作連係されるクラッチペダル23、及び、ステアリングホイール19と一体回転するステアリングシャフト(図示せず)などを後方から覆うカバーパネル24、などを備えている。
【0036】
運転ステップ17は、平面視において、ステアリングホイール19の左右の横外側で、かつ、左右のフェンダ8の前方に位置するステップ部を、運転ステップ17に対する運転者の乗降を可能にする乗降部17Aとして備えている。運転ステップ17は、平面視において、ステアリングホイール19と、運転座席18の左右両側方に配置される左右のフェンダ8との間に位置するステップ部を、乗降部17Aと運転座席18とにわたる運転者の移動を可能にする通路部17Bとして備えている。通路部17Bは、平面視で運転座席18に向かって車体後側ほど車体中心側に位置するように傾斜している。運転座席18は、平面視において、運転ステップ17よりも車体後側の位置で、左右の後輪7の間の位置に配備されている。ステアリングホイール19は、運転座席18から運転者用の着座空間を隔てた前方の位置に配備されている。表示パネル20は、ステアリングホイール19の前下側に配備されている。アクセルペダル21及び左右のサイドブレーキペダル22は、運転部5における運転者の右足元部位に配備されている。クラッチペダル23は、運転部5における運転者の左足元部位に配備されている。カバーパネル24は、ステアリングホイール19の下方に位置し、センタピラー16などに支持されている。
【0037】
運転部5は、車体の左右中心上に配置されるステアリングホイール19及びカバーパネル24と、車体の左右両側端部に配置される左右のフェンダ8との間に、乗降部17Aと運転座席18とにわたる運転者の移動を許容する移動空間を有している。
【0038】
運転部5は、その右足元部位にアクセルペダル21及び左右のサイドブレーキペダル22が配置され、かつ、その左足元部位にクラッチペダル23が配置されることにより、運転者の運転部5に対する乗降は、車体右側の乗降部17Aよりも車体左側の乗降部17Aの方が行い易くなっている。
【0039】
運転部5は、平面視において、左側の乗降部17Aの前側に、運転者の運転部5に対する車体左側の乗降部17Aからの乗降時に、運転者の車体前側の手で握られる第一手摺り25を備えている。このトラクタは、平面視において、左右の乗降部17Aの後側に、運転者の運転部5に対する左右の乗降部17Aからの乗降時に、運転者の車体後側の手で握られる左右の第二手摺り26を備えている。
この構成によると、運転者は、運転部5に対して車体左側の乗降部17Aから乗降するときには、車体前側の手で第一手摺り25を掴むことができ、かつ、車体後側の手で第二手摺り26を掴むことができる。これにより、運転者は、運転部5に対する車体左側の乗降部17Aからの乗降を、左側の乗降部17Aを踏みながら、左側の乗降部17Aの前後に位置する2つの手摺り25,26を両手で掴んだ3点支持による安定状態で行うことができる(
図3参照)。
その結果、運転者の運転部5に対する車体左側の乗降部17Aからの乗降を好適に行い易くすることができる。
【0040】
図4に示すように、第一手摺り25は、丸棒鋼材製で、車体から上向きに延びる上向き延出部25A、上向き延出部25Aの上端から左外向きに延びる横向き延出部25B、及び、横向き延出部25Bの左端から真下に延びる下向き延出部25C、を有する形状に屈曲形成されている。第一手摺り25は、横向き延出部25Bを握り部として備えている。
【0041】
図3に示すように、第一手摺り25は、その握り部25Bの左端側がカバーパネル24の左外側面よりも左外側に位置するように形成されている。
この構成によると、例えば、握り部25Bの左端側がカバーパネル24の左外側面よりも車体の左右中心側に位置する場合に比較して、運転者は、運転部5に対して車体左側の乗降部17Aから乗降するときに、車体前側の手で第一手摺り25を掴み易くなる。
その結果、運転者の運転部5に対する車体左側の乗降部17Aからの乗降を更に行い易くすることができる。
【0042】
図5に示すように、左右の第二手摺り26は、丸棒鋼材製で、車体から上向きに延びる前後の上向き延出部26A、及び、前後の上向き延出部26Aの上端にわたる前後向き延出部26B、を有する形状に屈曲形成されている。左右の第二手摺り26は、前後向き延出部26Bを握り部として備えている。
【0043】
図3に示すように、左右の第二手摺り26は、その握り部26Bが平面視で車体の前後方向に沿っている。
この構成によると、運転者は、左右いずれかの通路部17Bを移動するときには、車体後側の手で第二手摺り26を掴むことができる。これにより、運転者は、左右いずれかの通路部上での乗降部17Aと運転座席18とにわたる移動を、車体後側の手で第二手摺り26を掴んだ安定状態で行うことができる。
その結果、運転者の左右いずれかの乗降部17Aと運転座席18とにわたる通路部上での移動を行い易くすることができる。
【0044】
図4に示すように、第一手摺り25の握り部25Bは、ステアリングホイール19の回動中心よりも車体の左外側の位置に、平面視で握り部25Bの左側ほど車体後側に位置する左後向きの傾斜姿勢で配備されている。
この構成によると、第一手摺り25は、その握り部25Bが車体の左右方向に沿う姿勢である場合に比較して、握り部25Bの車体左外側部分が前後方向において第二手摺り26に近くなる。これにより、運転者は、運転部5に対して車体左側の乗降部17Aから乗降するときに、第一手摺りと第二手摺りとを両手で掴み易くなる。
そして、運転者は、車体左側の乗降部17Aから運転部5に乗り込むときには、車体前側に位置する手で、前述した傾斜姿勢の第一手摺り25の握り部25Bを掴むことにより、身体の正面を、平面視で運転座席18に向かって車体後側ほど車体中心側に位置するように傾斜している左側の通路部上の移動空間に向け易くなる。
又、運転者が車体左側の乗降部17Aから降車するために左側の通路部17Bを移動するときには、運転者の身体の正面が左側の通路部上の移動空間に向く。このとき、第一手摺り25は、その握り部25Bが車体から運転者の車体前側の手に向けて延出する状態になる。これにより、運転者は、車体左側の乗降部17Aから降車するときに、車体前側の手で第一手摺り25の握り部25Bを掴み易くなる。
その結果、運転者の運転部5に対する車体左側の乗降部17Aからの乗降を更に行い易くすることができる。
【0045】
表示パネル20は、その前部側が前方に突出する湾曲形状に形成されている。第一手摺り25は、表示パネル20の前側に配備されている。第一手摺り25の握り部25Bは、表示パネル20と同じ高さ位置に、表示パネル20における前部側の湾曲形状の左側部分に沿う左後向きの傾斜姿勢で配備されている。
この構成によると、第一手摺り25の握り部25Bの全体と表示パネル20の前部側との間隔が部分的に極端に狭くなることがなくなるため、第一手摺り25の握り部25Bを第二手摺り26に近づけながら、運転者が車体前側の手で第一手摺り25の握り部25Bを掴むときに、表示パネル20が邪魔になることを防止することができる。
その結果、運転者が運転部5に対して車体左側の乗降部17Aから乗降するときに、第一手摺り25の握り部25Bを、運転者の車体前側の手で更に掴み易くすることができる。
【0046】
図1及び
図4に示すように、第一手摺り25の握り部25Bは、その左側ほど下側に位置するように左下がりに傾斜している。
この構成によると、例えば、第一手摺り25の握り部25Bが同じ高さで左側に延びる場合に比較して、運転者は、運転部5に対して車体左側の乗降部17Aから乗車するときに、手首が無理な姿勢になり難いことから、第一手摺り25の握り部25Bを車体前側の手によって掴み易くなる。これにより、第一手摺り25の握り部25Bを掴んだ状態での運転部5に対する乗車が行い易くなる。
その結果、運転者の運転部5に対する車体左側の乗降部17Aからの乗降を更に行い易くすることができる。
【0047】
図2及び
図3に示すように、第一手摺り25は、その握り部25Bの中心を通って握り部25Bから左後側に延びる第一延長線L1が、第二摺り26の握り部26Bの中心を通って握り部26Bから前側に延びる第二延長線L2と、左側の乗降部17Aの上方で交差するように、第一手摺り25の握り部25Bは、平面視において左側の第二手摺り26の握り部26Bよりも車体の左右中心側に配備されている。
この構成によると、運転者は、車体左側の乗降部17Aから運転部5に乗り込むときには、車体前側に位置する手で車体の左右中心側に位置する第一手摺り25の握り部25Bを掴み、かつ、車体後側に位置する手で車体の左外端側に位置する第二手摺り26の握り部26Bを掴むことにより、身体の正面を左側の通路部上の移動空間に向け易くなる。
又、運転者は、車体左側の乗降部17Aから降車するために左側の通路部17Bを移動するときには、身体の正面が左側の通路部上の移動空間に向くのに対し、第一手摺り25は、その握り部25Bが運転者の車体前側の手に近い車体の左右中心側に位置し、かつ、第二手摺り26は、その握り部26Bが運転者の車体後側の手に近い車体の左外端側に位置する状態になる。これにより、運転者は、車体左側の乗降部17Aから降車するときに、車体前側の手で第一手摺り25の握り部25Bを掴み易くなり、かつ、車体後側の手で第二手摺り26の握り部26Bを掴み易くなる。
その結果、運転者の運転部5に対する車体左側の乗降部17Aからの乗降を更に行い易くすることができる。
【0048】
図3に示すように、第一手摺り25は、車体前側に設けられたエンジンルーム27とステアリングホイール19との間において車体フレーム1に立設されたセンタピラー16に支持されている。
この構成によると、第一手摺り25は、ボンネット15などを支持するために本来より高い強度を有するセンタピラー16に強固に支持されることになる。これにより、第一手摺り25の支持強度として、運転者が運転部5に乗り込むときに第一手摺り25にかかる引っ張り力、及び、運転者が運転部5から降りるときに第一手摺り25にかかる押圧力に耐え得る高い強度を簡単に得ることができる。
その結果、第一手摺り25に要する支持強度を、第一手摺り専用の支持部材又は補強部材などを新たに設けることなく簡単に得ることができる。
【0049】
エンジンルーム27は、閉じ位置のボンネット15によって形成されている。エンジンルーム27には、原動ユニット14などが配備されている。
【0050】
センタピラー16は、前後方向視の形状がボンネット15の後端部の形状と同じ下向きのU字状で、かつ、断面形状がU字状になる形状にプレス加工された鋼板製で、センタピラー自体がボンネット15などを支持することが可能な高い強度を有している。
【0051】
センタピラー16は、左右の下端部がクラッチハウジング3Aに連結されることにより、ボンネット15とカバーパネル24との間の位置に、クラッチハウジング3Aから上方に延びる状態で配備されている。
【0052】
センタピラー16は、その左側部に平面視L字状の支持部材28が連結されている。支持部材28は、センタピラー16の左側部から左外向きに延びる横向き延出部28Aと、横向き延出部28Aの左端から後向きに延びる後向き延出部28Bとを有している。第一手摺り25は、上向き延出部25Aの下端がセンタピラー16の左側上部に連結され、かつ、下向き延出部25Cの下端が支持部材28の後向き延出部28Bに連結されている。
これにより、第一手摺り25を、ボンネット15などを支持する高い強度を有するセンタピラー16を利用して、第一手摺り25の握り部25Bが左後向きの傾斜姿勢になる状態で車体に組み付けることができる。
【0053】
支持部材28は、センタピラー16に溶接され、第一手摺り25は、センタピラー16と支持部材28とに溶接されている。
【0054】
図1及び
図2に示すように、左右のフェンダ8は、左右の後輪7における上側の内側面に対向する側壁部8A、及び、左右の後輪7における上側の周面に沿って湾曲する天板部8B、などを有する形状にプレス加工された鋼板製で、フェンダ自体が高い強度を有している。左右のフェンダ8は、それらの側壁部8Aが車体フレーム1に連結されている。
【0055】
図1に示すように、左右の第二手摺り26は、その握り部26Bの高さ位置Hが第一手摺り25の握り部25Bの高さ位置よりも低い位置に設定されている。
この構成によると、運転者は、車体左側の乗降部17Aから運転部5に乗り込むときには、車体前側に位置する手で高い側に位置する第一手摺り25の握り部25Bを掴むことで、身体を上方に引き上げ易くなり、又、車体後側に位置する手で低い側に位置する第二手摺り26の握り部26Bを掴むことで身体を上方に押し上げ易くなる。これにより、運転者は、車体左側の乗降部17Aから運転部5への乗り込みが行い易くなる。
又、運転者は、車体左側の乗降部17Aから降車するときには、車体前側に位置する手で高い側に位置する第一手摺り25の握り部25Bを掴みながら、車体後側に位置する手で低い側に位置する第二手摺り26の握り部26Bを掴むことで、下方に移動する身体を支え易くなる。これにより、運転者は、車体左側の乗降部17Aからの降車が行い易くなる。
【0056】
図1〜3及び
図5に示すように、左右の第二手摺り26は、左右のフェンダ8の上方に位置する状態で、左右のフェンダ8に支持されている。
この構成によると、左右のフェンダ8が左右の第二手摺り26の支持部材に利用されることにより、第二手摺り専用の支持部材を備える場合に比較して、部品点数の削減による構成の簡素化などを図ることができる。
又、左右の第二手摺り26は、前述したように高い強度を有する左右のフェンダ8に強固に支持されることになる。これにより、左右の第二手摺り26の支持強度として、運転者が左右いずれかの乗降部17Aから運転部5に対して乗降するときに第二手摺り26にかかる引っ張り力又は押圧力に耐え得る高い強度を簡単に得ることができる。
その結果、左右の第二手摺り26に要する支持強度を、第二手摺り専用の支持部材又は補強部材などを新たに設けることなく簡単に得ることができる。
【0057】
図5に示すように、左右の第二手摺り26は、前後の上向き延出部26Aの下端部が、左右のフェンダ8の天板部8Bに溶接されている。
【0058】
要するに、このトラクタは、
図1〜4に示すように、車体フレーム1に支持される運転ステップ17、運転ステップ17の車体後側に配置される運転座席18、運転座席18から運転者用の着座空間を隔てた車体前側の位置に配置されるステアリングホイール19、運転座席18の左右に配置される左右のフェンダ8、及び、運転者の車体に対する車体横側からの乗降時に使用される手摺り25,26、などを備えている。運転ステップ17は、平面視において、その踏面領域のうち、ステアリングホイール19よりも左右横外側で、かつ、左右のフェンダ8よりも車体前側の領域が、運転者の車体に対する車体横側からの乗降を可能にする左右の乗降部17Aに設定されている。手摺り25,26は、乗降部17Aの車体前側と車体後側とに配備され、前側の第一手摺り25は、第一手摺り用の支持部材(センタピラー16)から乗降部17Aの真上の乗降空間に向けて延びる握り部25Bを備えている。
上記の構成により、運転者は、車体に対する乗降部17Aからの乗降を、乗降部17Aを踏みながら、乗降部17Aの前後に位置する2つの手摺り25,26を両手で掴んだ3点支持による安定状態で行うことができる。
又、第一手摺り25の握り部25Bが乗降空間に向けて延びることにより、第一手摺り25と第二手摺り26との離間距離が短くなる。これにより、運転者は、車体に対して乗降部17Aから乗降するときに、前後の手摺り25,26を両手で掴み易くなる。そして、運転者は、前後の手摺り25,26を両手で掴んだ状態では、両腕を、力が入り易く身体の車体側への引き寄せ動作が行い易い胴体に近い位置に位置させることができる。
その結果、運転者の車体に対する乗降部17Aからの乗降を好適に行い易くすることができる。
【0059】
このトラクタにおいて、第一手摺り25の握り部25Bは、その延出端側が乗降空間に入り込んでいる。
これにより、第一手摺り25と第二手摺り26との離間距離が更に短くなり、運転者は、車体に対して乗降部17Aから乗降するときに、前後の手摺り25,26を両手で掴み易くなる。そして、運転者は、前後の手摺り25,26を両手で掴んだ状態では、両腕を、より力が入り易く身体の車体側への引き寄せ動作が行い易い更に胴体に近い位置に位置させることができる。
その結果、運転者の車体に対する乗降部17Aからの乗降を更に行い易くすることができる。
【0060】
このトラクタにおいて、運転部5は、左右の乗降部17Aに分散して配置される複数の操作ペダル21〜23を備えている。第一手摺り25は、左右の乗降部17Aのうち、操作ペダル21〜23の装備数量の少ない左側の乗降部17Aと同じ左側に配備されている。
これにより、操作ペダル21〜23の装備数量の少ないことで行い易くなっている車体に対する車体左側の乗降部17Aからの乗降を更に行い易くすることができる。
【0061】
このトラクタにおいて、第一手摺り25は、握り部25Bの延出端から真下に延びる下向き延出部25Cを備えている。
これにより、運転者は、例えば、運転ステップ17の位置が高いことで車体に対する乗降部17Aからの乗降が行い難い場合には、降車位置側から掴み易く、かつ、身体の車体側への引き寄せ動作が行い易い下向き延出部25Cを掴むことにより、車体に対する乗降部17Aからの乗降を行い易くすることができる。そして、運転者は、下向き延出部25Cと第二手摺り26とを両手で掴んだ状態では、両腕を、力が入り易く身体の車体側への引き寄せ動作が行い易い胴体に近い位置に位置させることができる。
その結果、運転ステップ17の位置が高い車体に対する運転者の乗降部17Aからの乗降を行い易くすることができる。
特に、下向き延出部25Cが乗降空間に入り込んでいる場合には、下向き延出部25Cと第二手摺り26との離間距離が短くなる。これにより、運転者は、高い位置の運転ステップ17に対して乗降部17Aから乗降するときに、下向き延出部25Cと第二手摺り26とを降車位置側から更に掴み易くなる。そして、運転者は、下向き延出部25Cと第二手摺り26とを両手で掴んだ状態では、両腕を、より力が入り易く身体の車体側への引き寄せ動作が行い易い更に胴体に近い位置に位置させることができる。
その結果、運転ステップ17の位置が高い車体に対する運転者の乗降部17Aからの乗降を更に行い易くすることができる。
【0062】
図3及び
図6に示すように、左右のフェンダ8は、それらの車体の外側に露出する露出外縁部8Cのエッジ部分への他物の接触を阻止する左右のガード部材29を備えている。
左右のガード部材29は、丸棒鋼材製で、左右のフェンダ8における露出外縁部8Cの前後両端にわたる長さを有して露出外縁部8Cに溶接されている。
これにより、左右のフェンダ8は、それらの露出外縁部8Cのエッジ部分への他物の接触が阻止されるとともに補強されている。
【0063】
運転ステップ17は、その車体の外側に露出する左右の露出外縁部17Cのエッジ部分への他物の接触を阻止する左右のガード部材30を備えている。左右のガード部材30は、丸棒鋼材製で、運転ステップ17における左右の露出外縁部17Cの両端にわたる長さを有して左右の露出外縁部17Cに溶接されている。
これにより、運転ステップ17は、その左右の露出外縁部17Cのエッジ部分への他物の接触が阻止されるとともに、運転ステップ17の補強が図られている。
【0064】
図示は省略するが、フェンダ用の左右のガード部材29及び運転ステップ用の左右のガード部材30は、断面形状が円形の丸形鋼管製であってもよい。
又、
図7に示すように、フェンダ用の左右のガード部材29及び運転ステップ用の左右のガード部材30は、左右のフェンダ8の露出外縁部8C又は運転ステップ17の左右の露出外縁部17Cに外嵌して接着されるゴムなどの樹脂製であってもよい。
【0065】
図8に示すように、原動部2は、ボンネット15を閉じ位置に固定保持するロック機構31をエンジンルーム27に備えている。ロック機構31は、ボンネット15と一体揺動する前後向きのロックピン32、ロックピン32を所定のロック位置に案内するガイド板33、ロック位置のロックピン32に対するロック位置と解除位置とにわたって揺動するフック部材34、フック部材34をロック位置に復帰付勢する引っ張りバネ35、及び、引っ張りバネ35の作用に抗したフック部材34の解除位置への揺動操作を可能にする操作ロッド36、などを備えている。
【0066】
ガイド板33は、原動部2の前側底面を形成する前部フレーム10の底板部材37に起立姿勢で備えられている。フック部材34は、ガイド板33に前後向きの支軸38を介して左右方向に揺動可能に支持されている。フック部材34は、その上部に、ロックピン32による解除位置への揺動操作を可能にする連係部34Aを備えている。引っ張りバネ35は、底板部材37からフック部材34に架設されている。操作ロッド36は、フック部材34の下端部から底板部材37の右端側に延びる右向き延出姿勢で、フック部材34の下端部に一体揺動可能に連結されている。操作ロッド36は、その右端部に操作ロッド36のロック位置から解除位置への押し上げ操作を可能にする操作片36Aを備えている。
底板部材37は、その右端側に位置する操作片36Aとの対向部位に、棒状の道具39の挿入を許容する貫通孔37Aを備えている。
上記の構成により、ロック機構31は、ボンネット15の閉じ位置への人為操作が行われると、ロックピン32がボンネット15とともに下降揺動する。そして、この下降揺動でロックピン32がフック部材34の連係部34Aに接触すると、この接触に伴って、フック部材34が引っ張りバネ35の作用に抗してロック位置から解除位置に退避揺動する。又、この下降揺動でロックピン32がガイド板33に接触すると、この接触に伴って、ロックピン32が所定のロック位置に案内される。その後、ボンネット15が閉じ位置に到達すると、その到達に伴って、ロックピン32が連係部34Aの下方に移動し、この移動に連動して、フック部材34が引っ張りバネ35の作用でロック位置に復帰してロックピン32に引っ掛かる。これにより、ロック機構31は、ボンネット15を閉じ位置に固定保持することができる。
又、ロック機構31は、棒状の道具39が底板部材37の貫通孔37Aに挿入され、その棒状の道具39によって操作ロッド36がロック位置から解除位置に押し上げられる人為操作が行われると、フック部材34が引っ張りバネ35の作用に抗して解除位置に退避揺動する。これにより、ロック機構31は、ボンネット15の閉じ位置での固定保持を解除して、ボンネット15の閉じ位置から開き位置への人為操作を許容する。
つまり、このロック機構31は、棒状の道具39を使用することにより、操作ロッド36の解除操作を行うことができ、ボンネット15の閉じ位置での固定保持を解除することができるように構成されている。これにより、ボンネット15の閉じ位置での固定保持を、安易に解除することができないようにしている。
【0067】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0068】
〔1〕作業車は、左右の後側走行装置7として、左右のクローラを備えたセミクローラ仕様の作業車であってもよい。
又、作業車は、左右の前輪6を備えずに、左右の後側走行装置7として、後車軸から前輪配置箇所にわたる長い前後長さを有する左右のクローラを備えるフルクローラ仕様の作業車であってもよい。
【0069】
〔2〕第一手摺り25は、車体の右側に配備されていてもよく、又、車体の左右両側に配備されていてもよい。
【0070】
〔3〕第一手摺り25は、ステアリングホイール19などを支持するステアリングポスト、又は、ステアリングシャフトなどを覆い隠すカバーパネル24などのカバー部材、などに支持されていてもよい。この構成は、車体の後部側に原動部2を備えるフロントモーアなどにおいて有効である。
【0071】
〔4〕第一手摺り25は、その上部側がセンタピラー16の上部に支持され、かつ、その下部側が、運転ステップ17の前端部を支持する左右向きの支持部材に支持される縦長に形成されていてもよい。この構成は、特に車高の高い作業車に有効である。
【0072】
〔5〕第一手摺り25は、その握り部25Bの横外側部分が車体の前後方向に沿うように形成されていてもよい。
【0073】
〔6〕
図9に示すように、第一手摺り25は、その握り部25Bが、車体の左右方向に沿う真横向きの姿勢で、ステアリングホイール19の回動中心よりも車体の左外側の位置に配備されていてもよい。
【0074】
〔7〕左右の第二手摺り26は、樹脂製又は断面形状が円形の丸形鋼管製であってもよい。
【0075】
〔8〕
図10に示すように、左右の第二手摺り26が樹脂製であり、かつ、左右のフェンダ8の上部に樹脂製のレバーガイド40が配備される場合には、左右の第二手摺り26と左右のレバーガイド40とが一体形成されていてもよい。
【0076】
〔9〕
図10に示すように、第二手摺り26は、その握り部26Bが、前後の上向き延出部26Aよりも車体の横外側に位置する形状であってもよい。この構成では、運転者は、降車位置側に位置するときに、第二手摺り26の握り部26Bを掴み易くなる。特に、この構成は、車高が高くて降車位置側から第二手摺り26の握り部26Bを掴み難い場合に有効である。
【0077】
〔10〕
図10に示すように、第二手摺り26は、その握り部26Bの横外側縁が、左右のフェンダ8の横外側縁よりも車体横外側に位置するように配備されていてもよい。この構成では、運転者は、降車位置側に位置するときに、第二手摺り26の握り部26Bを掴み易くなる。特に、この構成は、車高が高くて降車位置側から第二手摺り26の握り部26Bを掴み難い場合に有効である。