(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552414
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】液体メントール組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/045 20060101AFI20190722BHJP
A61K 31/593 20060101ALI20190722BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20190722BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20190722BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20190722BHJP
A61P 11/14 20060101ALI20190722BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
A61K31/045
A61K31/593
A61K47/14
A61K47/44
A61K9/08
A61P11/14
A61P29/02
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-555505(P2015-555505)
(86)(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公表番号】特表2016-506934(P2016-506934A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】CA2014000090
(87)【国際公開番号】WO2014117265
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】61/759,839
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515204605
【氏名又は名称】ディードロップス カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】フィート,サイモン,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】テモフスキー,クリス,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】フィート,ラインホルト,ウィリアム
【審査官】
金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−520850(JP,A)
【文献】
特開2008−231049(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0042009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/045
A61K 9/08
A61K 31/593
A61K 47/14
A61K 47/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類に対する液体メントールの投与用の、単一の液相組成物であって、
(i)総質量5乃至42.3%のメントール、及び
(ii)可消化性オイルであって、当該組成物が4℃の温度から上げた後の23℃にて液体であるような中鎖脂肪酸トリグリセリドである、可消化性オイル、及び
(iii)所望により、少なくとも1種又はそれ以上の脂溶性ビタミン又は1種以上の精油
から成る、単一の液相組成物。
【請求項2】
前記組成物中のメントール%は、29.5乃至42.3質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物中のメントール%は、25乃至30質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記液体組成物の1滴およそ28mgは、およそ10mgのメントールを含有している、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
単一の液相組成物であって、
(i)総質量5乃至42.3%のメントール、
(ii)可消化性オイルであって、当該組成物が4℃の温度から上げた後の23℃にて液体であるような中鎖脂肪酸トリグリセリドである、可消化性オイル、及び
(iii)少なくとも1種又はそれ以上の脂溶性ビタミン又は1種以上の精油
から成る、単一の液相組成物。
【請求項6】
前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンE、カロテン、リコペン、ルテイン、ビタミンD又はビタミンKであり、前記精油は、樟脳油、ラベンダー油、バラ油、ユーカリ油、ティーツリー油、ジンジャー油、ハッカ、スペアミント油、桂皮油、オレガノ油、乳香、ミルラ、桂皮油、イチャクソウ、カモミール、オレンジ油、レモン油である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、1回につき1滴を分配するのに適した容器中に与えられている、請求項1に記載の、中鎖脂肪酸トリグリセリドに溶解したメントールを含む、包装品。
【請求項8】
1回につき1滴を分配するのに適した開口部付きの容器中の、中鎖脂肪酸トリグリセリド中に溶解したメントールを含む、請求項7に記載の包装品。
【請求項9】
中鎖脂肪酸トリグリセリドに溶解したメントール、及び1回につき1滴を分配するためのユーロドロッパー(Eurodropper)ディスペンサー付きのガラス容器を含む、請求項8に記載の包装品。
【請求項10】
1回につき1滴を分配するのに適した開口部付きのプラスチック製スクイーズボトル中の、中鎖脂肪酸トリグリセリドに溶解したメントールを含む、請求項7に記載の包装品。
【請求項11】
1回につき1滴を分配するのに適した点眼器が付いた容器中に、中鎖脂肪酸トリグリセリド中に溶解したメントールを含む、請求項7に記載の包装品。
【請求項12】
インフルエンザの症状を伴うか若しくは伴わない、咳又は風邪の症状の治療における治療薬としての使用のための組成物であって、前記組成物は、
(i)総質量5乃至42.3%のメントール、
(ii)可消化性オイル、及び
(iii)所望により、少なくとも1種又はそれ以上の脂溶性ビタミン又は1種以上の精油
から成り、
前記可消化性オイルが、当該組成物が4℃の温度から上げた後の23℃にて液体であるような中鎖脂肪酸トリグリセリドである、
組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の使用のための組成物であって、前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンE、カロテン、リコペン、ルテイン、ビタミンD又はビタミンKであり、前記精油が、樟脳油、ラベンダー油、バラ油、ユーカリ油、ティーツリー油、ジンジャー油、ハッカ、スペアミント油、桂皮油、オレガノ油、乳香、ミルラ、桂皮油、イチャクソウ、カモミール、オレンジ油、レモン油である、前記組成物。
【請求項14】
前記組成物の1滴およそ28mgは、およそ10mgのメントールを含有し、且つ、表面から舐めるか又は吸入して、口腔に直接摂取されるように処方されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物の1滴およそ28mgは、およそ10mgのメントールを含有し、且つ、表面から舐めるか又は吸入して、口腔に直接摂取されるように処方されている、請求項5に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物の1滴およそ28mgは、およそ10mgのメントールを含有し、且つ、表面から舐めるか又は吸入して、口腔に直接摂取されるように処方されている、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、液体形態にある液体メントールを投与するための、特に液滴形態にある液体メントールの投与に適した物質の組成物である。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
メントールは、その気化ガスが芳香性の“エッセンス”を有するために、精油として知られている。メントールの味及び香りは爽やかであり、そのため風邪又はインフルエンザの症状の軽減をもたらす(非特許文献1)。精油を投与するための多数の製品が、メントールを含む精油の組み合わせを配合しており、そして、これらは局所用途である。オイルベース中のメントールを含有する、通常の局所用途の製品は、周囲温度で半固体である。そのような製品の例は、ビックスヴェポラッブ(Vics VapoRub)(登録商標)である。
【0003】
特許文献1(Scwarz及びWelsspapir)は、成分として、樟脳及び中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)と共に成分メントールを含有する、非ステロイド性の鎮痛クリーム剤の局所放出のための組成物の使用を教示している。当該混合物は、室温で半固体である。非ステロイド性鎮痛剤の局所クリーム中への溶解は、メントール及び樟脳の組み合わせと共に中鎖脂肪酸トリグリセリドの使用によって、達成される。半固体の製品及びクリームは、使用されるか又は適用される化合物の量の正確な計量に適するものではない。
【0004】
メントールはまた、経口摂取される風邪治療薬の成分としても使用される。一例は、ホールズ(Halls)(登録商標)のブランド名の下で市販されている一群の製品である。これらは通常、ハードキャンディー性のトローチを包装したものとしてパッケージ化されている。これらのトローチは、その治療用量として各々10mgのメントールを含む。これら製品の1つは、成分として、MCT、スージング ハニー センター(Soothing Honey Center)によるホールズ マウンテン ベリー(Halls Mountain Berry)(有効成分:メントール2.5mg。非有効成分:クエン酸;綿実油;エルダーベリー果汁;香料;生姜;グルコースシロップ;グリセリン;ハチミツ;レモングラス;MCTオイル;セージ;大豆レシチン;ショ糖;水;ホワイトタイム)を含んでいる。
【0005】
米国の食品医薬品局(FDA)により行われた検討によって、鎮咳(即ち、咳の抑制)効果に必要とされるメントールの用量は、少なくとも5mgであることが結論付けられた(非特許文献2)。咳の治療用の液体製品は、一般にシロップ形態にあり、そして、一般的なスプーン1杯分の量(5mL)で与えられる各々の用量で、1回用量当り5乃至20mgの用量範囲の治療的に有効な薬剤としてのメントールを含有している。そのような製品の一例は、バックレーズ ミクスチャー(Buckley’s Mixture)(登録商標)である。メントールを含有する液体の経口製剤は、メントールを液相中に保持する可溶化剤の含有を必要とする、水ベースのシロップである。
【0006】
純粋なメントールは、42℃の融点を有し、周囲温度で固体である。メントールは高濃度のアルコール中にたやすく溶解し得るが、水ベースの製剤中に溶解しにくい。メントールはまた、MCTを含有するオイル中に溶解し得る。しかしながら、より高濃度においては、周囲温度(10乃至23℃)でこれら溶液は頻繁に半固体、つまり蝋状となる。さらには、下記議論するように、これらのオイル製剤は、通常、液体メントール組成物の投与のためのそれらの使用を緩和する、温度ヒステリシス効果を示す。
【0007】
さらに、メントールの使用への従来の取り組みに関連した困難性は、製品の多くが半固体であり、そして局所用途又は吸入についてのみ適するということである。半固体製剤は、確実に測定され得ないため、経口用途に適していない。それ自体、半固体、蝋状又は軟膏様となる傾向によって、メントールインオイル(menthol in oil)製剤が、皮膚に対する局所用途のために使用されている。
【0008】
多くの場合に、これらの製品は、経口投与の用量が、簡単に、正確に、且つ確実に分配される手段により得られ得なければならないために、気化器に加えられ、経口用途とはならない。他のメントール製品は菓子の形態にあるか、又は、メントールは、スプーンによって与えられることを必要とする慣用の不味い鎮咳シロップの1成分として存在する。
【0009】
不特定の濃度の他の不特定の液体メントール製品は、インターネットを通じて入手でき、そして何人かはメントールを煙草に加えて使用している。
【0010】
さらには、メントール製品についての1つの他のレシピは、1容積のエタノールに対し2容積のメントール結晶を溶解することである(http://nu−vapor.com/forum/diy−liquids/1604−diy−menthol−drops−make−your−own.html)。この種の製品が有する問題は、揮発性であるエタノールの不確実な性質であり、それ故に経時的に生じるエタノール蒸発量によって影響されるメントールの不確実な濃度を生じる。アルコールは貯蔵とともに蒸発するため、メントールの濃度は、結局のところ、固化を起こすのに十分に高い水準に達するであろう。
【0011】
水ベースのメントール製剤が一般に入手できるが、必然的に、比較的希薄であり、そのため通常は少なくともスプーン1杯分の液体の摂取を要する。
【0012】
また、Tonori等の特許文献2は、MCTが質量に基づき0.5乃至10倍の範囲でメントールを溶解するのに有用であることを教示している。しかしながら、彼の技術は、80℃に加熱し、そしてその後、メントール含有のエマルジョンを製造するために混合物の乳化をすることによる、組成物の製造を要する。Tonori等により記載される組成物は、消化管の収縮を阻害する内視鏡手術中に使用される、水及び界面活性剤と共に脂肪又はオイル中のL−メントールエマルジョンを提供するのに使用された。Tonori等の特許は、MCT中のメントールの固化の挙動についても、及び液体鎮咳剤としての用途のための液体メントール組成物の安定性についての洞察も、何ら開示していない。
【0013】
また、1滴又は2適の液体で治療用量(およそ5乃至20mgのメントール)を得ることを可能にする手法でメントールの濃縮液体溶液を提供する方法を提供する、ドラッグストアの主流市場に適した製品は、存在しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】1 Paul IM,Beiler JS,King TS他,Vapor Rub,Petrolatum, and No Treatment for Children with Nocturnal Cough and Cold Symptoms,Pediatrics 2010;126(6);1−8
【非特許文献2】Federal Register/第52巻,No.155/1987年8月12日水曜日,第39946頁)。
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7138394号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1640022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そのような商品が現在入手できるならば、多様な消費者の世代に対して大きな魅力を与えるであろう。
【0017】
しかしながら、メントールは42℃を超えると液体オイルとなり、そしてオイルに可溶性となるが、1滴のオイル中のメントールの意義のある用量の目標は、問題を残したままである。最も困難なことは、メントール製品が半固体となる場合、より高温に再加熱しない限り経口摂取に使用できないということである。
【0018】
従って、一貫して再現性のある治療用量を与え、及び、正規の運搬中又は貯蔵中に起こることが予測される、より低温で予め固化した後であっても、室温(例えば18乃至23℃)で液体に戻る、非アルコール性で、水ベースでない、液体メントール製品が、技術的に必要である。
【0019】
また、正確に且つ確実に1滴を好ましく分配する手段による投与に適した製品が好ましい。
【0020】
また、従来技術の困難を克服するために、液体材料としての投与に適した液体メントール組成物を提供すること、及びより好ましくは、液滴形態での投与用の液体メントール組成物を提供することが有利である。
【0021】
従って、上記の従来技術の不利の少なくとも1つを防ぎ又は軽減する液体メントール組成物を提供することが有利である。
【0022】
さらには、風邪又はインフルエンザの症状を緩和する薬剤として使用できる新規組成物を提供することが本発明の利点でもある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の概要
上記の利点、並びに、他の固有の目的及び目標は、下記の本発明の液体メントール組成物及び溶液、及びそれらの使用により少なくとも部分的に又は完全に提供される。
【0024】
従って、ひとつの局面において、本発明は、中鎖脂肪酸トリグリセリドオイル中に溶解したメントールを含有する組成物を提供する。より好ましくは、本発明は、(i)メントール、及び(ii)可消化食用オイルを含有するキャリヤー、を含有する組成物であって、前記可消化食用オイルは、半固体である20℃よりも低温から20℃に上げた後に当該20℃で液体である組成物を提供するオイルである、前記組成物を提供する。
【0025】
好ましくは、可消化食用オイルは、中鎖脂肪酸トリグリセリドである。
【0026】
別の局面において、本発明は、経口的に又は局所的に又は吸入的に摂取される風邪治療薬としての、上記組成物の使用に関する。別の局面において、本発明は、食品及びレシピ中の香りづけとしての上記組成物の使用に関する。
【0027】
さらに別の局面において、本発明は、上記組成物を分配するための放出システムを包含する。
【0028】
さらに別の局面において、本発明は、鎮咳剤及び風邪治療薬としての上記組成物を分配するための、上記放出システムの使用に関する。
【0029】
本発明のさらに別の局面において、食用オイルの溶液中のメントールを含有する組成物であって、点滴器、好ましくはユーロドロッパー(Eurodropper)として市販されているバーチカルドロッパーディスペンサープラグ(vertical−dropper dispenser plug)のキャップの付いたバイアル中に与えられた、組成物が提供される。
【0030】
本発明のさらに別の局面において、本発明の液体メントール及びオイル組成物の摂取によりメントールを放出する方法が提供される。これは、外表面からの液体の摂取により達成され得る、1滴又は2滴の摂取により、好ましく為される。当該手法は、手の甲又はスプーンから1滴又は2滴の分配液滴を舐めるような手法を包含し得る。しかしながら、他の摂取方法も除外されない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
好ましい態様の記載
本発明の開発において、一般に、オイルはメントールを溶解し得ることに留意されるが、克服されることを要する主要な問題は、オイルはメントールの存在中でたやすく半固体になることであった。それらオイルは室温(例えば、およそ18乃至23℃)で最初は液体であるとしても、高濃度のメントールを含有するオイルが、ひとたび室温未満に冷えると、それらは不可逆的に半固体に戻ってしまう。このことは、メントールオイル溶液が、咳及び風邪が最も頻発する時期中の冬の温度に冷やされ又は晒された場合に、起こり得る。この温度に基づくヒステリシスは、半固体が正確に測定するのに困難であるため、殆どのオイルベースのメントール製品を、経口投与として分配するのに不適切ものとしてしまう。それらを再加熱することによりメントールインオイル溶液を再液化することが可能であるが、消費者による製品の特別な取り扱いの必要性は、通常のドラッグストア、食料品店及び量販店により供される大量市場での販売を意図した製品としては、非常に不適切である。
【0032】
また、この温度ヒステリシスの結果として、メントールインオイル製剤の液体−半固体状態(即ち、凝固中)の間の転移温度は、半固体−液体状態(即ち、溶解中)からの転移温度とは異なる。即ち、転移温度は、より暖かい温度となった後に周囲温度に戻った場合の転移温度と比較したときの、低温となった後に周囲温度に到達するかどうかによって、異なる。
【0033】
このヒステリシス現象はそれ故、溶解温度及び凝固温度が異なる状態転移を特徴としている。
【0034】
メントールを溶解し得る好ましい食用オイルは、MCT、コーン油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、キャノーラ油等のようなオイルを包含し得る。最も好ましくは、食用オイルは、中鎖脂肪酸トリグリセリドであり、これらのMCTオイルは、最小量の温度に基づくヒステリシスを示すためである。
【0035】
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)は、好ましくは、蒸留により植物油から単離される。本発明の実施に有用な中鎖脂肪酸トリグリセリドは、好ましくは、6乃至12個の炭素鎖長を有し、そして好ましくは、組成物媒体は、少なくとも95%の、8乃至10個より選択される炭素鎖長を有するトリグリセリドを含有する。中鎖脂肪酸トリグリセリドは、好ましくは、Cocos nucifera L の胚乳の硬く乾燥した画分から、又は、Elaeis guineensis Jacqの乾燥した胚乳から抽出されたオイルから得られる。それらは通常、飽和脂肪酸の、主としてカプリル酸の(C81−11602)及びカプリン酸(C101−12002)のトリグリセリドの混合物から成る。好ましいオイルは、95%以上の、8乃至10個の炭素原子を有する飽和脂肪酸を含有し、そして好ましくは、当該オイルは清澄な溶液である。
【0036】
本発明の好ましい態様によると、オイル及びメントール組成物中の、及び好ましくはMCT及びメントール組成物中のメントール濃度は、1乃至50質量%である。より好ましくは、オイル及びメントール組成物中のメントール濃度は、10乃至48.7質量%であり、及びより好ましくは、15乃至48.7質量%である。さらにより好ましくは、オイル及びメントール組成物中のメントール濃度は、29.5乃至42.5質量%であり、及びより好ましくは、25乃至30質量%の濃度である。
【0037】
また、他の製剤中において、メントール及びオイル組成物中のメントール濃度は、5乃至15質量%であり、及びより好ましくは、5乃至42.3質量%である。
【0038】
メントールの用量は、5乃至20mgのメントール、及び最も好ましくはおよそ10mgのメントールを与える1滴のオイル溶液として、分配され得る。
【0039】
本発明の実施において、本組成物は、好ましくは、使用者により摂取される1滴の液体として投与される。我々は、ユーロドロッパー容器が、1滴(およそ28mgの液体)中に少なくとも10mgのメントールをたやすく放出させることを見出した。
【0040】
また、さらなる局面において、本発明は、好ましくはユーロドロッパーでキャップされたガラスバイアル、及びその中に充填された組成物を含む充填品から成る製品をさらに提供するものであり、前記組成物は、本願明細書で記載するとおり、咳及び/又は風邪を効果的に治療するための液体メントール溶液である。好ましくは、前記充填品は、バイアルの開口部が、個々の液滴を分配できるように適合したユーロドロッパーが挿入されたバイアル、及び、内容物を完璧に封じ込めるためのスクリューキャップを備える。
【0041】
本組成物は、好ましくは、中鎖脂肪酸トリグリセリドオイル中に溶解したメントールを含有する。
【0042】
本組成物は、ヒトに対して容易に投与される形態で、有利にメントールを与える。表面から、口腔により又は舐めることにより又は吸入することにより直接に摂取した場合、本組成物は、望ましい風味を有し、そして摂取が容易である。さらには、本組成物の単位用量当りの高いメントール濃度は、望ましい治療効果を達成するために投与されるべき液体を最小容量にすることができる。
【0043】
本組成物はまた、例えば、ビタミンA、ビタミンE、カロテン、リコペン、ルテイン、ビタミンD又はビタミンKを含む1種以上の脂溶性のビタミンを含有し得る。
【0044】
また、本発明の組成物はまた、1種以上の精油を含有し得る。これら精油はまた、樟脳油、ラベンダー油、バラ油、ユーカリ油、ティーツリー油、ジンジャー油、ハッカ、スペアミント油、桂皮油、オレガノ油、乳香、ミルラ、桂皮油、イチャクソウ、カモミール、オレンジ油、レモン油を含み得る。
【0045】
しかしながら、他のビタミン及び精油の添加が除外されるものではない。
【0046】
本組成物はまた、咳若しくは風邪の症状の治療における、又は、インフルエンザの症状を伴うか若しくは伴わない咳若しくは風邪の症状の治療における薬剤として使用され得る。
【0047】
本組成物は、通常、使用者の皮膚のような表面から、1滴の材料を飲むか若しくは舐めることにより摂取されるよう意図されているか、又は液滴が使用者の口腔内に直接投与され得る。
【0048】
また、本発明は、インフルエンザの症状を伴うか又は伴わない咳又は風邪の症状治療のために、吸入により使用され得る。
【0049】
本発明の組成物はまた、例えば、局所痛又は虫刺されの治療における局所的治療剤としても使用され得る。
【0050】
さらに別の特徴において、本発明は、本発明の組成物をその中に含む充填品から成る製品を、好ましくは、ガラスバイアルとして又は圧縮可能なプラスチックバイアルとして、提供する。その中に医薬組成物を含有する充填品であって、前記医薬組成物は、一般的な風邪の症状を治療するのに治療的に有効である。好ましくは、充填剤は、メントール溶液が、目盛りつきの点眼器又はシリンジを用いてそこから取り出されるような、キャップをされたバイアルを備える。
【0051】
また、充填剤は、開口部を有するノズルでキャップをされたプラスチックバイアルであって、それによって当該バイアルは反転され得、そして、開口部からの液滴が、充填剤がバイアルから押し出されるために当該開口部からの液滴が計測され得る。
【0052】
このように、本発明は、子供及び成人に適した簡単な手法でのメントールの投与に特に適した組成物を見出し、そして本発明の一の特徴は、液滴としての投与に適した本組成物の液体溶液が提供されることである。好ましくは、当該液滴は、ユーロドロッパーの使用により提供されるが、あるいは、本組成物は、例えば、哺乳類に対して、及び特に、ヒトに対しての投与のために、シリンジ又は点眼器内に取り出され得る。中鎖脂肪酸トリグリセリドオイル中のメントール溶液が製造され得、1滴当りおよそ10mgのメントールである完全な治療用量又は医薬用量が提供されることが見出された。
【0053】
実施例
本発明の利点は、下記詳解によって証明されるであろう。本願明細書に記載された実施例は、証明の目的のみのためであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0054】
実施例1−メントールインオイル相の安定性の測定及び相転換の温度ヒステリシス現象
使用したメントールは、156.27の分子量及び42℃の融点を有する(1R,2S,5R)−5−メントール−2−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノールであった。結晶メントールを、質量/質量ベースで種々のオイルと混合し、そして40℃において各々のオイル中に完全に溶解した。メントールの百分率は、製剤の総質量の割合としてのメントールのパーセントを示す。表1は、メントールと種々のオイルとの各々の製剤を23℃に冷却したときの、当該製剤の状態を示す。用語“固体”は、非液体の又は少なくとも半固体の組成物を指し、室温で流動性ではなく、且つ頻繁に結晶化を示すか又は他の2相性の不均質性を示すものである。我々が試験した種々のオイルのうち、我々は、メントールイン中鎖脂肪酸トリグリセリドオイル(MCT)が、全ての他のオイルよりも高い濃度である、メントールの48.7%まで室温において液体を保持することを見出した。試験したオイルのうち、メントールの35.9%まで室温において液体を保持したキャノーラ油が、次に最も適していた。
【表1】
【0055】
表1の製剤を4℃に冷却したところ、29.5%メントールインMCT以外の製剤の全ての固化を生じた。その後、製剤を室温に戻し、そして12時間放置した。その結果、表2に示す結果が得られ、少なくとも1週間、当該表に示される定常状態が維持された。予期せずして、室温でのメントールインオイル製剤の状態は、室温が加熱又は冷却を経て達成されたかどうかに応じて、変化し得た。さらに具体的には、凝固温度は、実質的に様々なメントールインオイル製剤についての融点とは異なることが見出された。
【0056】
室温に戻された固体状態のメントールインオイル製剤は、即座に液体状態には戻らないことがまた発見された。このことは、消費者の管理下における非常に望ましくない、製品の予期しない挙動を、表している。商業的に実現可能な液体メントール製品は、特定の室温で予測できる液体挙動を示さなければならない。例えば5分以内の急速な溶解は、製剤が、室温(例えば20℃)である限り、要望に応じて本質的に分配され得ることを確実にするであろう。しかしながら、遅い溶解は、製品が、分配する前に20℃でより長く留められること又はより高温で留められることを、要求するであろう。
【0057】
キャノール油を有するメントール製剤を調製した。当該製剤が単一な液相を有するまで、40℃において、1.5グラムのメントールを8.5グラムのキャノーラ油に溶解した。メントールインMCTの同様の製剤をも調製した。どの相変化も終わるまで、4℃において試料を保持したところ:MCT−メントールは液体のままであったが、キャノーラ油−メントールは固化した。その後、両試料を20℃に戻し、そして相変化の速度を観察した。MCT−メントールは、調査した温度範囲にわたって液体のままであった。5分後、キャノーラ油−メントール製剤は大部分が固体のままであり、点滴器により分配できなかった。10分後、当該試料は大部分が液体状態に戻ったが、滴下分配性及び投与量の一定性を損なう固体結晶をいまだ示した。15分後、キャノーラ油−メントール製剤は完全に液体となった。
【0058】
15%メントールインMCTが、調査した温度範囲にわたって液体のままであり、且つ分配可能であった一方で、メントールインキャノーラ油は、分配可能な安定した状態に到達する前に、15分間の相転移時間を示した。
【表2】
【0059】
特記することは、メントールインMCTオイル溶液が、独特の望ましい特性を示し、それによって、前もって4℃で固化された後でさえも、より広い範囲のメントール百分率について室温で液体のままであることが、見出されたことである。例えば、冷却により室温とした時の29.5%のメントールインオイル製剤は、MCTオイル及びキャノーラ油の双方について室温である23℃において液体であった一方で、加熱により室温とした時の同様のキャノーラ油製剤は固体であった。
【0060】
実施例2−メントールインオイルの製剤における相転移の温度ヒステリシスの解明
20%、25%及び30%濃度(製剤総質量の百分率として)のメントールインMCT、メントールインコーン油、メントールインキャノーラ油、メントールインヒマワリ油及びメントールインピーナッツ油にて、メントールインオイル溶液を調製した。溶液を40℃で保持して、オイル中のメントールの完全な溶解を確実にした。その後、試料を温度制御したインキュベータ中に置き、そして、温度を2℃ずつの低下によって段階的に低下させ(40℃から2℃まで)、低下中の12時間、試料を保持した。(液体から固体への)相転移が生じた場合には、測定をする各々の保持期間後に、試料を観察した。得られた凝固点を下記表3に示す。
【表3】
【0061】
例えば、14℃に冷却すると、30%メントールインキャノーラ油(w/w%)の製剤は固化するであろう。30%メントールインMCT(w/w%)の製剤は、4℃において固化するであろう。
【0062】
その後、試料を2℃において>24時間置いて、全ての相転移が平衡に達するようにした。その後、上記の温度傾斜実験(即ち、12時間の保持期間で2℃の上昇)と類似の方法で、温度上昇を開始した。(固体から液体への)相転移が生じた場合には、測定される各々の保持期間後に、試料を観察した。得られた融点を下記表4に示す。
【表4】
【0063】
例えば、30%メントールインキャノーラ油(w/w%)の製剤は、4℃において固体であり、そして、一旦26℃に達すると、液体となるであろう。30%メントールインMCT(w/w%)の製剤は、一旦12.5℃に達すると、液体となるであろう。
【0064】
その後、相転移の温度ヒステリシスの結果を計算し、そして商業化の観点から、相転移の温度ヒステリシス値がより小さいよりもより大きいほうが好ましいという理解とともに、表5に表す。これは、商業上実現可能なものとするために、冷たい固化温度に耐え、そしてその後、室温よりも高い温度での処理の必要性もなく液体状態に戻らなければならない製品についての必要性に起因する。
【表5】
【0065】
例えば、30%メントールインキャノーラ油(w/w%)の製剤は、その凝固点(14℃)よりも12℃高い融点(26℃)を示した。30%メントールインMCT(w/w%)の製剤は、その凝固点(4℃)よりも8.5℃高い融点(12.5℃)を示した。
【0066】
実施例3−薬理学的に及び商業的に望ましいMCTとメントールとの製剤の液滴分配性
35グラムの結晶メントールを43℃において溶解し、そして65グラムの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に混合した。10mLを、ユーロドロッパーキャップ付きの15mL琥珀色ガラスバイアル内に分配した。スクリューキャップを外し、そして1滴を舌上に直接に分配した。
【0067】
実施例4−メントールの薬理学的に及び商業的に望ましい投与量の液滴放出
35グラムの結晶メントールを43℃に加温することにより溶解し、そして液体メントールを、65グラムの中鎖脂肪酸トリグリセリドオイル中に混合し、そして室温に冷却した。10mLのメントールインMCTの溶液を、ユーロドロッパーキャップ付きの15ミリリットルの琥珀色ガラスバイアル内に分配した。スクリューキャップを外し、そしてバイアルを反転させて、5滴の溶液を、米国薬局方の方法に従い試験するためにサンプリングした。試験の結果は、組成物の各々の液滴は、10ミリグラムのメントールを与えたことを示した。
【0068】
実施例5− 統一されたユーロスタイルのパッシブ型置換ドロッパーを用いたメントールインオイル製剤の液滴の一定性
35グラムの結晶メントールを43℃に加温することによって溶解し、そして液体メントールを65グラムの中鎖脂肪酸トリグリセリドオイル中に混合し、そして室温に冷却した。10mLのメントールインMCTの溶液を、ユーロドロッパーキャップ付きの15ミリリットルの琥珀色のガラスバイアル内に分配した。スクリューキャップを外し、そしてバイアルを反転させて、1滴を計量器に分配した。バイアルを再びキャップし、そして1分間、直立に置いた。分配、計量及び再キャップの手順を、計50回繰り返した。液滴の質量は、27.4±0.3mg(平均値±標準偏差)であることが分かった。これに対し、35%メントールインコーン油製剤の液滴質量は、29.7±1.1mgであるか、又はMCT液滴よりも3.8倍も変動が大きかった。
【0069】
実施例6− 添加した精油及びビタミンを有するメントールインオイル製剤の液滴放出
20グラムの結晶メントールを、80グラムのMCT中に43℃において溶解した。10グラムのユーカリ油及び十分なビタミンD3(コレカルシフェロール)を、当該製剤に添加して、ミリリットル当り345マイクログラムの濃度を得た。10ミリリットルの当該溶液を、ユーロドロッパーキャップ付きの15ミリリットルの琥珀色のガラスバイアル内に分配した。スクリューャップを外し、そしてバイアルを反転させて、1滴を計量器に分配した。バイアルを再びキャップし、そして1分間、直立に置いた。分配、計量及び再キャップの手順を、計50回繰り返した。精油及びビタミンを加えない20%メントールインMCT製剤を用いて当該手順を同様に繰り返した。両方の型の製剤は、実質的に同様の液滴質量及び液滴質量を示した。このことは、精油又はビタミンのような他の溶解した添加物を含むか又は含まないかが、当該製剤の挙動に影響しないことを示していた。
【0070】
このように、本発明によって、前述の目標、目的及び利点を完全に満足する液体メントール組成物が提供されることが明白である。それ故、本発明の特定の態様を記載することにより、その変形、改変及び変種が当業者に示唆されること、及び、本願明細書は、該添付された請求の範囲の範囲と同様の全ての変形、改変及び変種を包含することが意図されていることが、理解されるであろう。
【0071】
従って、明確さのため、そして記載が無ければ、用語“含有する(comprise)”並びに“含有する(comprising)”及び“含有する(comprises)”のような変形の用語は、本願明細書の記載及び請求の範囲において使用されている場合には、他の添加剤、成分、整数及び段階を除外することを意図していない。さらには、本願明細書において適切に説明として開示されている発明は、本願明細書において特別に開示されていないどの要素を欠いていても、実施され得る。
【0072】
さらには、“実質的に(substantially)”又は“本質的に(essentially)”のような用語は、形容詞又は副詞と共に使用される場合には、特定の特性の範囲を強調することを意図しており、例えば、実質的に平面とは、ほぼ平面、殆ど平面であること、及び/又は平面要素に関連した特性を示すことを意図している。
【0073】
さらには、用語“彼(he)”、“彼に(him)”又は“彼の(his)”の使用は、特別に個人の男性に関することを意図しておらず、“彼女(she)”、“彼女に(her)”又は“彼女の(her)”としてそれぞれ単純に読まれ得る。
【0074】
また、この議論が発明者に知られた従来技術に対処しているが、議論された全ての技術が本願に対して引用できることが了解されるものではない。