【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この必要に取り組む。本発明は、第1態様では、高電圧又は中電圧の電力ケーブル用のスリーブを提供し、このケーブルは、軸方向及び径方向を規定する内部導体を含み、このスリーブは、導電性又は半導電性である第1軸方向電極区域を有する管状のスリーブ本体を含み、第1軸方向電極区域が少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によって内部導体から径方向に分離されるように、スリーブが、拡張時に内部導体の径方向に拡張可能であり、内部導体の径方向外側に配置可能であること、及びスリーブが、スリーブ本体の径方向外側に少なくとも部分的に配置され、第1軸方向電極区域と電気的に接続される第1電気接点を含む、回路基板を更に含むことを特徴とする。
【0006】
第2態様では、本発明は、高電圧又は中電圧の電力ケーブル用のスリーブを提供し、このケーブルは、軸方向及び径方向を規定する内部導体を含み、このスリーブは、導電性又は半導電性である第1軸方向電極区域を有する管状のスリーブ本体を含み、第1軸方向電極区域が少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によって内部導体から径方向に分離されるように、スリーブが、収縮時に内部導体の径方向外側の位置へと径方向に収縮可能であること、及びスリーブが、スリーブ本体の径方向外側に少なくとも部分的に配置され、第1軸方向電極区域と電気的に接続された第1電気接点を含む、回路基板を更に含むことを特徴とする。
【0007】
語「スリーブ」は、ケーブル又はケーブルの要素の周囲にある装置を示唆する。本開示によるスリーブは、本体と、回路基板と、を含む。これは、スリーブ本体の径方向外側に配置され、少なくとも一部が回路基板上に配置される、非導電性のジャケットを更に含んでよい。したがって、回路基板は、スリーブ本体とジャケットとの間に配置される、すなわち、少なくとも部分的にスリーブ内に配置される。換言すると、これは、少なくとも部分的にスリーブに組み込まれている。ジャケットは、回路基板を保護してよく、損傷リスクの回避に役立ってよい。
【0008】
概して、回路基板は、センサの一部であってよい多数の電気的又は電子的構成要素を含むことができる。したがって、回路基板は、機械的に安定なプラットフォームを構成要素にもたらし、その上に取り付けられた構成要素間の電気的接続を促進できる。概して、電子的構成要素は電気的構成要素のサブグループであることを理解されたい。スリーブは、径方向に拡張可能であるか、径方向に収縮可能である。したがって、ケーブルの任意の所望の位置に位置付けることができる。拡張可能なスリーブは、ケーブルの所望の位置に押し込むことができる。収縮可能スリーブは、ケーブルの所望の位置に位置付けることができ、次いで、ケーブルのこの位置で収縮させることができる。両種類のスリーブでは、スリーブとケーブルとの摩擦によってスリーブが定位置に保たれる。
【0009】
本開示によるスリーブは、中電圧又は高電圧の電力ケーブルで使用できる。かかるケーブルは、通常、電力を搬送する内部導体を有する。内部導体は通常、円形断面を有し、ケーブルの長さ方向に延在する。したがって、内部導体の長さ方向は、ケーブル及びスリーブの軸方向、すなわちケーブル長に沿った方向を規定する。軸方向に対して直角の方向は、径方向、すなわち、内部導体の円断面の中心から離れる方向を指す方向である。通常、電気絶縁層は、ケーブルの内部導体の周囲に配置される。絶縁層は、多くの場合、内部導体に直接配置される。大部分のケーブルは、絶縁層から径方向外側に配置された更なる層、例えば、半導電層、遮蔽電線の層、及び最外層としてのケーブルシースなどを有する。本発明によるスリーブは、第1軸方向電極区域が少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によって、例えば、内部導体の周囲に配置される絶縁層の軸区域によって、内部導体から径方向に分離されるように、内部導体の径方向外側に配置できる。したがって、スリーブを配置するためには、スリーブを内部導体の周囲に配置できるように、ケーブルを剥ぐ必要があってよい。すなわち、ケーブルシース及び任意の外層を内部導体まで除去する必要がある。特定の実施形態では、スリーブは、内部導体に直接配置できる。これらの実施形態の一部では、スリーブは、電気絶縁性のスペーサ層を含む。
【0010】
特定の他の実施形態では、スリーブは、内部導体に配置されるケーブルの絶縁層に直接配置できる。これらの他の実施形態の一部では、電気絶縁性のスペーサ層は、ケーブルの絶縁層の一部を含む。これらの他の実施形態では、ケーブルは、内部導体上に配置される、絶縁層まで剥がすだけでよい。概して、スリーブは管状体を有し、したがって、ケーブルの端部にスリーブを押し付けることができ、次いでケーブル上で位置付けることができる。
【0011】
本開示によるスリーブは、管状のスリーブ本体と、ジャケットと、回路基板と、を含む。スリーブ本体は、スリーブの径方向最内層を含んでよい。管状のスリーブ本体は、1つ以上の軸区域を有してよい。本体の軸区域は、軸方向に延在する本体の区域である。スリーブ本体は第1軸方向電極区域を有する。第1軸方向電極区域は、導電性又は半導電性である。これは、管状区域であってよいが、あるいは別の形状を有してよい。特定の実施形態では、第1軸方向電極区域は、外周全体に延在するが、他の実施形態では、外周全体のごく一部に延在してよく、そうでなければ、第1軸方向電極区域が、電力ケーブルの内部導体の電圧を検出する電圧センサの検出コンデンサの電極を形成するように動作可能であることに影響を及ぼす。同じことが更なる軸方向電極区域にも該当する。本開示の文脈において、用語「(半)導電性」は、要素が導電性又は半導電性であることを表す。第1軸方向電極区域は、径方向に拡張可能であるか、径方向に収縮可能である。
【0012】
プッシュオンスリーブなど径方向に拡張可能なスリーブでは、第1軸方向電極区域及び/又は他の軸方向電極区域は径方向に拡張可能である。第1軸方向電極区域及び/又は他の軸方向電極区域は、管状であってよい。軸方向では、軸方向電極区域は、内部導体の区域及び所望によりケーブルの絶縁層の区域を収容できる貫通孔を有してよい。拡張前の貫通孔は、内部導体の外径又はスリーブが周囲に配置されるケーブルの絶縁層の外径よりも小さい内径を有してよい。スリーブは、ケーブル端部において絶縁層又は内部導体にスリーブを押し付けることによって拡張してよい。概して、電力ケーブルの内部導体上又は絶縁層上に拡張可能なスリーブを配置するという、このプッシュオン法が既知である。多くの場合、グリースを使用して、ケーブルの層に拡張可能なスリーブを押し付けやすくする。本開示による拡張可能なスリーブをケーブルの内部導体に押し付けると、スリーブ本体の径方向最内層は、内部導体の径方向外側表面と機械的に直接接触してよい。本開示による別の拡張可能なスリーブをケーブルの絶縁層に押し付けると、スリーブ本体の径方向最内層は、絶縁層の径方向外側表面と機械的に直接接触してよい。スリーブ本体は、径方向に拡張可能であってよい。第1軸方向電極区域は、弾性の、径方向に拡張可能な(半)導電性シリコーンを含んでよい。第1軸方向電極区域は、コンデンサの電極として動作可能であってよい。コンデンサは、内部導体の電圧を検出する容量式電圧センサに含まれる、容量式分圧器の一部を形成してよい。
【0013】
径方向に収縮可能なスリーブでは、第1軸方向電極区域及び/又は他の軸方向電極区域は、径方向に収縮可能であってよい。第1軸方向電極区域及び/又は他の軸方向電極区域は、管状であってよい。軸方向では、軸方向電極区域は、内部導体の区域及び所望によりケーブルの絶縁層の区域を収容できる貫通孔を有してよい。スリーブ本体は、軸方向に延在する貫通孔を有してよい。スリーブが拡張状態にあるとき(すなわち、スリーブの収縮前)、貫通孔は、内部導体の外径又はスリーブが周囲に配置される絶縁層の外径よりも大きい内径を有してよい。収縮可能な軸方向電極区域又は収縮可能スリーブ本体の全体は、支持要素を取り外すとスリーブ本体又は軸方向電極区域が径方向に収縮できるように、貫通孔に配置された支持要素によって開放状態に保持されてよい。スリーブは、ケーブル端部において絶縁層上又は内部導体上にスリーブを配置した後で収縮してよい。概して、電力ケーブルの層上で熱収縮可能スリーブ又は常温収縮可能スリーブを収縮させるというこの収縮法は、既知である。本開示による収縮可能スリーブをケーブルの内部導体上で収縮させると、スリーブ本体の径方向最内層は、内部導体の径方向外側表面と機械的に直接接触してよい。本開示による収縮可能スリーブをケーブルの絶縁層上で収縮させると、スリーブ本体の径方向最内層は、絶縁層の径方向外側表面と機械的に直接接触してよい。第1軸方向電極区域は、(半)導電性である。収縮可能スリーブ本体の第1軸方向電極区域は、弾性の径方向に収縮可能な半導電性シリコーンを含んでよい。第1軸方向電極区域は、コンデンサの電極として動作可能であってよい。コンデンサは、内部導体の電圧を検出する容量式電圧センサに含まれる、容量式分圧器の一部を形成してよい。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、本開示によるスリーブは、非導電性のジャケットを更に含む。このジャケットは、少なくとも部分的にスリーブ本体の径方向外側に配置されてよい。ジャケットの少なくとも一部は、スリーブ本体の径方向外側、かつスリーブ本体上に配置されてよい(すなわち、スリーブ本体と機械的に直接接触する)。あるいは、ジャケットの少なくとも一部は、スリーブ本体の径方向外側に、かつスリーブ本体から径方向距離を置いて配置されてよい(すなわち、スリーブ本体と機械的に直接接触しない)。この後者の場合、中間層、又は中間要素は、ジャケットの一部とスリーブ本体との間に配置されてよい。このジャケットは、少なくとも部分的に回路基板の径方向外側に配置されてよい。
【0015】
ジャケットは、管状であってよい。これは、ジャケットの径方向内側表面を規定する内孔を有してよい。この内孔は、スリーブ本体の区域を収容するように構成されてよい。中間層又は中間要素など、例えば、ジャケットとスリーブ本体との間に配置されてよい回路基板を収容するように更に構成されてよい。ジャケットは、径方向外側表面を含んでよい。外側表面は、ジャケットの一部ではない、他層又は他要素を支持してよい。これは、例えば、導電層又は導電性要素を支持してよい。
【0016】
非導電性のジャケットは、収縮可能であるか、拡張可能であるか、又は、概して弾性であってよい。したがってジャケットは、スリーブの収縮時又は拡張時に収縮するか、拡張してよい。これにより、スリーブの収縮/拡張の前後に、ジャケットは密封状態を形成し、ジャケットの下で径方向に配置された要素を保護できてよい。ジャケットは、エラストマーなど、例えば、シリコーン又はEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)など合成ゴムを含んでよい。ジャケットは、透明部を含んでよい。これにより、ジャケットから径方向内側に配置された要素、例えば、スリーブ本体又はジャケットとスリーブ本体との間に配置された要素を目視検査しやすくなってよい。
【0017】
概して、ジャケットの第1部分は、回路基板の径方向外側表面に配置されてよく、ジャケットの第2部分は、スリーブ本体の径方向外側表面に配置されてよい。ジャケットの第1部分は、ジャケットの軸区域を含んでよい。ジャケットの第2部分は、ジャケットの別の軸区域を含んでよい。これにより、ジャケットが被覆でき、したがって、第1部分で回路基板を保護し、同時に、第2部分でスリーブ本体に取り付けられる。したがって、ジャケットは、ジャケットとスリーブ本体との間の空隙を封止して、水及び塵埃がこの空隙に入れないようにしてよい。
【0018】
別の実施形態では、ジャケットは、スリーブ本体に取り付けられない。代わりに、ケーブル本体及び回路基板がケーブルに設置される前後に、スリーブ本体上及び回路基板上に別個の管状層が配置されてよい。スリーブ本体及び回路基板がケーブルに設置された後に別個のジャケットが適用される場合、ジャケット本体は、好ましくは、スリーブ本体及び回路基板の周囲に容易に適合する十分な直径を有する支持要素によって開放状態に保持され得る、収縮可能ジャケットである。次いで、支持要素を取り外して、スリーブ本体及び回路基板上でジャケットを収縮させることができる。
【0019】
更に別の実施形態では、スリーブがケーブルに設置されると、ジャケットは、スリーブ本体の端部上を超えて延在できる延長端部を含む。この方法では、延長端部を使用して、スリーブ本体、及び任意にケーブルの(半)導電層の露出部を被覆できる。別個の絶縁要素を使用してこのようにする必要はない。少なくとも1つの実施形態では、延長端部は、スリーブが完全にケーブルに設置されるまで、ジャケットの中央部で折り畳まれ得る。スリーブがケーブルに完全に設置されると、延長端部は中央部から押し出されるか、転がり落とされて、外側ケーブルシースと物理的に接触できる。
【0020】
本開示によるスリーブは、スリーブ本体の径方向外側に配置された回路基板を含む。回路基板は、回路基板上に取り付けられ得る電気的又は電子的構成要素を支持してよい。また、例えば、その表面の1つで導電性トレース又は導電路を提供することにより、かかる構成要素間で電気的接続を提供してよい。回路基板は、プリント基板であってよい。回路基板は、電気的又は電子的構成要素を含んでよい。電気的又は電子的構成要素は、電力ケーブルの内部導体の電圧、又は電流、又は温度を検出するセンサの構成要素として動作可能であってよい。回路基板は、少なくともコンデンサ要素を含んでよい。コンデンサ要素は、容量式分圧器内の2次コンデンサとして動作可能であってよく、電力ケーブルの内部導体の電圧を検出するために動作可能である。この容量式分圧器は、検出コンデンサと、スリーブ本体の第1軸方向電極区域であってよい電極と、電力ケーブルの内部導体と、を更に含んでよい。回路基板は、内部導体の電流を検出するコイル、具体的には、ロゴウスキーコイルを含んでよい。このコイルは、回路基板の周囲に巻かれてよい。回路基板は、センサ回路における抵抗損失を低減するように電力ケーブルの内部導体にごく近接して配置されてよいため、電圧センサ又は電流センサの構成要素を回路基板に取り付けることは有利なことがある。回路基板はまた、電子的及び電気的構成要素を取り付ける空間を節約し得る、かかる要素を正しく取り付ける構造を提供する。回路基板は、更に電気的又は電子的構成要素を機械的に安定な状態でしっかり支持してよく、これにより、これらの構成要素を含む回路の信頼性を向上させてよい。また、回路基板は、回路基板に取り付けられた電気的又は電子的構成要素がジャケットによって機械的に保護され得るように、少なくとも部分的にジャケットで被覆されている。
【0021】
回路基板は、湾曲部を有してよい。湾曲部は、湾曲部の内側表面の曲率がスリーブ本体の外側表面の曲率に対応するように湾曲してよい。これにより、回路基板の湾曲部とスリーブ本体との緊密な機械的接触が可能になってよい。回路基板は、剛性部、可撓性部、又はその両方を含んでよい。可撓性部を有する可撓性回路基板又は回路基板は、本開示によるスリーブをより容易に組み立て可能にしてよい。
【0022】
ジャケットは、少なくとも部分的に回路基板の径方向外側に配置される。したがって、ジャケットは、回路基板に対して機械的及び/又は電気的保護をもたらしてよい。
【0023】
回路基板は、第1軸方向電極区域と電気的に接続する第1電気接点を含む。第1電気接点は、第1軸方向電極区域と機械的に直接接触してよい。回路基板は、第1主表面と、対向する第2主表面と、を含んでよい。第1電気接点は、第1主表面に配置されてよい。この場合、電気的又は電子的構成要素は、第2主表面に取り付けられてよい。第1電気接点は、拡張接触領域又は拡張表面接触領域をもたらす導電性領域を含んでよい。導電性領域、及び、概して回路基板上の導電性領域は、第1軸方向電極区域と機械的かつ電気的に接触してよい。拡張接触領域は、他の要素、例えば、スリーブ本体とのより確実な電気的接触を促進する。導電性領域は、1cm
2以上の幾何学的面積にわたって拡張してよい。導電性領域は、回路基板の第1主表面に配置されてよい。これは、第1主表面の、例えば、50%、75%、又は100%を含んでよい。
【0024】
導電性領域は、二次元で、及び/又は拡張領域にわたって機械的かつ電気的にスリーブ本体と接触してよい。回路基板の導電性領域は、スリーブ本体と電気的かつ機械的に接触するための接点を形成してよい。拡張接触領域をもたらす導電性領域は、第1電気接点とスリーブ本体との間に緊密な機械的かつ電気的接触を確立するために特に有利である。これは、多数の考えられる接点をもたらすことがあり、より確実な接触及びより少ない抵抗損失をもたらす接触領域を最大化することがあるためである。スリーブ本体材料の内部電気抵抗がごくわずかでない実施形態では、この配置は、第1電気接点の接点に達する前に電子がスリーブ本体を通過する必要のある経路をより短くしてよい。これにより、スリーブ本体の内部抵抗の影響を低減してよい。概して、回路基板の第1電気接点が単一導電点ではなく、拡張接触領域をもたらす導電性領域であるという事実は、スリーブ本体がコンデンサ電極を含み得る、電圧センサの正確性及び信頼性を向上させてよい。拡張された二次元の表面接触領域は、単一接点の領域よりも大きくすることができる。例えば、1cm
2以上の面積を有する場合がある。この拡張のために、多数の接点において、スリーブ本体に接触できる。これらの接点は、拡張接触領域全体に分散し得る。
【0025】
回路基板の導電性領域は、導電性金属(例えば、金、銀、又は銅)の層を含んでもよい。具体的には、これは銅層を含んでもよい。銅層は、電気的接触を高めるため及び/又は環境からの影響に対する保護(例えば腐食に対して)のために金めっきされてもよい。
【0026】
回路基板の導電性領域は、連続的な表面接触領域又はパターン付きの、すなわち断続的な、非連続的な表面接触領域をもたらしてよい。パターン付き表面接触領域のすべての部分は互いに電気的に接触することができる。パターン付き表面接触領域は、これを製造するために、より少ない導電性材料を必要とする一方で、電気的接触及び抵抗損失の信頼性に対してごくわずかな影響しか有さない。パターン付き表面接触領域は、回路基板の機械的可撓性も強化することができ、したがって回路基板が折り曲げられた場合の層の亀裂及びフレークのリスクを低減する。具体的な実施形態では、導電性領域は、パターン付きの金めっきされた銅層を含む。接触領域のパターンは、例えば正方形又はダイヤモンド形のパターンを備えた格子を含んでよい。
【0027】
回路基板は、可撓性部を有してよい。上記の導電性領域は、可撓性部に配置されてよい。具体的には、回路基板は、可撓性プリント回路基板(「PCB」)を含んでよい。回路基板の可撓性部、具体的には可撓性PCBは、回路基板がスリーブ本体により良好に適合できるようにしてよい。これは同様に、回路基板とスリーブ本体との間の電気的接触を強化し、これによって接点をより信頼性のあるものとし、抵抗損失を低減し、電圧センサの更に高い精度を促進してよい。回路基板の可撓性部はまた、異なるケーブルのスリーブで同一の回路基板を使用できるように、回路基板が異なる直径の絶縁層に適合できるようにしてよい。具体的な実施形態では、回路基板は可撓性両面PCBを含む。概して、回路基板は、片面又は両面回路基板であってよい。
【0028】
回路基板は、拡張区域の一部に外部からアクセスできるように、ジャケットよりも更に軸方向に延在してよい拡張区域を含んでよい。外部からアクセス可能な回路基板の部分、又は拡張区域の部分は、ジャケットの外側及び/又はスリーブの外側からアクセスできる部分である。外部からアクセス可能な回路基板の拡張区域の部分は、回路基板への電線の接続を容易にしてよいか、回路基板への外部装置の接続を容易にしてよい。回路基板の拡張区域の他の部分及び/又は他の区域の他の部分は、ジャケットによって機械的に保護されるように、ジャケットの径方向内側、例えば、ジャケットの下に配置されてよい。あるいは、回路基板は拡張区域を有さなくてよいが、回路基板の一部は、ジャケットの開口部を通じて外部からアクセスできてよい。
【0029】
本開示によるスリーブでは、回路基板は、スリーブ本体の径方向外側に配置される。回路基板は、スリーブ本体に配置されてよい。これは、少なくとも部分的に、スリーブ本体の第1軸方向電極区域の径方向外側に配置されてよい。これは、少なくとも部分的に、第1軸方向電極区域に配置されてよい。回路基板が、少なくとも部分的に第1軸方向電極区域の径方向外側に配置されるが、第1軸方向電極区域には配置されないスリーブでは、中間材が、第1軸方向電極区域と第1軸方向電極区域の径方向外側に配置された回路基板の一部との間に径方向に配置されてよい。中間材は、中間材の層であってよい。中間材は、導電性材料を含んでよいか、中間材が導電性であってよい。中間材は、形状適合性材料を含んでよい。この形状適合性材料は、回路基板の動きから第1軸方向電極区域の動きを分断してよい。かかる形状適合性材料は、室温において形状適合性であってよい、及び/又は手で適合させることができてよい。かかる形状適合性材料は、導電性であってよい。中間材は、導電性マスチックを含んでよい。中間材は、回路基板及び第1軸方向電極区域と機械的に直接接触してよい。中間材は、回路基板の第1電気接点及び第1軸方向電極区域と機械的に直接接触してよい。中間材が導電性材料を含むか、導電性である場合、第1軸方向電極区域を回路基板の第1電気接点と電気的に接続してよい。概して、中間材は、回路基板とスリーブ本体との機械的及び/又は電気的な接触を促進してよい。具体的には、中間材は、第1電気接点と第1軸方向電極区域との機械的及び/又は電気的な接触を促進してよい。形状適合性中間材は、スリーブ本体が拡張又は収縮する場合に回路基板への亀裂防止に役立ってよい。導電性の形状適合性中間材、例えば、導電性マスチックは、スリーブ本体と回路基板との改善した電気的接触、具体的には、スリーブ本体の第1軸方向電極区域と回路基板の第1電気接点との改善した電気的接触をもたらしてよい。
【0030】
本開示によるスリーブでは、ジャケットは、少なくとも部分的に、回路基板の径方向外側に配置される。このジャケットは、回路基板に配置されてよい。ジャケットが、少なくとも部分的に回路基板の径方向外側に配置されるが、回路基板には配置されないスリーブでは、カバー材は回路基板の一部とジャケットの一部との間に径方向に配置されてよい。カバー材は、カバー材の層であってよい。カバー材は、電気絶縁材料を含んでよいか、電気絶縁性であってよい。カバー材は、形状適合性材料を含んでよい。かかる形状適合性材料は、室温において形状適合性であってよい、及び/又は手で適合させることができてよい。かかる形状適合性材料は、電気絶縁性であってよい。カバー材は、電気絶縁テープを含んでよい。カバー材は、回路基板及びジャケットと機械的に直接接触してよい。回路基板が、対向する第1及び第2主表面を有し、第1主表面がスリーブ本体又はスリーブ本体の第1軸方向電極区域の方向を向いている場合、カバー材は、回路基板の第2主表面と機械的に直接接触してよい。カバー材は、概して、回路基板とジャケットとの間の機械的摩擦を低減してよい。カバー材は、回路基板の径方向外側表面とジャケットの径方向内側表面との間で摩擦を低減するか、機械的滑りをもたらし、したがって、スリーブ本体の拡張又は収縮時に回路基板で亀裂が生じる、ないしは別の方法で損傷するリスクを低減する。
【0031】
開示の態様では、第1軸方向電極区域は、電力ケーブルの内部導体の電圧を検出する電圧センサの検出コンデンサの電極を形成するように動作可能であってよい。電力ケーブルの内部導体の電圧を検出する電圧センサは、検出コンデンサを含む容量式分圧器を含んでよい。検出コンデンサは、第1及び第2コンデンサ電極を含んでよい。本開示によるスリーブが電力ケーブルの絶縁層の周囲に配置されるとき、スリーブ本体の第1軸方向電極区域は、検出コンデンサの第1電極として動作可能であってよく、電力ケーブルの内部導体は、検出コンデンサの第2電極として動作可能であってよい。
【0032】
本開示によるスリーブが電力ケーブルの内部導体の周囲に配置されるとき、スリーブ本体の第1軸方向電極区域は、検出コンデンサの第1電極として動作可能であってよく、電力ケーブルの内部導体は、検出コンデンサの第2電極として動作可能であってよい。スリーブに含まれてよいスペーサ層は、検出コンデンサの誘電体として動作可能であってよい。
【0033】
スペーサ層は、本開示によるスリーブに含まれてよい。この場合、スペーサ層は、スリーブの最内層であってよい。次いで、スリーブは、スペーサ層が内部導体からスリーブ本体の第1軸方向電極区域を分離するように、ケーブルの内部導体に直接配置できてよい。
【0034】
あるいは、スペーサ層は、電力ケーブルの層であってよい。この場合、スペーサ層は、例えば、電力ケーブルの内部導体の周囲に配置される絶縁層の一部を含んでよい。具体的には、スペーサ層は、ケーブルの絶縁層であってよい。次いで、スリーブは、絶縁層が内部導体からスリーブ本体の第1軸方向電極区域を分離するように、絶縁層に直接配置できてよい。ケーブルの絶縁層は、検出コンデンサの誘電体として動作可能であってよい。
【0035】
スリーブ本体は、第1軸方向電極区域と同軸に位置合わせされ、導電性であるか、半導電性である、第2軸方向電極区域を含んでよい。第1軸方向電極区域及び第2軸方向電極区域は、非導電性である第1軸方向分離区域によって軸方向に分離されてよい。第1軸方向電極区域は、管形状を有してよい、すなわち、管状であってよい。第2軸方向電極区域は管状であってよい。第1及び第2軸方向電極区域は、同一の内径及び/又は同一の外径を有してよい。これらは、互いに対して並んで配置されてよい。すなわち、同軸に位置合わせされ、管の2つの軸区域のように配置されてよい。第2軸方向電極区域は、第1軸方向電極区域と同一の材料で作製されてよい。第1軸方向分離区域は、第1及び/又は第2軸方向電極区域と同軸に位置合わせされてよい。第1軸方向分離区域は、第1及び第2軸方向電極区域の間に、及び/又はこれらに隣接して配置されてよい。これは、第1若しくは第2軸方向電極区域と、又はこれら両方と機械的に直接接触してよい。第2軸方向電極区域は、スリーブが配置されてよい電力ケーブルの絶縁層に配置された(半)導電層と機械的かつ電気的に接触するように動作可能であってよい。これは、電気的ストレス制御手段として動作可能であってよい。第2軸方向電極区域は、スリーブが電力ケーブルに配置されるとき、少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によってケーブルの内部導体から径方向に分離するようにスリーブ内に配置されてよい。
【0036】
スリーブ本体の第1軸方向分離区域は非導電性であり、したがって、第1軸方向電極区域と第2軸方向電極区域との間に電気的かつ機械的な分離をもたらしてよい。これにより、第1及び第2軸方向電極区域が異なる電圧レベルにあることができてよい。これにより、第1軸方向電極区域が、スリーブが配置される電力ケーブルの内部導体の電圧を検出する電圧センサの検出コンデンサの電極として動作可能になることが促進されてよい。
【0037】
本開示特定の実施形態では、回路基板は第1及び第2主表面と、第2電気接点と、を含む。第1電気接点及び第2電気接点は、第1主表面に配置されてよい。第1電気接点は、上記のように、拡張接触領域をもたらす第1導電性領域を含んでよい。第2電気接点は、拡張接触領域をもたらす第2導電性領域を含んでよい。第2導電性領域は、第1導電性領域について上述した特性と同一の特性を有してよい。第1導電性領域は、第1軸方向電極区域と機械的かつ電気的に接触してよく、第2導電性領域は第2軸方向電極区域と機械的かつ電気的に接触してよい。これにより、回路基板に取り付けられた電気的又は電子的構成要素が第1及び第2軸方向電極区域から異なる電圧を拾い上げ、したがって、第1及び第軸方向電極区域の電圧差を測定できてよい。
【0038】
上記のように、第2軸方向電極区域及び第1軸方向分離区域を含むスリーブ本体は、第1及び第2軸方向電極区域と同軸に位置合わせされてよく、導電性又は半導電性であってよい、第3軸方向電極区域を含んでよい。第2及び第3軸方向電極区域は、第1軸方向電極区域の位置においてより均質な電界をもたらすために電気的に連携してよい。第1軸方向電極区域及び第3軸方向電極区域は、非導電性である第2軸方向分離区域によって軸方向に分離されてよい。第3軸方向電極区域は管状であってよい。第1及び第3軸方向電極区域は、同一の内径及び/又は同一の外径を有してよい。これらは、互いに対して並んで配置されてよい。すなわち、同軸に位置合わせされ、管の2つの軸区域のように配置されてよい。第3軸方向電極区域は、第1及び/又は第2軸方向電極区域と同一の材料で作製されてよい。第2軸方向分離区域は、第1及び/又は第3軸方向電極区域と同軸に位置合わせされてよい。第2軸方向分離区域は、第1軸方向電極区域とび第3軸方向電極区域との間に、かつこれらに隣接して配置されてよい。これは、第1若しくは第3軸方向電極区域と、又はこれら両方と機械的に直接接触してよい。第3軸方向電極区域は、スリーブが配置される電力ケーブルの絶縁層上の(半)導電層と機械的かつ電気的に接触するように動作可能であってよい。これは、電気的ストレス制御手段として動作可能であってよい。
【0039】
第3軸方向電極区域は、スリーブが電力ケーブルに配置されるとき、少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によってケーブルの内部導体から径方向に分離するようにスリーブ内に配置されてよい。
【0040】
スリーブ本体の第2軸方向分離区域は非導電性であり、したがって、第1軸方向電極区域と第3軸方向電極区域との間に電気的かつ機械的な分離をもたらしてよい。これにより、第1及び第3軸方向電極区域が異なる電圧レベルにあることができてよい。これにより、第1軸方向電極区域が、スリーブが配置される電力ケーブルの内部導体の電圧を検出する電圧センサの検出コンデンサの電極として動作可能になることが促進されてよい。
【0041】
スリーブ本体が、上記のように、第1、第2、及び第3軸方向電極区域、並びに第1及び第2軸方向分離区域を含むスリーブでは、回路基板は、第2軸方向電極区域と第3軸方向電極区域との間に電気接点、つまり電気的接続をもたらすように動作可能であってよい。これにより、第2及び第3軸方向電極区域を同一の電圧で保持できてよい。回路基板は、更に、第1軸方向電極区域と第2軸方向電極区域との間に電気接点、つまり電気的接続をもたらすように動作可能であってよい。回路基板は、更に、第1軸方向電極区域と第3軸方向電極区域との間に電気接点、つまり電気的接続をもたらすように動作可能であってよい。これにより、第2及び/又は第3軸方向電極区域を第1軸方向電極区域と同一の電圧で保持できてよい。回路基板は、更に、第1軸方向電極区域と第2軸方向電極区域との間に電気接点、つまり電気的接続を一時的にもたらすように動作可能であってよい。回路基板は、更に、第1軸方向電極区域と第3軸方向電極区域との間に電気接点、つまり電気的接続を一時的にもたらすように動作可能であってよい。これにより、区域間の電圧差を測定する必要がない場合、例えば、電圧センサが動作していない場合、時には第1軸方向電極区域を第2又は第3軸方向電極区域と同一の電圧にできてよい。
【0042】
本開示はまた、内部導体を含み、かつ本開示で上述したようにスリーブを含む高電圧又は中電圧の電力ケーブルを提供し、スリーブは、第1軸方向電極区域が少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によって内部導体から径方向に分離されるように、内部導体の径方向外側に配置される。本開示はまた、かかる電力ケーブルを含む、配電ネットワーク又は電力ネットワークを提供する。
【0043】
高電圧又は中電圧の電力ケーブルは、電力ネットワーク用の高電圧又は中電圧通電装置のより幅広いクラスの1つの代表例である。本開示によるスリーブは、電力ケーブル以外の他の電力ネットワーク用の高電圧又は中電圧通電装置で使用してよい。これは、例えば、電力ネットワーク内で通電できる、導電性金属ロッドで使用できる。このロッドは、通電装置の内部導体と見なされてよい。このロッドは、例えば、スプライスによって、又はコネクタによって、その両端部で対応の電力ケーブルに接続するように構成されてよい。次いで、本開示によるスリーブは、第1軸方向電極区域が少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によって内部導体から径方向に分離されるように、内部導体の径方向外側に配置されてよい。スペーサ層は、ロッドの周囲に配置された絶縁層であってよい。あるいは、スペーサ層は、スリーブに含まれてよい。概して、任意の特定の実施形態から独立して、本開示は、高電圧又は中電圧の電力ケーブルなど電力ネットワーク用の高電圧又は中電圧通電装置を提供し、上記のスリーブを更に含み、このスリーブは、第1軸方向電極区域が少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によって内部導体から径方向に分離されるように、内部導体の径方向外側に配置される。本開示はまた、かかる高電圧又は中電圧通電装置を含む、配電ネットワーク又は電力ネットワークを提供する。
【0044】
従来の拡張可能なスリーブは、本開示によるスリーブへとアップグレードできてよい。したがって、本開示はまた、上記のように、本開示による拡張可能なスリーブを提供する方法を提供する。本方法は、
a)高電圧又は中電圧の電力ケーブル用の拡張可能なスリーブを用意する工程であって、スリーブは、導電性又は半導電性である第1軸方向電極区域を有する管状のスリーブ本体を含み、第1軸方向電極区域が少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によって内部導体から径方向に分離されるように、スリーブは、拡張時にケーブルの内部導体の径方向に拡張可能であり、ケーブルの内部導体の径方向外側に配置可能である工程、非導電性のジャケットを用意する工程、並びに対向する第1及び第2主表面並びに第1主表面に配置される第1電気接点を含む回路基板を用意する工程と、
b)第1電気接点が第1軸方向電極区域と電気的に接続するように、スリーブ本体の径方向外側に回路基板の少なくとも一部を配置する工程と、
c)回路基板の径方向外側、かつスリーブ本体の径方向外側にジャケットの少なくとも一部を配置する工程と、をこの順序で含む、方法。
【0045】
同様に、従来の収縮可能スリーブは、本開示によるスリーブへとアップグレードできてよい。したがって、本開示はまた、上記のように、本開示による収縮可能スリーブを提供する方法を提供する。本方法は、
a)高電圧又は中電圧の電力ケーブル用収縮可能スリーブを用意する工程であって、スリーブは、導電性又は半導電性である第1軸方向電極区域を有する管状のスリーブ本体を含み、第1軸方向電極区域が少なくとも電気絶縁性のスペーサ層によって内部導体から径方向に分離されるように、スリーブは、収縮時にケーブルの内部導体の径方向に収縮可能であり、ケーブルの内部導体の径方向外側に配置可能である工程、非導電性のジャケットを用意する工程、並びに対向する第1及び第2主表面並びに第1主表面に配置される第1電気接点を含む回路基板を用意する工程と、
b)第1電気接点が第1軸方向電極区域と電気的に接続するように、スリーブ本体の径方向外側に回路基板の少なくとも一部を配置する工程と、
c)回路基板の径方向外側、かつスリーブ本体の径方向外側にジャケットの少なくとも一部を配置する工程と、をこの順序で含む、方法。
【0046】
いずれの方法においても、工程bの前に、追加工程a1を導入できる。この工程a1は、回路基板の第1主表面の少なくとも一部又は第1電気接点の少なくとも一部に導電性中間材をもたらす工程である。いずれの方法においても、工程a1とは独立して、追加工程b1を工程cの前に導入できる。この工程b1は、第2主表面の少なくとも一部に電気絶縁カバー材をもたらす工程である。
【0047】
これらの方法は、これらに回路基板及びジャケットを加えることにより、既存の拡張可能なスリーブ又は収縮可能スリーブに追加機能をもたらすことができてよい。具体的には、これらの方法は、電気的又は電子的構成要素を拡張可能なスリーブ又は収縮可能スリーブに組み込みやすくしてよい。具体的には、これらの方法は、電圧センサ、又は電流センサ、又は温度センサの構成要素を従来の拡張可能なスリーブ又は収縮可能スリーブに追加しやすくするか、組み込みやすくしてよい。
【0048】
本発明は、次に、本発明の特定の実施形態を例証する以下の図を参照してより詳細に説明される。