(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前身頃及び後身頃を有し、製品の前後方向中央で折り畳まれ、その両側部が相互に接合され、ウエスト開口及び左右一対のレッグ開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法において、
排泄液を吸収保持する内装体と、おむつの幅方向に伸縮可能なおむつの前後方向に分離して形成された伸縮領域を備えた外装体とが組み合わされたものであり、
それぞれ前記外装体の構成素材である、おむつの前後方向に分離した不織布からなる第1シート層と、おむつの前後方向に分離ししていない不織布からなる第2シート層と、それらの間におむつの前後方向に分離し、かつ伸長方向に伸長された状態の弾性フィルム層とを、それぞれ連続的に素材溶着による接合シール手段に供給するステップ、
前記弾性フィルム層が、前記第1シート層及び第2シート層に対して前記伸長方向に伸長された状態で、前記接合シール手段により前記伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けた多数の接合部で、前記弾性フィルムに形成された貫通孔を通じて接合して、前記伸縮領域をそれぞれ形成する接合ステップ、
前記第1シート層、前記第2シート層及び前記弾性フィルムを有する状態で、前記伸長方向と直交するおむつの前後方向中央でおむつを前後方向に折り畳み、おむつの両側部を相互に接合するステップ、
を有し、
前記伸縮領域は、その自然長状態では、個々の接合部の形状及び面積と個々の貫通孔の形状及び面積とがほぼ等しくなり、
前記伸縮方向に伸長されたときには、前記接合部の前記伸縮方向の両外方に、前記貫通孔と前記接合部との隙間が形成されるものであり、この隙間は、弾性限界まで伸び切った完全展開状態においては前記自然長状態より前記伸縮方向の両外方に拡大し、
前記接合部では、前記弾性フィルムが層を構成しておらず、前記第1シート層及び第2シート層にわたる前記弾性フィルムの溶融固化物を介して前記第1シート層及び第2シート層が接合されており、
前記接合部では、前記第1シート層及び第2シート層の一部が溶融し、残部が溶融しておらず、前記接合部の周囲から連続する前記第1シート層及び第2シート層の繊維が前記接合部内に残っている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
前記弾性フィルム層は胴周り領域に配置し、その胴周り領域のウエスト開口側に、前記弾性フィルムとは別のウエスト部弾性部材を設ける請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
前記接合シール手段は、外周面に加圧凸部を有するシールロールとアンビルロールとの間でのとの間で、厚み方向に加圧される部位のみ、前記弾性フィルムを溶融して接合するとともに貫通孔を形成する請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
第1シート層及び第2シート層の融点が弾性フィルムの融点以下とされ、接合部において第1シート層及び第2シート層の全体及び弾性フィルムの全体を溶融し混合して、前記接合部を形成する請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
第1シート層及び第2シート層の融点が弾性フィルムの融点よりも高く、接合部で弾性フィルムを溶融するとともに、第1シート層及び第2シート層の一部又は全部が溶融しない請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
弾性フィルム30の融点は80〜145℃、第1シート層及び第2シート層20Bの融点は85〜190℃、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点とこれらより融点が低い弾性フィルム30の融点との差は60〜80℃である請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の主たる課題は、かかる伸縮構造を有するパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は、
前身頃及び後身頃を有し、製品の前後方向中央で折り畳まれ、その両側部が相互に接合され、ウエスト開口及び左右一対のレッグ開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法において、
排泄液を吸収保持する内装体と、製品の幅方向に伸縮可能な伸縮領域を備え外装体とが組み合わされたものであり、
不織布からなる第1シート層と、不織布からなる第2シート層と、それらの間に伸長された状態の弾性フィルム層とを、それぞれ連続的に素材溶着による接合シール手段に供給するステップ、
前記弾性フィルム層が、前記第1シート層及び第2シート層に対して前記伸長方向に伸長された状態で、前記接合シール手段により多数の接合部で接合するステップ、
前記第1シート層、前記第2シート層及び前記弾性フィルムを有する状態で、前記伸長方向と直交するおむつの前後方向中央で折り畳み、おむつの両側部を相互に接合するステップ、
を有することを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
【0007】
前記第1のシート層は、前記伸長方向(伸縮方向)と直交するおむつの前後方向に分離した状態で連続的に前記接合シール手段に供給するとともに、前記弾性フィルム層を前記伸長方向と直交するおむつの前後方向に分離した状態で前記接合シール手段に供給し、前記第2のシート層は前記伸長方向と直交するおむつの前後方向に分離していない状態で連続的に前記接合シール手段に供給することができる。
【0008】
他方、前記弾性フィルム層は胴周り領域に配置し、その胴周り領域のウエスト開口側に、前記弾性フィルムとは別のウエスト部弾性部材を設けることができる。
【0009】
第1シート層と第2シート層との間に、弾性フィルムを伸長方向に伸長しつつ挟んだ状態で、前記接合シール手段によりその外面に形成された所定の接合部のパターンで溶着することにより、多数箇所で弾性フィルムを溶融して貫通孔を形成すると同時に、その貫通孔の位置で少なくとも弾性フィルムの溶融物の固化により第1シート層及び第2シート層を接合することができる。
【0010】
前記接合シール手段は、外周面に加圧凸部を有するシールロールとアンビルロールとの間でのとの間で、厚み方向に加圧される部位のみ、前記弾性フィルムを溶融して接合するとともに貫通孔を形成することができる。
【0011】
前記接合シール手段は、超音波シール手段である態様とすることができる。
【0012】
第1シート層及び第2シート層の融点が弾性フィルムの融点以下とされ、接合部において第1シート層及び第2シート層の全体及び弾性フィルムの全体を溶融し混合して、前記接合部を形成することができる。
【0013】
第1シート層及び第2シート層の融点が弾性フィルムの融点よりも高く、接合部で弾性フィルムを溶融するとともに、第1シート層及び第2シート層の一部又は全部が溶融しない態様とすることができる。
【0014】
弾性フィルム30の融点は80〜145℃、第1シート層及び第2シート層20Bの融点は85〜190℃、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点とこれらより融点が低い弾性フィルム30の融点との差は60〜80℃である態様とすることができる。
【0015】
前記接合部は、前記伸長方向と直交する方向に細長い態様とすることができる。
【0016】
前記接合部は、前記伸長方向の中央線に関して線対称の形状とされており、
前記接合部の前記伸長方向の幅は0.1〜1.1mmであり、
前記伸長方向に並ぶ前記接合部の間隔は3〜12.9mmであり、
前記伸縮方向と直交する方向に並ぶ前記接合部の間隔は2〜10.5mmである、態様とすることができる。
【0017】
前記接合部の前記伸長方向と直交する方向の長さは0.4〜3.2mmである、態様とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明によれば、吸収性物品の伸縮領域において柔軟性の低下を抑えつつ、より布に近い外観とすることができる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
図1〜
図7はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合(
図7の斜線部分10B)された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向(縦方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対のレッグ開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
【0021】
(内装体の構造例)
内装体10は、
図4〜
図6に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図示形態のようにほぼ長方形とすることができる。
【0022】
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
【0023】
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0024】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有するほぼ砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない余り部分が形成される。
【0025】
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されている。この立体ギャザーBSは、
図5及び
図6に示されるように、内装体の裏面の側部に固定された固定部と、この固定部から内装体の側方を経て内装体の表面の側部まで延在する本体部と、本体部の前後端部が倒伏状態で内装体の表面の側部に固定されて形成された倒伏部分と、この倒伏部分間が非固定とされて形成された自由部分とが、折り返しによって二重シートとしたギャザー不織布15により形成されている。
【0026】
また、二重シート間には、自由部分の先端部等に細長状ギャザー弾性部材16が配設されている。ギャザー弾性部材16は、製品状態において
図5に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により自由部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
【0027】
液不透過性裏面側シート12は、液透過性表面シート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
【0028】
ギャザー弾性部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材16としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
【0029】
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0030】
(外装体の構造例)
外装体20は、
図4〜
図6にも示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に、弾性フィルム30及び幅方向に沿う細長状弾性部材24が配設され、幅方向の伸縮性が付与されている。外装体20の平面形状は、中間両側部にそれぞれレッグ開口を形成するために形成された凹状の脚周りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。外装体20は、前後に二分割し、両者が股間部で前後方向に離間するように配置しても良い。
【0031】
より詳細に説明すると、図示形態の外装体20においては、前身頃Fと後身頃Bとが接合されたサイドシール部21の前後方向範囲として定まる胴周り領域Tの内、ウエスト部23にウエスト部弾性部材24が設けられている。図示形態のウエスト部弾性部材24は、前後方向に間隔をおいて配置された複数の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えるものである。ウエスト部弾性部材24は、間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜8mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。ウエスト部弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合230〜320%程度とすることができる。ウエスト部弾性部材24としては、一本又は複数本の帯状弾性部材を用いることもできる。
【0032】
ウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いても良く、またこれに代えて、後述の弾性フィルムをウエスト部23まで延在させてもよい。図示形態のウエスト部弾性部材24は、第2シート層20Bの構成材をウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cに挟持されているが、第1シート層20Aの構成材と第2シート層20Bの構成材との間に挟持しても良い。
【0033】
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成材は、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、通気性及び柔軟性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10〜25g/m
2程度とするのが好ましい。また、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、その一部又は全部が一枚の資材を折り返して対向させた一対の層であっても良い。
【0034】
本実施形態では、
図2に示すように、外装体20における前身頃Fの胴周り領域T、後身頃Bの胴周り領域T、及びそれらの間の中間領域Lにわたり、弾性フィルム伸縮構造20X(
図1、
図2、
図4参照。)が形成されている。すなわち、この外装体20の伸縮構造20Xでは、内装体固定部10B(一部でも全部でも良い。
図7参照。)に非伸縮領域70が設けられるとともに、その幅方向両側におけるサイドシール部21までの部分が伸縮領域80とされている。そして、これら伸縮領域80及び非伸縮領域70の全体にわたり、
図3、
図8(a)(b)に示すように、第1シート層20Aと、第2シート層20Bとの間に弾性フィルム30が積層されてなるとともに、弾性フィルム30が幅方向に伸長された状態で、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、伸縮方向(伸長方向)及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数の接合部40のみで、弾性フィルム30に形成された貫通孔31を通じて接合されている。よって、第1シート層20A及び第2シート層20Bと弾性フィルム30(後述の溶融固化物除く)とは接合されていない。
【0035】
このような弾性フィルム伸縮構造20Xでは、基本的に、接合部40の面積率が高くなるほど第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30により収縮する部分が少なくなるため、弾性限界伸びが低下する傾向があり、またそれに伴い、弾性フィルム30における貫通孔31の開口の面積率も高くなり、伸縮方向と直交する方向に占める弾性フィルム30の伸縮方向連続部分の割合が減るため、伸長時に発生する収縮力が小さくなる傾向がある。
このような特性を利用して、非伸縮領域70では、接合部40の面積率が伸縮領域80よりも高いことにより、伸縮方向の弾性限界伸びが130%以下(好ましくは120%以下、より好ましくは100%)とする一方、伸縮領域80では、接合部40の面積率が非伸縮領域70よりも低いことにより、伸縮方向の弾性限界伸びを200%以上(好ましくは265〜295%)とすることができる。ここで、「弾性限界伸び」とは、弾性限界(換言すれば第1シート層20A及び第2シート層20Bが完全に展開した状態)における伸びを意味し、弾性限界時の長さを自然長を100%としたときの百分率で表すものである。
【0036】
非伸縮領域70では、
図15のサンプル写真からも分かるように、接合部40間に筋状に盛り上がった部分あるいは極めて微小な皺が形成されるが、接合部40の面積率が非常に高いために伸縮性は実質的に殺されることになる。非伸縮領域70は、例えば
図11に示すように、内装体固定部10B以外にも設けることができる。また、
図11に示すように、非伸縮領域70には、接合部40を表示状に配置することにより表示71を設けることができる。表示71としては、吸収性物品の分野で公知の表示、例えば装飾のための模様(ワンポイントの絵やキャラクターを含む)、使用方法や使用補助、サイズ等の機能表示、あるいは製造者や製品名、特徴的機能等の標章表示等とすることができる。なお、図示形態では、植物模様である花模様の表示71が付加されているが、抽象模様や動物模様、自然現象模様等、各種の模様を使用できることはいうまでもない。
【0037】
伸縮領域80では、
図3に示すように、接合部40が伸縮方向(伸長方向)及びこれと直交する方向を基準として千鳥状に間隔を空けて配列されている。この場合、
図3(d)に示すように、弾性フィルム30の自然長状態では、接合部40間の第1シート層20A及び第2シート層20Bが互いに離間する方向に膨らんで、伸縮方向と交差する方向に延びる収縮皺25が形成され、
図3(c)に示すように、幅方向にある程度伸長した装着状態でも、収縮皺25は伸ばされるものの、残るようになっている。特に、接合部40が千鳥状に配列されている場合、収縮皺25の襞25fは伸縮方向と直交する方向に並ぶ接合部40の列間に各1本、伸縮方向に並ぶ接合部40間には各2本形成されるため、接合部40をさほど密に配置しなくても襞25fは細かくなることが分かる。また、装着状態を想定した
図3(c)及び第1シート層20A及び第2シート層20Bの完全展開状態を想定した
図3(a),(b)からも分かるように、これらの状態では、弾性フィルム30における接合部の貫通孔31と、接合部40との間に隙間が形成され、弾性フィルム30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加される。
【0038】
実施の形態では、上記接合部40の千鳥状配列とともに、接合部40は伸縮方向と直交する方向に細長く、かつ伸縮方向の中央を通る中央線に関して線対称(
図3(a)において左右対称)の形状とされており、接合部40の伸縮方向の幅40xは0.1〜1.1mm、より好ましくは0.2〜0.4mmとされ、伸縮方向に並ぶ接合部40の間隔d1は3〜12.9mm、より好ましくは5〜6.4mmとされ、伸縮方向と直交する方向に並ぶ接合部40の間隔d2は2〜10.5mm、より好ましくは2.3〜4.6mmとされる。
このように、伸縮方向の幅40xが顕著に狭い接合部40が、伸縮方向にある程度広い間隔d1で千鳥状に配列されるとともに、弾性部材が伸縮方向及びこれと直交する方向に連続する弾性フィルム30であると、その収縮力が各接合部40に対して直接的に作用し、弾性フィルム30の貫通孔31の位置に各接合部40の配置・間隔がしっかりと維持される結果、柔軟性が低下しにくいのはもちろん、
図12(a)及び
図13にサンプル写真を示すように、襞25fが接合部40の脇に位置するか否かに関係なく伸縮方向(伸長方区)と直交する方向に沿って殆ど真っ直ぐに延び、しかも、その襞25fと襞25fとの間に接合部40が隠れて目立たなくなる。よって、柔軟性の低下を抑えつつ、より布に近い外観の伸縮構造20Xとなる。なお、
図12(b)は
図12(a)と同じサンプルの完全展開状態の写真であり、貫通孔31が接合部40の伸縮方向両側に拡大して楕円形となっていることが観察される。また、
図12の写真は黒色背景とすることにより接合部40を目立たせているが、肌色の背景では
図13(a)に示す写真と同様に接合部40は目立たなくなる。
【0039】
これに対して、
図14に示す例では、接合部40の形状を円形とし、伸縮方向と直交する方向の長さは同一とした比較サンプルでは、接合部40の配列は千鳥状配列であるものの、接合部40が伸縮方向にある程度長い形状であるため、皺の襞25fと襞25fとの間に接合部40がはっきりと視認されるだけでなく、襞25fが接合部40を大きく回り込むようにして伸縮方向と直交する方向に伸びるため、全体として波線状の襞25fが形成され、布のような外観が得られていない。
【0040】
接合部40の伸縮方向と直交する方向の長さが短すぎたり、長過ぎたりすると、襞25fの直線性が低下したり、柔軟性が低下したりするおそれがある。よって、これらの寸法は適宜定めることができるものの、接合部40の伸縮方向(伸長方向)と直交する方向の長さ40yは0.4〜3.2mm、特に0.7〜1.4mmであることが好ましい。
【0041】
貫通孔31の寸法は適宜定めることができるが、自然長状態で、貫通孔31の伸縮方向と直交する方向の寸法(図示形態は接合部40の寸法40yに等しい)が、接合部40の伸縮方向と直交する方向の寸法40yの1〜1.5倍、特に1倍であると、伸縮方向と直交する方向において貫通孔31の寸法が接合部40の寸法に非常に近いことにより、弾性フィルム30が伸縮方向と直交する方向に移動し難くなり、その収縮力がより直接的かつ安定的に接合部40に作用するため好ましい。また自然長状態で、貫通孔31の伸縮方向の寸法(図示形態は接合部40の寸法40xに等しい)が、接合部40の伸縮方向の寸法40xの1〜1.5倍、特に1倍であると、伸縮方向において貫通孔31の寸法が接合部40の寸法に非常に近いことにより、伸縮方向と直交する方向における弾性フィルム30の収縮力差が少なくなるため好ましい。
【0042】
伸縮領域80における接合部40の形状は、前述の条件を満たす限り特に限定されず、長軸が伸縮方向(伸長方向)と直交する方向に沿う楕円形や、長い方の対角線が伸縮方向と直交する方向に沿うひし形等とすることも可能であるが、図示形態のように長辺が伸縮方向と直交する方向に沿う長方形状であると、襞25fの直線性が高いものとなるとともに、襞25fと襞25fとの間の凹部に同化して目立たなくなるため好ましい。非伸縮領域70における接合部40の形状は、伸縮領域80と同様とする他、
図9に示すように伸縮領域80とは異なる形状とすることもできる。
【0043】
個々の接合部40の大きさは、適宜定めれば良いが、大きすぎると接合部40の硬さが感触に及ぼす影響が大きくなり、小さすぎると接合面積が少なく資材同士が十分に接着できなくなるため、通常の場合、個々の接合部40の面積は0.14〜3.5mm
2程度とすることが好ましい。個々の貫通孔31の開口の面積は、貫通孔31を介して接合部が形成されるため接合部以上であれば良いが、接合部の面積の1〜1.5倍程度とすることが好ましい。
【0044】
また、各領域における個々の接合部40の面積及び面積率は、通常の場合次のようにするのが好ましい。
(非伸縮領域70)
接合部40の面積:0.14〜3.5mm
2(特に0.25〜1.0mm
2)
接合部40の面積率:16〜45%(特に25〜45%)
(伸縮領域80)
接合部40の面積:0.14〜3.5mm
2(特に0.14〜1.0mm
2)
接合部40の面積率:1.8〜22.5%(特に1.8〜22.5%)
【0045】
ここで、「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば伸縮領域)における対象部分(例えば接合部)の総面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものであり、特に「接合部の面積率」とは、伸縮方向に弾性限界まで伸ばした状態の面積率を意味するものである。
【0046】
接合部40の面積率を変化させるには、
図10(a)に示すように単位面積当たりの接合部40の数を変えたり、
図10(b)に示すように個々の接合部40の面積を変えたりすればよい。前者の場合、個々の接合部40の面積・形状を同じとすることも、異なるものとすることもでき、後者の場合、単位面積当たりの接合部40の数を同じとすることも、異なるものとすることもできる。
【0047】
弾性フィルム30は特に限定されるものではなく、それ自体弾性を有する樹脂フィルムであれば特に限定なく用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー及びポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上のブレンド物を、Tダイ法やインフレーション法などの押出成形によりフィルム状に加工したものを用いることができる。また、弾性フィルム30としては、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、伸縮方向における引張強度が8〜25N/35mm、伸縮方向と直交する方向における引張強度が5〜20N/35mm、伸縮方向における引張伸度が450〜1050%、及び伸縮方向と直交する方向における引張伸度が450〜1400%の弾性フィルム30であると好ましい。なお、引張強度及び引張伸度(破断伸び)は、引張試験機(例えばSHIMADZU社製のAOUTGRAPHAGS−G100N)を用い、試験片を幅35mm×長さ80mmの長方形状とした以外は、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔を50mmとし、引張速度を300mm/minとして測定される値を意味する。弾性フィルム30の厚みは特に限定されないが、20〜40μm程度であるのが好ましい。また、弾性フィルム30の目付は特に限定されないが、30〜45g/m
2程度であるのが好ましく、特に30〜35g/m
2程度であるのが好ましい。
【0048】
接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合手段は特に限定されない。例えば、接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合はホットメルト接着剤によりなされていても、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着による接合手段によりなされていても良い。素材溶着による接合手段を用いる場合、特許文献1記載のように、弾性フィルムの貫通孔を押し出しにより形成し、その貫通孔の位置で第1シート層20A及び第2シート層20Bを直接に溶着により接合することもできるが、剥離強度が低く、強い力が加わると剥がれるおそれがある。また、特許文献1記載のものは、弾性フィルムの貫通孔を押し出しにより形成するため、
図8(b)に示すように、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30が残らず、貫通孔31の周囲に図示しない押し出し破片が移動可能に残るおそれもある。また、特許文献1記載のものと異なり、
図8(c)に示すように、弾性フィルム30に貫通孔を形成せずに、弾性フィルム30を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合することも考えられるが、その場合はさらに剥離強度が低いものとなるだけでなく、貫通孔31を有しないため通気性が極めて低いという問題点が残る。
【0049】
よって、素材溶着による接合手段を用いる場合には、
図8(a)に示すように、接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合が、少なくとも、第1シート層20A及び第2シート層20Bにわたる弾性フィルム30の溶融固化物30mによりなされている形態が好ましい。このように弾性フィルム30の溶融固化物30mを接着剤として第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合すると、剥離強度が高いものとなり、高い通気性と高い剥離強度とを両立できるようになる。
【0050】
このような接合構造は、例えば
図18及び
図19に示すように、第1シート層20Aと第2シート層20Bとの間に、弾性フィルム30を伸縮方向(伸長方向)と直交する方向にほぼ均等な伸長率で、伸縮方向(伸長方向)に伸長しつつ挟んだ状態で、所定の接合部40のパターンで溶着することにより、多数箇所で弾性フィルム30を溶融して貫通孔31を形成すると同時に、その貫通孔31の位置で少なくとも弾性フィルム30の溶融物の固化により第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合する手法を用いて簡素かつ効率的に製造することができる。この手法により製造される弾性フィルム伸縮構造では、自然長状態では、個々の接合部40の形状・面積と個々の貫通孔31の形状・面積とがほぼ等しくなる。
【0051】
なお、
図18に示される製造ラインは、おむつ幅方向がMD方向(マシンディレクション、ライン流れ方向)となる横流れ形態となっており、ここで外装体20が形成され、別のラインで製造された内装体10が外装体20に取り付けられた後、おむつの前後方向中央で折り畳んで前後の外装体20の両側部が接合されるとともに、個々のおむつDPに分割されるものである。なお、説明を分かりやすくするために、製造過程で連続している部材についても、製造後の部材と同じ名称及び符号を用いている。
【0052】
より詳細に説明すると、この製造ラインは、外装体組立工程301、内装体取付工程302、脚開口打ち抜き工程303、折り畳み工程304、側部接合・切り離し工程305を有している。
すなわち、外装体組立工程301では、
図19に拡大して示すように、所定の幅で帯状に連続する第1シート層20A及び第2シート層20Bがその連続方向に沿って貼り合わされるようにシール装置60,61に供給されるとともに、所定の幅で帯状に連続する弾性フィルム30がシール装置60,61よりも遅い送り速度のニップロール90を経て、その速度差によりMD方向に伸長された状態で第1シート層20A及び第2シート層20B間に挟まれるようにしてシール装置60,61に供給される。
図示形態では、第1シート層20Aをおむつの前後に別々に供給するために一枚のシート材をスリッター62により二分割しているが、前後に別々のシート材を供給しても良く、また第1シート層20Aを前後別々とせず、第2シート層20Bと同様に前後一体的なシート材を供給しても良い。同様に、図示形態では、弾性フィルム30を前後に別々に供給するために一枚の弾性フィルム30をスリッター62により二分割しているが、前後別々の弾性フィルム30を供給しても良く、また弾性フィルム30を前後別々とせず、前後一体的な弾性フィルム30を供給しても良い。
【0053】
シール装置60,61では、前述の接合部40のパターンに配列された多数の加圧凸部60pを外周面に備えたシールロール60と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール61とにより、第1シート層20A、MD方向に伸長した弾性フィルム30、及び第2シート層20Bを挟み、加圧凸部60pを加熱することにより、加圧凸部60pとアンビルロール61の外周面との間で厚み方向に加圧される部位のみ、弾性フィルム30を溶融して貫通孔31を形成するとともに、その貫通孔31の位置で第1シート層20A及び第2シート層20Bを溶着により接合するものである。図示形態のシール装置60,61はヒートシール装置を想定したものであるが、超音波シール等の他の装置を用いることもできる。
【0054】
シール装置60,61で形成された外装体20に対して、内装体取付工程302で、別ラインで製造される内装体10がMD方向に所定の間隔を空けて供給され、ホットメルト接着剤やヒートシール等の適宜手段により外装体20に対して接合されることにより、内装体の組み付け体が形成される。次いで、脚開口打ち抜き工程303ではカッター装置63により脚開口が順に形成された後、折り畳み工程304において内装体の組み付け体がCD方向(MD方向と直交する横方向)中央で折り畳まれた後、側部接合・切り離し工程305において、個々のおむつDPの両側部となる部分で前身頃Fの外装体20及び後身頃Bの外装体20が接合されてサイドシール部21が形成されるとともに、個々のおむつの境界で外装体20が切断されて、個々のおむつDPが得られる。
【0055】
弾性フィルム30の融点、並びに第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点、溶着箇所における加工温度の高低の関係は適宜定めることができるが、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点が弾性フィルム30の融点以下とされ、溶着箇所において第1シート層20A及び第2シート層20Bの全体及び弾性フィルム30の全体が溶融・混合し、接合部40が形成されるよりも、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点が弾性フィルム30の融点よりも高く、溶着箇所で弾性フィルム30が溶融するとともに、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部又は全部が溶融しない方が好ましい。すなわち、後者の場合、
図16及び
図17(接合部40の形状が本発明と異なる参考写真である)からも分かるように、接合部40の周囲から連続する第1シート層20A及び第2シート層20Bの繊維20fが残っており、第1シート層20A及び第2シート層20Bにわたり浸透し固化した弾性フィルム30の溶融固化物30mにより第1シート層20A及び第2シート層20Bが接合された構造となり、第1シート層20A及び第2シート層20Bに対する弾性フィルム30の溶融固化物30mの食い付きが良好となるだけでなく、第1シート層20A及び第2シート層20Bの強度が低下しにくくなるため、より一層剥離強度に優れたものとなる。
なお、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部が溶融しないことには、接合部40の全繊維について芯(複合繊維における芯だけでなく単成分繊維の中心部分を含む)は残るがその周囲部分(複合繊維における鞘だけでなく単成分繊維の表層側の部分を含む)は溶融する形態や、一部の繊維は全く溶融しないが、残りの繊維は全部が溶融する又は芯は残るがその周囲部分は溶融する形態を含む。
【0056】
このような観点から、弾性フィルム30の融点は80〜145℃程度のものが好ましく、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点は85〜190℃程度、特に150〜190℃程度のものが好ましく、また、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点と弾性フィルム30の融点との差は60〜80℃程度であるのが好ましい。
【0057】
図示例は、外装体20のウエスト部23以外の伸縮構造に弾性フィルム伸縮構造20Xを適用した例であるが、ウエスト部23まで弾性フィルム伸縮構造20Xを延在させて細長状弾性部材を省略したり、前身頃Fの胴周り領域Tと後身頃Bの胴周り領域Tとの間の中間領域Lには弾性フィルム伸縮構造20Xを設けない形態としたり、弾性フィルム30の有無に関係なく、必要に応じて糸ゴム等の細長状弾性部材を設けたりする等、適宜の変更が可能である。
【0058】
また、本実施形態は非伸縮領域70を有するものであるが、弾性フィルム伸縮構造20Xの全体を伸縮領域とし、非伸縮領域を有しない形態とすることも可能である。
【0059】
(前後押さえシート)
図1及び
図4にも示されるように、外装体20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、かつ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押さえシート50,60が設けられていても良い。図示形態について更に詳細に説明すると、前押さえシート50は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押さえシート60は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押さえシート50,60の股間側の縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤がはみ出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
【0060】
図示形態のように、前後押さえシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装体20をおむつ内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、内装体10と重なる部分まで延在させて、前述の押さえシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
【0061】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:10gf/cm
2、及び加圧面積:2cm
2の条件下で自動測定する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。