特許第6552461号(P6552461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552461
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】不動産情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20190722BHJP
【FI】
   G06Q50/16
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-138968(P2016-138968)
(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公開番号】特開2018-10491(P2018-10491A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】507153069
【氏名又は名称】プロパティエージェント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 聖
(72)【発明者】
【氏名】何 書勉
(72)【発明者】
【氏名】何 勇
【審査官】 田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−087989(JP,A)
【文献】 特開2009−157897(JP,A)
【文献】 特開2009−181186(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/115204(WO,A1)
【文献】 特開2011−234257(JP,A)
【文献】 劉 佩林,ビルのシルエットと地図データベースを用いた市街地シーンの認識,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会,1997年 7月24日,Vol.97 No.70,p.17〜24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された利用者端末と、該ネットワークに接続されてデータベースから検索された不動産情報を利用者に提供する情報処理装置とを備える不動産情報提供システムであって、
前記利用者端末は、撮影手段と、位置情報を取得する測位手段と、撮影方向情報を取得する方向測定手段とを有して、該撮影手段により撮影された撮影画像に該測位手段により取得した位置情報と、該方向測定手段により取得された撮影方向情報とを関連情報として付加して、前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像から、少なくとも線分を抽出した画像情報を当該対象不動産物件の位置情報と関連付けて記憶保持した前記データベースと、前記利用者端末から送信された撮影画像およびその関連情報に基づいて、該データベースに記憶保持された画像情報の中から撮影対象物件を特定する不動産特定手段とを有し、該不動産特定手段により特定された該撮影対象物件に関連する不動産情報を利用者端末に提供し、
前記情報処理装置は、
同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像から、該対象不動産物件を含む他の不動産物件を含めて、線分の抽出と、点の抽出を行うと共に、色彩情報の除去と、不定形状物体の除去とを行った上で、前記データベースに記憶保持し、
前記不動産特定手段は、前記利用者端末から送信された撮影画像およびその関連情報から、該撮影画像の撮影位置と撮影方向とを特定し、該撮影位置を該撮影方向に応じて補正した上で、前記データベースに記憶保持された不動産物件から候補対象物件を抽出して、該撮影画像との間で線分および点のマッチングを行うことにより撮影対象物件を特定することを特徴とする不動産情報提供システム。
【請求項2】
請求項1記載の不動産情報提供システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記不動産特定手段により特定された撮影対象物件の不動産情報に加えて、該撮影対象物件を含む前記撮影画像の撮影方向の周辺不動産情報を提供することを特徴とする不動産情報提供システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の不動産情報提供システムにおいて、
前記利用者端末は、前記情報処理装置から提供された不動産情報を表示するに際して、前記不動産特定手段により特定された撮影対象物件を特定する重畳表示を行うことを特徴とする不動産情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続された利用者端末と、該ネットワークに接続されてデータベースから検索された不動産情報を利用者に提供する情報処理装置とを備える不動産情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の情報提供システムとしては、下記特許文献1に示すように、情報提供装置側に3次元地図データをデータベースに記憶保持し、撮影対象物件に対して対応する3次元地図データの呼び出しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−38153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の情報提供システムでは、撮影対象物件を特定するために、3次元地図データとの対応付けが必要となるため、リアルタイムでの撮影対象物件の特定および特定された対象物件情報の提供が困難であった。
【0005】
以上の事情に鑑みて、本発明は、過剰に多くの処理を必要とせずに、簡易かつ正確に撮影対象物件を特定して該撮影対象物件の不動産情報を提供することができる不動産情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の不動産情報提供システムは、ネットワークに接続された利用者端末と、該ネットワークに接続されてデータベースから検索された不動産情報を利用者に提供する情報処理装置とを備える不動産情報提供システムであって、
前記利用者端末は、撮影手段と、位置情報を取得する測位手段と、撮影方向情報を取得する方向測定手段とを有して、該撮影手段により撮影された撮影画像に該測位手段により取得した位置情報と、該方向測定手段により取得された撮影方向情報とを関連情報として付加して、前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像から、少なくとも線分を抽出した画像情報を当該対象不動産物件の位置情報と関連付けて記憶保持した前記データベースと、前記利用者端末から送信された撮影画像およびその関連情報に基づいて、該データベースに記憶保持された画像情報の中から撮影対象物件を特定する不動産特定手段とを有し、該不動産特定手段により特定された該撮影対象物件に関連する不動産情報を利用者端末に提供し、
前記情報処理装置は、
同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像から、該対象不動産物件を含む他の不動産物件を含めて、線分の抽出と、点の抽出を行うと共に、色彩情報の除去と、不定形状物体の除去とを行った上で、前記データベースに記憶保持し、
前記不動産特定手段は、前記利用者端末から送信された撮影画像およびその関連情報から、該撮影画像の撮影位置と撮影方向とを特定し、該撮影位置を該撮影方向に応じて補正した上で、前記データベースに記憶保持された不動産物件から候補対象物件を抽出して、該撮影画像との間で線分および点のマッチングを行うことにより撮影対象物件を特定することを特徴とする。
【0007】
第1発明の不動産情報提供システムによれば、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像から、少なくとも線分を抽出した画像情報を当該対象不動産物件の位置情報と関連付けてデータベースに記憶保持しておくことで、利用者端末から送信された撮影画像およびその関連情報から、当該線分情報に基づいて、簡易かつ正確に撮影対象物件を特定することができる。
【0008】
このように、第1発明の不動産情報提供システムによれば、過剰に多くの処理を必要とせずに、簡易かつ正確に撮影対象物件を特定して該撮影対象物件の不動産情報を提供することができる。
【0010】
また、発明の不動産情報提供システムによれば、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像から、通常は背景やノイズとして除去する他の不動産物件を含めて、線分の抽出と、点の抽出を行うと共に、色彩情報の除去と、不定形状物体の除去とを行った上で、前記データベースに記憶保持する。
【0011】
ここで、対象不動産物件を含む他の不動産物件は、撮影画像においても、同じように写り込むものであり、雲や自動車や人の写り込みとは異なり、頻繁に変更されるものではない。
【0012】
そこで、同時に写り込む、対象不動産物件を含む他の不動産物件を含めて、線分の抽出と、点の抽出を行って、データベースに記憶保持することで、撮影対象物件の特定精度を飛躍的に向上させることができる。
【0013】
一方で、かかる撮影対象物件の特定に関与しない、色彩情報や不定形状物体を除去しておくことで、撮影対象物件の特定を簡易化させることできる。
【0014】
なお、不動産特定手段が、撮影画像の位置と撮影方向とを特定し、撮影位置を該撮影方向に応じて補正を行っているのは、撮影位置と実際の撮影対象物件との間の補正を行うものであり、かかる補正を行うことで、データベースに記憶保持された不動産物件から正しい候補対象物件を抽出することができる。
【0015】
このように、第発明の不動産情報提供システムによれば、過剰に多くの処理を必要とせずに、より簡易かつ正確に撮影対象物件を特定して該撮影対象物件の不動産情報を提供することができる。
【0016】
発明の不動産情報提供システムは、第発明において、
前記情報処理装置は、前記不動産特定手段により特定された撮影対象物件の不動産情報に加えて、該撮影対象物件を含む前記撮影画像の撮影方向の周辺不動産情報を提供することを特徴とする。
【0017】
発明の不動産情報提供システムによれば、対象不動産物件を含む他の不動産物件が同時に写り込んでしまうところ、逆に、これを利用して、他の不動産物件を含む撮影方向の周辺不動産情報を提供することができる。
【0018】
このように、第発明の不動産情報提供システムによれば、過剰に多くの処理を必要とせずに、より簡易かつ正確に撮影対象物件を特定して該撮影対象物件に加えて、撮影対象物件の周辺の不動産情報も提供することができる。
【0019】
発明の不動産情報提供システムは、第1または第2発明において、
前記利用者端末は、前記情報処理装置から提供された不動産情報を表示するに際して、前記不動産特定手段により特定された撮影対象物件を特定する重畳表示を行うことを特徴とする。
【0020】
発明の不動産情報提供システムによれば、対象不動産物件を含む他の不動産物件の不動産情報提供を行う場合には、システムにより現在特定されている撮影対象物件がどれか利用者側では把握できない可能性があるところ、不動産特定手段により特定された撮影対象物件を特定する重畳表示を利用者端末で行うことにより、利用者は特定されている撮影対象物件を把握して、その不動産情報を理解することができる。
【0021】
このように、第発明の不動産情報提供システムによれば、過剰に多くの処理を必要とせずに、簡易かつ正確に撮影対象物件を特定して該撮影対象物件がユーザに判る形で不動産情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態の不動産情報提供システムの全体構成を示すブロック図。
図2図1に示すメタデータ作成手段の処理を説明するためのフローチャート。
図3図1に示す不動産特定手段の処理を説明するためフローチャート。
図4図1に示す表示部による表示の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態を図1図4を参照して以下に説明する。
【0024】
図1を参照して、本実施形態の不動産情報提供システム1は、不動産情報を利用者に提供する不動産情報提供システムであって、情報処理装置2と、利用者端末3とを備え、情報処理装置2と利用者端末3とは、インタネット等のネットワークNWにより接続されている。
【0025】
情報処理装置2は、第1データベースDB1と、第2データベースDB2と、メタデータ作成手段21と、不動産特定手段22と、不動産情報取得手段23とを備える。
【0026】
第1データベースDB1は、詳細は図2を参照して後述するが、メタデータ作成手段21により、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像から、少なくとも線分を抽出した画像情報を当該対象不動産物件の位置情報と関連付けて記憶保持したデータベースであって、本発明のデータベースに相当する。
【0027】
第2データベースDB2は、不動産特定手段により特定された該撮影対象物件に関連する不動産情報を記憶保持するデータベースである。
【0028】
なお、ここでの不動産情報には、各不動産物件の属性情報として、各不動産物件の所在地、仕様等に関する物件情報(具体的には、例えば各マンションの名称、所在地、築年数、構造形態等の仕様、並びに、各住戸の階数、広さ、間取り、及び向き(方位)等の、各不動産物件に固有の情報)を記憶保持するほか、取引事例情報(具体的には、例えば、売買取引が行われたマンションの住戸がどの物件であるかを示す情報、取引が行われた年月日、及び取引価格等の情報)を記憶保持し、これら不動産物件の属性情報と取引事例情報とから、価格評価モデルを作成することにより、取引予想価格等を算出するようにしてもよい。
【0029】
メタデータ作成手段21は、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像から、該対象不動産物件を含む他の不動産物件を含めて、線分の抽出と、点の抽出を行うと共に、色彩情報の除去と、不定形状物体の除去とを行った上で、第1データベースDB1に記憶保持する。
【0030】
不動産特定手段22は、図3および図4を参照して詳細を後述するが、利用者端末3から送信された撮影画像およびその関連情報から、撮影対象物件を特定する。
【0031】
不動産情報取得手段23は、不動産特定手段22により特定された撮影対象物件に関連する不動産情報を、第2データベースDB2に記憶保持された不動産情報(不動産物件の属性情報と取引事例情報)に基づいて、利用者端末3に提供する。
【0032】
次に、利用者端末3は、例えば、スマートフォン等の情報端末であって、撮影手段31と、位置情報を取得する測位手段32と、撮影方向情報を取得する方向測定手段33と、インターフェイスとしての表示部34と、複数の操作部35とを備える。
【0033】
なお、利用者端末3は、情報処理装置2から送信されたプログラムをダウンロードして実行することにより、当該プログラムに従った処理が情報処理装置2との間で実行される。
【0034】
撮影手段31は、画像を撮影し、画像情報を取得する、利用者端末3に内蔵されたCCDカメラ等である。
【0035】
測位手段32は、利用者端末3の位置情報を取得する、利用者端末3に内蔵されたGPS等である。
【0036】
方向測定手段33は、撮影方向となる利用者端末3の向きを取得する、利用者端末3に内蔵されたジャイロセンサや3軸加速度センサ等である。
【0037】
表示部34は、前記プログラムに従った処理により表示される表示画面の表示であり、タッチパネル等である場合には、操作部35と併せて、操作の選択と決定が可能となっている。
【0038】
なお、補足説明すると、情報処理装置2から利用者端末3に送信されたプログラムの実行により、撮影手段31による撮影画像に、測位手段32による撮影位置情報と、方向測定手段33による撮影方向情報とが関連情報として付加され、かかる撮影画像および関連情報が情報処理装置2に送信される。
【0039】
以上が、本実施形態の不動産情報提供システム1の構成である。
【0040】
なお、以上の構成において、不動産情報提供システム1の情報処理装置2および利用者端末3は、それぞれ例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアにより構成され、各処理手段21〜23、31〜35による処理を実行するプログラムをメモリ(不図示)に記憶保持し、そのプログラムを実行することにより、上記制御処理を実行するための演算装置(シーケンサ)として機能する。
【0041】
次に、図2を参照して、情報処理装置2のメタデータ作成手段21による処理内容を説明する。
【0042】
メタデータ作成手段21は、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像を取得し、それぞれの画像について、以下の処理を実行する。
【0043】
ここで、複数の画像は、例えば、対象不動産(マンションやビル)のエントランス、正面写真、正面写真の遠景、左右側面写真およびその遠景であって、ユーザが利用者端末3により、通常撮影した場合に撮影されるであろう画像パターンを含んでいる。
【0044】
まず、メタデータ作成手段21は、取得した画像に対して、色彩の除去処理を実行する(STEP210/図2)。
【0045】
ここで、色彩情報を除去するのは、例えば、朝夕のように、対象不動産が赤色反射した状態の画像である場合や、利用者端末の撮影手段31のバラつき等による、不動産特定精度の低下を防止するためである。
【0046】
次に、メタデータ作成手段21は、STEP210の色彩情報が除去された画像に対して、不規則形状の除去処理を実行する(STEP211/図2)。
【0047】
不規則形状としては、雲や車や人などであって、これらの不規則形状を除去しておくことで、不動産特定手段22による撮影対象物件の特定に関与しないものを除去することができる。
【0048】
すなわち、STEP210の色彩情報の除去やSTEP211の不定形状物体の除去により、後述する不動産特定手段22による撮影対象物件の特定を簡易化させることできる。
【0049】
次いで、メタデータ作成手段21は、STEP210の色彩情報の除去およびSTEP211の不定形状物体の除去を施した画像に対して、線分抽出を行う(STEP212/図2)。
【0050】
ここで、通常、線分抽出等の処理は、対象不動産以外の他の不動産等をノイズとして除去して行うのが一般的であるが、対象不動産物件を含む他の不動産物件は、撮影画像においても、同じように写り込むものであり、雲や自動車や人の写り込みとは異なり、頻繁に変更されるものではない。
【0051】
そこで、同時に写り込む、対象不動産物件を含む他の不動産物件を含めて、線分の抽出を行う。
【0052】
次いで、メタデータ作成手段21は、STEP210の色彩情報の除去およびSTEP211の不定形状物体の除去を施した画像に対して、点の抽出を行う(STEP213/図2)。
【0053】
ここでも、同時に写り込む、対象不動産物件を含む他の不動産物件を含めて、点の抽出処理を行う。
【0054】
そして、メタデータ作成手段21は、以上のSTEP212の線分の抽出画像およびSTEP213の点の抽出を基本処理として、ぞれぞれの処理結果の画像と対象不動産の位置情報(地図情報)との関連付けを行う(STEP214/図2)。
【0055】
次いで、メタデータ作成手段21は、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像のすべてについて、上記の一連処理が終了したか判定する(STEP215/図2)。
【0056】
そして、メタデータ作成手段21は、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像のすべてについて、上記の一連処理が終了した場合には(STEP215でYES/図2)、かかる同一対象物件についての処理後の画像(線分抽出画像および点抽出画像)を第1データベースDB1に記憶保持し(STEP216/図2)、かかるメタデータ作成手段21による一連の処理を終了する。
【0057】
一方、メタデータ作成手段21は、同一対象不動産物件に対して予め複数撮影された画像のすべてについて、上記の一連処理が終了していない場合には(STEP215でNO/図2)、STEP210にリターンして、未処理の画像について(未処理の画像が無くなるまで)、STEP210以下の一連の処理を実行する。
【0058】
以上が、情報処理装置2のメタデータ作成手段21による処理内容である。
【0059】
次に、図3を参照して、情報処理装置2の不動産特定手段22による撮影対象物件の特定処理および不動産情報取得手段23による不動産情報の提供処理の内容を説明する。
【0060】
まず、情報処理装置2は、利用者端末3から送信された撮影画像および関連情報を取得する(STEP220/図3)。
【0061】
次に、不動産特定手段22は、STEP220で取得した撮影画像および関連情報から、撮影画像の位置情報を取得して、かかる位置情報を取得した撮影方向情報から補正する(STEP221/図3)。
【0062】
かかる位置の補正処理は、撮影画像の位置(利用者端末の位置)と撮影された画像に映された撮影対象物件の位置との誤差を補正して、検索対象物件の範囲を絞るものである。
【0063】
具体的に、かかる位置の補正処理では、撮影画像の位置から撮影方向に数十メートルの位置に補正する。
【0064】
次いで、不動産特定手段22は、かかる補正位置を中心とする候補対象物件とのマッチング処理を実行する(STEP222/図3)。
【0065】
より正確には、撮影画像の位置から(補正位置を中心とする)概ね扇形に展開した検索対象範囲の物件を候補対象物件とするマッチング処理を行う。
【0066】
ここで、マッチング処理は、第1データベースDB1に記憶保持された、不動産物件から候補対象物件の処理画像(線分抽出画像および点抽出画像)を選択して、該撮影画像との間で線分および点のマッチングを行うことにより撮影対象物件を特定する。
【0067】
このとき、上述のように、第1データベースDB1には、同時に写り込む、対象不動産物件を含む他の不動産物件を含めて、線分の抽出と、点の抽出を行って、データベースに記憶保持されると共に、撮影対象物件の特定に関与しない、色彩情報や不定形状物体を除去が除去されていることで、過剰に多くの処理を必要とせずに、簡易かつ正確に撮影対象物件をマッチングにより特定することができる。
【0068】
次に、STEP222による候補対象物件とのマッチング処理により、撮影対象物件が特定されると、不動産情報取得手段23は、特定された撮影対象物件に関する不動産情報を第2データベースDB2から取得する(STEP230/図3)。
【0069】
ここで、不動産情報取得手段23は、第2データベースDB2から、撮影対象物件に関する不動産物件の属性情報(例えば、マンションの名称、所在地、築年数、構造形態等の仕様、並びに、各住戸の階数、広さ、間取り、及び向き(方位)等の、各不動産物件に固有の情報)と取引事例情報(例えば、売買取引が行われたマンションの住戸がどの物件であるかを示す情報、取引が行われた年月日、及び取引価格等の情報)を取得し、取得した不動産情報を利用者端末3に送信する。
【0070】
さらに、不動産情報取得手段23は、STEP222で、設定した検索対象範囲の物件を候補対象物件の不動産情報も周辺不動産情報(例えば、候補対象物件の平均平米単価、平均取引価格等)として取得し、取得した周辺不動産情報を利用者端末3に送信する。
【0071】
以上が、情報処理装置2の不動産特定手段22による撮影対象物件の特定処理および不動産情報取得手段23による不動産情報の提供処理の内容であり、このようにして情報処理装置2から利用者端末3に提供された不動産情報は、図4に示すように、利用者端末3の表示部34に撮影画像上において、撮影対象物件を特定する重畳表示(マスク表示)を行った上で、例えば、撮影画像の下側に撮影対象物件の属性情報(例えば、マンションの名称、所在地、築年数、構造形態等の仕様、並びに、各住戸の階数、広さ、間取り、及び向き(方位)等の、各不動産物件に固有の情報)と取引事例情報(例えば、売買取引が行われたマンションの住戸がどの物件であるかを示す情報、取引が行われた年月日、及び取引価格等の情報)が表示される。
【0072】
さらに、その下側には、不動産情報(例えば、候補対象物件の平均取引価格等)が表示される。
【0073】
このように、本実施形態の不動産情報提供システムによれば、対象不動産物件を含む他の不動産物件の不動産情報提供を行う場合には、システムにより現在特定されている撮影対象物件がどれか利用者側では把握できない可能性があるところ、不動産特定手段により特定された撮影対象物件を特定する重畳表示を利用者端末で行うことにより、利用者は特定されている撮影対象物件を把握して、その不動産情報を理解することができる。
【0074】
さらに、対象不動産物件を含む他の不動産物件が同時に写り込んでしまうところ、逆に、これを利用して、他の不動産物件を含む撮影方向の周辺不動産情報を提供することができる。
【0075】
以上、詳しく説明したように、本実施形態の不動産情報提供システムによれば、過剰に多くの処理を必要とせずに、簡易かつ正確に撮影対象物件を特定して該撮影対象物件の不動産情報を提供することができる。
【0076】
なお、本実施形態において、情報処理装置2から利用者端末3に提供された不動産情報は、表示部34において、図4に示す場合に限定されるものではない。例えば、利用者端末3の表示部34に撮影画像上において、撮影対象物件を特定する重畳表示(マスク表示)上に、提供された不動産情報をさらに重畳表示してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…不動産情報提供システム、2…情報処理装置、3…利用者端末、21…メタデータ作成手段、22…不動産特定手段、23…不動産情報取得手段、31…撮影手段、32…測位手段、33…方向測定手段、DB1…第1データベース(データベース)、DB2…第2データベース。
図1
図2
図3
図4