特許第6552470号(P6552470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6552470加圧ガス容器の取外しを防止する手段を有する膨張デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552470
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】加圧ガス容器の取外しを防止する手段を有する膨張デバイス
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/06 20060101AFI20190722BHJP
   B63C 9/18 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   F17C13/06 301Z
   B63C9/18 Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-210559(P2016-210559)
(22)【出願日】2016年10月27日
(62)【分割の表示】特願2013-538261(P2013-538261)の分割
【原出願日】2011年11月10日
(65)【公開番号】特開2017-53491(P2017-53491A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2016年11月10日
(31)【優先権主張番号】1019053.6
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513118258
【氏名又は名称】ユナイテッド・モルダーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ベスト,マイケル・エドワード
【審査官】 稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−213391(JP,A)
【文献】 特開昭55−51696(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0089655(US,A1)
【文献】 特開2008−302729(JP,A)
【文献】 米国特許第6004177(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第2384463(GB,A)
【文献】 米国特許第2036695(US,A)
【文献】 特開2009−83833(JP,A)
【文献】 実開平5−599(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 22/12
22/22
B63C 9/18− 9/19
F17C 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張式物品のための使い捨ての膨張デバイスであって、前記膨張デバイスが、加圧流体の容器を支持しかつ穿孔手段を含むためのハウジングを含み、前記穿孔手段は、手動及び自動で作動することができ、手動または自動による作動によって前記容器を穿通して加圧流体の解放を許容するように後退位置から移動可能であり、前記容器は、保護ケーシング内に収容されており、前記ケーシングは、前記ハウジングに離脱不能に固着されており、それにより、加圧流体の前記容器の取外しが防止され、前記膨張デバイスは、さらに、
前記穿孔手段の手動作動及び自動作動のいずれにおいても加圧流体の前記容器が穿刺されたかどうかを表示することができる単一の表示器を含み、
膨張式物品に固着するための出口ポートを含み、
前記ケーシングおよびハウジングのうちの少なくとも一方により、前記ケーシング内の容器の存在が目視検査で確認可能であり、
加圧流体の前記容器は、前記ハウジングから離脱不能である、膨張デバイス。
【請求項2】
前記保護ケーシングが流体密ではない態様で前記ハウジングに固着される、請求項に記載の膨張デバイス。
【請求項3】
前記ケーシングと容器の間からの水の排出を許容するように、少なくとも1つの排水開口部を含む、請求項に記載の膨張デバイス。
【請求項4】
前記保護ケーシングが、流体密な態様で前記ハウジングに固着される、請求項に記載の膨張デバイス。
【請求項5】
前記保護ケーシングが、機械的手段により前記ハウジングに離脱不能に固着される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【請求項6】
前記機械的手段が、前記ケーシングまたはハウジングのどちらかによって支持された複数の弾性指部を含み、前記複数の弾性指部が、前記ケーシングおよびハウジングのうちの他方によって設けられた当接部とかみ合う、請求項に記載の膨張デバイス。
【請求項7】
前記保護ケーシングが、接着剤により、前記ハウジングに離脱不能に固着される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【請求項8】
前記表示器が、前記容器を穿通して加圧流体の解放を許容する前記穿孔手段の作動が行われたかどうかを表示するためだけに作動する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【請求項9】
前記膨張デバイスの前記出口ポートが、選択的に離脱可能な保持手段を含み、それにより、前記膨張デバイスを膨張式物品に固着し、前記膨張式物品から取り外すことができる、請求項1からまでのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【請求項10】
前記保持手段が、機械ばねによって第1の方向に付勢される1対の部材を含む、請求項に記載の膨張デバイス。
【請求項11】
前記ケーシングが、少なくとも部分的には透明である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【請求項12】
前記ハウジングが、少なくとも部分的には透明である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【請求項13】
前記ケーシングが、前記ケーシング内の容器の存在を目視検査で確認できるようにするための開口部を画定する、請求項1から12までのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【請求項14】
前記ハウジングが、前記ケーシング内の容器の存在を目視検査で確認できるようにするための開口部を含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【請求項15】
前記ケーシングおよびハウジングが、それらの間に、前記ケーシング内の容器の存在を目視検査で確認できるようにする少なくとも1つの開口部を画定する、請求項1から14までのいずれか一項に記載の膨張デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張式物品のための膨張デバイスに関し、詳細には、しかし限定的ではないが、救命胴衣などのための膨張デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
水中に没したときに自動的に作動するタイプの救命胴衣膨張デバイスに対して、また、手動で作動されるタイプの多くの膨張デバイスに関し、小型のガスシリンダを膨張デバイスに備えることがよく知られており、この小型のガスシリンダは、手動での作動または水に触れることによる自動的な作動に応じて穿刺されて、救命胴衣を膨張させるための加圧ガスを解放する。
【0003】
そのような膨張デバイスは一般に、使用する際の信頼性が高いものであるが、作動後のデバイスが適切に補修されずに新しいガスシリンダを取り付けられる、潜在的な可能性がある。
【0004】
この問題に対処するために、また、膨張デバイスに使用済みのシリンダが付いた、または膨張デバイスにシリンダが全く付いていない救命胴衣を、使用者が誤って使用することがないことを確実にするために、膨張デバイスにいわゆる「状態」表示器を備えることが、よく知られている。
【0005】
状態表示器を有する膨張デバイスの一例は、米国特許出願第2003/0049981号の膨張デバイスである。この特許出願は、破砕可能なカラーと、カラーが破砕されたかどうかを確認するための状態表示器として作用する機構とが設けられたシリンダアダプタを有する、自動膨張装置について説明している。このタイプの膨張デバイスの欠点は、膨張デバイスが複雑であることである。求められる状態表示を提供するため、および、完全に充填されたガスシリンダが存在していることを確認するために、比較的高価な機構が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、ガスシリンダが膨張デバイスに付いていないかまたは膨張デバイスに使用済みのシリンダが付いている場合に膨張デバイスが膨張式物品に使用される可能性を、効率的かつより経済的に回避する、改良された膨張デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、膨張式物品のための膨張デバイスが提供され、前述の膨張デバイスは、加圧流体の容器を支持しかつ穿孔手段を支持するためのハウジングを含み、穿孔手段は、容器を穿通して加圧流体の解放を許容するように後退位置から移動可能であり、前述の容器は、保護ケーシング内に収容されており、前述のケーシングは、ハウジングに離脱不能に固着されており、それにより、加圧流体の容器の取外しが防止される。
【0008】
本明細書において、「離脱不能に固着される」という表現は、ケーシングが、通常の使用中であっても、あるいはいかなる維持管理または補修作業の一環としても、ハウジングから取り外されるようには設計されていないことを意味するように使用される。
【0009】
ケーシングおよび/またはハウジングは、ケーシングが不適切な作動によって取り外された場合に、ケーシングをハウジングに再び固着することができないように、ケーシング
および/またはハウジングが恒久的な損傷を受けることが確実となるように設計されることが好ましい。
【0010】
ケーシングおよびハウジングのうちの少なくとも一方は、ケーシング内の容器の存在を目視検査で確認できるようにすることができる。ケーシングおよびハウジングのうちの少なくとも一方は、ケーシング内の容器の存在を目視検査で確認できるようにするために、少なくとも部分的に透明にすることができる。ケーシングは、少なくとも部分的には透明であることが好ましく、全体的に透明であればより好ましい。
【0011】
ケーシング内の容器の存在を目視検査で確認できるようにするための透明性に関する特徴に加えて、またはその代わりとして、ケーシング内の容器を見られるようにする開口部を設けることにより、目視検査を容易にすることができる。ハウジングおよび容器のうちの一方またはそれぞれに、少なくとも1つの開口部を設けるか、または、ケーシングとハウジングの間に、少なくとも1つの前述の開口部を画定することができる。開口部は、ケーシングと容器の間からの水の排出を可能にする開口部とすることができる。
【0012】
膨張デバイスは、通常はシリンダである容器が手動でまたは自動的に穿刺されたかどうかを表示するための、表示器を含むことができる。したがって、使用済みのシリンダと一緒に使用されようとすること、またはシリンダがない状態で使用されようとすることを防ぐように意図された、従来知られたデバイスとは対照的に、本発明によれば、膨張デバイスは、手動でのまたは自動的な作動がなされたかどうかを表示するための表示器を含むだけで十分である。シリンダが存在するかどうかを検知するための表示器を設ける必要はない。
【0013】
本発明の膨張デバイスは、「使い捨ての」膨張デバイスと呼ぶことができる。本発明の膨張デバイスはまた、「工場で取付けられる(factory fitted)」加圧流体の容器を有するタイプのものとして、説明することもできる。
【0014】
ハウジング、離脱不能なケーシング、および加圧流体の容器を含むことに加えて、本発明の膨張デバイスは通常、作動機構をさらに含み、この作動機構は、それ自体よく知られたタイプのものとすることができ、また、手動のもの、自動的なもの、または、手動のものと自動的なものを組み合わせた作動機構とすることができる。適切な機構のタイプの1つは、本発明者らの欧州特許EP1109717Bの主題の機構である。他の適切な機構は、Inflation Device Mechanismと題された、本発明者らの同時係属の英国特許出願GB1019087.4の機構である。
【0015】
膨張デバイスは、膨張式物品に固着するタイプの出口ポートをさらに含むことができ、それにより、作動されたときに、膨張デバイスは、二酸化炭素などの加圧流体を、容器から出口ポートを通じて膨張式物品内に供給することができる。膨張デバイスの出口ポートおよび/またはそれと一緒に使用するための膨張式物品が、選択的に離脱可能な保持手段を含み、それにより、膨張デバイスを膨張式物品に容易に固着することができ、またそれから容易に取り外せることが、好ましい。
【0016】
保持手段は、機械ばねなどの付勢手段によって作用される1対の部材を含むクリップの形状とすることができ、それにより、使用に際して、それら部材が付勢されて、膨張式物品に固着されたマニホルドの保持構造と係合する。代替構成では、膨張デバイスが前述の保持構造を含み、クリップがマニホルドによって支持されてもよい。
【0017】
保護ケーシングは、流体密な態様でハウジングに離脱不能に固着することができ、それによりケーシング内への水の浸入が抑制される。あるいは、シリンダケーシングは、流体
密ではない態様でハウジングに固着されてもよい。ケーシングと加圧容器の間から水を排出するために、1つまたは複数の排水開口部が設けられる場合もある。
【0018】
保護ケーシングは、接着剤によりハウジングに離脱不能に固着されてもよい。あるいは、またはそれに加えて、保護ケーシングは、機械的手段によって固着されてもよい。適切な機械的手段の例は、ケーシングまたはハウジングのどちらかによって担持された複数の弾性指部を含み、この複数の弾性指部は、組み立てられた状態において、ケーシングまたはハウジングのうちの他方によって設けられた当接部とかみ合う。
【0019】
次に、例として添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】最終組立前の本発明による膨張デバイスの斜視図である。
図2】最終組立前の図1のデバイスの一部分をより詳細に示す斜視図である。
図3図2の方向のほぼ反対側から見た、図1の膨張デバイスの一部分の斜視図である。
図4図1から図3の膨張デバイスの保持装置の斜視図である。
図5】膨張式物品のマニホルドの斜視図である。
図6図5のマニホルドに固着された図4の保持装置を示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態による膨張デバイスの一部分を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
救命胴衣などのような膨張式物品のマニホルド(図示せず)に選択的に離脱可能に固着するのに適した膨張デバイス10(図1から図3参照)は、出口ポート12を有するハウジング11を含む。
【0022】
ハウジング11には、保持装置13を案内するスロット形成部が設けられ、この保持装置13は、マニホルド上の構造と係合する働きをすることができる、ばねが取り付けられた保持クリップの対を含み、それにより、膨張デバイスが膨張式物品に、選択的に離脱可能な方法で固着される。したがって、マニホルドに固着されると、加圧ガスは出口ポート12を通って膨張式物品内へ流れることができる。
【0023】
膨張デバイス10とマニホルドとの間の流体密(fluid-tight)接続を確実にするため
に、流体シールが従来の方法で設けられる。
保持装置13(図4参照)は、切り抜かれた輪郭部を有するように形成された平面部分31をそれぞれが有する、2つのクリップ30を含む。各切り抜かれた輪郭部は、2つのクリップのうちの他方によって担持された案内ピン34と係合するための、1対の平行案内面33と、実質的に図4に示したように使用に際して2つのクリップが互いに対して第1の位置にあるときにマニホルドと係合するための、当接縁部領域35と、2つのクリップが互いに対して第2の位置にあるときに保持装置をマニホルドの端部上に容易に嵌めるようにするのに十分なほど離間される、縁部領域36と、を提供するように形成される。
【0024】
2つの平面部分31は、互いに対して相対的に摺動可能であり、また、クリップの突起38間で作動する1対の圧縮ばね37の作用により、図4に示されるような第1の位置へ付勢される。2つのばねの作用による摺動運動は、案内面33の各対の端部でピン34が当接面39と係合することによって、制限される。
【0025】
ばねによって与えられる付勢力の方向に逆らう2つのクリップの運動を容易にするため、したがって、当接面を互いの方へ移動させるために、各クリップは、開口部が設けられ
た端部領域40を有する。端部領域40のうちの一方、すなわち、その平面部分が図4で見られるように他方のクリップの平面部分の下に位置するクリップの端部領域40には、切欠き領域41が設けられ、その結果、もう一方のクリップの端部は、その切欠き領域41を通って自由に摺動することができる。製造上の便宜のために、もう一方の、上側のクリップを同じ形状にして、同じように切り欠き領域41を設けることができる。上方に曲がった領域40は、マニホルドとの脱着のために使用者が押圧し、2つのクリップを第2の位置へ移動させるのに都合の良い面を提供する。
【0026】
ピン34によってもたらされる案内に加えて、2つの平面部分は、上述のハウジングのスロット形成部内に位置されることにより、分離を防止される。したがって、クリップは、ハウジング11の長手方向に直角の方向に、互いに対して相対的に摺動することができる。
【0027】
使用に際して、膨張デバイス10をマニホルド50(図5および図6参照)に取り付けるために、クリップ端部40は、縁部領域36の対が位置合わせされるように、ばね38によってもたらされる付勢力に逆らって互いの方へ押され、それにより、クリップ、ひいては膨張デバイスは、マニホルドの端部51を乗り越えることが可能になる。次いで、ハウジングがマニホルドの肩領域52に接触すると、クリップの端部を解放してハウジングをマニホルドに対して回転させることにより、クリップの当接縁部領域35を、それぞれ、マニホルドの管状ステム部分55の外周の一部の周りにそれぞれ延在する溝53、54のうちのそれぞれ1つと位置合わせさせ、かつ、係合させることが、可能になる。
【0028】
ハウジング11は、二酸化炭素シリンダ15がそれとともにシールを形成するように固着される、入口ポート14をさらに含む。入口ポートは、シリンダケーシング20を保持するための端部当接部19を有する、少なくとも3つの、またこの場合では4つの、円周方向に均一に離間された弾性指部18の配列によって取り囲まれる。
【0029】
シリンダケーシング20は、高衝撃ポリプロピレンなどの成形された透明な材料で形成される。ケーシングの遠位端部21は、閉じられている(図1参照)。ケーシングのもう一方の端部22は、開口端とされ、また、円周方向に均一に離間された4つのスロット23が設けられ、これら4つのスロット23はそれぞれ、当接面24を画定して、4つの指部18のそれぞれの端部の、外方に向けられた当接端部19と協働する(図2および図3参照)。組み立てられた状態において、4つの当接指部は、その後のケーシングの取外し(換言すれば、分離)を防止する。
【0030】
ハウジングは、発射(firing)機構(図示せず)を含み、この発射機構は、ガスシリンダ15の内側端部でシール(図示せず)に穿孔するために作動され、それにより、加圧二酸化炭素を、ハウジングを通し出口ポート12を介して、膨張デバイスが固着された膨張式物品内へ流れさせることができる。
【0031】
発射機構の作動は、膨張デバイスが水中に没した場合における自動作動、およびトグル26が引っ張られた場合における手動作動の、両方を実現する機構によるものである。
発射機構には、発射機構の手動または自動による作動がなされたことに関する明瞭な可視表示を提供する種類の表示器が組み込まれている。この実施形態では、この表示は、プラスチック製の端部キャップ27によってもたらされ、この端部キャップ27は、作動前にはハウジングの端部と同一面に位置するが、作動後にはハウジングの端部から(図1に示されるように)突出する。自動作動の際にこの突出をもたらすために、ハウジング内に軽量のばねを設けることができる。
【0032】
したがって、発射機構が作動した場合、表示器キャップ27の移動位置は、完全なユニ
ットとして膨張デバイスを取り外して交換する必要があることを、明瞭かつ単純に示す。ガスシリンダはハウジングに離脱不能に固着されているので、膨張デバイスが使用済みのシリンダを用いて再び組み立てられるおそれはなく、また、ケーシングの透明性により、複雑な検知機構を必要とすることなく、シリンダが存在することに関する明瞭な確認がもたらされる。
【0033】
説明された実施形態では、例えば1つだけの保持指部とは対照的に、4つの、少なくとも3つの指部18が設けられることにより、ケーシング20の不正な取外しが防止される。しかし、4つの当接端部19のそれぞれを同時に内側に押し下げようとするいかなる不正な試みにも対向する追加の保護手段として、ケーシング端部領域22の外側表面を、厚くなった環状領域を提供するように成形することができ、それにより、スロット23のそれぞれが、ケーシング材料によって覆われる。
【0034】
この説明された実施形態では、ケーシングは機械的かみ合いをもたらす4つの指部18によって固着されるが、ケーシングの不正な取外しを防ぐために、他の形態の機械的かみ合いおよび/または接着を用いることができることを、理解されたい。
【0035】
本発明の第2の実施形態(図7参照)では、膨張デバイス60は、ガスシリンダ62が螺嵌されるハウジング61を含み、また、シリンダは、ハウジング61に離脱不能に固着される、保護されたケーシング63内に収容される。ケーシング内にシリンダ62が存在することを目視で確認できるようにするために、任意にケーシング63を全体的にまたは部分的に透明な材料とすることができるが、この実施形態では、1つまたは複数の開口部が、前述の目視検査のために設けられる。
【0036】
その開口部、またはそれぞれの開口部は、完全にケーシングによって画定された開口部64の形状か、または、容器の内側端部を取り囲む部分であるハウジングのスカート部分66によって画定された開口部65の形状か、または、ハウジングおよびケーシングの向かい合う表面68、69によって画定された開口部67の形状とすることができる。
【0037】
本明細書において説明された保持装置は、他のタイプの膨張デバイスのハウジングとともに使用することができ、また、自動および手動で作動される発射機構を有する膨張デバイスとともに使用することに対する適用性に特定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7