特許第6552486号(P6552486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6552486ブリスターから錠剤を摘出するための装置及びその装置を調整するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552486
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ブリスターから錠剤を摘出するための装置及びその装置を調整するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20190722BHJP
   B65B 69/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   A61J3/00 310F
   B65B69/00 A
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-519473(P2016-519473)
(86)(22)【出願日】2014年6月17日
(65)【公表番号】特表2016-521619(P2016-521619A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】NL2014050397
(87)【国際公開番号】WO2014204305
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年5月24日
(31)【優先権主張番号】2010987
(32)【優先日】2013年6月17日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】515345399
【氏名又は名称】ランヘマート,ヴィレム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ランヘマート,ヴィレム
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−6382(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/072579(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プッシュスルーホイルを備えたブリスターパックから錠剤を摘出するための装置であって、
前記ブリスターパックを固定するための摘出面であって、該摘出面は少なくとも部分的に湾曲した形状を有し、前記プッシュスルーホイルは該摘出面に対して位置し、該摘出面は、前記ブリスターパック内の錠剤の位置に対応する落下開口部を下側に備える、摘出面と、
回転軸の周りを回るように、該回転軸を中心に回転可能な回転板に配置された1つ以上の回転可能な加圧ローラーであって、各加圧ローラーは、錠剤が前記プッシュスルーホイルを通ると共に前記落下開口部を通るように前記ブリスターパックから押し出すために、動作の間に所定の回転圧で前記ブリスターパックの表面の少なくとも一部の上を転がることが可能である、1つ以上の加圧ローラーと、
前記摘出面の下に配置され、前記落下開口部を通って落下した錠剤を回収するための回収手段と、
を含み、
前記摘出面は凹状に湾曲し、前記摘出面の湾曲部分の曲率の中心は前記回転軸と一致する、装置。
【請求項2】
各前記加圧ローラーの長手方向は、前記回転軸と平行に延び、前記回転軸は前記摘出面の実質的に上に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの加圧ローラーの回転圧は調整可能である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記加圧ローラーは、動作の間に加圧ローラーの各対がブリスターパックの上を転がるように対で配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は1つ以上のスイーピング手段を備え、該1つ以上のスイーピング手段は、配置されたブリスターパックから錠剤が前記1つ以上の加圧ローラーによって押し出された後に、該スイーピング手段のうちの1つが前記摘出面の少なくとも一部を動作中に掃くように前記回転軸の周りを回転可能にそれぞれ配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記摘出面は、前記加圧ローラーのうちの1つが、動作中に前記ブリスターパックの上を転がる間に前記ブリスターパックを適所で保持するためのストップ部材を備える、請求項1乃至5いずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、1つ以上のブラシと、該ブラシを回転させるための手段とを備え、該1つ以上のブラシは前記回転軸の周りを回転可能に配置され、各ブラシの長手方向は前記回転軸と平行に延び、前記ブラシは動作中に前記ブリスターパックの少なくとも一部を掃く、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、平行に延びた実質的に平らな一連の仕切りをさらに備え、該一連の仕切りの上側の少なくとも一部が前記摘出面を形成し、該仕切りの間の相互距離は調整可能であり、前記落下開口部は、該仕切りの間の1つ以上の空間によって形成され、該仕切りは、前記ブリスターパックから押し出された錠剤が、前記落下開口部を介して中断なく前記回収手段内に落下するように配置されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は少なくとも2つの第1のガイドをさらに備え、該少なくとも2つの第1のガイドは、平行に延び、それぞれ前記仕切りの実質的に横方向に位置し、前記仕切りを支持し且つ前記仕切りの間の相互距離を調整するためのものである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
各ガイドは、前記仕切りの間の相互距離を調整するための一連の第1の溝を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記一連の仕切りは、各前記加圧ローラーの長手方向に実質的に沿って配置されている、請求項9乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記一連の仕切りのうちの第1の仕切りは、前記加圧ローラーが前記ブリスターパックの上を転がるときに該加圧ローラーが該第1の仕切りと接触しないように且つ前記ブリスターパックのための第1の側方境界を形成するように配置されている、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記ブリスターパックのための第2の側方境界をさらに備え、該第2の側方境界は、前記加圧ローラーのうちの1つが前記ブリスターパックの上を転がるときに、関連する加圧ローラーによって該第2の側方境界が前記第1のガイドの一端の方へと押しやられるように前記装置上に配置されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、自動ブリスターパック供給手段及び排出手段を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記一連の仕切り、前記一連の第1の溝、前記少なくとも2つの平行な第1のガイド及び前記第2の側方境界が配置された取り外し可能なカセットを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記カセットは、配置された仕切り及び前記第2の側方境界と共動するために構成されると共に前記仕切り及び前記第2の側方境界を前記カセット内でロックするための第1のロック手段を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、前記カセットと共動するために構成されると共に前記カセットを前記装置内でロックするための第2のロック手段を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置から取り出されたカセットを受容できる分離したテンプレートを含み、該テンプレートは、該テンプレートの両側に取り付けられ、前記仕切り及び前記第2の側方境界を前記第1のガイド内で配置及び調整するための2つのベアリング面を含み、各ベアリング面は、前記カセットを前記テンプレート内に設置した後に前記第1の側方境界に沿って位置する第1の端部を備え、各ベアリング面は、前記仕切りに対して直角に位置する第2の端部を備え、該第2の端部は、前記一連の第1の溝に沿って位置する一連の第2の溝を備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの加圧ローラーは前記装置から取り外し可能であると共に加圧ローラーの周囲にそれぞれ配置された1つ以上のフレキシブル加圧リングを備え、該加圧ローラー上の各加圧リングは、前記装置の動作の間に、その下に少なくとも1つの錠剤が位置する前記ブリスターパックの上側と接触するように位置している、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の装置内で所定の種類のブリスターパックのためにカセットを調整するための方法であって、
a)前記テンプレートに前記カセットを設置するステップと、
b)各前記ベアリング面に前記所定の種類のブリスターパックを置くステップと、
c)各前記ブリスターパックの第1の錠剤の列に沿って細長い整列部材を配置するステップであって、該整列部材は、前記平行な第1のガイドの対応する第1の溝内に配置される、ステップと、
d)前記整列部材に沿って、仕切りを前記平行な第1のガイドの対応する第1の溝内に配置するステップと、
e)後続の錠剤の列毎に前記ステップc)及びd)を繰り返すステップと、
f)前記所定の種類のブリスターパックの第1の側が前記第1の側方境界に対して位置するように、前記ブリスターパックを前記仕切りの上に置くステップと、
g)前記ブリスターパックの前記第1の側から離れた第2の側が前記第2の側方境界に対して位置するように、前記第2の側方境界を、前記平行な第1のガイドの対応する第1の溝に配置するステップと、
h)前記第1のロック手段を用いて、配置した前記仕切り及び前記第2の側方境界をカセットにロックするステップと、
i)前記テンプレートから前記カセットを取り出すステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュスルーホイル(push-through foil)を備えたブリスターパックから錠剤を摘出するための装置であって、前記ブリスターパックを固定(stationary placing)するための少なくとも部分的に湾曲した摘出面であって、前記プッシュスルーホイルが該摘出面に対して位置し、該摘出面は、前記ブリスターパック内の錠剤の位置に対応する落下開口部を下側に備える、摘出面、1つ以上の回転可能な加圧ローラーであって、各加圧ローラーは、錠剤が前記プッシュスルーホイルを通ると共に前記落下開口部を通るように前記ブリスターパックから押し出すために、動作の間に所定の回転圧で前記ブリスターパックの表面の少なくとも一部の上を転がることが可能である、1つ以上の加圧ローラー、及び前記摘出面の下に配置され、前記落下開口部を通って落下した錠剤を回収するための回収手段を含む、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリアンブルに記載の装置が当該技術分野で知られており、特許文献1に記載されている。係る装置は専門用語でデブリスター装置(deblistering machine)と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/072579号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の既知の装置には多くの欠点がある。
【0005】
既知の装置においては錠剤の押し出し間にブリスターパックのプッシュスルーホイルに張力をかけないため、既知の装置には、1つ以上の錠剤がブリスターパック内に残るという欠点がある。ついでに言うと、ホイルに張力をかける行為(tensioning)は、人がブリスターパックから錠剤を手で押し出すときについでに行うことが多い動作である。
【0006】
それに加えて、既知の装置には、摘出面の形状に起因してブリスターパックが装置内で不安定に置かれるため、ブリスターパックの自動供給が困難であるという欠点がある。そのため、既知の装置を自動化するのは困難であるか又は不可能である。
【0007】
さらに、既知の装置には、ブリスターパックから押し出された全ての錠剤が回収手段内に直接落下せずに、既知の装置の部品の上に又は傍に落下するという欠点がある。これらの部品はアクセスが困難であるため、これらの部品を効果的に洗浄することができない。その結果、錠剤が以前のブリスターパックからの物質で汚染され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の欠点の全体又は大部分を解消する、プリアンブルに記載の装置を提供することを目的とする。この目的のために、本発明に係る装置は、少なくとも部分的に湾曲した摘出面が凹状であるという特徴を有する。この施策により、錠剤が押し出されるときにプッシュスルーホイルに張力がかかることが確実になるため、錠剤がブリスターパック内に残ることがなくなる。さらに、この施策の結果、ブリスターパックは装置内で安定的に置かれた状態でとどまる。
【0009】
自動化に非常に適した本発明に係る装置の一実施形態では、前記1つ以上の加圧ローラーは、回転軸の周りを回転するように配置され、各加圧ローラーの長手方向は、該回転軸と平行に延び、該回転軸は前記摘出面の実質的に上に配置されている。既知の装置とは対照的に、加圧ローラーはもはや往復運動に限定されず、回転運動を行うこともできるため、本発明に係る装置を自動化するための可能性がより多く存在する。
【0010】
前記摘出面は、少なくとも部分的に円筒形状であることが好ましく、前記回転軸は、前記摘出面の円筒形状の部分の軸と一致する。この施策のおかげで、加圧ローラーは摘出面の上をより容易に転がることができ、加圧ローラーによって加えられる圧力はブリスターパックの全ての部分にわたって実質的に同じである。
【0011】
少なくとも1つの加圧ローラーの回転圧は調整可能であることが好ましい。しかしながら、全ての加圧ローラーの回転圧を調整可能にすることが最も推奨される。
【0012】
本発明に係る装置の第1の実施形態では、前記加圧ローラーは、動作の間に加圧ローラーの各対がブリスターパックの上を転がるように対で配置されている。そのため、錠剤の押し出しは、加圧ローラーの対のうちの第1の加圧ローラーが、好ましくは高い回転圧でプッシュスルーホイルを破り、加圧ローラーの対のうちの第2の加圧ローラーがブリスターパックから錠剤を押し出すという2つのステップで行うことができる。当然ながら、加圧ローラーの対のうちの第1の加圧ローラーにブリスターパックから錠剤を押し出させるようにすることも可能である。
【0013】
本発明に係る装置は、1つ以上のスイーピング手段を備えることが好ましく、該1つ以上のスイーピング手段は、設置されたブリスターパックから錠剤が前記1つ以上の加圧ローラーによって押し出された後、該スイーピング手段のうちの1つが前記摘出面の少なくとも一部を動作中に掃くように前記回転軸の周りを回転可能にそれぞれ配置されている。これらの施策により、空になったブリスターパックがスイーピング手段によって摘出面から自動的に取り除かれる。そのため、錠剤がブリスターパックから押し出されると、当該装置は次のブリスターパックに対する準備ができており、先ずブリスターパックを手動で取り除く必要がない。
【0014】
前記摘出面は、前記加圧ローラーのうちの1つが、動作中に前記ブリスターパックの上を転がる間に前記ブリスターパックを適所で保持するためのストップ部材を備えることが好ましい。
【0015】
本発明に係る装置の代替的な実施形態では、当該装置は、1つ以上のブラシと、該ブラシを回転させるための手段とを備え、該1つ以上のブラシは前記回転軸の周りを回転可能に配置され、各ブラシの長手方向は前記回転軸と平行に延び、前記ブラシは動作中に前記ブリスターパックの少なくとも一部を掃く。当該装置は、ブラシを回転させるためのモーターを備えていることが好ましい。これらの施策の技術的効果は、ブリスターパックが振動され、それによりブリスターパック内に存在する錠剤が、振動によってブリスターパックから出される(vibrated out)ことである。
【0016】
当該装置の好ましい実施形態では、当該装置は、平行に延びた実質的に平らな一連の仕切りをさらに備えることが好ましく、該仕切りの上側の少なくとも一部が前記摘出面を形成し、該仕切りの間の相互距離は調整可能であり、前記落下開口部は、前記仕切りの間の1つ以上の空間によって形成され、前記仕切りは、前記ブリスターパックから押し出された錠剤が、前記落下開口部を介して中断なく前記回収手段内に落下できるように配置されている。平らな仕切りを用いて、ブリスターパックの種類に適合させることが可能な摘出面を仕切りの上側に形成する。ここでは、当該装置内に仕切りを配置するための部品によるが妨害なく、錠剤がスムーズに回収手段内に落下できることが重要である。
【0017】
そのため、当該装置の好ましい実施形態は、少なくとも2つの第1のガイドをさらに備えることが好ましく、該少なくとも2つの第1のガイドは平行に延び、それぞれ前記仕切りの実質的に横方向に位置し、前記仕切りを支持し且つ前記仕切りの間の相互距離を調整するためのものである。ここでは、第1のガイドは、錠剤が回収手段内に落下する際に第1のガイドによって妨げられることがないように取り付けられている。
【0018】
仕切りの間の相互距離を調整するために、各第1のガイドは、その中で仕切りをロックすることが可能な一連の第1の溝を備えていることが好ましい。第1の溝が取り付けられた状態では、第1のガイドの第1の溝は互いに対応しており、仕切りの間の相互距離を単純な方法で個別に調整できる。
【0019】
前記一連の仕切りは、各前記加圧ローラーの長手方向の実質的に横方向に配置されていることが好ましい。これにより、加圧ローラーが摘出面全体の上で支持される。
【0020】
当該装置の好ましい実施形態では、前記一連の仕切りのうちの第1の仕切りは、前記加圧ローラーが前記ブリスターパックの上を転がるときに該加圧ローラーが該第1の仕切りと接触しないように且つ前記ブリスターパックのための第1の側方境界を形成するように配置されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る装置の好ましい実施形態では、当該装置は、前記ブリスターパックのための第2の側方境界をさらに備え、該第2の側方境界は、各前記加圧ローラーが前記ブリスターパックの上を転がるときに、関連する加圧ローラーによって該第2の側方境界が脇の方に押しやられるように当該装置上に配置されている。
【0022】
当該装置を自動化するために、当該装置は、ブリスターパックの自動供給及び排出を備える。
【0023】
当該装置は、前記一連の仕切り、前記少なくとも2つの平行な第1のガイド及び前記第2の側方境界が配置された取り外し可能なカセットを備えることが好ましい。当該装置は、それぞれが異なる種類のブリスターパックに適合された複数のカセットを備えることが好ましい。単にカセットを交換することにより、当該装置を素早く様々な種類のブリスターパックに適したものにすることができる。
【0024】
所定の種類のブリスターパックのためのカセットの設定を固定するために、前記カセットは、配置された仕切り及び前記第2の側方境界と共動するために構成されると共に前記仕切り及び前記第2の側方境界を前記カセット内でロックするための第1のロック手段を備えることが好ましい。これは、仕切り及び第2の側方境界の設定が不正確になることを防止する。
【0025】
カセットの調整を促進するために、当該装置は、当該装置から取り出されたカセットを受容できる分離したテンプレートを含み、該テンプレートは、該テンプレートの両側に取り付けられ、前記仕切り及び前記第2の側方境界を前記第1のガイド内で配置及び調整するための2つのベアリング面を含み、各ベアリング面は、動作中、前記カセットを前記テンプレート内に設置した後に前記第1の側方境界に沿って位置する第1の端部を備え、各ベアリング面は、前記仕切りに対して直角に位置する第2の端部を備え、該第2の端部は、前記一連の第1の溝に沿って位置する一連の第2の溝を備える。
【0026】
当該装置内に前記カセットを固定するために、当該装置は、前記カセットと共動するために構成されると共に前記カセットを前記装置内でロックするための第2のロック手段を備える。
【0027】
ブリスターパックからの錠剤の押し出しを改善するために、少なくとも1つの加圧ローラーは当該装置から取り外し可能であると共に加圧ローラーの周囲にそれぞれ配置された1つ以上の加圧リングを備え、各加圧リングは、当該装置の動作の間に、その下に少なくとも1つの錠剤が位置する前記ブリスターパックの上側と接触するように位置している。
【0028】
当該装置は、上述の装置内で所定の種類のブリスターパックのためにカセットを調整するための方法にも関する。この目的のために、本発明に係る方法は、
a)前記テンプレートに前記カセットを設置するステップと、
b)各前記ベアリング面に前記所定の種類のブリスターパックを置くステップと、
c)各前記ブリスターパックの第1の錠剤の列に沿って細長い整列部材を配置するステップであって、該整列部材は、前記平行な第1のガイドの対応する第1の溝内に配置される、ステップと、
d)前記整列部材に沿って、仕切りを前記平行な第1のガイドの対応する第1の溝内に配置するステップと、
e)後続の錠剤の列毎に前記ステップc)及びd)を繰り返すステップと、
f)前記所定の種類のブリスターパックの第1の側が前記第1の側方境界に対して位置するように、前記ブリスターパックを前記仕切りの上に置くステップと、
g)前記ブリスターパックの前記第1の側から離れた第2の側が前記第2の側方境界に対して位置するように、前記第2の側方境界を、前記平行な第1のガイドの対応する第1の溝に配置するステップと、
h)前記第1のロック手段を用いて、配置した前記仕切り及び前記第2の側方境界をカセットにロックするステップと、
i)前記テンプレートから前記カセットを取り出すステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
下記の図面を参照しながら本発明を以下でより詳細に説明する。図面では、同様の構成要素に同じ参照符号を付している。
図1図1は、自動ブリスターパック供給手段と、空のブリスターパック及び錠剤のための自動排出とを備えた、本発明に係る装置の好ましい実施形態の概略断面図である。
図2図2は、図1の本発明に係る装置の好ましい実施形態の3次元側面図である。
図3図3は、本発明に係る装置の好ましい実施形態の、加圧ローラーの近くの3次元上面図である。
図4図4は、本発明に係る装置の好ましい実施形態の、加圧ローラーの近くの3次元側面図である。
図5図5は、本発明に係る装置で用いる取り外し可能なカセットを示す。
図6図6は、本発明に係る装置内に設置されたカセットを示す。
図7図7は、少なくとも1つの加圧ローラー上に配置されたフレキシブル加圧リングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、自動ブリスターパック供給手段2と、錠剤のための自動排出(automatic discharge)3とを備えた、本発明に係る装置1の好ましい実施形態の断面図を示す。自動ブリスターパック供給手段2は、コンベアーベルト7及びブリスターパック供給ホルダー8を含む。自動ブリスターパック供給手段2は、ブリスターパック供給ホルダー8からブリスターパック5がコンベアーベルト7の上に置かれ、その後にコンベアーベルト7がブリスターパック5を先へと搬送するように構成されている。
【0031】
デブリスター装置1は、少なくとも部分的に湾曲した摘出面6を備える。摘出面6は凹状であり、自動ブリスターパック供給手段2によってその上にブリスターパック5が置かれる。ここでは、プッシュスルーホイルが摘出面6に対して位置している。摘出面6は、ブリスターパック5内の錠剤4の位置に対応する落下開口部(drop openings)をその下側に備える。落下開口部は他の図面に分かり易く図示してある。
【0032】
デブリスター装置1は、4つの回転可能な加圧ローラー7A、7B、7C、7Dも含む。加圧ローラー7A、7B、7C、7Dのそれぞれはゴム層を備えていることが好ましい。加圧ローラー7A、7B、7C、7Dは、回転軸8の周りを回転可能に配置されており、該回転軸は図1の面に対して垂直に位置している。ここでは、各加圧ローラー7A、7B、7C、7Dの長さ方向は、回転軸8と平行に延びており、図1の面に対して垂直に位置している。回転軸8が摘出面6の上に配置されていることが重要である。加圧ローラー7A、7B、7C、7Dは対で配置されており、加圧ローラー7A、7Bの対及び7C、7Dの対のそれぞれが、動作中に1つのブリスターパックの上を転がるように構成されている。
【0033】
加圧ローラー7A、7B、7C、7Dのそれぞれは、回転軸8を中心に回転可能に配置された回転板9に取り付けられている。ここでは、加圧ローラー7A、7B、7C、7Dのそれぞれは、自身の加圧ローラー軸10A、10B、10C及び10Dを中心に回転できる。各加圧ローラー7A、7B、7C、7Dが動作中にブリスターパック5の表面の少なくとも一部の上を転がる際の回転圧は、バネ装置11A、11B、11C、11Dにより調整することができる。
【0034】
ブリスターパック5から押し出された錠剤4は、落下開口部を通って回収手段12内に落下する。回収手段12は容器であってもよいし、コンベアーベルトであってもよい。図1では、回収手段12を、コンベアーベルト13及びコンベアーベルト14に錠剤を搬送するコンベアーベルトとして図示している。コンベアーベルト13の回転速度はコンベアーベルト12の回転速度よりも速く、コンベアーベルト14の回転速度はコンベアーベルト13の回転速度よりも速いため、錠剤4が単体化(singulated)される。装置1は、錠剤4が容器15内に落下する前にコンベアーベルト14の端部で錠剤を計数する計数機構を備えていてもよい。
【0035】
摘出面6は部分的に円筒形状であり、回転軸8は摘出面6の円筒形状の部分の軸と一致する。これにより、加圧ローラー7A、7B、7C、7Dは摘出面6の上をより良好に転がることができる。
【0036】
加圧ローラー7A、7Bの対及び7C、7Dの対のそれぞれは、回転板9に固定配置されたスイーピング(sweeping)手段15A、15Bを備える。ここでは、スイーピング手段15A、15Bは回転軸8の周りを回転可能であり、スイーピング手段15A、15Bは装置1の動作の間に摘出面6の少なくとも一部を掃く。スイーピングは、配置されたブリスターパックから加圧ローラー7A、7Bの対及び7C、7Dの対のうちの一方によって錠剤が押し出された後に起こり、それにより摘出面6からブリスターパック5が掃き出される。
【0037】
装置1は下記の自動化ステップで動作する。
a)ブリスターパック5がブリスターパック供給ホルダー8からコンベアーベルト7の上に置かれる。
b)コンベアーベルトが摘出面6にブリスターパック5を搬送し、ブリスターパック5を摘出面6の上に置く。ここでは、加圧ローラー7A、7B、7C、7Dはブリスターパック5への障害にならないような位置にある。
c)回転板9は、加圧ローラー7A、7Bの対及び7C、7Dの対のうちの一方が摘出面6の上に横たわるブリスターパック5の上を転がるように回転する。
d)その後、回転板9は、スイーピング手段15A、15Bのうちの一方が摘出面6からブリスターパック5を掃き出すように回転する。
e)ブリスターパック5から押し出された錠剤は、落下開口部17を通ってコンベアーベルト12の上に落下し、その後、さらなるコンベアーベルト13及び14の上で錠剤が単体化される。
f)その後、ステップa)が再度行われる。
【0038】
図2は、図1の本発明に係る装置1の好ましい実施形態の3次元側面図である。摘出面6及びコンベアーベルト7、12、13、14は側板25によって(部分的に)ガードされている。第1のガイド18A、18B及び第2のガイド22の外端は側板25内に配置されている。
【0039】
コンベアーベルト7の上にはガイド25が配置されている。ガイド25は、ガイド調整手段23を用いて調整することができる。ガイド25は、ブリスターパック5をコンベアーベルト7と平行に摘出面6に搬送できるようにブリスターパック5のための側方境界(side boundary)を形成する。
【0040】
図3は、本発明に係る装置の好ましい実施形態の、加圧ローラー7A、7B、7C、7Dの近くの3次元上面図であり、加圧ローラー7A、7B、7C、7Dがどのように摘出面6の上を転がるかについてより良好な外観を提供する。
【0041】
装置1は、平行に延びた実質的に平らな一連の仕切り16を備え、その上側の少なくとも一部が摘出面6を形成する。仕切り16の間の相互距離は調整可能であり、落下開口部17は仕切り16の間の1つ以上の空間によって形成されている。仕切り16は2つの第1のガイド18A、18Bによって支持されている。第1のガイド18A、18Bは平行に延び、それぞれは仕切り16の実質的に横方向に(transversely)位置している。第1のガイド18A、18Bの双方は対応する第1の溝19を備え、各第1の溝は、少なくとも仕切り16の厚さと同じ幅を有する。そのため、第1のガイド18A、18Bの正しい第1の溝19内に各仕切りを配置することにより、仕切りの間の相互距離を単純な方法で変更できる。これは、例えば、錠剤の場所が異なる様々な種類のブリスターパックの場合に必要となる。ガイド18A、18Bの位置のおかげで、ブリスターパック5から押し出された錠剤4を、装置1のさらなる部品に接触させることなく落下開口部17を通じてコンベアーベルト12の上に中断なく落下させることができる。
【0042】
加圧ローラー7A、7B、7C、7Dのうちの1つがブリスターパック5の上を転がるとき、一連の仕切り16のうちの第1の仕切りは加圧ローラー7A、7B、7C、7Dと接触せず、他の仕切り16よりも僅かに高い場所に位置する。これにより、第1の仕切りはブリスターパック5のための第1の側方境界20を形成する。
【0043】
装置1はブリスターパック5のための第2の側方境界21をさらに備える。側方境界21は、加圧ローラー7A、7B、7C、7Dのうちの1つがブリスターパック5の上を転がるときに、第2の側方境界21が関連する(relevant)加圧ローラー7A、7B、7C、7Dによって脇へと押しやられるように、その一方側が変位可能且つ回転可能に第2のガイド22上に配置されている。側方境界21は、加圧ローラー7A、7Bの対及び7C、7Dの対のうちの一方が摘出面の上を転がった後に側方境界21が元の位置に戻るようにトーションバネ等の弾性機構22を備える。
【0044】
図4は、本発明に係る装置1の好ましい実施形態の、加圧ローラー7A、7B、7C、7Dの近くの3次元側面図であり、装置1内の仕切り16の集合体が見える。
【0045】
図5は、本発明に係る装置で用いる取り外し可能なカセット100を示す。取り外し可能なカセット100は箱様であり、本発明に係る装置に受容できる。カセット100は一連の仕切り117と、一連の第1の溝(一方側のみ図示)119と、少なくとも2つの第1のガイド118(一方側のみ図示)を含む。少なくとも2つの第1のガイド118は平行に延び、それぞれ一連の第1の溝119(一方側のみ図示)と、第1の側方境界120及び第2の側方境界121とを備える。仕切り117、溝119、第1のガイド118並びに第1の側方境界120及び第2の側方境界121の動き及び機能は、前の図面の仕切り17、溝19、第1のガイド20並びに第1の側方境界20及び第2の側方境界21の動き及び機能と同じである。カセットは第1のロック手段を備える。第1のロック手段は、配置された仕切り117及び第2の側方境界121と共動(co-action)するために構成されると共にカセット100内に仕切り117及び第2の側方境界121をロックするためのものである。所定の種類のブリスターパックのためにカセット100を調整するために、カセット100を分離したテンプレート(separate template)200内に設置及び受容できる。テンプレート200は、テンプレート200の両側に取り付けられ、第1のガイド118内で仕切り117及び第2の側方境界121を配置及び調整するための2つのベアリング面201を含む。そのために、各ベアリング面201は、カセット100をテンプレート200内に設置した後に第1の側方境界120に沿って位置する第1の端部202を備える。各ベアリング面201は、仕切り117に対して直角に位置する第2の端部203も備える。第2の端部203は、第1のガイド118上の一連の第1の溝119に沿って位置する一連の第2の溝204を備える。
【0046】
所定の種類のブリスターパックのためにカセット100を調整するための方法は、
a)テンプレート200にカセット100を設置するステップ(テンプレート200にカセット100を設置し易くするために、カセット100の孔に対応するピンがテンプレートに設けられていることが好ましい)と、
b)各ベアリング面201に所定の種類のブリスターパックを置くステップと、
c)各ブリスターパックの第1の錠剤の列に沿って細長い整列部材(aligning member)205を配置するステップであって、該整列部材は、平行な第1のガイドの対応する第1の溝内に配置される、ステップと、
d)整列部材205に沿って、仕切り117を平行な第1のガイド118の対応する第1の溝内に配置するステップと、
e)後続の錠剤の列毎にステップc)及びd)を繰り返すステップと、
f)所定の種類のブリスターパックの第1の長辺が第1の側方境界120に対して位置するように、該ブリスターパックをステップd)で配置された仕切り117の上に置くステップと、
g)前記ブリスターパックの第2の長辺が第2の側方境界121に対して位置するように、第2の側方境界121を、平行な第1のガイド118の対応する第1の溝119内に配置するステップと、
h)第1のロック手段を用いて、配置した仕切り及び第2の側方境界をカセットにロックするステップと、
i)テンプレート200からカセット100を取り出すステップと、
を含む。
【0047】
図6は、本発明に係る装置1内に設置されたカセット100を示す図であり、分かり易くするために装置1の部分が省略されている。図5に係るテンプレートを用いて、カセット100が所定の種類のブリスターパックのためにセットされると、カセット100は装置1内において加圧ローラー10A、10B、10Cの下に設置される。前の図では、装置1が4つの加圧ローラー10A、10B、10C、10Dを備える実施形態を示した。その後の試験で、図6の構成では3つの加圧ローラーで十分であることが分かった。ここでは、少なくとも1つの加圧ローラーの周囲にそれぞれ配置されたフレキシブル加圧リングであって、各加圧リングは、装置1の動作の間に加圧リングがブリスターパックの錠剤の列に隣接してブリスターパックと接触するように位置している、フレキシブル加圧リングを用いた場合には、図1のバネ装置11A、11B、11C、11Dを省略できる。ここでは、関連する加圧ローラーが装置から取り外し可能であることが不可欠である。
【0048】
装置1は、カセット100と共動するために構成されると共に装置1内にカセット100をロックするための第2のロック手段30を備える。
【0049】
図7は、少なくとも1つの加圧ローラー10A、10B、10C又は10D上に配置されたフレキシブル加圧リング300を示す。各加圧リング300は加圧ローラーの周囲に配置されている。加圧ローラー10A、10B、10C又は10Dにある各加圧リング300は、装置1の動作の間に、その下に少なくとも1つの錠剤4が位置するブリスターパック5の上側と加圧リング300とが接触するように位置している。加圧リング300の数はブリスターパック5の錠剤の列の数によって決まる。各加圧リング300は、錠剤4の列毎に領域D内に位置していることが好ましい。各加圧リング300の厚さ及び高さは、錠剤4の種類に適応していることが好ましい。
【0050】
当然のことながら、本発明は、説明及び図示した好ましい実施形態に限定されず、請求項において定義されると共に上記の説明及び添付の図面に照らして明らかになる保護範囲に含まれるあらゆる実施形態に及ぶ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7