(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ワイパブレード側固定部品(20)は、前記力結合および/または形状結合を解除するように構成されている操作装置(21)を有する、請求項1項記載のガラスワイパ装置(100)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用、特に自動車用のガラスワイパ装置に関する。
【0002】
従来技術
ガラスワイパ装置は典型的には、自動車のガラスの表面にてワイパブレードを動かすワイパアームまたはワイパレバーを有する。かかるガラスワイパ装置では、第1の反転位置と第2の反転位置との間でワイパブレードを動かす。こうするために、ワイパアームは駆動軸を介してワイパモータに接続されている。特に、曲率変化が大きいフロントガラス上では、ワイパブレードはガラスとの接触を失いやすい。このことにより、特に湾曲がきついガラスの場合には、払拭領域が払拭されないか、ないしは曇りが形成され得る。
【0003】
払拭動作を多くのパラメータに合わせて、たとえばガラス上の降雨量、ガラス上に雪荷重が生じる場合にはその雪荷重、車速、ひいてはこれに伴ってワイパアームにかかる風圧等に合わせて最適化しなければならないので、フロントガラスにかかるワイパアームの圧力を適宜調整することにより曇りの形成を確実に防止することは、簡単に行うことができない。よって、ガラスワイパ装置をさらに改善してほしいとの要請が存在する。
【0004】
その改善については、更に考慮しなければならない複数の境界条件が存在する。かかる境界条件には、製造時のコスト要因ないしは製造コスト、材料コストが含まれ、また、ガラスワイパ装置の特性、特に多岐にわたる条件下での機能ならびに多数の条件下における長寿命性も含まれる。
【0005】
通常、ガラスワイパ装置、特にワイパブレードの場合、その通常の使用により摩耗現象が生じ、これに伴って払拭品質の劣化が生じる。その上、ガラスワイパ装置は自動車のフロントガラスまたはリアガラスの露出した場所にあるので、特に洗車設備を通過するとき、ガラスワイパ装置が損傷または引き剥がされるおそれもある。その場合には、摩耗または損傷したガラスワイパ装置を交換する必要がある。従来は、ガラスワイパ装置の交換は比較的面倒であった。というのも、ガラスワイパ装置は通常、ねじ接続によって駆動軸に固定されているからである。
【0006】
発明の開示
本発明の課題は、上述の欠点のうち少なくとも1つまたは複数が緩和し、または実質的に生じないようにしたガラスワイパ装置を実現することである。
【0007】
前記課題は、独立請求項に記載の発明によって解決される。
【0008】
本発明の1つの側面では、固定要素を備えた車両用のガラスワイパ装置、特に自動車用のガラスワイパ装置を開示する。ガラスワイパ装置は、少なくとも一部が可撓性である細長い上部分と細長い下部分とを有するワイパブレードを具備する。さらに、上部分と下部分とを接続するための複数の接続要素が、ワイパブレードの長手方向において互いに離隔して設けられている。接続要素は、ワイパブレードの長手方向における動き成分を含む、上部分と下部分との相互の相対運動を可能とするように構成されている。さらに、ワイパブレードはワイパブレード側固定部品も有する。このワイパブレード側固定部品は、固定要素を挿入できる締着要素を有し、この締着要素は、固定要素と力結合および/または形状結合を成すように構成されている。
【0009】
本発明の他の1つの側面は、ガラスワイパ装置の装着方法を対象とする。本方法は、上述の実施形態のガラスワイパ装置を準備するステップを有する。さらに本方法は、締着要素と固定要素との力結合および/または形状結合を成すことにより、ワイパブレード側固定部品を当該固定要素に固定するステップを有する。
【0010】
従属請求項、図面および本願明細書から、本発明の有利な実施形態および具体的な側面が明らかである。
【0011】
発明の利点
本願にて記載している実施形態の本願に記載のガラスワイパ装置と、かかるガラスワイパ装置の装着方法とにより、簡単に着脱可能なガラスワイパ装置が実現される。有利にはフィンレイ型であるこのガラスワイパ装置は、1回の動き(「One Click」)で、ワイパ用の駆動軸とすることができる固定要素に装着され、この固定要素から取り外される。これにより、損傷時にはガラスワイパ装置を簡単に交換することができ、または、洗車設備内を通過する前に簡単に取り外して、その後に装着して戻すことができる。
【0012】
本発明の実施形態では、締着要素は開口を有し、この開口内に固定要素を挿入することができる。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、1回の動きだけで、すなわち、力結合および/または形状結合を成すべく締着要素を開口に挿入することにより、ワイパブレードをマウント部材に固定することができる。
【0013】
本発明の実施形態では、開口の大きさは可変である。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、ガラスワイパ装置を種々の態様の固定要素と組み合わせて使用することができる。
【0014】
本発明の実施形態では、開口の周領域は、固定要素と上述の力結合および/または形状結合を成すように構成されている。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、たとえば開口の大きさが変化することで、締着要素と固定要素とを簡単に力結合および/または形状結合することができ、かつ取り外すことができる。
【0015】
本発明の実施形態ではワイパブレード側固定部品は、力結合および/または形状結合を解除するように構成された操作装置を有する。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、ワイパブレードを簡単に取り外すことができる。
【0016】
本発明の実施形態では操作装置は、操作に応じて開口の大きさを変化させるように構成されている。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、ワイパブレードを簡単に着脱することができる。
【0017】
本発明の実施形態では、締着要素はU字形である。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、ガラスワイパ装置を簡単かつ低コストで製造することができる。
【0018】
本発明の実施形態では、操作装置は、U字形の締着要素の2つの開放端間に挿入可能となっている。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、力結合および/または形状結合を簡単に解除することができる。
【0019】
本発明の実施形態では、締着要素は保持ばねを含む。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、ガラスワイパ装置を簡単かつ低コストで製造することができる。
【0020】
本発明の実施形態では締着要素は、上述の力結合および/または形状結合を成すべく当該固定要素の凹部に係合するように構成されている。かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。このようにして、マウント部材に対するワイパブレード側固定部品の相対位置をしっかり固定できるガラスワイパ装置が実現される。
【0021】
図面の簡単な説明
図面に本発明の実施例を示しており、以下の記載にてこれらの実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態の、固定されていない状態のガラスワイパ装置の概略図である。
【
図2】
図1の本発明の実施形態の、固定された状態のガラスワイパ装置の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態の固定要素の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態の締着要素の斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態の、固定要素に装着されたガラスワイパ装置の概略図である。
【
図6】ワイパブレードをワイパアームに組み付けた形態である、本発明の他の一実施例の基本状態のガラスワイパ装置の概略図である。
【
図7】
図6のワイパアームにワイパブレードを組み付けたものがガラスに密着した状態の概略図である。
【
図8】本発明の実施形態のガラスワイパ装置の装着方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0023】
本発明の実施形態
以下、特記しない限り、同一要素および同機能の要素には同一の符号を使用する。
【0024】
図1および
図2に、本発明の実施形態のガラスワイパ装置100を概略的に示す。
図1は、固定されていない状態のガラスワイパ装置100を示しており、
図2は、固定された状態の
図1のガラスワイパ装置100を示している。
【0025】
本発明の実施形態では、ガラスワイパ装置100はフィンレイ構造と、締着要素を有するワイパブレード側固定部品20とを備えている。
【0026】
本発明の実施形態ではガラスワイパ装置100は、少なくとも一部が可撓性である細長い上部分10と細長い下部分12とを有するワイパブレード2を具備する。さらに、上部分10と下部分12とを接続するための複数の接続要素18が設けられており、これらの接続要素18は、ガラスワイパ装置100の長手方向8において互いに離隔されている。接続要素18は、ガラスワイパ装置100の長手方向8における動き成分を含む、上部分10と下部分12との相互の相対運動を可能とするように構成されている。
【0027】
本発明の実施形態では、ワイパブレード2は、ワイパブレード側固定部品20を有する。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。このワイパブレード側固定部品20は、車両の固定要素50を挿入できる締着要素を有する。締着要素は、固定要素50と力結合および/または形状結合を成す構成となっている。
【0028】
本発明の複数の実施形態では「力結合」とは、力の伝達により生じるあらゆる結合を指す(たとえば力伝達的結合、摩擦結合)。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることが可能である。上述の結合は特に、圧力および/または摩擦力を利用する。かかる結合の繋がりは、作用力によって達成される。
【0029】
本発明の複数の実施形態では「形状結合」とは、少なくとも2つの要素が互いに係合することにより生じるあらゆる結合を指す(形状束縛的な結合)。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることが可能である。特に、力伝達がない場合または中断した場合であっても、要素は機械的に結合されて、解除されることはない。
【0030】
図1および
図2に例示しているように、ガラスワイパ装置100の実施形態のワイパブレード側固定部品20は、固定要素50と接続することができ、または固定要素50に固定することができる。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。上述の接続または固定を行うためには、固定要素50をワイパブレード側固定部品20の締着要素に、
図1中にて矢印5により示されているように挿入する。典型的な実施形態では、締着要素はワイパブレード側固定部品50内に存在しているか、またはワイパブレード側固定要素50に組み付けられている。
【0031】
締着要素は固定要素50と力結合および/または形状結合を成すことにより、ワイパブレード側固定部品20を車両の固定要素50に固定的に接続する。このようにして、固定要素50に対するワイパブレード側固定部品20の相対位置をしっかり固定できるガラスワイパ装置100が実現される。
【0032】
本発明の実施形態では、締着要素は開口を有し、この開口内に固定要素50を挿入することができる。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。典型的な実施形態では、この開口の大きさは可変または変化可能である。たとえば開口の大きさは、操作装置21(「解除ボタン」)によって変化することができる。本発明の実施形態では、開口の周領域は、固定要素50と力結合および/または形状結合を成す構成となっている。かかる構成により、たとえば開口の大きさが変化することにより、締着要素と固定要素50とを簡単に力結合および/または形状結合することができ、かつ取り外すことができる。
【0033】
本発明の実施形態では、ワイパブレード側固定部品20が有する上述の操作装置21はさらに、力結合および/または形状結合を解除するように構成されている。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。典型的な実施形態では、操作装置21はキーまたは押しボタンを有する。これによりユーザは、操作装置21を押すことによって力結合および/または形状結合を解除して、ガラスワイパ装置100を取り外すこと、ないしは固定要素50から取り出すことができる。これにより、損傷時にはガラスワイパ装置100を簡単に交換することができ、または、洗車設備内を通過する前に簡単に取り外して、その後に装着して戻すことができる。
【0034】
大抵の実施形態では、押しボタンを操作装置21としてガラスワイパ装置の片面に、たとえば
図1に示されているようにガラスワイパ装置の後面または上面に、すなわちガラスとは反対側の面に設けることができる。他の1つの択一的態様では、2つの押しボタンを操作装置21として、たとえば固定部品20の両面に設けることもできる。
【0035】
本発明の実施形態では、操作装置21はさらに、ガラスワイパ装置100を固定要素50に装着することを可能とする構成となっている。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。たとえば、操作装置21を操作することにより締着要素を開放または解除することにより、固定要素50を挿入できるようにすることができる。特に、かかる挿入は操作装置21の操作中に行われるようにすることができる。挿入後、操作装置21の操作を終了または解除することができ(たとえば、キーまたは押しボタンを離すことによって)、これにより力結合および/または形状結合が形成される。これにより、損傷時にはガラスワイパ装置100を簡単に交換することができ、または、洗車設備内を通過する前に簡単に取り外して、その後に装着して戻すことができる。
【0036】
図3は、本発明の実施形態の、車両に設けられた固定要素50の斜視図である。
【0037】
本発明の実施形態では固定要素50は、ガラスワイパ装置100用の駆動軸または駆動シャフトとして設けられている。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。
【0038】
図3に例示されているように、固定要素50は凹部または溝51を有する。典型的な実施形態では、ガラスワイパ装置100の締着要素は、固定要素のこの凹部または溝51に係合して力結合および/または形状結合を成す構成となっている。
【0039】
図3に示された一例の固定要素50は、さらに、円錐形領域52も有する。この円錐形領域は本発明の典型的な実施形態では、固定要素をガラスワイパ装置100の締着要素に挿入しやすくするため、凹部51より上方に設けられている。
【0040】
本発明の実施形態では固定要素50は、ワイパアームへトルクを伝達するため(符号53)、保持ばねにより軸方向に固定するため(凹部51)および/またはワイパアームと共に軸方向に案内するため(符号54)の接触部50として形成されている。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。
【0041】
本発明の実施形態では、締着要素22、たとえば保持ばねは、ワイパブレードないしはワイパブレード側固定部品20内に固定的に組み付けられているかまたは封入されている。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。ワイパは、ベアリングシャフトに軸方向に嵌められる。このような構成により、典型的な実施形態では、固定のために並進移動が行われる。たとえば、軸に嵌められると、ばねが反って凹部(接触面)51に係止する。トルク伝達は接触面53によって保証される。典型的な実施形態では、接触面54が径方向の動きの自由度/径方向の遊びを制限する。
【0042】
図4Aおよび
図4Bは、本発明の実施形態の締着要素22の斜視図である。
【0043】
本発明の実施形態では、締着要素22は開口23を有し、この開口23内に固定要素50を挿入することができる。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。典型的な実施形態では、この開口23の大きさは可変または変化可能である。
【0044】
図4Aに示された一例の締着要素22は、U字形に形成されている。このU字形の締着要素22は、1つの閉鎖端24と2つの開放端25とを有する。閉鎖端24と開放端25との間の領域において、U字形の2つの脚部間の距離が変化することにより、開口23が形成される。典型的な実施形態では、この開口23は円形または楕円形である。とりわけ、U字形の締着要素22の両脚部は、開口23が円形または楕円形となるように成形されている。
【0045】
本発明の実施形態では、操作装置21は
図4Bに例示されているように、U字形の締着要素22の2つの開放端間に挿入可能となっている。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。典型的な実施形態では、操作装置21の挿入または係合を可能とすべく、開放端25を漏斗形に形成することができる。
【0046】
図4Bに例示されているように、操作装置21によって締着要素22のU字形を拡開して、開口23の大きさを変化させることができる。とりわけ、固定要素50を開口23に挿入するために、当該開口を操作装置21によって拡開することができる。典型的な実施形態では、締着要素22と固定要素50との力結合および/または形状結合を確立するため、上述の挿入後に操作を解除することができる。
【0047】
本発明の実施形態では、締着要素22は保持ばねとして形成されている。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。かかる構成により、締着要素22を簡単かつ低コストで製造することができる。
【0048】
図3に示されているように、固定要素50は凹部または溝51を有することができる。典型的な実施形態では締着要素22は、固定要素50のこの凹部51に係合して力結合および/または形状結合を成す構成となっている。
図4Aおよび
図4Bを参照すると、開口23の周領域は、固定要素50と力結合および/または形状結合を成す構成とすることができる。典型的には開口23の周領域は、固定要素50のこの凹部51に係合して力結合および/または形状結合を成す構成となっている。かかる構成により、たとえば開口23の大きさが変化することにより、締着要素22と固定要素50とを簡単に力結合および/または形状結合することができ、かつ取り外すことができる。
【0049】
典型的な実施形態では、ガラスワイパ装置100が装着されていない状態にあるときの開口23の径は、固定要素50の円錐形領域52の最大径(
図3では、円錐形領域52の下端部の最大径)より小さくすることができ、かつ、円錐形領域52(
図3では、円錐形領域52の上端部)の最小径より大きくすることができる。
【0050】
上述の構成により、典型的な実施形態では、ガラスワイパ装置100の装着時に固定要素50の円錐形領域52を開口23に挿入することができ、これにより、挿入が進行するにつれて開口が拡開していく。円錐形領域52の下端部に達すると、開口の周領域は、U字形によって形成された復帰(ばね)力によって凹部51内に移動するかないしは凹部51と係合し、これにより、締着要素22は固定要素50と特に形状結合を成す。締着要素22のこの復帰ばね力は、更に力結合も成すことができる。かかる構成により、締着要素22と固定要素50との力結合および/または形状結合を簡単に確立することができる。
【0051】
本発明の実施形態では、締着要素22、たとえば保持ばねは、ワイパブレードないしはワイパブレード側固定部品20内に固定的に組み付けられているかまたは封入されている。かかる実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができる。ワイパはベアリングシャフトに軸方向に嵌められ、これによりばねが反って凹部(接触部)51に係止する。トルク伝達は接触面53(
図3参照)によって保証される。典型的な実施形態では、接触面54が径方向の動きの自由度/径方向の遊びを制限する。
【0052】
図5は、本発明の実施形態の、固定要素50に装着されたガラスワイパ装置100の概略図である。
【0053】
図5に示されているように、ワイパブレード側固定部品20は固定要素50に取り付けられている。この固定要素50は駆動シャフトとすることができる。締着要素22は固定要素50の凹部に係合することにより、固定要素50と少なくとも形状結合を成す。操作装置50は、締着要素22と固定要素50との力結合および/または形状結合を解除するために、ワイパブレード側固定部品20に設けられている。
【0054】
このようにして、上記にて説明した実施形態により、簡単に着脱可能なガラスワイパ装置が実現される。これにより、損傷時にはガラスワイパ装置を簡単に交換することができ、または、洗車設備内を通過する前に簡単に取り外して、その後に装着して戻すことができる。
【0055】
以下、本願にて記載されているガラスワイパ装置を有利に使用できるワイパシステムの実施例を説明する。しかし基本的には、本願にて記載されている固定装置は、他のガラスワイパ装置にも用いることができる。
【0056】
図6および
図7は、本発明の実施形態のガラスワイパ装置100の、基本状態にあるワイパブレード2の概略図(
図6)と、ガラス4に密着した状態のワイパブレード2の概略図(
図7)である。このワイパブレード2は車両のガラス4を払拭するためのものであり、この車両はたとえば自動車であり、特に乗用車である。通常、ワイパブレード2は、払拭を行うためにモータによって駆動されるガラスワイパアームに取り付けられている。こうするために、ワイパブレード2はホルダを備えており、このホルダでワイパブレード2をガラスワイパアームに固定することができる。
図6ではワイパブレード2は、少なくとも部分的にガラス4から浮いている基本状態となっている。ワイパブレード2は長手方向8を有し、細長い上部分10と、同様に細長い下部分12とを有する。上部分10および下部分12の長手方向は、実質的に、ワイパブレード2の長手方向8に相当する。
【0057】
上部分10および下部分12は双方とも可撓性の梁であるか、または、
図6および
図7の実施例のようにそれぞれ一部品として形成された可撓性の梁とすることもできる。これにより、特に安定的な構造を達成することができる。また、上部分10の一部のみおよび/または下部分12の一部のみを可撓性とすることも、同様に可能である。これに代えて、上部分10をマルチピース構成することも可能である。
【0058】
多くの実施形態では、弾性率が0.005kN/mm
2から0.5kN/mm
2までの間の範囲内、特に0.01kN/mm
2から0.1kN/mm
2までの範囲内である材料を、上部分10および/または下部分12に使用する。当該実施形態は、ここで開示している他の実施形態と組み合わせることができる。これにより、上部分10および下部分12の適切な曲げ性能を達成することができる。このようにすると、上部分10および下部分12の適切な構成の断面とも相俟って、最適な曲げ剛性を達成することができる。上部分10および下部分12は、互いに対向するように配置されている。上部分10の一端は、外側の接続位置34において下部分12の一端に固定的に接続されている。それ以外の場所では、上部分10と下部分12とは互いに離隔されている。
【0059】
上部分10と下部分12とは、接続要素18によって互いに接続されている。とりわけワイパブレード2が基本状態にあるとき、接続要素18はワイパブレード2の長手方向8に対してほぼ横方向に延在する。接続要素18は回転ジョイント19を用いて、上部分10および下部分12の互いに対向する長辺内側面に固定されている。この回転ジョイント19は、ここではヒンジである。とりわけ、回転ジョイント19はフィルムヒンジとすることができる。このことが特に有利であるのは、上部分10、下部分12および/または接続要素18がプラスチック材料から作製されている場合、または、適切なプラスチック材料によって被覆されている場合である。
【0060】
本願にて記載されている典型的な実施形態では、回転ジョイントは、以下のものから成る群から選択されたものである:
ヒンジ
フィルムヒンジ
ねじれ軸に沿った剛性をより小さくするための材料のテーパ部
回転軸を有するジョイント
上部分を接続要素に接続するための、または、下部分を接続要素に接続するための手段であって、当該下部分を上部分に対して長手方向において変位させることができる手段、等。
かかる実施形態は、本願にて記載されている他の実施形態と組み合わせることができる。
【0061】
よって、ジョイントがフィルムヒンジによって実現される実施形態により、フィンレイ型ワイパ用のジョイントを実現するための非常に簡単な手段が実現される。ワイパブレード2は単独部品として、特に工具による加工品として実現することができる。典型的な実施形態では、ガラスワイパ装置とりわけワイパブレードは、TPE(熱可塑性エラストマ)、たとえばTPE‐S、TPE‐O、TPE‐U、TPE‐A、TPE‐VおよびTPE‐Eから成る群に属する1つまたは複数の材料から作製されたものである。フィルムヒンジは、高い延性を有するものとすることができる。この高い延性はたとえば、PP、PE、POMおよびPAの群から選択された材料により実現することができる。これに代えてフィルムヒンジは、TPE(熱可塑性エラストマ)、たとえばTPE‐S、TPE‐O、TPE‐U、TPE‐A、TPE‐VおよびTPE‐Eから成る群に属する1つまたは複数の材料から作製されたものとすることができる。
【0062】
接続要素18はワイパブレード2の長手方向において互いに離隔されている。各2つの隣接する接続要素18間の距離は等しい。しかし、各距離を異なって選択することもできる。その距離は有利には50mm未満であり、特に30mm未満である。かかる構成により、ガラスワイパ装置の特に高いフレキシビリティ、とりわけ下部分の特に高いフレキシビリティを保証し、かつ、払拭対象のガラスの曲率および曲率変化に良好に適合することを保証することができる。
【0063】
特にワイパブレード2が基本状態になっているときに、接続要素18の各長手軸線が下部分12との間に、65°から115°までの間、特に75°から105°までの間の角度26を成して延在するように、接続要素18は下部分12に固定される。特に有利なのは、80°から100°までの間の角度である。かかる構成により、下部分にかかる力が上部分に特に良好に伝わることを保証できるという利点が奏される。さらに、かかる構成により、特に安定的なガラスワイパ装置を実現することができる。接続要素18を上部分10に固定する場合についても、上述のことが同様に当てはまる。
【0064】
上部分10と下部分12との間の距離は特に、接続要素18の長さによって決定される。接続要素18の各長さは、外側接続位置から、たとえばワイパブレード側固定部品20の起点となる場所まで増大していく。かかる構成により、
図6に示されたワイパブレード2の側面図を見ると、上部分10と下部分12とは楔を成す。接続要素18は曲げ剛性となっている。
【0065】
図7は、ガラス4に密着した状態の、
図6のワイパブレード2の概略図である。ガラス4は湾曲を有しているので、ワイパブレード2がガラス4に当接すると下部分12に接触加圧力がかかる。上部分10および下部分12は可撓性の梁であり、接続要素12は上部分10および下部分12に回転可能に取り付けられているので、上部分10と下部分12とは相対的に変位可能となっている。下方から下部分12にかかる加圧力により、ワイパブレード2は、当該加圧力が来た方向に曲がり、ガラス4の湾曲にぴったり密着する。
【0066】
本願にて記載されている実施形態の構成により、下部分に(ガラス4によって)力が作用した場合、当該力が来た方向に当該下部分が曲がる。このことは、上部分10と下部分12とを接続位置14および/または16において接続することと、形状と、接続要素と上部分ないしは下部分との接続部に設けられた回転ジョイントとによって実現される。
【0067】
図7では、ワイパブレード2とガラス4との間に小さい間隔が存在しているのが示されているが、この間隔はガラス4とワイパブレード2とを明確に示すためだけのものであり、実際には、ワイパブレード2がガラス4に当接すると、この間隔の大部分が無くなることとなる。さらに典型的には、下部分12の、上部分10とは反対側の下面に、払拭のためにガラス4上に載せられるワイパリップが設けられている。概観しやすくするため、ワイパリップは
図6および
図7では示されていない。
【0068】
ここで記載された実施形態のガラスワイパ装置は、特定の魚の尾びれの作用を利用したものであり、かかる魚の尾びれは、側方にて加圧されると加圧方向に反れずにその逆方向に湾曲する。すなわち、圧力が来た方向に湾曲する。この原理は「鰭条原理」または「フィンレイ」原理とも称される。かかる構成により、上記の実施形態のガラスワイパ装置は、自動車のガラスへの密着を改善できるという利点を奏する。従来のガラスワイパブレードでは、その上部分は通常剛性となっている。すなわち、上部分は可撓性になっていない。
【0069】
図6および
図7は、長手方向8を有するワイパブレード2を示している。このガラスワイパ装置は、接続位置34を1つだけ有している。かかる構成は、リアガラスワイパに使用されることが多い。しかし、本発明はリアガラスワイパに限定されることはなく、本願にて記載された実施形態のガラスワイパ装置は、フロントガラスワイパにも使用することができる。各個別の実施形態にて記載されているようなオプションの構成および詳細は、一般的に両変形態様のガラスワイパ装置の配置構成に用いることができる。
【0070】
図6および
図7にはさらにワイパブレード側固定部品20も示されており、このワイパブレード側固定部品20にワイパブレード2が取り付けられている。ワイパブレード側固定部品20はワイパモータ32に接続されており、このワイパモータ32は、ガラス4を払拭するようにワイパブレード側固定部品20を駆動するものである。この固定部品30は、本発明の実施形態による構成とすることができる。さらに、ワイパモータ32を固定部品50に接続することもできる。
【0071】
ワイパブレード2は楔形に形成されており、上部分10の一端は外側接続位置34において下部分12の一端に固定的に接続されている。上部分10および下部分12の各他端は、ワイパブレード側固定部品20に固定されている。
【0072】
図6では、ワイパブレード2はガラスに密着した状態となっておらず、下部分12が実質的に直線となっているのが示されている。さらに他の実施形態では、下部分は無荷重状態では凸形である。すなわち、中間部分が上部分から離反していく方向に突出する湾曲を有する。当該他の実施形態は、他の実施形態と組み合わせることが可能である。ここで記載されている実施形態のガラスワイパ装置は典型的には、ガラスと接触すると、下部分は上述の凸形状から、ガラスに対応した凹形状をとり、ガラスに密着することができる。
【0073】
ガラスワイパ装置100の装着方法200の実施形態を示すため、
図8にフローチャートを示す。本方法200の実施形態では、本方法200は、上述の実施形態のガラスワイパ装置を準備するステップ201を有する。さらに本方法は、締着要素と固定要素との力結合および/または形状結合を成すことにより、ワイパブレード側固定部品を当該固定要素に固定するステップ202を有する。
【0074】
このようにして、本願にて記載している実施形態のガラスワイパ装置と、かかるガラスワイパ装置の装着方法とにより、簡単に着脱可能なガラスワイパ装置が実現される。これにより、損傷時にはガラスワイパ装置を簡単に交換することができ、または、洗車設備内を通過する前に簡単に取り外して、その後に装着して戻すことができる。