(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明において、図面に示されたいくつかの図に亘り、同様の参照記号は、同様のまたは対応する部品を示す。特に明記のない限り、「上部」、「底部」、「外方」、「内方」などの用語は、便宜上の単語であり、限定用語として解釈すべきではないことも理解されよう。その上、群が、複数の要素およびその組合せの群の少なくとも1つを含むと記載されているときはいつでも、その群は、個別または互いの組合せのいずれかで、列挙されたそれらの要素のいくつを含む、から実質的になる、またはからなることもあることが理解されよう。
【0016】
同様に、群が、複数の要素またはその組合せの群の少なくとも1つからなると記載されているときはいつでも、その群が、個別に、または互いとの組合せのいずれかで、列挙されたそれらの要素のいくつからなってもよいと理解される。特に明記のない限り、値の範囲は、列挙された場合、その範囲の上限と下限の両方を含む。ここに用いたように、名詞は、特に明記のない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」の対象を指す。
【0017】
本開示の以下の説明は、その教示を可能にする、現在公知の最良の実施の形態として提供される。本開示の有益な結果をまだ得ながら、ここに記載された実施の形態に多くの変更を行えることが、当業者には認識されよう。本開示の所望の利益のいくつかは、本開示の特徴のいくつかを選択し、他の特徴は利用せずに得られることも明白であろう。したがって、当業者は、本開示の多くの改変および適応が可能であり、特定の環境においては望ましいことさえあり、本開示の一部であることを認識するであろう。それゆえ、以下の説明は、本開示の原理の実例として提供され、その限定ではない。
【0018】
当業者には、ここに記載された例示の実施の形態に対する多くの改変が、本開示の精神および範囲から逸脱せずに可能であることが認識されよう。それゆえ、その記載は、与えられた実施例に制限されると意図されておらず、またそのように解釈されるべきではないが、付随の特許請求の範囲およびその同等物により与えられる保護の全範囲が承諾されるべきである。その上、本開示の特徴のいくつかを、他の特徴を対応して使用せずに、使用することが可能である。したがって、例示または説明のための実施の形態の以下の記載は、本開示の原理を説明する目的で与えられており、その限定のためではなく、それに対する改変およびその置換を含むことがある。
【0019】
ここに開示されたガラス積層構造体は、いくつかの実施の形態において、外側化学強化ガラス板および内側非化学強化ガラス板を備えるように構成できる。他の実施の形態において、ガラス積層構造体は、内側化学強化ガラス板および外側非化学強化ガラス板を備えるように構成できる。またさらなる実施の形態において、ガラス積層構造体は、外側および内側化学強化ガラス板を備えるように構成できる。ここに定義されるように、ガラス積層構造体を実際に使用するときに、外側ガラス板は、環境に最も近いまたは接触しており、一方で、内側ガラス板は、そのガラス積層板が組み込まれた構造体(例えば、建物など)または乗り物(例えば、自動車)の内部(例えば、運転席)に最も近いまたは接触している。もちろん、実施の形態は、中間に高分子中間層を持たないガラスまたはガラス−ガラス積層構造体の1枚のシートを含むことができるので、ここに付随する特許請求の範囲は、そのように制限されるべきではない。
【0020】
ガラス積層構造体
例示の非限定的なガラス積層構造体が
図1に示されている。ガラス積層構造体100は、外側ガラス板110、内側ガラス板120、および高分子中間層130を備えている。この高分子中間層は、外側および内側ガラス板のそれぞれと直接物理的に接触し(例えば、貼り合わされ)得る。外側ガラス板110は、外面112および内面114を有する。同様に、内側ガラス板120は、外面122および内面124を有する。図示した実施の形態に示されるように、外側ガラス板110の内面114および内側ガラス板120の内面124の各々は、高分子中間層130と接触している。ガラス−ガラス積層構造体において、積層構造体100は高分子中間層を備えていない。
【0021】
使用中、ガラス積層構造体は、外部衝突事象に対する破砕に抵抗することが望ましい。しかしながら、乗り物の乗員に衝突されたガラス積層構造体などの内部衝突事象に対して、ガラス積層構造体は、乗員を乗り物内に保持するけれども、怪我を最小にするために、衝突の際にエネルギーを消散させることが望ましい。乗り物内部から生じる衝突事象をシミュレーションするECE R43頭部試験は、積層板ガラスが特定の内部衝突を受けて割れることを要求する規制試験である。
【0022】
理論により束縛することを意図しないが、ガラス板/高分子中間層/ガラス板の積層板の1枚の板ガラスに衝突したときに、衝突された板の反対面、並びに反対の板の外面は、張力下に置かれる。二軸負荷の状態にあるガラス板/高分子中間層/ガラス板の積層板について計算された応力分布により、衝突を受けた板の反対面における引張応力の大きさは、低い負荷速度に関する反対の板の外面で経験される引張応力の大きさに匹敵することが(またはそれよりわずかに大きいことさえ)あることが明らかになった。しかしながら、自動車内で通常経験される衝突の特徴である、高い負荷速度に関して、反対の板の外面での引張応力の大きさは、衝突を受けた板の反対面での引張応力よりもずっと大きいであろう。ここに開示されるように、ハイブリッド型ガラス積層構造体を、化学強化外側ガラス板および非化学強化内側ガラス板を有するように構成することにより、外側および内側両方の衝突事象の耐衝撃性を最適化することができる。
【0023】
いくつかの実施の形態において適切な内側ガラス板は、ソーダ石灰ガラスなどの非化学強化ガラス板であって差し支えない。必要に応じて、内側ガラス板は熱強化されてもよい。非化学強化ガラス板としてソーダ石灰ガラスが使用される実施の形態において、従来の装飾材料および方法(例えば、ガラスフリットエナメルおよびスクリーン印刷)を使用することができ、これにより、ガラス積層構造体製造プロセスを簡単にすることができる。電磁スペクトルに亘り所望の透過および/または減衰を達成するために、着色ソーダ石灰ガラス板をハイブリッド型ガラス積層構造体に組み込むことができる。
【0024】
適切な外側(または内側)ガラス板は、イオン交換プロセスによって化学強化してよい。このプロセスにおいて、一般に、所定の期間に亘りガラス板を溶融塩浴中に浸漬することによって、ガラス板の表面のまたはその近くのイオンが、塩浴からのより大きい金属イオンと交換される。1つの実施の形態において、溶融塩浴の温度は約410℃から約480℃であり、所定の期間は2時間から約8時間であり得る。ガラス中へのより大きいイオンの取込みによって、表面近くの領域に圧縮応力を生じることによって、板が強化される。その圧縮応力と釣り合うように、対応する引張応力がガラスの中央領域内に誘発される。
【0025】
上述したように、ガラス板を使用して、ガラス積層構造体を形成することができる。ここに定義されるように、いくつかの実施の形態において、ハイブリッド型ガラス積層構造体は、外部に面する化学強化ガラス板、内部に面する非化学強化ガラス板、およびそれらのガラス板の間に形成された高分子中間層を備えている。他の実施の形態において、ハイブリッド型ガラス積層構造体は、内部に面する化学強化ガラス板、外部に面する非化学強化ガラス板、およびそれらのガラス板の間に形成された高分子中間層を備えている。またさらなる実施の形態において、ガラス積層構造体は、中間にある高分子中間層と共に2枚の化学強化ガラス板を備えても差し支えない、または中間に高分子中間層を持たないガラス−ガラス積層構造体を含み得る。この高分子中間層は、単体高分子シート、多層高分子シート、または複合高分子シートからなっても差し支えない。この高分子中間層は、例えば、可塑化ポリ(ビニルブチラール)シートであって差し支えない。
【0026】
ガラス積層構造体は、建築および自動車開口部における光学的に透明なバリア、例えば、自動車用板ガラスを提供するために適用できる。ガラス積層構造体は、様々なプロセスを使用して形成できる。組立ては、例示の実施の形態において、第1のガラス板を配置し、PVB板などの高分子中間層を上に載せ、第2のガラス板を配置し、次いで、ガラス板の縁で過剰のPVBを切り落とす各工程を含む。貼合せ工程は、界面から空気のほとんどを追い出し、PVBをガラス板に部分的に結合させる各工程を含み得る。典型的に高温および高圧で行われる仕上げ工程により、各ガラス板の高分子中間層への接合が完了する。前述の実施の形態において、第1の板は化学強化ガラス板であって差し支えなく、第2の板は非化学強化ガラス板であって差し支えなく、その逆も同様であり得る。
【0027】
PVBなどの熱可塑性材料は、予め形成した高分子中間層として施してもよい。この熱可塑性層は、特定の実施の形態において、少なくとも0.125mm(例えば、0.125、0.25、0.38、0.5、0.7、0.76、0.81、1、1.14、1.19または1.2mm)の厚さを有し得る。この熱可塑性層は、1.6mm以下(例えば、約0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1または1.2mmなどの0.4から1.2mm)の厚さを有し得る。この熱可塑性層は、ガラスの2つの対向する主面のほとんど、または好ましくは実質的に全てを被覆し得る。この層は、ガラスの縁面も被覆してもよい。熱可塑性層と接触したガラス板は、熱可塑性材料のそれぞれのガラス板への結合を促進するために、例えば、軟化点よりも少なくとも5℃または10℃高いなどの、熱可塑性材料の軟化点よりも高く加熱してよい。加熱は、加圧下で熱可塑性層と接触したガラスに行うことができる。
【0028】
選ばれた市販の高分子中間層材料が表1に纏められており、この表には、各製品サンプルに関するガラス転移温度およびモジュラスも含まれている。ガラス転移温度およびモジュラスのデータは、それぞれ、ガラス転移温度およびモジュラスのデータについて、供給メーカーから入手できる技術データシートから、もしくはDSC 200示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社、日本国)を使用して、またはASTM D638法により、決定した。ISD樹脂に使用したアクリル/シリコーン樹脂材料のさらなる説明が、米国特許第5624763号明細書に開示されており、音響用に改良されたPVB樹脂の説明が、特開平5−138840号公報に開示されており、それら文献の全てが、ここに引用される。
【0030】
ガラス積層構造体(ハイブリッド型か、そうでないもの)に、1つ以上の高分子中間層を組み込んでもよい。複数の中間層は、接着促進、音響制御、UV透過率制御、色付け、着色制御および/またはIR透過率制御を含む、補完的または特異的機能性を提供するであろう。
【0031】
前記高分子中間層の弾性率は、約1MPaから75MPa(例えば、約1、2、5、10、15、20、25、50または75MPa)に及び得る。1Hzの負荷速度では、標準的なPVB中間層の弾性率は約15MPaであり得、音響グレードのPVB中間層の弾性率は約2MPaであり得る。
【0032】
ガラス積層構造体の全厚は、約1.0mmから5mmに及び得、外側および/または内側化学強化ガラス板の厚さは、1.4mm以下(例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、または1.4mmなどの0.5から1.4mm等)である。さらに、内側および/または外側非化学強化ガラス板の厚さは、2.5mm以下(例えば、1、1.5、2または2.5mmなどの1から2mm等)であって差し支えなく、または2.5mm以上であってもよい。実施の形態において、ガラス積層構造体におけるガラス板の全厚は、3.5mm未満(例えば、3.5、3、2.5または2.3mm未満)であり得る。
【0033】
例示の積層プロセス中に、中間層は、典型的に、その中間層を軟化させるのに効果的な温度に加熱され、それにより、前記ガラス板のそれぞれの表面への当該中間層の適合した貼合せが促進される。PVBについて、積層温度は約140℃であり得る。中間層材料内の移動性高分子鎖がガラス表面と結合し、これが接着を促進する。高温もまた、ガラスと高分子との界面からの残留空気および/または水分の拡散を加速させる。
【0034】
圧力の印加は、中間層材料の流れを促進させ、かつそうでなければ界面に捕捉される水および空気の総蒸気圧により誘発され得る気泡の形成を抑制する。気泡の形成を抑制するために、熱と圧力は、オートクレーブ内で前記アセンブリに同時に印加する。
【0035】
ここに記載されたいくつかの実施の形態によるガラス積層構造体は、音響ノイズの減衰、紫外線および/または赤外線透過の低減、および/または窓開口の美的魅力の向上を含む、有益な効果を提供することができる。開示されたガラス積層構造体、並びに形成された積層板を構成する個々のガラス板は、組成、密度、厚さ、表面計測学を含む1つ以上の特質、並びに光学的性質、音減衰特性、および耐衝撃性などの機械的性質を含む様々な性質によって特徴付けることができる。
【0036】
例示のハイブリッド型ガラス積層構造体は、例えば、窓または板ガラスとしての使用に適合させることができ、どのような適切なサイズおよび寸法に構成することもできる。実施の形態において、ガラス積層構造体の長さと幅は、10cmから1m以上(例えば、0.1、0.2、0.5、1、2、または5m)まで独立して様々である。ガラス積層構造体は、自由に、0.1m
2超、例えば、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、または25m
2超の面積を有し得る。
【0037】
前記ガラス積層構造体は、特定の用途のために、実質的に平らであっても、成形されていても差し支えない。例えば、ガラス積層構造体は、フロントガラスおよび他の自動車用ガラス構造体(内部または外部)、ディスプレイ(内部または外部)、建物の窓、カバープレートなどとして使用するための曲げ部品または成形部品として形成することができる。形成ガラス積層構造体の構造は、単純であっても、複雑であってもよい。特定の実施の形態において、成形ガラス積層構造体は、ガラス板が、独立した二方向で別個の曲率半径を有する複雑な曲率を有してもよい。それゆえ、そのような成形ガラス板は、ガラスが、所定の寸法に対して平行な軸に沿って曲げられ、かつ同じ寸法に対して垂直な軸に沿っても曲げられている「交差曲率(cross curvature)」を有するものとして特徴付けてもよい。非限定的例としての、自動車のサンルーフは、一般に、約0.5m×1.0mであり、短軸に沿った2から2.5mの曲率半径、および主軸に沿った4から5mの曲率半径を有する。
【0038】
特定の実施の形態による成形されたガラス積層構造体は、曲げ係数により定義することができ、ここで、所定の部品の曲げ係数は、所定の軸の長さで割ったその軸に沿った曲率半径と等しい。それゆえ、0.5mおよび1.0mのそれぞれの軸に沿った2mおよび4mの曲率半径を有する非限定的例の自動車サンルーフについて、各軸に沿った曲げ係数は4である。成形されたガラス積層構造体は、2から8(例えば、2、3、4、5、6、7、または8)に及ぶ曲げ係数を有し得る。
【0039】
例示の成形ガラス積層構造体200が
図2に示されている。成形ガラス積層構造体200は、積層板の凸面に形成された外側(化学強化)ガラス板110を備え、一方で、内側(非化学強化)ガラス板120はこの積層板の凹面に形成されている。しかしながら、図示していない実施の形態の凸面は、非化学強化ガラス板から構成でき、一方で、反対の凹面は、化学強化ガラス板から構成できる。
【0040】
図3は、本開示のさらに別の実施の形態の断面図である。
図4は、本開示の追加の実施の形態の斜視図である。
図3および4について、先の段落に記載したように、例示の積層構造体10は、化学強化ガラスの内側層16を備えることができる。この内側層16は、熱処理、イオン交換および/または徐冷されていてもよい。外側層12は、従来のソーダ石灰ガラス、徐冷ガラスなどの非化学強化ガラス板であって差し支えない。積層構造体10は、外側ガラス層と内側ガラス層との中間に高分子中間層14も備え得る。ガラスの内側層16は、1.0mm以下の厚さを有し得、20マイクロメートルから60マイクロメートルまたはそれより大きいDOLで、約250MPaから約900MPaの残留表面CSレベルを有する。1つの実施の形態において、中間層14は、約0.8mmの厚さを有し得る。例示の中間層14は、以下に限られないが、ポリビニルブチラールまたはここに記載された他の適切な高分子材料を含み得る。追加の実施の形態において、外側および/または内側層12、16の表面のいずれも、外部衝撃事象に対する耐久性を改善するために、酸エッチングすることができる。例えば、1つの実施の形態において、外側層12の第1の表面13を酸エッチングすることができる、および/または内側層の別の表面17を酸エッチングすることができる。別の実施の形態において、外側層の第1の表面15を酸エッチングすることができる、および/または内側層の別の表面19を酸エッチングすることができる。このように、そのような実施の形態は、従来の積層構造体よりも実質的に軽く、規制上の衝突要件に適合する積層構造物を提供できる。外側および/または内側層12、16の例示の厚さは、0.5mmから1.5mmから2.0mmまたはそれより厚い厚さに及び得る。もちろん、実施の形態は、高分子中間層を持たないガラスまたはガラス−ガラス積層構造体の1枚のシートを含むことができるので、ここに付随する特許請求の範囲は、そのように制限されるべきではない。
【0041】
好ましい実施の形態において、薄い化学強化内側層16は、約250MPaと約900MPaとの間の表面応力を有することがあり、0.4から1.5mmの厚さに及び得る。この実施の形態において、外側層12は、約1.5mmから約3.0mmまたはそれより厚い厚さを有する焼き鈍しされた(非化学強化)ガラスであり得る。もちろん、外側および内側層12、16の厚さは、それぞれの積層構造体10において異なっていて差し支えない。例示の積層構造体の別の好ましい実施の形態は、0.7mmの化学強化ガラスの内側層、厚さが約0.76mmのポリビニルブチラール層、および徐冷ガラスの2.1mmの外側層を含むことがある。
【0042】
ガラス組成物
ハイブリッド型ガラス積層構造体を形成するのに適した非限定的な例示のイオン交換可能なガラスとして、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスまたはアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスが挙げられるが、他のガラス組成物も考えられる。ここに用いたように、「イオン交換可能な」は、ガラスが、そのガラスの表面またはその近くに位置する陽イオンを、サイズがそれより大きいか小さい同じ価数の陽イオンと交換できることを意味する。いくつかの例示のガラス組成物は、SiO
2、B
2O
3およびNa
2Oを含み、ここで、(SiO
2+B
2O
3)≧75モル%、およびNa
2O≧9モル%。他の実施の形態において、ガラス板は、少なくとも7モル%の酸化アルミニウムAl
2O
3を含み得る。いくつかの実施の形態において、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%。他の実施の形態において、適切なガラス組成物は、アルカリおよびアルカリ土類改質剤(例えば、R
2O、RO)を含み得、ここで、R
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%。またさらなる実施の形態において、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%。追加の実施の形態において、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧約88モル%およびR
2O−RO−Al
2O
3<約3モル%。適切なガラス組成物は、いくつかの実施の形態において、K
2O、MgO、Li
2O、ZnO、ZrO
2、Fe
2O
3、SnO
2、CaOおよびそれらの組合せの内の少なくとも1つをさらに含む。
【0043】
ガラスまたはガラス積層構造体を形成するのに適したさらなる例示のガラス組成物は、約70以上〜80モル%のSiO
2、約69〜75モル%のSiO
2、約70〜80モル%のSiO
2、約72〜80モル%のSiO
2、約74〜80モル%のSiO
2、または約76〜80モル%のSiO
2を含む。ガラス組成物は、約6〜12モル%のAl
2O
3、約8〜12モル%のAl
2O
3、または約8〜11モル%のAl
2O
3も含み得る。いくつかのガラス組成物は、約2〜10モル%のB
2O
3、約4〜10モル%のB
2O
3、または約4〜9モル%のB
2O
3を含み得る。追加のガラス組成物は、約0〜5モル%のZrO
2、約0〜4モル%のZrO
2、または約0〜2モル%のZrO
2を含み得る。さらなるガラス組成物は、約0〜5モル%のP
2O
5、約0〜2モル%のP
2O
5、または約0〜1モル%のP
2O
5を含み得る。いくつかのガラス組成物は、約0〜5モル%のLi
2O、約0〜2モル%のLi
2O、または約0〜1モル%のLi
2Oを含み得る。さらなるガラス組成物は、約6〜15モル%のNa
2O、約7〜14モル%のNa
2O、または約7〜12モル%のNa
2Oを含み得る。追加のガラス組成物は、約0〜3モル%のK
2O、約0.1〜2.5モル%のK
2O、または約0.1〜2.2モル%のK
2Oを含み得る。いくつかのガラス組成物は、約0〜5モル%のMaOおよび/またはZnO、約0〜4モル%のMaOおよび/またはZnO、または約0〜3モル%のMaOおよび/またはZnOを含み得る。追加のガラス組成物は、約0〜3モル%のCaO、約0〜2モル%のCaO、または約0〜1.5モル%のCaOを含み得る。いくつかのガラス組成物は、約0〜2モル%のSnO
2、約0.1〜1.5モル%のSnO
2、または約0.1〜0.5モル%のSnO
2を含み得る。実施の形態は、以下に限られないが、Fe
2O
3などの他の改質剤も含み得る。
【0044】
ガラスまたはガラス積層構造体を形成するのに適したいくつかの例示のガラス組成物は、約0.5〜6.0モル%のR
2O−RO−Al
2O
3、約0〜5.0モル%のR
2O−RO−Al
2O
3、もしくは約5モル%未満または約3モル%未満のR
2O−RO−Al
2O
3を有し得る。ガラスまたはガラス積層構造体を形成するのに適した他の例示のガラス組成物は、約84〜92モル%のSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3、約85〜91モル%のSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3、もしくは約86.5モル%以上または約88モル%以上のSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3を有し得る。ガラスまたはガラス積層構造体を形成するのに適したいくつかの例示のガラス組成物は、約0.5〜1.2、約0.6〜0.9、または約0.65〜0.85の(R
2O+RO)/(P
2O
5+B
2O
3+Al
2O
3)を有し得る。ガラスまたはガラス積層構造体を形成するのに適した他の例示のガラス組成物は、約86.5モル%以上のSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3、または約88モル%以上のSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3を有し得る。追加のガラス組成物は、約5モル%未満のR
2O−RO−Al
2O
3、または約3モル%未満のR
2O−RO−Al
2O
3を有し得る。さらなるガラス組成物は、約86.5モル%以上のSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3、および約5モル%未満のR
2O−RO−Al
2O
3、または約3モル%未満のR
2O−RO−Al
2O
3を有し得る。いくつかのガラス組成物は、約88モル%以上のSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3、および約5モル%未満のR
2O−RO−Al
2O
3、または約3モル%未満のR
2O−RO−Al
2O
3を有し得る。いくつかの例示の実施の形態は、少なくとも300MPの圧縮応力および少なくとも15μmのDOLまでイオン交換でき、その場合、KST>約12NおよびH/E>約0.112である。さらなる例示の実施の形態は、少なくとも300MPの圧縮応力および少なくとも15μmのDOLまでイオン交換でき、その場合、KST>約16NおよびH/E>約0.116である。
【0045】
いくつかの実施の形態において、適切なガラス板は、約69〜80モル%のSiO
2、約6〜12モル%のAl
2O
3、約2〜10モル%のB
2O
3、約0〜5モル%のZrO
2、Li
2O、MgO、ZnOおよびP
2O
5、約6〜15モル%のNa
2O、約0〜3モル%のK
2OおよびCaO、並びに約0〜2モル%のSnO
2を含み得る。他の実施の形態において、ガラス板は、約72〜80モル%のSiO
2、約8〜12モル%のAl
2O
3、約4〜10モル%のB
2O
3、約0〜4モル%のZrO
2、MgOおよびZnO、約0〜2モル%のLi
2O、CaOおよびP
2O
5、約7〜14モル%のNa
2O、約0.1〜2.5モル%のK
2O、並びに約0.1〜1.5モル%のSnO
2をさらに含む。またさらなる実施の形態において、ガラス板は、約74〜80モル%のSiO
2、約8〜11モル%のAl
2O
3、約4〜9モル%のB
2O
3、約0〜2モル%のZrO
2、約0〜3モル%のMgOおよびZnO、約0〜1モル%のLi
2OおよびP
2O
5、約7〜12モル%のNa
2O、約0.1〜2.2モル%のK
2O、約0〜1.5モル%のCaO、並びに約0.1〜0.5モル%のSnO
2をさらに含む。いくつかの実施の形態において、(R
2O+RO)/(P
2O
5+B
2O
3+Al
2O
3)は、約0.5〜1.2、約0.6〜0.9、または約0.65〜0.85であり得る。
【0046】
追加の例示の好ましいガラス組成物は、可視範囲(約400nmから約800nm)に亘る透明度(>75%)および従来の設備を使用してガラス板を垂下成形(sag forming)できるようにする725℃での約10
9.9ポアズ未満の粘度を有するように設計することができる。表2に、いくつかのガラス組成物に関する例示の元素組成およびデータが与えられている。
【0048】
図5は、表2において先に列挙された例示の組成物に関する曲げ温度に対するガラス組成の影響を示すグラフである。
図5を参照すると、例示のガラス組成物の最大の単一成分は、SiO
2であると観察できる。このSiO
2は、ガラスの基質を形成し、70モル%超の濃度で存在し得る。そのような実施の形態において、SiO
2は、成形性に有利に働き、ガラスに化学的耐久性を与えるための増粘剤として働くことができる。ガラスの耐久性は、70モル%未満または69モル%未満のSiO
2濃度で損なわれ得ることが見出された。その上、ここに記載された範囲より低いSiO
2濃度では、アルカリまたはアルカリ土類金属酸化物の濃度が高いガラスにおいて、液相温度が相当上昇し得、したがって、ガラスのダウンドロー法による製造が阻まれ得る。それにもかかわらず、SiO
2は溶融温度を著しく上昇させる;しかしながら、この例示のガラス組成物のアルカリ金属酸化物の含有量のために、溶融が促進され、ガラスが軟化し、イオン交換が可能になり、溶融抵抗が低下し得、ガラス網目構造が破壊され得、これにより、熱膨張が増加し、耐久性が低下してしまう。
【0049】
アルカリ土類酸化物(ここでは「アルカリ土類金属酸化物」とも称される)も、ガラスのより急勾配の粘度曲線を生じ得る。アルカリ金属酸化物をアルカリ土類金属酸化物と置き換えると、一般に、高品質ガラスを製造するのに必要な溶融温度を低下させつつ、ガラスの徐冷点および歪み点を上昇させ得る。いくつかの例示の実施の形態において、B
2O
3は、ガラスを軟化させ、ガラスを溶融し易くかつ成形し易くするための融剤として使用できる。B
2O
3は、非架橋酸素原子(NBO)を捕捉し、それにより、NBOを、BO
4四面体の形成により、架橋酸素原子に転化させるためにも使用できる。この四面体の形成により、弱いNBOの数を最小にすることによって、ガラスの靭性が増加する。B
2O
3は、ガラスの硬度も低下させることができ、このことが、より高い靱性と組み合わされた場合、脆性を低下させ、それにより、機械的に耐久性であるガラスが得られる。
【0050】
表2に示されるように、例示の組成物は、破壊せずに、5N以上の、ビッカース圧子からなどの、点接触荷重を受け入れることができ、ヌープ圧子からの7Nまで、および10Nまでの代表的な引っ掻きを受けた後に、リング・オン・リング試験により測定して、初期強度の80%以上を維持することができた。例示の実施の形態は、典型的な損傷暴露後に、改善された機械的性能を維持するのに効率的にイオン交換することもできる。いくつかの実施の形態において、圧縮応力の大きさは、減少した製造コストのために、480℃以下でのイオン交換浴中の2時間未満の後に、DOL>40μmで、550MPa超であり得る。
【0051】
ここに記載された組成物について、ガラス板は、特に、酸または他の有害な環境影響に対する化学的暴露にも耐えることができる。
図6は、酸耐久性に対する、ここに記載された範囲内のガラス組成の影響を示すグラフである。例示の組成物は、ASTM D7356に記載されたものなどのシミュレーションした酸性雨へり暴露下での劣化に抵抗することが見出された。記載されたガラス組成物は、積層窓構造体に使用される高分子中間層の黄変を防ぎ、窓ガラスまたは積層窓構造体の内側のプラスチックまたは他の材料の漂白を防ぐために、320nm未満の紫外線透過を遮断することができる。
【0052】
表3に、さらなるガラス材料に関する追加の例示の元素組成およびデータが与えられている。
【0060】
表3を参照して、ここに記載されたガラスを、約1500℃超の温度で白金坩堝内において溶融し、急冷し、次いで、徐冷した。寸法が、約25×25×1mmまたは約50×50×1mmのガラス板を製造し、次いで、約410℃から約470℃に変化する温度および2時間と8時間の間で変化する時間でKNO
3溶融塩浴を使用して、イオン交換した。引っ掻き抵抗性は、ヌープダイヤモンド圧子を使用して評価した。引っ掻き閾値は、横断亀裂が開始する荷重範囲を特定し、次いで、4mm/秒の速度で一連の増加する一定荷重による5mm長の引っ掻き傷(荷重当たり3以上)を生じさせて、ヌープ引っ掻き閾値(KST)を特定することによって、決定した。横断亀裂は、溝の幅の2倍超の持続した亀裂として定義することができる。
【0061】
図7は、いくつかの実施の形態に関する過剰なアルカリおよびアルカリ土類改質剤の関数としてKSTをプロットしたグラフである。
図7に示されるように、また、表3を参照すると、過剰なアルカリおよびアルカリ土類改質剤(例えば、R
2O、RO)が減少し、ガラスが電荷平衡に近づくにつれて、KSTは増加する。軌道が、ガラス1とガラス19との間の歩みにしたがい、ここで、KSTは、ガラス1(高改質)からガラス19(電荷平衡に近い)に移行するに連れて増加することが観察できる。
【0062】
図8は、いくつかの実施の形態に関する引っ掻き荷重に対するリング・オン・リング破壊荷重をプロットしたグラフである。引っ掻き傷は、様々な荷重でヌープ圧子を使用して、ガラスに印加し、次いで、引っ掻き傷による損傷後に維持された強度を測定するための方法として、リング・オン・リング(ROR)を使用して試験した。徐冷ガラス17およびガラス19を、2時間に亘り470℃でKNO
3塩浴中においてイオン交換した。ガラスA(2318)およびB(4318)を、標準条件を使用してイオン交換し、比較のために使用した。
図8に示されるように、ROR破壊荷重が、引っ掻き荷重の関数として観察できる。例えば、ガラス17およびガラス19は、ガラスAおよびBと比べた場合、著しく高い、引っ掻き傷に対する耐性を示し、25Nほど高い荷重で引っ掻いた場合でさえ、その強度の80%超を維持している。
図8の挿入図は、破壊源として引っ掻き傷を有する部材の百分率を示している。
【0063】
図9は、硬度対モジュラス比(H/E)の関数としてKSTをプロットしたグラフである。
図9および表3に特定された様々なガラスのモジュラスおよび硬度を測定するために、ビッカース圧子を使用したナノ押込みを用いた。
図9および表3を参照すると、KSTの増加は、増加するH/Eと相関するのが分かる。さらに、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%または≧88モル%、および/またはR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%または<約3モル%を有する例示の実施の形態は、ガラスA、C(3318)、D(2320)、およびE(2317)よりも、高いKSTおよび優れたH/Eを示すことが分かる。
【0064】
重ねて、SiO
2は、成形性を促進し、ガラスに化学的耐久性を与える増粘剤として働くことができ、溶融温度を上昇させることができる;しかしながら、例示のガラス組成物のアルカリ金属酸化物の含有量は、溶融を促進し、ガラスを軟化させ、イオン交換を可能にし、溶融抵抗を減少させ、ガラスの網目構造を壊し得、これにより、熱膨張が増加し、耐久性が減少する。例示の実施の形態において、B
2O
3は、ガラスを軟化させ、それらを溶融し易く、成形し易くする融剤として使用できる。B
2O
3は、非架橋酸素原子(NBO)を除去し、それによって、上述したようにBO
4四面体の形成によりNBOを架橋酸素原子に転化させるため、またガラスの硬度を低下させるため(これはより高い靱性と組み合わされた場合、脆性を低下させ、それにより、機械的に耐久性のあるガラスを生じる)に使用できる。
【0065】
いくつかの実施の形態において、化学強化ガラス並びに非化学強化ガラスに、NaSO
4、NaCl、NaF、NaBr、K
2SO
4、KCl、KF、KBr、およびSnO
2を含む群から選択される少なくとも1種類の清澄剤を0〜2モル%の量でバッチ配合しても差し支えない。
【0066】
1つの例示の実施の形態において、化学強化ガラス中のナトリウムイオンは、溶融塩浴からのカリウムイオンと交換され得るが、ルビジウムやセシウムなどの原子半径がより大きい他のアルカリ金属イオンが、ガラス中のより小さいアルカリ金属イオンを交換しても差し支えない。特別な実施の形態によれば、ガラス中のより小さいアルカリ金属イオンは、Ag
+イオンにより交換され得る。同様に、以下に限られないが、硫酸塩、ハロゲン化物などの他のアルカリ金属塩をイオン交換プロセスに使用してもよい。
【0067】
ガラス網目構造が緩和し得る温度より低い温度でより小さいイオンをより大きいイオンで置換すると、ガラスの表面に亘りイオン分布が生じ、応力プロファイルがもたらされる。入り込むイオンの体積がより大きいために、ガラスの表面に圧縮応力(CS)が、ガラスの中央領域に張力(中央張力、またはCT)が生じる。この圧縮応力は、以下の簡略された近似により中央張力に関連付けることができる:
【0069】
式中、tはガラス板の全厚であり、DOLは、層の深さとも称される、交換の深さである。
【0070】
様々な実施の形態によれば、イオン交換ガラスを備えたハイブリッド型ガラス積層構造体は、低質量、高い耐衝撃性、および改善された音減衰を含む、一連の所望の性質を有する。
【0071】
1つの実施の形態において、化学強化ガラス板は、少なくとも300MPa、例えば、少なくとも400、450、500、550、600、650、700、750または800MPaの表面圧縮応力、少なくとも約20μm(例えば、少なくとも約20、25、30、35、40、45、または50μm)の層の深さ、および/または40MPa超(例えば、40、45、または50MPa超)であるが、100MPa未満(例えば、100、95、90、85、80、75、70、65、60、または55MPa未満)の中央張力を有し得る。
【0072】
化学強化ガラス板の弾性率は、約60GPaから85GPa(例えば、60、65、70、75、80または85GPa)に及び得る。ガラス板および高分子中間層の弾性率は、結果として得られたガラス積層構造体の機械的性質(例えば、撓みおよび強度)および音響性能(例えば、伝送損失)の両方に影響し得る。
【0073】
方法
例示のガラス板形成方法としては、ダウンドロー法の各例であるフュージョンドロー法およびスロットドロー法、並びにフロート法が挙げられる。これらの方法を使用して、化学強化および非化学強化ガラス板の両方を形成することができる。フュージョンドロー法では、溶融ガラス原材料を受け入れるための通路を有する板引き槽(drawing tank)を使用する。この通路は、通路の両側に、通路の長手方向に沿った上部に開いた堰を有する。この通路が溶融材料で満たされると、溶融ガラスが堰から溢れ流れる。溶融ガラスは、重力のために、板引き槽の外面を流れ落ちる。これらの外面は、板引き槽の下縁で接合するように、下方かつ内方に延在している。2つの流れるガラス表面がこの縁で合わさって、融合し、1枚の流れる板を形成する。このフュージョンドロー法は、通路を超えて流れる2つのガラスフイルムが互いに融合するので、結果として得られるガラス板のいずれの外面も装置のどの部分とも接触しないという利点を示す。それゆえ、フュージョンドローされたガラス板の表面特性は、そのような接触により影響を受けない。
【0074】
それゆえ、例示のガラス層は、先に一般的に記載され、各々の全てがここに引用される、米国特許第7666511号、同第4483700号および同第5674790号の各明細書に記載されたような、フュージョンドロー法により製造し、ついで、そのような延伸されたガラスを化学強化することにより製造することができる。このように、例示の化学強化ガラス層は、CSの深いDOPを有することができ、高い曲げ強度、耐引掻性、および耐衝撃性を示すことができる。例示の実施の形態は、これらの表面上の傷のサイズおよび深刻度を低下させることにより、耐衝撃性を増加させ、そのような表面の強度を増加させるための酸エッチング処理された表面も備えることができる。積層直前にエッチングされる場合、エッチングまたは高温加熱(flaring)の強化の恩恵は、中間層に結合した表面に維持するこができる。上述したように、例示の実施の形態は、ガラス−ガラス積層構造体を含むことができる。そのような構造体および構造体を形成する方法は、その各々の全てがここに引用される、共に譲渡された米国特許第8007913号、米国特許出願公開第2013/0015180号、米国特許出願公開第2013/0312459号の各明細書、および国際公開第14/018838号に記載されている。
【0075】
スロットドロー法は、フュージョンドロー法とは異なる。ここでは、溶融原材料ガラスが板引き槽に提供される。この板引き槽の下部には開放スロットがあり、このスロットの長さに亘りノズルが延在している。溶融ガラスは、このスロット/ノズルを通って流れ、連続板として下方に、焼き鈍し領域へと板引きされる。このスロットドロー法は、2枚の板が互いに融合されるのではなく、1枚の板だけがスロットを通して板引きされるので、フュージョンドロー法よりも薄い板を提供できる。
【0076】
ダウンドロー法は、比較的無垢な表面を有する均一な厚さを持つガラス板が製造される。ガラス表面の強度は、表面傷の量とサイズにより制御されるので、接触が最小の無垢な表面はより高い初期強度を有する。次いで、この高強度ガラスが化学強化されると、結果として得られた強度は、ラップ仕上げされ研磨された表面の強度よりも高くあり得る。ダウンドローされたガラスは、約2mm未満の厚さまで板引きされることがある。その上、ダウンドローされたガラスは、費用のかかる研削および研磨を行わずに最終用途に使用できる、非常に平らで滑らかな表面を有する。
【0077】
フロートガラス法において、滑らかな表面および均一な厚さにより特徴付けられることもあるガラス板は、溶融金属、典型的にスズの床上に溶融ガラスを浮かせることによって製造される。例示のプロセスにおいて、溶融スズ床の表面に供給される溶融ガラスは、浮遊するリボンを形成する。このガラスリボンがスズ浴に沿って流れるときに、その温度は、固体のガラス板がスズからローラに持ち上げられるようになるまで、徐々に低下する。一旦浴から離れたら、そのガラス板は、さらに冷却し、焼き鈍して、内部応力を減少させることができる。
【0078】
いくつかの実施の形態は、外側ガラス板および内側ガラス板を備えたガラス積層構造体であって、それらのガラス板の一方または両方が、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%、およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%を有する、ガラス積層構造体を提供する。他の実施の形態において、ガラス板の一方または両方が、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧88モル%を有する。さらなる実施の形態において、ガラス板の一方または両方が、R
2O−RO−Al
2O
3<約3モル%を有する。いくつかの非限定的な実施の形態は、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%、およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%を有する化学強化ガラス板である外側ガラス板と、ソーダ石灰ガラスおよび徐冷ガラスからなる群より選択される材料から作られた内側ガラス板とを備えることができる。他の実施の形態は、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%、およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%を有する化学強化ガラス板である内側ガラス板と、ソーダ石灰ガラスおよび徐冷ガラスからなる群より選択される材料から作られた外側ガラス板とを備えることができる。追加の実施の形態において、それらのガラス板の一方または両方は、約69〜80モル%のSiO
2、約6〜12モル%のAl
2O
3、約2〜10モル%のB
2O
3、約0〜5モル%のZrO
2、Li
2O、MgO、ZnOおよびP
2O
5、約6〜15モル%のNa
2O、約0〜3モル%のK
2OおよびCaO、並びに約0〜2モル%のSnO
2をさらに含む。いくつかの実施の形態において、それらのガラス板の一方または両方は、約72〜80モル%のSiO
2、約8〜12モル%のAl
2O
3、約4〜10モル%のB
2O
3、約0〜4モル%のZrO
2、MgOおよびZnO、約0〜2モル%のLi
2O、CaOおよびP
2O
5、約7〜14モル%のNa
2O、約0.1〜2.5モル%のK
2O、並びに約0.1〜1.5モル%のSnO
2をさらに含む。またさらなる実施の形態において、それらのガラス板の一方または両方は、約74〜80モル%のSiO
2、約8〜11モル%のAl
2O
3、約4〜9モル%のB
2O
3、約0〜2モル%のZrO
2、約0〜3モル%のMgOおよびZnO、約0〜1モル%のLi
2OおよびP
2O
5、約7〜12モル%のNa
2O、約0.1〜2.2モル%のK
2O、約0〜1.5モル%のCaO、並びに約0.1〜0.5モル%のSnO
2をさらに含む。いくつかの実施の形態において、(R
2O+RO)/(P
2O
5+B
2O
3+Al
2O
3)は、約0.5〜1.2、約0.6〜0.9、または約0.65〜0.85であり得る。追加の実施の形態において、それらのガラス板の一方または両方は、少なくとも300MPの圧縮応力および少なくとも15μmの圧縮応力の層の深さまでイオン交換でき、その場合、ヌープ引っ掻き閾値>約12Nまたは>約16Nおよび硬度対モジュラス比>約0.112または約0.116である。内側ガラス板の例示の厚さは、約0.3mmから約1.5mmまで及び得、外側ガラス板の例示の厚さは、約1.5mmから約3.0mmに及び得、その逆もまたそうである。さらなる実施の形態において、前記構造体は、外側および内側ガラス板の中間にある高分子中間層を備えることができ、この高分子中間層は、単体高分子シート、多層高分子シート、または複合高分子シートからなる。そのような適切な積層構造体は、いくつか挙げれば、例えば、自動車のサイドウィンドウ、自動車のサンルーフ、自動車のフロントガラス、建物の窓、およびディスプレイに使用できる。
【0079】
追加の実施の形態は、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%、およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%を有するガラス板を含むことができる。いくつかの実施の形態は、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧88モル%、および/またはR
2O−RO−Al
2O
3<約3モル%をさらに有することができる。追加の実施の形態において、そのガラス板は、約69〜80モル%のSiO
2、約6〜12モル%のAl
2O
3、約2〜10モル%のB
2O
3、約0〜5モル%のZrO
2、Li
2O、MgO、ZnOおよびP
2O
5、約6〜15モル%のNa
2O、約0〜3モル%のK
2OおよびCaO、並びに約0〜2モル%のSnO
2をさらに含む。いくつかの実施の形態において、そのガラス板は、約72〜80モル%のSiO
2、約8〜12モル%のAl
2O
3、約4〜10モル%のB
2O
3、約0〜4モル%のZrO
2、MgOおよびZnO、約0〜2モル%のLi
2O、CaOおよびP
2O
5、約7〜14モル%のNa
2O、約0.1〜2.5モル%のK
2O、並びに約0.1〜1.5モル%のSnO
2をさらに含む。またさらなる実施の形態において、そのガラス板は、約74〜80モル%のSiO
2、約8〜11モル%のAl
2O
3、約4〜9モル%のB
2O
3、約0〜2モル%のZrO
2、約0〜3モル%のMgOおよびZnO、約0〜1モル%のLi
2OおよびP
2O
5、約7〜12モル%のNa
2O、約0.1〜2.2モル%のK
2O、約0〜1.5モル%のCaO、並びに約0.1〜0.5モル%のSnO
2をさらに含む。いくつかの実施の形態において、(R
2O+RO)/(P
2O
5+B
2O
3+Al
2O
3)は、約0.5〜1.2、約0.6〜0.9、または約0.65〜0.85であり得る。追加の実施の形態において、そのガラス板は、少なくとも300MPの圧縮応力および少なくとも15μmの圧縮応力の層の深さまでイオン交換でき、その場合、ヌープ引っ掻き閾値>約12Nまたは>約16Nおよび硬度対モジュラス比>約0.112または約0.116である。そのガラス板の例示の厚さは、約0.3mmから約1.5mmまで及び得る。そのような例示のガラス板を使用したそのような適切な構造体としては、いくつか挙げれば、自動車のサイドウィンドウ、自動車のサンルーフ、自動車のフロントガラス、建物の窓、およびディスプレイが挙げられるが、それらに制限されない。
【0080】
出願人は、ここに開示されたガラス構造体は、優れた耐久性、耐衝撃性、靭性、および耐引掻性と環境耐性を有することを実証した。当業者により認識されるように、ガラス板または積層板の強度および機械的衝撃性能は、表面欠陥と内部欠陥の両方を含むガラス中の欠陥により制限され得る。ガラス積層構造体に衝撃が与えられたとき、衝撃点が圧縮状態になり、一方で、衝撃点の周りのリングまたは「輪(hoop)」、並びに衝撃を受けた板の反対面は引張状態になる。一般に、破損の起点は、最高の張力の点またはその近くの、通常はガラス表面にある傷である。これは反対側の面にも生じることもあるが、リング内で生じ得る。ガラス中の傷が、衝撃事象中に張力状態になると、傷はおそらく伝搬し、ガラスは一般に壊れる。それゆえ、圧縮応力の大きい大きさおよび深さ(層の深さ)が好ましい。
【0081】
開示されたハイブリッド型ガラス積層構造体に使用される化学強化ガラス板の表面の一方または両方は、化学強化のために、圧縮下にある。ガラスの表面近くの領域に圧縮応力が含まれると、亀裂の伝搬およびガラス板の破損が妨げられる。傷が伝搬し、破損が生じるために、衝撃からの引張応力は、傷の先端で表面の圧縮応力を超えなければならない。実施の形態において、化学強化ガラス板の高い圧縮応力および大きい層の深さにより、非化学強化ガラス板の場合におけるよりも薄いガラスを使用することができる。
【0082】
ハイブリッド型ガラス積層構造体の場合、その積層構造体は、機械的衝撃に反応して壊れずに、より厚い単体の非化学強化ガラスまたはより厚い非化学強化ガラス積層構造体よりもさらに大きく歪むことができる。この追加の歪みにより、より多くのエネルギーを積層板の中間層に伝達することが可能になり、これにより、ガラスの反対側に到達するエネルギーを減少させることができる。その結果、ここに開示されたハイブリッド型ガラス積層構造体は、同程度の厚さの単体の非化学強化ガラスまたは非化学強化ガラス積層構造体よりも高い衝撃エネルギーに耐えることができる。
【0083】
その機械的性質に加え、当業者により認識されるように、音波を減衰させるために、積層構造体を使用することができる。ここに開示されたハイブリッド型ガラス積層構造体は、多くの板ガラス用途に要求される機械的性質も有するより薄(くより軽)い構造を使用しながら、音響伝達を劇的に減少させることができる。
【0084】
積層板および板ガラスの音響性能は、一般に、板ガラス構造体の曲げ振動により影響を受ける。理論により束縛することを意図しないが、ヒトの音響応答は、一般に、500Hzと5000Hzの間でピークに達し、これは、空気中で約0.1〜1mの波長に、ガラス中で約1〜10mの波長に相当する。0.01m(<10mm)未満の厚さの板ガラス構造体について、伝達は、主に、振動および音波の、板ガラスの曲げ振動との結合により生じる。合わせガラスタイプの板ガラス構造体は、板ガラスの曲げモードからのエネルギーを高分子中間層内の剪断歪みに変換するように設計することができる。より薄いガラス板を使用したガラス積層構造体において、より薄いガラスのより大きいコンプライアンスにより、より大きい振動振幅が可能になり、これは転じて、中間層により大きい剪断歪みを与え得る。最も粘弾性である高分子中間層の材料の低い剪断抵抗は、この中間層が、分子鎖の滑りおよび緩和の影響下で熱に転換される高い剪断歪みにより減衰を促進することを意味する。
【0085】
ガラス積層構造体の厚さに加え、積層板を構成するガラス板の性質も、音波減衰特性に影響するであろう。例えば、化学強化ガラス板と非化学強化ガラス板との間におけるように、ガラスと高分子中間層との界面には、高分子層中のより高い剪断歪みに寄与する、小さいが重要な差があるであろう。また、アルミノケイ酸塩ガラスおよびソーダ石灰ガラスは、それらの明白な組成の違いに加え、異なる音響応答を生じるであろう、弾性率、ポアソン比、密度などを含む異なる物理的性質および機械的性質を有する。
【0086】
ここに記載された実施の形態の追加の利点は、より高いCSおよび/または固有の耐損傷性による向上した接触損傷性能、既存の積層構造体より改善された耐衝撃性、フロートガラスより改善された光学的特性、より高い破壊耐性による改善された盗難セキュリティー、および特に酸性雨に対する、改善された化学的耐久性を有する積層構造体またはガラス板を含む。ここに記載された実施の形態のさらなる利点は、車両重量を減少させ、燃料効率を改善し、CO
2排出を低下させ、車両の操作性を改善することができる積層構造体またはガラス板を含む。そのような構造体は、重量の減少のために、潜在的に大型の窓も提供でき、並びに熱強化工程のないことにより、潜在的な製造歩留まりの改善を提供できる。厚い単体ガラスに対して、実施の形態は、上述した利点を含み、多層構造による改善された音響性能、中間層材料の選択に応じて、より低い熱容量、さらに、熱的焼き戻しのないことによる歩留まりの改善も提供できる。
【0087】
この記載は多くの詳細を含むであろうが、これらは、その範囲への限定と解釈すべきではなく、むしろ特定の実施の形態に特異的であろう特徴の記載と解釈すべきである。別々の実施の形態の文脈においてこれまで記載された特定の特徴は、ただ1つの実施の形態において組合せで実施してもよい。逆に、ただ1つの実施の形態の文脈で記載された様々な特徴を、多数の実施の形態で別々に、またはどの適切な下位の組合せで実施してもよい。さらに、特徴は、特定の組合せにおいて機能するものと記載されることがあり、さらにそのように最初に請求項に記載されているかもしれないが、請求項に記載された組合せからの1つ以上の特徴は、ある場合には、その組合せから削除されてもよく、その請求項に記載された組合せは、下位の組合せまたは下位の組合せの変種に関してもよい。
【0088】
同様に、操作が、特定の順序で図面または図に示されているが、これは、そのような操作が、図示された特定の順序で、または連続した順序で行われること、もしくは所望の結果を達成するために、図示された順序の全てが行われることを必要とするものと理解すべきではない。特定の状況において、平行作業および並列処理が都合よいであろう。
【0089】
範囲が、「約」1つの特定値から、および/または「約」別の特定の値までとここに表現されることがある。そのような範囲が表現される場合、例は、その1つの特定値から、および/またはその別の特定の値までを含む。同様に、値が、「約」という先行詞を使用して近似として表現される場合、その特定の値は別の態様を構成することが理解されよう。範囲の各々の端点は、他の端点に関係してと、他の端点とは関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0090】
この中の記述は、特定の様式で機能するように「構成されている」または「適合されている」本開示の構成要素を指すことも留意すべきである。この点に関して、そのような構成要素は、特定の性質を具体化する、または特定の様式で機能するように「構成されている」または「適合されている」。ここで、そのような記述は、意図する用途の記述とは対照的に、構造的な記述である。より詳しくは、構成要素が、そのように「構成されている」または「適合されている」様式に対するこの中の記述は、その構成要素の既存の物理的条件を示し、そのため、その構成要素の構造的特徴の明確な記述として解釈すべきである。
【0091】
図面に示された様々な構成および実施の形態により示されるように、様々なガラス積層構造体およびそのための組成物を記載してきた。
【0092】
本開示の好ましい実施の形態を記載してきたが、記載された実施の形態は、説明目的のためだけであり、本発明の範囲は、その精読から当業者に自然に想起される同等物、多くの変更および改変の全範囲が認められる場合、付随の特許請求の範囲だけによって定義されるべきであることを理解すべきである。
【0093】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0094】
実施形態1
ガラス積層構造体において、
外側ガラス板、および
内側ガラス板、
を備え、
前記ガラス板の一方または両方が、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%を有する、ガラス積層構造体。
【0095】
実施形態2
前記ガラス板の一方または両方が、SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧88モル%を有する、実施形態1記載のガラス積層構造体。
【0096】
実施形態3
前記ガラス板の一方または両方が、R
2O−RO−Al
2O
3<約3モル%を有する、実施形態1または2記載のガラス積層構造体。
【0097】
実施形態4
前記外側ガラス板が、化学強化ガラス板であり、かつSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%を有し、前記内側ガラス板が、ソーダ石灰ガラスおよび徐冷ガラスからなる群より選択される材料から作られた、実施形態1から3いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0098】
実施形態5
前記内側ガラス板が、化学強化ガラス板であり、かつSiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%を有し、前記外側ガラス板が、ソーダ石灰ガラスおよび徐冷ガラスからなる群より選択される材料から作られた、実施形態1から3いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0099】
実施形態6
前記ガラス板の一方または両方が、
約69〜80モル%のSiO
2、
約6〜12モル%のAl
2O
3、
約2〜10モル%のB
2O
3、
約0〜5モル%のZrO
2、Li
2O、MgO、ZnOおよびP
2O
5、
約6〜15モル%のNa
2O、
約0〜3モル%のK
2OおよびCaO、並びに
約0〜2モル%のSnO
2
をさらに含む、実施形態1から5いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0100】
実施形態7
前記ガラス板の一方または両方が、
約72〜80モル%のSiO
2、
約8〜12モル%のAl
2O
3、
約4〜10モル%のB
2O
3、
約0〜4モル%のZrO
2、MgOおよびZnO、
約0〜2モル%のLi
2O、CaOおよびP
2O
5、
約7〜14モル%のNa
2O、
約0.1〜2.5モル%のK
2O、並びに
約0.1〜1.5モル%のSnO
2
をさらに含む、実施形態1から6いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0101】
実施形態8
前記ガラス板の一方または両方が、
約74〜80モル%のSiO
2、
約8〜11モル%のAl
2O
3、
約4〜9モル%のB
2O
3、
約0〜2モル%のZrO
2、
約0〜3モル%のMgOおよびZnO、
約0〜1モル%のLi
2OおよびP
2O
5、
約7〜12モル%のNa
2O、
約0.1〜2.2モル%のK
2O、
約0〜1.5モル%のCaO、並びに
約0.1〜0.5モル%のSnO
2
をさらに含む、実施形態1から7いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0102】
実施形態9
(R
2O+RO)/(P
2O
5+B
2O
3+Al
2O
3)が、約0.5〜1.2、約0.6〜0.9、または約0.65〜0.85である、実施形態1から8いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0103】
実施形態10
前記ガラス板の一方または両方が、少なくとも300MPの圧縮応力および少なくとも15マイクロメートルの圧縮応力の層の深さまでイオン交換されており、ここで、ヌープ引っ掻き閾値>約12Nおよび硬度対モジュラス比>約0.112である、実施形態1から9いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0104】
実施形態11
前記ガラス板の一方または両方が、少なくとも300MPの圧縮応力および少なくとも15マイクロメートルの圧縮応力の層の深さまでイオン交換されており、ここで、ヌープ引っ掻き閾値>約16Nおよび硬度対モジュラス比>約0.116である、実施形態1から10いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0105】
実施形態12
前記内側ガラス板の厚さが約0.3mmから約1.5mmに及び、前記外側ガラス板の厚さが約1.5mmから約3.0mmに及ぶ、実施形態1から11いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0106】
実施形態13
前記外側ガラス板の厚さが約0.3mmから約1.5mmに及び、前記内側ガラス板の厚さが約1.5mmから約3.0mmに及ぶ、実施形態1から11いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0107】
実施形態14
前記外側および内側ガラス板の中間にある高分子中間層をさらに備え、該高分子中間層が、単体高分子シート、多層高分子シート、または複合高分子シートからなる、実施形態1から13いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0108】
実施形態15
前記構造体が、自動車のサイドウィンドウ、自動車のサンルーフ、自動車のフロントガラス、建物の窓、およびディスプレイからなる群より選択される、実施形態1から14いずれか1つに記載のガラス積層構造体。
【0109】
実施形態16
SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧86.5モル%、およびR
2O−RO−Al
2O
3<約5モル%を有するガラス板。
【0110】
実施形態17
SiO
2+B
2O
3+Al
2O
3≧88モル%をさらに有する、実施形態16記載のガラス板。
【0111】
実施形態18
R
2O−RO−Al
2O
3<約3モル%をさらに有する、実施形態16または17記載のガラス板。
【0112】
実施形態19
約69〜80モル%のSiO
2、
約6〜12モル%のAl
2O
3、
約2〜10モル%のB
2O
3、
約0〜5モル%のZrO
2、Li
2O、MgO、ZnOおよびP
2O
5、
約6〜15モル%のNa
2O、
約0〜3モル%のK
2OおよびCaO、並びに
約0〜2モル%のSnO
2
をさらに含む、実施形態16から18いずれか1つに記載のガラス板。
【0113】
実施形態20
約72〜80モル%のSiO
2、
約8〜12モル%のAl
2O
3、
約4〜10モル%のB
2O
3、
約0〜4モル%のZrO
2、MgOおよびZnO、
約0〜2モル%のLi
2O、CaOおよびP
2O
5、
約7〜14モル%のNa
2O、
約0.1〜2.5モル%のK
2O、並びに
約0.1〜1.5モル%のSnO
2
をさらに含む、実施形態16から19いずれか1つに記載のガラス板。
【0114】
実施形態21
約74〜80モル%のSiO
2、
約8〜11モル%のAl
2O
3、
約4〜9モル%のB
2O
3、
約0〜2モル%のZrO
2、
約0〜3モル%のMgOおよびZnO、
約0〜1モル%のLi
2OおよびP
2O
5、
約7〜12モル%のNa
2O、
約0.1〜2.2モル%のK
2O、
約0〜1.5モル%のCaO、並びに
約0.1〜0.5モル%のSnO
2
をさらに含む、実施形態16から20いずれか1つに記載のガラス板。
【0115】
実施形態22
(R
2O+RO)/(P
2O
5+B
2O
3+Al
2O
3)が、約0.5〜1.2、約0.6〜0.9、または約0.65〜0.85である、実施形態16から21いずれか1つに記載のガラス板。
【0116】
実施形態23
前記板が、少なくとも300MPの圧縮応力および少なくとも15マイクロメートルの圧縮応力の層の深さまでイオン交換されており、ここで、ヌープ引っ掻き閾値>約12Nおよび硬度対モジュラス比>約0.112である、実施形態16から22いずれか1つに記載のガラス板。
【0117】
実施形態24
前記板が、少なくとも300MPの圧縮応力および少なくとも15マイクロメートルの圧縮応力の層の深さまでイオン交換されており、ここで、ヌープ引っ掻き閾値>約16Nおよび硬度対モジュラス比>約0.116である、実施形態16から23いずれか1つに記載のガラス板。
【0118】
実施形態25
約0.3mmから約1.5mmに及ぶ厚さをさらに有する、実施形態16から24いずれか1つに記載のガラス板。
【0119】
実施形態26
実施形態16から25いずれか1つに記載のガラス板を備えた、自動車のサイドウィンドウ、自動車のサンルーフ、自動車のフロントガラス、建物の窓、およびディスプレイ。