(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
国際公開第2013/117606号により、マイクロプレートを遠心分離することは公知である。マイクロプレートのすべてのウェルを均一に遠心分離できるように、マイクロプレートを遠心分離するための遠心分離機は大きな直径を有する。ウェルに含まれる異なる物質は、層を遠心分離した後に形を成す。よりコンパクトな遠心分離機で、マイクロプレートの外側領域に置かれる反応ウェルでは、この種の層が傾くという問題が生じる。自動光学的検査装置ではこの傾いた層を正しく検出できないことが頻繁に起こりうる。
【0003】
米国特許出願公開第2008/220481号には、トレイ組立体と、トレイ組立体に適合するように設計された複数の試料プレートを備えた、キットのようにまとめることができるマイクロプレートが開示される。トレイ組立体はフレームを備え、そして、プレート保持部の試料プレートを並べて収容することができる。各々の試料プレートは、格子状に配置された複数の個々の試料ウェルを含む。米国特許出願公開第2008/220481号の創作者は、研究室での仕事では、相違する工程はより複雑になり、そして、オートメーションの量が増加するという問題について言及する。離間して配置可能な開示のマイクロプレートは、いくつかの異なる試料パッチを処理することができる。
【0004】
その構造は柔軟性に欠け、マイクロプレートを遠心分離する間、ウェルを遠心力の方向に揃えることができない。
【0005】
米国特許出願公開第2011/0152128号には、チューブインサートを選択的にマイクロプレート内で保持するための、改良されたマイクロプレートおよび保持装置と、選択可能な数の交換可能なマイクロウェルを有するダイナミックマイクロプレートと、が開示される。
図4A〜4Gは着脱可能な試料ウェルのストリップを有するマイクロウェルプレートを示す。そして、一旦試料ウェルのストリップをマイクロウェルに設置すると、剛構造を呈する。
【0006】
欧州特許出願公開第2636452号は、反応室アセンブリの製造のための工程に関連する。
図2〜4には、マイクロプレート用のフレームにはめ込み可能な試料ウェルのストリップが開示される。図は、遠心分離の間はウェルを遠心力の方向に揃えるために、移動不可能な方法でマイクロプレートフレーム内に、ウェルを配置することを例証する。
【0007】
中国実用新案公告第203259531号には、外力が作用する中で、ウェルが角度位置へ移動できるように傾斜可能に取り付けられるマイクロプレートが開示される。ウェルのストリップが、マイクロプレートの基盤上に置かれるフレームに取り付けられる。基盤は底部フレームを備え、単一のウェルは底部の終端でわずかに固定される。外力が作用する間、底部フレームが固定されているため、同時に全てのウェルのストリップが動いてしまう開口部の範囲内で、フレームは動く。
【0008】
カナダ特許出願公開第2458827号には、凝集またはサイズ分離ステップを有する検査を行う装置を開示される。そして、分析される流体を受けるために配置される第一部分と、流体への推進力(好ましくは遠心力)の適用で、第一部分から流体を受けるために配置される第二部分と、と含む。第二部分は、基板に固定される要素を備えており、流体を混合して、凝集する粒子を止めるのに適する。
【0009】
米国特許出願公開第2012/0288887号は、反応容器の血液サンプルと試薬間での反応の、血球凝集画像に基づいて血液サンプルが陽性であるか、陰性であるか判定するための、血球凝集画像判定方法および血球凝集画像判定装置について言及する。この装置は、反応容器の底壁が遠心力によって外側へ回転するように、反応容器を回転させるための回転機構と、回転方向に沿って反応容器の前部が垂直方向に対して、その後部より下となるように、反応容器を傾斜させるための傾斜装置と、を備える。
【0010】
米国特許出願公開第2005/0161400号には、複数のろ過ウェルを含む流体ろ過装置と、ラインが遠心分離機の回転軸に対して垂直で、そして、ろ過装置の主要面の中心を通過する、遠心分離機のラインに対するろ過ウェルの中で、膜の角度を調整するアングリングメカニズムと、を開示する。
【0011】
中国特許出願公開第101629952号には、技術試験装置用に設ける、複数の個々の単一カラム検査要素が開示される。大量の試験材料(例えばゲル材料またはビードマトリックス)を含む単一検査カラムが、各検査要素を定める。そして、検査カラムの内容物を利用するために用いるカバーストリップを含む。
【0012】
一方では、マイクロプレートを遠心分離することによって獲得できる大量の試料を、同時に遠心分離する必要があるが、他方では、この種の装置を、複数の異なる装置を備えたロボットシステムに組み込まれなければならないので、できるだけコンパクトな遠心分離機に統合する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、遠心分離のための半径が小さい場合であっても、信頼性が高い、遠心分離された試料のテストを可能にする、複数の試料を遠心分離するためのマイクロプレートを提供することである。
【0015】
本願発明のもうひとつの目的は、高い信頼性および高いスループットを有する凝集反応の結果を判定するための方法を実行できる、マイクロプレートを提供することにある。
【0016】
本発明の目的は、独立クレームに記載のマイクロプレートによって解決される。本発明の有利な実施例は、対応する従属クレームで定義される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるマイクロプレートは、二次元アレイ状に配置される複数のウェルを備え、そして、各ウェルは、マイクロプレートの遠心分離の間に遠心力の方向に揃うように、マイクロプレートに傾斜可能または回動可能に取り付けられる。
【0018】
マイクロプレートが遠心分離する間に、マイクロプレートのウェルが遠心力の方向に揃うので、遠心力は、対応するウェルの軸に対応する方向に作用する。ウェル内の異なる物質は、この軸に対して直角に伸びる層を形成する。これにより、遠心分離のための半径が小さい場合でも、ウェルの内容物を確実に、自動的光学的にテストできることを保証する。
【0019】
反応ウェルをマイクロプレートに傾斜可能または回動可能に取り付けない場合、いくつかの反応ウェルの軸に対して遠心力は傾斜する。これは特に、遠心分離回転の回転軸からずれている軸を有する反応ウェルに当てはまる。この種のウェルでは、異なる物質の層は、誤った結果を生じかねない反応ウェルの軸に対して傾斜する。
【0020】
好ましくは、反応ウェルはマイクロプレートにおいて弾性的に、傾斜可能または回動可能に配置される。その結果、反応ウェルはマイクロプレートの遠心分離後に初期位置に戻る。
【0021】
好ましい実施例によれば、マイクロプレートは、フレームと、それぞれ並んだウェルを備えるいくつかの長手ストラッツ(支柱)と、を備える。そしてストラッツは、フレーム内で回動可能に配置される。
【0022】
この種のストラッツは、端部に装着ピンを備えることができ、装着ピンは、ストラッツの上部に配置され、フレーム内のストラッツを回動可能に取付けるための取付け要素を形成する。
【0023】
フレームは、ストラッツの装着ピンを載置するための凹部を備えることができる。
【0024】
マイクロプレートの他の実施例によれば、マイクロプレートは、フレームとインサートとを備える。インサートは、二次元アレイを形成する複数の反応ウェルを備え、そして、フレームは少なくとも一つの支持部(マイクロプレートの遠心分離の間、インサートを支持するために凹湾曲である)を有する。好ましくはフレームは、インサートの縁部を支持するために設ける2つの湾曲支持部を各々備える。
2つの湾曲支持部は、正反対に配置される。
【0025】
インサートは、行と列に配置される反応ウェルを備える。好ましくはインサートは、列の方向ではなく、行の方向に硬化手段を備える(逆もまた同じ)。このように、インサートは、一方向へ可撓性を有するが、他方向では可撓性はない。この種の補強手段は、隣接した反応ウェルの間に伸びる、例えば中間壁でありうる。
【0026】
好ましくは、マイクロプレート(特にマイクロプレートのフレームおよび/またはインサート)は、弾性的に変形可能な材料で作製される。
【0027】
複数の試料を遠心分離するための本発明の方法によると、試料は、マイクロプレート(特に反応ウェルの二次元アレイを有するマイクロプレート)のウェルに入れられ、ウェルは遠心分離の間に遠心力の方向に揃えられる。
【0028】
この方法で、上記の実施例によるマイクロプレートを用いることができる。
【0029】
マイクロプレートは、水平軸を中心として回転する。マイクロプレートが水平軸を中心として回転するときには、反応ウェルの開口部を封止する必要はない。これにより、自動システムにおいて、遠心分離ステップを簡単に統合できるようにする。
【0030】
凝集反応の結果を決定する方法は、次の工程を備える。
試料がウェルの試薬と反応するようにする反応ステップ。そこでは、二次元アレイ状に配置される複数のウェルを有するマイクロプレートを用い、そして、マイクロプレートを遠心分離する間にウェルが遠心力の方向に揃うように、各ウェルは傾斜可能または回動可能にマイクロプレートに取付けられる。
ウェルの底部が回転軸に対して外側へ配置されるように、マイクロプレートを回転させる遠心分離ステップ。
マイクロプレートの上面の少なくとも一つの画像およびマイクロプレートの底面の少なくとも一つの画像を撮像する撮像ステップ。
前記ウェルの試料が、凝集反応に対して陽性または陰性であるか判定する判定ステップ。そこでは、マイクロプレートの上面と底面の画像の前記ウェルの色強度および/またはグレイレベルが比較される。
【0031】
この方法で、ウェルの上面と底面の特定のウェルの色強度および/またはグレイレベルの差異を確定する。高い精度でこの種の差異を検出することができる。妨害条件(例えば背景光)は、通常ウェルの上面および底面の両方の画像に、同じように影響する。その結果、対応する反応ウェルの上面と底面の色強度および/またはグレイレベルを比較することによりその影響を取り除く。上記により、この方法は非常に安定した信頼性の高いものとなる。この方法は、人間の介入なく、自動的に数千または何百万もの試料もテストするための産業上の利用に適する。
【0032】
さらにまた、二次元アレイを備えることにより、同時に複数の凝集反応を実施することができ、そして複数の凝集反応の判定を可能にする。上面と同様に底面からもウェルを検出するため、例えば米国特許第8076126号で公知なように、反応ウェルの一次元の配置のみを使用する必要はない。
【0033】
好ましくは、マイクロプレートは、遠心分離ステップの水平軸を中心として回転する。これにより、自動システムにおける遠心分離ステップの統合を容易にする。水平な回転軸を有する試料を担持する遠心分離機は、国際公開第2013/117606号および欧州特許出願第13179437.2号に記載されている。欧州特許出願第13179437.2はまだ公開されていない。特許文献国際公開第2013/117606および欧州特許出願第13179437.2は参照することにより本書に組み込まれる。
【0034】
好適な実施の形態によれば、培養ステップは、凝集反応を加速するための遠心分離ステップ前に、実行することができる。
【0035】
分離材(例えばゲル材またはビードマトリックス)を用いる遠心分離ステップで、反応生成物(凝集するプローブ試料部)を、反応抽出物(非凝集のプローブ試料部)から切り離すことができる。ビードマトリックスはフィルタ材として機能し、フィルタ材は凝集する試料部(特に固定された血球)をビードマトリックス上に保つ。そして、非凝集の試料部は、ビードマトリックスを透過し、対応するウェルの底部に集められる。ゲルマトリックスを用いることによって、非凝集の試料部は、凝集する試料部によって区切られる。非凝集の試料部は、遠心分離ステップの間に反応ウェルの一番下までゲルマトリックスに浸透する。そして、サイズの大きい凝集する試料部は、ゲルマトリックスの上面またはゲルマトリックスに保たれる。
【0036】
試薬を分離材の上に設けるか、または、試薬を含む懸濁液の中に分離材を混合することができる。試薬は、予め定められた試料と反応する抗体および/または抗原を備えることができる。ゲルマトリックスを試薬と混合する場合、凝集反応がゲルマトリックスで起こり、そして、凝集する生成物はゲルマトリックス(反応が起こる)に保たれる。
【0037】
抗原/抗体反応が目に見えるようにするために基質が必要な場合は、同様に基質をゲルに含めることができる。基質は、一番下と一番上にだけ位置させることもできる。
【0038】
凝集反応の生成物を判定するためのマイクロプレートは、二次元アレイ状に配置される複数のウェルを備え、そして、少なくとも一つの前記ウェルは、分離材(例えばゲルまたはビードマトリックス)を含む分離部を備える。分離部は、下に向かって先細りになる、少なくとも一つの円錐部を備える。その結果、分離材に浸透する試料物質は一点に集められる。
【0039】
この試料物質は反応ウェルの中央で一点に集められるので、分離材に浸透する試料物質の濃度により、ウェルの底面の画像の色強度またはグレイレベルは高められる。これにより、自動光学解析が容易となる。そして、反応ウェルの上面と底面の色強度またはグレイレベルの比較が容易となるので、試験の信頼性も向上する。
【0040】
反応ウェルは、好ましくはウェルの上端部に充填部を備え、そして、充填部の断面積は、分離部の断面積より大きい。
【0041】
好ましくはマイクロプレートは少なくとも96個のウェルを備える。この種のマイクロプレートは、少なくとも300個そして具体的には384個、または、少なくとも1000個または具体的には1536個のウェルを備えることができる。
【0042】
反応ウェルの内部の高さは、好ましくは5mm〜25mm、そして、具体的には10mm〜20mmまたは10mm〜15mmである。
【0043】
本発明のさらに別の態様では、試験装置は遠心分離機と、反応ウェルの上面を検出するためのカメラおよび反応ウェルの底面を検出するための追加のカメラとを備える。この試験装置は、上記のような方法を実施するための制御装置を備える。
【0044】
好ましくは試験装置は、マイクロプレートを遠心分離機に水平に載置するため、そして、遠心分離機からマイクロプレートを水平に排出するための載置メカニズムを備える。マイクロプレートの上面と底面を検出するために、マイクロプレートの載置経路に沿って、ラインカメラを設けることができる。ラインカメラは、マイクロプレートの移動方向を横断する方向に伸びる。
【0045】
試験装置は好ましくは、反応ウェルに分離材(例えばゲル材)を自動的に充填するための分注手段を備える。これにより、必要なマイクロプレートの反応ウェルだけを使用できるようにする。他の反応ウェルは、空のままにしておいても良い。このように、実際に使用する反応ウェルのみに分離材および試薬が投入されるので、複数の反応ウェルを有するマイクロプレートを使用し、低コストおよび高スループットを成し遂げる。
【0046】
本発明は、添付の図面と共に後で更に詳細に説明される。図面の説明は以下の通りである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1a〜
図1eは、本発明のマイクロプレート1の、第1実施例を示す。マイクロプレートは、16×24のウェルの二次元アレイ状に配置される384個の反応ウェル2を備える。
【0049】
マイクロプレート1は、透明な不活性プラスチック材料(例えばポリカーボネート)で作製される。
【0050】
マイクロプレート1のこの第1実施例は、フレーム50と、複数の長手方向に伸びるストラッツ(支柱)51とを備える。各ストラッツ51(
図1c、1d)は、不活性プラスチック材料で作製され、複数の反応ウェル2を規定する、縦長の本体部である。反応ウェル2は、各ストラッツ51に一列に配置される。反応ウェルは、各々平行に配置される。反応ウェル2は、上向きの開口部3を有する。各ストラッツ51は、対向端部に装着ピン52を備える。装着ピン52は、ストラッツの上部に配置される。装着ピン52が先細りの下縁53(
図1c、1d)を有するように、装着ピン52の横断面の形は菱形である。
【0051】
フレーム50は、2枚の縦方向の側壁54と、2枚の横方向の側壁55とを備える。装着ピン52を保持するための凹部56を、横方向の側壁55の内側に設ける。凹部56を、横方向の側壁55の上部に設ける。V型の底壁57と、2枚の直立側壁58とが各凹部56を定める。各側壁58が、片側では凹部56のうちの1つを定め、もう片側ではもう一つ別の凹部56を定めるように、凹部56は各々隣接して配置される。プレートレット59は側壁58の各上端部に設けられる。プレートレット59は、凹部56の狭間を備えたカバーを形成する、隣接したプレートレット59の各対の間に、装着ピン52の幅より多少小さいスリット60を定める。フレーム50とプレートレット59は、スリット60を介して装着ピンをスナップ係合することができるように、いずれも弾性プラスチック材料で形成される。
【0052】
凹部56は、フレーム50の内面に開口している。
凹部56の対は、逆の横方向の側壁55で各々の反対側に直接設けられ、そして、この種の一対の凹部56の距離は、ストラッツ51の対向する装着ピン52の距離に対応する。
【0053】
装着ピン52の先細りの下縁53は凹部56のV型の底壁57より鋭い。その結果、ストラッツ51の先細りの下縁53はV型の底壁57に回動可能に当接する。
【0054】
本実施例において、フレーム50は16個のストラッツ51を受け入れ、そして、各ストラッツ51は、24個の反応ウェル2を備える。
【0055】
先細りの下縁53に沿って伸びる縦軸の周りで、ストラッツ51は、傾斜するか枢動することができる。それからマイクロプレート1を遠心分離するときに、反応ウェル2は遠心力の方向に揃えられる。
図1eおよび
図1fは、部分的にカットされたマイクロプレート1の斜視図を示し、そして、マイクロプレートは軸24を中心に回転し、回転半径は「r」で表される。反応ウェル2の底部分が、反応ウェル2の上部の開口部3(の位置)よりも、縦方向の側壁54の近くなるように、縦方向の側壁54の近くにあるストラッツ51は傾けられる。ストラッツ51の配置が、2枚の縦方向の側壁54間の中央から近ければ近い程、傾斜角度は小さくなる。このようにストラッツを回動可能に配置することによって、遠心分離の間、遠心力F1〜F8が各反応ウェル2の軸61と一致することを確実にする。各反応ウェルにおいて、反応ウェル2の側壁ではなく、反応ウェル2の一番下に遠心力が向くことを確実にする。反応ウェル2内の異なる物質は、反応ウェルの軸61に対して直交して伸び、均一な層を形成する。反応ウェルの軸61に対してこれらの層が傾斜しないようにする。傾斜した層では、自動光学的検出プロセスにおいて、問題が生じる可能性がある。
【0056】
ストラッツ51が遠心分離の間、曲がらないように、ストラッツ51は長手方向では堅くなっている。本実施例において、ストラッツ51は一体構造体を形成しており、隣接する反応ウェル2(反応ウェル2は互いに離れている)間の断面の補強手段として、中間壁62を設ける(
図1c、1d)。
【0057】
マイクロプレート1の第2実施例はフレーム63と、インサート64と、を備える。インサート64は、二次元アレイ状に配置される複数の反応ウェル2を定める。二次元アレイは16行の反応ウェル2を備え、各行(16行)はそれぞれ24個の反応ウェル2を備える。
各行は、第1の実施例のストラッツ51として、実質的に実施され、隣接する反応ウェル2(反応ウェル2は互いに離れている)間の、断面の補強手段として中間壁62を設ける。しかしながら、反応ウェル2の各行は、薄い弾性ストリップ65で、反応ウェルの隣接する行と連結される。インサート64は、反応ウェル2のアレイを囲むカラー66を備える。
【0058】
フレーム63は、2枚の縦方向の側壁67と、2枚の横方向の側壁68とを備える。縦方向の側壁67は、線形で水平な上縁69を備えることができる。横方向の側壁68は、凹湾曲である上縁70を有する。縦方向の側壁67の線形の上縁でカラー66が支えられるように、インサート64をフレーム63に入れることができる(
図2c)。遠心力がインサート64に作用するとき、横方向の側壁68のカーブする上縁70にカラー66が当接するように、インサート64は湾曲させられる。上縁70の各位置で遠いものも、遠心分離機の回転軸から実質的に同じ距離となるように、横方向の側壁68の上縁70の湾曲を設計する。従って、遠心分離の間に、すべての反応ウェル2が遠心力と同じ方向に揃えられるよう、インサート64は湾曲させられる。インサート64は弾性プラスチック材料でできているので、遠心力の作用が止まったときには、インサートは平坦な形状に戻る。
【0059】
インサート64は、反応ウェルの行と平行な軸の周りでだけ可撓性を有するが、反応ウェルの列の方向を向いている軸の周りでは可撓性はない。
つまり、反応ウェル2の行は、長手方向においては固い。
【0060】
遠心力の方向に対する反応ウェルの配列のおかげで、第2実施例のマイクロプレート1は、第1実施例のマイクロプレート1と同じ利点を提供する。
【0061】
もう一つのフレーム71を用いることによって、第2実施例に変更を加えることができるが、インサート64は同じものを保持する。
【0062】
フレーム71は、2枚の縦方向の側壁72を備える。縦方向の溝73が、縦方向の側壁72の上縁に各々形成される。溝がフレーム71の中心に対して開口するように、溝は互いに対向する。フレームは、底壁74および後壁面75を有する。インサートがフレーム71内に、溝73に沿ってスライドできるように、フレーム71の正面は開いている。
【0063】
溝73の上部の、正面部および後部は、円の孤を形成する反り76でつなげられる。反りがカーブする下縁77を定めるように、反り75、76は底壁74から離れて伸びる。反り75、76および溝の上部が、インサートのエリアを備える反応ウェルを囲むフレーム状の要素を形成する。
【0064】
遠心力がインサート64に作用するときに、カラー66が反り75、76のカーブする下縁77に当接するように、インサート64は湾曲させられる。遠心分離機の回転軸に対する下縁77の各位置の距離が実質的に同じになるように、反り75、76の下縁77の湾曲が設計される。従って、遠心分離の間に、すべての反応ウェル2が遠心力の方向に揃うように、インサート64は湾曲させられる。
インサート64は弾性プラスチック材料でできているので、遠心力の作用が終わったときには、インサートは平坦な形状に戻る。
【0065】
第2実施例の2つのバージョンは、それぞれ、1つのフレームと1つのインサートとを備える。特別な形のフレームは、遠心分離機のトレイの一部であることもでき、そして、インサート単独でトレイに入れることができるマイクロプレートを形成することができる。
【0066】
開口部が外向きになっている反応ウェルを遠心分離するために、第2実施例の第2のバージョンを設ける。これは、反応ウェルを洗浄/清浄する用途のためである。
【0067】
マイクロプレート1の上記2つの実施例において、反応ウェルは、反応ウェルの行の長手方向に沿って伸びる軸の周りに、傾斜可能または回動可能に配置される。基本的に、反応ウェルの行の長手方向の拡張を横断する軸の周りで反応ウェルが回転できるように、マイクロプレートを組み立てることもできる。遠心分離のために、この種の遠心分離機にマイクロプレートを入れるとき、この枢動軸は遠心分離機の回転軸と平列でなければならない。このように、枢動軸の方向は、マイクロプレートがどのように遠心分離機に配置されるかによる。基本的に、枢動軸が反応ウェルの行の長手方向の拡張と平行である場合、このことは有利である。そして、反応ウェルの行は、行に横断方向であるアレイの列より多くの二次元アレイの反応ウェルを備える。このように、反応ウェルのアレイのより長い拡張は、遠心分離機の回転軸と、好ましくは平行である。
【0068】
各ウェル2(
図4、5)は、同一である。各反応ウェル2は、その上端部に開口部3を有し、その底端部に底壁4を有する。目的とする用途で、マイクロプレートの開口部を上方向きに、そして底壁を下向きに配置する。従って、以下の説明において、用語「上向き」は、開口部3を指し、そして、用語「下向き」は底壁4を指すように、使用する。
【0069】
反応ウェル2は、上端部に充填部5を備える。充填部5は、正方形の断面積を有する。もちろん、円または長方形といった他の断面形も可能である。しかしながら正方形にすると、面積当たりの反応ウェル2の特定の密度を備えた配置で、最大の断面積となるので好まれる。充填部5の断面積がより大きいほど、反応ウェル2を満たすのが容易である。
【0070】
充填部5を分離部7につなぐ充填部5の下に、移送部6を設ける。分離部7の断面積は、充填部5より小さい。その結果、大きい断面積の充填部から分離部7の小さい断面積の充填部への移動のために、移送部6は下方へ先細りになる。
【0071】
分離部7は、円筒体の上部8を備える。本実施例において、上部8の断面積は正方形である。
【0072】
下に先細りになる円錐部として、分離部7の下部9を含む。
【0073】
円錐部の下端(下部)9は、収集部10に通じる。収集部10は円筒体で含められる。本実施例で、この円筒体の断面積は円形である。
【0074】
収集部10の断面積は、分離部7の上部8の断面積より大幅に小さい。下部または円錐部9は、それぞれ、収集部10に対する、分離部7の上部8上の断面積を、少なくとも2:1の比率に低減する(好ましくは少なくとも3:1、特に好ましくは少なくとも4:1)。
【0075】
分離部の大部分は、分離材(例えばゲル材またはビードマトリックス)で満たされる。凝集する試料部を非凝集の試料部から分離するためにこの種の分離材を用いる。試料物質の凝集および非凝集の部分が、分離材の上面に設けられ、反応ウェル2の上部から、底端部に向けられる遠心力を受ける場合、試料の非凝集の部分だけが、ゲル材またはフィルタ材(例えばビードマトリックス)に浸透する。このように、凝集する試料部を非凝集の試料部から分離させ、収集部の非凝集の試料部を収集することができる。
【0076】
収集部10へ向かって、分離部7の上部8の断面積が減少しているので、試料物質の浸透部分は、反応ウェルの中心に一点に集められる。このように、試料物質の浸透部分は、少容量の収集部10で一点に集められる。その結果、収集部10は、分離材を介して浸透する高濃度の試料物質を包含する。こういった高濃度の試料物質は、光学検出で有利である。
【0077】
本実施例では、充填部の高さは4.5mmであり、移送部6の高さは3mmであり、分離部7の上部8の高さは5mmであり、分離部7の円錐部9の高さは1mmであり、そして、収集部10の高さは1mmである。
【0078】
充填部5の外縁部の長さは4.5mmである。反応ウェルの壁厚は約0.7mmである。
【0079】
分離部7の上部8の水平な内縁部の長さは約2mmであり、結果、分離部7の上部8の断面積は約4mm
2となる。収集部10の断面積の直径は1mm以下であり、結果、断面積は1mm
2未満となる。
【0080】
底壁4の内側から反応ウェル2の上端部まで伸びる反応ウェル2の合計した内部の高さは、14.5mmである。
【0081】
上記の与えられた数字で、反応ウェル2の具体例を説明する。もちろん、寸法を変化させることもできる。マイクロプレート1が備える反応ウェル2が少ない場合、同一サイズのマイクロプレートでは各反応ウェル2の断面積を大きくすることができる。
【0082】
用いる分離材の種類によって、分離部7の高さ寸法を変えることができる。分離部7の大部分は、分離材で満たされる。
移送部6および、充填部5の下部も分離材で満たすことも可能である。
【0083】
図1cおよび
図1dにあるように、充填部5を定める壁は、それぞれ、反応ウェル2の壁の両側にある2つの反応ウェル2の一部である。
【0084】
図6は、凝集反応の結果を決定するための試験装置13を示す。
【0085】
遠分離機14は、正面の出入台15と、遠心分離部16と、駆動部17とを備える(
図8、9、10)。
【0086】
正面の出入台15は、上面図では、標準マイクロプレートよりわずかに大きい矩形である。遠心分離部16に隣接する一辺を除いて、正面の出入台15すべての横縁にへり18を設ける。
【0087】
遠心分離部16は、ローター19を備える。水平シャフト20にローター19を載置する(
図9)。ローター19は、マイクロプレート1を1つ受けるための容器部を備える。プレートトレイ21として容器部を備える。矩形の基壁22および2つのUレール23がプレートトレイ21を定める。その開口側とは反対側にUレール23を配置する。プレートトレイの最も低い位置では、Uレール23は基壁22より下にある。
図8では、プレートトレイ21の一部を取り除く。その結果、プレートトレイ21で保たれるマイクロプレート2およびマイクロプレートキャリア26が確認できる(
図11)。
【0088】
回転軸24に対するプレートトレイ21の距離(回転半径r)は、自由に選択することができる。好ましくはその距離は、マイクロプレート1の横方向の拡張の1〜2倍である。
【0089】
容器部またはプレートトレイ21と正反対に、脚部41を用いてカウンターウェイト40をフランジ39に固定する。カウンターウェイト40の代わりに、プレートトレイを更に設けることができる。そして、プレートトレイ21で使用するマイクロプレートの種類によって、調節可能なカウンターウェイトを形成するために、マイクロプレートまたは、マイクロプレートと共にマイクロプレートキャリアを受けるために、そのプレートトレイを含む。
【0090】
プレートトレイ21の最も低い位置の高さで、前部側壁28の開口部29を備える。そして、そこはローター19の載置位置である。
正面の出入台15は、載置位置にあるプレートトレイ21の基壁22と同じ位置に設けられる。そしてその結果、マイクロプレートまたは、マイクロプレートキャリア上のマイクロプレートは、正面の出入台15から基壁22へ摺動することができる(逆もまた同様)。マイクロプレート1の反応ウェル2の開口部は、ローター19を保持する軸20に向けられる。
【0091】
本実施例において、基壁22、Uレール23および基壁22間の断面は、1つのアルミニウム単一片から作られる。
【0092】
ローター19の前側では、マイクロプレートがプレートトレイ21に滑り込むことができるように、プレートトレイ21は開いている。ローター19の後側側面にストッパー25を設ける。ストッパー25は、好ましくは磁性素子を備える。
【0093】
基壁22間の断面はできるだけ取り除かれ、そして、慣性モーメントを最小化するために、孔を基壁22に設ける。
【0094】
本実施例において、マイクロプレートキャリア26と共にマイクロプレート1を受けるよう、プレートトレイ21を設計する。マイクロプレートキャリア26(
図11)は、横縁にへり42を有する長方形フレームである。そして、マイクロプレートキャリア26で、へりの内面が、マイクロプレートの遊びの少ない位置を定める。へりが定める断面にマイクロプレートが滑り込むように、へり42の上側表面を内側に傾ける。
【0095】
マイクロプレートキャリア26は、特に強磁性材料の中でも、磁気材料でできている結合要素43を横縁の片側に備える。この結合要素27は、ローター19上の磁気ストッパー25と協働することができる。
【0096】
前部側壁28の開口部29は、長方形のスリット形である。開口部29を閉じるために自動ドアを設ける。正面の出入台15の高さで、開口部29を配置する。載置位置では、その基壁22と水平にローター19を配置する。プレートトレイ21の基壁を正面の出入台15と同じ高さ上に配置する。その結果、マイクロプレートキャリア26およびマイクロプレート1は、正面の出入台15から下部のプレートトレイ21に水平に摺動することができる(逆もまた同様)。
【0097】
マイクロプレート1の反応ウェル2に試薬を投与するために、開口部の上縁に分注ノズルを設ける。
【0098】
正面の出入台15とローター19間の隙間の、マイクロプレートの移動経路の上方に、上部のラインカメラ44(マイクロプレート1の上面上に対して下向き)を配置する。マイクロプレートの移動経路の下方に、下部のラインカメラ45(マイクロプレート1の底面上に対して上向き)を配置する(
図7)。マイクロプレート1が開口部29を介して移動するときに、ラインカメラ44、45は、マイクロプレート1の上下面の完全な画像を検出することができる。
【0099】
駆動部17は、軸20およびローター19を回転させるためのモーター(図示せず)を備える。モーターは、回転速度を制御する制御装置に接続する。この遠心分離機は、マイクロプレート1を遠心分離するために設計される。マイクロプレートと、軸20または回転軸24が離れているので、ほとんど同じ遠心加速が異なる反応ウェル2の流体に働く。従って、流体が中心の反応ウェルか側部の反応ウェルに位置するかどうかとは無関係に、同じ遠心分離効果が成し遂げられる。
【0100】
ローターの加速だけでなく速度も制御するために制御装置を設ける。ローターの速度は、100RPM〜3,000RPMである。ローターの加速および減速は、100〜1,200RPM/sである。ローターは開始時に加速され、結果、約180度のターン後に、少なくとも1gの遠心加速を加えられる。そしてその結果、流体は、開口部が下向きの反応ウェルから落ちない。深いウェル反応ウェルを有するマイクロプレートでは、できる限り速く加速することができる。しかしながら、反応ウェルに小さいウェルを有するマイクロプレートを加速させると、加速によって、反応ウェルから隣接する反応ウェルへの流体のスロッシングが生じ、汚染が発生し得る。この種のスロッシング汚染の危険性は、反応ウェルの形にと同様に反応ウェルの充填量次第である。500RPM/s〜1,200RPM/sまでの加速では、スロッシングによる汚染が発生しないことが示された。
【0101】
駆動部17はまた、マイクロプレート1を有する遠心分離機14を載置し取り外すために、載置メカニズム30を備える。
【0102】
載置メカニズム30は、マイクロプレート1、またはマイクロプレート1とマイクロプレートキャリア26の拡張および引込のために、可撓性の長尺ビーム(はり部材)31を備える(
図7)。可撓性の長尺ビーム31は、その長手方向の拡張を横切る方向でわずかに曲げられる帯状の金属シートで作られる。このように、金属シートを線形に伸ばすと金属シートは特定の剛性を備え、そして、一方で長手方向の拡張を横切る方向において軸の周りで金属シートを曲げることができる。この種の曲がった金属シートの帯は、金属の巻き尺から周知である。
【0103】
本実施例において、ビーム31の一端は、駆動部17の内壁32に垂直に固定され、そしてビームは、内壁32から後方へ伸びている。ビームの自由端33は前方に向けられ、そして内壁32のスリットを介して伸びるように、ビーム31はUターンするよう曲げられる。このように、ビームは、内壁32に固定される上部ストランド34と、内壁32のスリットを介して伸びる下部ストランド35とを備える。ストランド35(内壁32を介して伸び、そして自由端33を備える)は、2つの車輪(図示せず)の間に固定され、そして、2つの車輪のうちの1つは、ステッパーモータ37によって動く。2つの車輪のうちの1つのみが図面に示される。ビーム31の自由端33は、磁性素子38を備える。遠心分離部16と、前部側壁28の開口部29とを介して、その磁性素子38を有する自由端33が伸ばされるかまたは駆動されるように、ステッパーモータ37でビーム31を作動させることができる。このように、ビーム31の自由端33は、最長の拡張位置である正面の出入台15の領域に到達する。最長の引き込み位置では、ビーム31の自由端33はローター19の後ろに、かつ、具体的には遠心分離部16の外側に配置される。その結果、ローター19は自由に回転することができる。
【0104】
マイクロプレートキャリア26の結合素子27を介して、ビームの磁性素子38が連結するまでビーム31をただ伸ばすことによって、マイクロプレートキャリア26(正面の出入台15に配置)に載置メカニズム30を連結させることができる。ビーム31を引き込むことによって、マイクロプレートキャリア26は、ローター19のプレートトレイ21のうちの1つに引き入れられる。マイクロプレートキャリア26がストッパー25に当接するときに、ビーム31の磁性素子38とマイクロプレートキャリア26の結合要素27間の結合は、ビームを更に引き込むことによって解除される。そして、同時に、ストッパー25の磁性素子にマイクロプレートキャリア26の結合要素27を連結し、ローター19の位置に取り付ける。
【0105】
この載置メカニズム30により、自動作業ロボットでマイクロプレートを移動させるためのいずれかの輸送システムに心分離機14を連結できるようにする。作業ロボットは、正面の出入台15に位置するマイクロプレートキャリア26上に、マイクロプレート1を載置すればよい。それから、載置メカニズム30は、ローター19を載置し、そして取り外すことができる。マイクロプレートを移動させるための搬送ベルトに直接隣接する前側プレートを備えない、遠心分離機14を配置することもでき、そして、載置メカニズム30を有する搬送ベルトからマイクロプレート1を回収し、再び搬送ベルト上に置くことができる。本実施例において、結合要素27を有するマイクロプレートキャリア26を用いる。マイクロプレート1にこの種の結合要素27を提供することもでき、その結果、マイクロプレートキャリアの必要はない。
【0106】
更なる利点は、載置メカニズム30が遠心分離部16の後方側面に配置されるということである。その結果、遠心分離機14はいずれの中継デバイスもなく、既存のラボラトリーロボットにも連結することができる。これにより、遠心分離機の既存のラボラトリーロボットへの組み込みが容易となる。
【0107】
以下に、一つ以上の凝集反応の結果を判定するために、試験装置13の上記のマイクロプレート1の使用について記載する。
【0108】
好ましくは、方法は空のマイクロプレート1から始まる。ゲル材を備えたピペット装置を用いて反応ウェル2を満たす。各凝集反応を促進させるために、個々の反応ウェル2をゲル材で満たす。1枚のマイクロプレートに設けられる反応ウェル2の数より、凝集反応の数が少ない場合、必要でない反応ウェルはゲル材で満たされない。
【0109】
各々特定量のゲル材でそれぞれの反応ウェルを満たした後に、ゲル材を反応ウェルの下部に移動させるためにマイクロプレートを遠心分離する。その結果、気泡を含むことなく、ゲル材で収集部および分離部7の大部分を満たすことができる。
【0110】
遠心分離ステップのために、直径の小さい反応ウェルを使用する場合であっても、その場で反応ウェルをゲル材で満たすことができる。反応ウェルに予め分離材を入れる必要はない。もちろん、予め分離材が入れられている反応ウェルを使用することもできる。
【0111】
分離材を含む反応ウェルには、特異試薬を含む懸濁液が入れられる。異なる反応ウェルには、異なる試薬を入れることができる。試薬は、公知の血液型の抗原、抗体、または血球を通常備える。
【0112】
一定量の被試験体を、分離材および試薬を含む反応ウェルに分注する。好ましくは、同じ試料の試料物質が、異なる試薬を含む反応ウェルに分配される、そして、反応ウェルの異なるグループに異なる試料の物質を分配することができる。このように、複数の異なる試料を同時にテストすることができ、そして各試料は、複数の異なる試薬でテストされる。
【0113】
試料と、試薬と、分離材とが入っている反応ウェルを含むマイクロプレートは培養され、そして、所定の持続時間、特定の温度が適用される。別々の培養器でこの培養ステップを実施することができる。任意には、遠心分離機は加熱手段を備え、その結果、遠心分離機でマイクロプレートを培養することができる。その後、マイクロプレートを遠心分離し、非凝集の試料部は、反応ウェル2の底壁4への方向でゲル材に浸透する。試料の非凝集の部分は、反応ウェル2の収集部10に集められる。凝集反応の結果で凝集が出ている場合、凝集する試料物質は、分離材の上面に保たれる(
図6a)。弱い凝集反応しかない場合や、または凝集反応が抑えられる場合、凝集する凝集塊は小さく、ゲル材内部で止まり、そして、反応ウェル2の底壁4または収集部10まで到達しない。
図5bおよび
図5cに示すように、凝集するゲル材はゲル材にとどまり、そこで分散する。
図5d〜
図5fに示すように、凝集反応が弱ければ、非凝集の試料部の数は多くなり、そして、収集部10に到達する試料が多くなる。
【0114】
遠心分離ステップの後、遠心分離機からマイクロプレートを排出し、ラインカメラで反応ウェルの上面と底面から画像を撮る。
【0115】
それぞれ
図6a〜
図6fは、それぞれの反応ウェル2より上の上面の画像およびそれぞれの反応ウェルの下の底面の画像を示す。これらの2つの画像のグレイレベルを自動的に比較し、グレイレベルの差を算出する。5つの種類の結果がある(すなわち、0、1+、2+、3+、4+)。違いにおけるそれぞれのレベルは、特定のクラスに割り当てられる。そして、凝集する試料物質だけがある場合、反応ウェルの上面は暗く、反応ウェルの底面は明るく、そして、対応するクラスは4+である。そして、凝集反応が非常に弱い場合は、全てまたはほとんど全ての試料部は収集部10に到達し、反応ウェルの底面は暗く、そして、上面は明るい(
図6f)。そして、クラスは0(=凝集反応なし)である。
【0116】
試料物質が赤血球を備える場合、好ましくはカラー画像を撮り、そして、上面と底面の画像の赤色の色強度を比較する。
【0117】
本実施例において、反応ウェル2の開口部3の断面積は正方形であり、そして、収集部10の断面形は円である。このように、上面から撮る画像は正方形を示し、そして、底面から撮る画像は円を示す。検出パターンの形(円または正方形)によって、画像が反応ウェルの上面からか底面からか判断できる。このように、反応ウェルの上下部分の断面積の形が異なるので、画像を手動で制御する場合も、底面と上面の画像が絶対に混合されないようにする。従って、反応ウェル2の開口部3および収集部10の形が異なることは好ましい。
【0118】
絶対的な色強度またはグレイレベルは、複数の条件(例えば背景光、分離材の種類、各反応ウェルに分注される試料物質の量、他)次第である。
反応ウェルの上面と底面のイメージを比較することによって、これらの影響は排除される。なぜなら、凝集反応があるかどうか、または凝集反応がないかどうかの判定は、2つの画像の色強度および/またはグレイレベルの違いのみに基づくからである。これにより、試験を非常に信頼性が高く、そして安定したものにする。さらにまた、異なる分離材および異なる試薬でのテストを調整することは容易であり、結果、全過程は非常にフレキシブルとなる。このシステムは、膨大な量の試料を、高スループットかつ低コストでテストするのに特に適している。
【0119】
上記した実施例において、反応ウェルの上面と底面2つの画像の色強度および/またはグレイレベルを比較する。加えて、所定のサンプル画像と画像を比較することができる。
【0120】
上記の例では、凝集反応の結果を判定する方法で、傾斜可能または回動可能に配置される反応ウェルを有するマイクロプレートを用いる。
傾斜可能に配置される反応ウェルを有するマイクロプレートを、いずれの種類の試料を遠心分離するためにも用いる。これらのマイクロプレートでは、同時に多数の異なる試料を遠心分離できる。各反応ウェルで、正しく層分離した遠心分離が達成される。回転半径rが小さい場合も同様の効果が得られる。