特許第6552617号(P6552617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6552617プレート状の物体を反転するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552617
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】プレート状の物体を反転するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B65H 15/00 20060101AFI20190722BHJP
   B21B 39/20 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B65H15/00 C
   B21B39/20 A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-528462(P2017-528462)
(86)(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公表番号】特表2018-505107(P2018-505107A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】EP2015074790
(87)【国際公開番号】WO2016083046
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】102014224364.5
(32)【優先日】2014年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】パス・ギスベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・フランク
(72)【発明者】
【氏名】リーディガー・ミヒャエル
【審査官】 五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭50−014227(JP,B1)
【文献】 実開平02−038111(JP,U)
【文献】 実開平03−057410(JP,U)
【文献】 特表2010−528872(JP,A)
【文献】 実開昭51−118673(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 15/00
B21B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体(2)のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの反転アーム(3又は4)と、別の旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体(2)の別のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの別の反転アーム(4又は3)とを備え、両旋回軸が、互いに平行で互いに間隔を置いて配置されている、プレート状の物体(2)を反転するためのシステム(1)において、
搬入側及び搬出側に、それぞれ、駆動可能な少なくとも1つの偏心装置(8,9)が設けられ、この偏心装置によって、それぞれの旋回軸の位置が、反転過程前及び/又は反転過程中に調整可能であること、及び、反転すべきプレート状の物体(2)のそれぞれの厚さを測定するための少なくとも1つの測定ユニットと、通信技術的にこの測定ユニットと接続可能な少なくとも1つのシステム電子機器とが設けられ、システム電子機器は、駆動可能な偏心装置(8,9)を、反転すべきプレート状の物体(2)のそれぞれ測定された厚さに依存して駆動するために形成されていること、を特徴とするシステム(1)。
【請求項2】
駆動可能な偏心装置(8,9)は、位置不動に配置された少なくとも1つの反転軸(10)と、少なくとも1つのラジアル軸受を介してこの反転軸(10)上に配置された駆動可能な少なくとも1つの偏心ブッシュ(11)とを備え、反転アーム(3,4)の一方が、少なくとも1つのラジアル軸受を介して、駆動可能な偏心ブッシュ(11)と結合されていること、を特徴とする請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
駆動可能な偏心装置(8,9)は、位置不動でその長手方向中心軸を中心として回転可能に配置された少なくとも1つの駆動可能な反転軸(10)と、この反転軸(10)上に配置されかつ回転不能にこの反転軸(10)と結合された少なくとも1つの偏心体(12)とを備え、反転アーム(3,4)の一方が、少なくとも1つのラジアル軸受を介して偏心体(12)と結合されていること、を特徴とする請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項4】
旋回軸の一方を中心として旋回可能に配置された少なくとも2つの反転アーム(3又は4)が設けられ、各反転アーム(3又は4)に、互いに依存せずに制御可能でその制御を介してそれぞれの反転アーム(3又は4)が旋回軸を中心として旋回可能である、制御可能な固有の駆動ユニットが付設されていること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
同じ旋回軸を中心として旋回可能に配置された少なくとも2つの反転アーム(3又は4)が設けられ、これら反転アームが、少なくとも1つの結合要素(13)を介して互いに不動に結合され、結合要素(13)の反転すべきプレート状の物体(2)の側に、少なくとも1つの機械的な減衰要素(14)が配置されていること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
搬入側又は搬出側の一方に設けられる前記偏心装置(8,9)の数は少なくとも2つであり、これら偏心装置、位置不動に配置されたそれぞれ1つの反転軸(10)を備え、これら反転軸上に、それぞれ少なくとも1つの駆動可能な偏心ブッシュ(11)が、少なくとも1つのラジアル軸受を介して配置され、それぞれ少なくとも1つの反転アーム(3又は4)が、少なくとも1つのラジアル軸受を介してそれぞれの駆動可能な偏心ブッシュ(11)と結合され、反転軸(10)が、互いに整列するように配置されているか、位置不動でその長手方向中心軸を中心として回転可能に配置されたそれぞれ1つの駆動可能な反転軸(10)を備え、これら反転軸上に、それぞれの反転軸(10)と回転不能に結合されたそれぞれ少なくとも1つの偏心体(12)が配置され、それぞれ少なくとも1つの反転アーム(3又は4)が、少なくとも1つのラジアル軸受を介してそれぞれの偏心体(12)と結合され、反転軸(10)が、互いに整列するように配置されていること、を特徴とする請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項7】
旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体(2)のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの反転アームと、別の旋回軸を中心として旋回可能で、反転すべきプレート状の物体(2)の別のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの別の反転アームとを備え、両旋回軸が、互いに平行で互いに間隔を置いて配置されている反転システムを使用してプレート状の物体(2)を反転するための方法において、
少なくとも一方の旋回軸の位置が、反転過程前及び/又は反転過程中に少なくとも1つの偏心装置(8,9)によって調整されること、及び、反転すべきプレート状の物体(2)のそれぞれの厚さが測定され、旋回軸の位置が、反転過程前及び/又は反転過程中に、少なくとも1つの偏心装置(8,9)によって、反転すべきプレート状の物体(2)の測定された厚さに依存して調整されること、を特徴とする方法。
【請求項8】
旋回軸の一方を中心として旋回可能に配置された少なくとも2つの反転アーム(3又は4)が、共に又は互いに依存せずに旋回軸を中心として旋回可能であること、を特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの反転アームと、別の旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体の別のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの別の反転アームとを備え、両旋回軸が、互いに平行で互いに間隔を置いて配置されている、プレート状の物体、特にスラブ及びシートを反転するためのシステムに関する。
【0002】
更に、本発明は、旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの反転アームと、別の旋回軸を中心として旋回可能で、反転すべきプレート状の物体の別のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの別の反転アームとを備え、両旋回軸が、互いに平行で互いに間隔を置いて配置されている反転システムを使用してプレート状の物体、特にスラブ及びシートを反転するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
スラブ及びシートは、品質コントロールのため及び両フラット面での生じ得る後加工のために検査される。このため、スラブもしくはシートは、通常は検査ベッド上に寝かされるので、両フラット面の一方を検査することができる。スラブもしくはシートの他方のフラット面を検査し得るために、スラブもしくはシートは、反転される必要がある。
【0004】
シートを反転するため、通常は、シート反転器が使用される。これらシート反転器は、通常は、位置不動に保持された反転軸を備え、これら反転軸に、反転アームが、旋回可能に支承されている。これにより、反転アームは、構造的に変化しない互いの間隔を有する。これは、特に薄スラブ及びシートの場合、反転すべきスラブもしくはそれぞれ反転すべきシートが、その自重によってシート反転器の搬入側から搬出側への引渡し中に折れ曲がることを生じさせる。
【0005】
このようなシート反転器は、例えば欧州特許第2 170 536号明細書から公知である。このシート反転器は、反転軸上に存在する引渡し反転アームと、別の反転軸上に存在する引受け反転アームとを有する。それぞれの反転軸に支承された反転アームは、共通の旋回軸を中心として旋回可能に配置され、この旋回軸は、それぞれの反転軸の長手方向中心軸と同一である。反転軸、従ってこれにより定義される旋回軸は、互いに平行で互いに間隔を置いて配置されている。引渡し反転アームから引受け反転アームへのシートの引渡し中の運転騒音及びシート内の振動を低減するため、引受け反転アームの反転軸は、引渡し反転アームの反転軸に対して位置ズレされて配置されている。加えて、引受け反転アームには、少なくとも1つの減衰プレートが配置され、この減衰プレートを介して、反転過程中の引受け反転アーム上へのシートの折れ曲がりが機械的に減衰される。
【0006】
独国特許出願公開第10 2007 054 034号明細書は、反転軸に旋回可能に支承された反転アームを有する異なった厚さのプレート状の物体を反転するための装置を取り扱う。反転アームは、それぞれ旋回軸を中心として旋回可能に配置され、この旋回軸は、それぞれの反転軸の長手方向中心軸と同一である。反転軸、従ってこれにより定義される旋回軸は、互いに平行で互いに間隔を置いて配置されている。異なった厚さのプレート状の物体を反転し得るために、反転アームの一方は、他方の反転アームに配置されたプレート状の物体に、場合によっては繰り返される、プレート状の物体に対するその間隔を減少及び増加させるステップ順序で供給される。
【0007】
西独国特許出願公開第31 23 673号明細書は、両旋回軸の互いの間隔が、水平方向に変更可能である、旋回軸に旋回可能に支承された反転アームを有する逆転可能なシート反転器を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第2 170 536号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2007 054 034号明細書
【特許文献3】西独国特許出願公開第31 23 673号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、反転に伴う相応発生を十分に低減し、反転に起因するプレート状の物体の損傷を十分に回避する、異なる寸法を有するプレート状の物体、特にスラブ及びシートを反転するためのより持続的なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、独立請求項によって解決される。有利な構成は、特に、それぞれ自体で又は互いの異なる組合せで本発明の様相を表現し得る従属請求項に記載されている。
【0011】
プレート状の物体、特にスラブ及びシートを反転するための本発明によるシステムは、旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの反転アームと、別の旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体の別のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの別の反転アームとを有し、両旋回軸が、互いに平行で互いに間隔を置いて配置され、駆動可能な少なくとも1つの偏心装置を有し、この偏心装置によって、旋回軸の一方の位置が、反転過程前及び/又は反転過程中に調整可能である。
【0012】
本発明によれば、少なくとも一方の旋回軸の位置は、特に連続的に調整されるが、両旋回軸は、不断に互いに平行に配置されている。旋回軸の位置を調整するための少なくとも1つの偏心装置の本発明による使用により、旋回軸の位置は、旋回軸に対して垂直に配置された平面内に位置する円形軌道上で調整され得る。これにより、旋回軸を中心として旋回可能に配置された反転アームの旋回軸に作用する軸受部分は、上昇、降下、他方の旋回軸へ向かう又は他方の旋回軸から離間するように移動され得る。また、円形軌道上の垂直及び水平の極端位置の間の旋回軸の多くの中間位置が、任意に可能である。旋回軸の位置調整時に、反転軸自身の位置は、不変のままである。
【0013】
他方の旋回軸へ向かう又は他方の旋回軸から離間するような旋回軸の移動により、旋回軸を中心として旋回可能に配置された反転アームと、他方の旋回軸を中心として旋回可能に配置された反転アームとの間の間隔は、特に連続的に変化させ得る。これにより、システムは、非常に正確に反転すべきプレート状の物体のそれぞれの厚さに適合され得る。これにより、一方の旋回軸に旋回可能に配置された反転アームから他方の旋回軸に旋回可能に配置された旋回アームへのプレート状の物体の引渡し時のプレート状の物体の折れ曲がりが、十分に回避され得る。これは、反転に伴う騒音発生の十分な低減を伴う。
【0014】
本発明によるシステムによる一方の旋回軸に旋回可能に配置された反転アームの他方の旋回軸に旋回可能に配置された反転アームへのその引渡し時のプレート状の物体の折れ曲がりの十分な回避により、システムの軸受における衝撃及び打撃が十分に低減される。これにより、摩耗部品、特に軸受の寿命が高められ、これにより、システムは、従来の反転器よりも高い寿命を備える。加えて、これは、整備コスト及び修理コストの軽減を伴う。
【0015】
加えて、本発明によるシステムによる一方の旋回軸に旋回可能に配置された反転アームから他方の旋回軸に旋回可能に配置された反転アームへのその引渡し時のプレート状の物体の折れ曲がりの十分な回避により、折れ曲がりに起因するプレート状の物体内の振動及びこれに伴う騒音発生は、十分に低減され得る。更に、折れ曲がりに起因するプレート状の物体のフラット面の損傷は、十分に回避され得る。
【0016】
旋回軸の位置は、少なくとも一方の旋回軸に旋回可能に配置された反転アームから他方の旋回軸に旋回可能に配置された反転アームへのプレート状の物体の引渡しの時点の互いに平行に配置された旋回軸の間の間隔が、最適にプレート状の物体のそれぞれの厚さに適合されているように、反転過程前及び/又は反転過程中に調整され得る。しかしながらまた、旋回軸の間の間隔のこの適合は、早期の時点で、例えば反転過程の前又は開始時に行なわれ得る。反転すべきプレート状の物体の異なる厚さへの旋回軸の間の間隔を適合させるため、プレート状の物体のソフトで衝撃のない引渡しを実現するためのアルゴリズムが、使用もしくは計算ユニット上で実行され得る。反転すべきプレート状の物体の異なる厚さへの旋回軸の間の間隔のこのような適合は、反転過程中も行なわれ得る。
【0017】
本発明によるシステムは、別個の(“スタンドアロン”)システムとして形成すること、又は、特に自動的に作動するプレート状の物体を検査するための検査ラインに統合すること、ができる。
【0018】
一方の旋回軸を中心として旋回可能に配置された反転アームは、他方の旋回軸に旋回可能に配置された反転アームに依存せず又はこの反転アームと同期して旋回可能であり得る。旋回軸に、特に逆方向に旋回可能に配置された反転アームの移動の同期は、この同期した旋回のために設けられた電気式、油圧式又は空圧式の駆動装置の相応の構成を介して行なわれ得る。
【0019】
本発明によるシステムは、旋回軸の一方を中心として旋回可能に配置された2つ以上の反転アームを備え得る。これら反転アームは、互いに依存せずに移動可能とし得るか、少なくとも1つの結合要素を介して互いに不動に連結し得る。
【0020】
反転過程前及び/又は反転過程中の旋回軸の一方の位置を調整するため、本発明によるシステムは、依存せず又は同期して駆動可能な2つ以上の偏心装置を備え得る。両旋回軸の位置も、それぞれ少なくとも1つの駆動可能な偏心装置を介して相応に、特に連続的に調整でき、これは、プレート状の物体の反転に伴う騒音発生の更に十分な低減と、本発明によるシステムの更に持続的な構成とを伴う。少なくとも1つの駆動可能な偏心装置は、電気式、油圧式又は空圧式の駆動装置によって駆動され得る。
【0021】
有利な構成によれば、駆動可能な偏心装置は、位置不動に配置された1つの反転軸と、少なくとも1つのラジアル軸受を介してこの反転軸上に配置された駆動可能な少なくとも1つの偏心ブッシュとを有し、反転アームの一方が、少なくとも1つのラジアル軸受を介して、駆動可能な偏心ブッシュと結合されている。駆動可能な偏心装置は、反転軸と結合された各反転アームのために、駆動可能な偏心ブッシュを備えることができ、この偏心ブッシュは、同期して又は互いに依存せずに駆動可能である。後者は、システムによる異なる寸法(長さ、厚さ、幅)を有するプレート状の物体の同時の反転を可能にする。偏心ブッシュの駆動時に、この偏心ブッシュは、位置不動に配置された反転軸を中心として回転される。この場合、“位置不動に配置された”は、反転軸は、その空間的な位置を変えないが、その長手方向中心軸を中心として回転可能に配置できることを意味する。ラジアル軸受の少なくとも1つは、ラジアル滑り軸受又はラジアル転がり軸受として形成することができる。
【0022】
選択的な有利な構成によれば、駆動可能な偏心装置は、位置不動でその長手方向中心軸を中心として回転可能に配置された1つの駆動可能な反転軸と、この反転軸上に配置されかつ回転不能にこの反転軸と結合された少なくとも1つの偏心体とを有し、反転アームの一方が、少なくとも1つのラジアル軸受を介して偏心体と結合されている。駆動可能な偏心装置は、反転軸と結合された各反転アームのために、偏心体を備え、この偏心体は、反転軸の駆動によって同期して移動可能である。ラジアル軸受は、ラジアル滑り軸受又はラジアル転がり軸受として形成することができる。システムのこの構成に対して選択的に、駆動可能な反転軸は、少なくとも1つのクランクピンを有するクランクシャフトの形式により形成することができ、このクランクピンには、少なくとも1つの反転アームが、なくとも1つのラジアル軸受を介して可動に配置されている。
【0023】
別の有利な構成によれば、システムは、反転すべきプレート状の物体のそれぞれの厚さを測定するための少なくとも1つの測定ユニットと、通信技術的にこの測定ユニットと接続可能な少なくとも1つのシステム電子機器とを備え、システム電子機器は、駆動可能な偏心装置を、反転すべきプレート状の物体のそれぞれ測定された厚さに依存して駆動するために形成されている。これにより、反転すべきプレート状の物体のそれぞれの厚さの検出に応じて、全自動化された反転過程が、プレート状の物体のそれぞれ測定された厚さに対して最適な旋回軸の間の間隔を設定するシステムによって実施され得る。システム電子機器は、別個に形成すること又は検査ラインの電子機器に統合することができる。相応の測定ユニットは、システムが別個のスタンドアロンシステムとして形成されている場合に特に有効である。システムが検査ラインに統合されている場合、測定ユニットは省略できる。何故なら、反転すべきプレート状の物体のそれぞれの厚さは、上位に置かれた制御装置の材料追跡システムを介してシステムへ引き渡さなければならないからである。それにもかかわらず、検査ラインに統合されたシステムは、相応の測定ユニットを備えることができる。
【0024】
更に、システムが、旋回軸の一方を中心として旋回可能に配置された少なくとも2つの反転アームを備え、各反転アームに、互いに依存せずに制御可能でその制御を介してそれぞれの反転アームが旋回軸を中心として旋回可能である、制御可能な固有の駆動ユニットが付設されている場合が有利である。これにより、プレート状の物体を反転するために、十分な数の反転アームを使用することができるが、同じ旋回軸を中心として旋回可能な残りの反転アームは、反転に関与していない。制御可能な駆動ユニットは、電気式、油圧式又は空圧式に形成することができる。
【0025】
有利には、システムは、旋回軸の一方を中心として旋回可能に配置された少なくとも2つの反転アームを備え、これら反転アームが、少なくとも1つの結合要素を介して互いに不動に結合され、結合要素の反転すべきプレート状の物体の側に、少なくとも1つの機械的な減衰要素が配置されている。結合要素を介して、2つ以上の反転アームが1つのグループにまとめられ得る。反転アームは、2つ以上の結合要素を介して互いに不動に結合することができる。減衰要素により、例えばシートの形態のプレート状の物体が、その反転時に振動させられることを回避でき、これは、回避すべき騒音発生を伴う。減衰装置により、このような振動は、緩和することができる。減衰要素は、少なくとも部分的にエラストマーから形成することができる。2つ以上の減衰要素を、相応にプレート状の物体の振動を減衰するために使用することもできる。
【0026】
別の有利な構成によれば、システムは、駆動可能な少なくとも2つの偏心装置を備え、
・ これら偏心装置が、位置不動に配置されたそれぞれ1つの反転軸を備え、これら反転軸上に、それぞれ少なくとも1つの駆動可能な偏心ブッシュが、少なくとも1つのラジアル軸受を介して配置され、それぞれ少なくとも1つの反転アームが、少なくとも1つのラジアル軸受を介してそれぞれの駆動可能な偏心ブッシュと結合され、反転軸が、互いに整列するように配置されているか、
・ 位置不動でその長手方向中心軸を中心として回転可能に配置されたそれぞれ1つの駆動可能な反転軸を備え、これら反転軸上に、それぞれの反転軸と回転不能に結合されたそれぞれ少なくとも1つの偏心体が配置され、それぞれ少なくとも1つの反転アームが、少なくとも1つのラジアル軸受を介してそれぞれの偏心体と結合され、反転軸が、互いに整列するように配置されている。
【0027】
これにより、システムの搬入側及び/又は搬出側に、互いに依存せずに駆動可能な少なくとも2つの偏心装置を配置することができるので、システムによって、同時に、異なる寸法、特に異なる厚さを有する2つ以上のプレート状の物体を反転することができる。システムは、相応の駆動可能な複数の偏心装置を備えることもできる。
【0028】
旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの反転アームと、別の旋回軸を中心として旋回可能で、反転すべきプレート状の物体の別のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの別の反転アームとを備え、両旋回軸が、互いに平行で互いに間隔を置いて配置されている反転システムを使用してプレート状の物体、特にスラブ及びシートを反転するための本発明による方法によれば、少なくとも一方の旋回軸の位置が、反転過程前及び/又は反転過程中に少なくとも1つの偏心装置によって調整される。
【0029】
この方法とは、システムに関して前で述べた利点が相応に結びついている。本発明による方法によれば、両旋回軸の位置も、それぞれ少なくとも1つの偏心装置によって反転過程前及び/又は反転過程中に、特に連続的に調整され得る。
【0030】
有利な構成によれば、反転すべきプレート状の物体のそれぞれの厚さが測定され、旋回軸の位置が、反転過程前及び/又は反転過程中に、少なくとも1つの偏心装置によって、反転すべきプレート状の物体の測定された厚さに依存して調整される。この構成とは、システムの相応の構成に関して前で述べた利点が相応に結びついている。
【0031】
別の有利な構成によれば、旋回軸の一方を中心として旋回可能に配置された少なくとも2つの反転アームが、共に又は互いに依存せずに旋回軸を中心として旋回可能である。後者は、プレート状の物体を反転するために十分な数の反転アームが使用されることを可能にするが、同じ旋回軸を中心として旋回可能な残りの反転アームは、反転に関与していない。
【0032】
以下で、本発明を、添付図に関係させて好ましい実施例により模範的に説明するが、以下で表現される特徴は、それ自体でも、異なる互いの組合せでも、本発明の様相を表現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明によるシステムのための実施例の概略図
図2】本発明によるシステムのための別の実施例の概略図
図3】本発明によるシステムのための別の実施例の概略図
図4図3に示したシステムの別の概略図
図5図1にシステムによる反転過程の概略図
図6】本発明による方法のための実施例の図
【発明を実施するための形態】
【0034】
それぞれの図で、機能的に同じ部品は、同じ符号を備えている。
【0035】
図1は、異なる厚さのプレート状の物体2、特にスラブ及びシートを反転する際の本発明によるシステムのための実施例の概略図を示す。図1の上部で、プレート状の物体2は、システム1によって反転されるが、このプレート状の物体の厚さは、図1の下部でシステム1によって反転されるプレート状の物体2の厚さよりも明らかに小さい。
【0036】
システム1は、詳細には図示してない旋回軸を中心として旋回可能に配置された少なくとも1つの反転アーム3と、詳細には示してない別の旋回軸を中心として旋回可能に配置された少なくとも1つの別の反転アーム4とを有する。両旋回軸は、図面平面に対して垂直で、互いに平行で、互いに間隔を置いて配置されている。各反転アーム3もしくは4に、複数のローラ5が配置され、これらローラのローラ軸は、図面平面に対して垂直に配置されている。更に、各反転アーム3もしくは4に、反転すべきプレート状の物体2を支持するための突起6が配置されている。各反転アーム3もしくは4は、制御可能なアクチュエータ7を介してそれぞれの旋回軸を中心として旋回可能であり、このアクチュエータは、したからそれぞれの反転アーム3もしくは4に作用し、それぞれの反転アーム3もしくは4と関節式に結合されている。
【0037】
システム1は、駆動可能な2つの偏心装置8及び9を有し、これら偏心装置によって、それぞれ、旋回軸の一方の位置が、判定過程前及び/又は反転過程中に調整可能である。駆動可能な各偏心装置8もしくは9は、位置不動に配置された反転軸10と、示してない少なくとも1つのラジアル軸受を介して反転軸10上に配置された少なくとも1つの駆動可能な偏心ブッシュ11とを備え、反転アーム3もしくは4の一方は、示してない少なくとも1つのラジアル軸受を介して、駆動可能な偏心ブッシュ11と結合されている。選択的に、駆動可能な各偏心装置8もしくは9は、位置不動でその長手方向中心軸を中心として回転可能に配置された駆動可能な反転軸10と、この反転軸10上に配置された、反転軸10と回転不能に結合された少なくとも1つの偏心体12とを備え、反転アーム3もしくは4の一方は、示してない少なくとも1つのラジアル軸受を介して偏心体12と結合されている。駆動可能な偏心装置8もしくは9の一方を、第1に挙げた選択肢により形成し、それぞれ他方の駆動可能な偏心装置8もしくは9を、第2に挙げた選択肢により形成することもできる。
【0038】
加えて、システム1は、反転すべきプレート状の物体2のそれぞれの厚さを測定するための示してない少なくとも1つの測定ユニットと、通信技術的にこの測定ユニットと接続可能な示してない少なくとも1つのシステム電子機器とを備えることができ、このシステム電子機器は、駆動可能な偏心装置8及び9を、反転すべきプレート状の物体のそれぞれ測定された厚さに依存して駆動するために形成されている。
【0039】
各旋回軸に、旋回軸を中心として旋回可能に配置された2つ以上の反転アーム3もしくは4が存在し得、各反転アーム3もしくは4に、制御可能な固有の駆動ユニットもしくは制御可能な固有のアクチュエータ7が付設され、これらは、互いに依存せずに制御可能であり、その制御を介して、それぞれの反転アーム3もしくは4が、それぞれの旋回軸を中心として旋回可能である。
【0040】
以下で、システム1によって実施可能な反転過程を説明する。まず、反転アーム3及び4は、実線で図示されたその水平位置へ旋回される。次に、反転アーム4上へ、反転すべきプレート状の物体2載置され、図1で右側に一点鎖線で示したように、反転アーム4に配置された突起6と物理的に接触するまで、ローラ5を介して移動させることができる。その場合、プレート状の物体2の反転アーム4とは反対のフラット面を検査することができる。次いで、反転すべきプレート状の物体の厚さを測定することができる。故に、システム電子機器は、駆動可能な偏心装置8及び9を図1の上部に示した位置へもたらすために、駆動可能な偏心装置8及び9を、反転すべきプレート状の物体2のそれぞれ測定された厚さに依存して駆動する。その後、反転アーム3及び4は、一点鎖線で示した反転アーム4の中間の位置によって示したように、同期して又は互いに依存せずに旋回させることができる。反転アーム3及び4の旋回は、反転アーム3及び4が中央に一点鎖線で示した、反転アーム4から反転アーム3へのプレート状の物体2の引渡しが行なわれるその垂直位置に達するまで行なわれる。この場合、プレート状の物体2は、特に反転アーム3に配置された突起6に支持される。最後に、反転アーム3及び4は、再びその水平位置へ旋回させることができるので、反転されたプレート状の物体が、反転アーム3上に載置されており、プレート状の物体2の反転アーム3とは反対のフラット面を検査することができる。
【0041】
図1の下部に、その厚さが図1の上部に示したプレート状の物体2の厚さよりも明らかに大きいプレート状の物体2が反転される、システム1によって実施可能な反転過程が示されている。プレート状の物体2の反転時の騒音発生を十分に低減するため、反転軸10もしくは偏心ブッシュ11は、駆動可能な偏心装置8及び9を図1の下部に示した位置へもたらすために駆動される。
【0042】
図2は、本発明によるシステム1のための別の実施例の概略図を示す。システム1は、互いに依存せずに駆動可能な6つの偏心装置8及び9を有する。駆動可能な偏心装置8及び9は、位置不動に配置されたそれぞれ1つの偏心軸10を備え、これら偏心軸上に、示してないそれぞれ4つの駆動可能な偏心ブッシュが、示してないそれぞれ少なくとも1つのラジアル軸受を介して配置されている。それぞれ4つの反転アーム3もしくは4は、示してないそれぞれ少なくとも1つのラジアル軸受を介してそれぞれの駆動可能な偏心ブッシュと結合されている。反転軸10は、互いに整列するように配置されている。選択的に、駆動可能な偏心装置8及び9は、位置不動でその長手方向中心軸を中心として回転可能に配置されたそれぞれ1つの駆動可能な反転軸10を備えることができ、これら反転軸上に、それぞれの反転軸10と回転不能に結合されたそれぞれ4つの示してない偏心体が配置され、それぞれ4つの反転アーム3もしくは4は、それぞれ、示してない少なくとも1つのラジアル軸受を介してそれぞれの偏心体と結合され、反転軸10は、互いに整列するように配置されている。個々の反転軸10に支承されたそれぞれ4つの反転アーム3もしくは4は、それぞれ1つの結合要素13を介して互いに不動に結合されている。
【0043】
右側に図示した駆動可能な4つの偏心装置8及び9もしくはその反転軸10及び偏心ブッシュもしくは偏心体並びに反転軸10に支承された反転アーム3及び4により、プレート状の物体2を反転することができる。同時に、左側に図示した両駆動可能な偏心装置8及び9もしくはその反転軸10及び偏心ブッシュもしくは偏心体並びに反転軸10に支承された反転アーム3及び4により、その寸法、特に厚さが右側に示したプレート状の物体2の寸法とは異なるプレート状に物体2を反転することができる。
【0044】
図3は、本発明によるシステム1のための別の実施例の概略図を示す。例えば図2に示されているようなシステム1の詳細が見られる。図2とは違い、結合要素13の示してない反転すべきプレート状の物体2の側に、エラストマーから成る3つの機械的な減衰要素14が配置されている。
【0045】
図4は、図1に相応に示したような側面図の形態の図3に示したシステム1の別の概略図を示す。反転アーム3上へ、プレート状の物体2が載置されている。機械的な減衰装置14が結合要素13からプレート状の物体2の反転アーム3の側のフラット面へまで突出することが認められる。加えて、反転アーム3が結合要素13を介して示してない制御可能なアクチュエータと結合され、このアクチュエータを介して、反転アーム3が旋回可能であることが認められる。
【0046】
図5は、図1に示したシステム1による反転過程の概略図を示す。繰返しを避けるため、システム1の構成については図1に対して述べたことを参照されたい。位置Aを達成するために、反転アーム3は、その垂直位置へ旋回され、反転アーム4は、プレート状の物体2と共にその垂直位置の方向に旋回され、偏心装置8及び9は、その中立位置に存在する。位置Bを達成するため、反転アーム3は、更に反転アーム4の方向に旋回され、同時に偏心装置8及び9が示したように調整された。位置Cを達成するため、反転アーム3及び4は、その垂直位置へ旋回され、同時に偏心装置8及び9が示したように調整された。位置Dを達成するため、反転アーム3及び4は、反時計回り方向に旋回され、同時に偏心装置8及び9が示したように調整された。位置Eを達成するため、反転アーム3及び4は、更に反時計回り方向に旋回され、同時に偏心装置8及び9が示したように調整された。位置Fを達成するため、反転アーム3は、更に反時計回り方向に旋回され、反転アーム4は、時計回り方向に旋回され、同時に偏心装置8及び9がその中立位置へ移送された。
【0047】
図6は、旋回軸を中心として旋回可能に配置されかつ反転すべきプレート状の物体のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの反転アームと、別の旋回軸を中心として旋回可能で、反転すべきプレート状の物体の別のフラット面と物理的に接触可能である少なくとも1つの別の反転アームとを備える示してない反転システムを使用してプレート状の物体、特にスラブ及びシートを反転するための本発明による方法のための実施例の図を示す。両旋回軸は、互いに平行で互いに間隔を置いて配置されている。少なくとも一方の旋回軸の位置は、反転過程前及び/又は反転過程中に少なくとも1つの偏心装置によって調整される。処理ステップ10で、反転システムのそれぞれの実状態が検出される。処理ステップ20で、それぞれ反転すべきプレート状の物体のパラメータ、例えば厚さ、長さ等が検出される。処理ステップ30で、少なくとも1つの偏心装置の位置がプレート状の物体を反転するために適しているかどうかが求められる。少なくとも1つの偏心装置の位置がプレート状の物体を反転するために適している場合、処理ステップ40で反転過程が開始される。少なくとも1つの偏心装置の位置がプレート状の物体を反転するために適していない場合、偏心装置は、プレート状の物体を反転するために最適な位置を占めるために処理ステップ50へ移動される。このため、処理ステップ50で、反転すべきプレート状の物体のパラメータと偏心装置の位置との間の関係が保管されたデータマトリックス60に援助が求められる。反転過程の間、処理ステップ70で、偏心装置が反転過程のために最適に調整されているかどうかが監視される。偏心装置が、反転過程のために最適に調整されている場合、処理ステップ40へスキップされる。偏心装置が反転過程のために最適でない場合、ステップ50へスキップされる。
【符号の説明】
【0048】
1 システム
2 プレート状の物体
3 反転アーム
4 反転アーム
5 ローラ
6 突起
7 アクチュエータ
8 偏心装置
9 偏心装置
10 反転軸
11 偏心ブッシュ
12 偏心体
13 結合要素
14 減衰要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6