(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552637
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】回転角度を測定する装置および回転角度を測定する方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/241 20060101AFI20190722BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
G01D5/241 A
G01D5/245 B
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-551228(P2017-551228)
(86)(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公表番号】特表2018-510353(P2018-510353A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】EP2016054116
(87)【国際公開番号】WO2016155956
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年11月29日
(31)【優先権主張番号】201510150094.5
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517291346
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミィン リー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リィン リン
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−108379(JP,U)
【文献】
実開昭57−39367(JP,U)
【文献】
特開2010−164553(JP,A)
【文献】
特開2001−201310(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2527796(EP,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0091336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01B 7/00−7/34
G01P 3/00−3/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角度を測定する装置であって、
軸を中心に回転可能な可動ディスクと、前記可動ディスクに対向して配置されている固定ディスクと、前記可動ディスク上に配置されている磁石と、第1の磁気センサと、信号処理回路とを含んでおり、
前記可動ディスクは、
周期的に変化する形状を有している反射領域を含んでおり、
前記固定ディスクは、
発信領域と、
前記反射領域によって変調され、したがって前記可動ディスクが回転すると周期的に変化する静電界を前記発信領域とともに形成することができる受信領域とを含んでおり、
前記第1の磁気センサは前記固定ディスク上に配置されており、前記可動ディスクが回転すると、前記磁石の作用下で角度信号を生成し、
前記信号処理回路は、前記受信領域のアウトプットに基づいて、前記可動ディスクの増分回転角度を求め、前記第1の磁気センサによって生成された前記角度信号に基づいて前記静電界の周期を求め、かつ前記静電界の周期と前記増分回転角度とに基づいて、前記可動ディスクの絶対回転角度を求める、
回転角度を測定する装置。
【請求項2】
前記装置はさらに、少なくとも1つの第2の磁気センサを含んでおり、複数の前記第2の磁気センサ同士は、前記固定ディスク上に設定角度ぶん離間して配置されており、それぞれ、前記可動ディスクが回転すると前記磁石の作用下でパルス信号を生成し、
前記信号処理回路はさらに、2つの磁気センサによって生成された信号に基づいて、前記可動ディスクの回転方向を求め、当該2つの磁気センサは、前記第1の磁気センサと前記少なくとも1つの第2の磁気センサとから選択された2つであり、かつ前記可動ディスクの前記回転方向と、前記少なくとも1つの第2の磁気センサのうちの1つによって生成されたパルス信号とに基づいて、前記可動ディスクの回転円の数を求める、請求項1記載の装置。
【請求項3】
2つの第2の磁気センサを含んでおり、
前記信号処理回路は、前記2つの第2の磁気センサによって生成された信号に基づいて、前記可動ディスクの前記回転方向を求める、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記可動ディスクの絶対回転角度が求められているときにのみ、前記信号処理回路は、前記第1の磁気センサが主電源によって給電されるようにする、請求項3記載の装置。
【請求項5】
第2の磁気センサを含んでおり、
前記信号処理回路は、前記第2の磁気センサによって生成されたパルス信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジを検出し、前記第1の磁気センサによって生成された角度信号に基づいて、前記立ち上がりエッジおよび/または前記立ち下がりエッジそれぞれに対応して、前記可動ディスクの回転方向を求める、請求項2記載の装置。
【請求項6】
前記第1の磁気センサがバッテリーによって給電されている状況下において、角度信号が前記立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジに対応して生成されるときにのみ、前記信号処理回路は、前記第1の磁気センサが給電されるようにする、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記磁石は、放射状に磁化されたディスクの形態であり、前記可動ディスクの軸上に配置されている、請求項1から6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記第1の磁気センサは、前記磁石と同軸上に配置されている、請求項1または7記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第2の磁気センサは、半径方向において、前記磁石から設定距離ぶん離間して配置されている、請求項2または7記載の装置。
【請求項10】
各第2の磁気センサは、前記可動ディスクの1つの回転円において、50%のデューティサイクルを有するパルスを生成する、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記可動ディスクは他の反射領域も含んでおり、ここで前記反射領域と前記他の反射領域は、形状が相補的であり、かつ差動的に配置されており、
前記固定ディスクは他の受信領域も含んでおり、ここで前記受信領域と前記他の受信領域とは前記発信領域の両側に配置されており、前記他の受信領域は、前記発信領域とともに他の静電界を形成することができ、当該他の静電界は他の反射領域によって変調され、したがって前記可動ディスクが回転すると周期的に変化し、
前記信号処理回路は、前記受信領域のアウトプットと前記他の受信領域のアウトプットとの間の差に基づいて、前記可動ディスクの増分回転角度を求める、請求項1記載の装置。
【請求項12】
回転角度を測定する方法であって、
前記回転角度は、固定ディスクに対する可動ディスクの回転角度を意味し、
前記可動ディスクは軸を中心に回転可能であり、かつ周期的に変化する形状を有している反射領域を含んでおり、前記固定ディスクは前記可動ディスクに対向して配置されており、かつ発信領域と受信領域とを含んでおり、前記受信領域は、前記発信領域とともに静電界を形成することができ、前記静電界は前記反射領域によって変調され、したがって前記可動ディスクが回転すると周期的に変化し、磁石が前記可動ディスク上に配置されており、第1の磁気センサが前記固定ディスク上に配置されており、前記第1の磁気センサは、前記可動ディスクが回転すると、前記磁石の作用下で角度信号を生成し、
前記方法は、
前記受信領域のアウトプットに基づいて、前記可動ディスクの増分回転角度を求めるステップと、
前記第1の磁気センサによって生成された角度信号に基づいて前記静電界の周期を求めるステップと、
前記静電界の前記周期と前記増分回転角度とに基づいて、前記可動ディスクの絶対回転角度を求めるステップと、
を含んでいる、回転角度を測定する方法。
【請求項13】
少なくとも1つの第2の磁気センサも前記固定ディスク上に配置されており、複数の前記第2の磁気センサ同士は設定角度ぶん離間して配置されており、それぞれ、前記可動ディスクが回転すると、前記磁石の作用下でパルス信号を生成し、
前記方法はさらに、2つの磁気センサによって生成された信号に基づいて、前記可動ディスクの回転方向を求めるステップであって、当該2つの磁気センサは、前記第1の磁気センサと前記少なくとも1つの第2の磁気センサとから選択された2つである、ステップと、
前記可動ディスクの前記回転方向と、前記少なくとも1つの第2の磁気センサのうちの1つによって生成されたパルス信号とに基づいて、前記可動ディスクの回転円の数を求めるステップと、
を含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
2つの第2の磁気センサが前記固定ディスク上に配置されており、
2つの磁気センサによって生成された信号に基づいて、前記可動ディスクの回転方向を求める前記ステップは、
前記2つの第2の磁気センサによって生成された信号の順序に基づいて、前記可動ディスクの前記回転方向を求めるステップを含んでいる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
1つの第2の磁気センサが前記固定ディスク上に配置されており、
2つの磁気センサによって生成された信号に基づいて、前記可動ディスクの回転方向を求める前記ステップは、
前記第2の磁気センサによって生成されたパルス信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジを検出するステップと、
前記第1の磁気センサによって生成された角度信号に基づいて、前記立ち上がりエッジおよび/または前記立ち下がりエッジそれぞれに対応して、前記可動ディスクの回転方向を求めるステップと、
を含んでいる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
主電源がオンにされているときにのみ、前記可動ディスクの絶対回転角度が求められ、前記可動ディスクの増分回転角度と回転円の数とが継続的に求められる、請求項13から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記可動ディスクは他の反射領域も含んでおり、ここで前記反射領域と前記他の反射領域は、形状が相補的であり、かつ差動的に配置されており、
前記固定ディスクは他の受信領域も含んでおり、ここで前記受信領域と前記他の受信領域とが前記発信領域の両側に配置されており、前記他の受信領域は、前記発信領域とともに他の静電界を形成することができ、当該他の静電界は前記他の反射領域によって変調され、したがって前記可動ディスクが回転すると周期的に変化し、
前記受信領域のアウトプットに基づいて、前記可動ディスクの増分回転角度を求める前記ステップは、
前記受信領域のアウトプットと前記他の受信領域のアウトプットとの間の差に基づいて、前記可動ディスクの増分回転角度を求めるステップを含んでいる、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角度測定の分野に関し、特に絶対回転角度測定装置に関する。本発明は、絶対回転角度測定方法にも関する。
【0002】
背景技術
ロータリーエンコーダとも呼ばれる回転角度測定装置は、角度および回転速度を測定するために使用される装置の一種であり、現在、多くの分野で広く使用されており、例えば電気機械の速度を測定するために、またポジションコントロールシステムのため等に使用可能である。検出が行われる原理に従って、ロータリーエンコーダは光学式エンコーダ、磁気式エンコーダおよび容量式エンコーダ等に分類される。容量式ロータリーエンコーダは、光学式エンコーダや磁気式エンコーダよりも精度が高く、ロバストである。
【0003】
従来技術の容量式ロータリーエンコーダは、可動ディスク(ロータとも称される)と固定ディスク(ステータとも称される)とを含んでいる。可動ディスクは、固定ディスクに対して回転角度を成すように、軸(例えば、電気機械のような回転する構成要素の回転軸)を中心に回転することができる。可動ディスクは反射領域を含んでおり、固定ディスクは、発信領域と受信領域とを含んでおり、固定ディスク上の発信領域と受信領域との間に静電界が形成され得る。この静電界は、可動ディスクが回転すると、可動ディスク上の反射領域によって変調されるように形成されている。したがって、固定ディスク上の受信領域のアウトプットに基づいて、可動ディスクの回転角度を求めることができる。可動ディスク上の反射領域は、一般的に周期的な形状を有しており、これは例えば、繰り返される正弦波、余弦波または三角波である。可動ディスクが回転すると、固定ディスク上の発信領域と受信領域との間に形成された静電界は、可動ディスク上の、周期的な形状を有している反射領域によって変調され、これに相応して周期的な変化が生じる。ここで反射領域の繰り返される各形状は、静電界の1つの周期を表している。静電界の1つの周期において可動ディスクが回転する角度を求めることにより、可動ディスクの増分回転角度(すなわち、各周期的な開始点に対して相対的な可動ディスクの回転角度)を求めることができる。さらに、可動ディスクの初期位置を求めることによって、可動ディスクの絶対回転角度(すなわち、ゼロポイントに対して相対的な可動ディスクの実際の回転角度)を求めることができる。
【0004】
異なる使用領域では、1つの円における可動ディスクの絶対回転角度を求める必要が時々あり、時には、可動ディスクの複数円回転角度を求めることが可能である必要がある。
【0005】
本発明の内容
以上の点に鑑みて、本発明の課題は、簡易かつコンパクトな構造で、かつ良好な測定精度およびロバスト性で、1つの円における可動ディスクの絶対回転角度を求めることができる、回転角度測定装置および回転角度測定方法を提供することである。
【0006】
本発明の回転角度測定装置は、軸を中心に回転可能な可動ディスクと、可動ディスクに対向して配置されている固定ディスクと、可動ディスク上に配置されている磁石と、第1の磁気センサと、信号処理回路とを含んでおり、
可動ディスクは、周期的に変化する形状を有している反射領域を含んでおり、
固定ディスクは、発信領域と、反射領域によって変調され、したがって可動ディスクが回転すると周期的に変化する静電界を発信領域とともに形成することができる受信領域とを含んでおり、
第1の磁気センサは固定ディスク上に配置されており、可動ディスクが回転すると、磁石の作用下で角度信号を生成し、
信号処理回路は、受信領域のアウトプットに基づいて、可動ディスクの増分回転角度を求め、第1の磁気センサによって生成された角度信号に基づいて静電界の周期を求め、かつ静電界の周期と増分回転角度とに基づいて、可動ディスクの絶対回転角度を求める。
【0007】
本発明の回転角度測定方法において、回転角度は、固定ディスクに対する可動ディスクの回転角度を意味し、可動ディスクは軸を中心に回転可能であり、かつ周期的に変化する形状を有している反射領域を含んでおり、固定ディスクは可動ディスクに対向して配置されており、かつ発信領域と受信領域とを含んでおり、受信領域は、発信領域とともに静電界を形成することができ、静電界は反射領域によって変調され、したがって可動ディスクが回転すると周期的に変化し、磁石が可動ディスク上に配置されており、第1の磁気センサが固定ディスク上に配置されており、第1の磁気センサは、可動ディスクが回転すると、磁石の作用下で角度信号を生成し、この方法は、受信領域のアウトプットに基づいて、可動ディスクの増分回転角度を求めることと、第1の磁気センサによって生成された角度信号に基づいて静電界の周期を求めることと、静電界の周期と増分回転角度とに基づいて、可動ディスクの絶対回転角度を求めることを含んでいる。
【0008】
簡易かつコンパクトな構造で、かつ良好な測定精度およびロバスト性で、可動ディスクの複数円絶対回転角度を求めることができる、複数円絶対回転角度測定装置および複数円絶対回転角度測定方法を提供することも本発明の課題である。
【0009】
さらに、本発明の装置は、少なくとも1つの第2の磁気センサを含んでおり、複数の第2の磁気センサ同士は、固定ディスク上に設定角度ぶん離間して配置されており、それぞれ、可動ディスクが回転すると磁石の作用下でパルス信号を生成する。
【0010】
信号処理回路はさらに、2つの磁気センサによって生成された信号に基づいて、可動ディスクの回転方向を求め、この2つの磁気センサは、第1の磁気センサと少なくとも1つの第2の磁気センサとから選択された2つであり、可動ディスクの回転方向と少なくとも1つの第2の磁気センサのうちの1つによって生成されたパルス信号とに基づいて、可動ディスクの回転円の数を求める。
【0011】
さらに、本発明の方法では、少なくとも1つの第2の磁気センサも固定ディスク上に配置されており、複数の第2の磁気センサ同士は設定角度ぶん離間して配置されており、それぞれ、可動ディスクが回転すると、磁石の作用下でパルス信号を生成し、この方法はさらに、
2つの磁気センサによって生成された信号に基づいて、可動ディスクの回転方向を求めることを含んでおり、この2つの磁気センサは、第1の磁気センサと少なくとも1つの第2の磁気センサとから選択された2つであり、かつ
可動ディスクの回転方向と少なくとも1つの第2の磁気センサのうちの1つによって生成されたパルス信号とに基づいて、可動ディスクの回転円の数を求めることを含んでいる。
【0012】
添付の図面の説明
本発明の課題、特徴および効果を、添付の図面と併せて、本発明の特定の実施形態を用いて以下に詳細に説明する。これらの説明は単なる例示であり、本発明の保護の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1における回転角度測定装置の固定部を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1における回転角度測定装置の回転部を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態2における回転角度測定装置の固定部を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態2における第1および第2の磁気センサによって生成された信号を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態3における回転角度測定装置の固定部を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態3における、第2の磁気センサによって生成された信号を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態4における回転角度測定装置の信号処理回路を示す図である。
【0014】
特定の実施形態
本発明の装置の実施形態を、
図1および2に関連して以下に説明する。
図1は本発明の回転角度測定装置の固定部を示し、
図2は回転角度測定装置の回転部を示す。
【0015】
図1に示すように、回転角度測定装置の固定部は、固定ディスク10と、固定ディスク10上に配置された第1の磁気センサ14とを含んでいる。固定ディスク10は、複数の電極12からなる発信領域と、電極11および13によって形成された一対の差動受信領域とを含んでいる。励起信号を複数の電極12に与えることによって、発信領域と各受信領域との間に静電界が形成されてよい。種々の電極12、11および13は、相互に電気的に絶縁されている(例えばギャップによって)。電気的な絶縁の度合いを高めるために、かつ発信領域と各受信領域との間のクロストークを回避するために、コンダクタリング17および18がさらに、発信領域と受信領域との間に配置されていてよい。
【0016】
図2に示すように、回転角度測定装置の回転部は、可動ディスク20と、可動ディスク20上に配置された磁石24とを含んでおり、可動ディスク20は、軸(例えば、試験される電気機械の回転軸)を中心に回転することができ、それによって磁石24をそれとともに回転させる。可動ディスク20は、電極21および23によって形成された一対の差動反射領域を含んでいる。電極21および23は、相補的な、周期的に変化する形状を有しており、かつ互いに電気的に絶縁されている。
【0017】
固定ディスク10と可動ディスク20は、固定ディスク10の発信領域と受信領域とが可動ディスク20の反射領域に対向するように、互いに対向して配置されている。可動ディスク20が回転すると、固定ディスク10の発信領域と受信領域との間の静電界が、可動ディスク20の反射領域によって変調され、特に、発信領域の電極12と受信領域の電極11との間の静電界が反射領域電極21によって変調され、発信領域の電極12と受信領域の電極13との間の静電界は反射領域電極23によって変調され、受信領域の電極11および13のアウトプットは、同じ振幅であるが逆位相の一対の差動信号を形成する。反射領域は周期的に変化する形状を有しているので、発信領域と受信領域との間の静電界も、可動ディスク20が回転すると周期的に変化する。反射領域の繰り返される各形状は静電界の1周期を表し、可動ディスク20が、静電界の1周期内で回転する角度、すなわち可動ディスク20の増分回転角度が、受信領域のアウトプットに従って求められる。
【0018】
可動ディスク20の反射領域の形状における周期の数(すなわち、可動ディスク20の1回転円における静電界の周期の数)を増やすことによって、分解能および増分回転角度の測定精度を上げることができる。差動構造によって、固定ディスク10の受信領域の電極11および13の出力信号間の差分値を用いて、受信領域のアウトプットにおける有効な信号成分を増大させ、かつノイズを低減させ、これによって測定精度を上げることができる。
【0019】
固定ディスク10上の第1の磁気センサ14は、可動ディスク20上の磁石24によって生成される磁界を検出するために使用される。可動ディスク20が回転すると、磁石24によって生成された磁界がそれとともに回転し、第1の磁気センサ14は、磁石24の作用下で角度信号を発生させ、この角度信号は、可動ディスク20が1つの円において回転する角度を示す。第1の磁気センサ14によって生成された角度信号は、静電界の周期を求めるために使用される。静電界の周期と、可動ディスク20の増分回転角度とに基づいて、1つの円における可動ディスク20の絶対回転角度を求めることができる。
【0020】
上述した実施形態1の回転角度測定装置によって、第1の磁気センサ14によって生成された角度信号は、直接的に可動ディスク20の絶対回転角度を求めるために使用されるのではなく、静電界の周期を求めるためだけに使用されるので、第1の磁気センサ14の感度に関する要求、第1の磁気センサ14によって生成される角度信号と磁石24によって生成される磁界との間の線形性に関する要求、信号処理の精度に関する要求はいずれも幾分低下し、したがって回転角度測定装置のコストを抑え、かつ製造コストを低減させることができる。さらに、受信領域のアウトプットによって可動ディスク20の増分回転角度を求めることにより、容量式ロータリーエンコーダの長所を保ち、回転角度測定装置により高い精度とロバスト性を付与することができる。差動構造によって、受信領域の電極11および13の出力信号の差分値を用いて、複数の出力信号におけるノイズを相互にオフセットさせることができ、有効な信号成分が倍になり、これによってさらに、測定精度が上昇する。付加的に、第1の磁気センサ14によって生成された角度信号によって静電界の周期が求められ、次に、1つの円における可動ディスク20の絶対回転角度が求められる。装置構造は簡素かつコンパクトであり、実装が容易である。
【0021】
1つの円における可動ディスク20の絶対回転角度を求める必要性に加えて、位置に関する厳しい要求、例えばその安全性に関する厳しい要求を伴う使用領域では、可動ディスク20の複数円絶対回転角度を求めることが可能であることも必要である。本発明の装置の実施形態2を、以下で
図3に関連して説明する。実施形態1と同じ、実施形態2の部分は繰り返さない。説明の焦点は、実施形態2の異なっている部分のみにある。
【0022】
図3は、実施形態2の回転角度測定装置の固定部を示している。回転角度測定装置の回転部は、
図2に示された実施形態1の回転部と同じである。
図3が示すように、回転角度測定装置の固定部は、
図1に示されているように、固定ディスク10と、固定ディスク10上に配置された第1の磁気センサ14とを含んでいる。付加的に、回転角度測定装置の固定部は、第2の磁気センサ15も含んでいる。可動ディスク20が回転すると可動ディスク20上の磁石24の作用下でパルス信号を生成するように、第2の磁気センサ15は固定ディスク10上に配置されており、パルス信号の形態は、可動ディスク20の各回転円に対して1つ以上のパルスが生成されるような形態である。これは、磁石24の磁界の回転円の数を反映することができる。
【0023】
可動ディスク20の複数円絶対回転角度を求める必要がある場合には、1つの円における可動ディスク20の求められた絶対回転角度に基づいて、可動ディスク20が回転した円の数を求めることができることが必要である。可動ディスク20の回転円の数を求めるために、可動ディスク20の回転方向が求められなければならない。実施形態2では、第1の磁気センサ14と第2の磁気センサ15とによって生成された信号に従って、可動ディスク20の回転方向が求められる。
【0024】
図4を参照すると、可動ディスク20の回転中、第1の磁気センサ14は、
図4において正弦曲線M
1として表されている角度信号を生成する。第2の磁気センサ15は、
図4において、50%のデューティサイクルを有するパルスシーケンスM
2として表されている、可動ディスク20の各回転円に対して1つのパルスが生成されるような形態を有するパルス信号を生成する。エッジ検出によって、第2の磁気センサ15によって生成されたパルス信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジを知ることができる。これを、第1の磁気センサ14によって生成された角度信号の、立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジに対応する角度値と組み合わせることによって、可動ディスク20の回転方向を求めることができる。例えば、第2の磁気センサ15によって生成されるパルス信号の立ち上がりエッジに対応して、可動ディスク20の正転の間は、第1の磁気センサ14によって生成される角度信号の角度値はBであり、可動ディスク20の逆転の間は、第1の磁気センサ14によって生成される角度信号の角度値はAであり、第2の磁気センサ15によって生成されるパルス信号の立ち下がりエッジに対応して、可動ディスク20の正転の間は、第1の磁気センサ14によって生成される角度信号の角度値はAであり、可動ディスク20の逆転の間は、第1の磁気センサ14によって生成される角度信号の角度値はBである。
【0025】
第2の磁気センサ15によって生成されるパルス信号のパルスカウントと、求められた回転方向とに基づいて、可動ディスク20の回転円の数を求めることができる。例えば、可動ディスク20の正転の場合、第2の磁気センサ1によって生成されるパルス信号のパルスカウントは1であり、可動ディスク20の逆転の場合、第2の磁気センサ15によって生成されるパルス信号のパルスカウントは−1であり、順次、加算が行われる。可動ディスク20の回転円の数が同じ位置で計数されることを保証するために、第2の磁気センサ15によって生成されたパルス信号のパルスの計数は、パルス信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジで行われるように設定されている。例えば、可動ディスク20の正転の間、第2の磁気センサ15によって生成されたパルス信号の立ち下がりエッジで計数が行われ、可動ディスク20の逆転の間、第2の磁気センサ15によって生成されたパルス信号の立ち上がりエッジで計数が行われる。
【0026】
上述した実施形態2の回転角度測定装置によって、可動ディスク20の、求められた単数円絶対回転角度に基づいて、さらに、その複数円絶対回転角度を求めることができる。さらに、第2の磁気センサ15は、パルス信号を生成するために用いられ、低消費電力の磁気検出素子であってよく、したがって、回転角度測定装置の消費電力が低減される。例えば、回転角度測定装置の主電源が切断されており、バッテリーが給電している場合には、電気エネルギーの消費をさらに低減するために、第2の磁気センサ15によって生成されたパルス信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジに対応して角度信号が生成されるときにのみ、第1の磁気センサ14が給電されるように構成することができる。
【0027】
本発明の装置の実施形態3を以下で、
図5に関連して説明する。実施形態3の回転角度測定装置は、可動ディスク20の複数円絶対回転角度を求めることができ、消費電力が小さい。上述した実施形態と同じ、実施形態3の部分については繰り返さない。説明の焦点は、実施形態3の異なっている部分のみにある。
【0028】
図5は、実施形態3の回転角度測定装置の固定部を示す。この回転角度測定装置の回転部は、
図2に示された実施形態1の回転部と同じである。
図5が示すように、回転角度測定装置の固定部は、
図1に示されているように、固定ディスク10と、固定ディスク10上に配置されている第1の磁気センサ14とを含んでいる。さらに、回転角度測定装置の固定部は、2つの第2の磁気センサ15および16も含んでいる。第2の磁気センサ15および16は、固定ディスク10上に設定角度ぶん離間して配置されており、可動ディスク20が回転すると、可動ディスク20上の磁石24の作用下でパルス信号を生成するためにそれぞれ使用される。各パルス信号の形態は、可動ディスク20の各回転円に対して1つ以上のパルスが生成されるような形態である。これは、磁石24の磁界の回転円の数を反映することができる。
【0029】
求められた、1つの円における可動ディスク20の絶対回転角度に基づいて、可動ディスク20の回転円の数を求めるためには、可動ディスク20の回転方向を求める必要がある。実施形態3では、可動ディスク20の回転方向は、第2の磁気センサ15および16によって生成されたパルス信号に基づいて、求められる。
【0030】
図6を参照すると、可動ディスク20の回転の間、第2の磁気センサ15および16はそれぞれパルス信号を生成し、各パルス信号の形態は、可動ディスク20の各回転円に対して1つのパルスが生成されるような形態であり、パルス信号は
図6において、それぞれパルスシーケンスM
21およびM
22として示されており、それぞれ50%のデューティサイクルを有している。第2の磁気センサ15および16は、設定角度ぶん離間して配置されているので、可動ディスク20の回転中、第2の磁気センサ15および16によって生成されたパルス信号は、可動ディスク20の回転方向に関連した、設定された順序を有している。例えば、パルス信号の立ち上がりエッジに基づいて、可動ディスク20の正転の間、第2の磁気センサ15および16によって生成されるパルス信号の順序は、16に続いて15(M
22に続いてM
21)であり、可動ディスク20の逆転の間、第2の磁気センサ15および16によって生成されるパルス信号の順序は、15に続いて16(M
21に続いてM
22)である。パルス信号の立ち下がりエッジに基づいて、可動ディスク20の正転の間、第2の磁気センサ15および16によって生成されるパルス信号の順序は15に続いて16(M
21に続いてM
22)であり、可動ディスク20の逆転の間、第2の磁気センサ15および16によって生成されるパルス信号の順序は16に続いて15(M
22に続いてM
21)である。したがって、第2の磁気センサ15および16によって生成されたパルス信号の順序に基づいて、可動ディスク20の回転方向を求めることができる。例えば、エッジ検出により、第2の磁気センサ15および16によって生成されたパルス信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジを知ることができ、検出された立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジの順序に基づいて、可動ディスク20の回転方向を求めることができる。
【0031】
第2の磁気センサ15および16のいずれかによって生成されたパルス信号のパルスカウントと、求められた回転方向とに基づいて、可動ディスク20の回転円の数を求めることができる。パルス計数の特別な動作の詳細については、実施形態2を参照することができ、これはここでは繰り返されない。
【0032】
上述した実施形態3の回転角度測定装置によって、可動ディスク20の複数円絶対回転角度を求めることができる。さらに、第1の磁気センサ14は、可動ディスク20の単数円絶対回転角度が求められるときだけ、主電源によって給電される必要があり、可動ディスク20の回転円の数の計数は、第2の磁気センサ15および16によって生成されたパルス信号によって継続的に行われてよい。第2の磁気センサ15および16は、低消費電力の磁気検出素子であってよく、したがって、回転角度測定装置の消費電力が著しく低減される。
【0033】
上述した実施形態では、第2の磁気センサが磁気スイッチセンサであることが有利であるが、検出された磁界強度が設定された閾値よりも高い場合および/または低い場合には、その出力信号が極性反転を受けることを、当業者は理解するはずである。したがって、アウトプットは、消費電力が低いパルス信号である。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の磁気センサが連続信号を出力する場合、例えば第1の磁気センサと同様に正弦信号を出力する場合、要求されているパルス信号を変換によって、例えば閾値回路によって生成することもできる。
【0034】
本発明の装置の実施形態では、第1の磁気センサが磁気角度センサであることが有利であり、これは例えばホールセンサ、巨大磁気抵抗効果(GMR)センサ、異方向性磁気抵抗効果(AMR)センサ、トンネル磁気抵抗効果(TMR)センサ、等である。
【0035】
磁石24は、有利には放射状に磁化されたディスクの形態であり、可動ディスク20の軸上に配置されている。例えば、磁石24がハウジング内に配置されていてもよく、ハウジングは、可動ディスク20の軸に配置されていてよく、ハウジングと可動ディスク20とは、締結要素によって回転軸上に共に固定されていてよい。したがって可動ディスク20と磁石24によって生成される磁界とを同軸上で回転させることができる。第1の磁気センサ14は、有利には、第1の磁気センサ14によって生成される角度信号が、可動ディスク20が回転した角度を直接的に示すことができるように、磁石24とも同軸上に配置されている。第2の磁気センサ15は、有利には、半径方向において、磁石24から設定距離ぶん離間して配置されているので、可動ディスク20の回転の間、磁石24の磁界による、第2の磁気センサ15において生成された信号の電気レベル同士は、より顕著に異なっていてよく、これによってパルス検出と計数をより正確にすることができる。
【0036】
本発明の装置の実施形態4を以下で、
図7と組み合わせて説明する。実施形態3の説明が、実施形態4の回転角度測定装置の回転部および固定部の詳細のために参照されてよい。説明の焦点はここでは、回転角度測定装置の信号処理回路のみにある。
【0037】
信号処理回路は、固定ディスク10の受信領域のアウトプットに基づいて、可動ディスク20の増分回転角度を求め、第1の磁気センサ14によって生成された角度信号に基づいて静電界の周期を求め、静電界の周期と求められた増分回転角度とに基づいて可動ディスク20の絶対回転角度を求めるために使用される。さらに、信号処理回路は、2つの磁気センサによって生成された信号に基づいて、可動ディスク20の回転方向を求め、ここで2つの磁気センサは、第1の磁気センサ14および第2の磁気センサ15である、または第2の磁気センサ15および16であり、可動ディスク20の回転方向と第2の磁気センサ15および16のうちの1つによって生成されたパルス信号とに基づいて、可動ディスクの回転円の数を求める。信号処理回路は、固定ディスク10上に配置されていてよい、または別個の回路基板として設けられていてよい。
【0038】
図7に示す信号処理回路30(図に示されているその種々の要素および接続は、単に信号の流れ方向を説明するためのものであり、要素の物理的な位置を反映するものではない)においては、固定ディスク10の受信領域の電極11および13の出力信号は、演算増幅器31を通過する。ここでこの演算増幅器31は差分値を求め、この差分値は次に、アナログデジタル変換器32によって、デジタル信号に変換される。デジタル信号はバンドパスフィルタリング33を受けて、さらに、帯域外のノイズを除去する。バンドパスフィルタリングの後、デジタル信号は直交キャリア(正弦および余弦)信号41および41’それぞれで乗算器34および34’を通過して復調され、この復調から得られた2つの直交信号は、ローパスフィルタリング35および35’をそれぞれ受けて、ベースバンド信号が得られる。ベースバンド信号の同相成分および直交位相成分はさらに、アークタンジェント演算36を受けて、可動ディスク20の増分回転角度が得られる。
【0039】
絶対回転角度決定ユニット37は、得られた増分回転角度と第1の磁気センサ14によって生成された角度信号とに従って、1つの円における可動ディスク20の絶対回転角度を求めることができる。
【0040】
さらに、マイクロプロセッサ38は、第2の磁気センサ15および16によって生成されたパルス信号の順序に基づいて、可動ディスク20の回転方向を求め、さらに、求められたこの回転方向と、第2の磁気センサ15または16によって生成されたパルス信号のパルスカウントとに基づいて、可動ディスク20の回転円の数を求めることができる。
【0041】
絶対回転角度決定ユニット37は、次に、1つの円における可動ディスク20の絶対回転角度と回転円の数とに基づいて、可動ディスク20の複数円絶対回転角度を求めることができる。
【0042】
回転角度測定装置の主電源(簡略化のために
図7には図示されていない)が切断されたときに、可動ディスク20の回転円の数を継続して記録することを可能にするために、第2の磁気センサ15および16およびマイクロプロセッサ38が、バッテリー40によって給電されてもよい。
【0043】
絶対回転角度決定ユニット37によって求められた可動ディスク20の複数円絶対回転角度は、インタフェースユニット39によって、上位のコントロールシステム、例えば電気機械速度またはポジションコントロールシステムに供給される適切な信号フォーマットに変換されてよい。
【0044】
さらに、直交キャリア信号41および41’をデジタルアナログ変換し、4つの直交する励起信号A〜Dを生成するために、信号処理回路30が、デジタルアナログ変換器42および演算増幅器43を含んでいてよい。4つの直交する励起信号は、それぞれ0度、90度、180度および270度の正弦信号であり、固定ディスク10の発信領域の電極12を励起する。4つの電極12の各グループは発信電極のグループを形成し、向かい合っているものが受信領域の形状を繰り返し、4つの直交する励起信号A〜Dによって励起される。既存の容量式エンコーダが、特定の構成の詳細のために参照されてよく、これはここでは記載されない。
【0045】
本発明において提示された回転角度測定装置に相応して、本発明は、回転角度測定方法も提供する。ここでは、回転角度は、固定ディスクに対する可動ディスクの回転角度を意味する。可動ディスクは軸を中心に回転可能であり、かつ周期的に変化する形状を有している反射領域を含んでいる。固定ディスクは、可動ディスクに対向して配置されており、かつ発信領域と、反射領域によって変調され、したがって可動ディスクが回転すると周期的に変化する静電界を発信領域とともに形成することができる受信領域とを含んでいる。可動ディスク上に磁石が配置され、第1の磁気センサが固定ディスク上に配置されており、第1の磁気センサは、可動ディスクが回転すると、磁石の作用下で角度信号を生成する。受信領域のアウトプットに基づいて、可動ディスクの増分回転角度を求め、第1の磁気センサによって生成された角度信号に基づいて静電界の周期を求め、静電界の周期と増分回転角度とに基づいて、1つの円における可動ディスクの絶対回転角度を求める。
【0046】
さらに、可動ディスクの複数円絶対回転角度を求めるために、固定ディスク上に少なくとも1つの第2の磁気センサも配置され、複数の第2の磁気センサ同士は設定角度ぶん離間して配置されており、それぞれ、可動ディスクが回転すると、磁石の作用下でパルス信号を生成する。本発明の方法は、2つの磁気センサによって生成された信号に基づいて、可動ディスクの回転方向を求めることを含んでおり、これら2つの磁気センサは、第1の磁気センサと少なくとも1つの第2の磁気センサとから選択された2つであり、さらに、可動ディスクの回転方向と、少なくとも1つの第2の磁気センサのうちの1つによって生成されたパルス信号とに基づいて、可動ディスクの回転円の数を求めることを含んでいる。
【0047】
本発明の方法では、可動ディスクの複数円絶対回転角度を求めるために、有利には、主電源がオンにされているときにのみ、1つの円における、可動ディスクの絶対回転角度が求められ、可動ディスクの増分回転角度と回転円の数とが継続的に求められる。
【0048】
本発明の装置の上述した実施形態における関連する内容が、本発明の方法の詳細な説明のために参照されてよく、ここでは繰り返されない。
【0049】
当業者であれば、本明細書では説明が様々な実施形態に基づいているが、各実施形態がただ1つの独立した技術的解決策を含んでいる訳では決してない、ということを理解するはずである。このような提示方法は本明細書で、明瞭化のために採用されているだけである。当業者は、説明全体を考慮に入れる必要がある。様々な実施形態における技術的解決策は、当業者によって理解され得る他の実施形態を形成するために、適切に組み合わせられてもよい。
【0050】
上述した実施形態は、本発明の特定の例示的な実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の概念および原理から逸脱することなく、当業者によってなされた同等の変更、修正または組み合わせは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。