(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自局の通信エリア内に存在する移動局から送信される第1情報の受信が可能であるとともに、前記自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第2情報の送信が可能である第1基地局と、
前記第1基地局が前記第1基地局の通信エリア内に存在する移動局向けに送信した前記第2情報の受信が可能であり、自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第3情報の送信が可能である第2基地局と、を備え、
前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報は、移動局が緊急移動中であることを通知する緊急情報、および当該緊急情報以外の通常情報を含み得る情報であり、
緊急情報を含む前記第1情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第1特定用情報を含み、
緊急情報を含む前記第2情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含み、
前記第2特定用情報は、前記第1特定用情報を受信した前記第1基地局によって前記第1特定用情報に基づいて生成される情報であり、
前記第1基地局は、
受信した前記第1情報に緊急情報および通常情報のいずれが含まれるかを判断し、緊急情報を含むと判断した場合に、
緊急情報および第1特定用情報を含む前記第1情報に基づいて、緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を生成し、生成した前記第2情報を送信するよう構成され、
前記第2基地局は、
受信した前記第2情報に緊急情報および通常情報のいずれが含まれるかを判断し、緊急情報を含むと判断した場合に、
前記緊急移動中の移動局が自局に接近していると判断するための接近条件を満たすか否かを判定し、前記接近条件を満たしていると判定されると、緊急情報を含む第3情報を送信するよう構成されている
通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
路側通信機が周辺の車両に対して緊急情報を報知することは、ドライバが緊急情報を早急に把握する上で、有効である。ここで、緊急情報は、例えば、緊急車(特別車両)が接近しつつあることを通知する情報(緊急車接近情報)である。
【0020】
そして、緊急車接近情報の送信を、非特許文献1,2に規定する通信システムで行う場合、路側通信機は、路車間通信期間にて、緊急車接近情報を周辺の車載通信機や歩行者用通信機に対して送信することが考えられる。ここにおいて、路側通信機の通信範囲内に他の路側通信機が存在すれば、当該他の路側通信機に対しても緊急車接近情報を送信できる。
【0021】
一方、緊急接近情報は、特に、緊急車の通過する各交差点の周辺を走っている車両に対して通知する必要がある。
これに対して、緊急車の通過する交差点それぞれに設置された路側通信機が、路車間通信期間内にて受信した緊急車接近情報を、自局の交差点周辺を走行する車両に送信しつつ、自局の通信範囲内に存在する他の路側通信機にも送信する通信システムが考えられる。
【0022】
この通信システムとしては、次のような構成が考えられる。
ある路側通信機が、自局の設置された交差点に緊急車が進入(流入)すると、当該路側通信機の設置された交差点周辺を走行する車両に通知するとともに、その通信範囲にある路側通信機に当該緊急車に関する緊急情報(緊急車接近情報)を送信する。すると、緊急車接近情報を受信した路側通信機が、当該緊急車接近情報を自局の設置された交差点周辺を走行する車両に通知するとともに、自局の通信範囲にある他の路側通信機に緊急車接近情報を送信する。そして、複数の路側通信機それぞれが、自局の設置された交差点周辺を走行する車両に緊急車接近情報を通知するとともに、自局の通信範囲にある他の路側通信機へ緊急車接近情報を送信することを繰り返すとする。こうすれば、緊急車接近情報を広範囲に存在する走行車両に対して通知することができる。
【0023】
ところで、緊急車接近情報は、緊急車が通過する交差点周辺を走行している車両に対して通知できればよく、緊急車が通過しない交差点周辺を走行している車両に対しては通知する必要性は低い。
【0024】
この点に関し、例えば緊急車が通過する交差点に設置された路側通信機の通信範囲内に、緊急車が通過しない交差点に設置された路側通信機が存在したとする。この場合、前述の通信システムによれば、緊急車が通過しない交差点に設置された路側通信機も、自局の設置された交差点周辺を走行する車両に対して緊急車接近情報を通知することになる。即ち、路側通信機は、緊急車接近情報を通知する必要性の低い車両に対しても緊急車接近情報を通知することとなり、その分、自局に割り当てられた路車間通信期間(通信期間)を無駄に消費してしまうことになる。
【0025】
そこで、実施形態は、少なくとも下記に示す構成を含む。
【0026】
(1)ある観点からみた実施形態に係る通信システムは、自局の通信エリア内に存在する移動局から送信される第1情報の受信が可能であるとともに、前記自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第2情報の送信が可能である第1基地局と、前記第1基地局が前記第1基地局の通信エリア内に存在する移動局向けに送信した前記第2情報の受信が可能であり、自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第3情報の送信が可能である第2基地局と、を備え、前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報は、移動局が緊急移動中であることを通知する緊急情報を含み得る情報であり、緊急情報を含む前記第1情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第1特定用情報を含み、緊急情報を含む前記第2情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含み、前記第2特定用情報は、前記第1
特定用情報を受信した前記第1基地局によって前記第1
特定用情報に基づいて生成される情報であり、前記第1基地局は、緊急情報および第1特定用情報を含む前記第1情報を受信すると、当該第1情報に基づいて、緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を生成し、生成した前記第2情報を送信するよう構成され、前記第2基地局は、前記第1基地局から前記緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を受信すると、当該第2情報に含まれる前記第2特定用情報に基づいて、前記緊急移動中の移動局が自局に接近していると判断するための接近条件を満たすか否かを判定し、前記接近条件を満たしていると判定されると、緊急情報を含む第3情報を送信するよう構成されている。
【0027】
本構成によれば、第2基地局が、第1基地局から緊急情報を含む第2情報を受信し、緊急移動中の移動局が第2基地局に接近していると判定されたときに自局の通信エリア内に存在する移動局向けの緊急情報を含む第3情報を送信する。ここで、緊急情報を含む第3情報は、緊急移動中の移動局が第2基地局に接近する方向に移動している場合に第2基地局の通信エリア内に存在する移動局向けに送信する必要がある情報とする。この場合、第2基地局は、緊急情報を含む第2情報を受信しても緊急移動中の移動局が第2基地局に接近していなければ、緊急情報を含む第3情報の送信を回避することができる。これにより、第2基地局が緊急情報を含む第3情報を無駄に送信してしまうことを防止できる。従って、第2基地局が自局に割り当てられた通信期間を無駄に消費することを抑制できる。
【0028】
(2)また、実施形態に係る通信システムは、前記第1基地局は、前記緊急移動中の移動局の進行方向が、前記第1基地局に接近する方向および前記第1基地局から遠ざかる方向のいずれかであるかを、前記第1
特定用情報に基づいて判定した判定結果を生成するよう構成され、前記第1基地局によって生成される前記第2特定用情報は、前記判定結果を含むものであってもよい。
【0029】
本構成によれば、第1基地局が、上記緊急移動中の移動局の進行方向が、第1基地局に接近する方向および第1基地局から遠ざかる方向のいずれかであるかを判定した判定結果を、第2基地局に通知することができる。
【0030】
(3)また、実施形態に係る通信システムは、前記第2基地局は、緊急情報および前記第2特定用情報を含む前記第2情報を取得すると、前記第2特定用情報に含まれる前記判定結果に基づいて、前記接近条件を満たしているか否かを判定するものであってもよい。
本構成によれば、第2基地局は、前記緊急移動中の移動局の進行方向が、前記第1基地局に接近する方向および前記第1基地局から遠ざかる方向のいずれかであるかを判定した判定結果に基づいて、緊急移動中の移動局が自局に接近しているか否かを判定することができる。
【0031】
(4)また、実施形態に係る通信システムは、前記第1特定用情報は、前記緊急移動中の移動局の位置情報を含み、前記第2特定用情報は、前記緊急移動中の移動局が進行中の道路を示す情報を含むものであってもよい。
本構成によれば、上記第1基地局が、上記緊急移動中の移動局が第1情報に含ませる移動局の位置情報から、上記緊急移動中の移動局が進行中の道路を求めることになる。この場合、上記緊急移動中の移動局は、自局の位置情報を第1情報に含ませればよく、緊急移動中の移動局において移動局が進行中の道路を求める処理を行う必要がないので、緊急移動中の移動局における処理負担を軽減することができる。
【0032】
(5)また、実施形態に係る通信システムは、前記第1基地局は、前記緊急移動中の移動局が前記第1基地局に接近する方向であると判定した場合、および、前記緊急移動中の移動局が前記第1基地局から遠ざかる方向に移動していると判定した場合のそれぞれにおいて、前記判定結果を含む前記第2情報を送信するよう構成されているものであってもよい。この場合、第2基地局は、移動局が第1基地局に接近している場合、及び移動局が第1基地局から遠ざかる場合、それぞれにおいて、第2情報を受信することができる。
【0033】
(6)また、実施形態に係る通信システムは、前記第1基地局は、前記第1特定用情報を受信すると、前記第1特定用情報に基づく前記判定結果を含む前記第2情報を送信し、前記第2情報の送信後、所定の送信待ち時間を経過するまで、前記第2情報の送信の待機状態となり、前記所定の送信待ち時間を経過した後に、新たな前記第2情報を送信するものであってもよい。
本構成によれば、第1基地局が、第2情報を頻繁に送信してしまうことを防止でき、第1基地局の通信の輻輳を抑制することができる。
【0034】
(7)また、実施形態に係る通信システムは、緊急移動中の移動局の存在を示す緊急局感知情報を含む第4情報の取得が可能な中央装置を更に備え、前記第1基地局は、前記第2特定用情報を生成すると、前記緊急局感知情報および前記第2特定用情報を含み且つ宛先が前記中央装置に設定された前記第4情報を送信するものであってもよい。
本構成によれば、中央装置は、第1基地局の通信エリアに緊急走行中の移動局が存在することを示す情報を取得することができるので、緊急移動中の移動局が第1基地局の周辺を走行していることを把握することができる。
【0035】
(8)また、実施形態に係る通信システムは、緊急移動中の移動局の存在を示す緊急局感知情報を含む第4情報の取得が可能な中央装置を更に備え、前記第2基地局は、前記緊急局感知緊急情報を含み且つ宛先が前記中央装置に設定された前記第4情報を送信可能に構成され、前記第4情報は、前記第2基地局が前記第1基地局から緊急情報を含む前記第2情報を受信した場合には送信されず、前記第2基地局が自局の通信エリア内に存在する移動局から緊急情報を受信した場合には送信されるものであってもよい。
第1基地局経由で緊急情報を含む第2情報を受信した場合、緊急移動中の移動局の存在は第1基地局によって既に中央装置に通知されていることが期待できるため、第2基地局が、第1基地局から緊急情報を含む前記第2情報を受信した場合には第4情報を送信しないことで、中央装置への第4情報の重複した送信を回避することができる。
【0036】
(9)また、実施形態に係る通信システムは、前記第2情報は、更に、前記第2情報を生成した基地局を識別する識別情報を含み、前記第2基地局は、基地局の前記識別情報と前記第2特定用情報との組み合わせが前記接近条件として登録された判定テーブルを保有し、前記第2情報に含まれる基地局の前記識別情報と前記第2特定用情報との組み合わせが、前記判定テーブルに登録されている場合、前記接近条件を満たすと判定するものであってもよい。
本構成によれば、第2基地局が、判定テーブルを保有し、当該判定テーブルを参照して、緊急移動中の移動局が第2基地局に接近しているか否かを判定する。これにより、第2基地局における判定の容易化を図ることができる。
【0037】
(10)他の観点からみた実施形態に係る基地局は、自局の通信エリア内に存在する移動局から送信される第1情報の受信が可能であるとともに、前記自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第2情報の送信が可能である基地局であって、前記第1情報および前記第2情報は、移動局が緊急移動中であることを通知する緊急情報を含み得る情報であり、緊急情報を含む前記第1情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第1特定用情報を含み、緊急情報を含む前記第2情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含み、前記第2特定用情報は、受信した前記第1
特定用情報に基づいて生成される情報であり、緊急情報および第1特定用情報を含む前記第1情報を受信すると、当該第1情報に基づいて、緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を生成し、生成した前記第2情報を送信するよう構成されている。
【0038】
本構成によれば、基地局が、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含む第2情報を送信するので、当該第2情報を受信した移動局や他の基地局が、緊急移動中の移動局の進行方向を把握することができる。
【0039】
(11)他の観点からみた実施形態に係る基地局は、他の基地局が当該他の基地局の通信エリア内に存在する移動局向けに送信した第2情報の受信が可能であり、自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第3情報の送信が可能である基地局であって、前記第2情報および前記第3情報は、移動局が緊急移動中であることを通知する緊急情報を含み得る情報であり、緊急情報を含む前記第2情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含み、前記他の基地局から前記緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を受信すると、当該第2情報に含まれる前記第2特定用情報に基づいて、前記緊急移動中の移動局が自局に接近していると判断するための接近条件を満たすか否かを判定し、前記接近条件を満たしていると判定されると、緊急情報を含む第3情報を送信するよう構成されている。
【0040】
本構成によれば、基地局は、緊急情報を含む第2情報を受信しても緊急移動中の移動局が自局に接近移動していなければ、緊急情報を含む第3情報の送信を回避することができるので、緊急情報を含む第3情報を無駄に送信してしまうことを防止できる。従って、基地局が自局に割り当てられた通信期間を無駄に消費することを抑制できる。
【0041】
(12)他の観点からみた実施形態に係る通信方法は、自局の通信エリア内に存在する移動局から送信される第1情報の受信が可能であるとともに、前記自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第2情報の送信が可能である第1基地局と、前記第1基地局が前記第1基地局の通信エリア内に存在する移動局向けに送信した前記第2情報の受信が可能であり、自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第3情報の送信が可能である第2基地局と、を用いた通信方法であって、前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報は、移動局が緊急移動中であることを通知する緊急情報を含み得る情報であり、緊急情報を含む前記第1情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第1特定用情報を含み、緊急情報を含む前記第2情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含み、前記第2特定用情報は、前記第1
特定用情報を受信した前記第1基地局によって前記第1
特定用情報に基づいて生成される情報であり、前記第1基地局が、緊急情報および第1特定用情報を含む前記第1情報を受信すると、当該第1情報に基づいて、緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を生成するステップと、前記第1基地局が、生成した前記第2情報を送信するステップと、前記第2基地局が、前記第1基地局から前記緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を受信すると、当該第2情報に含まれる前記第2特定用情報に基づいて、前記緊急移動中の移動局が自局に接近していると判断するための接近条件を満たすか否かを判定するステップと、前記第2基地局が、前記接近条件を満たしていると判定されると、緊急情報を含む第3情報を送信するステップと、を含む。
【0042】
本構成によれば、第2基地局が、第1基地局から緊急情報を含む第2情報を受信し、緊急移動中の移動局が第2基地局に接近していると判定されたときに自局の通信エリア内に存在する移動局向けの緊急情報を含む第3情報を送信する。ここで、緊急情報を含む第3情報は、緊急移動中の移動局が第2基地局に接近する方向に移動している場合に第2基地局の通信エリア内に存在する移動局向けに送信する必要がある情報とする。この場合、第2基地局は、緊急情報を含む第2情報を受信しても緊急移動中の移動局が第2基地局に接近していなければ、緊急情報を含む第3情報の送信を回避することができる。これにより、第2基地局が緊急情報を含む第3情報を無駄に送信してしまうことを防止できる。従って、第2基地局が自局に割り当てられた通信期間を無駄に消費することを抑制できる。
【0043】
(13)他の観点からみた実施形態に係る通信処理プログラムは、自局の通信エリア内に存在する移動局から送信される第1情報の受信が可能であるとともに、前記自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第2情報の送信が可能である基地局に設けられたコンピュータに、通信処理を実行させるための通信処理プログラムであって、前記第1情報および前記第2情報は、移動局が緊急移動中であることを通知する緊急情報を含み得る情報であり、緊急情報を含む前記第1情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第1特定用情報を含み、緊急情報を含む前記第2情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含み、前記第2特定用情報は、受信した前記第1
特定用情報に基づいて生成される情報であり、前記通信処理は、緊急情報および第1特定用情報を含む前記第1情報を受信すると、当該第1情報に基づいて、緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を生成するステップと、
生成した前記第2情報を送信するステップと、を含む。
【0044】
本構成によれば、基地局が、移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含む第2情報を送信するので、当該第2情報を受信した第2移動局や他の基地局が、緊急移動中の移動局の進行方向を把握することができる。
【0045】
(14)他の観点からみた実施形態に係る通信処理プログラムは、他の基地局が当該他の基地局の通信エリア内に存在する移動局向けに送信した第2情報の受信が可能であり、自局の通信エリア内に存在する移動局向けの第3情報の送信が可能である基地局に設けられたコンピュータに、通信処理を実行させるための通信処理プログラムであって、前記第2情報および前記第3情報は、移動局が緊急移動中であることを通知する緊急情報を含み得る情報であり、緊急情報を含む前記第2情報は、緊急移動中の移動局の進行方向の特定に用いられる第2特定用情報を含み、前記通信処理は、前記他の基地局から前記緊急情報および第2特定用情報を含む第2情報を受信すると、当該第2情報に含まれる前記第2特定用情報に基づいて、前記緊急移動中の移動局が自局に接近していると判断するための接近条件を満たすか否かを判定するステップと、前記接近条件を満たしていると判定されると、緊急情報を含む第3情報を送信するステップと、を含む。
【0046】
本構成によれば、基地局は、緊急情報を含む第2情報を受信しても緊急移動中の移動局が自局に接近していなければ、第3情報の送信を回避することができるので、基地局が第3情報を無駄に送信してしまうことを防止できる。従って、基地局が自局に割り当てられた通信期間を無駄に消費することを抑制できる。
【0047】
[実施形態の詳細]
[1.通信システム]
図1は、本実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機(基地局)2、中央装置(中央装置)4、車載通信機(移動局)3を搭載した車両5および車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。移動局としては、車載通信機3に限られず、例えば、歩行者が所持する歩行者用通信機であってもよい。なお、本実施形態において特に説明しない点については、非特許文献1,2に準拠する。
【0048】
交通信号機1と路側通信機2(2A,2B)は、複数の交差点A1〜A5,B1〜B5、C1〜C5,D1〜D5,E1〜E5のそれぞれに設置されている。複数の路側通信機2のうちの一部の第1路側通信機(第1基地局)2Aは、電話回線等の有線通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。複数の路側通信機2には、ルータ8に接続されていない第2路側通信機2Bも含まれている。第2路側通信機2Bは、自局単独で動作するもののほか、交通信号機1や路側センサ6と接続されるものを含む。中央装置4は、自身が管轄するエリアの交通信号機1および路側通信機(第1路側通信機2A,第2路側通信機2B)とLAN(Local Area Network)を構成している。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0049】
中央装置4に有線通信回線7で接続されている第1路側通信機2A(オンライン路側通信機)は、中央装置4の管轄するエリアに含まれる全ての路側通信機のうちの一部であり、中央装置4に対して有線通信回線7で接続されていない第2路側通信機2B(スタンドアローン路側通信機)も存在する。
【0050】
そして、中央装置4は、有線通信回線7で接続されている第1路側通信機2Aから有線通信データを取得可能であり、例えば、路側通信機2Aが第2路側通信機2Bを含む他の路側通信機2から受信した路路間通信データ(第4情報;中央装置宛て情報)を、路側通信機2Aから有線通信データ(第4情報;中央装置宛て情報)として取得することが可能である。
【0051】
図1では、交差点A1〜A5に設置された路側通信機(第1路側通信機)2Aが、オンライン路側通信機であり、他の交差点B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5およびE1〜E5に設置された路側通信機(第2路側通信機)2Bは、スタンドアローン路側通信機である。このように、全ての路側通信機をオンライン路側通信機としないことで、有線通信回線7の設置・維持コストを低減できる。なお、オンライン路側通信機2Aと、スタンドアローン路側通信機2Bと、を区別しない場合には、「路側通信機2」というものとする。
【0052】
路側センサ6は、各交差点に流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報や画像データは通信回線7を介して中央装置4に送信される。なお、
図1では、図示を簡略化するために、各交差点に信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点には、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
【0053】
高度道路交通システムにおいて、無線通信システムを構成する、複数の交差点それぞれに設置された複数の路側通信機2は、その周囲を走行する車両の車載通信機(移動局)3との間で無線通信(路車間通信)が可能である。
また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2とも無線通信(路路間通信、路車間通信)が可能である。
また、同じく無線通信システムを構成する車載通信機(移動局)3は、路側通信機2との間で無線通信を行うとともに、キャリアセンス方式で他の車載通信機3と無線通信(車
車間通信)が可能である。
【0054】
図2は、本実施形態に係る路側通信機2A,2Bおよび車載通信機3の構成図である。
図2(a)に示すように、オンライン路側通信機(第1路側通信機)2Aは、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部21を備えている。また、第1路側通信機2Aは、有線通信回線7を介して中央装置4と通信するための有線通信部22と、通信制御処理を行う通信処理装置25と、を備えている。第1路側通信機2Aは、自局の通信エリア内に存在する車両5(車載通信機3)から送信される後述の車車間通信データの受信が可能である。また、第1路側通信機2Aは、自局の通信エリア内に存在する車両5(車載通信機3)向けの後述の路車間通信データの送信が可能である。
通信処理装置25は、制御部23と、必要な情報を記憶する記憶部24と、を備えている。制御部23は、無線通信および有線通信の通信制御処理を行う。記憶部24は、無線通信および有線通信のために必要な情報を記憶する。
【0055】
また、通信処理装置25は、後述の路路間通信データや路車間通信データの中継処理(送信処理)を許容するか否かを判定するのに使用される路路間通信中継判定テーブルや路車間通信中継判定テーブルを保有している。これら路路間通信中継判定テーブルや路車間通信中継判定テーブルの詳細は後述する。
更に、通信処理装置25は、後述の緊急車5Aに関する進路情報(第2特定用情報)を含む路車間通信データや路路間通信データを送信するか否かを判定するのに使用される流入エリア方位テーブルを保有している。この流入エリア方位テーブルの詳細は後述する。
【0056】
通信処理装置25は、その機能の一部または全部が、ハードウェア回路によって構成されていてもよいし、その機能の一部または全部が、コンピュータプログラムによって実現されていてもよい。通信処理装置25の機能の一部または全部がコンピュータプログラムによって実現される場合、通信処理装置25(制御部23)は、コンピュータを含み、コンピュータによって実行されるコンピュータプログラムは、記憶部24に記憶される。
【0057】
図2(b)に示すように、スタンドアローン路側通信機(第2路側通信機:第2基地局)2Bは、オンライン路側通信機(第1路側通信機)2Aと構成は同じである。なお、有線通信部22は、交通信号機1や路側センサ6と通信する場合に設けられ、通信しない場合は省略してもよい。第2路側通信機2Bは、第1路側通信機2Aが第1路側通信機2Aの通信エリア内に存在する車両5(車載通信機3)向けに送信した後述の路車間通信データの受信が可能であり、自局の通信エリア内に存在する車両5(車載通信機3)向けの路車間通信データの送信が可能である。
【0058】
車載通信機(移動局)3は、無線通信のためのアンテナ30が接続された無線通信部31と、通信制御処理を行う通信処理装置35と、を備えている。
車載通信機3の通信処理装置35は、その機能の一部または全部が、ハードウェア回路によって構成されていてもよいし、その機能の一部または全部が、コンピュータプログラムによって実現されていてもよい。通信処理装置35の機能の一部または全部がコンピュータプログラムによって実現される場合、通信処理装置35(制御部33)は、コンピュータを含み、コンピュータによって実行されるコンピュータプログラムは、記憶部34に記憶される。
【0059】
図3は、本実施形態に係る無線フレーム(スーパーフレーム)を示し、(a)はタイムチャート、(b)は送信期間と送信禁止期間とを示す図である。
図3(a)に示すように、無線フレームは、その時間軸方向の長さ(フレーム長)が100msに設定されている。つまり、1秒間に10フレームが発生する。
フレームは、例えば、路側通信機2が有するGPS受信機(図示せず)によって受信したGPS信号に含まれる1PPS(1秒周期の信号)に基づいて生成される。
【0060】
一つの無線フレーム(100ms)は、複数の路車間通信期間SL1と、複数の車車間通信期間SL2と、を含んで構成されている。
路車間通信期間SL1は、路側通信機2に割り当てられる路車間通信用のタイムスロット(路側通信機用送信期間)であり、この期間SL1においては、路側通信機2による無線送信が許容される。路車間通信期間SL1は、一つの無線フレーム(100ms)内に最大16個まで設定可能である。
【0061】
車車間通信期間SL2は、車載通信機3用のタイムスロット(車用通信期間)であり、この時間帯SL2は車載通信機3によるCSMA方式による無線送信時間として開放するため、路側通信機2は車車間通信期間SL2では無線送信を行わない。
【0062】
無線フレームに含まれている路車間通信期間SL1と、車車間通信期間SL2とは、時間軸方向に交互に配置されている。
路車間通信期間SL1には、それぞれスロット番号n(=1〜16)が付されている。
【0063】
それぞれの路側通信機2には、無線フレームに含まれる複数の路車間通信期間SL1のうちの、一つまたは複数の路車間通信期間SL1が送信期間として設定され、その他の路車間通信期間SL1は送信が禁止される。すなわち、路側通信機2にとっては、車車間通信期間SL2および路側通信機2に割り当てられていない路車間通信期間SL1は、送信禁止期間となる。
また、
図3(b)に示すように、例えば路側通信機2にn=4,5,6の3つの路車間通信期間SL1が送信期間として割り当てられている場合、他の期間は送信禁止期間となっている。路側通信機2は、送信禁止期間以外の期間(送信期間)でデータ送信を行う。
【0064】
一つの無線フレーム内において、一の路側通信機2に割り当てられる送信期間の数は任意である。また、一つの送信期間の期間長は、路車通信期間の期間長と等しくてもよいし、路車間通信期間よりも短くてもよい。また、一つの路車間通信期間内に複数の送信期間が設定されてもよい。
【0065】
図4は、実施形態に係る通信機のプロトコルスタックを示す図である。
図4に示すように、このプロトコルスタックは、非特許文献1の標準規格に示す通信プロトコルスタックに、非特許文献2のガイドラインに示す拡張層(Extended Layer)ELを加えたものである。
【0066】
非特許文献1に規定されるプロトコルスタックは、レイヤ1(L1,物理層:Physical
Layer)、レイヤ2(L2,データリンク層:Data Link Layer)、車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層:Inter-Vehicle Communication - Road to Vehicle Communication Layer)およびレイヤ7(L7,アプリケーション層:Application Layer)の4層構造である。各層及びアプリケーションAPは、システム管理のための情報を有するシステム管理にアクセスすることができる。
【0067】
レイヤ1は、IEEE802.11において規定される物理層に準拠して動作する。
レイヤ2は、MAC副層(Medium Access Control sublayer)と、LLC副層(Logical Link Control sublayer)と、から構成される。なお、MAC副層を、単に、MAC層(Medium Access Control layer)ともいい、LLC副層(Logical Link Control sublayer)を、単に、LLC層(Logical Link Control layer)ともいう。
【0068】
MAC層は、無線チャネルの通信管理として、フレーム制御及び同報通信(ブロードキャスト)を行う。
LLC層は、上位層のエンティティ間でパケット伝送を行うために、確認なしコネクションレス型通信のサービスを提供する。
【0069】
車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層)は、車車間・路車間共用通信制御に必要な情報の生成と管理を行う。非特許文献1では、路路間通信は規定されていないため、本実施形態のように、路車間通信期間SL1において路路間通信を行う場合、車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層)において、路路間通信は、路車間通信の一種として取り扱われる。
【0070】
レイヤ7は、アプリケーションAPに対して通信制御手段を提供するためのものである。アプリケーションAPは、送信される通信パケットに格納されるアプリケーションデータ(交通情報、車両情報など)をレイヤ7に与えるとともに、受信した通信パケットに格納されていたアプリケーションデータをレイヤ7から取得する。
【0071】
非特許文献2に規定される拡張層ELは、レイヤ7の上位層として存在し、アプリケーションAPとレイヤ7との間の通信機能を拡張するためのものである。
拡張層ELは、アプリケーションAPに対してデータ伝送サービスを提供する。アプリケーションAPは、送信される通信パケットに格納されるアプリケーションデータ(交通情報、車両情報など)を拡張層ELに与える。データ伝送サービス提供のため、拡張層ELは、レイヤ7以下の下位階層に対してデータ伝送要求を出す。
【0072】
また、拡張層ELは、アプリケーションAPから与えられたアプリケーションデータを分割し、分割データをレイヤ7に与えることができる。つまり、拡張層ELは、アプリケーションデータを分割して複数の分割データを生成する分割処理部として機能する。
また、レイヤ7から受け取った分割データを結合させてアプリケーションAPに与えることができる。
なお、拡張層ELは、レイヤ7とともに、セキュリティ管理にアクセスすることができる。
【0073】
図4に示す拡張層EL、レイヤ7、IVC−RVC層、レイヤ2、アプリケーションAP、セキュリティ管理SECおよびシステム管理に相当する機能は、路側通信機2の通信処理装置25および車載通信機3の通信処理装置35それぞれによって実行される。また、レイヤ1の機能は、路側通信機2の無線通信部21および車載通信機3の無線通信部31それぞれによって実行される。
【0074】
なお、通信処理装置25のうち、
図4のアプリケーションAPに相当する機能を、「アプリケーション装置25a」といい、
図4のアプリケーションAPよりも下位の機能(拡張層EL、レイヤ7、IVC−RVC層、レイヤ2、セキュリティ管理SEC、およびシステム管理)を、「通信処理部25b」という。
また、通信処理装置35についても、
図4のアプリケーションAPに相当する機能を、「アプリケーション装置」といい、
図4のアプリケーションAPよりも下位の機能(拡張層EL、レイヤ7、IVC−RVC層、レイヤ2、セキュリティ管理SEC、およびシステム管理)を、「通信処理部」という。拡張層ELは省略してもよい。
【0075】
アプリケーション装置25aの機能は、コンピュータプログラムによって実現し、通信処理部25bの機能を、ハードウェアによって構成することができる。また、通信処理部25bの機能を、コンピュータプログラムによって実現してもよい。
【0076】
図5は、実施形態に係る通信パケットの構造を示している。この通信パケットは、路側通信機2および車載通信機3によって送信される。
図5に示す通信パケットの構成は、非特許文献1,2に準拠したものである。後述する車車間通信データ(第1情報;移動局送信情報)、路車間通信データ(第2情報および第3情報;移動局向け情報)、路路間通信データ(第4情報)は、いずれも、
図5に示す通信パケットの形式で送信される。なお、路側通信機2は、他の路側通信機2から受信した路路間通信データ(第4情報;中央装置宛て情報)を、有線通信データ(第4情報;中央装置宛て情報)として中央装置4へ送信可能である。
【0077】
通信パケットは、先頭にPHYヘッダ(物理ヘッダ)を有している。PHYヘッダは、送信側の路側通信機2(車載通信機3)のレイヤ1(物理層)によって、MAC層から取得したMACフレーム(MPDU;MAC Protocol Data Unit)の前に付加される。
PHYヘッダは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)におけるレイヤ1(物理層)において読み取られて、受信側のレイヤ1における通信制御処理に用いられる。なお、PHYヘッダを含む通信パケット全体が、PPDU(PHY Protocol Data Unit)である。PHYヘッダよりも後側のMACフレーム(MPDU)は、PSDU(PHY Service Data Unit)でもある。
【0078】
PHYヘッダの構成は、IEEE802.11に準拠する。従って、PHYヘッダには、プリアンブルなどが含まれる。
【0079】
PHYヘッダに続いて、MAC制御フィールド(MACヘッダ)およびLLC制御フィールド(LLCヘッダ)が設けられている。MAC制御フィールドは、送信側の路側通信機2(車載通信機3)のレイヤ2のMAC層によって、LLC層から取得したLLCフレーム(LPDU;LLC Protocol Data Unit)の前に付加される。
MAC制御フィールドは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)のレイヤ2のMAC層において読み取られて、受信側のMAC層における通信制御処理に用いられる。
MAC制御フィールドよりも後側のLLCフレーム(LPDU)は、MSDU(MAC Service Data Unit)でもある。
【0080】
MAC制御フィールドに続くLLC制御フィールドは、送信側の路側通信機2(車載通信機3)のレイヤ2のLLC層によって、IVC−RVC層から取得したIRフレーム(IPDU; IVC-RVC Protocol Data Unit)の前に付加される。
LLC制御フィールドは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)のレイヤ2のLLC層において読み取られて、受信側のLLC層における通信制御処理に用いられる。
また、LLC制御フィールドよりも後側のIRフレーム(IPDU)は、LSDU(LLC Service Data Unit)でもある。
【0081】
LLC制御フィールドに続いて、IR制御フィールド(IRヘッダ)が設けられている。IR制御フィールドは、送信側の路側通信機2(車載通信機3)のIVC−RVC層によって、APフレーム(APDU;Application Protocol Data Unit)の前に付加される。
IR制御フィールドは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)のIVC−RVC層において読み取られて、受信側のIVC−RVC層における通信制御処理に用いられる。
IR制御フィールドよりも後側のAPフレーム(APDU;Application Protocol Data Unit)は、ISDU(IVC-RVC Service Data Unit)でもある。
【0082】
IR制御フィールドに続いて、L7ヘッダが設けられている。L7ヘッダは、送信側の路側通信機2(車載通信機3)のレイヤ7によって、ASDU(Application Service Data Unit)の前に付加される。
L7ヘッダは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)のレイヤ7において読み取られて、受信側のレイヤ7における通信制御処理に用いられる。
レイヤ7ヘッダよりも後側のELフレーム(EL−PDU;EL-Protocol Data Unit)は、ASDU(Application Service Data Unit)でもある。
【0083】
L7ヘッダに続いて、ELヘッダ(EL基地局ヘッダ)が設けられている。ELヘッダは、送信側の路側通信機2(車載通信機3)の拡張層ELによって、EL−SDU(EL-Service Data Unit)の前に付加される。
ELヘッダは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)の拡張層ELにおいて読み取られて、受信側の拡張層ELにおける処理に用いられる。
【0084】
EL−SDUは、セキュリティヘッダ、アプリケーションヘッダ、アプリケーションデータを有している。アプリケーションデータは、アプリケーションAPから通信処理部25bに与えられる。アプリケーションデータには、例えば、後述の通常情報(交通情報、信号情報等)と、緊急情報(緊急車情報、緊急車接近情報等)、が存在する。
アプリケーションヘッダは、送信側の路側通信機2(車載通信機3)のアプリケーションAPによってアプリケーションデータの前に付加される。
【0085】
アプリケーションデータおよびアプリケーションヘッダは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)のアプリケーションAPによって読み取られて、受信側のアプリケーションAPにおける処理に用いられる。
アプリケーションAPは、送信すべきデータを生成したり、受信したデータを読み取って自らの処理に用いたりすることができる。
【0086】
セキュリティヘッダは、セキュリティ管理(セキュリティ処理部)SECによって付加される。送信側の路側通信機2(車載通信機3)の拡張層ELは、アプリケーションAPから(アプリケーションヘッダが付加された)アプリケーションデータを受け取ると、必要に応じて、セキュリティ処理をセキュリティ管理SECに実行させる。
セキュリティ管理SECでは、拡張層ELから受け取ったアンセキュアなアプリケーションデータに対して、セキュリティ処理を行って、セキュアなアプリケーションデータを生成する。また、セキュリティ管理SECは、セキュリティヘッダの付加も行う。
【0087】
セキュリティ管理SECにおいて、アンセキュアなアプリケーションデータをセキュアなアプリケーションデータにする処理(セキュリティ処理)には、暗号化処理、署名処理などの処理が含まれる(ただし、非特許文献1,2では規定されていない)。
セキュリティ管理は、セキュリティ処理が施されたセキュアなアプリケーションデータを、拡張層ELに戻す。その後、拡張層ELは、前述のように、必要に応じて当該セキュアなアプリケーションデータを分割し、分割した各々のデータに対してELヘッダの付加を行う。
【0088】
受信側の路側通信機2(車載通信機3)の拡張層ELは、下位レイヤ(レイヤ7)からセキュアなアプリケーションデータを受け取った場合、当該セキュアなアプリケーションデータが分割されている場合には結合した後、セキュリティ管理SECに渡す。セキュリティ管理SECは、セキュアなアプリケーションデータに対して、セキュリティ処理を行って、アンセキュアなアプリケーションデータに戻す。
拡張層ELは、セキュリティ管理SECからアンセキュアなアプリケーションデータを受け取ると、アンセキュアなアプリケーションデータを、アプリケーションAPに渡す。
【0089】
なお、拡張層ELが存在しない場合、セキュリティ管理SECとのやりとりはレイヤ7が行う。
【0090】
図6および
図7は、実施形態に係るL7ヘッダの構造を示す図である。
図6に示すようにL7ヘッダは、「バージョン」フィールド、「セキュリティ区分情報」フィールド、「予約」フィールド、「アプリケーション関連情報」フィールドを有している。
図6下段は、車車間通信用のパケット(車車間通信データ)のアプリケーション関連情報の構成を示している。
また、
図7(a)は、路車間通信用のパケット(路車間通信データ)のアプリケーション関連情報の構成を示し、
図7(b)は、路路間通信用のパケット(路路間通信データ)のアプリケーション関連情報の構成を示している。
非特許文献1では、「アプリケーション関連情報」フィールド(8bit)の内容は規定されていない。ただし、本実施形態では、
図6や
図7に示すように、「アプリケーション関連情報」フィールド(b7−b0)は、3bitの「管理情報」フィールド(b7−b5)と、未定義のフィールド(b4−b0)とから構成されている。各フィールドは、通信パケット(アプリケーションデータ)を送信する路側通信機2(車載通信機3)によって設定される。
【0091】
「管理情報」フィールドには、通信種別情報と、データ種別情報とが設定される。通信種別情報は、データが「車車間通信データ」、「路車間通信データ」および「路路間通信データ」のいずれであるかを示す情報である。データ種別情報は、データが通常情報を含むものか緊急情報を含むものかを示す情報(第1緊急識別情報、第2緊急識別情報)である。この「管理情報」フィールドの番号は、0〜7まで設定可能である。
【0092】
図6下段に示すように、車車間通信データでは、「管理情報」フィールドが「1」または「3」に設定され、その他の値(0,2,4−5)には設定されない。
ここで、「1:移動局→基地局、移動局」は、データが移動局(車載通信機3)から送信され、基地局(路側通信機2)および移動局(車載通信機3)によって受信されることを示している。この「1」は、例えば緊急車の緊急移動等を通知する緊急情報(緊急車情報)を含む車車間通信データであることを示している。
また、「3:移動局→移動局」は、データが移動局(車載通信機3)から送信され、他の移動局(車載通信機3)によって受信されることを示している。この「3」は、緊急車或いは一般車に搭載された車載通信機3間で送受信される通常情報を含む車車間通信データであることを示している。
【0093】
図7(a)に示すように、路車間通信データでは、「管理情報」フィールドが「2」、「4」または「5」に設定され、その他の値には設定されない。
ここで、「2:基地局→基地局、移動局」は、データが基地局(路側通信機2)から送信され、他の基地局(路側通信機2)および移動局(車載通信機3)によって受信されることを示している。この「2」は、例えば緊急車が接近している等の緊急情報(緊急車接近情報)を含む路車間通信データであることを示している。
また、「4: 基地局→移動局」は、データが基地局から送信され、移動局(車載通信機3)によって受信されることを示している。この「4」は、路側通信機2が緊急車或いは一般車に搭載されている車載通信機3との間で送受信される通常情報を含む路車間通信データであることを示している。
更に、「5:移動局→基地局」は、データが移動局(車載通信機3)から送信され、基地局(路側通信機2)によって受信されることを示している。
【0094】
図7(c)に示すように、路路間通信データでは、「管理情報」フィールドが「6」に設定され、その他の値には設定されない。
ここで、「6:基地局→基地局」は、データが基地局(路側通信機2)から送信され、他の基地局(路側通信機2)によって受信されることを示している。
【0095】
図8は、実施形態に係るアプリケーションヘッダの構造を示している。
図8(a)は、路車間通信データのアプリケーションヘッダを示し、
図8(b)は、路路間通信データのアプリケーションヘッダを示す。
図8(a)に示すように、路車間通信データのアプリケーションヘッダは、「通信種別」フィールド、「データ種別」フィールド、「生成元基地局ID」フィールド、「方路情報(方路番号)」フィールド、「推定情報(進路推定情報)」フィールド、「送信元基地局ID」フィールド、「インクリメントカウンタ」フィールドを含んで構成されている。
【0096】
一方、
図8(b)に示すように、路路間通信データのアプリケーションヘッダは、「方路情報(方路番号)」フィールドおよび「推定情報」フィールドの代わりに「宛先基地局ID」フィールドを含んで構成されている。即ち、路車間通信用のパケットのアプリケーションヘッダと、路路間通信用のパケットのアプリケーションヘッダとは、「方路情報(方路番号)」フィールド、「推定情報」フィールドおよび「宛先基地局ID」フィールドを除いて共通化されている。
【0097】
「通信種別」フィールドは、前述のL7ヘッダの「通信種別」フィールドと同じ情報が設定されている。
「データ種別」フィールドは、アプリケーションデータが「緊急情報」であるか「通常情報」であるかを示す識別情報が設定されている。ここで、「0」はアプリケーションデータが「通常情報」であることを示し、「1」はアプリケーションデータが「緊急情報」であることを示す。
「生成元基地局ID」は、データの生成元、即ち、データを生成した基地局の識別情報(ID)が設定されている。
「送信元基地局ID」は、データの送信元、即ち、自局が受信したデータの送信元となる基地局の識別情報(ID)が設定されている。
「インクリメントカウンタ」フィールドは、生成回数が設定されている。この生成回数は、基地局がデータを生成する毎(基地局が移動局から緊急情報を受信してデータを生成する毎)に1ずつインクリメントされる。このインクリメントカウンタによって、基地局が緊急車について生成した複数の路車間通信データを区別することができる。
【0098】
路車間通信用のパケットのアプリケーションヘッダにおける、「方路情報(方路番号)」フィールドには、車載通信機(移動局)3を搭載した緊急車が進行する方路を示す方路情報(方路番号)が設定されている。この「方路情報(方路番号)」フィールドに設定された情報は、進路推定情報とともに、緊急車(緊急移動中の移動局)5Aの進路(進行方向)の特定が可能な情報(第2特定用情報)である。ここで、方路情報(方路番号)は、交差点を起点としてどの方角に延びる道路かを特定する情報である。つまり方路情報(方路番号)は、緊急車が進行中の道路を示す情報(道路情報)でもある。
図9は、実施形態に係る方路情報(方路番号)および進路推定情報(流入又は流出の推定情報)を示す概念図である。これらの方路情報(方路番号)および進路推定情報は、「方路情報(方路番号)」フィールドおよび「推定情報」フィールドに設定されるものである。
ここで、方路情報(方路番号)は、真北を0度として、真北と方路(道路)が交差点に接続する角度を時計回りに付与した場合、その角度の最も小さい方路の方路番号を「1」として、時計周りに順番に「1」〜「8」の番号を付与する。そして、「方路情報(方路番号)」フィールドには、この8つの方路番号のいずれかが設定されている。この方路情報(方路番号)によって、緊急車5Aが走行する方路(道路)を特定することができる。
【0099】
図8に戻って、路車間通信データのアプリケーションヘッダにおける、「推定情報」フィールドには、進路推定情報として、少なくとも次の2つの情報のいずれかが設定されている。1つは、緊急車が路側通信機の配置された交差点へ接近する方向(流入する方向)に移動していることを示す情報(接近情報)である。もう1つは、緊急車がその交差点から離脱する(遠ざかる)方向(流出する方向)に移動していることを示す情報(離脱情報)である。ここで、「1」は、緊急車が路側通信機2の配置された交差点へ流入する方向に移動していることを示している。「2」は、緊急車が路側通信機の配置された交差点から流出する方向に移動していることを示している。また、「3」は、緊急車の上記交差点に対する進行方向を検知できなかったこと(エラー)を示している。これは、例えば、緊急車が交差点で停車した場合や、緊急車が交差点近傍の指定エリア外へ流出した場合に相当する。
そして、他の路側通信機2から路車間通信データを受信した路側通信機2は、前述の方路情報と、進路推定情報(接近情報(流入)または離脱情報(流出))との組み合わせに基づいて、緊急車の進路(進行方向;走行状況)を特定する。
なお、路側通信機2は、例えば、前述の方路情報と、緊急車の位置を示す情報との組合せに基づいて、緊急車の進路(進行方向;走行状況)を特定するものであってもよい。
路路間通信データのアプリケーションヘッダにおける、「宛先基地局ID」フィールドは、路路間通信用のパケットの宛先となる基地局の識別番号(ID)が設定されている。
【0100】
「2.通信方法」
[2−1.基本的構成]
まず、本実施形態に係る通信方法の基本的構成について説明する。
図10、
図11および
図12は、本実施形態に係る通信方法の説明図である。
図10では、第0スーパーフレーム(100ms)と、第1スーパーフレーム(100ms)と、第1スーパーフレームに続く第2スーパーフレーム(100ms)と、を示している。なお、第0スーパーフレームは、
図10では一部のみを示しているが、第1スーパーフレームと略同様の構成を有する。
図10に示すように情報が送信されると、
図11および
図12に示すように情報が伝達される。
本実施形態では、緊急車5Aに搭載された車載通信機(緊急移動中の移動局)3Aから送信された緊急情報が、直接的に一般車(例えば一般車5B)に対して、或いは、第1路側通信機2Aに伝達され、各路側通信機2Aから一般車(例えば一般車5B)に対して緊急情報が報知される。
【0101】
図10に示すように、第1スーパーフレームの開始前の第0スーパーフレームの最後に、緊急車5Aから第1路側通信機2Aに対して緊急情報(第1情報)が送信されてきたとする。
この場合、
図10および
図11に示すように、第1路側通信機2Aは、第1路側通信機2Aの周辺の車載通信機(または歩行者用通信機)3に対して緊急情報を報知すべく、当該緊急情報を、路車間通信データ(第2情報)として送信する。第1路側通信機2Aは、緊急情報を含む路車間通信データ(第2情報)を、第1スーパーフレームの期間SL1−A内の第1通信期間TA−1(第1路側通信機2Aに割り当てられた第1通信期間)にて送信する。なお、第1通信期間TA−1では、緊急情報以外の通常情報も送信することができるが、通常情報よりも緊急情報を優先して(先に)送信する。そして、第1路側通信機2Aは、路路間通信データを、第1スーパーフレームの期間SL1−A内の第2通信期間TA−2(第1路側通信機2Aに割り当てられた第2通信期間)にて送信する。この路路間通信データには、例えば中央装置4宛の緊急情報も含まれる。
【0102】
一方、一般車(例えば一般車5B〜5D)に搭載された車載通信機(第2移動局)3B〜3Dは、通常情報を含む車車間通信データを、第1スーパーフレームの期間SL2内にて送信する。また、緊急車5Aに搭載された車載通信機3Aは、緊急車情報を、車車間通信データ(第1情報)として送信する。
【0103】
また、第2路側通信機2Bは、通常情報を含む路車間通信データ(第2情報)を、第1スーパーフレームの期間SL1−B内の第1通信期間TB−1(第2路側通信機2Bに割り当てられた第1通信期間)にて送信する。また、第2路側通信機2Bは、路路間通信データを、第1スーパーフレームの期間SL1−B内の第2通信期間TB−2(第2路側通信機2Bに割り当てられた第2通信期間)にて送信する。この路路間通信データには、例えば中央装置4宛の緊急情報も含まれる。
【0104】
ここにおいて、第2路側通信機2Bは、第1路側通信機2Aから第1通信期間TA−1において路車間通信データ(第2情報)として送信された緊急情報を受信する。これにより、第1路側通信機2Aが、路路間通信データとして緊急情報を送信しなくても、第2路側通信機2Bは、緊急情報を取得することができる。
【0105】
第2路側通信機2Bは、第1路側通信機2Aから緊急情報を取得すると、第2路側通信機2Bの周辺の車載通信機(または歩行者用通信機)3に対して緊急情報を報知すべく、当該緊急情報を、路車間通信データ(第3情報)として送信する。
図10および
図12に示すように、第2路側通信機2Bは、緊急情報を含む路車間通信データ(第2情報)を、第2スーパーフレームの期間SL1−B内の第1通信期間TB−3(第2路側通信機2Bに割り当てられた第1通信期間)にて送信する。なお、第1通信期間TB−3では、緊急情報以外の通常情報も送信することができるが、通常情報よりも緊急情報を優先して(先に)送信する。そして、第2路側通信機2Bは、路路間通信データを、第1スーパーフレームの期間SL1−B内の第2通信期間TB−4(第2路側通信機2Bに割り当てられた第2通信期間)にて送信する。
【0106】
なお、第1路側通信機2Aは、通常情報を含む路車間通信データ(第2情報)を、第2スーパーフレームの期間SL1−A内の第1通信期間TA−3(第1路側通信機2Aに割り当てられた第1通信期間)にて送信する。また、第1路側通信機2Aは、路路間通信データを、第2スーパーフレームの期間SL1−A内の第2通信期間TA−4(第1路側通信機2Aに割り当てられた第2通信期間)にて送信する。
ここにおいて、第1通信期間TB−3での路車間通信データ(第3情報)としての緊急情報の送信は、更に他の路側通信機2(図示せず)に対する緊急情報の送信ともなっている。
【0107】
以上説明したように、本実施形態に係る通信方法では、第1路側通信機2Aが、緊急車5Aから送信された緊急情報を含む車車間通信データを受信すると、緊急情報を含む路車間通信データを送信する。そして、第2路側通信機2Bが、第1路側通信機2Aが、路車間通信データとして送信した緊急情報、即ち、路路間通信データとして送信した情報ではない緊急情報を受信すると、緊急情報を含む路車間通信データ(第3情報)を送信するものである。
【0108】
[2−2.緊急車の進行方向を考慮した通信方法]
次に、本実施形態に係る緊急車の進行方向を考慮した通信方法について説明する。
図13〜
図17は、本実施形態に係る通信方法の説明図である。
図13〜
図16では、緊急車5Aと第1路側通信機2Aと第2路側通信機2Bと他の一般車5B,5Cとの位置関係を示す図と、路側通信機2A,2Bの動作のタイムチャートとを並べて示している。
図13に示すように、まず、時刻T0に、第1路側通信機2Aが、緊急車5Aから送信された緊急情報(緊急車情報)を含む車車間通信データ(第1情報)を受信したとする。この場合、第1路側通信機2Aは、進路推定処理を開始する。この進路推定処理では、受信した車車間通信データ(第1情報)に基づいて、第1路側通信機2Aが、緊急車5Aが自局2Aの設置されている交差点に接続する方路(道路)を交差点に接近(流入)する方向に移動しているのか交差点から遠ざかる(離脱;流出)する方向に移動しているのかを判定する処理が行われる。ここでは、第1路側通信機2Aが、進路推定処理において、緊急車5Aが自局2Aの設置されている交差点の方路番号「2」の方路に流入する方向に移動していると判定する。この進路推定処理の詳細は、後出[3−3]で詳細に説明する。
【0109】
時刻T1において第1路側通信機2Aによる進路推定処理が完了した後、時刻T2に、第1路側通信機2Aが、緊急情報(緊急車接近情報)を含む路車間通信データ(第2情報)を自局の設置された交差点周辺の車両5へ送信するとともに、緊急車感知情報(緊急局感知情報)を含む有線通信データを中央装置4へ送信する。ここで、第1路側通信機2Aは、前述のスーパーフレーム(例えば第1スーパーフレーム)の第1路側通信機2Aに割り当てられた第1通信期間において緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信する。また、第1路側通信機2Aは、有線通信回線7を介して、緊急車5の存在を中央装置4に認識させるための緊急車感知情報(緊急局感知情報)を含む有線通信データを送信する。有線通信データのデータフォーマットは、例えば、
図29に示す構成であり、有線通信データのアプリケーションデータに含まれる緊急車感知情報等は、第1路側通信機2A近傍に緊急車が存在することを示す情報であり、中央装置4において、緊急車を優先する信号制御などを行うために用いられる。
【0110】
図13に示す時刻T2に送信される路車間通信データのアプリケーションヘッダの「送信元基地局ID」フィールドおよび「生成元基地局ID」フィールドの両方には、第1路側通信機2Aの識別情報が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「方路情報(方路番号)」フィールドには、方路番号「2」が設定されている。アプリケーションヘッダの「推定情報(進路推定情報)」フィールドには、「流入」を示す識別番号「1」(接近情報)が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「インクリメントカウンタ」フィールドには、第1路側通信機2Aが緊急車情報を含む車車間通信データを受信してから初めて生成した路車間通信データであることを示す「1」が設定される。
【0111】
また、
図13に示す時刻T2に送信される有線通信データ(緊急車感知情報を含むデータ)には、送信元として第1路側通信機2A、宛先として中央装置4のIPアドレスが設定されている。この有線通信データには、例えば、緊急車5Aに関する進路情報等が含まれている。
【0112】
以上のように、第1路側通信機2Aは、進路情報(第2特定用情報)を含む路車間通信データ(第2情報)を一般車5B,5C(第2移動局)向けに送信する。この際、第1路側通信機2Aは、宛先が中央装置(中央装置)4に設定された有線通信データ(第4情報)を送信する。
【0113】
これにより、中央装置4が、緊急車5Aの存在やその進行方向(進路)に関する情報を取得することができるので、中央装置と第1路側通信機2Aや第2路側通信機2B等の基地局とが連携したシステム制御が可能となる。
【0114】
一方、第2路側通信機2Bは、時刻T2において第1路側通信機2Aから緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第2情報)を受信する。このときは、第2路側通信機2Bは、緊急車5Aが自局に接近する可能性が低いため、緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第3情報)を送信しない。
図14に示すように、第1路側通信機2Aは、時刻T2において、緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第2情報)および緊急車感知情報を含む有線通信データ(第4情報)を送信した後、時刻T3まで路車間通信データの送信待ち状態(送信の待機情報)となる。第1路側通信機2Aは、緊急情報を含む車車間通信データ(第1情報)を受信する毎に、進路推定処理を行って生成された路車間通信データ(第2情報)を送信することもできるが、所定の送信待ち時間を設けて、緊急情報を含む路車間通信データ(第2情報)の送信を回避することで、通信の輻輳の抑制を図ることができる。
【0115】
所定の送信待ち時間が経過して時刻T3になると、第1路側通信機2Aは、再び進路推定処理を開始する。ここでは、第1路側通信機2Aが、新たに受信した車車間通信データ(第1情報)に基づく新たな進路推定処理において、緊急車5Aが自局2Aの設置されている交差点から流出する方向に移動していると判定する。なお、新たな進路推定は、時刻T3以降に受信した新たな車車間通信データに基づいて行われるが、時刻T3のやや手前で受信された新たな車車間通信データに基づいて行われても良い。
【0116】
時刻T4において進路推定処理が完了した後、時刻T5に、第1路側通信機2Aが、新たな進路推定処理に基づく緊急情報(緊急車接近情報)を含む路車間通信データを送信するとともに、緊急車感知情報を含む有線通信データを送信する。
ここで、第1路側通信機2Aが送信する路車間通信データのアプリケーションヘッダの「送信元基地局ID」フィールドおよび「生成元基地局ID」フィールドの両方には、第1路側通信機2Aの識別情報が設定されている。また、アプリケーションヘッダの方路情報(方路番号)」フィールドには、方路番号「4」が設定されている。アプリケーションヘッダの「推定情報」フィールドには、「流出」を示す識別番号「2」(離脱情報)が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「インクリメントカウンタ」フィールドには、第1路側通信機2Aが緊急車情報を含む車車間通信データを受信してから2回目に生成した路車間通信データであることを示す「2」が設定される。
【0117】
以上説明したように、第1路側通信機2Aが、「方路情報(方路番号)」フィールドに方路番号「2」、「進路推定情報」フィールドに「流入」を示す識別番号「1」(接近情報)が設定された路車間通信データを一回送信する。その後、所定の送信待ち時間だけ経過した後、第1路側通信機2Aが、「方路情報(方路番号)」フィールドに方路番号「4」、「進路推定情報」フィールドに「流出」を示す識別番号「2」(離脱情報)が設定された路車間通信データを1回送信する。これにより、第1路側通信機2Aから第2路側通信機2Bへ路車間通信データ(第2情報)を送信する頻度を低減することができるので、第1路側通信機2Aと第2路側通信機2Bとの間における通信の輻輳を抑制することができる。
そして、第2路側通信機2Aは、2回目の路車間通信データ(第2情報)の受信によって、緊急車が第1路側通信機2Aが設置された交差点の方路番号4から流出して遠ざかる方向へ移動していること、つまり、第2路側通信機2Aに接近していることを把握することができる。
【0118】
一方、第2路側通信機2Bは、時刻T5において第1路側通信機2Aから緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第2情報)を受信すると、時刻T6において、緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第3情報)を送信する。
ここで、第2路側通信機2Bが送信する路車間通信データのアプリケーションヘッダの「送信元基地局ID」フィールドには、第2路側通信機2Bの識別情報が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「生成元基地局ID」フィールドには、第1路側通信機2Aの識別情報が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「方路情報(方路番号)」フィールドには、方路番号「4」が設定されている。アプリケーションヘッダの「推定情報」フィールドには、第1路側通信機2Aの進路推定処理の結果(「流出」を示す識別番号「2」)が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「インクリメントカウンタ」フィールドには、「2」が設定される。
【0119】
以上のように、第2路側通信機2Bは、第1路側通信機2Aから、「推定情報」フィールドが「流入」を示す識別番号に設定された路車間通信データ(第2情報)と、「進路推定情報」フィールドが「流出」を示す識別番号に設定された路車間通信データ(第2情報)との両方を受信したとする。この場合、第2路側通信機2Bは、前者の路車間通信データ(第2情報)を受信した場合ではなく、後者の場合の路車間通信データ(第2情報)を受信した場合でかつ、その路車間通信データに含まれる方路番号が自局2Bに接続される方路(道路)の場合(第2路側通信機2に接近している場合)に、「送信元基地局ID」フィールドに自局の識別情報が設定された路車間通信データ(第3情報)を送信する。つまり、第2路側通信機2Bは、緊急車5Aが、単に、第1路側通信機2Aが設置された交差点へ接近していることが検出された段階ではなく、第1路側通信機2Aの設置された交差点から自局2Bの設置された交差点に向かっていることがある程度確定した段階で、路車間通信データ(第3情報)を送信する。
【0120】
このために第1路側通信機(第1基地局)2Aは、緊急車(緊急移動中の移動局)5Aの進行方向が、第1路側通信機(第1基地局)2Aに接近する方向および第1路側通信機(第1基地局)2Aから離脱する方向のいずれかであるかを判定した判定結果を、路車間通信データ(第2情報)に含めて第2路側通信機(第2基地局)2Bに通知することができる。
【0121】
また、第2路側通信機(第2基地局)2Bは、第1基地局2Aから取得した緊急情報を含む第2情報に基づいて、緊急移動中の移動局が自局2Bに接近する方向に移動しているか否かを判定することができる。
【0122】
図15に示すように、第1路側通信機2Aは、時刻T5において、緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第2情報)および緊急車感知情報を含む有線通信データ(第4情報)を送信する。また、第1路側通信機2Aは、時刻T5における送信の後、時刻T8まで送信待ち状態となる。ここで、時刻T8は、例えば、第1路側通信機2Aが最初に緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信した時刻T2からの経過時間が数百ms〜数秒となるように設定されている。
【0123】
一方、第2路側通信機2Bは、第1路側通信機2Aが送信待ち状態にある時刻T7において、緊急車5Aから送信された緊急車情報を含む車車間通信データを受信したとする。この場合、第2路側通信機2Bは、進路推定処理を開始する。ここでは、第2路側通信機2Bが、進路推定処理において、緊急車5Aが自局の設置されている交差点に流入する方向に移動していると判定する。
【0124】
そして、第1路側通信機2Aは、進路推定処理開始後の時刻T8において、緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信する。
ここで、第1路側通信機2Aが送信する路車間通信データのアプリケーションヘッダの「送信元基地局ID」フィールドおよび「生成元基地局ID」フィールドの両方には、第1路側通信機2Aの識別情報が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「方路情報(方路番号)」フィールドには、方路番号「4」が設定されている。アプリケーションヘッダの「進路推定情報」フィールドには、進路推定処理の結果(「流出」を示す識別番号「2」)が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「インクリメントカウンタ」フィールドには、第1路側通信機2Aが緊急車情報を含む車車間通信データを受信してから3回目に生成した路車間通信データであることを示す「3」が設定される。そして、第1路側通信機2Aは、「インクリメントカウンタ」フィールドに「3」が設定された、緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信すると、以後、緊急車接近情報を含む路車間通信データの送信を停止する。
【0125】
一方、第2路側通信機2Bは、時刻T8において第1路側通信機2Aから緊急車接近情報を含む路車間通信データを受信すると、時刻T9において、緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信する。
ここで、第2路側通信機2Bが送信する路車間通信データのアプリケーションヘッダの「送信元基地局ID」フィールドには、第2路側通信機2Bの識別情報が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「生成元基地局ID」フィールドには、第1路側通信機2Aの識別情報が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「方路情報(方路番号)」フィールドには、方路番号「4」が設定されている。アプリケーションヘッダの「進路推定情報」フィールドには、第1路側通信機2Aの進路推定処理の結果(「流出」を示す識別番号「2」)が設定されている。また、アプリケーションヘッダの「インクリメントカウンタ」フィールドには、「3」が設定される。
【0126】
図16に示すように、時刻T10において第2路側通信機2Bによる進路推定処理が完了した後、時刻T11に、第2路側通信機2Bが、緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信するとともに、緊急車感知情報を含む路路間通信データ(第4情報;中央装置宛て情報)を送信する(
図28参照)。ここで、第2路側通信機2Bは、緊急車感知情報を含む路路間通信データを、路側通信機2A経由で中央装置4へ送信する。当該路路間通信データにおいて、路路間通信データのアプリケーションヘッダの「生成元基地局ID」および「送信元基地局ID」フィールドには、第2路側通信機2Bの識別情報が設定されており、「宛先基地局ID」フィールドには、第1路側通信機2Aの識別情報が設定されている。また、路路間通信データのアプリケーションレイヤには、宛先として中央装置4のIPアドレスが設定されている。この路路間通信データには、第2路側通信機2Bでの進路推定処理により得られた緊急車5Aに関する進路情報や進路推定情報等が含まれている。
【0127】
このように、第2路側通信機2Bは、宛先が中央装置4に設定され、生成元が第2路側通信機2Bに設定された路路間通信データ(第4情報)を送信する。
【0128】
また、第2路側通信機2Bは、第1路側通信機2Aから路車間通信データ(第2情報)を受信した場合には、時刻T9において、自局の通信エリア内の移動局向けの路車間通信データ(第3情報)を送信するだけで、緊急車感知情報を含む路路間通信データ(第4情報;中央装置宛て情報)は送信しないが、自局の通信エリア内の移動局(緊急車)から緊急情報を受信した場合には、時刻T11において、自局の通信エリア内の移動局向けの路車間通信データ(第3情報)及び緊急車感知情報を含む路路間通信データ(第4情報;中央装置宛て情報)を送信する。
これにより、第2路側通信機(第2基地局)2Bは、第1路側通信機(第1基地局)2Aが既に中央装置4向けに送信した路路間通信データ(第4情報)を重複して送信してしまうことを回避できるので、通信トラフィックの軽減を図ることができる。
【0129】
一方、第1路側通信機2Aは、第2路側通信機2Bから緊急車感知情報を含む路路間通信データ(第4情報)および緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第3情報)を受信する。
【0130】
その後、時刻T12において、第1路側通信機2Aは、緊急車感知情報を含む有線通信データ(第4情報)を中央装置4へ送信する。ここで、有線通信データには、送信元として第2路側通信機2Bの識別情報(IPアドレス)が設定されており、宛先として中央装置4の識別情報が設定されている。
【0131】
以上説明したように、第2路側通信機2Bは、第1路側通信機2Aが設置された交差点に流入する緊急車5Aが、第2路側通信機2Bが設置された交差点に向かって流出したことが確定してから、緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信する。
【0132】
図17に示すように、例えば時刻T2に交差点A2の東側の方路(道路)、つまり、方路番号「2」の方路から緊急車5Aが流入するとする。この場合、交差点A2に設置された路側通信機(第1路側通信機)2Aは、アプリケーションヘッダの「進路推定情報」フィールドが「流入」を示す識別情報(例えば「1」)に設定された緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信する。すると、交差点A2に設置された第1路側通信機2Aの路車間通信データの送信エリア(交差点A1,A3,B2)に設置された路側通信機2が、当該路車間通信データを受信する。この時点では、上記送信エリア(交差点A1,A3,B2)に設置された路側通信機2A,2Bは、いずれも路車間通信データを送信しない。
【0133】
次に、時刻T6に交差点A2の西側の方路(道路)、つまり、方路番号「4」の方路から緊急車5Aが流出したとする。この場合、交差点A2に設置された第1路側通信機2Aは、アプリケーションヘッダの「進路推定情報」フィールドが「流出」を示す識別情報(例えば「2」)に設定された緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信する。すると、交差点A1,A3に設置された路側通信機2Aは、アプリケーションヘッダの「方路情報(方路番号)」フィールドおよび「進路推定情報」フィールドに基づいて、緊急車5Aが自局の設置された交差点に向かって移動(接近)しているものではないと判定する。そして、交差点A1,A3に設置された路側通信機2Aは、路車間通信データを送信しない。
【0134】
一方、交差点B2に設置された路側通信機(第2路側通信機)2Bは、アプリケーションヘッダの「方路情報(方路番号)」フィールドおよび「進路推定情報」フィールドに基づいて、緊急車5Aが自局の設置された交差点に向かって移動(接近)していると判定する。そして、交差点B2に設置された路側通信機2Bは、路車間通信データを送信する。
【0135】
この結果、緊急車5Aが通過する(可能性が比較的高い)交差点に設置された路側通信機2A,2Bのみが、緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信し、緊急車5Aが通過しない交差点に設置された路側通信機2A,2Bは、緊急車接近情報を含む路車間通信データを送信しない。これにより、無駄な通信を抑制することができる。
【0136】
[3.路側通信機が行う通信処理]
[3−1.全体]
次に、路側通信機2が行う通信処理について詳細に説明する。
図18は、本実施形態に係る路側通信機2の動作を示すフローチャートである。ここで、路側通信機2は、路路間通信データ(第4情報)だけでなく、路車間通信データ(第2および第3情報)および車車間通信データ(第1情報)も受信可能である。つまり、路側通信機2は、路側通信機2に割り当てられた送信以外の期間において到来した通信パケットを受信することができる。
【0137】
まず、路側通信機2は、自局の送信タイミングであるか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、路側通信機2は、スーパーフレームにおいて自局2に割り当てられた通信期間(第1通信期間または第2通信期間)であるか否かを判定する。
【0138】
ステップS1において、自局の送信タイミングであると判定されると(ステップS1:Yes)、路側通信機2は、路車間通信データ或いは路路間通信データ中継(送信)する中継処理(送信処理)を行う(ステップS11)。この中継処理の詳細は後出[3−2]にて詳細に説明する。なお、有線通信データについての中継処理(送信処理)は任意のタイミングで行うことができる。
【0139】
一方、ステップS1において、自局の送信タイミングでないと判定されると(ステップS1:No)、路側通信機2は、路路間通信データ、路車間通信データおよび車車間通信データを受信したか否かを判定する(ステップS2)。
【0140】
ステップS2において、路路間通信データ、路車間通信データおよび車車間通信データのいずれも受信していないと判定されると(ステップS2:No)、路側通信機2は、再びステップS1の処理を行う。
【0141】
一方、ステップS2において、路路間通信データ、路車間通信データおよび車車間通信データのいずれかを受信したと判定されると(ステップS2:Yes)、路側通信機2は、受信したデータが路車間通信データであるか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション情報に含まれる管理情報が「2」(基地局から基地局、移動局)または「4」(基地局から移動局)のいずれかに設定されているか否かを判定する。
【0142】
ステップS3において、受信したデータが路車間通信データであると判定されると(ステップS3:Yes)、路側通信機2は、路車間通信データが緊急情報(緊急車接近情報)を含むものであるか否かを判定する(ステップS4)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション情報に含まれる管理情報が「2」に設定されているか否かを判定する。なお、ステップS3およびステップS4の処理は同時に行ってもよい。
【0143】
ステップS4において、路車間通信データが緊急情報(緊急車接近情報)を含むものではないと判定されると(ステップS4:No)、路側通信機2は、受信した路車間通信データを破棄する(ステップS10)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、路車間通信データを破棄する。
その後、路側通信機2は、再びステップS1の処理を行う。
【0144】
一方、ステップS4において、路車間通信データが緊急車接近情報を含むものであると判定されると(ステップS4:Yes)、路側通信機2は、受信した路車間通信データを読み取る(ステップS6)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、路車間通信データに含まれるアプリケーションデータを抽出してアプリケーション装置25aに渡す。
【0145】
次に、路側通信機2は、自局が保持する保持リストを更新する(ステップS7)。ここでは、路側通信機2が、保持リストに、受信した路車間通信データを記録する。
【0146】
また、ステップS3において、受信したデータが路車間通信データではないと判定されると(ステップS3:No)、路側通信機2は、受信したデータが路路間通信データであるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション情報に含まれる管理情報が「6」(基地局から基地局)に設定されているか否かを判定する。
【0147】
ステップS5において、受信したデータが路路間通信データであると判定されると(ステップS5:Yes)、路側通信機2は、ステップS6の読取処理を行い、受信した路路間通信データを記録する(ステップS7)。
【0148】
一方、ステップS5において、受信したデータが路路間通信データではない(車車間通信データである)と判定されると(ステップS5:No)、路側通信機2は、受信したデータを車車間通信データと判定し、当該車車間通信データが緊急情報(緊急車情報)を含むか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション情報に含まれる管理情報が「1」(移動局から基地局、移動局)に設定されているか否かを判定する。
【0149】
ステップS8において、受信した車車間通信データが緊急車情報を含むと判定されると(ステップS8:Yes)、路側通信機2は、ステップS6の読取処理を行い、受信した車車間通信データを記録する(ステップS7)。
【0150】
一方、ステップS8において、受信した車車間通信データが緊急車情報を含まないと判定されると(ステップS8:No)、路側通信機2は、受信した車車間通信データを破棄する(ステップS9)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、路車間通信データを破棄する。なお、路側通信機2が、受信した緊急車情報を含まない車車間通信データを他の用途で使用するとする。この場合、ステップS9において、路側通信機2が、受信した車車間通信データを破棄せずに読み取ることになる。
【0151】
[3−2.中継処理(送信処理)]
次に、本実施形態に係る路側通信機2の中継処理について詳細に説明する。
この「中継処理」では、路側通信機2が緊急車情報を含む車車間通信データ(第1情報)を受信して緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第2情報)を送信する。また、路側通信機2は、緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第2情報)を他の路側通信機2から受信して緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第3情報)を送信する。更に、路側通信機2は、緊急車感知情報を含む路路間通信データ(第4情報)を他の路側通信機2から受信して緊急車感知情報を含む路路間通信データ(第4情報)を別の他の路側通信機2へ送信する。更に、路側通信機2は、緊急車情報を含む車車間通信データ(第1情報)を受信又は緊急車感知情報を含む路路間通信データ(第4情報)を受信して、緊急車感知情報を含む有線通信データ(第4情報)を、中央装置4へ送信する。
図19は、本実施形態に係る路側通信機2の中継処理(送信処理)における動作を示すフローチャートである。
まず、路側通信機2は、自局が保持する保持リストを更新する(ステップS7)。ここでは、路側通信機2が、保持リストに、中継処理を試みるデータを記録する。
【0152】
次に、路側通信機2は、中継処理(送信処理)を試みるデータの通信種別(路路、路車、車車)の判定を行う(ステップS52)。ここでは、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション情報に含まれる管理情報が「1」〜「6」のいずれに設定されているかを判定する。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション情報に含まれる管理情報が「6」に設定されていると、路路間通信データ(第1情報)と判定し、管理情報が「2」、「4」または「5」に設定されていると、路車間通信データ(第2情報)と判定する。また、通信処理部25bは、上記管理情報が「1」または「3」に設定されていると、車車間通信データ(第1情報)と判定する。
【0153】
ステップS52において、中継処理を試みるデータが路路間通信データ(第4情報)であると判定すると(ステップS52:路路)、路側通信機2は、中継処理を試みる路路間通信データの送信元と宛先が所定の送信元と宛先であるか否かを判定する(ステップS53)。ここにおいて、路側通信機2は、中継処理を許容する路路間通信データに対応する、アプリケーションヘッダの「送信元基地局ID」フィールドおよび「宛先基地局ID」フィールドに設定されうる基地局の識別情報が登録された路路間通信中継判定テーブルを保有している。そして、路側通信機2は、中継処理を試みる路路間通信データのアプリケーションヘッダの「送信元基地局ID」フィールドおよび「宛先基地局ID」フィールドに設定されている識別情報が上記路路間通信中継判定テーブルに登録されているか否かを判定する。
【0154】
ステップS53において、中継処理を試みる路路間通信データの送信元および宛先が所定の送信元および宛先ではないと判定されると(ステップS53:No)、路側通信機2は、中継処理を試みる路路間通信データを破棄する(ステップS54)。
【0155】
一方、ステップS53において、中継処理を試みる路路間通信データの送信元および宛先が所定の送信元および宛先であると判定されると(ステップS53:Yes)、路側通信機2は、中継処理を試みる路路間通信データが以前に送信(中継)を行った路路間通信データと同じであるか否かを判定する(ステップS72)。なお、ステップS72において、例えば、中継処理を試みる路路間通信データと同じ送信元、宛先、生成回数の路路間通信データを以前に送信したか否かを判定するようにしてもよい。
【0156】
ステップS72において、中継処理を試みる路路間通信データが以前に送信(中継)を行った路路間通信データと同じであると判定されると(ステップS72:Yes)、路側通信機2は、中継処理を試みる路路間通信データを破棄する(ステップS54)。
【0157】
一方、ステップS72において、中継処理を試みる路路間通信データが以前に送信(中継)を行った路路間通信データと同じではないと判定されると(ステップS72:No)、路側通信機2は、中継処理を試みる路路間通信データを中継(送信)する(ステップS59)。具体的には、路側通信機2が、中継処理を試みる路路間通信データを他の路側通信機2(例えば、アプリケーションヘッダの「宛先基地局ID」フィールドに設定されている識別情報が付与された路側通信機2)へ送信する。或いは、当該路側通信機2が中央装置4と有線通信回線7で接続されており、路路間通信データの最終的な宛先が中央装置4である場合は、緊急車感知情報を含む有線通信データ(第4情報)を生成し、中央装置4に送信する。
【0158】
その後、路側通信機2は、自局が保持する保持リストを更新する(ステップS60)。ここでは、路側通信機2が、保持リストに、中継した路路間通信データを記録する。
【0159】
また、ステップS52において、中継処理を試みるデータが路車間通信データ(第2情報)であると判定すると(ステップS52:路車)、路側通信機2は、中継処理を試みる路車間通信データが緊急情報(緊急車接近情報)を含むものであるか否かを判定する(ステップS55)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション情報に含まれる管理情報が「2」に設定されているか否かを判定する。
【0160】
ステップS55において、中継処理を試みる路車間通信データが緊急車接近情報を含まないと判定されると(ステップS55:No)、路側通信機2は、中継処理を試みる路車間通信データを破棄する。
【0161】
一方、ステップS55において、中継処理を試みる路車間通信データ(第2情報)が緊急車接近情報を含むと判定されたとする(ステップS55:Yes)。この場合、路側通信機2は、中継処理を試みる路車間通信データの送信元と生成元が所定の路側通信機であるか否か、および中継処理を試みる路車間通信データ(第2情報)に含まれる進路情報(第2特定用情報;方路番号及び進路推定情報)が所定の進路情報であるか否かを判定する(ステップS57)。ここでは、路側通信機2のアプリケーション装置25aが、中継を試みる路車間通信データに含まれる進路情報(第2特定用情報)に基づいて、緊急車5Aが自局に接近していると判断するための接近条件を満たすか否かを判定する。ここで、路側通信機2(通信処理装置25)は、前述のように、中継処理を許容する路車間通信データに対応する、「送信元基地局ID」と、「生成元基地局ID」と、「進路情報(方路番号および進路推定情報)」との関係を示す路車間通信中継判定テーブル(判定テーブル)を保有している。この路車間通信判定テーブルは、前述の接近条件を規定したものである。
【0162】
図20は、本実施形態に係る路車間通信中継判定テーブルの一例を示す概念図である。路側通信機2のアプリケーション装置25aは、中継処理を試みる路車間通信データの送信元基地局ID、生成元基地局IDおよび進路情報に基づいて、
図20に示すような路車間通信中継判定テーブルを参照して、緊急車5Aが自局に接近する方向に移動しているか否かを判定する。
【0163】
ここで、
図20に示すテーブルの「進路情報」には、生成元基地局ID(識別情報)が付与された路側通信機2が設置された交差点の方路のうち、自局が設置された交差点を臨む方向の方路の番号(例えば7)が設定され、また、進路推定情報として「流出」、つまり、自局に接近する方向が設定される。そして、路側通信機2のアプリケーション装置25aは、中継処理を試みる路車間通信データ(第2情報)に含まれる送信元基地局ID、生成元基地局IDおよび進路情報が、
図20に示すような判定テーブルに設定されていれば、移動局が自局に近づく所定の進路にある、つまり、移動局が自局に接近していると判断するための接近情報を満たすと判定する。このように、路側通信機2は、進路情報に基づいて、緊急車(緊急移動中の移動局)5Aの進行方向の特定ができる。
【0164】
このように、路側通信機2が、路車間通信中継判定テーブルを保有し、当該路車間通信中継判定テーブルを参照して、緊急車が自局に接近する方向に移動しているか否か(接近条件を満たすか否か)を判定する。これにより、緊急車5Aの進行方向の判定を比較的容易にすることができる。
【0165】
ステップS57において、中継処理を試みる路車間通信データの送信元と生成元が所定の路側通信機ではないか、或いは進路情報が所定の進路情報ではないと判定されると(ステップS57:No)、路側通信機2は、当該中継を試みる路車間通信データを破棄する(ステップS56)。
【0166】
一方、ステップS57において、中継処理を試みる路車間通信データの送信元と生成元とが所定の路側通信機2であり、且つ進路情報が所定の進路情報である(自局に接近している)と判定されたとする(ステップS57:Yes)。この場合、路側通信機2は、中継処理を試みる路車間通信データが所定の中継条件を具備しているか否かを判定する(ステップS58)。この「所定の中継条件」は、過去に同じ内容の路車間通信データを受信した場合に、中継処理を防ぐための条件である。従って、過去の情報によらず中継処理を行う場合は不要となる。具体的には、当該中継処理を試みる路車間通信データの、「生成元基地局ID」、「送信元基地局ID」、「インクリメントカウンタ」を当該中継条件の判定指標とする。例えば、当該判定指標の値が、保持リストに記録された過去に中継処理を行った路車間通信データの判定指標の値と同じ場合、当該中継処理を試みる路車間通信データは中継しない。
【0167】
ステップS58において、中継処理を試みる路車間通信データが所定の中継条件を具備していないと判定されると(ステップS58:No)、路側通信機2は、中継処理を試みる路車間通信データを破棄する(ステップS56)。
【0168】
一方、ステップS58において、中継処理を試みる路車間通信データが所定の中継条件を具備すると判定されると(ステップS58:Yes)、路側通信機2は、緊急情報を含む路車間通信データ(第3情報)を生成し(ステップS74)、その後、路車間通信データを中継し(ステップS59)、その後、保持リストを更新する(ステップS60)。ここでは、中継した路車間通信データを保持リストに記録する。
【0169】
このように、路側通信機2は、緊急車接近情報(緊急情報)を含む路車間通信データ(第2情報)を受信しても緊急車(緊急移動中の移動局)5Aが自局2に接近する方向に移動していなければ、緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第3情報)の送信を回避する。これにより、路側通信機2が、緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第3情報)を無駄に送信してしまうことを防止できる。従って、路側通信機2が、自局2に割り当てられた第1通信期間、例えば期間TA−1,TB−1,TA−3,TB−3を無駄に消費するのを抑制できる。
【0170】
また、ステップS52において、中継処理を試みるデータが車車間通信データ(第1情報)であると判定すると(ステップS52:車車)、路側通信機2は、中継処理を試みる車車間通信データが緊急情報(緊急車情報)を含むものであるか否かを判定する(ステップS61)。具体的には、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション関連情報に含まれる管理情報が「1」に設定されているか否かを判定する。
【0171】
ステップS61において、中継を試みる車車間通信データが緊急車情報を含むと判定されると(ステップS61:No)、路側通信機2は、緊急車5Aの進行方向を推定する進路推定処理を行う(ステップS62)。この進路推定処理の詳細は、後出の[3−3]で詳細に説明する。
【0172】
次に、路側通信機2は、進路推定状態を判定する(ステップS63)。
ステップS63において、進路推定処理が終了していると判定されると(ステップS63:進路推定済)、路側通信機2は、進路推定結果に基づき中央装置4へ緊急車感知情報を含む路路間通信データ(有線通信データ;第4情報))の送信を試みるととともに、緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第3情報)の送信を試みる。
【0173】
前者については、路側通信機2は、進路推定結果を含む路路間通信データ(又は有線通信データ)を生成する(ステップS73)。続いて、路側通信機2は、ステップS72の処理を行い、その後、生成したデータを送信する(ステップS59)。
【0174】
一方、後者の路車間通信データについては、路側通信機2が、過去に、緊急車接近情報および進路情報(第2特定用情報)を含む路車間通信データ(第2情報)を送信してから所定時間(所定の送信待ち時間)経過しているか否かを判定する(ステップS65)。ここでは、例えば、路側通信機2が、緊急車接近情報および進路情報(第2特定用情報)を含む路車間通信データ(第2情報)を送信した時刻から所定時間(数百ms〜数秒)経過しているか否かを判定する。
【0175】
ステップS65において、過去に、緊急車接近情報および進路情報を含む路車間通信データを送信してから所定時間経過していないと判定されると(ステップS65:No)、路側通信機2は、中継処理を行わず、保持リストを更新して(ステップS69)そのまま処理を終了する。ここで、路側通信機2は、保持リストに、緊急車接近情報と、進路推定処理により取得した進路情報と、を含む路車間通信データを示す情報を記録する。
【0176】
一方、ステップS65において、過去に、緊急車接近情報および進路情報(第2特定用情報)を含む路車間通信データを送信してから所定時間経過したと判定されると(ステップS65:Yes)、路側通信機2は、緊急車接近情報および進路情報を含む路車間通信データを所定回数送信したか否かを判定する(ステップS66)。ここで、「所定回数」とは例えば「3」である。路側通信機2は、この所定回数(「3」)を保持しており、例えば、当該緊急車接近情報および進路情報を含む路車間通信データの生成対象となる緊急車5Aに関して、当該路車間通信データをこの所定回数(「3」)まで送信可能とする。このとき、生成対象となる緊急車5Aに関する当該路車間通信データのアプリケーションヘッダの「インクリメントカウンタ」フィールドが所定回数(「3」)カウントアップされたか否かを判定する。所定回数(「3」)カウントアップされた場合、路側通信機2は、緊急車接近情報および進路情報を含む路車間通信データを、所定回数送信済みと判定する。
【0177】
ステップS66において、緊急車接近情報および進路情報を含む路車間通信データを所定回数送信したと判定されると(ステップS66:Yes)、路側通信機2は、上記進路情報を含む路車間通信データを保持リストから削除する。これにより、路側通信機2は、緊急車接近情報および進路情報を含む路車間通信データの送信を停止する。
【0178】
一方、ステップS66において、緊急車接近情報および進路情報を含む路車間通信データを所定回数送信していないと判定されると(ステップS66:Yes)、路側通信機2は、中継処理を試みるデータが車車間通信データ(第1情報)に基づいて、緊急車接近情報および進路情報(第2特定用情報)を含む路車間通信データ(第2情報)を生成し(ステップS70)、その後、生成した路車間通信データ(第2情報)を送信(中継)する(ステップS68)。
【0179】
また、ステップS63において、進路推定処理中であると判定されると(ステップS63:進路推定中)、路側通信機2は、保持リストを更新して(ステップS69)処理を終了する。ここで、路側通信機2は、保持リストに、受信した車車間通信データを記録する。
【0180】
また、ステップS63において、進路推定エラーが発生したと判定されると(ステップS63:進路推定エラー)、路側通信機2は、中央装置4へ緊急車感知情報および進路情報(進路推定エラーを示す情報)を含む路路間通信データ(有線通信データ)の送信を試みる。ここにおいて、進路推定エラーが発生する場合とは、例えば、緊急車5Aが路側通信機2の設置された交差点で停車した場合や、緊急車5Aが交差点近傍の指定エリア外(例えば脇道)へ流出した場合に相当する。また、路側通信機2は、進路推定エラーを示す情報を取得した場合に、当該情報を中央装置4へ送信する。
【0181】
進路情報の中央装置4への送信を試みる場合、路側通信機2は、進路情報を含む路路間通信データ(又は有線通信データ;第4情報)を生成した後(ステップS73)、ステップS72の処理を行う。
【0182】
また、路側通信機2は、受信した車車間通信データを保持リストから削除し(ステップS71)処理を終了する。
【0183】
以上説明したように、路側通信機2(第1路側通信機2A)は、緊急車(移動局)5Aの進行方向を示す進路情報(第2特定用情報)を含む路車間通信データ(第2情報)を送信する。従って、当該路車間通信データを受信した一般車(第2移動局)5B〜5Dや他の路側通信機(例えば第2路側通信機2B)が、緊急車5Aの進行方向(進路)を把握することができる。また、路側通信機2は、緊急車5Aの進行方向(進路)を推定した、或いは、推定エラーとなった場合にのみ、当該緊急車5Aの進路情報を含む路路間通信データや有線通信データを中央装置4へ向けて送信する。このとき、中央装置4は、緊急車5Aの位置や進行方向に変化が生じた場合にのみ、そのことを知らせる情報を受け取ることになる。中央装置4が、緊急車5Aをスムーズに進行方向の交差点を通過させるような信号制御を行う場合、交差点通過後の緊急車5Aの位置や進行方向が制御対象とする交通信号機1を特定すること等において重要となる。従って、上記進路推定を行わず、緊急車5Aから100ms間隔で送信される車車間通信データを路側通信機が受信した場合、受信した数だけ中央装置4に送信する場合に比べて、中央装置4において交差点通過後の緊急車5Aの位置や進行方向を抽出する処理が不要、或いは軽微になること、また、有線通信回線7の通信トラフィックを軽減できる。
【0184】
[3−3.進路推定処理]
次に、本実施形態に係る路側通信機2の進路推定処理について詳細に説明する。
図21は、本実施形態に係る路側通信機2の進路推定処理における動作を示すフローチャートである。また、
図22および
図23は、本実施形態に係る路側通信機2の進路推定処理の説明図である。
まず、路側通信機2は、緊急車5Aが候補エリアに流入したか否かを判定する(S101)。ここで、「候補エリア」とは、後述の流入エリアの候補となりうるエリアの集合であり、路側通信機2が緊急車5Aから送信される車車間通信データを受信できる範囲に存在する。この候補エリアは、例えば路側通信機2が設置された交差点に合流する4つの道路(方路)W1〜W4上における、当該交差点A2側の領域に設定される。
【0185】
ここにおいて、
図22に示すように、路側通信機2は、緊急車5Aから送信される車車間通信データを3回受信すると、緊急車5Aが候補エリアに流入したと判定する。なお、車車間通信データは、前述のスーパーフレームにおける緊急車5A(車載通信機3A)に割り当てられた期間(例えば
図10における第1スーパーフレームの期間SL2)において、緊急車5Aから送信される。
【0186】
次に、路側通信機2は、候補エリアのいずれが流入エリアに相当するかを判定する流入エリア特定処理を行う(ステップS102)。ここでは、路側通信機2は、緊急車5Aから送信される車車間通信データ(第1情報)に含まれる位置情報(第1特定用情報)に基づいて、候補エリアのうち緊急車5Aが存在するエリアを流入エリアとして特定する。ここにおいて、路側通信機2は、例えば、緊急車5Aから複数回に亘って送信される位置情報それぞれを受信し、受信した複数の位置情報に基づいて流入エリアを特定する。このように、車車間通信データに含まれる位置情報は、緊急車の進行方向(進路)の特定に用いられる情報となっている。
そして、路側通信機2は、特定した流入エリアに基づいて緊急車5Aの進行方向(進路)を特定する。具体的には、路側通信機2のアプリケーション装置25aが、車車間通信データから位置情報を抽出し、抽出した位置情報と路側通信機2の位置を示す位置情報とに基づいて、流入エリアを特定し、特定した流入エリアに基づいて緊急車5Aの進行方向(進路)を特定する。また、アプリケーション装置25aは、予め保持する自局が設置される交差点の方路の位置情報に基づき、特定した緊急車5Aの進行方向(進路)に対応する方路番号(道路)、進路推定情報(流入、流出の判定結果;
図9参照)を推定することにより、これらの方路番号および進路推定情報(流入・流出の判定結果)から構成される進路情報(第2特定用情報)として生成する。
このように、路側通信機は、車車間通信データ(第1情報)に含まれる位置情報(第1特定用情報)から、緊急車5Aの進行方向(進路)を特定する。
【0187】
これにより、緊急車(緊急移動中の移動局)5Aが、自車の位置情報を第1情報に含ませればよく、緊急車5Aにおいて自車の進行方向を算出する処理を行う必要がないので、緊急車5Aにおける処理負担を軽減することができる。
【0188】
例えば、
図23に示すように、交差点A2に合流する4つの道路W1〜W4のうち東側の道路W1から緊急車5Aが流入する場合、路側通信機2は、エリアAR0を流入エリアとして特定する。そして、路側通信機2は、特定した流入エリアから自局が設置された交差点に接続する方路番号を取得する。
【0189】
続いて、路側通信機2は、緊急車5の進行方向が、当該緊急車5Aが取得した流入エリアにおいて交差点に接近する方向であるか、それとも遠ざかる方向であるかを判定する(ステップS103)。具体的には、緊急車5Aの車車間通信データ(第1情報)の複数の位置情報(第1特定用情報)から進行方向の方位を求め、この方位から「流入」か「流出」の判定を行う。ここにおいて、路側通信機2は、上記「流入」を判定する際の流入エリアの方位が登録された流入エリア方位テーブルを保有している。ここで、「流入エリアの方位」とは、例えば流入エリアから自局が設置された交差点を臨む方位を示している。そして、路側通信機2は、推定した上記方位と流入エリア方位テーブルに登録された「流入エリアの方位」を比較して、所定の範囲内の誤差であれば、「流入」であると判定する。
【0190】
ステップS103において、流入エリアにおいて推定した方位から「流入」であると判定されると(ステップS103:Yes)、路側通信機2は、緊急車5Aに関する進路情報を含むデータを送信する(ステップS104)。ここでは、路側通信機2のアプリケーション装置25aが、緊急車5Aに関する進路情報を含む路車間通信データ(第2情報)を生成するとともに、宛先が中央装置4に設定された路路間通信データ(第4情報)を生成する。例えば、
図23の場合、緊急車5Aに関する進路情報は、東側の方路を示す方路番号「2」に設定され、進路推定情報は、「流入」を示す識別番号「1」に設定される。そして、路側通信機2の無線通信部21が、生成した路車間通信データおよび路路間通信データを送信する。
【0191】
以上のように、路側通信機2のアプリケーション装置25aが、ステップS101〜S104の一連の処理を行う。これにより、アプリケーション装置25aが、緊急車5Aが方路番号「2」の方路から路側通信機2に接近する方向に移動していると判定して、「流入」を示す識別番号「1」からなる進路推定情報(接近情報)を路車間通信データおよび路路間通信データに含ませる。
【0192】
一方、ステップS103において、流入エリアにおいて推定した方位が所定の方位ではないと判定されると(ステップS103:No)、路側通信機2は、緊急車5Aに関する進路情報を中央装置4へ通知することなく、次の処理(ステップS105)を行う。
【0193】
ステップS103およびステップS104の後、路側通信機2は、流出エリア特定処理を行う(ステップS105)。ここでは、路側通信機2は、緊急車5Aから送信される車車間通信データに含まれる位置情報に基づいて、緊急車5Aが存在する流出エリアを特定する。例えば、
図23に示すように、流出エリアは、路側通信機2が設置された交差点A2に合流する4つの道路W1〜W4のうち、流入エリアAR0が設定された道路W1を除く3つの道路W2〜W4上における交差点A2側の領域AR1〜AR3のいずれかに設定される。緊急車5Aが、道路W1から交差点A2を通過して道路W2に抜ける場合(
図23中の実線矢印および破線矢印参照)、流出エリアはエリアAR1と特定される。また、アプリケーション装置25aは、特定した流出エリアに基づいて緊急車5Aの進行方向(進路)を特定する。そして、アプリケーション装置25aは、特定した緊急車5Aの進行方向に対応する方路番号、進路推定情報(
図9参照)を推定することにより、これらの方路番号および進路推定情報から構成される進路情報(第2特定用情報)として生成する。
【0194】
次に、路側通信機2は、流出エリア特定処理が成功したか否かを判定する(ステップS106)。
ここで、
図22に示すように、路側通信機2は、緊急車5Aの流入エリアを特定してから、流出エリアを特定する間に受信する車車間通信データに同期した参照信号を生成することができ、当該参照信号を緊急車5Aの存在を知らせる信号として、例えば、自局の設置された交差点に存在する交通信号機1へ送ることにより、感応制御を行うことも可能となる。
【0195】
図23に示すように、緊急車5Aが、緊急車5Aが、道路W1から交差点A2を通過して道路W2に抜ける場合、路側通信機2は、緊急車5Aが流入エリアAR0に流入したと判定した後、流出エリアAR1から流出したと判定する。
【0196】
一方、緊急車5Aが、流入エリアAR0に流入してから交差点A2に向かわず、路側通信機2への車車間通信データの送信が遮られる脇道W5へ進んだとする。この場合、路側通信機2は、緊急車5Aから送信される車車間通信データを受信できなくなる。この場合、路側通信機2は、例えば、候補エリアに流入したと判定してから所定の時間経過するまでに、緊急車5Aから送信される車車間通信データより流出エリアを特定することができない場合、流出エリア特定処理が失敗したと判定する。また、緊急車5Aが路側通信機2の設置された交差点で停車した場合、緊急車5Aから送信される車車間通信データは、流入エリアAR0に流入したと判定してから所定の時間経過するまで、流入エリアAR0から送信されることになる。この場合も、路側通信機2は、流出エリア特定処理が失敗したと判定する。
【0197】
ステップS106において、流出エリア特定処理が成功したと判定されると(ステップS106:Yes)、路側通信機2は、緊急車5Aに関する進路情報を含むデータを送信する(ステップS107)。ここでは、路側通信機2のアプリケーション装置25aが、緊急車5Aに関する進路情報を含む路車間通信データを生成するとともに、宛先が中央装置4に設定された路路間通信データを生成する。例えば、
図23に示すように、緊急車5Aが道路W1から交差点A2を通過して道路W2に抜ける場合(
図23中の実線矢印および破線矢印参照)、緊急車5Aに関する進路情報は、方路番号「4」、進路推定情報「2」(流出)が設定される。
【0198】
以上のように、路側通信機2のアプリケーション装置25aが、ステップS105〜S107の一連の処理を行う。これにより、アプリケーション装置25aが、緊急車5Aが路側通信機2から離脱する方向に移動していると判定して、進路情報として、方路番号「4」および「流出」を示す識別番号「2」からなる進路推定情報(離脱情報)を路車間通信データ(第2情報)および路路間通信データ(第4情報)に含ませる。
【0199】
一方、ステップS106において、流出判定処理が失敗したと判定されると(ステップS106:No)、路側通信機2は、進路推定が失敗した(進路推定エラー)と判定する(ステップS108)。ここでは、路側通信機2が、進路推定エラーが発生した場合に「1」に設定される進路推定エラーフラグを保持しており、当該進路推定エラーフラグを「1」に設定する。
【0200】
<まとめ>
結局、本実施形態に係る通信システムでは、第2路側通信機(第2基地局)2Bが、第1路側通信機(第1基地局)2Aから緊急情報(緊急車接近情報)を含む路車間通信データ(第2情報)を受信したとする。この場合、第2路側通信機2Bは、緊急車(緊急移動中の移動局)5Aが路側通信機2Bに近づく方向に移動していると判定されたときに、自局の通信エリア内に存在する一般車5B〜5D向けの緊急車接近情報を含む路車間通信データ(第2移動局向けの緊急情報を含む第3情報)を送信する。
ここで、緊急車接近情報を含む路車間通信データは、緊急車5Aが第2路側通信機2Bに近づく方向に移動している場合に一般車5B〜5D向けに送信する必要がある。そして、第2路側通信機2Bは、緊急車接近情報を含む路車間通信データを受信しても緊急車5Aが第2路側通信機2Bに近づく方向に移動していなければ、緊急車接近情報を含む路車間通信データの送信を回避する。これにより、第2路側通信機2Bが路車間通信データを無駄に送信してしまうことを防止できる。従って、第2路側通信機2Bが自局に割り当てられた第1通信期間TB−1,TB−3を無駄に消費することを抑制できる。
【0201】
ところで、第1路側通信機(第1基地局)2Aから、上記第2特定用情報を含む路車間通信データ(第2情報)を受信する第2路側通信機(第2基地局)2Bは、上記第2特定用情報に含まれる方路情報から、第2路側通信機2Bに接近するか否かを判定することになる。このとき、上記第2特定用情報に、上記第1
特定用情報と同様に、緊急車(緊急移動中の移動局)5Aの位置情報が含まれる場合には、自局の設置される交差点だけでなく、周辺の交差点の地図情報等を保有し、当該緊急車5Aからの位置情報と照合し、自局に接近するか否かの判定を行うことなる。
【0202】
これに対して、本実施形態に係る通信システムでは、第1路側通信機2Aからの方路情報に基づき自局に接近するか否かの判定を行う場合、第2路側通信機2Bは、緊急車の接近であると判断するための第1路側通信機2Aの基地局ID(識別情報)および方路情報を保有し、第1路側通信機2Aからの方路情報と照合することになる。
従って、本実施形態に係る通信システムでは、前述の通信システムと比較して、保有する情報量や照合のための計算処理を少なくすることができる。
【0203】
<変形例>
(1)実施形態では、L7ヘッダのアプリケーション関連情報が管理情報を含んでおり、路側通信機2の通信処理部25bが、L7ヘッダのアプリケーション関連情報に含まれる「管理情報」フィールドの内容に基づいて、中継処理を試みるデータの通信種別およびデータ種別の両方を判定する例について説明した。但し、L7ヘッダの構成およびデータの通信種別およびデータ種別の判定方法は、これに限定されるものではない。
【0204】
図24および
図25は、本変形例に係るL7ヘッダの構成を示す図である。
図24および
図25に示すように、L7ヘッダは、「管理情報」フィールドと、「データ種別」フィールドと、を含んでいる。
「管理情報」フィールドは、データが「車車間通信データ」、「路車間通信データ」および「路路間通信データ」のいずれであるかを示す通信種別を示す情報が設定される。
図24下段に示すように、車車間通信データでは、「管理情報」フィールドが「1」または「3」に設定される。また、
図25(a)に示すように、路車間通信データでは、「管理情報」フィールドが「2」、「4」または「5」に設定される。更に、
図25(c)に示すように、路路間通信データでは、「管理情報」フィールドが「6」に設定される。
【0205】
「データ種別」フィールドは、データが通常情報を含むものか緊急情報を含むものかを示すデータ種別を示す情報(第1緊急識別情報、第2緊急識別情報)が設定される。ここで、「データ種別」フィールドは、データが通常情報を含むものである場合、「0」に設定され、データが緊急情報(緊急車情報、緊急車接近情報)を含むものである場合、「1」に設定される。
そして、路側通信機2の通信処理部25bは、「管理情報」フィールドに基づいて中継処理を試みるデータの通信種別を判定し、「データ種別」フィールドに基づいてデータのデータ種別が緊急情報(緊急車情報、緊急車接近情報)であるか否かを判定する。
【0206】
ここにおいて、例えば一般車が緊急車に成りすまして、「データ種別」フィールドを「1」に設定した車車間通信データを送信したとする。この場合、路側通信機2のアプリケーション装置25aが、アプリケーションヘッダの内容に基づいて、受信した車車間通信データが緊急車に成りすました一般車から送信されたものか否かを判定するようにすればよい。
【0207】
(2)実施形態では、路側通信機2が、L7ヘッダに含まれる情報に基づいて、中継処理を試みるデータの通信種別およびデータ種別の両方を判定する例について説明したが、判定に使用する情報はL7ヘッダに含まれる情報に限定されるものではない。例えば、路側通信機2が、アプリケーションヘッダとアプリケーションデータとに含まれる情報を使用してデータの通信種別およびデータ種別を判定するようにしてもよい。
【0208】
図26は、本変形例に係る車車間通信データに含まれるアプリケーションヘッダおよびアプリケーションデータの構成を示す図である。また、
図27は、本変形例に係る路車間通信データに含まれるアプリケーションヘッダおよびアプリケーションデータの構成を示す図である。更に、
図28は、本変形例に係る路路間通信データの構成を示す図であり、
図29は、本変形例に係る有線通信用データの構成を示す図である。
また、
図26に示すように、車車間通信データは、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションデータから構成される。そして、アプリケーションデータには、「車両ID」、「車両属性情報」および「拡張情報」が含まれている。ここで、「車両属性情報」は、車車間通信データを送信した車両の属性を示し、当該車両が緊急車両であれば「1」に設定され、一般車であれば「2」に設定される。また、「拡張情報」は、車車間通信データが緊急情報(緊急車情報)を含むか否かを示す情報であり、緊急車情報を含まない(通常情報を含む)場合「0」に設定され、緊急車情報を含む場合「1」に設定される。
【0209】
図27に示すように、路車間通信データもアプリケーションヘッダおよびアプリケーションデータから構成される。そして、アプリケーションヘッダには「メッセージID」が含まれている。そして、この「メッセージID」には、車車間通信データが緊急情報(緊急車情報)を含むか否かを示す情報が設定されている。また、アプリケーションデータには、緊急車接近情報(例えば、車車間通信データそのもの)や路側通信機2が推定した緊急車5Aの進路情報等が含まれる。
【0210】
また、データの通信種別やデータ種別の判定に使用する情報は、セキュリティ管理がなされている上記アプリケーションヘッダに含まれる。これにより、データの通信種別やデータ種別の判定に使用する情報のフォーマット等の外部への漏洩を防止できる。
【0211】
図28に示すように、路路間通信データは、路路間通信用アプリケーションヘッダ、IPヘッダおよびアプリケーションデータを含んで構成される。そして、アプリケーションデータには、「緊急車感知情報」や「進路情報」等が含まれている。
【0212】
図29に示すように、有線通信用データは、Ethernetヘッダ、IPヘッダおよびアプリケーションデータを含んで構成される。そして、アプリケーションデータには、「緊急車感知情報」や「進路情報」等が含まれている。
【0213】
(3)実施形態では、路側通信機2が、緊急車5Aの進路情報として、緊急車5Aからの車車間通信データに含まれる位置情報に基づき推定する、緊急車5Aの存在する方路(道路)情報と方路上の進行方向、つまり、道路リンクに関する情報を採用する例について説明したが、緊急車5Aに関する進路情報はこれに限定されるものではない。例えば、緊急車5Aが、自車が走行する道路をどの方向に走行しているかを示すリンク情報を含む車車間通信データを送信できる場合、路側通信機2は、車車間通信データからリンク情報を抽出し、抽出したリンク情報を、緊急車5Aの進路情報として採用するものであってもよい。また、本実施形態では、進路情報を2つの情報(方路番号及び進路推定情報)によって構成したが、一つの道路リンク情報によって構成してもよい。同一の道路について一の方向の道路リンクとその逆方向の道路リンクとが区別された道路リンク情報の場合、当該道路リンク情報だけで、車両が進行している道路とその進行方向を特定することができる。
また、進路情報は、ある交差点にどの方向から近づいているのか、又はどの方向から遠ざかっているのか、を示す一体的に示す情報(方路と流入/流出を一つのコードで示したもの)であってもよい。当該情報は、例えば、8つの方位の方路と各方位を流入/流出で区別した16種類のコードによって構成でき、具体的には、コード1:北から流入、コード2:北へ流出、コード3:北東から流入、コード4:北東へ流出、・・・・15:北西から流入、16:北西へ流出、というコードによって構成することができる。
なお、進路情報に、交差点を特定する情報(例えば交差点識別情報)を更に含ませると、当該進路情報によって、特定の交差点のどの方向から(どの方向へ)、近づいている(遠ざかっている)のかを示すことができる。
【0214】
図30は、本変形例に係る路側通信機2の緊急車5Aの進行方向の判定方法を説明する図である。例えば、緊急車5Aが道路W1を「西」向きに走行している場合、緊急車5Aは、自車のリンク情報「L1」を取得する。そして、緊急車5Aは、リンク情報「L1」を含む車車間通信データを送信する。
【0215】
一方、路側通信機2は、緊急車5Aから送信された車車間通信データを受信すると、受信した車車間通信データからリンク情報「L1」を取得する。そして、路側通信機2は、リンク情報「L1」から、緊急車5Aが「西」向き(進路情報:方路番号「2」、進路推定情報:「1」)に走行していると認識する。
【0216】
<付記>
本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なもの
ではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の
範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。