(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
車両のセキュリティを向上させるべく、本発明の一態様に係る画像送信装置は、車両搭載用の画像送信装置であって、車両の駐車地における、前記車両外部の外部装置との通信可能性について検査する検査部と、前記検査部による検査の結果に基づく通知情報を通知する通知部と、前記車両の駐車中において画像を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された画像を前記外部装置に対して送信する送信部とを備え、前記検査部は、前記車両の駐車地以外においても前記外部装置との通信可能性について調査し、駐車地以外における前記調査の結果と前記車両の位置とを対応付けて記憶し、前記通知部は、前記検査の結果が通信可能性を否定するものである場合において更に、前記調査の結果に基づいて、前記車両の駐車地から所定距離範囲内の位置で前記外部装置と通信可能な位置を示す情報を通知する。
【0011】
車両のセキュリティを向上させるべく、本発明の一態様に係る画像送信装置は、車両搭載用の画像送信装置であって、車両の駐車地における、前記車両外部の外部装置との通信可能性について検査する検査部と、前記検査部による検査の結果に基づく通知情報を通知する通知部と、前記車両の駐車中において画像を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された画像を前記外部装置に対して送信する送信部とを備える画像送信装置である。なお、送信部の送信した画像は、駐車地における外部装置との通信環境(駐車地の周囲の建造物等)の影響を受けるので、外部装置に必ずしも受信されるとは限られない。しかし、ユーザ(運転者)は、駐車中に撮影された画像が外部に送信できるか否かを通知情報から推測でき、必要に応じて駐車地を変更する等が可能となるため、車両の駐車時のセキュリティが向上し得る。
【0012】
ここで、例えば、前記検査部は、前記車両の駐車地において前記外部装置からの電波についての受信電界強度を測定することにより前記検査を行うこととしてもよい。
【0013】
これにより、外部装置との通信可能性が駐車地において測定により検査されるため、駐車したときにおいてユーザはセキュリティ確保のための画像送信が可能か否かを的確に推測し得るようになる。
【0014】
また、前記画像送信装置は更に、複数の位置各々について当該位置における前記外部装置との通信可能性を示した通信可能位置情報を外部のサーバ装置から取得する取得部と、前記車両の到着予定地としての駐車地の位置の指定を受け付ける受付部と、前記車両の位置を測定する測位部と、前記検査部が前記駐車地において前記測定を行った前記受信電界強度と当該駐車地の位置とを前記サーバ装置に伝送する伝送部とを備え、前記検査部は、前記受付部により受け付けられた指定に係る駐車地に到着していない間においては、当該駐車地における前記外部装置との通信可能性について、前記通信可能位置情報に基づいて前記検査を行うこととしてもよい。
【0015】
これにより、駐車地に到着する前に駐車地における外部装置との通信可能性が検査されるため、ユーザはその検査結果に基づいて必要に応じて駐車前から駐車予定地(車両の到着予定地)を変更することができるようになる。また、サーバ装置には、各地での外部装置との通信可能性に係る情報が蓄積され、活用し得るようになる。
【0016】
また、前記画像送信装置は更に、前記車両の位置を測定する測位部を備え、前記検査部は、前記車両の駐車地以外においても前記外部装置からの電波についての受信電界強度を測定することにより前記外部装置との通信可能性について調査し、前記通知部は、前記検査の結果が通信可能性を否定するものである場合において更に、前記調査の結果に基づいて、前記車両の駐車地から所定距離範囲内の位置で前記外部装置と通信可能な位置を示す情報を通知することとしてもよい。
【0017】
これにより、駐車地で検査した結果として外部装置との通信可能性が否定されたような場合において、ユーザは駐車地の変更先とすべき駐車候補地を知ることができるようになる。
【0018】
また、前記画像送信装置は更に、前記車両の到着予定地としての駐車地の位置の指定を受け付ける受付部と、前記車両の位置を測定する測位部とを備え、前記検査部は、前記車両の駐車地以外においても前記外部装置からの電波についての受信電界強度を測定することにより前記外部装置との通信可能性について調査し、前記通知部は更に、前記車両が前記到着予定地としての駐車地から所定距離範囲内の位置にいる場合に前記検査部により調査された結果に基づいて、前記外部装置と通信可能な位置を示す情報を通知することとしてもよい。
【0019】
これにより、車両の到着予定地(駐車予定地)から一定距離以下の位置に車両が来た場合において、ユーザは駐車候補地を知ることができるようになる。
【0020】
また、前記検査部は、前記車両の駐車地以外においても前記外部装置からの電波についての受信電界強度を測定することにより前記外部装置との通信可能性について調査し、前記送信部は、前記検査の結果が通信可能性を否定するものである場合には前記画像の送信を抑止して後に前記検査又は前記調査の結果が通信可能性を肯定するものとなった時に前記画像の送信を実行することとしてもよい。
【0021】
これにより、駐車地で撮影した画像が外部に送信できなかった場合でも、外部と通信可能な状態になれば送信するので、車両又は車内の物品の盗難の証拠となる画像等を車外において取得することができるようになる。
【0022】
また、前記通知部は、前記検査の結果である前記通信可能性を前記測定された受信電界強度に応じて複数段階のうちの1つで示す前記通知情報を通知することとしてもよい。
【0023】
これにより、ユーザは、通知情報を確認して、駐車地が車両のセキュリティを確保する上で適しているか否かを判断することができるようになる。
【0024】
また、前記検査部は、前記車両の駐車地において前記送信部が送信した前記画像が前記外部装置に受信されたことを、前記外部装置との通信で確認することにより前記検査を行うこととしてもよい。
【0025】
これにより、外部装置との通信可能性が駐車地において実際に画像を送信することで検査されるので、ユーザは、検査結果に基づいて、駐車地で車両のセキュリティが十分確保されるか否かを的確に把握できるようになる。
【0026】
また、前記画像送信装置は更に、前記車両が所定の停止状態であるか否かを検出する検出部を備え、前記検査部は、前記検出部により前記車両が所定の停止状態であると検出された場合に前記検査を実行し、前記車両が所定の停止状態でないと検出された場合には前記検査を抑止することとしてもよい。ここで、所定の停止状態は、例えば駐車状態である。
【0027】
これにより、車両のセキュリティ確保のための外部装置との通信可能性に係る検査を効率的に行うことができる。
【0028】
また、前記画像送信装置は更に、前記撮影部により撮影された画像を解析して異常事態の発生を検出する異常検出部を備え、前記通知部は更に、前記検査の結果が通信可能性を否定するものである場合において、前記異常検出部により異常事態の発生が検出されたときには、異常事態の発生を示す情報を通知することとしてもよい。
【0029】
これにより、異常事態が発生していた場合には、駐車している車両に戻ったユーザが異常事態の発生を示す情報を見て迅速に対処できるようになる。
【0030】
また、前記撮影部は、逐次撮影した画像を記憶媒体に記録し、前記送信部による前記送信は、前記記憶媒体中の撮影された画像の送信であり、前記通知部は更に、前記検査の結果が通信可能性を否定するものである場合において、前記記憶媒体中に記録可能な、撮影した画像に係る時間量を示す情報を通知することとしてもよい。
【0031】
これにより、撮影した画像を外部に送信できない場合に、ユーザは、どれくらいの時間の画像の記録が可能かを知ることができるようになる。
【0032】
また、前記撮影部は、逐次撮影した画像を記憶媒体に記録し、所定条件に従って当該撮影又は当該記録を実行し、前記送信部による前記送信は、前記記憶媒体中の撮影された画像の送信であり、前記画像送信装置は更に、前記検査の結果が通信可能性を否定するものである場合において駐車予定時間の入力を受け付け、前記撮影部は、前記駐車予定時間において前記撮影及び前記記録の実行を継続できるよう前記所定条件を定めることとしてもよい。
【0033】
これにより、撮影した画像を外部に送信できない場合に、ユーザが入力した駐車予定時間に亘る画像の撮影及び記録が可能となり、車両のセキュリティを向上させることができる。
【0034】
また、前記画像送信装置は更に、前記車両に人間が接近していることを検知する検知部を備え、前記撮影部は、前記検知部により所定時間以上継続して前記検知がなされた場合に前記撮影を実行することとしてもよい。
【0035】
これにより、車両のセキュリティを確保するために効率的に画像の撮影を行えるようになる。なお、撮影部としての撮影用のカメラの向きは、車外及び車内の少なくとも一方に向いてよいが、画像送信装置を車両に搭載する際にセキュリティ確保に適切な向きに調整することが想定される。
【0036】
また、前記画像送信装置は更に、複数の位置各々について当該位置における前記外部装置との通信可能性を示した通信可能位置情報を外部のサーバ装置から取得する取得部と、前記車両の到着予定地としての駐車地の位置の指定を受け付ける受付部とを備え、前記検査部は、前記受付部により受け付けられた指定に係る駐車地における前記外部装置との通信可能性について、前記通信可能位置情報に基づいて、前記検査を行うこととしてもよい。
【0037】
これにより、駐車地に到着する前に駐車地における外部装置との通信可能性が検査されるため、ユーザはその検査結果に基づいて必要に応じて駐車前から駐車予定地(車両の到着予定地)を変更することができるようになる。
【0038】
また、前記通知部は更に、前記検査の結果が通信可能性を否定するものである場合において駐車候補地を示す情報を通知することとしてもよい。
【0039】
これにより、ユーザは、駐車中の車両のセキュリティを確保するための駐車候補地を知ることができる。
【0040】
また、前記通知部は前記通知を、前記車両の運転者用の表示パネルの一領域に表示することにより行うこととしてもよい。
【0041】
これにより、ユーザは、例えば車両の運転席に着いた状態で表示パネルを見て、駐車地を変更すべきか否か等を容易に確認できるようになる。
【0042】
また、前記撮影部は更に、前記車両の外部に向けられた赤外線カメラにより当該車両の走行中に赤外線画像を撮影することとしてもよい。
【0043】
これにより、可視光域では識別が困難であった車両外部(路面等)の状況の撮影がなされ、外部のサーバ装置等にその撮影された画像が送信されるので、サーバ装置に路面状況を示す情報等の蓄積が行えるようになる。
【0044】
また、本発明の一態様に係る画像送信装置は、車両搭載用の画像送信装置であって、前記車両の外部に向けられた赤外線カメラにより当該車両の走行中に赤外線画像を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された赤外線画像を外部装置に対して送信する送信部とを備える画像送信装置である。
【0045】
これにより、車両の走行中に、可視光域では識別が困難であった車両外部(路面等)の状況の撮影がなされ、外部のサーバ装置等にその撮影された画像が送信されるので、サーバ装置に路面状況を示す情報等の蓄積が行えるようになる。そして、サーバ装置において路面状況を示す情報等をインターネット上への公開や配信等に活用できるようになる。
【0046】
また、前記画像送信装置は更に、前記車両のブレーキが操作されたことを検知する検知部を備え、前記撮影部は、前記検知部によりブレーキが操作されたことが検知された場合に前記撮影を実行することとしてもよい。
【0047】
これにより、車両の走行にあたり注意が必要な状況で効率的に撮影を行うことができるようになる。
【0048】
また、前記画像送信装置は更に、車両外部の外部装置との通信可能性について検査する検査部を備え、前記撮影部は、逐次撮影した画像を記憶媒体に記録し、前記送信部は、前記検査の結果が通信可能性を否定するものである場合には前記赤外線画像に係る情報の送信を抑止して後に前記検査の結果が通信可能性を肯定するものとなった時に前記記憶媒体中の撮影された赤外線画像の送信を実行することとしてもよい。
【0049】
これにより、外部に送信可能になった時に撮影した画像を迅速に送信するため、外部のサーバ装置等においては新しい情報の迅速な配信等が可能となり得る。
【0050】
なお、これらの包括的又は具体的な各種態様には、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、コンピュータで読み取り可能な記録媒体等の1つ又は複数の組み合わせが含まれる。
【0051】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
ここで示す実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本発明を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0053】
各実施の形態では、主に、車両に搭載される画像送信装置、車両の運転者(ユーザ)が所持する携帯端末等を含んで構成される車両セキュリティシステムについて説明する。
【0054】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施態様である実施の形態1について説明する。
【0055】
(構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る車両セキュリティシステム10を示す概略図である。
【0056】
車両セキュリティシステム10は、車両のセキュリティを確保するために、主に、一定条件下で、カメラにより車両の周り或いは車内の画像を撮影して、ユーザ(運転者)の携帯端末に送信するためのシステムである。ここでは、自動車を車両の例として用いて説明する。
【0057】
この車両セキュリティシステム10は、同図に示すように、インターネット等のネットワーク11で接続されたサーバ装置20、基地局31、基地局32、自動車99に搭載された画像送信装置100、ユーザ51に所持された携帯端末50等を含んで構成される。なお、同図では、1台の自動車しか示していないが車両セキュリティシステム10は、複数の自動車各々に搭載された各画像送信装置を含んでいてもよく、また、基地局を多数含んでもよい。基地局31、基地局32等は特定の場所に設置されて、画像送信装置100、携帯端末50等といった移動局との間で無線通信を行う装置であり、移動局は、これらの基地局を介してネットワーク11に接続されたサーバ装置20等や他の移動局と通信可能となる。サーバ装置20は、移動局等から送信された画像等を蓄積し、また蓄積した画像等の移動局への転送を行う装置である。例えば画像送信装置100が、撮影した車両の周囲等の画像を携帯端末50宛のメールに添付する形式で送信する構成である場合においては、サーバ装置20はメールサーバとしての機能を有する。これにより、例えば基地局32と通信可能な位置に駐車した自動車99に搭載された画像送信装置100から送信された画像は、基地局32、基地局32等を介してユーザ51の携帯端末50に到達し得る。なお、画像の送信はメールに添付した形式でなくてもよい。
【0058】
携帯端末50は、運転者であるユーザ51に携帯されるスマートフォン、タブレット等といった端末装置であり、メモリ、プロセッサ、入力インタフェース、ディスプレイ、無線で基地局31等を介してネットワーク11に接続する通信インタフェース等を備える。このメモリはROM、RAM等であり、携帯端末50の各部を制御する制御処理を実現するための制御プログラムやその制御プログラムで利用するための設定値等が格納される。また、メモリは、制御プログラムのプロセッサによる実行に際して用いられる各値を一時的に格納するためにも用いられる。この携帯端末50では、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、画像送信装置100から送信された画像を受信してディスプレイに画像を表示する機能が実現される。これにより、自動車99を駐車した後に自動車99から離れたユーザ51は、携帯する携帯端末50により、自動車99の周囲の状況を確認することができる。なお、携帯端末50の通信インタフェースは、例えば、携帯電話網等に用いられる3G(3rd Generation)回線や4G(LTE:Long Term Evolution)等の無線通信で基地局等との通信を可能にする。
【0059】
以下、自動車99に搭載される画像送信装置100の構成について説明する。
【0060】
図2は、画像送信装置100の概略構成図である。画像送信装置100は、同図に示すように、画像撮影装置(カメラ)101、記憶装置102、発信器103、検出器105、コントローラ107及びコクピット110といった構成部材(ハードウェア構成)を備える。また、画像送信装置100は、例えば自動車99のバッテリーからの電力で動作し、例えば自動車99の制御系システム(自動車のエンジン停止等を検知して自動車の状態を出力可能にしたもの)とのインタフェース等を含んでもよい。
【0061】
画像撮影装置101は、自動車99の車内又は車外を撮影するためのCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary MOS)センサー等を用いたカメラであり、例えば可視光域(波長400〜700ナノメートル)の少なくとも一部に感度を有する。この画像撮影装置101は、
図2に示すように1台に限られず台数や配置を変更してもよく、例えば
図3に示す画像撮影装置101a〜101dのように、複数台が自動車99の前後左右に配置されてもよい。また、カメラの撮影可能な画角に応じて、例えば自動車99の前方を撮影するために前部に複数台配置されてもよい。なお、
図3中の矢印は、自動車99の進行方向(前方)を示している。
【0062】
記憶装置102は、画像撮影装置101で撮影された画像を一時的に記憶するためのメモリ、ハードディスク等の記憶媒体(記録媒体)である。
【0063】
発信器103は、記憶装置102に一時的に記憶された画像を、電波を用いて車外の基地局(例えば基地局31等)に対して無線送信する通信回路であり、画像を変調して基地局が有する無線アンテナに向けた発信波104として発信する。
【0064】
検出器105は、車外の基地局(例えば基地局31等)が有する無線アンテナから発される電波である検出波106を検出(受信)し、検出波106の受信電界強度を測定可能な通信回路である。
【0065】
コクピット110は、自動車99の運転席に着いた運転者(ユーザ)が視認可能なように情報を通知する表示パネルである。この表示パネルは、例えばディスプレイ等で構成され、例えば運転に必要な計器類(速度計等)を表示するための計器盤であってもよい。また、例えばディスプレイ等の表面に重ねられたタッチパネル、ディスプレイ近辺に配されたボタン類等により、ユーザの操作を受け付ける構成を含んでいてもよい。
【0066】
コントローラ107は、画像撮影装置101、記憶装置102、発信器103、検出器105及びコクピット110といった画像送信装置100の各部を制御する装置である。コントローラ107は、例えば、プロセッサ及びメモリ等を有し、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することで、各部に制御信号を伝える等といった各部の制御を行って、後述する各機能構成要素の機能を実現する。
【0067】
図4は、画像送信装置100の機能ブロック図である。
【0068】
上述の構成を備える画像送信装置100は、機能面では、つまり機能構成要素として、撮影部181、記憶部182、送信部183、検査部184、通知部185及び検出部186を有する。
【0069】
ここで、撮影部181は、画像撮影装置101及びコントローラ107により構成され、一定条件下で画像を逐次撮影して記憶部182に格納する機能を有する。
【0070】
記憶部182は、記憶装置102の一記憶領域で実現され、撮影部181により撮影された画像を格納する機能を有する。
【0071】
送信部183は、発信器103及びコントローラ107により構成され、記憶部182に格納された画像を読み出してその画像を一定条件下で外部装置に対して送信する機能を有する。ここで、外部装置は自動車99の外部に所在する装置であり、例えば基地局31等の基地局である。なお、基地局に送信された画像は、サーバ装置20や他の基地局を介して例えばユーザ51が携帯する携帯端末50に送信される。なお、送信部183は、送信に成功した画像を記憶部182から削除してもよい。また、例えば送信部183がどの画像を送信済み(削除可能)であるかを示す情報を記憶部182に格納し、この情報に基づいて撮影部181が新たな画像を格納する必要に応じて、削除可能な画像を削除するようにしてもよい。
【0072】
検査部184は、検出器105及びコントローラ107により構成され、検出波106の受信電界強度の測定により外部装置との通信可能性を検査する検査処理を実行し、検査結果を示す情報を通知部185及び送信部183に伝達する機能を有する。この外部装置は例えば基地局31等である。なお、検査部184において、検出器105が検出波106として受信する電波の周波数帯は、発信器103が画像を送信する周波数帯と対応して予め定められている。この検査部184による検査結果に応じて、送信部183において、画像を送信するための一定条件が満たされたか否かの判断がなされ、通信可能性が否定された場合には画像の送信が抑止される。
【0073】
通知部185は、コクピット110及びコントローラ107により構成され、検査部184から伝達された検査結果に応じた表示内容(通知情報)をコクピット110により表示する機能を有する。なお、通知部185による表示は、コクピット110の代わりに、ヘッドアップディスプレイ、カーナビゲーションシステムのディスプレイ等に行ってもよい。また、例えば自動車99に有線又は近距離無線(Bluetooth(登録商標)等)で接続したユーザの携帯端末のディスプレイに行ってもよい。通知部185は、表示の他にも、検査結果に応じた内容をスピーカ等により音声で報知してもよい。
【0074】
検出部186は、コントローラ107と例えば自動車99の制御系とのインタフェース等とで構成され、自動車99が駐車状態になったこと及び駐車状態から脱したこと(走行状態等になったこと)を検出し、検査部184に伝達する機能を有する。例えば、自動車99の制御系は、エンジン停止等を検知し自動車が駐車状態にあるか否か等の状態を管理しており、検出部186はその制御系からの信号により駐車状態になったか否か等を検出する。なお、検出部186は、駐車状態(つまり所定の停止状態)か否かを検出するために、エンジン停止等に基づく制御系からの信号を得る代わりに、加速度センサー、GPS(Global Positioning System)受信機等の出力を用いることとしてもよい。
【0075】
(動作)
以下、上述の構成を備える画像送信装置100の動作について、
図5に即して説明する。
【0076】
図5は、画像送信装置100の動作を示すフローチャートである。同図に示す動作は、検出部186が、自動車99が駐車状態になったと検出した場合、又は駐車状態から脱したと検出した場合における画像送信装置100の動作である。
【0077】
画像送信装置100の検出部186が、自動車99が駐車状態になったと検出した場合には(ステップS1)、検査部184は、駐車地において受信できる検出波106の受信電界強度の測定により外部装置との通信可能性を検査する(ステップS2)。自動車99のエンジンが停止する等の結果として駐車状態となった場合に、その駐車地から、駐車中のセキュリティの確保のために撮影した画像を画像送信装置100が外部装置に送信可能であるかを検査することになる。一般に、駐車地の周囲の建造物等の影響により外部装置からの電波が安定して受信できなければ、外部装置に対して安定した送信も行えないため、受信電界強度の測定による外部装置との通信可能性の検査は概ね送信可能性を表すこととなる。外部装置に送信可能であれば、画像は例えば駐車中に自動車99から離れたユーザ51(運転者)の携帯する携帯端末50で確認し得るようになり、セキュリティが確保される。このステップS2における検査により、例えば駐車地の近隣の基地局31からの検出波106について測定された受信電界強度が所定レベルより強い場合には、通信可能性は肯定され、所定レベルより弱い場合には、通信可能性が否定される。ここで所定レベルは、基地局との間で安定的に通信できる状態における基地局からの信号の受信電界強度となるように、予め例えば実験、理論的考察等に基づいて設定された値である。なお、受信電界強度の測定は、1回行う他に、複数回行ってもよく、その全てにおいて所定レベルより強い強度が測定されたときに安定的に通信できるものとして、通信可能性を肯定し、それ以外の場合に通信可能性を否定することとしてもよい。なお、検出部186が、自動車99が駐車状態でないと検出している間において、検査部184は検査を抑止する。
【0078】
続いて、通知部185は、検査部184による検査結果に応じた表示内容をコクピット110に表示する(ステップS3)。この場合のコクピット110は、検査結果が通信可能性を肯定するものであれば、例えば
図6に示す「受信感度OK」という受信感度表示111を表示する。自動車99のエンジンを停止したユーザ(運転者)は、コクピット110の「受信感度OK」等の表示を見て、近隣の基地局からの信号が受信できているので画像送信装置100による画像の送信も安定的に行えるであろうことを認識し得る。即ち、ユーザは、セキュリティが確保されることを確認できる。また、検査結果が通信可能性を否定するものであれば、例えば
図7に示す「受信不能」という受信感度表示111を表示する。このコクピット110の「受信不能」の表示を見るとユーザ(運転者)は、駐車場所を変更し、例えば受信感度表示111が「受信感度OK」等と表示される場所を探して駐車することになる。なお、ステップS3において、通知部185が、検査部184により測定した受信電界強度を、複数段階に区分した受信レベルとして表示することとしてもよく、この場合の表示例を
図8に示す。同図では、受信感度表示111を「受信レベル3」として示しており、これは例えば受信レベルを最低の0(受信電界強度がゼロに略等しい意味)から最高の3まで(受信電界強度が最高の意味)とした場合における最高である。
【0079】
次に、検査部184による検査結果が通信可能性を肯定するものであれば(ステップS4)、撮影部181は例えば予め設定された撮影条件(撮影間隔、画質、画像圧縮方法等)に基づいて自動車99の周囲或いは車内の画像の撮影を開始する(ステップS5)。なお、撮影部181により逐次撮影された画像(撮影により生成された画像)各々は、記憶部182に格納される。そして、送信部183は、撮影部181により撮影された画像を記憶部182から読み出して、外部装置への画像の送信を開始する(ステップS6)。画像の最終的な宛先は、予めユーザに設定されており、例えばユーザ51が携帯する携帯端末50である。これにより、駐車中に車両又は車内の物品等の盗難されることを防止するために迅速な対応が可能となり、また盗難の被害にあった場合でも、盗んだ者を特定する証拠等を保存できるようになる。
【0080】
また、ステップS4において、検査結果が通信可能性を否定するものであれば、画像送信装置100は、ユーザによる駐車予定時間の入力操作を受け付ける(ステップS7)。そして、その駐車予定時間において撮影した画像を記憶部182に格納できるように、撮影部181は、記憶部182の空き容量に基づいて撮影条件を設定(変更等)し(ステップS8)、その撮影条件に基づいて画像の撮影を開始する(ステップS9)。例えば、駐車予定時間が2時間であれば、撮影部181は、撮影した2時間分の画像が記憶部182に格納できるように撮影間隔、画質、画像データの圧縮率等といった撮影及び記録に係る撮影条件を設定する。撮影条件としては、カラー及び白黒の別、画素密度、ビット分解能等を含めてもよいし、また他の要素を含めてもよい。なお、ステップS7において入力操作を受け付けた駐車予定時間に応じて、撮影の停止までの時間を通知部185に表示させてもよい。
図9は、コクピット110に停止予想時間113が表示された例を示す。なお、外部装置との通信可能性が否定された場合には撮影された画像は送信されないが、例えば記憶部182に格納された未送信の画像は、自動車99に戻ったユーザの操作に応じて通知部185によりコクピット、ディスプレイ等に表示されるようにしてもよい。また、記憶部182に格納された未送信の画像は、送信可能な場所に自動車99が移動した後に外部装置に送信されることとしてもよい。
【0081】
また、ステップS1において、検出部186が、自動車99が駐車状態でなくなったと検出した場合には、撮影部181は画像の撮影を停止する(ステップS10)。そして、送信部183は、記憶部182に送信がなされていない画像が残っている場合には、外部装置への画像の送信を試みてもよい(ステップS11)。この送信は、例えば検出波106の受信電界強度の測定により外部装置との通信が可能になったことを検知したときに行うこととしてもよいし、ユーザ(運転者)の操作等を受けて送信を取り止めてもよい。
【0082】
なお、駐車状態になった場合に撮影部181は画像の撮影を開始している(ステップS5、S9)。駐車された後に自動車99からユーザ(運転者)が離れる可能性が高いため、駐車状態になった場合に画像の撮影を開始することは、効率的にセキュリティを確保するために有用となる。しかし、自動車99が駐車状態になる前(走行中等)にも撮影を行うようにしてもよく、例えば常時撮影を行うこととしてもよい。
【0083】
以下、上述した検査部184による検査結果が通信可能性を否定するものであった場合における他の処理方法について説明する。
【0084】
検査結果が通信可能性を否定するものであった場合に、
図5のステップS7及びS8の代わりに、画像送信装置100は、記憶部182の空き容量を検出して、その空き容量に関する情報を通知部185に表示させてもよい。空き容量に関する情報は、例えば、記憶媒体(記録媒体)に記録可能な、撮影した画像に係る時間量を示す情報である。通知部185が空き容量に関する情報である画像保存可能時間112をコクピット110に表示した例を
図10に示す。なお、画像保存可能時間112の値は、記憶部182の空き容量(例えば記憶部182内の未送信の画像以外の領域の容量等)と、撮影部181に現在設定されている撮影条件とから算出したものである。このような表示により、ユーザは、画像保存可能時間112で示される時間内に自動車99に戻れば、自動車99から離れている間に撮影部181により撮影された画像が全て途切れなく保存可能なことを認識できる。なお、外部装置と通信できない駐車地に駐車した場合にはユーザは自動車99を離れている間に画像を確認することはできないものの、撮影された画像が保存されていると、車内の物品の盗難等の被害にあったときも盗んだ者を特定できる可能性等が向上する。
【0085】
このように、画像送信装置100は、駐車時における自動車99のセキュリティを確保するため、検出波106の受信電界強度の測定に基づき外部装置との通信可能性を検査することにより、画像が外部装置に送信可能であるかどうかを判断する。そして、検査結果を表示することにより、ユーザに、一層セキュリティを確保するために駐車地を変更すべきか否かの判断材料を与える等の機能を発揮する。
【0086】
(変形例1)
以下、上述した画像送信装置100の一部を変更した画像送信装置100aについて説明する。
【0087】
図11は、画像送信装置100の変形例である画像送信装置100aの機能ブロック図である。
【0088】
画像送信装置100aは、画像送信装置100と同一な機能構成要素である撮影部181、記憶部182、送信部183、検査部184及び検出部186に加えて、画像送信装置100とは異なる通知部185a及び異常検出部187を有する。なお、画像送信装置100aの構成部材(ハードウェア構成)は、基本的に画像送信装置100と同じである。
【0089】
異常検出部187は、コントローラ107により構成され、撮影部181により撮影されて記憶部182に格納された画像について解析して、画像に不審者が含まれているか否かを判別する機能、即ち、異常事態の発生を検知する機能を有する。なお、異常検出部187は、画像処理用のプロセッサを含んで構成されるものであってもよい。
【0090】
通知部185aは、コクピット110及びコントローラ107により構成され、通知部185と同一の機能に加えて、異常検出部187が画像に不審者が含まれていること(異常事態の発生)を検知した場合に、異常事態の発生を示す情報を表示する機能を有する。この異常事態の発生を検知した場合に通知部185aは、例えば
図12に示すように、コクピット110に「不審者あり」等といった異常発生表示119を表示する。なお、この表示は、コクピット110の代わりにヘッドアップディスプレイ、カーナビゲーションシステムのディスプレイ等に行ってもよい。また、例えば近距離無線(Bluetooth(登録商標)等)で不審者ありの旨を示す情報をユーザの携帯端末に送信してもよい。これにより、ユーザが近距離無線の通信範囲内に居る場合において、ユーザはその不審者ありの旨を示す情報を確認することができる。
【0091】
上述の構成を備える画像送信装置100aは、検出部186が、自動車99が駐車状態になったと検出した場合、又は駐車状態から脱したと検出した場合に
図5に示す動作を行う。そして駐車状態になった場合には、画像の撮影を開始する(ステップS5、S9)。そして、画像送信装置100aは、画像の撮影中において、
図13に示す画像解析処理を行う。
【0092】
図13は、画像解析処理を示すフローチャートである。以下、同図に即して、画像解析処理に係る画像送信装置100aの動作について説明する。同図の画像解析処理は、撮影された画像毎に行われる。なお、撮影部181が、
図3に示す画像撮影装置101a〜101d等の複数台の画像撮影装置を含んで構成される場合には、画像撮影装置毎に同図の画像解析処理が行われる。
【0093】
画像送信装置100aの異常検出部187は、撮影部181により逐次撮影され記憶部182に格納された画像を1枚、撮影順に取得する(ステップS21)。異常検出部187はまず、自動車99が駐車状態になってから最初に撮影された画像について記憶部182から読み出す。駐車状態になって最初に撮影された画像について(ステップS22)、異常検出部187は、比較用画像として保存する(ステップS23)。異常検出部187は、2番目以後に撮影された画像については、記憶部182から読み出し(ステップS21)、最初に撮影された画像ではないので(ステップS22)、その画像を、保存している比較用画像と比較する。即ち、その画像が比較用画像と一致するか否かを判断する(ステップS24)。一致する場合には、撮影部181に撮影された画像は、駐車状態になった時と同じなので不審者等を含んでおらず、一致しない場合には、不審者等を含んでいると推定できる。不審者の存在を検査するための画像比較なのでステップS24における一致の判断では、厳密な完全一致を必要とするものではない。なお、比較において、両画像の差分となる画像を生成し、これを解析して人の存在を判別(人の特徴を用いたパターンマッチング等)することで、異常事態の発生の有無を判断することとしてもよい。また、人が一定時間(例えば1分以上)以上存在することをもって異常事態の発生であると判断して、ステップS26における異常事態の発生を示す情報の表示を行うこととしてもよい。
【0094】
取得した画像が比較用画像と一致する場合には(ステップS24)、異常検出部187は、その取得した画像を送信部183が送信するのを抑止する(ステップS25)。この送信の抑止は、例えば、異常検出部187が記憶部182内のその画像を削除する等によって実現される。この送信の抑止により、電力消費を抑制でき、また、ネットワーク負荷の低減が可能になる。なお、異常事態が発生していない期間において(逐次取得した各画像が比較用画像と一致する場合等)は、送信の抑止の代わりに、送信頻度の低減化を行うようにしてもよい。
【0095】
また、ステップS24において、取得した画像が比較用画像と一致しない場合には、異常検出部187は、通知部185aに異常事態の発生を伝達し、通知部185aは異常事態の発生を示す情報を表示する(ステップS26)。
【0096】
ここで、撮影部181が、
図14に示すように自動車99の前後左右に車外を撮影可能に配置された画像撮影装置101a〜101dを含んで構成される場合において、自動車99が駐車した後に人115が自動車99に近付いて来たときの動作例について説明する。
【0097】
まず、自動車が駐車状態になった場合に、画像撮影装置101bにより撮影された画像が、異常検出部187により比較用画像として保存される(ステップS21〜S23)。この比較用画像は、例えば
図15に示す画像117aとなる。画像117aには、画像撮影装置101b(カメラ)の画角内に存在した電灯118が写っている。この比較用画像と比較した場合に一致しない画像は、自動車99が駐車状態になった時には存在しなかったものを含んでいる。その後に人115が自動車99の進行方向に向かった左側に接近すると、画像撮影装置101bにより撮影された画像は、例えば
図16に示す画像117bとなる。画像117bには、電灯118の他に人115が写っている。従って、異常検出部187は、その画像を取得して、比較用画像と一致しないことから異常事態の発生を通知部に伝達し、通知部185aは異常事態の発生を示す情報を表示(
図12参照)することになる(ステップS21、S22、S24、S26)。駐車中の画像が送信できていない場合であっても、この表示(
図12参照)により、ユーザは、自動車99に戻ったときに不審者が自動車99に近付いたことを即座に認識することができ、自動車99の内外に異常がないかの確認等の迅速な対応が可能となる。
【0098】
なお、ステップS26において通知部185aが異常事態の発生を示す情報を表示することに加えて、画像送信装置100が外部装置と通信可能である場合には、撮影した画像に加えて異常事態の発生を示す情報を外部装置に送信することとしてもよい。これにより、駐車中の自動車99から離れているユーザ51は、携帯する携帯端末50により外部装置を介して異常事態の発生を示す情報を受信して確認できる。従って、ユーザ51は、自動車99に戻る等の迅速な対応が可能となる。画像送信装置100は、不審者が写った画像とともに不審者を撮影した時刻、不審者を撮影した画像撮影装置の識別情報等を記憶装置102内に記録し、ユーザからの入力操作に応じて即座に取り出せるようにしてもよい。なお、ステップS26において、通知部185aは、検査部184の検査結果として外部装置との通信可能性が否定される場合にのみ、異常事態の発生の通知を行うこととしてもよい。
【0099】
(変形例2)
以下、上述した画像送信装置100aに人等の接近を検知する検知部を追加してなる画像送信装置100bについて説明する。
【0100】
図17は、画像送信装置100bの機能ブロック図である。
【0101】
画像送信装置100bは、画像送信装置100aと同一な機能構成要素である撮影部181、記憶部182、送信部183、検査部184、通知部185a、検出部186及び異常検出部187に加えて、検知部188を有する。なお、画像送信装置100aの構成部材(ハードウェア構成)は、
図18に示すように画像送信装置100及び画像送信装置100aと同じものと、熱画像センサー120及び室内灯121とである。
【0102】
熱画像センサー120は、例えば波長8〜12マイクロメートルの遠赤外域に感度を有する赤外線画像(熱画像)撮影用のセンサー(赤外線カメラ)であり、コントローラ107及び記憶装置102に接続されている。このセンサーは、発熱体を検知するため、夜間や地下等で周囲が暗闇であった場合でも人の検知が可能となる。
【0103】
室内灯121は、コントローラ107に接続され、自動車99の車内上部に配置されている照明装置である。
【0104】
画像送信装置100bの機能構成要素である検知部188は、熱画像センサー120、室内灯121及びコントローラ107により構成される。検知部188は、熱画像センサー120が逐次撮影した画像を記憶部182に格納し、画像を解析して人(発熱体)が所定時間(例えば1分)以上、自動車99に近付いていることを検知すると室内灯121を点灯し撮影部181に撮影を指示する機能を有する。なお、この画像送信装置100bでは、上述した画像送信装置100及び画像送信装置100aと異なり、撮影部181は、検知部188から撮影の指示を受けるまでは、画像撮影装置101を用いた撮影を行わない。
【0105】
なお、上述した熱画像センサー120及び室内灯121は単数でなくてもよい。
図19は、自動車への熱画像センサー、画像撮影装置及び室内灯の配置例を示す図である。同図に示すように、熱画像センサー120a〜120dのそれぞれは、画像撮影装置101a〜101dのそれぞれとペアを成して、自動車99に配置されている。即ち、自動車99の前部には画像撮影装置101a及び熱画像センサー120aが配置されている。同様に、自動車99の左側には画像撮影装置101b及び熱画像センサー120bが配置され、右側には画像撮影装置101c及び熱画像センサー120cが配置され、後部には画像撮影装置101d及び熱画像センサー120dが配置されている。また、自動車99の車内には4つの室内灯121a〜121dが配置されている。即ち、車内前部には室内灯121aが配置され、車内左側には室内灯121bが配置され、車内右側には室内灯121cが配置され、車内後部には室内灯121dが配置されている。
【0106】
以下、上述の構成を備える画像送信装置100bの動作について説明する。
【0107】
検出部186が、自動車99が駐車状態になったと検出した場合、又は駐車状態から脱したと検出した場合に
図5に示す動作を行う。但し、ステップS5及びステップS9においては撮影部181による画像の撮影の開始ではなく、検知部188(熱画像センサー120a〜120d)による熱画像の撮影の開始を行う。そして、検知部188は、熱画像センサー120a〜120dのいずれかが逐次撮影した熱画像に所定時間(例えば1分)以上の間、継続的に発熱体が含まれていることを検知した場合には、これに対応する、室内灯121a〜121dうちのいずれかを点灯させる。そして、対応する、画像撮影装置101a〜101dのいずれかに撮影を指示して撮影を開始させる。
図19に示す例では、人115が自動車99の左側に近付いているので、熱画像センサー120bにより撮影された熱画像中に含まれることになり、対応して室内灯121bが点灯され、画像撮影装置101bによる撮影が開始されることになる。これにより、暗闇で人115が自動車99に近付いた場合でも、熱画像センサー120bが人115(発熱体)を捉え、室内灯121bで人115を照らして画像撮影装置101bで適切に人115を含んだ画像を撮影することができるようになる。画像撮影装置101bがCCDやCMOSセンサー等を用いたカメラであれば、400〜700ナノメートル付近の波長域に感度を有するため、暗闇では撮影できないが、室内灯121bに照らされた人115であれば、適切に撮影できるからである。なお、検知部188による発熱体が含まれていることの検知は、
図13のステップS21〜S24で示したように駐車状態になったときの熱画像を比較用画像として保存してそれ以後に撮影された熱画像と比較することにより行うことができる。なお、更に、比較用画像とそれ以後に撮影された熱画像との差分からパターンマッチング等により人を検知することとしてもよい。
【0108】
このような画像送信装置100bによれば、夜間や地下等に駐車した場合(周囲が暗闇である場合)であっても不審者を適切に撮影することができ、駐車した自動車99のセキュリティを確保することができる。またこの場合、不審者を検出したときにのみ室内灯を点灯させるため、室内灯を常時点灯させるよりも電力消費(自動車99のバッテリーの電力消費等)を抑制することができる。また、室内灯の点灯により不審者を威嚇することで、不審者による車上荒らし(車内物品の盗難)等の行為を未然に防止できる可能性も向上する。
【0109】
なお、画像送信装置100bにおいて、撮影部181により撮影された画像を外部装置に送信する際に、熱画像センサー120等により撮影された熱画像も送信することとしてもよい。これにより、ユーザは何が撮影されたのかを理解し易くなる。また、検知部188が、逐次撮影された熱画像に所定時間以上の間、継続的に人が含まれていることを検知した場合に、
図13に示すステップS26における異常事態の発生を示す情報の通知がなされることとしてもよい。また、熱画像センサーにより発熱体が検知された後に画像撮影装置で撮影した画像に基づいて不審者が含まれているか否かを判断してもよい。また、画像撮影装置は、検知部188により撮影の指示を受ける前から撮影を行うこととしてもよい。
【0110】
また、逐次撮影された熱画像に所定時間以上継続して発熱体が含まれていることを検知するのではなく、検知部188は、単に熱画像に発熱体が含まれていることを検知した場合に、室内灯を点灯して画像撮影装置による撮影を開始させるようにしてもよい。
【0111】
また、
図19に示したように熱画像センサーと画像撮影装置とをペアとして同数配置する他に、例えば熱画像センサーを多く配置して、画像撮影装置の個数を少なくしても構わない。例えば、
図20に示すように、熱画像センサー120a〜120dを自動車99の前後左右にそれぞれ配置して、同図中の矢印で示すように回動自在な1台の画像撮影装置123を自動車99の中央上部に配置してもよい。そして、熱画像センサー120a〜120dにより自動車99に近付いた人の位置を検出し、その方向が撮影できるように画像撮影装置123を回転等させて、画像を撮影してもよい。これにより、画像撮影装置の台数を低減できるため、画像送信装置を安価に構成できる。
【0112】
(実施の形態2)
以下、本発明の一実施態様である実施の形態2について説明する。実施の形態2に係る車両セキュリティシステムは、実施の形態1に係る車両セキュリティシステム10と装置類の構成は同様である(
図1参照)。このため、装置類等について実施の形態1と同じものについては同じ符号を用いて参照する。しかし、実施の形態2では、自動車99は画像送信装置100の代わりに、画像送信装置200を搭載している。画像送信装置200は、画像送信装置100と異なり、自動車99が駐車状態になる前から駐車地における外部装置との通信可能性についての検査を行う機能を有する。
【0113】
(構成)
以下、画像送信装置200の構成について説明する。
【0114】
図21は、画像送信装置200の概略構成図である。画像送信装置200は、画像送信装置100と同様の構成部材(画像撮影装置101、記憶装置102、発信器103、検出器105、コントローラ107及びコクピット110)に加えてカーナビゲーションシステム201を構成部材(ハードウェア構成)として備える。また、画像送信装置200は、例えば自動車99のバッテリーからの電力で動作し、例えば自動車99の制御系システム(自動車のエンジン停止等を検知して自動車の状態を出力可能にしたもの)とのインタフェース等を含んでもよい。なお、画像撮影装置101は、
図21に示すように1台に限られず台数や配置を変更してもよく、例えば
図3に示す画像撮影装置101a〜101dのように、複数台が自動車99の前後左右に配置されてもよい。
【0115】
カーナビゲーションシステム201は、プロセッサ、メモリ、GPS受信機、ディスプレイ及びその表面に付されたタッチパネル等を含み、自動車99の走行における目的地のユーザ(運転者)による入力を受け付け、地図上に目的地までの走行経路等を表示する。このカーナビゲーションシステム201は、コントローラ107の制御を受け、入力された目的地をコントローラ107に伝達する。
【0116】
図22は、画像送信装置200の機能ブロック図である。
【0117】
上述の構成を備える画像送信装置200は、機能面では、つまり機能構成要素として、撮影部181、記憶部182、送信部183、通知部185、検出部186、検査部284、受付部291、取得部292、測位部293及び伝送部294を有する。なお、撮影部181、記憶部182、送信部183、通知部185及び検出部186の機能は画像送信装置100におけるものと同じである。
【0118】
受付部291は、カーナビゲーションシステム201のユーザインタフェース(タッチパネル)等及びコントローラ107により構成され、自動車99の目的地、即ち到着予定地としての駐車地の位置のユーザ(運転者)による入力を受け付ける機能を有する。ユーザは例えばカーナビゲーションシステム201によりディスプレイ(タッチパネル)に表示された地図上にタッチすること等で目的地の入力を行うことができる。この入力例を
図23に示す。同図は、カーナビゲーションシステム201のディスプレイに表示された画面202aに表された地図上のユーザがタッチした部分が目的地203として受け付けられ、破線の矩形として表示された状態を示している。なお、目的地の入力は、他の方法で行うこととしてもよく、例えば地図上に表示したカーソルをボタン操作等により動かして行ってもよい。また、目的地の指定を、カーナビゲーションシステム201に依らずに、キーボード等による入力(例えば経度、緯度の入力)等で行うこととしてもよい。
【0119】
取得部292は、検出器105(通信回路)及びコントローラ107により構成され、基地局を介してネットワーク11上の特定のサーバ装置から通信可能位置情報を取得する機能を有する。なお、検出器105は、受信信号の電界強度を測定するのみならず、受信信号を復調して情報として取得する。この通信可能位置情報は、複数の位置各々についてその位置における外部装置との通信可能性を示した情報であり、どの駐車地に駐車すれば撮影部181が撮影した画像を外部装置に安定して送信できるかを示している。通信可能位置情報は、例えば、各位置での受信電界強度(受信レベル)を示すものであってもよい。ここでは、特定のサーバ装置がサーバ装置20であることとして説明する(
図1参照)。
【0120】
検査部284は、検出器105及びコントローラ107により構成され、画像送信装置100における検査部184と同様に、検出波106の受信電界強度の測定により外部装置との通信可能性を検査する検査処理を実行するものである。この検査部284は、その検査結果を示す情報を通知部185、送信部183及び伝送部294に伝達する機能を有する。更に、検査部284は、受付部291が目的地の入力を受け付けて目的地にまだ到着していない間は、受信電界強度の測定によらず取得部292により取得された通信可能位置情報に基づき、目的地における外部装置との通信可能性を検査する機能を有する。
【0121】
測位部293は、カーナビゲーションシステム201のGPS受信機等及びコントローラ107により構成され、自動車99の現在位置を測定して伝送部294に伝達する機能を有する。
【0122】
伝送部294は、発信器103(通信回路)及びコントローラ107により構成され、検査部284からの受信電界強度の測定による外部装置との通信可能性の検査(調査)結果と測位部293からの自動車99の位置とをサーバ装置20に送信する機能を有する。
【0123】
なお、通知部185は、コクピット110、カーナビゲーションシステム201のディスプレイ及びコントローラ107により構成され、検査部184から伝達された検査結果に応じた表示内容をコクピット110及びディスプレイに表示する機能を有する。
【0124】
(動作)
上述の構成を備える画像送信装置200は、検出部186が、自動車99が駐車状態になったと検出した場合、又は駐車状態から脱したと検出した場合には、画像送信装置100と同様に
図5に示す動作を行う。
【0125】
なお、
図5のステップS2における検査部284による受信電界強度の測定に基づく検査結果は、測位部293により測定された位置とともに、伝送部294によりサーバ装置20に送信されるようにしてもよい。なお、この送信は、サーバ装置20と通信可能になったときに行われ、送信される検査結果は、外部装置との通信可能性を示す情報であれば、検出波の受信電界強度(受信レベル)等であってもよい。また、自動車99の走行中において検査部284が受信電界強度の測定に基づき外部装置との通信可能性を調査することとしてもよい。そして、通知部185がその調査結果、即ち受信レベル、外部装置と通信可能な位置(駐車候補地)等をコクピット110等に表示してもよい。これによりユーザ(運転者)は駐車する前に、検査結果が良好であった場所を選ぶことが可能となる。また、伝送部294が、走行中にその調査結果と、測位部293が測定した位置とを、サーバ装置20に、通信可能なときにおいて送信することとしてもよい。これにより、サーバ装置20は、各位置における外部装置との通信可能性を示す情報を、画像送信装置200を搭載した自動車99等の各車両から収集し、上述した通信可能位置情報を蓄積することができる。そして、サーバ装置20は、画像送信装置200等の要求に応じて通信可能位置情報を送信する。なお、サーバ装置20が保持し送信可能な通信可能位置情報は、車両から情報を収集する以外の方法で生成されたものであってもよい。
【0126】
更に、画像送信装置200は、受付部291が、ユーザによる目的地の入力を受け付けた場合に、
図24に示す目的地入力対応処理を行う。
【0127】
図24は、画像送信装置200における目的地入力対応処理を示すフローチャートである。以下、同図に即して目的地入力対応処理を説明する。
【0128】
取得部292は、サーバ装置20から、受付部291により受け付けられた入力に係る目的地が含まれる地域についての通信可能位置情報を取得する(ステップS31)。この通信可能位置情報の取得は、画像送信装置200が基地局等を介してサーバ装置20と通信することによりなされ、通信ができない場合においては、自動車99の走行(移動)により通信ができる状態になってから通信可能位置情報を取得する。なお、受付部291により目的地の入力が受け付けられる前において、サーバ装置20と通信ができるときに取得部292は、広域についての通信可能位置情報を取得しておいてもよい。
【0129】
続いて、検査部284は、受付部291により受け付けられた入力に係る目的地での外部装置との通信可能性について、取得部292により取得された通信可能位置情報に基づき検査する(ステップS32)。そして検査部284からの検査結果の伝達を受けて通知部185は、目的地(自動車99の到着予定の駐車地)での外部装置との通信可能性に関する情報をコクピット110或いはカーナビゲーションシステム201のディスプレイに表示する(ステップS33)。コクピット110への表示例を
図8に示す。また、
図25は、カーナビゲーションシステム201のディスプレイへの表示例を示す。
図25に例示する画面202bは、地図に、外部装置との通信可能性が高い場所ほど濃度の濃いパターンを重畳して、外部装置からの信号の電界強度(受信レベル)を表示したものである。この画面202bは、目的地203における受信レベルが0から3までに区分したうちの3に該当することを表している。なお、地図上の各位置での受信レベル等は、通信可能位置情報に基づいて例えば補間等の計算により算定可能である。なお、目的地に一定の距離以下に近付いた場合に、通知部185は、音声で受信レベル等を通知してもよい。例えば「現在の受信レベル3」等という音声を車内のスピーカから発してもよいし、ビープ音の音程を変えることで、受信レベルを伝えてもよい。これにより、ユーザは運転中にコクピット110に視線を移動させなくても受信レベルを認識でき、ユーザにとっての利便性が向上する。なお、受信感度表示111(
図8参照)は、常時表示してもよいし、目的地に一定の距離以下に近付いた場合(目的地から所定距離範囲内の位置にいる場合)のみに表示してもよい。また、受信感度表示111を常時表示して、目的地に一定の距離以下に近付いた場合に大きく表示する等の強調表示を行ってもよい。
【0130】
このような画像送信装置200によれば、目的地(駐車地)に到着する前からユーザ(運転者)は、いずれ到着する目的地において駐車する自動車99のセキュリティが十分確保されるか否かを確認することができる。即ち、目的地で駐車後に自動車99から離れたユーザが画像撮影装置101により撮影された画像を外部装置経由で携帯端末により受信して確認できるかどうかを、事前に確認することができる。
【0131】
従って、セキュリティが十分確保されないことが確認された場合に、ユーザは目的地に到着する前に、目的地を例えば近隣の別の駐車場等に変更することが可能となる。この目的地の変更の操作例を
図26及び
図27を用いて説明する。
【0132】
まず、ユーザは目的地として「ABCスーパー」というスーパーマーケットの最寄りの駐車場を指定している。これに対して、
図26は、目的地の受信レベルが最高ではなかった場合にカーナビゲーションシステム201のディスプレイに表示される画面202cを示す。このような場合に、ユーザは地図上の他の場所をタッチ等することにより目的地を変更できる。例えば、ユーザは「ABCスーパー」に近い別の駐車場を目的地とするように、目的地の変更の操作を行う。この目的地の変更を行った状態を
図27に示す。同図は、ユーザが別の受信レベル3の駐車場をタッチして目的地204として指定した状態における画面202dを示している。なお、この目的地204が指定されると、カーナビゲーションシステム201は、自動車99をその目的地まで誘導するように走行中に経路表示等を行う。
【0133】
なお、画像送信装置200は、ユーザが入力した目的地が外部装置との通信可能性の十分に高くない場所であった場合において、その目的地から一定距離内で通信可能性が十分に高い場所である駐車場を検索して、ディスプレイに目的地の候補として表示してもよい。このような目的地の候補(代替先となる目的地)の検索は、近隣の地図情報及び通信可能位置情報に基づいて行われる。なお、地図情報に、例えば「ABCスーパー」等の施設とその提携駐車場等の情報が含まれている場合において、この検索に際して、目的地と同じ施設の提携駐車場の中から最も近い駐車場を検索してディスプレイに目的地の候補(駐車候補地)として表示してもよい。
【0134】
(実施の形態3)
以下、本発明の一実施態様である実施の形態3について説明する。実施の形態3では、実施の形態1で示した画像送信装置100を変形し、画像撮影装置101a〜101dにより撮影された画像を活用する例について説明する。
【0135】
ここでは、実施の形態1で示した画像撮影装置101a〜101d(
図3参照)を含む画像送信装置100を変形した装置(変形画像送信装置)について説明する。なお、この変形画像送信装置は、ここで特に説明する以外の点では上述した画像送信装置100と同一である。即ち、変形画像送信装置は、画像撮影装置101a〜101d、記憶装置102、発信器103、検出器105、コントローラ107及びコクピット110といった構成部材(ハードウェア構成)を備える。
【0136】
この変形画像送信装置は、自動車99に搭載され、自動車99の前後左右に画像撮影装置101a〜101dを配置している。そして、自動車99が走行している間に、変形画像送信装置が、自動車99の外部に向けられたカメラ(画像撮影装置101a〜101d)により撮影された画像を、発信器103を用いて送信する。変形画像送信装置から送信された画像は、基地局を介してネットワーク11に接続されたウエブサーバ等(例えばサーバ装置20)に届けられ、インターネット上に公開される。これにより、自動車99が走行中に逐次撮影された画像(動画)を、公衆又は特定の人に閲覧させることができるようになる。
【0137】
例えば、ユーザ(運転者)が自動車を運転して知人宅に向かう際、知人宅の近くに来て道に迷う場合があり、また、急な工事等で迂回の必要な場合がある。その場合、上述のインターネット上に公開された画像を、インターネット経由で知人がスマートフォンやパソコン等で確認することで、知人は直ちに運転者の位置と状況とを把握することができ、運転者に適切に道路を案内することができる。
【0138】
画像撮影装置101a〜101dにより撮影され、インターネット上に公開された画像の例を
図28に示す。同図に示す画面301は、ウエブページの画面であり、4分割した領域それぞれに動画301a〜301dのそれぞれを表示する。動画301aは、画像撮影装置101aにより逐次撮影された画像からなり、同様に、動画301b、301c、301dは、画像撮影装置101b、101c、101dで逐次撮影された画像からなる。
【0139】
これらの動画301a〜301dにより、走行中の自動車99の周囲の建物情報(自動車99の左前方の銀行(BANK)、左側のスーパーマーケット、右前方のコンビニエンスストア、右側の本屋(BOOKS)等を把握して、知人は運転者の位置を認識できる。また、その知人は、自動車99の前方が工事中であることを即座に認識でき、迂回路を運転者に迅速に伝えることができる。また、運転者と知人の会話である音声も、画像送信装置100を構成する通信回路による通信内容として伝送可能である。これにより、知人は、自動車99に乗車している場合と同様な情報を認識して、運転者と適切な会話(意思疎通)を行えるようになる。なお、画像撮影装置の台数や配置はどのようであってもよい。
【0140】
また、画像撮影装置101a〜101dに撮影されインターネットに公開された画像を、サーバ等(例えばサーバ装置20)が保存することとしてもよい。これにより、自動車99が万一事故に遭遇した場合であっても、どのような状況で事故が発生したかや、事故を起こした自動車のプレートナンバー等を後から確認することができるようになる。
【0141】
(実施の形態4)
以下、本発明の一実施態様である実施の形態4について説明する。実施の形態4では、実施の形態1の変形例2として示した、画像撮影装置及び熱画像センサーを備える画像送信装置100bを変形し、自動車99の前面に画像撮影装置101a及び熱画像センサー120aを配置した例について説明する。
【0142】
ここでは、実施の形態1の変形例2で示した画像送信装置100b(
図19参照)を変形した装置(第2変形画像送信装置)について説明する。なお、この第2変形画像送信装置は、ここで特に説明する以外の点では上述した画像送信装置100bと同一である。即ち、第2変形画像送信装置は、画像撮影装置101a、記憶装置102、発信器103、検出器105、コントローラ107、コクピット110、熱画像センサー120a及び室内灯121といった構成部材を備える(
図18、
図19参照)。なお、室内灯121はなくてもよい。この第2変形画像送信装置は、自動車99に搭載され、自動車99の前部に画像撮影装置101a及び熱画像センサー120aを配置している。
図29は、自動車99への熱画像センサー120a及び画像撮影装置101aの配置例を示す図である。
【0143】
第2変形画像送信装置は、自動車99の走行中において、自動車99の外部に向けられた画像撮影装置101a及び熱画像センサー120aにより画像を逐次撮影し、画像に基づいて、自動車99の前方の路面状況を温度情報を付加してユーザ(運転者)に通知する。
【0144】
画像撮影装置101aがCCDセンサーやCMOSセンサー等を用いたカメラであり、波長400〜700ナノメートルの少なくとも一部に感度を有するものであれば、これにより撮影された自動車99の前方の画像は、例えば
図30に示す画像401となる。走行中の自動車99の前方の路面の画像401には、水溜り411及び氷412が含まれている。但し、この画像から半透明な水溜り411及び氷412を判別するのは容易ではない。しかし、熱画像センサー120aは、温度分布を画像として捉える。熱画像センサー120aにより撮影された自動車99の前方の画像は、例えば
図31に示す画像402となる。路面の画像402には、周囲よりも低温の部分411a及び更に一層低温な部分412aが含まれている。水溜り部分の温度は周囲の乾いた路面の部分より低くなり、凍結した部分の温度はさらに低いため、画像402からは、水溜りに相当する部分411a及び氷に相当する部分412aが区別される。そして第2変形画像送信装置では、これらの両画像に基づいて、例えば
図32に示す画像403を生成して、この生成した画像をコクピット110等に表示する。この画像403は、画像402による温度に基づく解析結果を反映して、水溜り411を指す「スリップ注意」という警告表示415、及び、氷412を指す「凍結注意」という警告表示416を含んでいる。これにより、ユーザ(運転者)は、肉眼では判別しにくい路面状況(視認困難な半透明な水溜りや氷を含む路面状況)を、画像403の表示を見ることで適切に把握することができるようになる。
【0145】
第2変形画像送信装置は、更に、GPS受信機等で自動車99の位置を測定し、画像撮影装置101a及び熱画像センサー120aが撮影した画像及びこれらに基づき生成された画像(例えば画像401〜403等)と共にネットワーク上のサーバに送信してもよい。このサーバは、例えばサーバ装置20である。そしてサーバ装置20が、各車両から収集した各位置に対応する画像に基づいてウエブページ等を形成してインターネット上に公開してもよいし、その画像に基づく情報を配信してもよい。これにより、他の人が遠隔地から自動車99の位置や各車両の位置の路面状況を把握することが可能になる。これにより、定点カメラでは撮影しにくい実際の路面状況が撮影され公衆の利用に供されるので、遠隔地から各地の路面状況を確認でき、例えばスキー場のゲレンデまでの道の凍結状況や天候等を事前に確認できるようになる。また、撮影された画像を、収集して解析することで、危険な場所を把握することができ、危険に対して早期に対策を講じることができるようになる。なお、第2変形画像送信装置に、自動車99のブレーキが操作されたことを検知する検知部を設けて、この検知部によりブレーキの操作が検知された場合に、画像撮影装置101a及び熱画像センサー120aが撮影を実行することとしてもよい。これにより、車両の走行にあたり注意が必要な状況で効率的に撮影を行うことができ、注意喚起のための有用情報をインターネット上に公開し得るようになる。
【0146】
なお、第2変形画像送信装置は、例えば自動車99に搭載したカーナビゲーションシステムの情報から、自動車99の現在位置と目的地とその目的地までの走行経路をインターネット等に公開することとしてもよい。これにより、自動車99の走行経路の近傍に居て自動車99の目的地近傍に向かおうとする歩行者が、インターネット経由で自動車99に便乗を依頼することも可能になる。このように、第2変形画像送信装置の情報発信により、人や貨物の移動にかかる燃料の節約も可能となり、利便性の向上とともに、省エネルギー化も達成し得る。
【0147】
(他の実施の形態等)
以上、画像送信装置に係る各実施の形態について説明したが、上述した各実施の形態は一例にすぎず、各種の変更が可能であることは言うまでもない。
【0148】
例えば、自動車99の前方を撮影するよう画像撮影装置101aを配置する例について上述したが(
図3、
図29参照)、暗闇においてヘッドライトで前方を照らして明るい画像を撮影するために、次のようにしてもよい。
図33は、自動車99に画像撮影装置501aと、ヘッドライト502a、502bとを配置した例を示す図である。
図33に示す自動車99では、前面に画像撮影装置501aとヘッドライト502a、502bを配置している。この構成において、ヘッドライト502aと502bの光源としてレーザー光源を用い、このレーザー光源が、近赤外域のレーザー光を波長変換で可視域に変換する波長変換レーザーとする。例えば、近赤外域のレーザー光に波長1064ナノメートルの半導体レーザーを用い、この半導体レーザーをニオブ酸リチウム結晶等の波長変換素子を通すことで波長532ナノメートルの緑色の光に変換するSHG(Second Harmonic Generator)レーザーとする。更に、画像撮影装置501aは、波長1064ナノメートル域にも感度を有するとする。一般に、SHGレーザー等の波長変換レーザーでは、長波長のレーザー光は100%短波長には変換されずに、通常、50%程度は波長変換された短波長のレーザー光とともに出射される。従って、ヘッドライト502a、502bにおいて、1064ナノメートルのレーザー光と532ナノメートルのレーザー光の両方のレーザー光が生成される。こうすることで、ヘッドライト502aと502bから発せられた波長1064ナノメートルの近赤外光と波長532ナノメートルの光により、自動車99の前方を照らして撮影することができるようになる。例えば
図33に示す人503が自動車99の前方にいる場合、画像撮影装置501aが1064ナノメートルに感度を有するため、ヘッドライトとして必要以上の明るさを照射することなく、明るい画像を画像撮影装置501aで撮影することが可能になる。ここで、ヘッドライトとして前方を直接視認可能に照明する光は、波長532ナノメートルのレーザー光を蛍光体に照射して、広いスペクトルの光として使用してもよい。このとき、青い光として、波長1064ナノメートルの光のTHG(Third Harmonic Generator)レーザーである波長355ナノメートルの光を、蛍光体に入射して得てもかまわない。こうすることで、もともとは単一のレーザー光源でありながら、可視域全てにスペクトルを有する、白色のヘッドライトを形成することができる。なお、ここでは一例として波長1064ナノメートルのレーザー光を波長532ナノメートルや波長355ナノメートルの光に波長変換する構成を説明したが、画像撮影装置501aが感度を有する波長であればこれに限定するものではない。
【0149】
また、画像送信装置の検査部184は、自動車99が駐車状態になったときに検出波106の受信電界強度を測定することにより外部装置との通信可能性を検査することとした。検査部184は、この受信電界強度の測定の代わりに、撮影部181が撮影した画像の送信を送信部183に試みさせて、その画像が外部装置に受信されたことを外部装置と通信して確認することにより、外部装置との通信可能性を検査してもよい。例えば、送信部183が画像をサーバ装置20に送信し、サーバ装置20は画像の受信に成功したら画像送信装置100に対して受信成功の旨を送信し、画像送信装置100はその受信成功の旨の受信により外部装置との通信可能性が肯定されると判断してもよい。また、送信部183が、基地局等を介してユーザの携帯端末50への画像の送信を試み、携帯端末50は画像の受信に成功したら画像送信装置100に対して受信成功の旨を送信することとしてもよい。この場合も、画像送信装置100はその受信成功の旨の受信により外部装置との通信可能性が肯定されると判断し得るようになる。
【0150】
また、画像送信装置の検査部184が、駐車状態でない間(走行中等)に、検出波の受信電界強度を測定することで外部装置との通信可能性を調査してもよい。この調査結果と自動車99の位置とを対応付けて記憶し、駐車状態になった場合に外部装置との通信可能性を検査した結果が否定的な結果であれば、調査結果に基づいて駐車地から所定距離範囲内の位置で外部装置と通信可能な位置を通知部185が通知してもよい。また、通知部185が、走行中等において外部装置との通信可能性の調査結果を例えば
図8のように表示してもよい。また、画像撮影装置及び熱画像センサーにより撮影された画像の外部装置への送信については、検査部184による検査の結果が外部装置との通信可能性を否定するものであれば、送信部183は、画像の送信を待機することとしてもよい。そして、その後に、検査部184による駐車状態での検査又は走行中での調査の結果が外部装置との通信可能性を肯定するものとなった時に画像の送信を実行することとしてもよい。
【0151】
また、画像送信装置の検査部284が、検出波106の受信電界強度の測定によっては外部装置との通信可能性を検査せずに、駐車前に取得した通信可能位置情報に基づいて外部装置との通信可能性を検査することとしてもよい。
【0152】
また、各実施の形態では画像送信装置が自動車99に搭載された例を挙げて説明したが、画像送信装置は、自動車以外の車両(例えばバイク、自転車等)に搭載されるものであってもよい。なお、自転車が駐車状態か否かの検出については、例えば自転車のスタンド等の姿勢に基づき行ってもよいし、ユーザ(運転者)がサドルから降りたことを検知することにより行ってもよい。
【0153】
また、各実施の形態で示した外部装置は、移動体である車両の外部に所在する通信装置であればよく、固定された基地局や、その基地局と各種のネットワーク(電話網を含む)で接続された通信装置等である。なお、車両に搭載された画像送信装置との間で、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線だけで相互通信できる携帯可能な装置は、外部装置には含まれない。
【0154】
また、上述した各装置類による各種処理(
図5、
図13、
図24に示す処理手順等)の全部又は一部は、各装置類の機構(ハードウェア)により実行されても、ソフトウェアにより実行されてもよい。なお、ソフトウェアによる処理の実行は、各装置類に含まれるプロセッサがメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより実現されるものである。また、その制御プログラムを記録媒体に記録して頒布や流通させてもよい。例えば、頒布された制御プログラムを装置類にインストールして、装置類のプロセッサに実行させることで、装置類に各種処理(
図5、
図13、
図24に示す処理手順等)を行わせることが可能となる。
【0155】
その他、上述した各実施の形態に対して当業者が当然に思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、各実施の形態で示した構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明の範囲に含まれる。