特許第6552684号(P6552684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6552684
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ステアリングメンバ構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   B62D25/08 J
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-118427(P2018-118427)
(22)【出願日】2018年6月22日
【審査請求日】2019年1月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 雅人
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−068798(JP,A)
【文献】 国際公開第01/054963(WO,A1)
【文献】 特開2017−065280(JP,A)
【文献】 特開平08−183462(JP,A)
【文献】 特開2017−170981(JP,A)
【文献】 実開昭59−157966(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08,
25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に延びるメンバ本体に取り付けられて、ステアリングコラムを支持する支持部材を有するステアリングメンバ構造であって、
前記支持部材は、
車両前後方向で前記メンバ本体の前側に位置し、一端が前記メンバ本体に取り付けられ、他端が前記ステアリングコラムに固定される前側支持部材と、
前記車両前後方向で前記メンバ本体の後側に位置し、一端が前記メンバ本体に取り付けられ、他端が前記ステアリングコラムに固定される後側支持部材と、
前記前側支持部材と、前記後側支持部材と、前記メンバ本体と、を連結する連結部と、を備える
ことを特徴とする、ステアリングメンバ構造。
【請求項2】
前記前側支持部材は、ウェブ部と、前記ウェブ部の前記車両幅方向の両端から下方に延在する、前記ステアリングコラムが取り付けられるフランジ部と、を備え、
前記後側支持部材は、前記ステアリングコラムが取り付けられるウェブ部と、
前記後側支持部材の前記ウェブ部の前記車両幅方向の両端から上方に延在するフランジ部と、を備え、
前記連結部は、前記前側支持部材の前記フランジ部と、前記後側支持部材の前記ウェブ部と、前記メンバ本体と、を連結する
ことを特徴とする、請求項1に記載のステアリングメンバ構造。
【請求項3】
前記後側支持部材は、
前記車両幅方向で、前記ステアリングコラムの一方の側に配置される第1後側支持部材と、
前記車両幅方向で、前記ステアリングコラムの他方の側に配置される第2後側支持部材と、を備える
ことを特徴とする、請求項2に記載のステアリングメンバ構造。
【請求項4】
前記連結部の前記車両幅方向の位置は、前記後側支持部材の前記ステアリングコラムに近い方の前記フランジ部の位置と略同じである
ことを特徴とする、請求項3に記載のステアリングメンバ構造。
【請求項5】
前記連結部の前記車両幅方向の位置は、前記後側支持部材の前記ステアリングコラムから遠い方の前記フランジ部の位置と略同じである
ことを特徴とする、請求項3に記載のステアリングメンバ構造。
【請求項6】
前記連結部は、前記前側支持部材と前記後側支持部材との間を前記メンバ本体の周方向に沿って前記メンバ本体に溶接され架設している
ことを特徴とする、請求項1に記載のステアリングメンバ構造。
【請求項7】
前記前側支持部材の前記フランジ部は、前記後側支持部材の前記ウェブ部に乗り上げて接続されている
ことを特徴とする、請求項2に記載のステアリングメンバ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングコラムを支持する支持部材を有するステアリングメンバ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングメンバには、ステアリングコラムを支持するコラムブラケットが取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ステアリングメンバを構成するメンバ本体としてのアシスト側パイプとドライバ側パイプとに、ステアリングコラムを保持するためのコラムブラケットを取り付けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−112078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、車両前方へ延びるコラムブラケットと、車両後方へ延びるコラムブラケットとは、メンバ本体を介して接続されるため、車両前方へ延びるコラムブラケットと、車両後方へ延びるコラムブラケットとの間のメンバ本体の部分に応力が働く、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、メンバ本体に働く応力を低減するステアリングメンバ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のステアリングメンバ構造は、車両幅方向に延びるメンバ本体に取り付けられて、ステアリングコラムを支持する支持部材を有するステアリングメンバ構造であって、前記支持部材は、車両前後方向で前記メンバ本体の前側に位置し、一端が前記メンバ本体に取り付けられ、他端が前記ステアリングコラムに固定される前側支持部材と、前記車両前後方向で前記メンバ本体の後側に位置し、一端が前記メンバ本体に取り付けられ、他端が前記ステアリングコラムに固定される後側支持部材と、前記前側支持部材と、前記後側支持部材と、前記メンバ本体と、を連結する連結部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明のステアリングメンバ構造では、メンバ本体に働く応力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のステアリングメンバ構造が適用されるステアリングメンバの構成を示す斜視図である。
図2】実施例1のコラムブラケットの構成を示す斜視図である。
図3】実施例1のコラムブラケットの構成を示す側面図である。
図4】実施例1のステアリングコラムに設けられたブラケットの構成を説明する斜視図である。
図5】実施例1のステアリングメンバ構造の比較例を説明する説明図である。
図6】実施例2のステアリングメンバの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるステアリングメンバ構造を実現する実施形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
[ステアリングメンバの構成]
図1は、実施例1のステアリングメンバ構造が適用されるステアリングメンバの構成を示す斜視図である。以下、図1に基づいて、実施例1のステアリングメンバの構成を説明する。
【0012】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルが設置されている。このインストルメントパネルの内部には、強度部材として、左右の車体パネル間を連結するステアリングメンバが設けられる。
【0013】
ステアリングメンバ1は、図1に示すように、車両幅方向Xへ真直ぐに延びるメンバ本体3と、メンバ本体3に取り付けられたサイドブラケット6と、メンバ本体3に取り付けられたステー10と、メンバ本体3に取り付けられた支持部材としてのコラムブラケット20と、メンバ本体3に取り付けられたポストブラケット40と、を備える。
【0014】
メンバ本体3は、例えば、円筒状の金属部材とすることができる。メンバ本体3は、運転席側に配置される運転席側パイプ3aと、助手席側に配置される助手席側パイプ3bと、から構成される。運転席側パイプ3aの直径は、助手席側パイプ3bの直径より、大きく形成される。
【0015】
サイドブラケット6は、金属部材とすることができる。サイドブラケット6は、メンバ本体3の車両幅方向Xの両端に設置される。メンバ本体3は、サイドブラケット6によって、左右の車体パネル(図示せず)に取り付けられる。
【0016】
コラムブラケット20は、断面凹溝状の金属部材とすることができる。コラムブラケット20は、運転席側パイプ3aに取り付けられる。コラムブラケット20を介して、ステアリングコラム5は、運転席側パイプ3aに取り付けられる。
【0017】
ポストブラケット40は、断面凹溝状の金属部材とすることができる。ポストブラケット40は、運転席側パイプ3aの車両前後方向Yの前側に取り付けられる。ポストブラケット40は、ダッシュパネル2に取り付けられ、メンバ本体3をダッシュパネル2に対して固定支持する。
【0018】
ポストブラケット40は、第1ポストブラケット41と、第2ポストブラケット42とを有する。第1ポストブラケット41は、車両幅方向Xで、コラムブラケット20より外側(車室外側)に配置される。第2ポストブラケット42は、車両幅方向Xで、コラムブラケット20より内側(車室内側)に配置される。
【0019】
ステー10は、断面凹溝状の金属部材とすることができる。ステー10は、運転席側パイプ3aに取り付けられる。ステー10は、略車両上下方向Zに延在し、フロアパネル4に取り付けられ、メンバ本体3をフロアパネル4に対して固定支持する。
【0020】
[コラムブラケットの構成]
図2は、実施例1のコラムブラケット20の構成を示す斜視図である。図3は、実施例1のコラムブラケット20の構成を示す側面図である。図4は、実施例1のステアリングコラム5に設けられたブラケットの構成を説明する斜視図である。以下、図2図4に基づいて、実施例1のコラムブラケット20の構成を説明する。
【0021】
コラムブラケット20は、図2及び図3に示すように、前側支持部材としての前側ブラケット21と、後側支持部材としての第1後側ブラケット(第1後側支持部材の一例)22と、後側支持部材としての第2後側ブラケット(第2後側支持部材の一例)23と、を備える。
【0022】
前側ブラケット21は、車両前後方向Yで、運転席側パイプ3aの前側に取り付けられる。前側ブラケット21は、断面凹溝状に形成され、ウェブ部21aと、フランジ部としての第1フランジ部21bと、フランジ部としての第2フランジ部21cと、を備える。
【0023】
ウェブ部21aは、車両幅方向Xに幅を有して帯板状に形成される。なお、ウェブ部21aは、ビード形状や穴部を設けてもよい。
【0024】
第1フランジ部21bは、車両幅方向Xで、ウェブ部21aの一方の端部から、車両上下方向Zで、下方に延在する。第1フランジ部21bは、ステアリングコラム5より、外側(車室外側)に配置される。第1フランジ部21bは、ステアリングコラム5を取り付けるための貫通穴21dを有する。
【0025】
第2フランジ部21cは、車両幅方向Xで、ウェブ部21aの他方の端部から、車両上下方向Zで、下方に延在する。第2フランジ部21cは、ステアリングコラム5より、内側(車室内側)に配置される。第2フランジ部21cは、ステアリングコラム5を取り付けるための貫通穴21eを有する。
【0026】
第1フランジ部21bには、後述する連結部としての第1連結部31が形成される。第2フランジ部21cには、後述する連結部としての第2連結部32が形成される。
【0027】
第1後側ブラケット22は、車両前後方向Yで、運転席側パイプ3aの後側に取り付けられる。第1後側ブラケット22は、車両幅方向Xで、ステアリングコラム5より、外側(車室外側)に配置される。
【0028】
第1後側ブラケット22は、ウェブ部としての第1ウェブ部22aと、フランジ部としての第1フランジ部22bと、フランジ部としての第2フランジ部22cと、を備える。
【0029】
第1ウェブ部22aは、ステアリングコラム5を取り付けるための貫通穴22dを有する。第1フランジ部22bは、車両幅方向Xで、ウェブ部21aの一方の端部から、車両上下方向Zで、上方に延在して、運転席側パイプ3aに溶接などにより取り付けられる。
【0030】
第2フランジ部22cは、車両幅方向Xで、ウェブ部21aの他方の端部から、車両上下方向Zで、上方に延在して、運転席側パイプ3aに溶接などにより取り付けられる。第2フランジ部22cは、第1フランジ部22bより、ステアリングコラム5の近くに配置される。
【0031】
第2後側ブラケット23は、車両前後方向Yで、運転席側パイプ3aの後側に取り付けられる。第2後側ブラケット23は、車両幅方向Xで、ステアリングコラム5より、内側(車室内側)に配置される。
【0032】
第2後側ブラケット23は、第1後側ブラケット22と同様に形成される。第2後側ブラケット23は、ウェブ部としての第2ウェブ部23aと、フランジ部としての第1フランジ部23bと、フランジ部としての第2フランジ部23cと、を備える。
【0033】
第2ウェブ部23aは、ステアリングコラム5を取り付けるための貫通穴23dを有する。第1フランジ部23bは、車両幅方向Xで、ウェブ部21aの一方の端部から、車両上下方向Zで、上方に延在して、運転席側パイプ3aに溶接などにより取り付けられる。第2フランジ部23cは、車両幅方向Xで、ウェブ部21aの他方の端部から、車両上下方向Zで、上方に延在して、運転席側パイプ3aに溶接などにより取り付けられる。第2フランジ部23cは、第1フランジ部23bより、ステアリングコラム5の近くに配置される。
【0034】
ステアリングコラム5は、図3に示すように、第1取付ブラケット7と、第2取付ブラケット8と、を備える。
【0035】
第1取付ブラケット7は、図4に示すように、断面凹溝状に形成され、ウェブ7aと、第1フランジ7bと、第2フランジ7cと、から構成される。
【0036】
第1フランジ7bは、車両前後方向Yに形成された長穴7dを有する。第2フランジ7cは、車両前後方向Yに形成された長穴7eを有する。
【0037】
第2取付ブラケット8は、第2取付ブラケット本体8aと、第1座面8bと、第2座面8cと、を備える。
【0038】
第1座面8bは、車両前後方向Yの後端部が開放した、長穴状の切欠部8dを有する。第2座面8cは、車両前後方向Yの後端部が開放した、長穴状の切欠部8eを有する。
【0039】
ステアリングコラム5は、第1取付ブラケット7の第1フランジ7bの長穴7dと、第1取付ブラケット7の第2フランジ7cの長穴7eと、前側ブラケット21の第1フランジ部21bの貫通穴21dと、前側ブラケット21の第2フランジ部21cの貫通穴21eと、にボルトBを挿入して固定することで、前側ブラケット21に取り付けられる。
【0040】
また、ステアリングコラム5は、第2取付ブラケット8の第1座面8bの切欠部8dと、第1後側ブラケット22の第1ウェブ部22aの貫通穴22dと、にボルトBを挿入して固定することで、第1後側ブラケット22に取り付けられる。
【0041】
また、ステアリングコラム5は、第2取付ブラケット8の第2座面8cの切欠部8eと、第2後側ブラケット23の第2ウェブ部23aの貫通穴23dと、にボルトBを挿入して固定することで、第2後側ブラケット23に取り付けられる。
【0042】
ステアリングコラム5には、図3に示すように、ステアリングホイール51やエアバッグ52が取り付けられる。
【0043】
[連結部の構成]
以下、図2及び図3に基づいて、実施例1の連結部の構成を説明する。
【0044】
第1連結部31は、図2及び図3に示すように、前側ブラケット21の第1フランジ部21bが延在して形成される。第1連結部31は、第1フランジ部21bの基部(運転席側パイプ3aへの接続部)に向けて、末広がり形状に形成される。
【0045】
第1連結部31は、第1後側ブラケット22の第1ウェブ部22aに乗り上げるように、運転席側パイプ3aと、第1後側ブラケット22の第1ウェブ部22aと、に溶接などによって取り付けられる。すなわち、第1連結部31は、第1フランジ部21bと、運転席側パイプ3aと、第1後側ブラケット22の第1ウェブ部22aと、を接続する。
【0046】
第1連結部31は、車両幅方向Xで、第1後側ブラケット22の第2フランジ部22cと、略同じ位置に配置される。すなわち、第1連結部31は、車両幅方向Xで、第1後側ブラケット22の第1フランジ部22bより、ステアリングコラム5の近くに配置される。
【0047】
第2連結部32は、第1連結部31と同様に形成される。第2連結部32は、前側ブラケット21の第2フランジ部21cが延在して形成される。第2連結部32は、第2フランジ部21cの基部(運転席側パイプ3aへの接続部)に向けて、末広がり形状に形成される。
【0048】
第2連結部32は、第2後側ブラケット23の第2ウェブ部23aに乗り上げるように、運転席側パイプ3aと、第2後側ブラケット23の第2ウェブ部23aと、に溶接などによって取り付けられる。すなわち、第2連結部32は、第2フランジ部21cと、運転席側パイプ3aと、第2後側ブラケット23の第2ウェブ部23aと、を接続する。
【0049】
第2連結部32は、車両幅方向Xで、第2後側ブラケット23の第2フランジ部23cと、略同じ位置に配置される。すなわち、第2連結部32は、車両幅方向Xで、第2後側ブラケット23の第1フランジ部23bより、ステアリングコラム5の近くに配置される。
【0050】
[ステアリングメンバ構造の作用]
図5は、実施例1のステアリングメンバ構造の比較例を説明する説明図である。以下、実施例1のステアリングメンバ構造の作用について説明する。なお、図5は、比較例の作用を分かりやすくするために、やや誇張した記載とする。
【0051】
実施例1のステアリングメンバ構造は、車両幅方向Xに延びるメンバ本体3に取り付けられて、ステアリングコラム5を支持する支持部材(コラムブラケット20)を有するステアリングメンバ構造であって、支持部材(コラムブラケット20)は、車両前後方向Yでメンバ本体3の前側に取り付けられて、ステアリングコラム5を支持する前側支持部材(前側ブラケット21)と、車両前後方向Yでメンバ本体3の後側に取り付けられて、ステアリングコラム5を支持する後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)と、前側支持部材(前側ブラケット21)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)と、メンバ本体3と、を連結する連結部(第1連結部31,第2連結部32)と、を備える(図2)。
【0052】
これにより、前側支持部材(前側ブラケット21)と後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)との間のメンバ本体3の部分に加わる応力を、連結部(第1連結部31,第2連結部32)を通して分散することができる。そのため、前側支持部材(前側ブラケット21)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)との間のメンバ本体3の部分への応力を低減することができる。その結果、メンバ本体3の肉厚を薄くして、軽量化を図ることができる。
【0053】
ところで、ステアリングコラム5は、ステアリングホイール51やエアバッグ52などの重量のある部品が取り付けられる。そのため、図5に示すように、連結部を備えないステアリングメンバ501の場合、例えばステアリングコラム5が振動により変形することで、前側ブラケット21が、メンバ本体3を軸として、反時計回りに回転する力が入力され、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)が、メンバ本体3を軸として、時計回りに回転する力が入力される。この場合、前側ブラケット21と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)と、の間のメンバ本体3の部分に圧縮力が加わり、メンバ本体3が変形してしまう、という問題がある。
【0054】
これに対して、実施例1のステアリングメンバ構造では、連結部(第1連結部31,第2連結部32)が、前側支持部材(前側ブラケット21)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)と、メンバ本体3と、を連結するため、前側支持部材(前側ブラケット21)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)との間のメンバ本体3の部分に加わる圧縮力を、連結部(第1連結部31,第2連結部32)を通して分散することができる。
【0055】
実施例1のステアリングメンバ構造では、前側支持部材(前側ブラケット21)は、ウェブ部21aと、ウェブ部21aの車両幅方向Xの両端から下方に延在する、ステアリングコラム5が取り付けられるフランジ部(第1フランジ部21b,第2フランジ部21c)と、を備え、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)は、ステアリングコラム5が取り付けられるウェブ部(第1ウェブ部22a,第2ウェブ部23a)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)のウェブ部(第1ウェブ部22a,第2ウェブ部23a)の車両幅方向Xの両端から上方に延在するフランジ部(第1フランジ部22b,第2フランジ部22c,第1フランジ部23b,第2フランジ部23c)と、を備え、連結部(第1連結部31,第2連結部32)は、前側支持部材(前側ブラケット21)のフランジ部(第1フランジ部21b,第2フランジ部21c)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)のウェブ部(第1ウェブ部22a,第2ウェブ部23a)と、メンバ本体3と、を連結する(図2)。
【0056】
これにより、前側支持部材(前側ブラケット21)のフランジ部(第1フランジ部21b,第2フランジ部21c)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)のウェブ部(第1ウェブ部22a,第2ウェブ部23a)との間のメンバ本体3の部分に加わる応力を、連結部(第1連結部31,第2連結部32)を通して分散することができる。そのため、前側支持部材(前側ブラケット21)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)との間のメンバ本体3の部分に加わる応力を低減することができる。その結果、メンバ本体3の肉厚を薄くして、軽量化を図ることができる。
【0057】
実施例1のステアリングメンバ構造では、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)は、車両幅方向Xで、ステアリングコラム5の一方の側に配置される第1後側支持部材(第1後側ブラケット22)と、車両幅方向Xで、ステアリングコラム5の他方の側に配置される第2後側支持部材(第2後側ブラケット23)と、を備える(図2)。
【0058】
これにより、ステアリングコラム5を支持する箇所を増やすことができる。そのため、ステアリングコラム5の支持剛性を高めることができる。
【0059】
実施例1のステアリングメンバ構造は、連結部(第1連結部31,第2連結部32)の車両幅方向Xの位置は、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)のステアリングコラム5に近い方のフランジ部(第2フランジ部22c,第2フランジ部23c)の位置と略同じである(図2)。
【0060】
これにより、前側支持部材(前側ブラケット21)の、車両幅方向Xの幅を狭めることができる。そのため、前側支持部材(前側ブラケット21)を軽量化することができる。
【実施例2】
【0061】
図6は、実施例2のステアリングメンバの構成を示す斜視図である。以下、図6に基づいて、実施例2のステアリングメンバの構成について説明する。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0062】
実施例2のステアリングメンバ101は、前側ブラケットの構成が異なる点で、実施例1のステアリングメンバと相違する。
【0063】
前側ブラケット121のウェブ部121aは、実施例1のウェブ部21aと比べて、車両幅方向Xに、広く形成される。
【0064】
第1連結部31は、車両幅方向Xで、第1後側ブラケット22の第2フランジ部22cより、ステアリングコラム5から遠くに配置される第1後側ブラケット22の第1フランジ部22bと、略同じ位置に配置される。
【0065】
第2連結部32は、車両幅方向Xで、第2後側ブラケット23の第2フランジ部23cより、ステアリングコラム5から遠くに配置される第2後側ブラケット23の第1フランジ部23bと、略同じ位置に配置される。
【0066】
以下、実施例2のステアリングメンバ構造の作用について説明する。実施例2のステアリングメンバ構造は、連結部(第1連結部31,第2連結部32)の車両幅方向Xの位置は、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)のステアリングコラム5から遠い方のフランジ部(第1フランジ部22b,第1フランジ部23b)の位置と略同じである(図6)。
【0067】
これにより、前側支持部材(前側ブラケット121)のフランジ部(第1フランジ部21b,第2フランジ部21c)と、前側支持部材(前側ブラケット121)のウェブ部121aとで形成された空間を確保することができる。そのため、この空間に、ステアリングコラム5に付属する部品を収容することができる。なお、実施例2のこの他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるため、説明を省略する。
【0068】
以上、本発明のステアリングメンバ構造を実施例1及び実施例2に基づき説明した。しかし、具体的な構成と動作については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、各実施例の組み合わせ、設計の変更や追加等は許容される。
【0069】
実施例1及び実施例2では、メンバ本体3を円筒状とする例を示した。しかし、メンバ本体は、この態様に限定されず、例えば、断面多角形の筒状のもであってもよい。また、メンバ本体は、直線状に形成される態様に限定されず、屈曲部分があってもよい。
【0070】
実施例1及び実施例2では、第1連結部31は、第1フランジ部21bが延在して形成され、第2連結部32は、第2フランジ部21cが延在して形成される例を示した。しかし、連結部としては、前側ブラケット21別体として設けられてもよい。
【0071】
実施例1及び実施例2では、本発明のステアリングメンバ構造を左ハンドル車に適用する例を示した。しかし、本発明は、右ハンドル車に適用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 ステアリングメンバ
3 メンバ本体
5 ステアリングコラム
20 コラムブラケット(支持部材の一例)
21 前側ブラケット(前側支持部材の一例)
21a ウェブ部(前側支持部材のウェブ部)
21b 第1フランジ部(前側支持部材のフランジ部の一例)
21c 第2フランジ部(前側支持部材のフランジ部の一例)
22 第1後側ブラケット(後側支持部材の一例)
22a 第1ウェブ部(後側支持部材のウェブ部の一例)
22b 第1フランジ部(後側支持部材のフランジ部の一例)
22c 第2フランジ部(後側支持部材のフランジ部の一例)
23 第2後側ブラケット(後側支持部材の一例)
23a 第2ウェブ部(後側支持部材のウェブ部の一例)
23b 第1フランジ部(後側支持部材のフランジ部の一例)
23c 第2フランジ部(フランジ部の一例)
31 第1連結部(連結部の一例)
32 第2連結部(連結部の一例)
X 車両幅方向
Y 車両前後方向
【要約】
【課題】 メンバ本体に働く応力を低減するステアリングメンバ構造を提供する。
【解決手段】 車両幅方向Xに延びるメンバ本体3に取り付けられて、ステアリングコラム5を支持する支持部材(コラムブラケット20)を有するステアリングメンバ構造であって、支持部材(コラムブラケット20)は、車両前後方向Yでメンバ本体3の前側に取り付けられて、ステアリングコラム5を支持する前側支持部材(前側ブラケット21)と、車両前後方向Yでメンバ本体3の後側に取り付けられて、ステアリングコラム5を支持する後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)と、前側支持部材(前側ブラケット21)と、後側支持部材(第1後側ブラケット22,第2後側ブラケット23)と、メンバ本体3と、を連結する連結部(第1連結部31,第2連結部32)と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6