(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6552760
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】建設現場用・建造物用シート
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
E04G21/32 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-58995(P2019-58995)
(22)【出願日】2019年3月26日
【審査請求日】2019年3月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592230380
【氏名又は名称】株式会社エバー商会
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【弁理士】
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】安部 和広
【審査官】
前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−327349(JP,A)
【文献】
特開2001−227124(JP,A)
【文献】
特開平04−209268(JP,A)
【文献】
特開2002−309490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04H 15/00−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体と、
一対の支柱の間に複数の踏桟が設けられた梯子の様に形成された梯子状体と、を備え、
前記シート本体は、該シート本体の縁に沿った山折り線と谷折り線とで、断面視で略Z字形となるように折り返されていて、
前記梯子状体は、
少なくとも、前記一対の支柱における一方の支柱に相当する部分が、略Z字形となるように折り返されている前記シート本体同士の間に挟み込まれていて、該シート本体に縫い付けられ、
前記一対の支柱における他方の支柱に相当する部分が、前記シート本体の縁に沿って配置された線状部材として機能し、
前記複数の踏桟に相当する部分が、前記シート本体の縁に互いに間隔を空けて配置され、前記線状部材を前記シート本体に連結する複数の連結部材として機能していることを特徴とする
建設現場用・建造物用シート。
【請求項2】
対象物に結束具で前記線状部材が結束されることで、前記対象物に取り付けられることを特徴とする
請求項1に記載の建設現場用・建造物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場用・建造物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等の仮設ゲート(仮設門扉)として、格子状に複数の菱目を形成するように複数の棒材を互いに交差させ、これら複数の棒材を、左右に伸縮するようにピンで互いに連結したものが普及している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている仮設ゲートは、目隠しとして、左右に伸縮するように複数のパネルを蛇腹状に連接したものを備えている。このようなパネルを備えていない仮設ゲートも普及しており、このような仮設ゲートに対しては、目隠しとして、特許文献2に開示されているようなシートを用いることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−051296号公報
【特許文献2】特開2002−174035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目隠しに用いるシートは、縁に沿った所定間隔の複数の箇所にハトメを備えており、ハトメに通した結束具で仮設ゲートに取り付けられる。ハトメの間隔と仮設ゲートにおけるシートを取り付ける箇所の間隔が一致しない場合、取り付けられたシートが弛み見栄えが悪くなるので、正しく取り付けられたとはいえない。
【0005】
このような問題は、目隠しに用いるシートの場合に限定されず、建設現場用シートや建造物用シートの場合に共通して存在し得る。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、正しく取り付けることができる建設現場用・建造物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、シート本体と、
一対の支柱の間に複数の踏桟が設けられた梯子の様に形成された梯子状体と、を備え、前記シート本体は、該シート本体の縁に沿った山折り線と谷折り線とで、断面視で略Z字形となるように折り返されていて、前記梯子状体は、少なくとも、前記一対の支柱における一方の支柱に相当する部分が、略Z字形となるように折り返されている前記シート本体同士の間に挟み込まれていて、該シート本体に縫い付けられ、前記一対の支柱における他方の支柱に相当する部分が、前記シート本体の縁に沿って配置された線状部材と
して機能し、前記複数の踏桟に相当する部分が、前記シート本体の縁に互いに間隔を空けて配置され、前記線状部材を前記シート本体に連結する複数の連結部材と
して機能していることを特徴とする建設現場用・建造物用シートである。
【0008】
本発明によれば、建設現場用・建造物用シートの縁に沿った任意の箇所に結束具を通すことができるので、建設現場用・建造物用シートを取り付ける箇所に関係なく、建設現場用・建造物用シートを弛ませずにピンと張らせることができる。
【0010】
また、本発明によれば、梯子状ロープを備えていることで、建設現場用・建造物用シートを短時間で容易に製造することができる。
【0011】
(
2)本発明はまた、対象物に結束具で前記線状部材が結束されることで、前記対象物に取り付けられることを特徴とする上記(1)
に記載の建設現場用・建造物用シートである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記(1)
及び(
2)に記載の建設現場用・建造物用シートによれば、正しく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る建設現場用・建造物用シートの正面図である。
【
図2】
図1の矢印II−II方向に視た建設現場用・建造物用シートの断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る建設現場用・建造物用シートの使用状態を示す写真である。
【
図4】本発明の実施形態に係る建設現場用・建造物用シートの使用状態を示す拡大写真である
。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る建設現場用・建造物用シート1について詳細に説明する。
【0018】
まず、
図1〜
図4を用いて、本発明の実施形態に係る建設現場用・建造物用シート1の構造について説明する。
【0019】
図1は、建設現場用・建造物用シート1の正面図である。
図2は、
図1の矢印II−II方向に視た建設現場用・建造物用シート1の断面図である。
図3は、建設現場用・建造物用シート1の使用状態を示す写真である。
図4は、建設現場用・建造物用シート1の使用状態を示す拡大写真である。
【0020】
図1及び
図2に示す建設現場用・建造物用シート1は、対象物となる仮設門扉G(
図3及び
図4参照)に結束具T(
図3及び
図4参照)で取り付けられ、仮設門扉G(
図3及び
図4参照)の目隠しとして用いられる。具体的に、建設現場用・建造物用シート1は、シート本体10と、梯子状ロープ20と、ウエイト30と、を備えている。
【0021】
シート本体10は、例えばポリエステルやポリ塩化ビニルからなり、例えば縦1500mm×横4000mmの寸法を有している。
【0022】
シート本体10における上縁には、梯子状ロープ20が取り付けられている。具体的に、シート本体10は、上縁に沿った山折り線と谷折り線とで、少なくとも断面視で略Z字形となる部分を含むように折り返されている。なお、シート本体10は、強度向上等の理由から複数の山折り線と谷折り線とで、断面視で略Z字型となる部分を含むように複数回、例えば九十九折様に折り返されていてもよい。そして、梯子状ロープ20は、少なくとも符号23に示す部分が、略Z字形となるように折り返されているシート本体10同士の間に挟み込まれていて、当該シート本体10に糸Sで縫い付けられている。
【0023】
シート本体10における両側縁には、それぞれ、梯子状ロープ20が取り付けられている。具体的に、シート本体10は、各側縁に沿った山折り線と谷折り線とで、断面視で略Z字形となるように折り返されている。そして、梯子状ロープ20は、少なくとも符号23に示す部分が、略Z字形となるように折り返されているシート本体10同士の間に挟み込まれていて、当該シート本体10に糸Sで縫い付けられている。
【0024】
シート本体10における下縁には、ウエイト30が取り付けられている。
【0025】
梯子状ロープ20は、一対の支柱の間に複数の踏桟が設けられた梯子の様に形成され、シート本体10の上縁又は両側縁の長さに対応した長さを有している。
【0026】
この梯子状ロープ20は、一対の支柱における一方の支柱に相当する部分が、シート本体10の縁に沿って配置された線状部材21として機能する。そして、梯子状ロープ20は、複数の踏桟に相当する部分が、シート本体10の縁に互いに間隔を空けて配置され、線状部材21をシート本体10に連結する複数の連結部材22として機能する。また、梯子状ロープ20は、少なくとも、一対の支柱における他方の支柱に相当する部分23が、略Z字形となるように折り返されているシート本体10同士の間に挟み込まれていて、当該シート本体10に糸Sで縫い付けられている。
【0027】
このような梯子状ロープ20には、長塩産業株式会社(東京都足立区)が市販する洗濯ロープ「ハンガーストップ」や、ニシダ株式会社(静岡県藤枝市)が市販するロープ「ランドリーロープ」等を採用することができる。
【0028】
ウエイト30は、建設現場用・建造物用シート1が風で煽られることを防止するためのものである。このウエイト30は、シート本体10の下縁の長さに対応した長さを有している。具体的に、ウエイト30は、シート本体10の下縁に沿って配置され、当該シート本体10に糸(図示省略)で縫い付けられている。
【0029】
図3に示すように、仮設門扉Gは、格子状に複数の菱目を形成するように複数の棒材を互いに交差させ、これら複数の棒材を、左右に伸縮するようにピンで互いに連結したものである。
図3及び
図4に示すように、建設現場用・建造物用シート1は、対象物となる仮設門扉Gに複数の結束具T(例えば、インシュロック(登録商標)等の結束バンド)で線状部材21が結束されることで、仮設門扉Gに取り付けられる。
【0030】
このように、建設現場用・建造物用シート1によれば、当該建設現場用・建造物用シート1の縁に沿った任意の箇所に結束具Tを通すことができるので、当該建設現場用・建造物用シート1を取り付ける箇所に関係なく、当該建設現場用・建造物用シート1を弛ませずにピンと張らせることができる。すなわち、建設現場用・建造物用シート1によれば、正しく取り付けることができる。
【0031】
そして、建設現場用・建造物用シート1によれば、梯子状ロープ20を備えていることで、建設現場用・建造物用シート1を短時間で容易に製造することができる。また、建設現場用・建造物用シート1によれば、シート本体10の下縁に沿ってウエイト30が設けられているので、風に煽られにくい。
【0032】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質などは適宜変更できる。
【0033】
例えば、上記実施形態において、建設現場用・建造物用シート1が仮設門扉Gの目隠しとして用いられる場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、資材を覆うカバーや落下防止用のシート等の建設現場のあらゆる用途、あるいは、風雨除けのいわゆるブルーシート等のように建造物に対するあらゆる用途に用いられてもよい。
【0034】
あるいは、上記実施形態において、梯子状ロープ20が梯子状体を構成する場合、具体的には、ロープが線状部材21を構成する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、ワイヤーやコードその他の線材が梯子状体すなわち線状部材21を構成するようにしてもよい。
【0035】
なお、梯子状体とは、一対の支柱の間に複数の踏桟が設けられた梯子の様に形成されたもののことであり、これに対して余分なもの等他のものを含むものを排除する意味合いではない。例えば、梯子状体の意味には、一対の支柱の間に複数の踏桟が設けられていると共に、一対の支柱の間に当該一対の支柱と平行となる第三の支柱が設けられ、格子状を形成した様なものを含む。
【0037】
あるいは、上記実施形態において、シート本体10の下端縁に沿ってウエイト30が配置されている場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、当該ウエイト30が配置されていなくてもよい。この場合、シート本体10の下端縁に沿って梯子状ロープ20が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 建設現場用・建造物用シート
10 シート本体
20 梯子状ロープ(梯子状体)
21 線状部材
22 連結部材
23 部分
30 ウエイ
ト
S 糸
G 仮設門扉(対象物)
T 結束具
【要約】
【課題】正しく取り付けることができる建設現場用・建造物用シートを提供する。
【解決手段】建設現場用・建造物用シート1は、シート本体10と、一対の支柱の間に複数の踏桟が設けられた梯子の様に形成された梯子状ロープ20と、を備えている。梯子状ロープ20は、一対の支柱における一方の支柱に相当する部分が、シート本体10の縁に沿って配置された線状部材21として機能し、複数の踏桟に相当する部分が、シート本体10の縁に互いに間隔を空けて配置され、線状部材21をシート本体10に連結する複数の連結部材22として機能し、少なくとも、一対の支柱における他方の支柱に相当する部分23が、略Z字形となるように折り返されているシート本体10同士の間に挟み込まれていて、当該シート本体10に糸Sで縫い付けられている。
【選択図】
図1