特許第6552790号(P6552790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6552790チャネルを持つ画素定義膜を備えた有機発光表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552790
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】チャネルを持つ画素定義膜を備えた有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/22 20060101AFI20190722BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190722BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20190722BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20190722BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H05B33/22 Z
   H05B33/14 A
   H05B33/12 B
   H05B33/22 D
   H05B33/22 B
   H01L27/32
   G09F9/30 365
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-102066(P2014-102066)
(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-229612(P2014-229612A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2017年5月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0059751
(32)【優先日】2013年5月27日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】14/135,373
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】金 璋燮
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/146470(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/125768(WO,A1)
【文献】 特開2008−026911(JP,A)
【文献】 特表2010−515260(JP,A)
【文献】 特表2009−540573(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/038971(WO,A1)
【文献】 特開2004−130161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置されて画素領域を定義する画素定義膜と、を備え、
前記画素領域の各々は、
第1電極と、
前記第1電極上に配置された発光層と、
前記発光層上に配置された第2電極と、を含み、
前記画素定義膜は、前記画素定義膜の両側壁及び底面によって定義された上部が開放された空間であって、前記画素領域を連結するように隣接する前記画素領域の間に形成されたチャネル(channel)を有し、
前記画素定義膜の底面は、前記チャネル内ライン形状の最高点を有し、前記最高点からチャネルの長手方向に下方に伸びた傾斜を有し、前記チャネルの長手方向に一端で最低点を有し、他端で最高点を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記傾斜の平均傾斜角は、第1電極面を基準に10°〜45°であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記チャネルは、少なくとも一方向に伸びることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記チャネルの長手方向に垂直な方向に切断した前記チャネルの断面は、U字形、逆三角形、及び四角形のいずれか一形態を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記画素領域の各々は、前記第1電極と前記発光層との間に配置された正孔注入層及び正孔輸送層の中の少なくとも一つを更に含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記画素領域の各々は、
前記第1電極上に配置された正孔注入層と、
前記正孔注入層上に配置されたプライマー層と、
前記プライマー層上に配置された正孔輸送層と、を更に含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記画素領域の各々は、前記発光層と前記第2電極との間に配置された電子輸送層及び電子注入層の中の少なくとも一つを更に含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光表示装置に係り、より詳しくは画素定義膜の構造が改善された有機発光表示装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置(organic light emitting display device)は、光を放出する有機発光素子(organic light emitting diode)を用いて画像を表示する自発光型表示装置である。このような有機発光表示装置は、低消費電力、高輝度及び高反応速度などの特性を示すので、現在表示装置として注目されている。
【0003】
このような有機発光表示装置において、画像を表示する基本単位を画素と言う。前記画素は、互いに対向している第1電極と第2電極、及び前記第1電極と第2電極の間に配置された有機層を含む。前記有機層は発光層を含む一つ以上の層が積層された構造を持つことが一般的である。
【0004】
有機発光表示装置においては、このような画素の領域を互いに区分するために画素定義膜が配置される。前記画素定義膜は、画素領域を区分するためにメッシュ(mesh)状に形成できる。すなわち、互いに区分されて第1電極が形成され、前記第1電極を画素単位で区分するために画素定義膜が形成された後、前記画素定義膜によって区分された少なくとも一つの第1電極の画素領域上に多様な物質、特に有機物質が積層される。この際、前記積層される物質はそれぞれの画素領域に均一に分配されることが良い。
【0005】
ところが、画素領域に特定の層を形成するために特定の物質を塗布する場合、前記物質は画素定義膜上にも前記物質が塗布される。前記画素定義膜は第1電極より高く形成されるから、前記画素定義膜に塗布された前記物質は低い画素領域に移動する場合が発生する。しかし、前記のように画素定義膜上に塗布された物質が画素領域に移動するとき、前記物質がそれぞれの画素領域に均一に分配されることができなければ、画素領域において物質不均一が発生することができる。このような物質不均一が発生すれば、それぞれの画素の発光が均一ではないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、画素を形成するために画素領域に有機物を含む多様な物質が積層されるとき、それぞれの画素領域において前記有機物質が均一に分配できるように画素定義膜の構造が改善された有機発光表示装置を提供することである。
【0007】
このために、本発明の目的は、画素定義膜にチャネルが形成された有機発光表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、基板;及び前記基板上に配置され、画素領域を定義する画素定義膜;を含み、前記画素領域のそれぞれは、第1電極;前記第1電極上に配置された発光層;及び前記発光層上に配置された第2電極;を含み、前記画素定義膜は少なくとも二つの前記画素領域の間で伸びたチャネルを持つ表示装置を提供する。
【0009】
本発明の一態様において、前記画素定義膜はチャネルの長手方向に前記チャネル内で傾斜を持つ底面を含むことができる。
【0010】
本発明の一態様において、前記傾斜の平均傾斜角は第1電極面を基準に10°〜45°であってもよい。
【0011】
本発明の一態様において、前記チャネルは少なくとも一方向に伸びることができる。
【0012】
本発明の一態様において、前記底面はチャネル内で最高点を持ち、前記最高点から互いに異なる方向に下方に伸びた傾斜を持つことができる。
【0013】
本発明の一態様において、前記チャネルの底面はチャネルの長手方向に一端で最低点を持ち、他端で最高点を持つことができる。
【0014】
本発明の一態様において、前記チャネルの長手方向に垂直な方向に切断した前記チャネルの断面は、U字形、逆三角形及び四角形のいずれか一形態を持つことができる。
【0015】
本発明の一態様において、前記少なくとも一つの画素領域は、前記第1電極と前記発光層の間に配置された正孔注入層及び正孔輸送層の中で少なくとも一つをさらに含むができる。
【0016】
本発明の一態様において、前記それぞれの画素領域は、第1電極上に配置された正孔注入層;前記正孔注入層上に配置されたプライマー層;及び前記プライマー層上に配置された正孔輸送層;をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の一態様において、前記それぞれの画素領域は、前記発光層と前記第2電極の間に配置された電子輸送層及び電子注入層の中で少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0018】
本発明の他の一態様は、基板上に複数の第1電極を形成する段階;前記第1電極の間に画素定義膜を形成する段階;前記第1電極上に発光層を形成する段階;及び前記発光層上に第2電極を形成する段階;を含み、前記画素定義膜を形成する段階は、流動性物質が前記第1電極の間で流れるように構成されたチャネルを形成する段階を含む表示装置の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の一態様において、前記画素定義膜を形成する段階は、フォトレジスト及びマスクを使うパターン形成過程を含み、前記マスクはチャネル形成部を持ち、前記チャネル形成部は長手方向に光透過量が変わるように形成されることができる。
【0020】
本発明の一態様において、前記画素定義膜を形成する段階後、かつ前記発光層を形成する段階前に、前記第1電極と前記画素定義膜の全面に正孔注入層形成用物質及び正孔輸送層形成用物質の中で少なくとも一つを塗布する段階をさらに含むことができる。
【0021】
本発明の一態様において、前記正孔注入層形成用物質及び前記正孔輸送層形成用物質の中で少なくとも一つを塗布する段階はインクプリント法を適用することができる。
【0022】
本発明の一態様において、前記発光層を形成する段階はインクプリント法を適用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様による有機発光表示装置は、画素定義膜にチャネルが形成されているので、有機発光表示装置の製造過程で多様な有機物質を積層するとき、前記有機物質が画素ごとに均一に分配できる。前記のように有機物質が画素ごとに均一に分配されることによって有機発光表示装置の発光均一度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一例による有機発光表示装置の構造を概略的に表示した図である。
図2】本発明の一例による有機発光表示装置において第1電極と画素定義膜の構造を概略的に示すための斜視図である。
図3図2に示す、前記基板上に形成された第1電極と画素定義膜の平面図である。
図4a】それぞれ画素定義膜に形成されたチャネルの構造の一例を示すもので、前記チャネルの長手方向に切断した断面図である。
図4b】それぞれ画素定義膜に形成されたチャネルの構造の一例を示すもので、前記チャネルの長手方向に切断した断面図である。
図4c】それぞれ画素定義膜に形成されたチャネルの構造の一例を示すもので、前記チャネルの長手方向に切断した断面図である。
図4d】それぞれ画素定義膜に形成されたチャネルの構造の一例を示すもので、前記チャネルの長手方向に切断した断面図である。
図5a】それぞれ画素定義膜に形成されたチャネルの構造の一例を示すもので、前記チャネルの幅方向に切断した断面図である。
図5b】それぞれ画素定義膜に形成されたチャネルの構造の一例を示すもので、前記チャネルの幅方向に切断した断面図である。
図5c】それぞれ画素定義膜に形成されたチャネルの構造の一例を示すもので、前記チャネルの幅方向に切断した断面図である。
図6】本発明の一例による有機発光表示装置の構造をより詳細に示す図である。
図7】本発明の一例によるマスクの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に示す一例に基づいて本発明を詳細に説明する。しかし、本発明の範囲が下記に説明する図面や実施例によって限定されるものではない。添付図面は、多様な実施例のうち、本発明の説明に適した例を選択的に示したものであるばかりである。
【0026】
図面には理解に役立てるために各構成要素及びその形状などが簡略に示されるとか誇張して示されるものもあり、実際の製品にある構成要素が示されずに省略されることもある。したがって、図面は発明の理解のためのものに解釈しなければならない。一方、図面に同一役目をする要素は同一符号で表示する。
【0027】
また、ある層や構成要素が他の層または構成要素‘上’にあると記載されている場合には、前記ある層や構成要素が前記他の層や構成要素と直接接触して配置された場合だけでなく、その間に第3の層が挟まれている場合までも含む意味である。
【0028】
本発明の一例による有機発光表示装置は、図1に示すように、基板100、前記基板100上に配置された複数の第1電極200、前記第1電極の間に配置され、前記第1電極200の画素領域を区分する画素定義膜300、前記第1電極上に配置された発光層400、及び前記発光層400上に配置された第2電極500を含む。また、前記画素定義膜300は隣接した画素領域の間に配置されたチャネル(channel)310を持つ。画素定義膜300は、前記チャネル310の底部に当たる底面350を持つ。図1に示す一例において、前記底面350は前記チャネル310によって連結される二つの隣接した領域の間で最高点を持ち、前記最高点で画素領域に向けて下向傾斜が形成される。下向傾斜部は前記最高点を基準に対称となることもできるが、その形状がこれに限定されるものではない。
【0029】
図2及び図3には、本発明の一例による有機発光表示装置において、基板100に配置された第1電極200と画素定義膜300の構造を別に示している。
【0030】
図2は斜視図で、基板100、前記基板に形成された第1電極200及び前記第1電極を区分する画素定義膜300の構造を示す。前記図2に示すように、前記画素定義膜300にチャネル310が形成されている。前記画素定義膜300は隣接した第1電極の間に位置し、例えば壁を形成して画素領域を定義する。前記画素定義膜300にチャネル310を形成することによって前記隣接した画素領域どうし連結されるようにしている。
【0031】
図2に示すように、前記チャネル310は上部が開放しており、画素定義膜300は前記チャネル310の両側に側壁320を持ち、チャネル310の底部に当たる底面350を持つ。前記側壁320及び底面350によって定義される空間がチャネル310と言える。すなわち、前記チャネル310は溝状(furrow)または谷状(valley)を持つことができる。場合によって、前記底面350は平たいこともある。または、前記底面350は、図2に示すように、隣接したチャネルを連結するチャネル方向に切断した断面が三角形の頂点のように角をなした形態となることもできる。
【0032】
図3は前記第1電極200及び画素定義膜300を上部から見た平面図である。
【0033】
図2及び図3に示すように、前記チャネル310は一方向に整列された第1電極200を連結する方向に形成されることができる。図2及び図3は、前記チャネルがx方向に伸びた一例を示している。同図に示す一例とは異なり、前記チャネルはy方向に形成されることもでき、対角線方向に形成されることもできる。
【0034】
具体的に、前記チャネル310は少なくとも二つの画素領域を互いに連結するように画素定義膜300に形成され、所定の方向にチャネルが形成されることができる。前記複数のチャネル310は一方向に形成されることができる。図2及び図3はx軸方向にチャネルが形成されたものを示す。ここで、前記チャネルの形成方向をチャネルの長手方向またはチャネル延長方向と言える。図2及び図3において、チャネルの長手方向はx軸方向である。Y軸方向はチャネルの幅方向である。
【0035】
前記チャネル310はある一方向に隣接した画素領域を互いに連結する。すなわち、図2及び図3に示す実施例において、一つのチャネル310はx軸方向にチャネルの両側に配置された二つの画素領域(それぞれの画素領域は第1電極200を含む)を互いに連結する。
【0036】
図面に明示されてはいないが、画素定義膜は三つまたは四つ以上の画素領域を互いに連結するために多方向に形成されたチャネル310を備えることもできる。
【0037】
図2に示すように、底面350にはピーク(最高点)があり、これを基点として前記チャネル310の長手方向(x軸方向)に互いに異なる方向に傾斜が形成される。チャネル310のピークは画素定義膜300の上面の高さと同一であり、あるいはこれより低いことができる。
【0038】
前記画素定義膜300は、それぞれの画素領域を区分するために、第1電極200の角部に壁状に形成される。このように画素定義膜300が形成されることにより、前記第1電極200上に画素領域が定義される。前記画素定義膜200の形成後には、画素を形成するために、前記第1電極上の画素領域に多様な物質、特に多様な有機物質が積層される。この際、それぞれの物質は画素領域ごとに均一に分配されることが良い。ところで、前記画素定義膜300が壁状に存在するため、画素形成用物質を塗布する過程で前記物質がそれぞれの画素領域に均一に分配されない場合がある。
【0039】
蒸着過程で、画素の形成のために塗布された物質は画素定義膜上にも塗布され、乾燥などの過程で前記画素定義膜に塗布された物質が不均一に隣接の画素領域に移動する場合が発生する。この際、前記低側に移動する物質がそれぞれの画素領域に不均一に分配されれば、画素領域での物質不均一が発生する。このような物質不均一が発生すれば、画素ごとに発光が均一ではなくなることができる。本発明ではこのような物質不均一が発生することを抑制するために、前記のように画素定義膜300にチャネル310を形成するとともに、前述したように、底面350には傾斜が形成される。このような底面350の傾斜によって、画素定義膜上に塗布された画素形成物質がチャネルに沿って画素領域により効率よく移動するようになる。チャネル310と底面350によって物質が均一に画素領域に分配されることができる。
【0040】
前記傾斜のある底面350には最高点(h)が存在し、前記最高点(h)を中心に物質が分配される。物質の分配を考慮して、前記チャネル310の規格及び底面350の傾斜は蒸着対象物質の量や粘度などのようなパラメーターによって変わることができる。前記チャネル310は同じ形状となるようにすることもでき、傾斜も同じにすることもできる。
【0041】
前記チャネル310の底面350に形成される傾斜の角度があまりにも小さい場合、物質がなだらかに移動しないことができる。したがって、前記傾斜が大きいほど物質がもっと速く動く。しかし、画素定義膜300の高さに限界があり、チャネル310の長さに限界があるため、前記傾斜の角度には限界がある。このような理由で、前記傾斜の平均傾斜角度は第1電極面を基準に10°〜45°の範囲で決めることができる。傾斜の角度が前記範囲に限定されるものではない。チャネル310の役目をなだらかに遂行するために、底面350の傾斜角は画素定義膜の大きさ(高さ)によって変わることができる。前記底面350内で局所的に屈曲が生ずることができるため、局所的に傾斜角が大きい部分が生ずることもでき、局所的に傾斜角が小さな部分が生ずることもできる。
【0042】
図4aは図3のI−I’に沿って切断した断面図である。また、図4b〜図4dは、図3と同様に、基板100、第1電極200及び画素定義膜300を含む構造体を前記チャネル310の長手方向(x軸方向)に切断した他の一例を示す。
【0043】
図4a〜図4dにおいて、“350”で示した部分はチャネル310の底面である。
【0044】
図4からも分かるように、前記チャネル310の底面350は、第1電極200の上面を基準に高さが一番高い最高点と高さが一番低い最低点を持つことができる。同図において、最高点は“h”で示した部分であり、最低点はチャネル310の開始部分である。
【0045】
前記チャネル310において底面350の最高点(h)と最低点の高低差は0.2〜5μmの範囲となることができる。前記高低差は画素定義膜の大きさ及び高さによって変わることができる。画素定義膜が非常に薄い場合は前記高低差が前記範囲より小さいこともあり、画素定義膜が非常に厚い場合は前記高低差が前記範囲より大きいこともある。
【0046】
画素定義膜300にこのようにチャネル310が形成されても、前記画素定義膜310は前記第1電極200を互いに区分する役目をしなければならなく、前記第1電極200を互いに絶縁させる役目をしなければならない。よって、前記チャネル310の底面350は所定の高さ以上の高さを持たなければならない。ここで、高さは第1電極200の上面を基準に測定される。チャネル310があまり深く形成されて前記チャネル310の底面350と第1電極200の間の高低差が無くなれば前記第1電極の間で通電するおそれがある。このために、前記底面350の前記最高点(h)は所定の高さ以上の高さを持つ必要がある。一方、画素定義膜の厚さには限界があるため、前記底面の最高点の高さにも限界がある。このような点を考慮して、前記最高点(h)は前記第1電極の上面より0.3〜5μm程度高く形成することができる。
【0047】
また、前記チャネル310の底面350の最低点は第1電極200の上面と同一の高さとなることもでき、前記第1電極200より0.3〜数μm程度高いこともできる。
【0048】
図4a〜図4dにはチャネル310の底面350の形態が示されている。
【0049】
本発明の一例によれば、図4aに示すように、前記チャネル310の底面350は所定の最高点(h)を持ち、前記最高点(h)を基準にチャネル310の長手方向に両方向に互いに異なる傾斜面を持つことができる。
【0050】
本発明の他の一例によれば、図4bに示すように、前記チャネル310の底面350はチャネルの長手方向に一端(左側)は最低点となり、他端(右側)は最高点(h)となり、一方向に傾斜面を持つこともできる。
【0051】
本発明のさらに他の一例によれば、図4cに示すように、前記チャネル310の底面350は第1電極200と合う地点で最低点を持つことができる。
【0052】
本発明のさらに他の一例によれば、図4dに示すように、前記チャネル310の底面350は画素定義膜300の高さと同一高さの最高点(h)を持つこともできる。
【0053】
図5aは図3のII−II’に沿って切断した断面図である。図5b〜図5cはそれぞれチャネルの幅方向に切断したチャネル構造の他の一例の断面図を示す。図5a〜図5cに示すように、前記チャネル310の長手方向に垂直な方向(幅方向)に沿って切断した前記チャネルの断面は四角形(図5a)、逆三角形(図5b)またはU字形(図5c)の形態を持つことができる。
【0054】
図2及び図5a〜図5cに示すように、画素定義膜300は、前記チャネル310の長手方向にチャネル310の両側に側壁320を持つことができる。本発明の一例によれば、前記側壁320の幅は2〜10μmの範囲を持つことができる。
【0055】
本発明の一例によれば、前記第1電極200と前記発光層400の間には正孔注入層及び正孔輸送層の中で少なくとも一方がもっと配置されることができる。前記第1電極200と前記発光層400の間に正孔注入層及び正孔輸送層の両方が配置されることもできるのは言うまでもない。
【0056】
場合によって、前記正孔注入層と正孔輸送層の極性が互いに異なり、第1電極上に正孔注入層を形成した後に正孔輸送層を形成するとき、前記正孔輸送層形成用物質が前記正孔注入層上に均一に塗布されない場合がある。このような場合には、前記正孔注入層上にプライマーを塗布することもある。前記プライマー物質は正孔の輸送に邪魔とならないほどの良好な正孔輸送特性を持つとともに前記正孔注入層と正孔輸送層間の界面特性を向上させることができる物質の中で選択することができる。前記のようなプライマーを使う場合、正孔注入層と正孔輸送層間の界面特性が向上し、正孔輸送層形成用物質が前記正孔注入層上に均一に塗布されることができ、さらに前記のようなプライマーの存在によって発光特性に障害が生じなくなる。
【0057】
多様な物質を積層して画素を形成する場合、前記のようにそれぞれの物質間の物性差によっていずれか一物質層に他の物質がなだらかに塗布されないとき、前記のようなチャネルを形成することによって該当の物質が均一に分配されるようにすることができる。
【0058】
本発明の一例によるチャネル310は、特に印刷法(printing)によって画素形成用物質を積層するとき、インクが画素領域に均一に分布されるようにするのに特に有用に適用できる。
【0059】
本発明の一例においては、前記のようなチャネル310を持つ有機発光表示装置の製造方法をさらに提供する。前記有機発光表示装置の製造方法は、基板100上に複数の第1電極200を形成する段階、前記第1電極200の間に画素定義膜300を形成する段階、前記第1電極200上に発光層400を形成する段階、及び前記発光層400上に第2電極500を形成する段階を含み、前記画素定義膜300を形成する段階は、溝状の断面を持つとともに互いに隣り合う前記第1電極200どうしを連結するチャネル310を形成する段階を含む。
【0060】
図6は本発明の一例による有機発光表示装置の構造をより詳細に示している。以下には図6に基づいて本発明の一例による有機発光表示装置の製造方法を説明する。
【0061】
図6に示す有機発光表示装置において、基板100としては有機発光表示装置の製造に通常使われるガラスまたは高分子プラスチックを使うことができる。前記基板100は透明であっても不透明であってもよい。前記基板100は当業者の必要によって適切なものを選択して使うことができる。
【0062】
前記基板100上には第1電極200が配置される。前記第1電極200を形成する前、前記基板100上には複数の薄膜トランジスタ120を形成することができる。前記薄膜トランジスタ120は、ゲート電極121、ドレイン電極122、ソース電極123、及び半導体層124を含む。前記薄膜トランジスタ120にはゲート絶縁膜113及び層間絶縁膜115も備えられている。前記薄膜トランジスタ120の構造は図6に示された形態に限定されなく、他の形態に構成されることもできる。また、前記半導体層124は有機物または無機物から形成できる。前記薄膜トランジスタ120と第1基板100の間には必要によって酸化ケイ素または窒化ケイ素などから形成されたバッファ層111がさらに備えられることもできる。
【0063】
前記薄膜トランジスタ120の上部には第1電極200、発光層400及び第2電極500が順次に形成される。
【0064】
前記第1電極200は下部の薄膜トランジスタ120と電気的に連結される。この際、前記薄膜トランジスタ120を覆う平坦化膜117が備えられる場合、第1電極200は前記平坦化膜117上に配置され、前記第1電極200は前記平坦化膜117に備えられたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタ120に電気的に連結される。
【0065】
図6は前記第1電極200が陽極であるものを例示している。前記第1電極200は透明電極または反射電極から構成されることができる。透明電極から構成されるときには、ITO、IZO、ZnOまたはInから成されることができ、反射電極から構成されるときには、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crまたはこれらの化合物などから形成された反射膜と、前記反射膜上に配置されたITO、IZO、ZnOまたはInからなった膜とを含むことができる。
【0066】
前記第1電極200の間には画素定義膜300が形成される。前記画素定義膜300は絶縁材から形成され、前記第1電極200を画素単位で区分する。具体的に、前記第1電極200の縁部(edge)に前記画素定義膜300が形成されて前記第1電極を画素単位で区分して画素領域を定義する。すなわち、前記画素定義膜300が前記第1電極200の縁部を覆う。前記画素定義膜300は画素領域を定義する役目の外に、前記第1電極200の縁部と前記第2電極400の間の間隔を増やして、前記第1電極200の縁部に電界が集中する現象を防止することにより、第1電極200及び第2電極400の短絡を防止する役目もする。
【0067】
前記画素定義膜300を形成する段階では、フォトレジストを用いるパターン形成過程を含む。前記フォトレジストとしては、露光部が食刻されるポジティブ型(positive)と非露光部が食刻されるネガティブ型(negative)の中で適切なものを選択して適用することができる。
【0068】
具体的に、前記基板100上に第1電極200を形成した後、前記第1電極200を含む基板100の全面に画素定義膜形成用材料を塗布した後、これをパターニングすることで画素定義膜を形成することができる。前記画素定義膜形成用材料をパターニングする過程でフォトレジストが用いられる。前記パターニングによって前記第1電極200の上部の一部領域に存在する画素定義膜形成用材料を除去することによって前記第1電極200上に開口部が形成されるようにする。前記第1電極200上に形成された前記開口部が画素領域となる。
【0069】
前記画素定義膜形成用材料をパターニングする過程において、チャネル310が形成される領域にもパターニングを行ってチャネル310を形成する。
【0070】
前記パターン形成過程ではマスクを使う露光段階を実施することができる。
【0071】
すなわち、前記画素定義膜を形成する段階ではフォトレジスト及びマスクを使うパターン形成過程を含むことができ、前記マスクはチャネル形成部を持ち、前記チャネル形成部は長手方向に光透過量が変わるように形成されることができる。
【0072】
図7は前記マスク700の一例を示す。
【0073】
前記マスク700は、支持基板701、前記支持基板710上に形成された遮光部730、及び透光部710を含む。図7に示すマスク700において、前記透光部710は第1電極200上に形成される開口部に対応する。前記マスク700はポジティブ型フォトレジストを使う場合に適用できる。
【0074】
前記マスク700は前記透光部710の間に形成されたチャネル形成部720を持つ。前記チャネル形成部720はチャネルの長手方向に光透過量が変わるように構成されている。その結果、前記パターン形成過程では前記マスクによってチャネル形成部720の長手方向に沿って露光量が変わるようにすることができる。
【0075】
図7は、前記チャネル形成部720での光透過量がチャネルの長手方向に沿って変わるようにするために前記チャネル形成部720にスリットを配置したマスク700の一例を示す。前記チャネル形成部720において斜線部がスリットに相当する。図7に示すマスク700は、前記スリットの間隔が変わるようにすることによって光透過量が変わるようにする一例である。
【0076】
本発明の他の一例においては、前記マスク700のチャネル形成部720においてチャネルの長手方向に沿って光透過度が変わるようにすることもできる。例えば、スリットを配置する代わりに、チャネル形成部に吸光物質を塗布し、前記チャネルの長手方向に沿って塗布される吸光物質の濃度を異にする方法があり得る。
【0077】
本発明の一例によれば、前記マスク700のチャネル形成部720に当たる部分において、チャネルの長手方向のいずれか一部を中心に両方向に行くにつれて光透過量が変わるように前記チャネル形成部720を構成することができる。
【0078】
他の一例によれば、前記マスク700のチャネル形成部720において、チャネルの長手方向の一端から他端に行くにつれて光透過量が次第に変わるように前記チャネル形成部720を構成することもできる。
【0079】
本発明の一例によれば、前記画素定義膜300を形成する段階においては、前記チャネルの長手方向の両側に幅2〜10μmの側壁を形成することができる。
【0080】
前記画素定義膜300によって区分された第1電極200の開口部に発光層400が配置される。前記発光層400は赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層を含むことができる。前記発光層400は白色発光層を含むこともできる。また、前記発光層400は白色発光層のみからなることもできる。前記発光層400が白色発光層のみからなる場合、別途のカラーフィルター層をさらに備えることができる。
【0081】
前記発光層400は多様な方法によって形成されることができる。例えば、蒸着法、印刷法または転写用ドナーフィルムを用いる転写法によって形成されることもできる。
【0082】
一方、前記第1電極200と前記発光層400の間には正孔注入層及び正孔輸送層の中で少なくとも一つ以上をさらに備えることができる。前記正孔注入層及び正孔輸送層はマスクを用いる真空蒸着によって形成されることもでき、印刷法によって形成されることもできる。
【0083】
本発明の一例によれば、前記画素定義膜300を形成した後かつ前記発光層400を形成する前、前記第1電極200と前記画素定義膜300上の全面に正孔注入層形成用物質及び正孔輸送層形成用物質の中で少なくとも一つを塗布する段階をさらに含むことができる。この際、前記正孔注入層形成用物質及び正孔輸送層形成用物質の中で少なくとも一つを塗布する段階ではインクを用いるプリント法を適用することができる。
【0084】
図6は前記第1電極200と画素定義膜300の全領域にわたって正孔注入層450が形成されたものを例示している。
【0085】
図面には示されていないが、前記正孔注入層450上にプライマーを塗布した後、前記第1電極200の上部領域に正孔輸送層を形成することもできる。
【0086】
前記発光層、正孔注入層または正孔輸送層を形成する過程で印刷法を適用する場合、本発明のように画素定義膜300にチャネル310が形成されていれば、インクの均一分配に有用である。すなわち、印刷法を適用する場合、インクを該当の部分に塗布しなければならないが、物質間の物性差によって塗布がなだらかでないこともあり、さらにそれぞれの画素領域にインクが均一に分配されないこともある。ところが、本発明のように画素定義膜300にチャネル310が形成されている場合、前記チャネルに沿ってインクが画素領域に流入し、かつ前記チャネルに傾斜が形成されているので、画素の領域別にインクを分配するのに有利である。
【0087】
前記発光層400と画素定義膜300上には第2電極500が配置される。前記第2電極400は当該分野で一般的に使用する材料から形成できる。第2電極400も透明電極または反射電極からなることができる。前記第2電極400が透明電極からなるときは、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはこれらの化合物からなった膜と、その上に形成されたITO、IZO、ZnOまたはInなどの透明電極形成用膜を含むことができる。前記第2電極400が反射電極からなるときは、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはこれらの化合物を蒸着することでなることができる。
【0088】
前記発光層400と前記第2電極500の間には電子輸送層及び電子注入層の中で少なくとも一方をさらに含むことができる。前記電子輸送層と電子注入層も蒸着法、印刷法などによって形成することができる。図6は前記発光層400と前記第2電極500の間に電子注入層460が形成された場合を例示している。
【0089】
図面に示されていないが、前記第2電極500上には多様な種類の保護層またはシーリング層が配設されることができる。
【0090】
以上、実施例に基づいて本発明を説明した。前記説明は図面に示した実施例に基づいて開示したが、前記のような説明は例示的なものに過ぎなく、当該技術分野で通常の知識を持った者であればこれから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であろう。よって、本発明の技術的保護範囲は添付の特許請求範囲の技術的思想によって決まらなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、画素定義膜の構造が改善された有機発光表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
100 基板
200 第1電極
300 画素定義膜
310 チャネル
350 底面
400 発光層
500 第2電極
700 マスク
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図6
図7