(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記構成に関するデータは、室外機容量及び室内機の台数と該室内機の容量構成の少なくともいずれか一方を含む請求項5または請求項6に記載の省エネルギー支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されている装置では、記憶部に格納されている運転パターンが省エネルギー化の観点から最適なパターンとされているかを判断することが難しかった。また、現在の運転パターンよりも更に効果的に省エネルギー化を図れる運転パターンが存在していたとしても、そのようなパターンを積極的に取り入れることができないという不都合があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、省エネルギー化に貢献する情報を提供することのできる省エネルギー支援装置、空調システム、及び空調ネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、複数の空調システムとネットワークを介して接続される省エネルギー支援装置であって、各前記空調システムの設置環境に関するデータ、制御演算における入力データ及び中間値、及び消費電力を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された設置環境に関するデータを用いて、設置環境が近似する前記空調システムをグループ化するグループ作成手段と、同じグループに属する前記空調システムの中で、最も消費電力が少ない、または、成績係数が最も高い空調システムを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記空調システムの中間値を同じグループに属する他の空調システムに対して送信する送信手段とを具備し、
前記中間値は、設定温度に応じて設定される低圧側圧力目標値である省エネルギー支援装置である。
【0007】
本態様によれば、受信手段によって、各空調システムの各種データが受信され、それらデータを元に設置環境の近似する空調システム同士がグループ作成手段によってグループ化され、各グループの中で消費電力の最も小さい、または、成績係数の最も高い空調システムが選択手段によって選択される。そして、選択手段によって選択された空調システムの中間値(例えば、低圧側圧力目標値等)が、送信手段によって、同じグループに属する空調システムにベンチマークとして送信される。これにより、各空調システムに対して、その空調システムと設置環境が近似し、かつ、その空調システムよりも省エネルギー化を達成している空調システムの情報、つまり、省エネルギー化に貢献する有用な情報を与えることが可能となる。
また、上記省エネルギー支援装置によれば、外気温度、日射量、及び建物の向きのうち、少なくともいずれか二つを用いて設置環境が近似する空調システム同士をグループ化することが可能となる。
【0008】
上記省エネルギー支援装置は、データを蓄積するデータ蓄積手段を更に備え、前記選択手段は、同じグループに属する前記空調システムの中で、消費電力が最も大きい、または、成績係数が最も低い空調システムを選択し、選択した空調システムに関して受信したデータの全てまたはその一部を前記データ蓄積手段に蓄積することとしてもよい。
【0009】
この省エネルギー支援装置によれば、各グループの中で消費電力が最も大きな、または、成績係数の最も低い空調システムが選択手段によって選択され、選択された空調システムの受信データの全てまたはその一部がデータ蓄積手段に蓄積されることとなる。これにより、例えば、データ蓄積手段に蓄積されたデータを解析することにより、異常予兆の傾向を把握することができ、異常予兆検知に有効に利用されることが期待できる。
【0010】
上記省エネルギー支援装置において、前記
中間値は、他の空調システムの表示部に表示させるための情報要素であってもよい。
【0011】
上記省エネルギー支援装置において、
前記設置環境に関するデータは、外気温度、日射量、及び建物の向きの少なくとも一つを含むこととしてもよい。
【0012】
本発明の第2態様は、複数の空調システムとネットワークを介して接続される省エネルギー支援装置であって、各前記空調システムの構成に関するデータ、制御演算における中間値、及び消費電力を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された構成に関するデータを用いて、構成が近似する前記空調システムをグループ化するグループ作成手段と、同じグループに属する前記空調システムの中で、最も消費電力が少ない、または、最も成績係数が高い空調システムを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された前記空調システムの中
間値を同じグループに属する他の空調システムに対して送信する送信手段とを具備する省エネルギー支援装置である。
【0013】
本態様によれば、受信手段によって、各空調システムの各種データが受信され、それらデータを元に機器構成の近似する空調システム同士がグループ作成手段によってグループ化され、各グループの中で消費電力の最も小さい、または、成績係数の最も高い空調システムが選択手段によって選択される。そして、選択手段によって選択された空調システムの中間値が、送信手段によって、同じグループに属する空調システムにベンチマークとして送信される。これにより、各空調システムに対して、その空調システムと機器構成が近似し、かつ、その空調システムよりも省エネルギー化を達成している空調システムの情報、つまり、省エネルギー化に貢献する有用な情報を与えることが可能となる。
【0014】
上記省エネルギー支援装置は、データを蓄積するデータ蓄積手段を更に備え、前記選択手段は、同じグループに属する前記空調システムの中で、消費電力が最も大きい、または、成績係数が最も低い空調システムを選択し、選択した空調システムに関して受信したデータの全てまたはその一部を前記データ蓄積手段に蓄積することとしてもよい。
【0015】
この省エネルギー支援装置によれば、各グループの中で消費電力が最も大きな、または、成績係数の最も低い空調システムが選択手段によって選択され、選択された空調システムの受信データの全てまたはその一部がデータ蓄積手段に蓄積されることとなる。これにより、例えば、データ蓄積手段に蓄積されたデータを解析することにより、異常予兆の傾向を把握することができ、異常予兆検知に有効に利用されることが期待できる。
【0016】
上記省エネルギー支援装置において、前記構成に関するデータは、室外機容量及び室内機の台数と該室内機の容量構成の少なくともいずれか一方を含むこととしてもよい。
【0017】
上記省エネルギー支援装置によれば、室外機容量及び室内機の台数と該室内機の容量構成の少なくともいずれか一方の情報を用いて、機器構成が近似する空調システム同士をグループ化することが可能となる。
【0018】
本発明の第3態様は、
上記いずれかに記載の省エネルギー支援装置と、前記省エネルギー支援装置とネットワークを介して接続される複数の空調システムと、を具備する空調ネットワークシステムである。
上記空調ネットワークシステムにおいて、前記空調システムは、通信手段を備える室外機と、通信手段を備える室内機と、通信媒体を介して前記室外機及び前記室内機と通信可能とされた制御装置とを備え、前記制御装置は、前記室外機を制御する室外機制御手段と、前記室内機を制御する室内機制御手段と、消費電力を管理する消費電力管理手段と、表示手段とを備え、前記室外機制御手段は、前記通信媒体を介して前記室外機の機器情報及びセンサ値を取得するとともに、該室外機に搭載される機器へ制御指令を出力し、前記室内機制御手段は、前記通信媒体を介して前記室内機の機器情報及びセンサ値を取得するとともに、該室内機に搭載される機器へ制御指令を出力し、前記消費電力管理手段は、各前記空調システムの設置環境に関するデータ、構成に関するデータ、制御演算における入力データ及び中間値、及び消費電力を省エネルギー支援装置に送信可能とされ、前記省エネルギー支援装置から中間値を取得した場合に、該中間値を指標値として前記表示手段に表示させ
てもよい。
【0019】
本態様によれば、室内機制御手段及び室外機制御手段を1つの制御装置に集約させるので、室内機及び室外機の構成を簡素化することが可能となり、低コスト化を図ることができる。さらに、室内機及び室外機に高度なプログラムを搭載する必要がなく(例えば、通信と部品のアクチュエート機能のみの搭載とされている)、機器の陳腐化がなく、室外機及び室内機の交換も容易に行うことが可能となる。
更に、室内機制御手段及び室外機制御手段が室内機及び室外機とは独立して設けられた制御装置内に設けられているので、例えば、室内機制御手段及び室外機制御手段を空調システムの製造元の管理下に置くことで、プログラムに関する更新等の作業を容易に行うことが可能となる。
【0020】
上記空調
ネットワークシステムにおいて、前記室外機制御手段及び前記室内機制御手段は、仮想化された制御部として前記制御装置に搭載されていてもよい。
【0021】
このように、仮想化された制御部として存在させることにより、接続機器に応じて柔軟に制御手段を生成することが可能となる。また、空調システムの規模に応じて制御装置のハードウェア資源を決定すればよいので、CPU資源の無駄を低減させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、省エネルギー化に貢献する情報を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の第1実施形態に係る空調ネットワークシステムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る空調ネットワークシステムの全体構成を概略的に示した図である。
図1に示すように、空調ネットワークシステム100は、複数の空調システム1a、1b、・・・1nと、省エネルギー支援装置10とを備えている。各空調システム1a〜1nと省エネルギー支援装置10とは、ネットワーク4を介して接続され、相互間での情報の授受が可能な構成とされている。
【0026】
図2は、空調システム1aの冷媒系統の一例を示した図である。なお、以下は空調ネットワークシステム100を構成する空調システムの構成の一例であり、全ての空調システムの構成を限定するものではない。つまり、各空調システムは、目的に応じて多様な構成を採ることができ、例えば、その一例として、以下の構成の他、一般的なマルチ型空調システムや、家庭用空調機のように、室外機と室内機とが1対1で存在しているような空調システムであってもよい。
【0027】
図2に示すように、空調システム1aは、1台の室外機Bと、該室外機Bと共通の冷媒配管により接続される複数の室内機A1、A2とを備える。
室外機Bは、例えば、冷媒を圧縮して送出する圧縮機11、冷媒の循環方向を切り換える四方弁12、冷媒と外気との間で熱交換を行う室外熱交換器13、室外ファン15、冷媒の機液分離等を目的として圧縮機11の吸入側配管に設けられたアキュムレータ16等を備えている。また、室外機Bには、冷媒圧力を計測する圧力センサ21、冷媒温度等を計測する温度センサ24等の各種センサ類20(
図3参照)が設けられている。
【0028】
室内機A1、A2はそれぞれ、室内熱交換器31、室内ファン32、及び電子膨張弁33等を備えている。2台の室内機A1、A2は、それぞれ室外機B内のヘッダー22、ディストリビュータ23で分岐された各冷媒配管21A、21Bに接続されている。
【0029】
図3は、本実施形態に係る空調システム1aの電気的構成図である。
図3に示すように、室内機A1、A2、室外機B、制御装置3が共通バス5を介して接続されており、相互の情報の授受が可能な構成とされている。なお、共通バス5は、通信媒体の一例であり、通信は無線、有線を問わない。
【0030】
ここで、一般的なマルチ型空調システムでは、各室内機ユニット及び室外機ユニットの内部に、それぞれ制御装置が設けられている。これに対し、本実施形態では、各室内機制御部41、42及び室外機制御部43は、室内機A1、A2及び室外機Bとは独立して存在し、制御装置3内に集約されている。室内機3において、室内機制御部41、42及び室外機制御部43は、個別のハードウェアとして設けられていてもよいし、1つのハードウェア上に仮想的に生成されるものであってもよい。仮想的に生成される場合には、それらの制御部を仮想的に存在させるためのプログラムを予め用意しておけばよい。室内機制御部41、42及び室外機制御部43は、互いに情報の授受が可能な構成とされている。
【0031】
制御装置3には、更に、消費電力管理部44、及び表示部45が設けられている。
消費電力管理部44は、室内機制御部41、42及び室外機制御部43との間で情報の授受が可能な構成とされている。消費電力管理部44は、例えば、空調システム1aの消費電力が予め設定されているデマンド値を超えないように管理するものである。消費電力管理部44は、例えば、消費電力とデマンド値とを比較し、所定のアルゴリズムに従って室外機制御部43に対して運転制御指令を出力する。また、消費電力管理部44は、後述するように、室内機制御部41、42及び室外機制御部43から室内機A1,A2の機器情報、制御演算の入力データ及び中間値、並びに室外機Bの機器情報、制御演算の入力データ及び中間値を取得し、これらデータの全部または一部を消費電力とともに省エネルギー支援装置10に送信する。また、省エネルギー支援装置10から中間値等を受信した場合には、その中間値等を表示部45に表示させることにより、ユーザに提示する。消費電力管理部44は、上記室内機制御部41等と同様に、1つのハードウェア上に仮想的に存在してもよいし、別個のハードウェアとして設けられていてもよい。表示部45は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0032】
室内機A1において、室内ファン32、電子膨張弁33等(
図2参照)の各種機器51に対応してそれぞれ設けられている各種ドライバ52は、ゲートウェイ(通信手段)53を介して共通バス5に接続されている。なお、図示が省略されているが、室内機A2も室内機A1と同様の構成とされている。
室外機Bにおいて、圧縮機11、四方弁12、室外ファン13等(
図2参照)の各種機器61に対応してそれぞれ設けられている各種ドライバ62は、ゲートウェイ(通信手段)63を介して共通バス5に接続されている。
【0033】
ゲートウェイ53、63は、例えば、通信ドライバ、アドレス記憶領域、機器属性記憶領域、OS、通信フレームワークを含む機能の集まりである。アドレス記憶領域は、制御装置3等と通信を行うために予め割り振られている固有のアドレスを記憶するための記憶領域である。また、機器属性記憶領域は、自身の属性情報及び保有する機器51、61の属性情報を記憶するための領域であり、例えば、室内機であるか室外機であるか、能力、搭載センサ類(例えば、温度センサ、圧力センサ等)、機器の情報(例えば、ファンタップ数、弁のフルパルス等)等の情報が格納されている。
【0034】
さらに、室外機B及び室内機A1、A2に設けられたセンサ類20(例えば、冷媒圧力を計測する圧力センサや冷媒温度を計測する温度センサ等)は、それぞれADボード71を介して共通バス5に接続されている。ここで、センサ類20の計測精度が低い場合には、ADボード71とセンサ類20との間に、計測値を補正するための補正機能を有するノードを設けることとしてもよい。このように、補正機能を持たせることにより、センサ類20として廉価で計測精度のさほど高くないセンサを利用することが可能となる。
【0035】
このような空調システムにおいては、例えば、制御装置3の室内機制御部41、42は、共通バス5を介してセンサ類20、各種ドライバ52、62から計測データ(制御演算の入力データ等)や制御情報を取得し、これらの計測データに基づいて、所定の室内機制御プログラムを実行することにより、室内機A1、A2に設けられた各種機器(例えば、室内ファン32、電子膨張弁33等)に対して制御指令を出力する。制御指令は、共通バス5、ゲートウェイ53を介して各種ドライバ52へ送られる。各種ドライバ52は、受信した制御指令に基づいて、それぞれ対応する機器を駆動する。これにより、制御指令に基づく室内機A1、A2の制御が実現される。
【0036】
同様に、制御装置3の室外機制御部43は、共通バス5を介してセンサ類20、各種ドライバ52、62から計測データ(制御演算の入力データ等)や制御情報を取得し、これらの計測データに基づいて、所定の室外機制御プログラムを実行することにより、室外機Bに設けられた各種機器(例えば、圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、室外ファン15等)に対して制御指令を出力する。制御指令は、共通バス5、ゲートウェイ63を介して各種ドライバ62へ送られる。各種ドライバ62は、受信した制御指令に基づいて、それぞれ対応する機器を駆動する。
【0037】
室内機A1、A2及び室外機Bは、それぞれ室内機制御部41、42及び室外機制御部43によって自律分散制御されてもよい。この場合、室内機A1、A2及び室外機B間には、制御ルールが設定されており、この制御ルールに従ってそれぞれが制御を行う。たとえば、冷媒圧力を例に挙げると、室内機A1、A2は、センサ類20から取得した冷媒圧力が、所定の第1許容変動範囲内の場合には、ユーザなどに設定された設定温度や設定風量に、実温度や実風量を一致させるための制御指令を決定し、共通バス5を介して室内機A1、A2にそれぞれ出力する。ここで、室内機制御部41、42は、互いに情報の授受を行い協調することにより、各々の制御指令を決定することとしてもよい。また、室外機制御部43は、冷媒圧力を所定の第2許容変動範囲内に維持するための空調システム1の出力指令、例えば、圧縮機11の回転数や室外ファン15の回転速度等に関する制御指令を決定し、共通バス5を介して室外機Bに送信する。
例えば、第1許容範囲を第2許容範囲よりも広く設定しておくことで、室外機制御部43は室内機A1、A2の出力変化情報を把握し、室外機Bの挙動を決定することが可能となる。
【0038】
次に、省エネルギー支援装置10について説明する。
図4は、本実施形態に係る省エネルギー支援装置10の機能ブロック図である。省エネルギー支援装置10は、例えば、コンピュータであり、プロセッサ、主記憶装置(例えば、RAM(Random access memory))、ハードディスクなどを備えている。プロセッサは、ハードディスクに格納されている各種プログラム(例えば、省エネルギー支援プログラム)を主記憶装置にロードして実行することにより、後述する各機能が実現される。
【0039】
図4に示すように、省エネルギー支援装置10は、受信部81と、グループ作成部82と、選択部83と、送信部84とを備えている。
受信部81は、各空調システムから送信されてくるデータを受信する。受信するデータの具体例としては、各空調システムの設置環境に関するデータ、制御演算における入力データ及び中間値(例えば、低圧側圧力目標値等)、及び消費電力等が挙げられる。
ここで、設置環境に関するデータとしては、例えば、外気温度、日射量、及び建物の向きなどが挙げられる。制御演算における入力データとしては、例えば、外気温度、設定温度、室内吸い込み温度、低圧側圧力、高圧側圧力、膨張弁開度等が挙げられる。中間値としては、例えば、低圧側圧力目標値等が挙げられる。
【0040】
グループ作成部82は、受信部81によって受信された設置環境に関するデータを用いて、設置環境が近似する空調システムを抽出し、グループを作成する。
選択部83は、同じグループに属する空調システムの中で、最も消費電力が少ない空調システムを選択する。
送信部84は、選択部83によって選択された空調システムの中間値(例えば、低圧側圧力目標値等)をベンチマーク(指標値)として、同じグループに属する他の空調システムに対して送信する。
【0041】
次に、上記構成を備える空調ネットワークシステム100の動作について説明する。
まず、運転中の各空調システム1a〜1nにおいては、設置環境に関するデータ(外気温度、日射量等)、制御入力データ(外気温度、設定温度、室内吸い込み温度、低圧側圧力、高圧側圧力、膨張弁開度等)及び制御演算に関する中間値(例えば、低圧側圧力目標値等)が消費電力管理部44によって収集され、これらの情報が消費電力とともに通信媒体4を介して省エネルギー支援装置10に送信される。
【0042】
省エネルギー支援装置10において、これら各空調システムから送られてきたデータは、受信部81(
図4参照)において受信され、グループ作成部82に出力される。
グループ作成部82では、各空調システムにおける設置環境に関するデータを比較し、それらの誤差が所定の近似範囲内である空調システムを抽出して、設置環境が近似する空調システムのグループ化を行う。例えば、外気温度の差分が1℃以内であり、かつ、日射量の差分が300[W/m
2]以内である空調システム同士をグループ化する。
【0043】
続いて、選択部83において、同じグループに属する空調システムのうち、消費電力が最も小さい空調システムが選択される。そして、送信部84では、選択部83によって選択された空調システムの中間値(例えば、低圧側圧力目標値等)が、そのグループに属する他の空調システムに対して送信される。
【0044】
これにより、選択部83によって選択されなかった空調システムにおいては、自身と近似する設置環境にあり、かつ、自身よりも小さな消費電力で運転している空調システムの中間値をベンチマーク(指標)として取得することが可能となる。そして、この中間値を受信した各空調システムにおいては、表示部45にベンチマークとしての中間値が表示されることとなる。これにより、ユーザに対して、更に消費電力を落とすための一つの手法を提示することが可能となる。また、省エネルギー支援装置10から受信した中間値を制御に取り入れることにより、消費電力の更なる削減を期待することができる。
【0045】
そして、上記のような処理が所定の時間間隔で繰り返し行われることにより、各空調システムにおいては、自身よりも省エネルギーの観点から効果的な運転を行っている空調システムの情報を継続的に得ることが可能となる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る省エネルギー支援装置、空調システム、及び空調ネットワークシステムによれば、各空調システムの各種データを収集し、それらデータを元に設置環境の近似する空調システム同士をグループ化し、各グループの中で消費電力の最も小さい空調システムを選択し、その空調システムの中間値(例えば、低圧側圧力目標値等)を同じグループに属する空調システムにベンチマークとして送信する。これにより、各空調システムは、自身と近似する設置環境にあり、かつ、自身よりも省エネルギー化を達成している空調システムの情報、つまり、自身の省エネルギー化に貢献する有用な制御情報を得ることができる。
【0047】
例えば、運転状況が似ている空調システム同士において、各空調システムにおける消費電力が異なる理由として、設定温度に応じて設定される低圧側圧力目標値の決め方が異なっている可能性がある。そのため、これらの値(中間値)を他の空調システムに提示することにより、省エネルギー化を図るためのヒントを与えることが可能となる。
【0048】
また、上記中間値に加えて、保護制御を機能させるときに参照される閾値などについても送信することとしてもよい。保護制御を機能させるときに参照される閾値、例えば、圧縮機の緊急停止や保護制御に利用される低圧側圧力閾値や高圧側圧力閾値などによっても消費電力が変わってくるため、これらの値についても各空調システムに提示することにより、省エネルギー化へのヒントを与えることが可能となる。
【0049】
なお、各空調システム1a〜1nから各種データを省エネルギー支援装置10に送信するデータは、瞬時値でもよいし、所定期間における平均値(例えば、1時間における平均値)であってもよい。
【0050】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る省エネルギー支援装置、空調システム、及び空調ネットワークシステムについて説明する。
本実施形態に係る空調ネットワークシステムにおいては、省エネルギー支援装置の構成が上述した第1実施形態と異なる。
以下、本実施形態の省エネルギー支援装置について、上述した第1実施形態に係る空調ネットワークシステムと異なる点について主に説明する。
図5は、本実施形態に係る省エネルギー支援装置の機能ブロック図である。
図5に示すように、省エネルギー支援装置10aは、受信部81と、グループ作成部82と、選択部83´と、データ蓄積部85とを備えている。受信部81、グループ作成部82については、上述した第1実施形態と同様である。選択部83´は、同じグループに属する空調システムのうち、消費電力が最も大きな空調システムを選択し、その空調システムに関する受信データをデータ蓄積部85に蓄積する。これにより、各グループ内において最も消費電力が大きな空調システムに関するデータがデータ蓄積部85に蓄積されることとなる。
そして、このように蓄積されたデータは、異常予兆データとして取り扱われ、分析されることにより、異常の予兆検知に利用されることとなる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る省エネルギー支援装置、空調システム、及び空調ネットワークシステムによれば、受信部81が各空調システムの各種データを収集し、グループ作成部82がそれらデータを元に設置環境の近似する空調システム同士をグループ化し、選択部83´が各グループの中で消費電力が最も大きな空調システムを選択し、選択した空調システムの受信データを異常予兆データとしてデータ蓄積部85に蓄積する。これにより、データ蓄積部85に蓄積された膨大なデータを解析することにより、異常予兆の傾向を把握することができ、異常予兆検知に有効に利用されることが期待できる。
【0052】
更に、選択部83´に選択された空調システムの受信データと、同じグループに属する他の空調システムの受信データ、あるいは、それらの平均データとをそれぞれ比較し、差が一定値を超えているデータのみをデータ蓄積部85に蓄積することとしてもよい。このように、例えば、他の空調システムとのデータと比べて明らかに違いがみられるデータのみを蓄積することにより、蓄積するデータ量を削減することができ、分析を容易にすることができるとともに、データ蓄積部85の容量増加を抑制することが可能となる。
【0053】
なお、本実施形態に係る省エネルギー支援装置10aと、上述した第1実施形態に係る省エネルギー支援装置10とを組み合わせることとしてもよい。このように、第1実施形態に係る省エネルギー支援装置10に対して、選択部83´と、データ蓄積部85を組み合わせることにより、各空調システムに対して省エネルギーに貢献する情報を提供することができるとともに、異常予兆の分析を可能とすることができる。
【0054】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る省エネルギー支援装置、空調システム、及び空調ネットワークシステムについて説明する。
上述した第1実施形態では、グループ作成部82が、設置環境の近似する空調システム同士をグループ化していたが、本実施形態では、グループ作成部が空調システムの構成の近似する空調システム同士をグループ化する点が異なる。
以下、本実施形態に係る省エネルギー支援装置について、上述した第1実施形態に係る空調ネットワークシステムと異なる点について主に説明する。
【0055】
図6は、本実施形態に係る省エネルギー支援装置10bの機能ブロック図である。
図6に示すように、省エネルギー支援装置10bは、受信部81と、グループ作成部82´と、選択部83と、送信部84とを備えている。
このような省エネルギー支援装置10bでは、各空調システムから送信された、構成に関するデータ(例えば、室外機出力(室外機が運転中に発揮している能力)及び室内機の運転台数と運転中の室内機の容量)、制御入力データ(外気温度、設定温度、室内吸い込み温度、低圧側圧力、高圧側圧力、膨張弁開度等)及び制御演算に関する中間値(例えば、低圧側圧力目標値等)が受信部81によって受信される。
【0056】
続いて、グループ作成部82´は、受信部81によって受信された構成に関するデータを比較し、構成が同一の(または近似する)空調システムのグループ化を行う。例えば、室外機の出力が所定の範囲内であり、かつ、運転中の室内機容量の合計が所定の範囲内にある空調システム同士を同じグループとする。グループ化の条件についてはこれに限定されず、他の条件を用いてもよい。例えば、室外機の出力が所定の範囲内であり、室内機台数が同じであり、かつ、その容量が所定の範囲内にある空調システム同士を同じグループとする場合などが例示される。
続いて、選択部83によって、同じグループに属する空調システムのうち、消費電力が最も小さい空調システムが選択される。そして、送信部84では、選択部83によって選択された空調システムの中間値(低圧側圧力目標値等)が、そのグループに属する他の空調システムに対して送信される。
【0057】
上記説明したように、本実施形態に係る省エネルギー支援装置、空調システム、及び空調ネットワークシステムによれば、システム構成に基づいて空調システムがグループ化されることとなる。これにより、各空調システムは、自身とほぼ同一規模であり、かつ、自身よりも省エネルギー化を達成している空調システムの情報、つまり、自身の省エネルギー化に貢献する有用な制御情報を得ることができる。
【0058】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る省エネルギー支援装置、空調システム、及び空調ネットワークシステムについて説明する。
本実施形態に係る空調ネットワークシステムにおいては、省エネルギー支援装置の構成が上述した第3実施形態と異なる。
以下、本実施形態の省エネルギー支援装置10cについて、上述した第1実施形態に係る空調ネットワークシステムと異なる点について主に説明する。
図7は、本実施形態に係る省エネルギー支援装置10cの機能ブロック図である。
図7に示すように、省エネルギー支援装置10cは、受信部81と、グループ作成部82´と、選択部83´と、データ蓄積部85とを備えている。受信部81、グループ作成部82´については、上述した第3実施形態と同様である。選択部83´は、同じグループに属する空調システムのうち、消費電力が最も大きな空調システムを選択し、その空調システムに関する受信データをデータ蓄積部85に蓄積する。これにより、各グループ内において最も消費電力が大きな空調システムに関するデータがデータ蓄積部85に蓄積されることとなる。そして、このように蓄積されたデータは、異常予兆データとして取り扱われ、分析されることにより、異常の予兆検知に利用されることとなる。
上述のように、第4実施形態に係る省エネルギー支援装置は、第2実施形態に係る選択部83´及びデータ蓄積部85と、第3実施形態に係るグループ作成部等とを組み合わせた構成とされている。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る省エネルギー支援装置、空調システム、及び空調ネットワークシステムによれば、受信部81が各空調システムの各種データを収集し、グループ作成部82´がそれらデータを元に機器構成の近似する空調システム同士をグループ化し、選択部83´が各グループの中で消費電力が最も大きな空調システムを選択し、選択した空調システムの受信データを異常予兆データとしてデータ蓄積部85に蓄積する。これにより、データ蓄積部85に蓄積された膨大なデータを解析することにより、異常予兆の傾向を把握することができ、異常予兆検知に有効に利用されることが期待できる。
【0060】
なお、本実施形態においては、更に、選択部83´に選択された空調システムの受信データと、同じグループに属する他の空調システムの受信データ、あるいは、それらの平均データとをそれぞれ比較し、差が一定値を超えているデータのみをデータ蓄積部85に蓄積することとしてもよい。このように、例えば、他の空調システムとのデータと比べて明らかに違いがみられるデータのみを蓄積することにより、蓄積するデータ量を削減することができ、分析を容易にすることができるとともに、データ蓄積部85の容量増加を抑制することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態に係る省エネルギー支援装置10cと、上述した第3実施形態に係る省エネルギー支援装置10bとを組み合わせることとしてもよい。このように、第3実施形態に係る省エネルギー支援装置10bに対して、選択部83´と、データ蓄積部85を組み合わせることにより、各空調システムに対して省エネルギーに貢献する情報を提供することができるとともに、異常予兆の分析を可能とすることができる。
【0062】
以上、本発明の各実施形態について説明してきたが、本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。以下、その一例を例示する。
【0063】
例えば、上述した各実施形態においては、選択部83、83´は消費電力の最も高い、または、最も低い空調システムを選択していたが、これに代えて、成績係数(COP)の最も高い、または、最も低い空調システムを選択することとしてもよい。このように、成績係数に基づいて空調システムを選択することによっても、省エネルギー化に貢献する情報や異常予兆の傾向をつかむのに有効なデータを得ることが可能である。
【0064】
更に、グループ作成部82、82´においては、互いに、機器構成及び設置環境の面が互いに近似する空調システム同士をグループ化することとしてもよいし、更にこれらの条件に加えて、吸い込み温度と設定温度との差が近い空調システムをグループ化することとしてもよい。このように、条件を加えることにより、更に運転状態の近似する空調システム同士をグループ化することが可能となる。
【0065】
また、上記実施形態では、省エネルギー支援装置10、10bから各空調システムに対して中間値(例えば、低圧側圧力目標値等)、保護制御を機能させるときに参照される閾値等を送信する場合について例示していたが、これに加えて、グループ内で消費電力が最も低かった空調システムの入力データや設置環境データまたは機器構成データ等についても送信することとしてもよい。このように、より多くのデータを提供することで、これらの情報を取得した空調システムでは、より多くのデータに基づくより詳細な分析が可能となり、省エネルギー化を更に促進させるためにはどのような値をどのように代えたらよいのかを検討することが可能となる。