特許第6552807号(P6552807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552807
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】上下調節可能な脚を有する家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 9/12 20060101AFI20190722BHJP
   A47B 9/20 20060101ALI20190722BHJP
   A47C 3/32 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   A47B9/12
   A47B9/20
   A47C3/32
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-233546(P2014-233546)
(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-119956(P2015-119956A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】13405130.9
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513261314
【氏名又は名称】ウーエスエム ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シェーラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディーネス
(72)【発明者】
【氏名】ニクラウス ホルチ
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−170202(JP,U)
【文献】 特開平05−293016(JP,A)
【文献】 特開2012−161386(JP,A)
【文献】 特開平09−262136(JP,A)
【文献】 実開昭56−027032(JP,U)
【文献】 実開昭59−048243(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0279261(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第03634059(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 9/00
A47B 9/12
A47B 9/20
A47C 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の長さ調節可能な脚(15、15.1、15.2)を有する家具であって、
前記長さ調節可能な脚(15、15.1、15.2)は、
a)中空体である第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)と、
b)第1の軸(A)に沿って直線変位可能であるように、前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)の内側に取り付けられる第2の伸縮要素(3、3.1、3.2)と、
c)前記第2の伸縮要素(3、3.1、3.2)に配置されるロック装置(16)であって、少なくとも1つの第1のピン(17)を有し、力嵌め接続又は形状嵌め接続により前記第2の伸縮要素(3、3.1、3.2)に対する前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)の移動を前記少なくとも1つの第1のピン(17)が防止する第1の位置から、前記変位が防止されない第2の位置へと、駆動機構(28)によって前記少なくとも1つの第1のピン(17)が移動可能である、ロック装置(16)と、
を備え、
前記ロック装置(16)は、少なくとも1つの第2のピン(30)であって、前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)に対して前記第2の伸縮要素(3、3.1、3.2)を滑り止めするために前記少なくとも1つの第2のピン(30)が前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)の壁の内面に押し付けられる第1の状態から、前記少なくとも1つの第2のピン(30)が前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)の前記壁から或る間隔のところにある第2の状態へと、前記駆動機構(28)によって移動可能である少なくとも1つの第2のピン(30)を有することを特徴とする、家具。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1のピン(17)は、前記第1の軸(A)に対して直角である第2の軸(B)に沿って移動可能であるように、前記ロック装置(16)に取り付けられ、ロック位置からアンロック位置への、前記第1の軸(A)に沿った第1の方向(41)への第1の復帰力に対抗した前記駆動機構(28)の移動は、前記第1の位置から前記第2の位置への、前記第2の軸(B)に沿った前記少なくとも1つの第1のピン(17)の移動へと、第1の摺動区画(19)によって変換されることを特徴とする、請求項1に記載の家具。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2のピン(30)は、前記第1の軸(A)に対して直角であり且つ前記第2の軸(B)に対して直角である第3の軸(C)に沿って移動可能であるように、前記ロック装置(16)に取り付けられ、前記ロック位置から前記アンロック位置への、前記少なくとも1つの第2のピン(30)に作用する第2の復帰力に対抗した前記駆動機構(28)の移動は、前記第1の状態から前記第2の状態への、前記第3の軸(C)に沿った前記少なくとも1つの第2のピン(30)の移動へと、第2の摺動区画(32)によって変換されることを特徴とする、請求項2に記載の家具。
【請求項4】
前記第2の摺動区画(32)は、前記第1の軸(A)に沿って直線移動可能である第2のプレート(3131.1、31.2)内に入れられた第2の溝であり、前記第2の溝内で、前記少なくとも1つの第2のピン(30)に配置される第2のジャーナル(33)がガイドされることを特徴とする、請求項3に記載の家具。
【請求項5】
前記第2の摺動区画(32)は、第2の領域(36)におけるよりも大きい勾配を第1の領域(35)において有する湾曲部として存在し、前記少なくとも1つの第2のピン(30)が、前記第1の領域(35)における前記第2の状態から、前記第2の領域(36)における前記第1の状態に移ることを特徴とする、請求項4に記載の家具。
【請求項6】
前記駆動機構(28)は、第2の駆動体(37)を有し、前記第2の駆動体(37)は、前記駆動機構(28)が前記ロック位置から前記アンロック位置に移動すると、前記第2のプレート(31、31.1、31.2)の第2のストップ面(38)に当接することを特徴とする、請求項4又は5に記載の家具。
【請求項7】
前記ロック装置(16)は、前記第2の伸縮要素(3、3.1、3.2)の内側に配置され、少なくとも1つの開口が、前記第2の伸縮要素(3、3.1、3.2)の壁に設けられており、前記開口を通って前記少なくとも1つの第2のピン(30)が移動できることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の家具。
【請求項8】
前記駆動機構(28)は、ボーデンケーブルであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の家具。
【請求項9】
前記第2の伸縮要素(3、3.1、3.2)の外面の壁と相互作用する少なくとも1つの滑り軸受(39)が、少なくとも1つの前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)の第1の端の領域内において前記壁の前記内面に配置されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の家具。
【請求項10】
前記第2の伸縮要素(3、3.1、3.2)は、前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)の前記壁の前記内面と相互作用する少なくとも1つの転がり軸受(26.1、26.2、26.3、26.4)を第2の端に有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の家具。
【請求項11】
前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)の第2の端から第1の端に延びる少なくとも1つのアームピン(23.1、23.2)が、前記第1の伸縮要素(2、2.1、2.2)の内側に配置され、前記少なくとも1つの第のピン(17)は、前記第1の位置で力嵌め式又は形状嵌め式に前記アームピン(23.1、23.2)と相互作用することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家具に関し、特に、少なくとも1本の上下調節可能な脚を有するテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
上下調節可能な家具、特に、上下調節可能なワークテーブルが、当該分野において知られている。
【0003】
例えば、特許文献1が、ワーク面が2本の矩形の伸縮脚に支持される上下調節可能なワークテーブルを記載している。伸縮脚はそれぞれ2つの伸縮要素を有しており、それぞれが互いに対して変位することができる。2本の伸縮脚のそれぞれの領域内に歯車を有する駆動部が、クランクによって駆動される。歯車は、2つの上側伸縮要素内に配置されている歯付きロッドに係合する。伸縮要素は、4つのローラーの配置によって隣り合わせに取り付けられる。伸縮要素は、スライドにより歯車のうちの一方の回転を阻止するロック装置によって互いに対して固定することができる。
【0004】
特許文献2が、特に、1本のみの脚と、安全ロックと、好ましくは、調節可能なカウンターウェイトとがある、機械的に上下調節可能なテーブルを開示している。これらのテーブルは、内部に力平衡機構が配置されている二部式伸縮脚を有しており、この二部式伸縮脚は、特に、両端が第1の伸縮部又は第2の伸縮部に固定されるワイヤと、力発生器とを有し、二部式伸縮脚の予備張力が調節可能である。伸縮部は、ローラーによって隣り合わせに取り付けられており、その結果、摩擦が低減する。さらに、ねじロッドと、ねじロッドと相互作用するスリーブとを有するロックが存在する。レバーによって駆動ケーブルを介して駆動される対応する機構によって、スリーブをその回転に関してねじロッドに対して固定することができる。テーブルトップに作用する力が大きすぎる場合に上下調節全体を止める安全機構もまた、2つの圧縮ばねによってつくり出される。
【0005】
特許文献3が、二部式伸縮部として実現される、テーブルトップを支持する上下調節可能な支柱に関している。柱の内側に延びるとともに、少なくとも1つのばね付勢ロックプレートが関節連結式に連結されるアセンブリプレートが、その縁が、下側伸縮部内に上下に並んで配置されている多数の凹部のうちの1つに係合することができるように上側伸縮部に接続される。さらに、ロックプレートを枢動させる手段が、2つの伸縮部を互いに対して変位させることを可能にするために存在する。上記手段は特に、ケーブルであって、ロックプレートに接続され、ロックプレートの上端まで柱内を延び、次に外側まで更に延び、また、その対応する端に駆動部材が設けられているケーブルを有する。
【0006】
特許文献4が、少なくとも3本の支脚を有する上下調節可能なワークテーブルに関しており、これらの支脚は、互いから離間して配置されており、ワークトップを受ける共通の駆動部によって長さ調節可能であり、各支脚は、外管と、外管に対して変位可能である少なくとも1つの内管とから構成されている。内管は、ガイドリングによって軸方向に変位可能であるように外管内にガイドされる。支脚の長さは、張力部材によってそれぞれ伸張させることができる。張力部材の端は、内管のキャップに締結されている。支脚の全ての張力部材は、張力ユニットにガイドされ、そこで、ガイドローラーを介して、張力部材を受けるヘリカルチャネルを有する回転可能に取り付けられたドラムまで、動作する。ドラムは、ワークトップの下に垂直軸に関して配置することができる。それは、テーブルの高さを調節するのに手動又はモーターによって駆動される。支脚は、駆動部のセルフロックシステムによって或る特定の高さにロックすることができる。
【0007】
特許文献5が、上側フレームを有するテーブルフレームであって、上側フレームが、少なくとも2つの伸縮ガイドによってフットフレームに対して取付けられているとともに上下に調節可能かつロック可能であり、互いに同期する、手動により作動可能なねじスピンドルによって調節が行われる、テーブルフレームを開示している。チェーン又は歯付きベルトによって駆動歯車に接続される歯車が、ねじスピンドルに配置されている。ロック装置を有する作動機構が、駆動歯車に連結されている。好ましい態様では、駆動歯車に駆動ドラムが接続されており、駆動ドラムの周囲と協働する駆動ジョーは、ケーブルプルを介してばねの力に抗して周方向にプッシュロッドによって作動可能である。ブレーキシューが、ロックのために駆動ドラムの周囲と解除可能に協働する。さらに、上側フレームの重量荷重を減らすために、螺旋ばねが駆動歯車又は駆動ドラムと連結することが有利であり、螺旋ばねの固定点、したがって、その予備張力が、調節可能な固定要素により調節可能である。
【0008】
従来技術において知られている上下調節可能なテーブルは、ローラーガイドのため、伸縮脚が比較的大きくなるように寸法決めされる必要があるという不利益、及び、伸縮脚を或る特定の長さに固定する既知のロック装置がテーブルトップをロックすることができ、そのため、或る特定の程度までしかフレキシブルかつ安定でないという不利益を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,706,739号(Ergotech Inc.)
【特許文献2】国際公開第2006/066116号(Steelcase Development Corp.)
【特許文献3】ルクセンブルグ特許第90876号(Deceuninck N.V)
【特許文献4】独国特許公開第19749494号(R. Schmidt)
【特許文献5】独国特許公開第19856864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、可能な限り狭小な脚の展開(development)とスムーズな動作の上下調節システムとを有する上下調節可能な脚を有する、導入部に挙げた技術分野に関連する家具であって、或る特定の高さにフレキシブルかつ頑強にロックすることができる家具を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的の達成は、請求項1の特徴部によって規定される。本発明によれば、家具は、中空体として実現される第1の伸縮要素と、第1の軸に沿って直線変位可能であるように第1の伸縮要素の内側に取り付けられている第2の伸縮要素とを有する少なくとも1本の長さ調節可能な脚を備える。ロック装置が、第2の伸縮要素上に配置されている。ロック装置は、少なくとも1つの第1のピンであって、該少なくとも1つの第1のピンが、力嵌め接続又は形状嵌め接続により第2の伸縮要素に対して第1の伸縮要素が移動することを防止する第1の位置から、変位が防止されない第2の位置へと、駆動機構によって移動可能である少なくとも1つの第1のピンを有する。さらに、前記ロック装置は、少なくとも1つの第2のピンであって、前記第1の伸縮要素に対して前記第2の伸縮要素を滑り止めする(brace)ために該少なくとも1つの第2のピンが前記第1の伸縮要素の壁の内面に押し付けられる第1の状態から、該少なくとも1つの第2のピンが前記第1の伸縮要素の前記壁から或る間隔のところにある第2の状態へと、前記駆動機構によって移動可能である少なくとも1つの第2のピンを有する。
【0012】
家具は、実質的に平らなワーク面を有するテーブル、特にワークテーブルであることが好ましい。これに対する一代替として、家具は、椅子、サイドボード、棚、ボディ等とすることができる。原則的に、上下調節可能であるように展開されるあらゆるタイプの家具を、本発明により展開することができる。
【0013】
好ましい態様では、少なくとも1本の長さ調節可能な脚は、丸い断面を有する。しかしながら、これに対する一代替として、少なくとも1本の長さ調節可能な脚は、正方形、矩形又は任意には多角形の断面を有することもできる。
【0014】
家具は、2本の長さ調節可能な脚を有することが好ましい。家具は、そのサイズ又は展開形態に応じて、3本以上の長さ調節可能な脚、特に、4本又はそれよりも多くの長さ調節可能な脚を有することもできる。しかしながら、これに対する一代替として、家具は、例えば、家具がスツール、ビストロテーブル等である場合、長さ調節可能な脚を1本だけ有することができる。少なくとも1本の上下調節可能な脚は、更に好ましい態様では、例えば部屋の床等のベース上に上下調節可能な脚をフレキシブルかつ頑強に設置することができるようにするために、アーム又はベースプレートを有する。
【0015】
第2の伸縮要素は、第1の伸縮要素内に配置され、この第2の伸縮要素に対して第1の軸に沿って移動可能である。第1の伸縮要素及び第2の伸縮要素は、第2の伸縮要素が第1の伸縮要素の内側に受け入れられる領域内でそれに応じて重なる。
【0016】
第1の軸は、家具が立つベースの表面に対して実質的に垂直であるように配されることが好ましい。少なくとも1本の上下調節可能な脚の2つの伸縮要素の相対移動は、対応する機構によって駆動されることが好ましい。この目的から、家具は、例えば、ハンドクランクを有することが好ましく、このハンドクランクによって、ユーザーが、少なくとも1本の長さ調節可能な脚の2本の伸縮要素を互いに対して第1の軸に沿って双方向に移動させることができる。伸縮要素のうちの少なくとも1つに対するクランクの動きの伝達は、ケーブルプルによって行われることが好ましい。特に、好ましい態様では、機構は、少なくとも1本の長さ調節可能な脚の可能な限りスムーズな動作の長さ調節を可能にするために、例えば、特定の重量力の方向に対抗して作用するばね力等、家具の特定の重量を相殺する仕組みを更に有する。上記ばね力は、特定の重量力の相殺を個々に適応できるようにするために、例えば、クランクによりばねの長さを変えることによって、変化させることができることが好ましい。しかしながら、これに対する一代替として、少なくとも1本の長さ調節可能な脚の特に単純な長さ調節を可能にする電気モーターを設けることも可能である。これに対する更なる一代替として、機構(mechanism)をいっさい設けず、単にユーザーが家具を持ち上げることによって長さ調節を行うことも可能である。
【0017】
少なくとも1つの第1のピンは、形状嵌め接続に関して第1の伸縮要素の構造に係合することが好ましい。例えば、少なくとも1つの第1のピンは、第1の伸縮要素の内側の相補的な歯を有する対応する表面に係合する歯を有する表面を有する。これに対する一代替として、少なくとも1つの第1のピンは、伸縮要素の互いに対する相対変位を単なる力嵌め接続によって防止することもできる。特に、単なる力嵌め設計の場合、少なくとも1つの第1のピンの表面と、少なくとも1つの第1のピンが係合する、第1の伸縮要素の面とに、互いに対して高度の静摩擦を有する表面が設けられる。
【0018】
第1の伸縮要素に対する第2の伸縮要素の形状嵌めロック又は力嵌めロックにより、或る特定の長さ調節において、少なくとも1本の長さ調節可能な脚の確実な固定が可能となる。
【0019】
特に好ましい態様では、ロック装置は、第1のピンが1つだけではなく、特に2つの第1のピンを有し、これらの第1のピンは、例えば第2の伸縮要素の2つの対向する面において、第1の伸縮要素と力嵌め接続又は形状嵌め接続することができる。
【0020】
第2の位置では、少なくとも1つの第1のピンは、第1の伸縮要素又は第1の伸縮要素の内側の表面から或る間隔のところにあることが好ましく、その結果、第1の伸縮要素に対する力嵌め接続又は形状嵌め接続がない。結果として、第2の伸縮要素が、第1の伸縮要素に対して第1の軸に沿って双方向に自由に移動することができる。
【0021】
2つの伸縮要素が摺動して互いから離れることを防止するには、第1の伸縮要素に対する第2の伸縮要素の移動を規定するストップを設けることが好ましい。それに応じて、上記規定は、少なくとも1本の長さ調節可能な脚の最長の長さを規定する。同様に、第2の伸縮要素と第1の伸縮要素との最大の重なりを規定するには、更なるストップを設けることができる。それに応じて、上記第2のストップは、長さ調節可能な脚の最短の長さを規定する。
【0022】
家具の長さ調節可能な脚が1本のみではない場合、駆動機構は、存在する全ての長さ調節可能な脚の少なくとも1つの第1のピン及び少なくとも1つの第2のピンを、駆動機構を介して同時に駆動することができるように開発されることが好ましい。これにより、本発明による家具の高さを調節する際の取扱いが単純化する。
【0023】
少なくとも1つの第2のピンは、第1の状態では、第1の伸縮要素の壁の内面に押し当たる。少なくとも1つの第2のピンが第1の伸縮要素に押し当たる力の結果、第2の伸縮要素は、第1の伸縮要素に対して滑り止めされる。このことは、第1の伸縮要素と第2の伸縮要素との間の考えられ得る遊びが、これらの2つの伸縮要素の互いに対する滑り止めの結果として防止されることを意味する。その結果、第2の伸縮要素は、第1の伸縮要素に対してフレキシブルかつ頑強に固定される。2つの伸縮要素間の遊びが引き起こす可能性がある、家具の側方移動は、このやり方で確実に防止することができる。
【0024】
或る伸縮要素が更なる伸縮要素の内側でローラーによって完全にガイドされる長さ調節可能な脚に比べ、本発明による解決策は、まさにフレキシブルかつ頑強である固定を提供するが、ローラーの代わりに省スペースの滑り軸受を用いることができるため、スペース要件が明らかに小さい。これにより、狭小であるがよりフレキシブルかつ頑強に移動する長さ調節可能な脚を有する家具の創出が可能になる。
【0025】
少なくとも1つの第1のピンは、第1の軸に対して実質的に直角である第2の軸に沿って移動可能であるようにロック装置に取り付けられることが好ましい。この場合、ロック位置からアンロック位置への、第1の軸に沿った、第1の方向への、第1の復帰力に対抗した、駆動機構の移動は、第1の摺動区画によって、第1の位置から第2の位置への、第2の軸に沿った、少なくとも1つの第1のピンの移動に変換される。
【0026】
摺動区画を用いることにより、第1の軸、すなわち、2つの伸縮要素の相対移動が互いに対して行われる軸に沿った、駆動機構の移動は、特に単純かつ確実な方法で、第2の軸に対して実質的に直角である第2の軸に沿った移動に変換することができる。
【0027】
第2の軸が第1の軸に対して実質的に直角に配されることにより、少なくとも1つの第1のピンと第1の伸縮要素との間に確実な形状嵌め接続又は力嵌め接続をつくり出すことができる。
【0028】
上記用途の構想内では、「実質的に直角である」とは、最大偏差がプラス/マイナス5度である、90度の内角を意味する。
【0029】
ロック装置における少なくとも1つの第1のピンの軸受配置は、リニアガイドへの、特にロック装置の溝又は凹部内への少なくとも1つの第1のピンの配置によって行われることが好ましい。
【0030】
例えば螺旋ばねによってつくり出される第1の復帰力をもたらす結果、少なくとも1つの第1のピンが自動的に押されて第1の位置にくる。その結果、駆動機構は、第2の方向への駆動機構の移動、したがって、第2の位置から第1の位置への少なくとも1つの第1のピンの移動が復帰力によって行われるよう、第1の方向へのみ引っ張り力をかけるよう展開することができる。さらに、復帰力の結果、少なくとも1つの第1のピンは、第1の伸縮要素に対する確実な形状嵌め接続又は力嵌め接続を確実にするために十分に高い力によって作用することができる。
【0031】
駆動機構は、ロック位置及びアンロック位置を有し、アンロック位置では、少なくとも1つの第1のピンが第2の位置に位置するとともに少なくとも1つの第2のピンが第2の状態にあるのに対し、ロック位置では、それらのピンは第1の位置に位置するか又は第1の状態にある。それに応じて、駆動機構がアンロック位置に位置する場合、少なくとも1本の長さ調節可能な脚の長さを変更することができる、すなわち、2つの伸縮要素が互いに対して移動する。しかしながら、駆動機構がロック状態にある場合、2つの伸縮要素がともにロックされ、長さ調節可能な脚の長さは変更することができない。
【0032】
駆動機構は、ロック位置からアンロック位置に移動することができるようにレバーによって駆動されることが好ましい。駆動機構は、例えばワイヤ、チェーン等の伝達要素を有することが好ましく、この伝達要素によって、少なくとも第1の摺動区画に力を伝達することができる。
【0033】
好ましい態様では、少なくとも1つの第2のピンは、第1の軸に対して実質的に直角にある、好ましくは第2の軸に対して直角にある第3の軸に沿って移動可能であるように、ロック装置に取り付けられる。ロック位置からアンロック位置への、第2のピンに作用する第2の復帰力に対抗した、駆動機構の移動は、第2の摺動区画によって、第1の状態から第2の状態への、第3の軸に沿った、少なくとも1つの第2のピンの移動に変換される。
【0034】
第1の軸に対して実質的に直角にある第3の軸に沿って少なくとも1つの第3のピンが移動する結果、2つの伸縮要素の互いに対する考えられ得る最も高い程度の滑り止めを達成することが可能である。第3の軸を好ましくは第2の軸に対して実質的に直角に配向する結果、第3の軸に沿って少なくとも1つの第2のピンが移動し、少なくとも1つの第2のピンが少なくとも1つの第1のピンと同じ第2の軸に沿って移動する場合に比べ、フレキシビリティ及び頑強度が向上した移動を達成することが可能である。少なくとも1つの第1のピンの形状嵌め接続又は力嵌め接続により、第2の軸に沿った或る特定のフレキシビリティ及び頑強度の移動が既に確実となっているため、滑り止めによって第3の軸に沿って、第2の伸縮要素と第1の伸縮要素との間によりフレキシブルかつ頑強なロックを更に達成することもできる。総じて、あらゆる方向における2つの伸縮要素の互いに対してのよりフレキシブルかつ頑強なロックをこのようにして実現することができる。
【0035】
ロック装置における少なくとも1つの第2のピンの軸受配置は、リニアガイドへの、特にロック装置の溝又は凹部内への少なくとも1つの第2のピンの配置によって行われることが好ましい。
【0036】
好ましい態様では、少なくとも1つの第2のピンは、少なくとも1つの第1のピンと同じ駆動機構によって移動する。結果として、2つの伸縮要素の互いに対するロック及び滑り止めが、可能な限り単純な方法で可能になる。
【0037】
第2の復帰力は、少なくとも1つの第2のピンと直接協働することができるが、第2の摺動区画を介して、第2の直線変位可能なプレートによって少なくとも1つの第2のピンに間接的に作用することが好ましい。好ましい態様では、第2の復帰力は、ばね、特にヘリカルばねとして実現される。これに対する一代替として、第2の復帰力は、螺旋ばね又は弾性要素として実現することもできる。
【0038】
第1の軸に沿っての駆動機構の移動を第3の軸に沿っての少なくとも1つの第2のピンの移動に特に単純に変換することは、第2の摺動区画によって可能になる。
【0039】
家具は、単一の第2のピンを有することが好ましい。特に、丸い断面を有する長さ調節可能な脚を有する家具の場合、これにより、伸縮要素を特にフレキシブルかつ頑強な方法で滑り止めすることが可能になる。しかしながら、これに対する一代替として、幾つかの第2のピンを滑り止めに用いることもできる。
【0040】
特に好ましい態様では、第1の摺動区画は、第1の軸に沿って移動可能である第1のプレートとして実現され、この第1のプレート上に第1の溝が実現される。第1のピンに配置されている第1の軸受は、上記第1の溝内でガイドされる。
【0041】
第2の摺動区画は、第1の軸に沿って直線移動可能である第2のプレートに入れられた第2の溝として実現されることが好ましい。少なくとも1つの第2のピンに配置されている第2の軸受は、上記第2の溝内でガイドされる。
【0042】
溝と軸受との組合せにより、摺動区画(複数可)の特に単純な展開が可能になる。
【0043】
好ましい態様では、第2の摺動区画は湾曲部として実現され、少なくとも1つの第2のピンが第2の状態から第1の状態に移る際、湾曲部は、次の第2の領域におけるよりも勾配が大きい第1の領域を最初に含むように展開される。
【0044】
上記展開の結果、少なくとも1つの第2のピンは初め、第1の伸縮要素の壁の内面と接触するまで、大きい方の勾配によって第3の軸に沿って比較的迅速に移動することができる。後に続く、湾曲部のより小さい勾配によって、少なくとも1つの第2のピンは次に、2つの伸縮要素の滑り止めを可能にするために、より低い移動速度で、したがって、より大きい力で壁の内面に更に押し付けられる。同時に、異なる勾配を有する2つの領域を有する湾曲部の展開形態によって、第2の溝における第2のジャーナルのセルフロックを達成することができる。
【0045】
「勾配」という用語は、本願の意味において、第2の摺動区画の湾曲部が第1の軸に対して呈する角度として理解されるべきである。上記角度が大きいほど、湾曲部の勾配が大きい。
【0046】
好ましい態様では、駆動機構は、駆動機構がロック位置からアンロック位置に移動すると第2のプレートのストップ面に当接する駆動体を有する。
【0047】
駆動機構が、第1の軸に沿って第1の方向に、ロック状態からアンロック状態に移ると、駆動体は、第1のプレートのストップ面に当接する。その結果、第2の摺動区画は、駆動機構によって第1の方向に引かれ、その結果、第1の状態から第2の状態へと、第2のジャーナルの移動、したがって、少なくとも1つの第2のピンの移動が行われる。
【0048】
駆動機構が、第1の方向と逆の第2の方向に、アンロック位置からロック位置に移動する場合、駆動体がストップ面から解放され、その結果、第2の方向に、第2のプレートよりも遠くに駆動機構を移動させることができる。その結果、少なくとも1つの第1のピンの移動を少なくとも部分的に解放(uncouple)することが可能であり、少なくとも第1のピンはまた、少なくとも1つの第2のピンの第2の状態から第1の状態への移動によって、第2の位置から第1の位置へ上記同じ駆動機構によって移動することが好ましい。
【0049】
第2の復帰力が少なくとも1つの第2のピンに作用する際、2つの伸縮要素をともに滑り止めすることを可能にするために、駆動機構の駆動体と接触することなく十分に高い力で作用を受ける。
【0050】
少なくとも1つの第1のピンはまた、ストップ面によって駆動機構に連結されることが好ましい。
【0051】
ロック装置は、第2の伸縮要素の内側に配置されることが好ましく、第2の伸縮要素の壁には少なくとも1つの開口が設けられており、この開口を通って少なくとも1つの第2のピンが移動することができる。
【0052】
ロック装置を第2の伸縮要素の内側に配置する結果、少なくとも1本の長さ調節可能な脚の特にコンパクトな設計を達成することができる。さらに、2つの伸縮要素は、結果として特に良好にともに滑り止めすることが可能である。
【0053】
上記少なくとも1つの第1のピンが第2の伸縮要素の壁を通って第1の伸縮要素と力嵌め接続又は形状嵌め接続することができるように、少なくとも1つの第1のピンの壁に開口を設けることができることも好ましい。
【0054】
好ましい態様では、駆動機構はボーデンケーブルとして実現される。その結果、駆動機構は、可能な限り単純な方法で展開することができる。特に、例えば、ボーデンケーブルを駆動するように設計されているレバーを、少なくとも1本の脚の外側、特にテーブルトップの下に配置することができるようにするために、ボーデンケーブルは、ローラー等によって向きを変えることもできる。
【0055】
第2の伸縮要素の外面の壁と相互作用する少なくとも1つの滑り軸受は、壁の内面側の、第1の伸縮要素の第1の端の領域内に配置されることが好ましい。
【0056】
滑り軸受の上記配置の結果、少なくとも1本の長さ調節可能な脚は、特に狭小に実現することができ、これにより、全体的に反応が良い美的効果が家具に与えられる。
【0057】
特に好ましい態様では、第1の伸縮要素の第1の端はその上端である。この場合、第1の伸縮要素は、下部を提供し、第2の伸縮要素は、少なくとも1本の長さ調節可能な脚の上部を提供する。
【0058】
好ましい態様では、第2の伸縮要素は、第1の伸縮要素の壁の内面と相互作用する少なくとも1つの転がり軸受を第2の端に有する。
【0059】
特に好ましい態様では、第2の伸縮要素の対向する両側に位置する少なくとも2つのローラーが、転がり軸受として用いられる。これらのローラーは、その外面が第1の伸縮要素の内壁と少なくとも1箇所で触れるように配置される。したがって、少なくとも2つのローラーは壁の内面に沿って転動する。
【0060】
更に好ましい態様では、転がり軸受はロック装置に配置される。
【0061】
第2の伸縮要素は、第1の伸縮要素内で、第2の伸縮要素の第2の端が第1の軸に沿って第1の方向に第1の伸縮要素の第1の端の下に位置するように、配置されることが好ましい。その結果、第2の伸縮要素は、その第2の端が、転がり軸受によって直線変位可能であるように第1の伸縮要素の内側に、かつ、転がり軸受の上方において第1の方向に位置する領域内に滑り軸受によって取り付けられる。
【0062】
第1の伸縮要素の第2の端から第1の端に延びる少なくとも1つのアームが、第1の伸縮要素の内側に配置される。少なくとも1つの第1のピンは、第1の位置において、力嵌め式又は形状嵌め式にアームと相互作用する。
【0063】
アームを第1の伸縮要素の内側に配置する結果、少なくとも1つの第1のピンが力嵌め式又は形状嵌め式に相互作用する表面が、第1の伸縮要素の壁の内面から隔たれて存在することができる。その結果、第1の伸縮要素の内側での第2の伸縮要素の線形的な変位の妨げが上記表面によって防止される。
【0064】
特に好ましい態様では、アームは、第2の伸縮要素の内部に少なくとも部分的に突出する。その結果、アームと相互作用するガイドを、第1の伸縮要素の内側での第2の伸縮要素の特に良好なリニアガイドを可能にするために第2の伸縮要素の内側に配置することができる。ガイドは、アームに沿って押すことが可能であるように取り付けられる、特に少なくとも1つのガイド溝又は少なくとも1つの半リングの形態で実現される。
【0065】
本発明の更に有利な実施形態及び特徴の組合せは、以下の詳細な説明から、また特許請求の範囲の全体からもたらされる。
【0066】
例示的な実施形態を説明するために用いられる図面は以下の通りである。原則的に、図における同一の部品には同一の参照符号が与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】2本の長さ調節可能な脚を有する、本発明によるテーブルを示す。
図2】ロック装置の一実施形態の立体図を示す。
図3】90度回転させた、図2のロック装置の実施形態を示す。
図4】ロック装置の一実施形態の断面図を示す。
図5】90度回転させた、図4のロック装置の実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、本発明による家具を一実施形態で2本の長さ調節可能な脚15.1、15.2を有するテーブル1として示す。2本の長さ調節可能な脚15.1、15.2はそれぞれ、第1の伸縮要素2.1、2.2と、第1の伸縮要素2.1、2.2の内側に受け入れられるとともに直線変位可能であるように取り付けられている第2の伸縮要素3.1、3.2とを有する。アーム4.1、4.2が、第1の伸縮要素2.1、2.2の底端に配置されている。アーム4.1、4.2により、テーブル1が立つのを支えるベースに対してテーブル2の安定性が増す。2本の長さ調節可能な脚15.1、15.2は、第1の伸縮要素2.1、2.2の上側領域において横架部材5によってともに接続される。
【0069】
上にテーブルトップ(図示せず)を取り付けることができる2つの部材6.1、6.2が、第2の伸縮要素3.1、3.2の上端の領域に配置されている。第2の伸縮要素3.1、3.2を第1の伸縮要素2.1、2.2に対して直線的に変位させることができる調節機構が、上記部材6.1、6.2間であり且つテーブルトップの下に配置されている。上記調節機構は、周囲に2つのワイヤ7.1、7.2を巻き付けることができる駆動プーリ8を有する。ワイヤ7.1、7.2は、対応するローラーによって偏向され、長さ調節可能な脚15.1、15.2にガイドされる。ワイヤ7.1、7.2を駆動プーリ8に巻き付ける結果、図示の調節機構を用いてテーブルトップをより高く位置決めすることができる。これに応じて、ワイヤ7.1、7.2を解くことにより、テーブルトップが低くなる。
【0070】
テーブルトップの特定の重量は、カウンターウェイトスプリング9によって相殺される。これにより、比較的スムーズな動作方法でテーブルの高さを調節することが可能となる。カウンターウェイトスプリングは、カウンターウェイトスプリング9を伸び縮みさせることによって、カウンターウェイトスプリング9がかける力を変えることができる調節機構を有することが好ましい。上記調節機構はハンドクランク11を有しており、特定の重量を相殺するカウンターウェイトスプリング9の種々の予備張力を可能にするために、このハンドクランク11により、カウンターウェイトスプリング9の長さをスピンドル10によって調節することができる。駆動プーリ8はワイヤ7.1、7.2とともに、カウンターウェイトスプリング9に固定される。
【0071】
図2は、第1の伸縮要素2のアームの2つのアームピン23.1、23.2と相互作用するロック装置16の立体図を示す。2つのアームピン23.1、23.3はその上端が、接続要素24によってともに接続されている。調節機構のワイヤ7が、接続要素24に接続されている。ワイヤ7は初めに、ガイドローラー27まで、アームピン23.1、23.3に対して平行にガイドされる。ワイヤ7は、上記ガイドローラー27によって約180度回転し、次に、上記第2の伸縮要素(図示せず)を通って調節機構まで、第2の伸縮要素の壁に対して平行にガイドされる。
【0072】
第1の伸縮要素2及び第2の伸縮要素3は、この図では描写上の理由から示されていない。ロック装置16は、第2の伸縮要素3の第2の下端に配置されている。ロック装置16は、2つのガイドクランプ25.1、25.2によって、2つのアームピン23.1、23.2に沿ってガイドされる。さらに、4つのローラーが、ロック装置16の下端に配置されており、4つのローラーのうちの2つのローラー26.1、26.2のみをこの図に見ることができる。ロック装置16は、ローラー26.1、26.2によって第2の伸縮要素3の内側で直線変位可能であるようにガイドされる。
【0073】
第1のピン17は、ロック装置16において第1の位置と第2の位置との間で直線変位可能であるように配置される。第1の位置から図示の第2の位置への第1のピン17の移動は、駆動機構28が移動することによって可能となり、この移動は、ボーデンケーブルとして示されている実施形態では、第1の軸Aに沿った第1の方向33に実現される。駆動機構28は、方向Aに直線変位可能であるように取り付けられている第1のプレート18に接続される。第1のプレート18は、溝として実現される第1の摺動区画19を有する。第1のピン17に接続されている第1のジャーナル20が、摺動区画19内をガイドされる。駆動機構28によって駆動される第1のプレート18の移動は、上記第1の摺動区画19によって、第1の軸Aに対して直角である第2の軸Bに沿った、第1のピン17の直線移動に変換される。第1の摺動区画19は、図示の実施形態では湾曲部として実現される。
【0074】
第1の方向33とは逆の第2の方向34において、第1の方向33に対抗する復帰力を第1のプレート18上にかける第1の螺旋ばね21が、第1のプレート18と協働する。上記復帰力により、第1のピン17は(第1の方向33において駆動機構28によって第1のプレート18にかけられる力がない場合に限りにおいて)、第1の摺動区画19による、第1の位置へと押圧する力によって駆動する。上記第1の位置では、第1のピンは、表面22が第1のアームピン23.1の形状嵌め要素と係合する。第1のアームピン23.1は、第1のピン17と第1のアームピン23.1との間に形状嵌め接続がもたらされるように、相補的な形状嵌め要素(図示せず)を有する。第1の軸Aに沿った、第1のピン17の動き、したがって、ロック装置16全体の動きが、上記形状嵌め接続により防止される。
【0075】
第2のピン30が、第3の軸Cに沿って直線変位可能であるようにロック装置16に取り付けられている。第1の軸Aに沿った、第2のプレート31の直線移動が、第2のジャーナル33が第2のピン30に連結される第2の摺動区画32によって、第3の軸Cに沿った、第2のピン30の直線移動に変換される。図では、第2のピン30は、第2のピン30が第1の伸縮要素2(図示せず)の内壁から或る間隔のところにある第2の状態に位置している。第2のピン30は、第3の軸Cに沿った移動により、第2のピン30が第1の伸縮要素2の内壁に押し付けられる第2の状態に移ることができる。その結果、2つの伸縮要素2、3間に滑り止めが達成される。
【0076】
第2の復帰力が、第2のプレート31と協働する第2の螺旋ばね34によって第2のプレート31にかけられる。上記第2の復帰力により、第2のピン30は(第1の方向33において駆動機構28によって力がかけられない限りにおいて)、第2の位置に押圧される。加えて、上記第2の復帰力は、第1の伸縮要素の内壁上への第2のピン30の押圧力が第2の螺旋ばね34によって増強するにつれて、2つの伸縮要素2、3の滑り止めを増強する。
【0077】
第2の摺動区画32は、溝として実現される。溝は、第1の領域35における勾配が第2の領域36におけるよりも大きい湾曲部として展開される。勾配は、各場合、溝の側縁と第1の軸Aとに囲まれる角度として理解されるべきである。この場合、湾曲部は、第1の領域35と第2の領域36との間の遷移が、第2のピン30が第1の伸縮要素2の内壁と接触する時点で第2のジャーナル33が位置付けされる地点にあるように実現される。第2の領域36において後に続く勾配がより小さいことにより、第2のピン30の移動が、より低速で、したがって、より大きな力で行われ、その結果、2つの伸縮要素2、3の特に効果的な滑り止めが第2のピン30によって可能となる。さらに、第2の摺動区画32のこのタイプの展開形態は、2つの伸縮要素2、3が第2のピン30によって互いに対して滑り止めされ次第行われるジャーナル33のセルフロックも含む。
【0078】
図3は、軸A回りに90度回転させた、図2に示されているロック装置16の実施形態を示す。さらに、ロック装置16の対応するカバーが上記図に示されている。
【0079】
直線移動可能な第2のプレート31に対する駆動機構28の固定を上記図に見ることができる。第2のプレート31は、第2のプレート31のレストに対して90度角度付けられている領域であって、ボーデンケーブルとして実現される駆動機構28が通る開口39を有する領域を有する。角度付き領域の底部側は第2のストップ面38を形成しており、駆動機構28が第1の方向33に移動すると、駆動機構28に配置されている第2の駆動体37が当接する。第2の駆動体27が第2のプレート31の角度付き領域に固定接続されていないことにより、駆動機構28は、第2の方向34に自由に移動することができる。これにより、第1のプレート18は、第2の方向に、第2のプレート31よりも遠くに移動することができる。第1のプレート18は、第1の駆動体41によって駆動機構28に同様にして更に接続されており、駆動機構28が第1の方向33に移動すると、第1のプレート18の第1のストップ面42に当接する。その結果、プレート18、31は双方とも、駆動機構28が解除された状態で、第1の螺旋ばね21又は第2の螺旋ばね34によって第1の位置へ自由に移動される、すなわち第1の状態へ移動される。
【0080】
図4は、第1の軸Aに沿った、本発明による長さ調節可能な脚15の断面を示す。断面は、第2の軸Bの方向にある。図2及び図3とは対照的に、第1のピン17は、第1の位置に位置する、すなわち、第1のアームピン23.1の表面に形状嵌め式に係合する。形状嵌め要素を有し対応して展開された面22が、第1のピン17の先端に位置する。上記図に見てとれることができるように、図示の実施形態における上記面22は、第1のピン17に挿入されるプラグに関して実現される。
【0081】
第2の伸縮要素3が第1の伸縮要素に受け入れられることによりもたらされる、第2の伸縮要素3と第1の伸縮要素2との重なりが、上記図に容易に見てとれる。図示の構成では、2つの伸縮要素2、3間の最小限の重なりを有する状態、すなわち、長さ調節可能な脚15が最長の長さを有する状態を示す。第2の伸縮要素3を第1の伸縮要素2内に直線変位可能であるように取り付ける、全部で4つのローラーのうちの3つのローラー26.1、26.2、26.3を、ここでもまた第2の伸縮要素の第2の底端に見てとることができる。
【0082】
図5は、第1の軸A回りに90度回転させた、図4による長さ調節可能な脚15の更なる断面図を示す。図4とは対照的に、第2のピン30の配置は、上記描写に見てとることが容易である。第2のピン30は、第3の軸Cに沿っての第2のピン30の移動を可能にするリニアガイド40の内側に配置されている。第2のプレート31は3つの要素から構成されており、そのうちの2つの要素31.1、31.2を図に見てとることができる。上部要素31.2は、2つの下部要素31.1から組み立てられたホルダーに挿入される。第2のジャーナル32がガイドされる第2のリニアガイド32もまた、下部要素31.1に挿入される。
【0083】
第1の伸縮要素2の内壁に取り付けられている滑り軸受39もまた、2つのローラー26.2、26.4のみを図で見ることができるローラーとともに、上記図に見てとることができる。第2の伸縮要素3は、ローラー26.2、26.4及び滑り軸受39によって第1の伸縮要素2の内側で直線変位可能であるように取り付けられる。
【符号の説明】
【0084】
1 テーブル
2、2.1、2.2 第1の伸縮要素
3、3.1、3.2 第2の伸縮要素
4 アーム
5 横架部材
6.1、6.2 部材
7.1、7.2 ワイヤ
8 駆動プーリ
9 カウンターウェイトスプリング
10 スピンドル
11 クランク
15、15.1、15.2 長さ調節可能な脚
16 ロック装置
17 第1のピン
18 第1のプレート
19 第1の摺動区画
20 第1のピン
21 第1の螺旋ばね
22 形状嵌め要素を有する面
23.1、23.2 アームピン
24 接続要素
25.1、25.2 ガイドクランプ
26.1、26.2 ローラー
27 ガイドローラー
28 駆動機構
30 第2のピン
31 第2のプレート
32 第2の摺動区画
33 第2のジャーナル
34 第2の螺旋ばね
35 第1の領域
36 第2の領域
37 第2の駆動体
38 第2のストップ面
39 滑り軸受
41 第1の駆動体
42 第1のストップ面
図1
図2
図3
図4
図5